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論文歴史的建造物の三次元デジタル画像化とその地震応答解析への利用 鶴田聡 *1 松田浩 * 山下務 *3 *4 松山直紀 要旨 : デジタルカメラを用いた簡易な三次元写真計測システムを用いて, 図面等が残されていない歴史的建造物の形状計測を行い, 三次元デジタル画像を作成した 計測した3Dデジタル座標情報を用いて, 自動メッシュ分割やボクセル情報ベースのメッシュ作成システムを利用してFEメッシュを作成した さらに,3D 動的地震応答 FE 解析を実施して耐震評価を行うことができる一連の計測 解析システムについて検討した キーワード : 歴史的建造物, 三次元写真計測, 地震応答 FE 解析, 自動メッシュ作成 1. はじめに現在, コンクリート構造物のみならず, 歴史的及び近代化産業遺産建造物をはじめとする既存構造物の調査, 劣化診断, 保存等に関する研究が鋭意進められている このような構造物の診断 修復を検討する上で, 福岡県西方沖地震や中越地震のような大地震に対する耐震性能評価は不可避な課題である 歴史的 遺産構造物は全国各地に存在するため, できる限り簡便に評価できる手法の確立が望まれる ところで, 構造物の応力, 変形状態の把握にはコンピュータによる数値解析が実施されている 数値解析を行う際に重要なことは, 適切な形状モデル化と正確な境界条件の設定である しかし, 図面等が残っていない歴史的建造物や複雑な構造体の三次元 FE モデルの作成には膨大な時間と労力が必要となる 本研究では, 歴史的及び近代化遺産建造物をはじめとする既存構造物の耐震性能を評価することを目的として, まず, 三次元形状計測技術を用いて構造物の三次元形状計測を行い, その三次元座標データを基に詳細な FE モデルを生成する一連のシステムを構築することについて検討した さらに, 本手法による FE 解析への有用性及び適用可能性について検討するとともに, 構造物の耐震性評価を目的とした三次元地震応答解析を実施した その際, できる限り簡便で, 自動化が可能な手法を追求することにした. 三次元写真計測の概要と性能照査高解像度デジタルカメラの普及とコンピュータの低価格化と高速化により, 写真計測が身近なものになってきた 本論文では画像計測の一種であるデジタルカメラを用いた三次元写真計測手法による構造物の形状計測を行った.1 計測原理および計測データ処理 (1) 計測原理および概要本研究で用いたソフトウェアは, 市販デジカメで撮影した 枚以上の画像データを基に 構造物の三次元座標データを取得できる 計測法の基本原理は, 測量学において一般的に用いられる三角測量であり, カメラレンズ歪み補正機能や自動対応点処理機能が付与されており, カメラ撮影やパソコンなど一般的な操作ができれば誰でも簡単に取り扱うことができる 図 -1 のように 方向から空間内に存在する物体の点 P( x, y, を撮影する 画像 I, I 上での点 P( x, y, の位置をそれぞれ P, Y ), ( Y P (, Y ) とすると, 次式 1) が成り立つ これを基に構造物の三次元座標データを取得できる *1 長崎大学大学院生産科学研究科修士課程 ( 正会員 ) * 長崎大学工学部構造工学科教授工博 ( 正会員 ) *3 長崎大学工学部構造工学科技術職員 ( 非会員 ) *4 長崎大学大学院生産科学研究科修士課程 ( 非会員 )

I f 1) 図 -1 写真計測概要 x = P (, YY ) P + f (, Y ) (1) y = Y () z = f (3) 以下に三次元写真計測のフローを示す 1. 写真の撮影 ( 枚以上 ). 同一点 ( 対応点 ) の決定 3. スケール等の設定 4. 点群の配置, 対応 5. 三次元データの出力本計測手法は非接触で, なおかつ身近で安価なデジタルカメラによる計測が可能である しかしながら, 計測範囲は撮影した写真に写っている範囲に限られ, 計測されるデータは計測物の表面のみのデータである () 計測データ処理三次元形状データを用いてコンピュータ処理を行うには, 得られたデータを必要に応じて三次元幾何モデルへ変換しなければならない 本研究では汎用三次元処理ツール (apidform) を用いて計測したデータの変換を行う 以下に本論文で用いる三次元幾何モデルの種類と特徴を挙げる 点群データ( 図 -(a)) 点群データとは, 三次元写真計測手法を用いて計測し, 直接得られるデータである データ構造は, 一定間隔で切り出した二次元的配列を ( x, y, 座標データとして表現するものである ( x, y) を等間隔に配列すれば, 二次元の格子データとなる そして,( x, y) 平面に対して, 高さを I P( x, y, Y z = f ( x, y) として表現することで計測物の立体表現を可能とする ワイヤフレームデータ( 図 -(b)) 近接する三点の三次元データを二次元平面に写像し, それらの点を直線で結び表現するものである 表示処理が簡単なため, 幅広く利用される サーフェイスデータ( 図 -(c)) 物体を面の集合体として表現するモデルである 本データの情報としては, 面とその境界を形成する線や点の情報の集合である ソリッドデータ物体の表面 ( サーフェイス ) データのみならず, 充実の円筒や直方体など, 基本的な立体要素の集合体で表現するデータである 本計測手法は, 前述したように計測可能な範囲は計測物の表面形状のみであるため,FE 解析を行う際にはモデルに応じた計測を行い, 変換したサーフェイスデータをソリッドデータへ変換する必要がある (a) 点群 (b) ワイヤフレーム (c) サーフェイス図 - 三次元幾何モデル (3) FE メッシュ作成計測データはカメラ側の物体表面のデータのみであるため,FE 解析を行う際はソリッドデータへ変換しなければならない そこで, 計測し変換したサーフェイスデータを ST ファイルへ変換しプリポストプロセッサへ入力する そして, 自動メッシュ分割を用いサーフェイスデータを基に内部にテトラ要素 ( 四面体要素 ) を適用することで, ソリッドデータの構築を行う ST ファイルとは, 図 -3 に示すように各点の座標と, サーフェイス ( 面 ) における法線ベクトルの情報を持つものである 法線ベクトルの向きで面の方向を確定し, 点群の座標データを持つため, サーフェイスデータ, ソリッドデータと等価な情報を持つものである

x 1 y1,, z 1 法線ベクトル x y,, z x 3 y3,, z 図 -3 ST ファイル. 三次元写真計測の性能照査 (1) 試験概要三次元写真計測の計測精度を確認するために, 図 -4に示す曲がりかつねじれた曲面板の三次元形状計測を行い, 計測データと実測値の比較を行った そして, 得られた三次元データをソリッドモデル,FE モデルへと変換し, 汎用 FEM ソフトを用いて固有振動解析を行う 同時に, ホログラフィ干渉法により固有振動実験を行い, 得られた各振動モードにおける振動数, モード図を比較 検討することで本計測手法の計測精度の検証を行う また同時に, 作成した FE モデルの FE 解析への適用を検討する 本試験で用いた曲面板の材料定数を表 -1 に示す b a c 3 計測手法は高い精度の三次元形状計測,FE 解析を行えることを確認できた 振動数 (H 1 次 3 次 5 次 (a) モード図比較 3000 500 000 1500 1000 500 0 表 - 寸法比較 対称 実測値 (mm) 計測値 (mm) 誤差 (%) a 155.5 155.5 0 b 43.8 43.7 0. c 155.5 155.3 0.1 実験結果 計測結果 実験値本計測機 1 3 4 5 6 固有モード (b) 振動数比較 図 -5 試験結果 図 -4 曲面板 表 -1 材料特性値弾性係数ポアソン比密度 71GPa 0.33.7g/cm () 試験結果試験結果を表 -, 図 -5 に示す 表 - より精度の高い形状計測を行えることを確認できた また, 作成した FE モデルは FE 解析へ適用することができ, 図 -5 に示すように各振動モードにおける変位の分布図および, 振動数は非常に良く一致している 以上のことから, 三次元写真 3. 歴史的建造物の三次元写真計測 3.1 計測概要三次元写真計測手法を用いて歴史的構造物の三次元形状計測を行った 計測物には図 -6 に示す長崎市山王神社の片足鳥居を採用した 撮影には 500 万画素のデジタルカメラ (Nikon 社製 D70) を用い, ズームを Wide 端に固定し撮影した 本計測手法により得られた形状データは, 計測段階では互いのカメラの位置関係が仮想的なため, 相対的なスケールしか持っていない そこで, 実際の計測物のスケールと等価なものに

するためには最低一つの二点間距離を入力しなければならない ここでは図 -6 に示す a,b 二箇所の距離をトランシットを用いて測量し, 入力した 本計測手法の計測範囲は写真に写っている範囲に限られるため, 図 -7 に示すように 4 方向からの計測を行い, それぞれをつなぎ合わせることによって全体の三次元形状データを取得する a 計測点 A b 図 -6 片足鳥居 計測点 B A B C D 図 -7 計測方向 3. 計測結果図 7 の計測点 A から D において撮影した 枚の写真と, その写真から得られた点群データを図 -8 に示す 3.3 形状データ作成三次元処理ツールを用いて計測した点群データの処理を行った 図 -7 における計測点 A から D における結果を図 -9 にそれぞれ示す また, 計測したデータは表面形状のみのサーフェイスデータであるため, そのサーフェイスデータを基にサーフェイスモデル内部にテトラ要素 ( 四面体要素 ) を構築し, ソリッドデータの作成を行った 計測点 C 計測点 D 図 -8 三次元点群データ

表 -3 材料特性値弾性係数圧縮強度引張強度単位体積重量ポアソン比 (MPa) (MPa) (MPa) (kn/m 3 ) 51000 147 5.4 0.5 4.5 ワイヤフレーム計測点 A サーフェイス 147 σ(mpa) Y -5.3-107 90 6000 ε(μ) (a)fe メッシュ分割図 (b) 構成則図 -10.FE 解析モデル ワイヤフレームサーフェイス計測点 B.00 1.60 1.0 0.80 0.40 Y 0.00 ( 10-3 ) 図 -11 ひび割れ分布図 ワイヤフレームサーフェイス計測点 C ワイヤフレームサーフェイス計測点 D 図 -9 三次元形状データ 3.4 FE 解析への適用計測を行い,.1.3 に示すように変換, 生成した FE メッシュ要素を用いて FE 解析を行う その要素分割図を図 -10(a) に示す 構成則を図 - 10(b) に, 材料の特性値を表 -3 に示す 本構造物は花崗岩で建造されているので, 材料定数は, 通常の花崗岩の材料特性値を用いた 境界条件は下端を完全固定とし, 図 -10(a) に示す白丸の箇所に x 方向へ等分布荷重を作用させた FE 解析結果を図 -11 に示す 4. 地震応答解析への適用 4.1 固有値解析三次元地震応答解析を行う前に固有値解析を行った 解析結果を表 -4 に示す 固有振動数の把握は, 構造物の減衰比や固有角振動数を求める上で非常に有意なことである 本法による固有振動解析結果の精度は,. 節に示したように模型実験で確認済みである しかし, ここでは固定端を完全固定の境界条件として解析を実施した 今後, 実構造物に対しての振動実験を行い, その精度を確認する予定である 表 -4 固有振動数 振動モード 1 次 次 3 次 4 次 振動数 (H 7. 8.3.1 39.3 振動モード 5 次 6 次 7 次 8 次 振動数 (H 66.9 108.9 133.9 17.3 4. 歴史的建造物の三次元地震応答解析 (1) 解析概要歴史的建造物 ( 片足鳥居 ) の三次元非線形地震応答解析を行った FE モデルには 3.3,4.1 と同

様のモデルを用いた () 耐震解析法および入力地震波地震応答解析には,Newmark のβ 法 (β=1/4) を用い, 減衰はレーリー減衰を用いた レーリー減衰の設定には発生頻度の高い つの振動モードが必要となるが, 今回は 1 次と 次モードが頻度の高い振動モードと仮定し, レーリー減衰を設定した 算出したレーリー減衰は.66 10-5 である また, 材料, 構造形式によって減衰定数は異なるが, ここでは通常の花崗岩の減衰定数 0.0 ) を用いた 入力地震波は x 方向へ図 -1 に示すエルセントロ地震波を入力した 加速度 (m/s ) 4 3 1 0-1 0 0 40 60 - -3 時間 (s) 図 -1 エルセントロ地震波 (3) 解析結果三次元地震応答解析を行った結果を図 -13 に示す (a) は鳥居の上部 ( 図 10(a) において右上隅 ) におけるx 方向の変位応答である また,(b) は最大変位時における分布図である 5. まとめ本論文では三次元写真計測手法を用いて歴史的建造物の三次元形状計測を行い, 計測データを基に FE 解析, 三次元地震応答解析を行った その結果を以下に示す 三次元写真計測手法は高い精度を持つ三次元形状計測を行えることが確認できた 三次元処理ツールを用いることによって計測した点群データを各種三次元幾何モデルへと変換することができ, 精度の高い構造物の三次元デジタル画像化を行うことができた 本計測手法を用いて計測を行い, 作成した FE 解析モデルは, 良好な精度の解析を行えることが確認できた 形状計測結果を基に既存構造物の現状調査や変状調査診断への適用の可能性を示すことができた 本計測手法を用いて計測し作成した FE モデルの三次元地震応答解析への適用可能性を示すことができた 本論文で用いた三次元写真計測手法のみならず, 三次元形状計測技術により計測を行い, 計測したデータを基に, 構造物の耐震性評価を行う計測 解析システムを構築することができた 変位 (mm) 0.6 0.4 0. 0.0-0. -0.4 0 0 40 60 Y 時間 (s) (a) 変位応答 3.77.77 1.74 0.76 0.4 (b) 最大主ひずみ分布図図 -13 解析結果 1.4( 10-3 ) 6. あとがき本研究は平成 17 年度前田記念工学振興財団, 長崎大学大学高度化推進経費 ( 萌芽的研究 ), および平成 14~16 年度科学研究補助金, 基礎研究 (B)()( 研究代表者 : 松田浩, 課題番号 : 1435046) の一部により行われたことを付記し, ここに謝意を示します. 参考文献 1) 出口光一郎 : 画像と空間 コンピュータビジョンの幾何学, 昭晃堂,pp.143,1991.5 ) 日本道路協会 : 道路橋示方書 (V 耐震設計編 ), 日本道路協会,pp.114,00.3