医療安全室医療安全室長須田峰子 1 部門目標 (1) 病院全体の医療安全意識の向上と医療安全文化の醸成 1) インシデント報告件数 145 件以上 ( ベッド数 285 床 5 を目安 ) 2) 全報告件数に占めるレベル の報告割合 3% 以上 3) 全報告件数に占めるレベル 3 以上の報告割合 2% 未満 4) 全報告件数に占める医師からの報告割合 7% 以上 5) 全体研修参加率 8% 以上 (2) 分析手法を用いた事例分析により原因を探り現実的な医療安全対策に導く 1) カンファレンスを通したセーフティーマネージャーの育成 2) 分科会各チームから 1 事例のしかるべき分析手法による分析の義務づけ (3) 職員のノンテクニカルスキルの向上による苦情件数の減少 1) 接遇に関する苦情 3% 以下 (26 年度全体の苦情件数は 74 件 うち 29 件 ( 約 4%) が接遇関連 ) 2) 接遇委員会との協力による接遇意識の向上 (4) 薬剤耐性菌による水平伝播の防止 1) 各部署での勉強会を補助による感染対策意識の向上 2) 標準予防策の実施率 8% 以上 3) 手指衛生剤の使用の徹底 (1 患者あたりの使用回数をモニタリング ) (8 月から追加 ) (5) 死亡事例の全例報告の義務づけ 1) 外来死亡も含めすべての死亡事例報告書を提出 2) 看護管理日誌及び医事室からの報告による医療安全室での把握の徹底 (6) 医師からのインシデントレポート提出の徹底 1) 過失の有無や因果関係に関わらずオカレンス項目に該当するものについて インシデント報告の義務づけ 2) 全ての手術に対して 手術バリアンス報告書 を記載 提出 (7) M&M カンファレンスの開催 2 業務体制 スタッフ 医療安全担当副院長 安心で安全な医療とは何か を見える化し 当院の医療の質の向上を促進するとともに 患者さんが安心して心あたたまる医療を受けられる病院を目指します 医療安全管理者 医療安全管理に関する組織の構築や運営 情報収集や分析 職員への教育や研修などを通し 病院の安全文化を創り出すことに努めています 感染管理認定看護師 ( 感染管理専従 ) 病院にかかわる全ての人々を感染源から守ることを目標に感染防止対策の知識 技術の提供と教育に努めています 医療対話推進者 患者さんやご家族から寄せられた相談などに円滑な対話の橋渡しができるように心がけています
医薬品安全管理責任者 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集や提供 改善のための活動を行っています 医療機器安全管理責任者 安心して医療機器が使用できるよう日々の点検を行うとともに 全国から寄せられる医療機器の回収情報や安全情報を院内スタッフ全員に情報提供できるよう奮闘しています 3 業務実績 1) インシデントレポート総数 :173 件事故レベル 2 以上総数 145 件発生率 8.4%) 報告件数 12 1 8 6 113 2 3.5% 3 4.7% 4.1% 5.1% その他 5.5% 22.5% 4 389 2 61 81 1 2 1 2 3 4 5 その他 事故レベル 95 1 63.7% 2) 報告内容項目パレート図 件数 4 35 3 25 2 15 1 5 累積比率 (%) 1.% 8.% 6.% 4.% 2.% ドレーン チ ューブ 注射 点滴 内服 外用 情報 記録 検査 転倒 転落 食事と栄養 観察 その他 医療機器 用具 調剤 手術 説明 感染防止 処置 環境整備 処方 輸血 移送 麻酔 事務 清拭 入浴介助 分娩 リ ハビリ 排泄の介助.%
3) 当事者経験年数 4) 当事者職種 2~25 年未満 11.1% 25 年以上 6.5% 当事者複数 3.5% PT OT ST.6% 年数不明臨床検査技師 1 年未満 1.3% 社会福祉士 2.5%.1% 9.6% 2 年未満 9.8% 診療放射線技師 3.2% 調理師 調理従事者 1.% 栄養士.4% 管理栄養士.7% 臨床工学技士.1% 事務職員.9% 不明.7% その他 1.% 医師 9.1% 助産師 6.1% 3 年未満 7.9% 薬剤師 2.5% 看護助手.5% 15~2 年未満 12.9% 5 年未満 8.6% 1~15 年未満 12.5% 5~1 年未満 15.3% 看護師 71.8% 5) 転倒 転落発生件数および発生率総数 118 件 ( 転倒 85 件転落 32 件衝突 1 件 ) 件数 16 件数発生率 発生率 2.5 14 2.254 12 1.64 1.763 1.852 2. 1 8 6 16 114 151 118 1.5 1. 4 2.5 212 年 213 年 214 年 215 年.
6) 中心ライン関連血流感染サーベイランス 7) 手術部位感染サーベイランス 海浜病院データ (215/1/1~215/12/31) 感染率 % 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 APPY CHOL COLO GAST-D GAST-T GAST-O REC SB SPLE 術式別リスク別 感染率 RI- 感染率 RI-1 感染率 RI-2 感染率 RI-3 感染率
8) 手指衛生剤の使用量調査 35 手指衛生剤の使用量調査 ~ 各部署別 患者一人当たりの手指衛生剤の使用回数 患者一人当たりの手指衛生の回数 3 25 2 15 1 5 手術室 ICU NICU GCU 3 階 4 階 5 階 6 階 7 階 ( 成人 ) 7 階 ( 新生児 ) 27 年度 1 回目 1.8 23 32.8 16.6 18.7 13.7 9.8 5.9 2.9 9.2 14.34 27 年度 2 回目 13.9 23.1 25 11 19.9 13.1 1.8 6.7 4.1 11.8 13.94 平均 27 年度 1 回目 27 年度 2 回目 9) 標準予防策実施率の部署別比較 % 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 外来 標準予防策実施率の部署別比較 手術室 ICU NICU 3 階 4 階 5 階 6 階 7 階平均 27 年度 69.3 9.7 84.4 9.4 76.2 92.9 89 75.6 68.3 81.87 27 年度 81.4 92.3 91.2 93.1 9.4 95.9 93.6 94.5 91.2 91.51 27 年度 92.5 95.2 95 99.4 94.4 95.9 91 88.6 92.1 93.79
1) 平成 27 年度医療安全研修感染管理研修 分類テーマ内容開催月 医療安全研修 第 1 回医療安全研修会医療従事者の法的責任 5 月 必須研修 第 2 回医療安全研修会 患者 家族とのよい関係を築くコミュ ニケーション 11 月 新採用者オリエンテーション 医療安全の基本的な考え方 4 月 医療安全ステップ1( 夜勤開始前 ) 先輩からのアドバイス 6 月 医療安全ステップ1 KYT 1 月 医療安全ステップ2( 卒 2) KYT 6 月 医療安全教育 医療安全ステップ 2( 卒 3) 要因分析 6 月 説明と同意医療者の説明義務 12 月 暴言暴力研修その1 KYTから学ぶ事例対応 5 月 暴言暴力研修その2 暴力に対する防御 対応策について 1 月 中途採用者オリエンテーション アシスタントのための医療安全 12 月 チームSTEPSS 基礎とグループワーク 2 月 医療機器 シリンジポンプTE 351 使用説明 4 月 第 1 回医薬品の安全使用講習会 医薬品全般 新規採用薬の注意 6 月 薬剤 第 2 回医薬品の安全使用講習会医薬品全般 新規採用薬の注意 2 月 感染管理研修 必須研修 第 1 回感染管理全体研修会血中ウイルス感染対策 7 月 第 2 回感染管理全体研修会みんなで取り組む感染対策 2 月 3 月 新採用者オリエンテーション 標準予防策 血液 体液暴露予防 個人防護具の装着方法 4 月 アシスタント対象研修環境 器材 汚物の管理 1 月 感染管理教育 食中毒の予防 ( 栄養科 ) 手指衛生のポイント 4 月 9 月 感染性リネン ( 洗濯室 ) 感染性リネンの洗濯 11 月 ドレーン管理 ( リハ科 ) 手指衛生のタイミング 11 月 感染性廃棄物の分別について ( 各病棟 放射線科 ME) 感染性廃棄物の分別について 4 月 5 月 8 月
11) 平成 27 年度資格取得研修受講受講研修 職種 取得人数 医療安全管理者 医師 1 名看護師 8 名 部署リスクマネージャー 看護師 4 名 医療対話推進者 看護師 1 名 患者相談業務 事務職 2 名 感染管理認定看護師 看護師 2 名 4 1 年間の総括インシデント報告総数は前年度比 +35 件 約 2% 増となった 病床数の約 6 倍の報告数であり 目標の 5 倍はクリアできているが 外部からはまだ少なく 特に医師の報告数が少ないとの指摘を受けた そのため 7 月以降オカレンス項目を設定し 医師へのレポート提出を促進した結果 少しずつではあるが増加傾向を示した その結果 医師の報告割合は 8% となり年度当初の目標 7% を上回ることができたが 今後は 1% を目標として更なる医師の医療安全意識の醸成を強化する必要がある 転倒 転落の事故レベル 2 3 の事例が昨年度より減少している 患者数が少ないことに起因するものかと予想したが 転倒率を計算すると 1.852 で やはり昨年度 2.25 より低下している 日本病院会で発表している転倒率 2.52 と比べると 低く抑えられている事が分かる 転倒 転落はゼロにすることは困難であるが 高齢者においては時間をおいて骨折が判明することもあり 転倒 転落後の痛みや四肢の運動状況の観察は継続的に行い アセスメントすることが重要である 平成 27 年度は医療安全管理体制の見直しを求められた 1 年であった これをチャンスととらえ 今後も職員全体で取り組む医療安全管理のガバナンスを強固なものにしていきたい 感染管理に関しては 薬剤耐性菌における水平伝播は発生しなかった 標準予防策の実施率は 3 回のラウンドによるチェックを通して NICU をはじめとした小児 周産期病棟ではほぼ 1% と高い水準で行われるようになった 院内全体の推移をみても 徐々に実施率が上がっており 標準予防策の重要性が周知されたことがうかがえた 手指衛生剤の使用状況については 部署により大きく差がでた その明らかな要因は不明であるが 今後は 病院職員全体を巻き込んだ手指衛生剤使用の必要性を周知し 院内感染の予防に努めなければならない 5 今後の目標医療安全室は 患者さんの安全を守り 患者さんと医療者がともに安心して治療やケアに専念できる環境づくりを推進していかなければならない 医療安全室のメンバーは皆それぞれ医療安全 感染対策を向上させるための担い手として その役割に責任を持ち 全ての職員が良きパートナーとなるためのチーム作りに貢献していきたいと願っている