密接な関連性を持つ AF と心不全 筒井 AF は心不全の主要な合併症の 1 つであり, わ が国では心不全患者の約 40% が AF を合併していると みられています 1) AF は心不全の発症 増悪の危険 因子 2), 心不全は AF 発症の危険因子 2, 3) として両者は 密接に関連し合って

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2015年4月23日 特別企画 提供 ブリストル マイヤーズ株式会社 座談会 心不全合併心房細動患者に 対する抗凝固療法 アピキサバンへの期待 心房細動 AF は心不全の原因疾患の1つであり 心不全の重症度が高くなるほど AF の合併 率は上昇する また AF と心不全はいずれも心原性脳塞栓症の危険因子であり 両者が合併す るとリスクはさらに高まるため 抗凝固療法の適用が重要となる 抗凝固療法には従来 ワルファリンが用いられてきたが 近年 FⅩa阻害薬アピキサバン エ リキュース などの経口抗凝固薬が登場し 薬剤選択の在り方が大きく変化した アピキサバ ンはリスクの高い高齢者 腎機能低下例 低体重例をはじめ 幅広い患者層への投与が可能で あり 大きな期待が寄せられている そこで 本座談会では日常診療で心不全治療に携わる5 氏に 心不全合併 AF 患者の心原性脳塞栓症発症抑制を目的とした抗凝固療法における アピキ サバンを中心とした新規経口抗凝固薬の役割について討議していただいた 司会 出席者 発言順 筒井 裕之 氏 鈴木 均 氏 竹石 恭知 氏 北海道大学大学院 循環病態内科学 教授 福島県立医科大学 不整脈先端治療学 循環器 血液内科学講座 准教授 福島県立医科大学 循環器 血液内科学講座 主任教授 福島県立医科大学病院 副病院長 渡邊 博之 氏 下重 晋也 氏 秋田大学 内科学講座 循環器内科学分野 呼吸器内科学分野 准教授 札幌医科大学 循環器 腎臓 代謝内分泌内科学講座 助教

密接な関連性を持つ AF と心不全 筒井 AF は心不全の主要な合併症の 1 つであり, わ が国では心不全患者の約 40% が AF を合併していると みられています 1) AF は心不全の発症 増悪の危険 因子 2), 心不全は AF 発症の危険因子 2, 3) として両者は 密接に関連し合っており, AF begets heart failure, and heart failure begets AF 2) という悪循環はよく知 られています 本日は心不全合併 AF 患者に対する抗凝固療法の 臨床的有用性について, 経口抗凝固薬, 特にアピキ サバンを中心に討議してまいります 最初に, 鈴木先 生に心原性脳塞栓症の疫学, 病態および治療の現状 についてご解説いただきます 鈴木 AF の有病率は男性で高く, 加齢に伴って上昇 し,2030 年にはわが国の AF 患者数は 100 万人に達す ると推定されています 4) AF 発症の危険因子として は, 加齢, 心疾患, 糖尿病, 高血圧などが知られて いますが 3), 最近では飲酒, 肥満, ストレス, 睡眠障 害などの関与も疑われています AF が引き金となる心原性脳塞栓症は, 脳卒中によ る死亡の約 30% を占め 5), 梗塞が広範囲に及び, 機能 予後が悪く死亡率も高いことから 6), その増加が懸念 されています 心原性脳塞栓症の死亡率低下が実現 しない原因の 1 つに抗凝固療法が不十分であることが 挙げられ,AF 患者に対する抗血栓療法の実態を調べ た伏見心房細動患者登録研究 (Fushimi AF Registry) では, 未治療例, アスピリン単独投与例が多く, ワル ファリン投与は登録患者の 48.5% にとどまったと報告 されています 7) 抗凝固療法の実施がためらわれる背 景には, ワルファリン治療におけるプロトロンビン時 間国際標準比 (PT-INR) のコントロールが困難である 点がありました 一方, 近年相次いで登場した新規経 口抗凝固薬は半減期が短く薬物相互作用が少ないな どの利点を有しており, 心房細動治療 ( 薬物 ) ガイド ライン (2013 年改訂版 ) では,CHADS 2 スコア 1 点では アピキサバンとダビガトラン,2 点以上では新規経口 抗凝固薬 4 剤とワルファリンが推奨され, 同等レベ ルの適応がある場合, 新規経口凝固薬がワルファリン よりも望ましい と記載されています 筒井 アピキサバンが話題に上ったところで, 同薬 の国際共同第 Ⅲ 相臨床試験であるアリストテレス試 験の結果についてご解説いただけますか 鈴木 年齢, 体重,CHADS 2 スコアにかかわらず示されたアピキサバンの有用性 本試験は, 脳卒中危険因子を 1 つ以上有する 非弁膜症性 AF 患者約 1 万 8,000 例を対象とし, アピキ サバンとワルファリンの有効性と安全性について比較 検討したランダム化二重盲検試験です 有効性, 安 全性の主要評価項目である脳卒中および全身性塞栓 症の発症率と大出血の発現率は, 前者がワルファリ ン群 1.60%/ 年に対しアピキサバン群 1.27%/ 年 ( ハザー ド比 0.79:P=0.01,Cox 比例ハザードモデル ), 後者 がワルファリン群 3.09%/ 年に対しアピキサバン群 2.13%/ 年 ( ハザード比 0.69:P<0.001, 同 ) であり, ワ ルファリンに対するアピキサバンの優越性が認められ ました また全死亡は, ワルファリン群 3.94%/ 年に対 しアピキサバン群 3.52%/ 年 ( ハザード比 0.89:P= 0.047, 同 ) と, 有意に低率でした さらに同試験のサ ブグループ解析では, 脳卒中および全身性塞栓症の 発症率, 大出血の発現率について,75 歳以上の高齢 者や体重 60kg 未満, 腎機能低下例でもアピキサバン の有用性が示されました 8) わが国は 65 歳以上が人口 の約 4 分の 1 を占める超高齢社会になっていますが 9), 高齢者では体重が減少し腎機能低下例も多くなるた め ( 表 1), 同試験の結果は非常に重要です 筒井アリストテレス試験では,CHADS 2 スコア別の 検討も行われています 本日は特に心不全合併 AF 患 者における治療という見地から, 竹石先生にご説明 いただきます 2

竹石 心不全の発症率は年齢とともに上昇するため ( 図 1), 高齢化が進むわが国では高齢者における心 3 AF もその 1 つの要素です 心不全を合併した AF 症例は CHADS 2 スコア 1 点以 不全例の増加が問題になります 実臨床では, 加齢による心血管系の生理的変化だけでなく, 心不全の病態や基礎疾患の重症度, 多臓器障害の病理変化も考慮して高齢者の心不全治療に当たるべきであり, 上であり, 心房細動治療( 薬物 ) ガイドライン (2013 年改訂版 ) に基づき抗凝固療法の対象となります CHADS 2,CHA 2 DS 2 -VASc スコアの点数増加に応じて塞栓症リスクは上昇しますが, 心不全患者は高齢 であることが多く高血圧, 糖尿病などの 合併率も高いため, これらのスコアは高 値になりがちです アリストテレス試験 のCHADS 2,CHA 2 DS 2 -VASc,HAS- BLEDスコア別のサブグループ解析で は, 脳卒中および全身性塞栓症の発症 についてはCHADS 2,HAS-BLED の各 スコアにおいて, 大出血の発現について は3つの指標の各スコアにおいて, アピ キサバン群でワルファリン群に比べて低 下傾向が認められました 10) さらに, 抗 不整脈薬アミオダロンの影響について調 べた最近のサブグループ解析では, アミ オダロン投与の有無にかかわらず, アピ キサバン群で脳卒中および全身性塞栓 症, 死亡, 大出血などのリスク がワルファリン群より低い傾向 が示され ( 図 2), アピキサバン が複数の塞栓症リスクを持つ 症例や心室性不整脈を有する 症例など, 幅広い患者層で有 用である可能性が示唆されま した 心房内血栓の検出には 心エコー検査が有用 筒井 続いて渡邊先生から, 画像診断を通じた心不全合併 AF 患者における塞栓症リスク の評価について解説していた だきます 渡邊 AF により形成される心 内血栓の検出において, 臨床 上最も優れた手段は経食道心 エコー検査であり, 心内血栓 の発達段階として, モヤモヤ エコー, 血泥, 血栓の3つの

形態の観察が可能です AF 患者に対する心エコー の評価項目には, 心内血栓の描出の他にも, 左房拡 大, 弁膜症, 左室拡大の有無や心収縮能の評価が 挙げられます CHADS 2 スコア上昇に伴いモヤモヤ エコーや血泥 / 血栓の検出率は高くなりますが 11), 同 スコアに左房面積 収縮能などの経胸壁エコーパラ メータを加味すると予測精度はさらに向上します 12) 最近では CHADS 2 スコア 0,1 点の患者でも 3D CT/ MRI による左心耳形態の観察を通じた脳卒中 / 一過 性脳虚血発作リスク評価の検討が行われており 13), 今後の発展が期待されています CHADS 2 スコア低 値の AF 患者に対する抗凝固療法の適応を見極める 上で画像診断の精度を高めることに加え, 自覚症状, 身体所見, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP) や BNP 前駆体 N 端フラグメント (NT-Pro BNP) 測定な どの複数の評価手段を併用することは, 臨床上意義 がある試みと考えています 下重 NT-Pro BNP の血中濃度別に 4 群に分けて検 討したアリストテレス試験のサブグループ解析では, 高値群ほど脳卒中および全身性塞栓症リスクが高い ことが分かっています ( 図 3) NT-Pro BNP を評価に 加えることで, 塞栓症リスクの詳細な層別化が可能 になると期待されます 筒井 それでは, アリストテレス試験の心機能別サ ブグループ解析の結果について, 下重先生にご紹介 いただきます 下重 心機能を問わず有効性と安全性が認められたアピキサバンは心不全合併 AF 患者にも有用 本解析では, 対象を心機能別に左心室収縮機 能障害 (LVSD)2,736 例, 駆出率が維持された心不全 (HFpEF)3,207 例,LVSD なし / 心不全なし 8,728 例の 3 群に分けて有効性, 安全性について検討していま す 解析の結果,LVSD なし / 心不全なし群を 1 とし たときの全死亡のハザード比は LVSD 群 2.96,HFpEF 群 1.81 で有意に高値でしたが (P<0.0001,Cox 比例ハ ザードモデル ), 脳卒中および全身性塞栓症や脳卒中 の発症率について 3 群間に有意差はありませんでし た 治療薬の比較では, 脳卒中および全身性塞栓症 について LVSD 群,LVSD なし / 心不全なし群におい てワルファリン投与に比べアピキサバン投与でハザー ド比が低く ( 表 2), 大出血についても H F p E F 群, LVSD なし / 心不全なし群においてワルファリン投与 ( 各 3.17,2.83) に比べアピキサバン投与 ( 各 1.95,2.17) でハザード比が低い結果が得られ, 心不全の有無を 問わないアピキサバンの有効性と安全性が認められ ました 14) 筒井 アピキサバンは心不全の特徴である不安定性の影響を受けにくい 抗凝固療法を実施する際の注意点や 新規経口抗凝固薬投与に適した患者像につ いて, 先生方のご経験やご意見をお聞かせ ください 竹石心不全患者では病態が急に変化した り, 腎機能や肝機能の低下を合併する場合 も多く, 抗凝固療法実施時はそのことを念 頭に置いて治療に当たっています アピキ サバンは, 腎機能の影響を受けにくく, 使 いやすい印象を持っています また, 多数 の薬剤を服用していることも多いので, 薬 物相互作用が少ないことは新規経口抗凝固 薬の大きな利点です 渡邊心不全合併 AF 患者へのワルファリン 投与では, 投与期間を通じ 1 回でも大幅な PT-INR の上昇があると, その後 2.0 を下回っ 2015 年 4 月 23 日 4

2015 年 4 月 23 日 ても出血を懸念して増量しにくい事情があります そうした場合は新規経口抗凝固薬への切り替えを検討します 鈴木アピキサバンは新規経口抗凝固薬の中でも腎排泄率が低いため腎機能の影響を受けにくく, 腎機能が低下した心不全患者に使いやすい印象があります 1 日 2 回投与で薬剤の血中濃度のピーク値とトラフ値の幅が狭くなるので, 塞栓症の抑制と大出血発現のリスクのバランスを取りやすいことも, 同薬の利点だと思います 下重心不全にはさまざまな病態があり, また多数の基礎疾患を抱えていることが多いため, それらによる不安定性が内在し, 腎機能や肝機能にも影響が及んでいます 心機能別のサブグループ解析の結果を見ると, アピキサバンはこうした不安定性の影響を受けにくく, 心不全を合併した AF 患者の治療に適しているように感じています 鈴木最後に東北地方の現状について触れますと, 人口 10 万人当たりの脳血管疾患死亡数は男性 65.2 人以上, 女性 37.8 人以上で全国平均 ( 男性 61.9 人, 女性 36.1 人 ) を上回っています 15) 食塩摂取量が多いなどの理由で心不全のコントロールが悪いことが死亡数に影響している可能性があり,AF 患者に対する抗凝 固療法の実施を推し進めるとともに生活習慣に対す る患者の啓発も必要です 筒井アリストテレス試験のサブグループ解析にて 腎機能, 心機能を問わない有効性と安全性が認めら れたことは重要です 心腎連関や肝機能, 併用薬と の相互作用を考慮して新規経口抗凝固薬を治療選択 肢に入れることで, 心不全合併 AF 患者に対する治療 が undertreatment に陥ることなく大きな進歩を遂げ ることを期待して, 討論を終えたいと思います 本日 はありがとうございました 1)Tsutsui H, et al. Circ J 2007; 71: 449-454. 2)Maisel WH, et al. Am J Cardiol 2003; 91: 2D-8D. 3)Benjamin EJ, et al. JAMA 1994; 271: 840-844. 4)Inoue H, et al. Int J Cardiol 2009; 137: 102-107. 5) 荒木信夫, 他. 脳卒中データバンク, 中山書店, 2004, pp22-23. 6) 奥村謙, 他. Jpn J Electrocardiology 2011; 31: 292-296. 7)Akao M, et al. J Cardiol 2013; 61: 260-266. 8)Granger CB, et al. N Engl J Med 2011; 365: 981-992. 9) 総務省統計局. 人口推計 平成 25 年 10 月報, 2013 年 10 月 21 日. 10)Lopes RD, et al. Lancet 2012; 380: 1749-1758. 11)Puwanant S, et al. J Am Coll Cardiol 2009; 54: 2032-2039. 12)Providência R, et al. Europace 2012; 14: 36-45. 13)Di Biase L, et al. J Am Coll Cardiol 2012; 60: 531-538. 14)McMurray JJ, et al. Circ Heart Fail 2013; 6: 451-460. 1 5 ) 厚生労働省. 都道府県別にみた死亡の状況 平成 17 年都道府県別年齢調整死亡率. 人口動態統計特殊報告, 2007. 本特別企画はブリストル マイヤーズ株式会社の提供です 5

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