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○福岡県警察交通管制要綱の制定について(通達)

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山地部 6,000 第 4 級 平地部 8,000 山地部 6,000 第 1 級 12,000 第 4 種 第 2 級 10,000 第 3 級 9,000 交差点の多い第 4 種の道路については, この表の設計基準交通量に 0.8を乗じた値を設計基準交通量とする 3 前項に規定する道路以外の道路

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(2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており かつ 区域外の相当規模の道路と接続していること (3) 区域内の排水路その他の排水施設が その区域内の下水を有効に排出するとともに その排出によって区域及びそ

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Ⅳ 騒音・振動の状況

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額をいう 以下この項において同じ )が 当該徴収期間の満了の日までに必要となる当該公社管理道路に係る第四項各号に掲げる費用の額の合計額から当該徴収期間の満了の日までに得ることとなる当該公社管理道路に係る第三項に規定する収入の額の合計額に相当する額を控除した額を超えない額とすること 二公社管理道路のう

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3 市長は 第 1 項の規定により指定した土地の区域を変更し 又は廃止しようとするときは あらかじめ久喜市都市計画審議会 ( 以下 審議会 という ) の意見を聴くものとする 4 第 1 項及び第 2 項の規定は 第 1 項の規定により指定した土地の区域の変更又は廃止について準用する ( 環境の保全

バリアフリー化に対応した歩道の構造基準『歩道における段差及び勾配等に関する基準』

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が適正に整備されていない状況がみられた これらの河川事務所等は その主な理由について 都道府県に対し 河川法施行令第 5 条に規定する河川現況台帳の記載事項 ( 主要な河川管理施設の概要等 ) が変更される場合は資料を提供するよう依頼しているが 都道府県から主要な河川管理施設の概要に係る資料が提供さ

及びその周辺の地域における自然的条件 建築物の建築その他の土地利用の状況等を勘案し 集落の一体性を確保するために特に必要と認められるときは この限りでない (2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており か

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藤沢市地区計画運用基準 施行平成 30 年 4 月 1 日 る 本運用基準は, 地区計画の届出に際しての審査の画一化及び円滑化を図るため, 必要な事項を定め 項目第 1 建築物等の用途の制限に関する事項第 2 建築物の容積率の最高限度に関する事項第 3 建築物の建蔽率の最高限度に関する事項第 4 建

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1-1 交通死亡事故全体の推移 10 年前と比較し の死者は 40.7% 65 歳以上の死者は 24.0% それぞれ減少 死者に占める 65 歳以上の割合は 24 年以降増加 27 年中死者の半数以上 (54.6%) を 65 歳以上が占める 10 年前と比較し 人口当たり死者数は 65 歳以上のい

資料 2 主要渋滞箇所 ( 案 ) の抽出方針について ( 一般道 ) 平成 24 年 8 月 9 日

( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

別紙 1 地方税法第 314 条の 7 第 1 項第 4 号に掲げる寄附金を受け入れる 特定非営利活動法人を指定するための基準 手続等に関する条例 新旧対照表 改正案 ( 欠格事由 ) 第 6 条第 4 条第 1 項の規定にかかわらず 市長は 次のいずれかに該当する特定非営利活動法人について 指定の

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東京都市計画高度地区変更(練馬区決定) 【原案(案)】

(頭紙)公布通知

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事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

資料 -2 国道 24 号烏丸通 歩行者 自転車通行安全協議会 国道 24 号烏丸通の概要 平成 30 年 3 月 国土交通省近畿地方整備局京都国道事務所

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資料 8 自動車の走行速度と道路の設計速度 最高速度規制との関係 1 道路の設計速度 (1) 設計速度の定義等設計速度については 道路構造令 ( 昭和 45 年政令第 320 号 以下 構造令 という ) 第 2 条第 22 号において 道路の設計の基礎とする自動車の速度をいう と規定されている すなわち 道路の幾何構造を検討し決定するための基本となる速度 であり 曲線半径 片勾配 視距のような線形要素と直接的な関係をもつほか 車線 路肩等の幅員を決定する直接の要因である道路の区分の考え方のもとにも 設計速度の概念が導入されており 幅員要素とも間接的な関係が保たれているとされている 1 (2) 設計速度と走行速度との関係設計速度は 天候が良好でかつ交通密度が低く 車両の走行条件が道路の構造的な条件のみに支配されている場合に 平均的な運転者が安全にしかも快適性を失わずに走行できる速度である とされている したがって 例えば設計速度が 80km/h の道路では 交通密度が小さければ普通の運転者は 少なくとも 80km/h の速度で 安全にしかも快適に走行することができる しかし 道路の幾何構造の要素は自動車の走行安全性に対しては余裕をもたせており 線形等の条件が良ければ 80km/h を超える速度で安全に走行することも可能である 一般道路においては 運転者は 道路線形等の幾何構造のほか 交差点等の状況 駐車車両や沿道との出入りの状況 歩行者等の存在や自動車の混み具合といった交通の状況 最高速度の制限等の交通規制の状況などに応じて適宜走行速度を選択している このように実際の走行速度は 交通等の諸要因の影響を受けるので一律に規定することができないため 道路を設計する場合には 幾何構造を決定するための統一尺度として設計速度を設定している とされている 2 (3) 道路の区分に応じた設計速度構造令第 13 条においては 設計速度は表 1( 原則として左欄の値 ) のように道路区分ごとに定められている さらに 設計速度に応じて 曲線半径 片勾配 視距など 道路の幾何構造の限界値が定められている 3 表 1のとおり 自動車専用道路の設計速度はわが国の地形的条件および 1

土地利用等を考慮して 60~120km/h といった値を採用し 一般道路の設 計速度については 一般に出入り制限を伴わない交通制御を行うことが前 提となるので その最高値は 80km/h としている 60km/h 以下については 走行速度が線形等の道路の幾何構造に影響される要素が大きいので 範囲 をもたせて規定しており 道路の機能および設計区間を考慮しつつ適切な 設計速度を選定することが大切である とされている 4 表 1 種級別の設計速度 区分 設計速度 ( 単位 :km/h) 第 1 種 第 1 級 120 100 第 2 級 100 80 第 3 級 80 60 第 4 級 60 50 第 2 種 第 1 級 80 60 第 2 級 60 50 または 40 第 3 種 第 1 級 80 60 第 2 級 60 50 または 40 第 3 級 60 50 または 40 30 第 4 級 50 40 または 30 20 第 5 級 40 30 または 20 第 4 種 第 1 級 60 50 または 40 第 2 級 60 50 または 40 30 第 3 級 50 40 または 30 20 第 4 級 40 30 または 20 注 ) 地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない ときは 上記表の設計速度の欄の右欄の値を用いても よい ( ただし 第 1 種第 4 級の高速自動車国道は除く ) (4) 設計区間設計区間とは 道路の存する地域および地形の状況ならびに計画交通量に応じ 同一の設計基準を用いるべき区間であり 同一の道路区分を適用する区間である 短区間ごとに設計区間を変えたり あるいは運転者が予期しない場所で設計区間の変更を行うことは 運転者を混乱させ 交通の安全上も好ましくない また快適性も損ねることになるため 1つの設計区間はできるだけ長いことが望ましい とされている 5 1つの設計区間長について 経験上 最小の設計区間長のおおむねの指針は 表 2のとおりと考えられるとされている 6 2

表 2 設計区間長のおおむねの指針道路の区分標準的な最小区間長第 1 種 第 3 種第 1 30~20km 級 第 3 種第 2 級第 2 種 第 3 種第 3 15~10km 級 第 3 種第 4 級第 4 種主な交差点の間隔 やむを得ない場合の最小区間長 5km 2km (5) 我が国の道路実延長等平成 19 年 4 月 1 日現在の我が国の道路実延長は 次のとおりとされている 7 高速自動車国道 7,431.2km 一般国道小計 54,530.4km 都道府県道小計 129,328.9km 市町村道計 1,009,599.4km 合計 1,200,889.9km 都道府県道には 主要市道を含む このうち高速道路について 平成 14 年 4 月 1 日時点における開通区間の設計速度と規制速度 (2の最高速度規制により定められる速度をいう 以下本項において同じ ) との関係については 表 3のとおりとされている 8 表 3によれば 高速道路の設計速度は 60km/h から 120km/h までの4 区分とされている 設計速度が 120km/h とされている区間は 691km であり そのうち 673km で規制速度が 100km/h となっている また 設計速度が 80km/h の区間のうち 50km 60km/h の区間のうち5 km については 設計速度が規制速度を下回っている なお 一般国道 都道府県道及び市町村道を合わせた一般道路の実延長の合計は 1,193,458.7km となる その設計速度の内訳については明らかではないが 道路構造等を踏まえ 設計速度の考え方及び表 1 並びに設計区間長の考え方及び表 2に基づき それぞれ設計速度が定められている 3

表 3 開通区間の設計速度及び規制速度 ( 平成 14 年 4 月 1 日時点 ) ( 単位 :km) 規制速度 (km/h) 4 車線以上暫定 2 車線合計 100 80 70 60 40 小計 80 70 60 小計設 120 673 15 0 3 0 691 0 0 0 0 691 計 100 1,955 56 11 0 0 2,022 30 439 0 469 2,491 速 80 50 2,453 94 4 0 2,601 56 1,045 10 1,111 3,712 度 60 0 5 0 56 2 63 0 0 2 2 65 合計 2,678 2,529 105 63 2 5,377 86 1,484 12 1,582 6,959 (5) まとめ以上のとおり 設計速度は 道路の幾何構造を検討し決定するための基本となる速度 であり それぞれ道路の区分に応じて設計速度の基準が定められている また 設計速度は 運転者の安全性及び快適性を損なわないようにするため一定の設計区間長をもって設計されている 平成 14 年 4 月 1 日時点の高速道路における設計速度と規制速度の関係をみると おおむね一致しているが 一部規制速度が設計速度を上回っているところや下回っているところもある また 一般道路における設計速度と規制速度との関係については不明であるが 設計速度 60km/h 以下については 走行速度が線形等の道路の幾何構造に影響される要素が大きいので 範囲をもたせて規定しており 道路の機能及び設計区間を考慮しつつ適切な設計速度を選定することが大切であるとされている 2 最高速度規制 (1) 意義都道府県公安委員会は 道路における危険を防止し その他交通の安全と円滑を図り 又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは 政令で定めるところにより 信号機又は道路標識等を設置し 及び管理して 交通整理 歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができることとされている ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 以下 法 という ) 第 4 条第 1 項 ) また 車両は 道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならないこととされている ( 法第 22 条第 1 項 ) 4

(2) 最高速度規制の種別ア法定速度法第 22 条第 1 項に規定する 政令で定める最高速度 については いわゆる法定速度といわれている 道路交通法施行令 ( 昭和 35 年政令第 270 号 以下 令 という ) 第 11 条において 高速自動車国道の本線車道以外の道路を通行する場合の最高速度について 次のとおり規定されている 1 自動車 60km/h 2 原動機付自転車 30km/h また 令第 27 条において 高速自動車国道の本線車道を通行する場合の最高速度について 次のとおり規定されている 3 大型乗用自動車 中型乗用自動車 一定の中型貨物自動車及び普通自動車 100km/h 4 3 以外の自動車 80km/h イ都道府県公安委員会による最高速度規制法第 4 条第 1 項及び第 22 条第 1 項の規定により 都道府県公安委員会は最高速度に関する交通規制を実施している (3) 最高速度規制の状況及び決定要因等ア一般道路一般道路 ( 平成 18 年度末現在 ) における主な最高速度規制の状況は 表 4のとおりである 9 一般道路における現在の規制速度の決定手法は 地域性 道路構造 沿道状況から標準規制速度を算出 ( 以下 標準規制速度の算出 という ) する 次に 標準規制速度の算出要素以外の実勢速度 視野の広さ 歩行者数等の交通状況 小学校 高齢者施設等の立地条件 交通事故 公害等の発生状況 規制すべき区間の前後の規制速度との関連性 地域住民の要望等を総合的に勘案して 規制速度を決定しているとされている また 生活道路 ( 市町村が管理する道路であって 主として地域住民の日常生活における交通に利用されているものをいう ) における交通事故の発生状況は 歩行者 自転車利用者の死者の約 5 割は自宅から 500m 以下の距離 つまり自身の生活圏内で交通事故に遭っている また 道路種類別交通事故件数の割合をみると 全事故件数のうち 一般市町村道で発生した件数は 46% と他の種類の道路に比べ発生件数が多い 生活道路の安全対策等のため 最高速度 30km/h の区域規制が全国 727 箇所 5

7,327.4km( 平成 18 年度末現在 ) で実施されているとしている 10 表 4 一般道路における主な最高速度規制の状況 ( 平成 18 年度末 ) 区間等延長 (km) 区間30km/h 未満 14,299 5,584.0 80km/h 42 276.6 70km/h 70 429.7 60km/h 264 1,004.2 50km/h 20,242 57,227.2 40km/h 61,141 97,481.8 30km/h 80,081 59,075.3 小計 176,139 221,078.8 区間可変 347 718.7 40km/h 92 28,469.6 30km/h 727 7,327.4 区域20km/h 121 1,192.2 小計 940 36,989.2 合計 177,419 258,779.4 イ高速道路高速道路 ( 平成 18 年 12 月 31 日現在 ) における最高速度規制の状況は 表 5のとおりである 11 現行の高速自動車国道及び自動車専用道路の規制速度の決定手法は 設計速度を基準として 車線数やトンネル等の道路構造 交通量等の交通環境 安全施設の整備状況 交通事故発生状況などを勘案して決定されているとしている その上で 例えば 高速自動車国道の規制速度と設計速度の現状は 以下のとおりである 120km/h 設計速度の完全分離区間では 97% 100km/h 設計速度の完全分離区間では 88% が法定速度の 100km/h 規制となっている また 80km/h 設計速度の完全分離区間においては 91% が設計速度どおりの 80km/h 規制となっている また 自動車専用道路の規制速度と設計速度の現状は 設計速度が 100km/h 設計の完全分離区間においては 55% が 80km/h の完全分離区間においては 60% 60km/h 設計速度の完全分離区間では 84% が それぞれ設計速度どおりに指定されている 12 6

表 5 高速道路における最高速度規制の状況 ( 平成 18 年 12 月 31 日現在 ) 高速自動車国道 指定自動車専用道路 合 計 法定 (100km/h) 256 5,697.6 256 5,697.6 256 5,697.6 80km/h 549 7,216.4 549 7,216.4 549 7,216.4 70km/h 366 4,606.8 366 4,606.8 366 4,606.8 60km/h 459 1,575.7 459 1,575.7 459 1,575.7 50km/h 257 250.2 257 250.2 257 250.2 40km/h 315 160.1 315 160.1 315 160.1 計 2,202 19,506.8 2,202 19,506.8 2,202 19,506.8 : 区間等及び延長は 上下線の両方向の合計数を示す 他方 平成 19 年度調査研究において収集した高速道路株式会社の管理するトラフィックカウンターのデータについて 設計速度別に集計を行った結果 実勢速度 (85 パーセンタイル速度 ) は 設計速度に関わらずほぼ 100km/h~120km/h の範囲で推移していることが確認された ( 図 1) また 80km/h 規制区間 ( 破線部 ) においては 100km/h 規制区間とほぼ同等の速度となっており 規制速度との大きな乖離が認められた としている 13 図 1 高速道路等の実勢速度 ( 設計速度別 ) しかしながら 高速自動車国道の最高速度の上限に関し 構造適合速 14 度では 100km/h を上回る 120km/h が算出可能となるが 次のことから 最高速度 100km/h を引き上げるには 更なる検証が必要であり 直ちに引き上げられる状況にはないとしている 15 規制速度が 100km/h を上回ると 事故率が増加するとの報告がある 事故発生時の危険認知速度が上昇するにつれて 事故の重大性が増加している 速度差が 40km/h を超えると事故発生確率が上昇するとの報告がある 7

大型貨物車の最高速度は 80km/h に規制 ( スピードリミッター H15 年 9 月から義務化 ) されており 120km/h に対し 40m/h の速度差となる 平成 18 年度に実施した高速道路の規制速度に対する利用者の意識調査結果では 約 7 割の利用者が 現在の最高速度 100km/h について 今のままでよい と考えている (4) まとめ車両の最高速度は 法第 22 条第 1 項の規定により 令に規定する法定速度又は都道府県公安委員会が法第 4 条第 1 項の規定により指定する最高速度規制により定められることとなる また 都道府県公安委員会が指定する最高速度規制については 設計速度を始めとする様々な要因を勘案するなどして定めることとされている しかしながら 高速道路の実勢速度については設計速度や規制速度とは異なっていることや 現在の最高速度の上限を 100km/h よりも引き上げられる状況にないとしていること また 一般道路においても 特に生活道路では 歩行者 自転車利用者の死者の約 5 割は自宅から 500m 以下の距離 つまり自身の生活圏内で交通事故に遭っていることに鑑みると 設計速度よりも最高速度規制の方が 最高速度違反による交通事故対策の点から重要性が高いと考えられる ( 参考文献 ) 1 道路構造令の解説と運用( 改訂版 ) ( 社団法人日本道路協会編集 発行平成 16 年 2 月改訂 ) P 144~145 2 道路構造令の解説と運用( 改訂版 ) ( 前掲 ) P 145 3 道路交通技術必携 ( 社団法人交通工学研究会編集平成 16 年 7 月初版 ) P 75 4 道路構造令の解説と運用( 改訂版 ) ( 前掲 ) P 145~146 5 道路交通技術必携 ( 前掲 ) P 76 6 道路構造令の解説と運用( 改訂版 ) ( 前掲 ) P 147( 図 2を含む なお 表の番号については 引用に伴い修正した ) 7 交通統計平成 20 年版 ( 警察庁交通局 ) P 172 を基に作成 8 道路関係四公団民営化推進委員会第 47 回資料 5 第二東名 (140km/h) 問題に対する説明 ( 国土交通省 ) ( 平成 15 年 9 月 16 日開催 ) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/road/dai47/47siryou5.pdf 9 交通統計平成 20 年版 ( 前掲 ) P 154 を基に作成 10 平成 18 年度規制速度決定の在り方に関する調査研究報告書 ( 平成 19 年 2 月規制 8

速度決定の在り方に関する調査研究検討委員会 ( 警察庁委託 )) P25 及びP 27 ただし 生活道路等における最高速度 30km/h の区域規制については 平成 18 年度末現在の状況を記載 11 交通統計平成 18 年版 ( 警察庁交通局 ) P 205 を基に作成 12 平成 18 年度規制速度決定の在り方に関する調査研究報告書 ( 前掲 ) P 25~26 13 平成 20 年度規制速度決定の在り方に関する調査研究報告書 ( 平成 21 年 3 月規制速度決定の在り方に関する調査研究検討委員会 ( 警察庁委託 )) P29( 図 1を含む なお 図の番号については 引用に伴い修正した ) 14 構造適合速度 については ( 平成 20 年度規制速度決定の在り方に関する調査研究報告書 ( 前掲 ) P 39) において 高速道路における走行速度は 道路構造に大きな影響を受ける ことに鑑み その走行速度に影響を及ぼす道路構造の主要な要素から導かれた速度をいうものとし 曲線半径 片勾配 視距 合成勾配 縦断勾配 車線幅員 路肩幅員の各要素における構造令の既定値から設計速度の値を逆引きして抽出する こととされている 15 平成 20 年度規制速度決定の在り方に関する調査研究報告書 ( 前掲 ) P 41 9