104 佐藤淳也 茂庭美希 藤澤晨 工藤賢三 図 1 モーズペースト ( 基本組成 ) 調製後の性状変化.A: 調製 15 分後,B: 調製 120 分後,C: 調製 180 分後. 表 1 亜鉛華デンプン, グリセリン量変更 (A) および基剤変更 (B) の組成 A: 亜鉛華デンプンおよびグリセ

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日本緩和医療薬学雑誌 (Jpn. J. Pharm. Palliat. Care Sci.)8 : 103 _ 109(2015) 103 [ 原著論文 ] モーズペーストの利便性改善に向けた研究 ~ 基剤変更が粘性に及ぼす影響 ~ 佐藤淳也, *2 茂庭美希 藤澤 晨 工藤賢三, *2 岩手医科大学薬学部臨床薬剤学講座 *2 岩手医科大学附属病院薬剤部 (2015 年 5 月 15 日受理 ) [ 要旨 ] モーズペーストは, 表在性腫瘍の縮小や止血および滲出液制御を目的とした院内製剤である. しかし, 経時的にその粘性は高くなり, 適用皮膚の状態に応じて調節する必要がある. そこで, 粘性変化が少なく, 利便性の改良を目的に, 組成や基剤の変更を検討した. 基本組成は, 塩化亜鉛 30 g を蒸留水 25 ml で溶解した水溶液に亜鉛華デンプン 27.5 g を混合し, グリセリン 20 ml で粘度を調整した. これに対して, 亜鉛華デンプンを 1/2,1/3, 1/4 倍量およびグリセリンを 1.5,2 倍量に変更した製剤, および亜鉛華デンプンのかわりにマクロゴール軟膏, 親水軟膏, 亜鉛華軟膏, 吸水軟膏, プラチベースを使用した製剤を作製し, スプレッドメーターを用いた展延性を 7 日間にわたり測定した. その結果, 基剤を親水軟膏に変更することにより経時的な粘性変化を防ぎ, 利便性を向上させることが可能であると思われた. キーワード : モーズペースト, 利便性, 粘性, 基剤変更, スプレッドメーター 緒 モーズペーストは, 主成分の塩化亜鉛がタンパク質を変 性 収斂させる作用を利用して, 表在性腫瘍の変性壊死お よび壊死組織を固定乾燥させ, これをデブリードメントす ることにより腫瘍の根治を目指す製剤である. しかし, 本 邦では, モーズ (Mohs) により研究開発された原法で使 用した原料の入手困難などの問題から, 亜鉛華デンプンを 基剤とし, グリセリンにより粘性を調整した製剤が開発さ れている 1). また, 用途についても, 皮膚に表出した腫瘍 からの滲出液や出血の制御, 悪臭の軽減といった緩和的用 途に使用されることが多い. しかし, モーズペーストは, 調製直後から粘性が高く, 餅様の製剤は患部への塗布性が 悪い. さらに, 経時的に硬化するため, 塗布直前に調製す る必要がある ( 図 1). 一般に, モーズペーストの効果は, 塗布の厚さと濃度, 塗布時間に左右される 2). したがって, やや厚めに, かつ均一に塗布する必要がある. 一方で, 正 常皮膚への付着は炎症を生じるため, 隆起病変には硬め に, 陥没病変には軟らかめに製剤を調製するなど, 適用皮 膚の状態に応じて粘性を調節する必要がある. これら粘性 の調整は, 亜鉛華デンプンやグリセリン量の増減にて施設 ごとに経験的に行われているのが実際である 3, 4). しかし, グリセリンの追加など基剤量の変更は, 塩化亜鉛濃度を変 化させ, 効果の変動が懸念される. モーズペースト適用時 言 問合先 : 佐藤淳也 020-8505 盛岡市内丸 19-1 岩手医科大学病院薬剤部 E-mail:junyas@iwate-med.ac.jp には, 疼痛を生じる例が少なくない. 通常, 疼痛を生じた場合, 速やかに生理食塩液などで洗浄し, その除去が必要である. しかし, モーズペーストの被洗浄性も不良である. このように薬理効果として有用なモーズペーストであるが, これら利便性の低さがその普及を妨げているものと思われる. そこで本研究では, 経時的な粘性変化が少なく, 利便性が高い製剤への改良を目的に, 既存のモーズペーストに含まれる亜鉛華デンプン量の減量やグリセリン量の増加, 基剤を変更した場合の, 粘性への影響を検討した. 方法モーズペーストは, 医師からの要求および各種報告を参考に, 自施設の倫理委員会での審議を経て調製されている組成とした 5). その組成および調製方法は, 塩化亜鉛 ( 和光純薬 ( 株 ), 試薬特級 )30 g を蒸留水 ( 大塚蒸留水 ) 25 ml で飽和水溶液としたのち, 日本薬局方亜鉛華デンプン ( 健栄製薬 ( 株 ))27.5 g に混合し, 日本薬局方グリセリン ( 健栄製薬 ( 株 ))20 ml で粘度調節した. これを基本組成として, 亜鉛華デンプンを 1/2 倍量 (13.8 g),1/3 倍量 (9.1 g),1/4 倍量 (6.9 g) およびグリセリンを 1.5 倍量 (30 ml),2 倍量 (40 ml) に変更した製剤を作製した ( 表 1A). また, 塩化亜鉛 30 g に混合する亜鉛華デンプンのかわりに, 日本薬局方マクロゴール軟膏 ( 丸石製薬 ( 株 )) 28.5 g, 日本薬局方親水軟膏 ( 丸石製薬 ( 株 ))34.5 g, 日本薬局方亜鉛華軟膏 ( 丸石製薬 ( 株 ))34.5 g, プラチベース ( 大正富山医薬品 ( 株 ))28.5 g および日本薬局方吸水軟

104 佐藤淳也 茂庭美希 藤澤晨 工藤賢三 図 1 モーズペースト ( 基本組成 ) 調製後の性状変化.A: 調製 15 分後,B: 調製 120 分後,C: 調製 180 分後. 表 1 亜鉛華デンプン, グリセリン量変更 (A) および基剤変更 (B) の組成 A: 亜鉛華デンプンおよびグリセリン量を変更した調製方法 塩化亜鉛 蒸留水 亜鉛華デンプン グリセリン 基本組成 27.5 g 亜鉛華デンプン 1/2 倍 13.8 g 20 ml 亜鉛華デンプン 1/3 倍 9.1 g 30 g 25 ml 亜鉛華デンプン 1/4 倍 6.9 g グリセリン 1.5 倍 27.5 g 30 ml グリセリン 2 倍 27.5 g 40 ml B: 軟膏基剤を変更した調製方法軟膏基剤 塩化亜鉛 蒸留水 流動パラフィン 亜鉛イオン (%) マクロゴール軟膏 28.5 g 30 g 15 ml 20% 親水軟膏 34.5 g 30 g 9 ml 20% 亜鉛華軟膏 34.5 g 30 g 9 ml 20% プラスチベース 28.5 g 30 g 15 ml 20% 吸水軟膏 34.5 g 30 g 9 ml 20% 膏 ( 健栄製薬 ( 株 ))34.5 g を使用した製剤を作製した ( 表 1B). 各製剤の展延性は, その 0.5 g を室温 (25 ) に設定された薬剤用平行板粘度計 ( スプレッドメーター ; 井元製作所 ( 株 )) に充填し,615 g の加重で平行板を落下させ, 30 秒後の軟膏の展延半径を指標とした. また, 展延性の経時的変化は, 調製直後から 15,30,60,90,120, 150,180 分および以後 3,5,7 日目に観察した. 各試験製剤は,n = 3 で調製し, スプレッドメーターによる測定は,3 回測定した平均値 ± 標準偏差で示した. 統計解析は, エクセル統計 2012( 社会情報サービス ( 株 )) を用いて行った. 展延性の経時的変化は, 調製日内 ( 調製から 180 分まで ) および調製日間 ( 調製 180 分を 0 日目として 7 日目まで ) について, 一元配置分散分析 (One way ANOVA) により行った. また, 調製 0 分を基準とした多重比較 (Dunnet t-test) を行った. 一方, 同調製時間内の有意差については, 独立した 2 群の検定として t 分布による unpaired t 検定を行った. 統計的有意差は, 危険率 5% 未満を有意差ありとして表示した. 結果 1. 亜鉛華デンプン量の変更基本組成は, 調製直後から 180 分まで著しく硬化し, 展延性が有意に低下した (F = 24.465,p < 0.001). さらにその後,7 日目までにかけても経日的に硬化した (F = 3.297,p = 0.023). これに対して, 亜鉛華デンプンの減量 (1/2 および 1/3,1/4 倍量 ) は, 減量に従い軟らかい製剤となり, 展延性が向上した. しかし, いずれの製剤も調製直後から 30 ~ 60 分にかけて展延性の変化が大きかった (1/2 倍量 ;F = 36.631,p < 0.001,1/3 倍量 ;F = 19.213,p < 0.001,1/4 倍量 ;F = 72.322,p < 0.001). しかしその後, 経日的にはわずかに軟化するものもあったが, 比較的に安定であった (1/2 倍量 ;F = 5.026,p = 0.004,1/3 倍量 ;F = 2.168,p = 0.095,1/4 倍量 ;F = 12.922,p < 0.001)( 図 2). これら亜鉛華デンプン量の変更による製剤の性状は, 亜鉛華デンプンの減量に従い軟化するものの, 基本組成に類似した餅様であった ( 図 3A, B,C).

モーズペーストの基剤変更が粘性に及ぼす影響 105 図 2 亜鉛華デンプン量変更による粘性の変化. 棒グラフは, 測定値 (n = 3) の平均値と標準偏差を示した. ; 基本組成, ;1/2 倍, ;1/3 倍, ;1/4 倍. * p < 0.05, ** p < 0.01, *** p < 0.001 は, 基本組成に対する調製時間内の有意差 (Unpaired t- test) を示した. p < 0.01, p < 0.001 は, 各製剤の 0 分の値に対する有意差 (Dunnet t-test) を示した. 図 3 グリセリン量変更による粘性の変化. 棒グラフは, 測定値 (n = 3) の平均値と標準偏差を示した. ; 基本組成, ;1.5 倍, ;2.0 倍. * p < 0.05, ** p < 0.01, *** p < 0.001 は, 基本組成に対する調製時間内の有意差 (Unpaired t-test) を示した. p < 0.01, p < 0.001 は, 各製剤の 0 分の値に対する有意差 (Dunnet t-test) を示した.

106 佐藤淳也 茂庭美希 藤澤晨 工藤賢三 図 4 亜鉛華デンプンおよびグリセリン量変更後の性状変化.A: 変更なし,B: 亜鉛華デンプン 1/2 倍,C: 亜鉛華デンプン 1/4 倍,D: グリセリン 1.5 倍,E: グリセリン 2.0 倍. 2. グリセリン量の変更グリセリンの増量 (1.5 倍量 ) は, 基本組成に比べて軟化し, 展延性が向上した. 調製直後から 180 分までの展延性も安定した (F = 1.570,p = 0.215). しかし経日的には,7 日間にかけて次第に硬化し, 展延性が有意に低下した (F = 2.800,p = 0.042). 一方, グリセリンを 2 倍量とした製剤では, 調製直後は基本組成に比べ軟化が大きく,180 分までしだいに展延性が有意に低下した (F = 35.868,p < 0.000). しかし経日的には, 表層にグリセリンの分離を認め再度軟化し, 展延性が有意に増加した (F = 7.907,p < 0.000)( 図 4). これらグリセリン量の変更による製剤の性状は, グリセリン量の増量に従い軟化するものの, 基本組成および亜鉛華デンプンの減量の場合と異なり, 液状となった ( 図 3D,E). 3. 基剤の変更基本組成の基剤である亜鉛華デンプンを他基剤に変更することによる粘性の経時的変化は, いずれの製剤とも調製直後から 180 分まで安定し, 統計的有意差を認めなかった ( マクロゴール軟膏 ;F = 0.720,p = 0.657, 親水軟膏 ;F = 0.594,p = 0.138, 亜鉛華軟膏 ;F = 0.367,p = 0.909, プラスチベース ;F = 0.517,p = 0.809, 吸水軟膏 ;F = 0.191,p = 0.983). 一方, 経日的変化は, マクロゴール軟膏および亜鉛華軟膏を基剤としたもので有意差を認めたものの, 親水軟膏およびプラスチベース, 吸水軟膏を基剤としたものでは安定していた ( マクロゴール軟膏 ;F = 3.224,p = 0.025, 親水軟膏 ;F = 1.888,p = 0.138, 亜鉛華軟膏 ;F = 2.908,p = 0.036, プラスチベース ;F = 0.946,p = 0.500, 吸水軟膏 ;F = 1.050,p = 0.437)( 図 5). これら基剤の変更による製剤の性状は, マクロゴール軟膏を基剤とした製剤の粘性が低く, とろみを有する水飴状であった ( 図 6A). また, 親水軟膏や亜鉛華軟膏を基剤とした製剤は, 断端の立つ食用生クリーム状であった ( 図 6B および C). プラスチベースを基剤としたものは, 歯磨き粉様のざらつき感があった ( 図 6D). 吸水軟膏を基剤としたものは, 経時的に黄着色するマヨネーズ状であった ( 図 6E). 考察モーズペーストは, 塩化亜鉛を主成分とした製剤として 1941 年 Frederic E. Mohs により開発されたものである. 開発者の Mohs 氏は, モーズペーストの塗布による腫瘍の固定と切除を繰り返すこの治療法を Chemosurgery と称し,1 基底細胞がんや扁平上皮がん, 悪性黒色腫など表在性腫瘍の止血および腫瘍組織除去,2 既治療に抵抗性がある, 再発がんなど,3 機能性あるいは整形的に大きな侵襲が加わるのを避けたい場合,3 巨大腫瘤,4 腫瘍の境界が不鮮明で切除しにくい腫瘍,5 急速に増大する腫瘍などを適用に, その根治を目指す治療法として確立した 2, 6, 7). しかし, 原法では, 塩化亜鉛に配合する薬剤として, 抗菌剤, 駆虫剤として当時使用されていた亜アンチモン塩と, 皮膚病薬として使用されていた植物アルカロイド (Sanguinaria; 血根草 ) を用いており, 後者 2 成分が本邦で入手困難であったため, 長らく普及していなかった. 近

モーズペーストの基剤変更が粘性に及ぼす影響 107 図 5 モーズペーストの基剤変更による粘性の変化. 棒グラフは, 測定値 (n = 3) の平均値と標準偏差を示した. ; 基本組成, ; マクロゴール軟膏, ; 親水軟膏, ; 亜鉛華軟膏, ; プラスチベース, ; 吸水軟膏. * p < 0.05, ** p < 0.01, *** p < 0.001 は, 基本組成に対する調製時間内の有意差 (Unpaired t-test) を示した. p < 0.01, p < 0.001 は, 各製剤の 0 分の値に対する有意差 (Dunnet test) を示した. 図 6 基剤変更による性状変化.A:( マクロゴール軟膏 ) 水飴状の粘着性がある,B:( 親水軟膏 ) 生クリーム状で軟らか, 粘性はない,C:( 亜鉛華軟膏 ) 生クリーム状でやや粘性がある, D:( プラスチベース ) 歯磨き粉様のざらつき感があり硬め, E:( 吸水軟膏 ) 経時的に黄着色するマヨネーズ状. 年, 重山らは, 亜鉛華デンプンを用いたモーズペーストに ついて報告し, ようやく本邦でもモーズペーストが使用さ れるようになっている 1). 現在, 本邦におけるモーズペーストは,1 腫瘍からの出血や滲出液が多くなり貧血や低タンパク血症が進行した場合,2 腫瘍からの悪臭が強い場合,3 腫瘍からの浸出液の制御に頻回にガーゼを取り替える必要がある場合など, がん患者の QOL 改善を目的とした緩和的処置として使用されることが多い 8). 南らは, 頭頸部に腫瘍が表出した 15 例について製剤を適用した結果, 全例において出血を制御できたと報告している 9). このようにモーズペーストでは, 出血や滲出液, 悪臭の制御について高い有効性が適用初期から期待でき, 非常に安価 ( 約 300 円 /100 g) な製剤である. しかし, 先に述べた調製後の粘度変化や塗布性, 周辺組織へのマスキングの必要性, 処置時の疼痛管理, 洗浄処置などの煩雑さが適用を妨げているものと思われる. そこで, 利便性の高いモーズペーストを作製すれば, 適用患者はさらに増える可能性があると思われる. 今回の研究ではまず, 臨床現場で慣習的に行われている亜鉛華デンプンの減量とグリセリンの増量が, 粘性に及ぼす影響を評価した. スプレッドメーターによる粘性の評価は, 軟膏の展延半径の時間経過から降伏値などレオロジーを算出すべきであるが, 展延時間を固定して展延半径測定値 ( スプレッドメーター値 ) を簡易的に軟膏の広がりやすさの指標として評価した. 設定した試験条件におけるスプレッドメーターの評価において, 室温における各種軟膏基

108 佐藤淳也 茂庭美希 藤澤晨 工藤賢三 剤の展延性 ( 平均値 ± 標準偏差 (n = 3),mm) は, 白色ワセリン (19.8 ± 0.3) および親水軟膏 (17.0 ± 0.0), マクロゴール軟膏 (13.5 ± 0.0), 亜鉛華軟膏 (15.3 ± 0.2), 吸水軟膏 (15.7 ± 0.3), プラスチベース (17.0 ± 0.0) であった. 隆起病変において流下せず保持でき, 陥没に富む病変の隙間にも軟膏成分が密着できる適正な粘度は, 上記の軟膏基剤の測定値をもとに 16 ~ 19 mm であると設定した. しかし, 軟膏の特性は, これらを踏まえると, 基本組成のモーズペーストは調製 15 分後から粘性が増加し, 展延性はこれら範囲以下に低下した. これに対して, 亜鉛華デンプンの減量は, それに依存して粘性を低下させたが, 調製後 30 分までの硬化が大きかった. 一方で, グリセリンの増量は, 粘性を低下させたものの,2 倍量の添加は調製 3 ~ 7 日目においてグリセリンの分離を生じ, 粘性のばらつきを生じた. 今回, モーズペーストの基剤である亜鉛華デンプンを他軟膏基剤へ変更する試みも行った. 検討した製剤として, 油脂性基剤としてプラスチベースおよび亜鉛華軟膏, 水溶性基剤としてマクロゴール軟膏, 乳剤性基剤として吸水軟膏および親水軟膏を用いた. いずれも, 調製者が容易に入手できる安価な軟膏, かつ日本薬局方の軟膏として広く使用されており, 安全性は高いものと思われる. 粘性については, マクロゴール軟膏を基剤としたものが粘性が著しく低く, 臨床適用は困難と思われた. 一方で, 親水軟膏およびプラスチベース, 吸水軟膏においては, 調製直後から 7 日目まで経時的な粘性の変化は認められなかった. また, スプレッドメーターによる展延性のみで判断できない性状であるが, 基剤をマクロゴール軟膏としたモーズペーストは, 水飴状のとろみを有し, プラスチベースについては, 析出した塩化亜鉛結晶と思われるざらつきを有した. さらに, 吸水軟膏は, 経時的に黄色を帯びた着色を生じた. 親水軟膏および亜鉛華軟膏については, 性状や硬さとも食用生クリーム様で患部への塗布性は良好であると思われた. これら基剤の特性については, 次のように考察する. マクロゴール軟膏は, マクロゴールの浸透圧により創傷部の水分を積極的に吸収し, 腫瘍からの滲出液を減少させる点で有用な基剤であると思われる. 一方, プラスチベースや亜鉛華軟膏などの油脂性基剤は, 滲出液の吸収性は期待できないものの, 皮膚との親和性に富み, かつ水溶性の塩化亜鉛が基剤に吸収されないため, 良好な組織固定効果を示すことが期待される. また, 亜鉛華軟膏に含まれる酸化亜鉛は, 収斂, 消炎効果もあり, 薬理的に亜鉛華デンプンに代替することが期待される. 水中油 型 (O/W) の親水軟膏は, 水が連続相なので水洗性が高 い点で, 利便性の向上が期待される 10). 今回の研究結果の限界は, 塗布性とその経時的変化の改 善を目的に, 粘性のみを評価している点である. つまり, 亜鉛華デンプン量やグリセリン量の調整により, 粘性の調 節とその経時的硬化をある程度抑制できる結果を得た. ま た, 親水軟膏などへの基剤の変更も, 粘性の経時的変化が なく, 基本組成における餅状の製剤ではないことから, 既 存の製剤より利便的であると思われた. モーズペーストの 組成や基剤の変更による組織固定能への影響を検討した結 果, 親水軟膏を基剤とした製剤において, 基本組成と同等 の組織固定能を有する結果も得ている ( 日本緩和医療薬学 雑誌編集中 ). しかし, 基本組成で使用した亜鉛華デンプ ンには, 消炎, 収斂作用および滲出液の吸水性があり, 変 更した基剤にこれらの特性をすべて満たすものはない. 臨 床現場における多様な皮膚表層状態, 滲出液の漏出状況, 温度変化では, 今回の結果が再現されるのかについても, 複数例のがん患者での臨床評価が必要であると思われた. 利益相反 : 本研究は, 岩手医科大学の施設および研究費 を用いて行われ, 報告すべき利益相反はない. 文 1) 重山昌人, 大萱豊秋, 大久保恒正. 各種疾患に対する特殊院内製剤設計と臨床応用 手術不能例に対する chemosur- gical treatment への参画. 医薬ジャーナル 2005; 41: 2289-2294. 2)Mohs FE. Chemosurgery: A microscopically controlled method of cancer excision. Arch. Surg. 1941; 42: 279-295. 3) 山中敏彰, 森本千裕, 福田多介彦, 他. 緩和医療における Chemosurgery の施行例 : 転移性皮膚癌に対する Mohs ペーストの使用経験. 頭頸部癌 2009; 35: 322-327. 4) 荒木裕子, 松原肇, 矢後和夫.Mohs ペースト. 薬事 2009; 51: 1281-1285. 5) 日本病院薬剤師会監修. 病院薬局製剤. 第 6 版, 薬事日報社, 東京,p. 152. 6)Mohs FE. Chemosurgical Treatment of cancer of the lip: A microscopically controlled method of excision. Arch. Surg. 1944; 48: 478-488. 7)Mohs FE. Chemosurgical treatment of tumors of the parotid gland: A microscopically controlled of method of excision. Ann. Surg. 1949; 129: 381-393. 8) 伊藤宗成, 堀夏樹, 五十嵐敦之. 治療緩和ケアにおける Mohs chemosurgery の応用. 臨皮 2008; 62: 668-671. 9) 南和彦, 宮崎拓也, 西村一成, 他. 緩和治療における Mohs 法の応用. 頭頸部外 2012; 22: 247-253. 10) 野田康弘. 外用薬の創面薬理学 : 基剤の 能動的吸水 と 受動的吸水. 褥瘡会誌 2011; 13: 24-28. 献

モーズペーストの基剤変更が粘性に及ぼす影響 109 Study of the Convenience Improvement of the Mohs Paste: Effect on Viscosity of Ointment Modification Junya SATO, *2, Miki MONIWA, Shin FUJISAWA, *2, and Kenzo KUDO Department of Clinical Pharmaceutics, School of Pharmacy, Iwate Medical University, 19-1, Uchimaru, Morioka 020-8505, Japan *2 Department of Hospital Pharmacy, Iwate Medical University, 19-1, Uchimaru, Morioka 020-8505, Japan Abstract: Mohs paste is a hospital preparation used for superficial tumor reduction and control of bleeding or effusion. Following its preparation, viscosity of the Mohs paste increases over time, and the viscosity of the paste has to be regulated depending on the condition of the skin. We investigated the modification of the paste composition for overcoming the viscosity related problems. The paste was prepared by dissolving 30 g of zinc chloride in 25 ml of water and by mixing this mixture with 27.5 g of zinc oxide starch powder; viscosity was regulated with 20 ml of glycerin. The preparation was modified by double and 1.5 times quantity of glycerin, and decreasing the quantity of zinc oxide starch powder to one-half, one-third, or one-fourth of the basic composition. Furthermore, modified preparations switched to macrogol ointment, hydrophilic ointment, zinc oxide ointment, absorption ointment and plastibase in substitution for zinc oxide starch powder were prepared. The viscosity of these preparations was evaluated in expansibility using a spread meter for 7 days. A statistically significant change in viscosity over time was not observed in the hydrophilic ointment. The modification of Mohs paste might lead to its improved handling. Key words: Mohs paste, convenience, viscosity, ointment base modification, spread meter