1. 財政目標の設定 国立市の過去 5 年間の普通建設事業費は 平均で 18.5 億円となっています そのうち公共施設分は 8.1 億円です 実効性の高い保全計画とするためには財政的な裏付けが欠かせません 各年度に実施する修繕 改修は予算編成の中で決定することとなりますが 保全計画における財政目標と

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第 4 章保全に係る基準の設定 保全に係る基準の設定フロー 前章の老朽化状況の把握からの保全に係る基準の設定フローを以下に示します 老朽化状況の把握 1 躯体の健全性調査 2 躯体以外の劣化状況調査 残存耐用年数 躯体の健全性調査による残存耐用年数 構造別の目標耐用年数の設定 ( 長寿命化 ) 長寿

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構造 用途 鉄筋コンクリート造鉄骨 鉄筋コンクリート造 高品質の場合 普通の品質の場合 高品質の場合 重量鉄骨 鉄骨造 普通の品質の場合 軽量鉄骨 ブロック造れんが造 木造 学校庁舎 Y 100 以上 Y 60 以上 Y 100 以上 Y 60 以上 Y 40 以上 Y 60 以上 Y 60 以上

3-1 2 修繕工事の実態 ( ヒアリング ) 計画修繕は 定期点検等で明らかになった建物の劣化の補修のため 調査 診断 修繕計画の作成 工事の実施へと 区分所有者の合意を形成しつつ 進められる 当勉強会で実施したヒアリングより 管理会社による点検 定期点検は 1 回 / 年の頻度で行っている 目視

イ使用年数基準で更新する施設 ( ア ) 使用年数基準の設定使用年数基準で更新する施設については 将来の更新需要を把握するためにも 更新するまでの使用年数を定める必要がありますが 現時点では 施設の寿命に関する技術的な知見がないことから 独自に設定する必要があります このため あらかじめ施設を 耐久

保全の基本方針

2 目標使用年数目標使用年数は 建築物の耐久計画に関する考え方 ( 日本建築学会 ) を参考とし 構造別に以下のように設定します ただし 鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造は 構造躯体の健全性の評価結果に基づき 80 年未満となる建物があります また 体育館等の鉄骨造の建物についても 災害

青文字は、長谷川が修正したものです

第 1 公共施設の保全 1. 公共施設の現状と課題 1 2. 公共施設の実態把握 1 (1) 対象施設 (2) 調査項目 (3) 評価基準 (4) 施設調査カルテ 第 2 公共施設の長寿命化 3 1. 目標耐用年数の設定 3 (1) 更新時期 (2) 耐用年数 (3) 目標耐用年数 2. 維持管理

福岡県立ももち文化センター 個別施設計画 平成 30 年 5 月 施設類型 県民向け施設 整理番号 20 施設所管課 文化振興課

1

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資料 5 公共施設更新コスト試算 1 試算ケース ケース1: 旧耐震基準のうち 築 60 年以上は建替え それ以外は大規模改修 新耐震基準は老朽箇所修繕 耐用年数を 60 年と想定した場合 旧耐震基準の施設のうち 築 60 年以上の施設は 築 60 年が経過した施設から建替える 建替え対象以外の旧耐

第 3 回検討会でご意見を頂いた内容に対する対応方針 ( 案 ) 中長期保全計画の策定において 更新 修繕 といった言葉の使い分けは明確にすべき その際 部位による使い分けや ライフサイクルコストの視点を踏まえた 更新 修繕 のレベル設定にも留意すること 建物を 使える 状態に維持するという観点から

第3章 長寿命化改修と併せて検討したいこと

国立市公共施設保全計画 ~ 技術的見地からの建築物のあるべき保全について ~ 概要版 目 次 ページ はじめに 保全計画の流れ Ⅰ 対象施設 Ⅱ 構造躯体の健全性評

1 個別施設計画の基本的な考え方本計画は 公共施設等総合管理計画の内容を基本とし 同計画に示す類型のうち中分類を基本に現状の施設管理者を勘案して個別に策定した 計画の基本的考え方として 個別具体の方向性を示し 原則 長寿命化を推進し 鉄筋コンクリート造の建築物は目標供用年数を 80 年とし 長寿命化

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目次 1 目的と定義 2 2 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造における残存使用年数の目安の算定方法 3 (1) 新耐震基準の施設 3 (2) 旧耐震基準の施設 3 ア過去の耐震診断結果を活用した判断 4 ( ア ) 残存耐用年数の目安の算定 4 ( イ ) 目標使用年数の設定 4 ( ウ

(3) 中規模改修工事費 建設年代別にm2単価を設定する 大規模改修後及び改築後は 水準別にm2単価を設定し 冷房設備ありの場合は別途m2単価を設定して加算する 表 中規模改修工事費 大規模改修前 大規模改修後 改築後 中規模改修建設年代改築後改築後大規模改修後円 / m2従来改築一般施

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改訂履歴施行年月日 改訂理由 内容 平成 25 年 10 月 22 日 制定 平成 27 年 5 月 29 日 一部改正 第 1 項 2 項 3 項及び4 項に空調施設の整備に関 する内容を追加

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【HP公表 最終版の公表前確認修正有り】 北陸取組み(個票)

第 4 章公共施設の老朽化状況の把握 建築物の老朽化状況については 1 躯体の健全性把握調査と 2 躯体以外の劣化状況把握 調査の 2 つの調査を実施し 実態を把握の上 評価しました 1 公共施設の保有状況公共施設の保有状況 築年別用途別規模別築年別用途別規模別 躯体の健全性の把握 3

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施工技術者認定制度

美里町学校施設長寿命化計画 ( 案 ) 検討資料編 平成 30 年 月 美里町教育委員会

図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

資料1-2 「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」(案)」(事例・参考資料等)(4/5)

施設一覧表

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長期保全計画書

目次 ( )

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建設の施工企画 特集 5 長寿命化 維持管理 リニューアル 住宅の長寿命化への取組 国土交通省住宅局住宅生産課 今後の住宅政策においては これまでの つくっては壊す フロー消費型社会から いいものをつくっ て きちんと手入れして 長く大切に使う という ストック重視型への転換を図ってい

3. 第 3 章大規模修繕及び建替えにかかる将来費用 (1) 将来費用試算のための条件現在市が保有している建物 ( 民間等の建物は除く ) について 将来もそのまま保有しつづけるために必要となる費用を試算します ア建替えコストの考え方 1 建替え単価の設定 本書での試算に当たっては 建替え単価は 総

【配布資料】

橋 梁 長 寿 命 化 修 繕 計 画

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設 機能の見直しハード面の効率化財源確保1-3. 再配置パターン ( 手法 ) の考え方 再配置計画の検討に向けて 公共施設の再配置を う場合の基本的なパターン ( 手法 ) について整理し それらの効果についても確認していきます 施設の再配置にあたっては 厳しい財政状況の中 人口が減少傾向にあるこ

流山市コミュニティ施設の個別施設計画 平成 30 年 11 月 流山市

目次 第 1 章小牧市公共施設適正配置計画の概要 適正配置計画策定の主旨と位置付け 対象施設の範囲 計画期間... 2 第 2 章適正配置に向けた基本的な考え方 適正配置計画策定にあたっての考え方 施設ごとの今後の取組み

3.記載事例・参考事例(6)(7)

0 事前準備 公共施設等の更新費用比較分析表作成フォーマット の作成に当たっては 地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書 公共施設及びインフラ資産の更新に係る費用を簡便に推計する方法に関する調査研究 における更新費用試算ソフト ( 以下 試算ソフト という ) を用います 試算ソフトは今回

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病院等における耐震診断 耐震整備の補助事業 (1) 医療施設運営費等 ( 医療施設耐震化促進事業平成 30 年度予算 13,067 千円 ) 医療施設耐震化促進事業 ( 平成 18 年度 ~) 医療施設の耐震化を促進するため 救命救急センター 病院群輪番制病院 小児救急医療拠点病院等の救急医療等を担

通達第1号

平成23年度

Taro-101 サッシ施工(H17改正)

11 高須小学校 1 浜田小学校 13 野里小学校 14 大姶良小学校 15 南小学校 16 西俣小学校 17 高隈小学校 18 大黒小学校 19 西原台小学校 1 市成小学校 高尾小学校 3 百引小学校 4 平南小学校 5 串良小学校 6 細山田小学校 特別 11 S 旧 H1 0.5

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橋梁長寿命化修繕計画 ( 案 ) 平成 25 年 3 月 那覇市役所 建設管理部道路管理課

H28秋_24地方税財源

§1 業務概要

住宅の省エネエネ改修改修に伴う固定資産税固定資産税の減額制度減額制度について 平成 20 年 1 月 1 日以前に建てられた住宅 ( 賃貸住宅を除く ) について 平成 20 年 4 月 1 日から平成 32 年 3 月 31 日までの間に 一定の要件を満たす省エネ改修工事を行った場合 120 m2

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5.1.2 気密材の種類と特長気密層は 室内と外気の境界部分に連続して設けなくてはならない 一口に気密層といっても 躯体工法 断熱工法の違いにより 必ずしも部材構成として新たに一層増えるわけではなく 従来のほかの目的を持つ部材 例えば防湿層 断熱材 防風層 あるいは構造躯体自体を気密層として考えるこ

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公共施設の劣化調査結果 概要 四條畷市では 市が保有する公共施設等について 今後の人口減少と少子高齢化の進展 厳しい財政状況を踏まえ 長期的な視点をもって総合的かつ計画的な管理を進めるための基本指針となる 公共施設等総合管理計画 を平成 2 8 年 1 2 月に策定しました 今後は この計画に基づき

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外気カット制御 有 外気冷房制御 無 全熱交換器制御 有 ( 全熱交換効率 0.) 2 換気設備 室用途毎に基準設定換気風量 ( 換気回数 ) 基準設定全圧損失 標準的な送風機の送風機効 率 伝達効率 余裕率 モータ効率を定め これらを標準設備仕様とする 基準設定換気風量 : 設計者へのヒアリング調

熊本市学校施設長寿命化計画 2019 年 1 月 熊本市教育委員会

(1)

設計162 外壁リフォーム事前調査の方法標準施工法外壁リフォームモエンサイディング重ね張り工法モエンサイディング張り替え工法モエンサイディング張り替え工法 外張り断熱センターサイディング重ね張り工法設計屋根リフォームセンタールーフ重ね葺き工法アルマ重ね葺き工法参考資8-1 適用条件 8-2 屋根リフ

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第1章 長寿命化改修の基本的事項(1)

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スライド 1

o セメントに対する水の比率を低減するか 鉄筋に対す るコンクリートのかぶりを厚くすること 耐震性 極めて稀に発生する地震に対し 継続利用のための改修の容易化を図るため 損傷のレベルの低減を図ること 大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制する措置を講じる [ 層間変形角による場合 ] o 大規模地

長寿命住宅(200年住宅)税制の創設 (登録免許税・不動産取得税・固定資産税)

記入上の注意 1 施設点検表 ( 統括表 ) 施設点検入力シート 写真帳 のシートの 黄色のセル のみ記入してください 2 施設点検表 ( 統括表 ) シートの主な不具合点には 特に無し や 無し 等の入力は行わないでください シート名の変更は行わないでください 非表示になっているシートがあります

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また ユーザーの意識向上 光熱水費の節減を図るため 光熱水使用量をエリア毎に見える化し 建物単位毎に計量可能な計画とする ( 各設備の計画 ) 6. 電気設備 1) 電力設備 1 特高受変電設備 : 最大電力の増大に伴い用途の異なるに特別高圧受変電設備を新設し 波及事故範囲の分散及び電源供給の信頼性

第二面 1. 建築物の位置 延べ面積 構造 設備及び用途並びに敷地面積に関する事項 建築物に関する事項 1. 地名地番 2. 敷地面積 m2 3. 建築面積 m2 4. 延べ面積 m2 5. 建築物の階数 地上 階 地下 階 6. 建築物の用途 一戸建ての住宅 共同住宅等 非住宅建築物 複合建築物

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スライド 1

設計壁リフォーム標準施工法外壁リフォームモエンサイディング重ね張り工法モエンサイディングモエンサイディングセンターサイディング屋根リフォームセンタールーフアルマ8-1 適用条件 8 屋根リフォームの設計 1) 適合対象建築物昭和 56 年の建築基準法新耐震基準に適合する木造建築物 昭和 56 年 5

参考資料1 地方公共団体における長寿命化改修の取組事例

11 行政系施設 ( 庁舎等 ) (1) 施設概要 施設名称役場庁舎所属課総務課 大分類行政系施設中分類庁舎等 所在地高野山 636 総 2, 役場庁舎 ( 既設 ) 1, RC 造昭和 37 年 11 月 12 日旧 役場庁舎 ( 増築 ) RC 造平成 5

見直し後11 基準相当1.64GJ/ m2年hh11 基準相当見直しH11 基準と見直し後の省エネ基準の比較について 住宅 建築物判断基準小委員会及び省エネルギー判断基準等小委員会平成 24 年 8 月 31 日第 2 回合同会議資料 1-1 より抜粋 設備機器の性能向上により 15~25% 程度省

60 年超土地長期優良住宅の認定制度 長期優良住宅の認定制度 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 (H21.6 施行 ) に基づく長期優良住宅に係る認定制度の創設 長期優良住宅の建築 維持保全に関する計画を所管行政庁が認定 認定住宅は 税制 融資の優遇措置や補助制度の適用が可能 認定基準 <1>

[ 図表 35: 見直しのイメージ ] 質の高い施設 安心安全で コストの最適化 施設を安心安全に利用するため 点検 診断を実施し その結果に基づき 必要な対策を適切な時期に着実かつ効率的 効果的に実施します また これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情報を記録し 次の点検 診断等に

資料 1 SAMPLE

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

Ⅲ 適合証明 一戸建て等 ( 消費税込み ) (1) フラット 35 財形住宅の適合証明料金 中間検査 12, , 4 確認審査および完了検査あり 1 8,200 円 6,800 円 18,000 円 4 8,200 円 ,200 円 8,200 円 3,300

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目 次 第 1 審査概要 本書の位置づけ 審査方式 審査体制... 1 第 2 優先交渉権者決定の手順 参加資格審査 基礎審査 加点審査 優先交渉権者の決定... 6 別紙 1 提案内容の審査項目及び評

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資料 1 3 小規模附属物点検要領 ( 案 ) の制定について Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

調査番号 5 調査年度平成 7 年度 施設名久米図書館棟名称本体棟 所管部課生涯学習部図書館 No 土地データ所在地津山市中北下 7 敷地面積 m 建物データ 行政機能図書館建築年度 99 年築年数 年 建物の主構造鉄筋コンクリート造延床面積 6.6m 階 図書館 書庫 展示室 事務室

まんがでわかる!安心R住宅

AM部会用資料(土木・建築構造物)

第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

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第 4 章 保全の基本方針 155

1. 財政目標の設定 国立市の過去 5 年間の普通建設事業費は 平均で 18.5 億円となっています そのうち公共施設分は 8.1 億円です 実効性の高い保全計画とするためには財政的な裏付けが欠かせません 各年度に実施する修繕 改修は予算編成の中で決定することとなりますが 保全計画における財政目標としては 8.1 億円を設定します 図 投資的経費の推移 ( 億円 ) 25 21 億 23 億 20 16 億 7.2 16 億 8.2 16 億 15 4.9 4.6 0.7 0.5 3.8 4.3 4.4 10 2.2 1.5 4.3 2.7 2.6 5 8.4 8.8 7.5 9.3 6.5 0 H21 H22 H23 H24 H25 ( 年度 ) : 公共施設分 : 道路 橋りょう分 : 用地取得費 : その他 公共施設分過去 5 年平均 8.1 億円 / 年 普通建設事業費は現時点につき流動的 適宜見直しが必要 人口動向 この 10 年間で 市全体では 7.2 万人から 7.4 万人と 横ばい傾向となっています 高齢化率は平成 52 年に 35% まで大きく増加します 一方年少人口は約 2% 減少すると予測されています 今後は特に 75 歳以上の高齢者が 0.7 万人から 1.4 万人と約 2 倍の増加が予測されています 少子高齢化等を踏まえると今後確保できる投資的経費は減少することが想定されます 156 出典 : 国勢調査国立社会保障 人口問題研究所 将来推計人口

2. 目標使用年数の設定 ( 長寿命化 ) 建築物は 老朽化による物理的な耐用年数だけではなく 経済的または機能的な観点から建替えや解体されることがあります 長寿命化とは 物理的な耐用年数まで建物を使用することです 建築物は多くの部位 設備機器によって構成され その耐用年数はそれぞれ異なります このうち最長である構造躯体の耐用年数が建築物の目標使用年数となります 目標使用年数は 建築物の耐久計画に関する考え方 ( 日本建築学会 ) を参考とし 構造別に次のように設定します ただし 鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造は 構造躯体の健全性の評価結果に基づき 80 年未満となる施設があります また 重量鉄骨造は 国立市では小規模の建物のため 普通の品質の場合 を適用し 60 年とします 今回の対象施設にはブロック造 れんが造 木造はありません [ 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造の目標使用年数 ] 80 年 [ 鉄骨造の目標使用年数 ] 重量鉄骨造 :60 年軽量鉄骨造 :40 年 表 建築物全体の望ましい目標耐用年数の級 用途 構造種別 鉄筋コンクリート造鉄骨鉄筋コンクリート造 高品質の場合 普通の品質の場合 高品質の場合 重量鉄骨 鉄骨造 普通の品質の場合 軽量鉄骨 ブロック造れんが造 木造 学校 官庁 住宅 事務所 病院 店舗 旅館 ホテル 工場 出典 : 建築物の耐久計画に関する考え方 ( 日本建築学会 ) 表 目標耐用年数の級の区分の例目標耐用年数級代表値範囲下限値 Y150 150 年 120~ 200 年 120 年 Y100 10 年 80~ 10 年 80 年 Y60 60 年 50~ 80 年 50 年 Y40 40 年 30~ 50 年 30 年 Y25 25 年 20~ 30 年 20 年 出典 : 建築物の耐久計画に関する考え方 ( 日本建築学会 ) 157

中間年で大規模改修を行い 機能向上を図る 長寿命化のパターン3. 修繕 改修周期の設定 (1) 長寿命化のための標準的な修繕 改修周期構造躯体の耐用年数は 施工時の状況や竣工後の使用状況や環境によって使用できる年数が異なります 国立市の公共施設は 構造躯体の健全性評価の結果 想定使用年数が 80 年以上となる建物も多く存在します これらの建物は 施設の機能や利用状況などの特性に応じて 適切な周期で修繕 改修を行い 施設機能の維持向上を図り 建物本来の寿命である構造躯体の耐用年数まで使うことにします その際は 屋根 屋上や外壁といった部分を定期的に修繕する一方で 耐震性能や省エネ性能などの社会的要求の高まりへ対応するため 中間年で機能向上を図ります 下図に 80 年まで使用する場合の標準的な修繕 改修周期を示します 図 長寿命化のための標準的な修繕 改修周期 竣工 20 経年による機能 性能の劣化 機能回復 ( 中規模修繕 ) 40 60 機能向上 ( 大規模改修 ) 機能回復 ( 中規模修繕 ) 80 解体 年 参考 : 工事内容 防水改修 築 20 年目中規模修繕 経年劣化による損耗 機能低下に対する機能回復工事 外壁改修 給排水ポンプ交換 空調機器交換等 築 40 年目大規模改修 経年劣化による機能回復工事と 社会的要求に対応するための機能向上工事 防水改修 ( 断熱化 ) 外壁改修 ( 断熱化 ) 開口部改修 内部改修 ( 用途変更含む ) 受変電設備改修 照明設備改修 通信 防災設備改修 給排水衛生設備改修 空調設備改修等 防水改修 築 60 年目中規模修繕 経年劣化による損耗 機能低下に対する機能回復工事 外壁改修 給排水ポンプ交換 空調機器交換等 158

存20 年以上 40 年未満使える施設残残存40 年以上(2) 残耐用年数に応じた修繕 改修及び建替えの時期 施設別に残存耐用年数評価に応じて行うべき事が異なりますので 残存耐用年数に応じた修繕 改修及び建替えの時期を整理します 区分対象施設修繕 改修 建替え時期 残存20 年未満 長寿命化できない施設 [ 鉄筋コンクリート造 ] 第二小学校 第三小学校 第五小学校 第六小学校 第七小学校 第一中学校 第二中学校 第一給食センター 第二給食センター 西保育園 [ 軽量鉄骨 ] 北学童保育所 本町学童保育所 消防団第五分団 消防団第六分団 清掃分室 ( 車庫 ) 残存耐用年数が20 年未満の施設は その間 安全性 機能性に著しい不具合がある場合を除き 修繕 改修を実施しません 将来 これらの施設を建替えた場合は 標準周期に従って修繕 改修を行います なお 躯体の目視調査で状況の悪い施設は H 28 年に躯体修繕を行います H28~H47 H48~ 躯体修繕 躯体修繕を行う施設 あすなろ 建替えまでに修繕 改修を行い 20 年以上使用する施設 [ 鉄筋コンクリート造 ] 第一小学校 第四小学校 第三中学校 庁舎 中央図書館 総合体育館 立東福祉館 青柳福祉センター なかよし保育園 矢川児童館 保健センター分室 四軒在家福祉館 久保公会堂 石神集会所 [ 軽量鉄骨造 ] 東学童保育所 南学童保育所 [ 鉄骨造 ] 環境センター ( 管理棟 処理棟 ) 長寿命化が可能で 40 年以上長く [ 鉄筋コンクリート造 ] 第八小学校 地域防災センター 公民館 ( 中平 東 富士見台 芸術小ホール中 下谷保 ) 福祉会館 千丑集会所 西福祉館 坂下集会所 東福祉館 谷保東集会所 北福祉館 富士見台二丁目集会所 東保育園 消防団第一分団 西児童館 消防団第三分団 保健センター [ 鉄骨造 ] 環境センター躯体修繕を行う施設 ( 不燃ごみストックヤード ) 庁舎倉庫 消防団第二分団 消防団第四分団 清掃分室 ( 管理棟 ) 障害者センター 現在 現在 現在 159 建替え H28~H47 築 60 年目中規模修繕 H48~ 建替え 軽量鉄骨造の施設は最初の 20 年間に中規模修繕を行います 環境センター ( 管理棟 ) は最初の 20 年間に大規模改修を行います H28~H47 築 40 年目大規模改修 躯体修繕を含む 築 60 年目中規模修繕 築 20 年目中規模修繕 残存耐用年数が 20 年以上 40 年未満の施設は 当初 20 年間に 中規模修繕を行います 残存耐用年数が 40 年以上の施設は 当初 20 年間に 大規模改修を行い 今後長期にわたって使用を続けます H48~ 建替え 富士見台二丁目集会所は最初の 20 年間で中規模修繕を行い その後 20 年目に大規模改修を行います

部位外部仕上げ部仕上げ節水型便器に交換内気設備機械設空調設備電4. 改修の整備レベルの設定 長寿命化において配慮すべき性能に対して 各部の整備レベルを設定し さらにコストに関連付 けておくことで 建替え 大規模改修の工事内容を検討する際に 施設の特性に応じた最適解の検 討を行います これにより 建物を長期に使用するために必要な修繕 改修 将来の社会的要求水 準の高まりへの対応 類似用途 規模の建物での整備レベルの統一を図ります 表 長寿命化において配慮すべき項目 項目 可変性 更新性 内容 将来の機能向上や用途変更に対応できるように 機械室 配管スペース 階高 設計荷重等に余裕を持たせた設計とする 建築物を構成する部材は多く それぞれの耐用年数も異なり 物理的 機能的劣化の速度も異なることから 改修工事の際は耐用年数がある他の部位に影響がないよう 更新が容易な構造とする 耐久性 メンテナンス性 省エネルギー 省資源 使用する部材は ライフサイクルコストを考慮して耐久性の高いものを選択する 清掃や保守点検 修繕等の維持管理業務を効率的に実施するため 足場やゴンドラの設置を可能とする等 維持管理を考慮した設計とする 再生可能エネルギーの活用等も含め環境負荷の低減に対応した設計とする 図 整備レベルの設定例 A 案 B 案 C 案 各部の機能を最大限向上する改修 内部改修と同時に実施し機能向上を図る改修 長寿命化に資する部位を中心に改修 高低備改修メニュー ( 整備レベル ) 屋根 屋上 外断熱保護防水外断熱シート防水浮き部補修 ( 断熱材 40mm) ( 断熱材 40mm) クラック補修程度 ( 既存撤去 ) ( 既存の上 ) 外壁塗装 浮き部補修 外壁 外断熱パネル ( 防水型複層塗材 ) クラック補修程度 内断熱 断熱なし 外部開口部 サッシ交換既存サッシのシーリング打替え ( カバー工法 ) ガラス交換開閉調整程度 ( 複層ガラス等 ) ( 複層ガラス等 ) 日射抑制措置 ( ライトシェルフまたは庇 ) その他外部 庇等を設置しない 手すり等の鉄部塗装 内装の床補修内部仕上げ全面撤去 更新壁 天井塗替え ( 教室等 ) ( 木質化 ) (70% 以上の範囲 ) 既存のまま 内装の全面撤去 更新床補修便所ドライ化壁 天井塗替え 既存のまま 既存便器のまま 受変電設備交換 ( 容量 UP) 受変電設備 自家発電設備 LED 照明に交換照明器具 ( 人感センサー 照度センサー付 ) 給水設備改修 ( 加圧給水方式に変更 ) 給水設備 雨水 中水利用 中央方式 パッケージ (GHP/EHP) 全熱交換器換気扇交換 160