目標管理の実際 編集 : 多羅尾美智代執筆 : 三木市民病院看護部 作成者藤田一枝
目標管理の実際 目標に必要な 3 要素 (1) 目標 ( 達成すべきゴール ) と具体的実施計画 目標は 個人の能力に対しやや高めで 努力すればできる程度の目標を設定する 目標は 何を どのレベルまで ( どれだけ ) いつまでに 3 つの要素をいれて表現する 具体的な数値を用いて測定できる定量目標を設定する 定性目標のときは 具体的実施計画をより詳細に立案する 達成基準を明確にしておく 2
定量 定性目標 定量目標 : 数値化が可能な目標 患者からのクレーム数を前年度の20% 減とする クリニカルパスを5 件作成して運用する 定性目標 : 数値化が難しい質的な目標 チームカンファレンスを見直し 有意義なカンファレンスが行えるようにする がん看護を学び がん患者の援助ができるようになる 3
問題解決の 4 つのステップ A さんの目標 : 有意義なカンファレンスを行えるようにする あるべき姿 問題 ズ レ あるべき姿を求めよ 現状を分析せよ 原因をつきとめよ 実際の姿 適切な解決策をとれ 参考資料 : k. ブランチャード ;1 分間問題解決 4
目標面接 スタッフ一人ひとりと向き合う大切な時間 課長とスタッフは目標達成するためのパートナー スタッフは 自分の意見 考えを直接聞いてもらえる時間の保障 自分に期待されている内容が確認できる 日頃思っている職場の問題点や改善点を提案しやすい 5
目標面接 時間と場所を確保 面接日を決めて所属で開示する 面接は業務の一環である 課長 スタッフそれぞれの考えなどを知る 面接時間は 30 分 ~1 時間
初回面接 ( 目標設定 ) 4 月中旬 ~5 月 重要 面接ポイント 1 個人目標が看護部の方針や所属目標にそっているか 2 目標の高さは個人のキャリアからも適当であるか 3 目標が具体的で 客観的に評価ができるか 4 実施計画の方法やスケジュールに問題はないか 個人のキャリア開発について 考えを聞く アドバイスをする その人の所属での位置 役割について説明し 期待することを述べる 7
2) 中間面接 9 月 ~10 月 面接ポイント 1 目標の達成状況はどうか 2 達成過程でどのような工夫や努力をしているか 3 評価した根拠は何か 3) 最終面接 ( 育成面接 ) 2 月 ~3 月 結果そのものより なぜそのような結果になったのか その原因を話し合い 次につなげる 8
自己評価と他者評価 自己評価 自己評価は甘くなりがち 欠点が見えにくい 力を入れたポイントが誰よりもよくわかっている 他者評価 他者評価は厳しくなりがち 欠点がよくわかる 自己評価 + 他者評価 客観的な視点 両者が納得いくような話し合いが必要 9
自己目標管理シート ( 左半分 ) 平成年度 ( スタッフ用 ) 所属 目標 ( 達成すべきゴール ) 氏名 具体的実施計画 ( 方法 いつ 何を どうすのか 工夫 ) 中間自己評価月日 5 4 3 2 1 課長評価月日 5 4 3 2 1 達成状況 最終評価自己評価月日 5 4 3 2 1 課長評価月日 5 4 3 2 1 達成状況 自己の新たな課題 5 できた 4 だいたいできた 3 半分できた 2 あまりできなかった 1 できなかった (85% 以上 ) (70% 以上 ) (50% 以上 ) (20% 以上 ) (20% 未満 )
自己目標管理シート活用の基本 1 各自が看護部方針や所属目標に結びついた目標達成を図る 2 各自の遂行した実践を客観的に評価する 3 本人の意見や考えを尊重し自己啓発を促す 4 看護課長とスタッフのコミニュケーションを図り 相互理解によって仕事のしやすい環境を作る
自己目標管理シート ( 左半分 ) 平成年度 ( スタッフ用 ) 所属 目標 ( 達成すべきゴール ) 氏名 具体的実施計画 ( 方法 いつ 何を どうすのか 工夫 ) 中間自己評価月日 5 4 3 2 1 課長評価月日 5 4 3 2 1 達成状況 最終評価自己評価月日 5 4 3 2 1 課長評価月日 5 4 3 2 1 達成状況 自己の新たな課題 5 できた 4 だいたいできた 3 半分できた 2 あまりできなかった 1 できなかった (85% 以上 ) (70% 以上 ) (50% 以上 ) (20% 以上 ) (20% 未満 )
自己目標管理シート ( 右半分 ) 1. 過去 1 年間で所属に最も貢献できた思うことを具体的に記述してください 2. 自己 PR( 得意なこと 長所 短所など何でもよい ) 執務態度目標 ( 情意目標 ) 5. できた 4. だいたいできた 3. できた 2. あまりできなかった 1. できなかった 前期評価 後期評価 自己課長自己課長 執 務 態 度 ( 情 意 面 ) 起立性積極性協調性責任制自制心 就業規則や職場のルールを守り秩序の維持に努める ( 他に 2 項目 ) 言われたことしかやらないのでなく 良いと思ったことは進んで実行する 組織の中で自分の位置や立場を理解し 役割にふさわしい行動をとる ( 他に 2 項目 ) 与えられた仕事は責任を持って最後までやり遂げる ( 他に 2 項目 ) いやなことや困難な状況でも忍耐強く物事を受け止めている
短期目標設定の練習 目標が大きすぎる 安全にできてないと感じた検査は? それは何が問題? 目標 ( 達成すべきゴール ) 技術の向上に努め 検査や治療が安全 安楽に行える 検査 検査は誰がついても 安全 安楽にできるよう レベルを統一する リーダーの B さんの目標 マニュアルを作成するまではよい 安全 安楽に行うのが目標であれば マニュアル通りできるまでの具体策が必要 具体的実施計画 標準検査マニュアルを 8 月までに作成する 1.4 月に担当グループを決め 7 月までにマニュアルを作成する 2.8 月の所属会で説明し 承認を得た後 使用開始する 3.11 月にマニュアル通り安全にできているか 担当者がついて評価する 14
A さんのキャリアプラン ( 中長期目標 ) 5 年後 (H 年 月 ) : ストーマケアに対する知識 技術を身につけ 院内において活用してもらえる人材になる 3 年後 (H 年 月 ): 1. ストーマに対する基本的知識 技術を他のスタッフに教え 育成できる 2. ストーマ外来の充実を図る 1 年目 ( 年 月 ) 2 年目 ( 月 月 ) 3 年目 ( 月 年 ) ストーマ外来を支援できるメンバーを育成する ストーマ外来を自主的に運営できる 次年度 院内で開催する研修の準備ができる ストーマに対する基本的知識 技術を院内教委員会主催の専門コースで講義ができる
A さんのキャリアプラン 目標設定の動機
中 長期目標に取組むまでの経過 最初は年度毎の目標にあげて取組んだ 院外でのストーマケアの研修に積極的に参加した 病棟勤務しながらストーマ外来を担当させてもらい ET ナースの指導を受けて 知識 技術の習得に努力した 一定の知識を得た後 平成 年 月勤務異動で外来へ
3 年間の具体策 平成 年度目標 (1 年目 ) ストーマ外来を支援できるメンバーを育成する 具体的実施計画 1. 勉強会を毎月 1 回実施する 2. ストーマ外来にメンバーが参加できるよう業務調整をする 3. ストーマ外来終了後 カンファレンスを実施する 4.6 ヵ月後からメンバーが患者指導に参加できる
3 年間の具体策 平成 年度目標 (2 年目 ) ストーマ外来を自主的に運営できる 次年度 院内で開催する研修の準備ができる 具体的実施計画 1. 洗腸 ウロストミーの指導書を作成する 2. 管理困難な患者の指導ができる (ET の支援を受けながら ) 3. ストーマ外来の前後にカンファレンスをもつ 4. 事例の整理をする 5. 院外の学習会に参加する 6. 研修の資料を作成する
ストーマに対する基本的知識 技術を院内の専門コースで講義ができる 具体的実施計画 3 年間の具体策 平成 年度目標 (3 年目 ) 1 回目ストーマの関連用語 ストーマの種類について 2 回目オストメイトのもつ不安について ストーマの位置決めとマーキング 術前オリエンテーション 3 回目術後の観察ポイントと合併症について 術後ケアのポイントとスキンケアについて ストーマ管理と装具について 4 回目装具交換について
看護部活動方針から所属目標決定までのサイクル 所属運営サイクル 1~2 週目 2 週目 チーム会 所属会 4 者会 課長 主任 3~4 週目 担当次長 チームリーダー サブリーダー 3 週目 メンバー リーダー 担当主任 リーダー会 サブリーダー 主任 課長 21
看護部活動方針から所属目標決定までのサイクル 部長室と課長 で活動方針 の決定 4 者会で 課長は主任に活動方針を説明し所属目標を検討 リーダー会で検討 ( 各チームリーダー サブリーダー 主任 課長 ) 2 月 所属目標決定 4 者会 チーム会 4 月 所属会 リーダー会 リーダー会 具体的活動計画決定 所属会 5 月 所属目標 具体的活動計画提出 所属会で 課長から活動方針と リーダー会で検討した所属目標の説明 チーム会で検討 ( チームリーダー サブリーダー メンバー 主任 3 月 4 者会 22