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ドリル No.6 Class No. Name 6.1 タンパク質と核酸を構成するおもな元素について述べ, 比較しなさい 6.2 糖質と脂質を構成するおもな元素について, 比較しなさい 6.3 リン (P) の生体内での役割について述べなさい 6.4 生物には, 表 1 に記した微量元素の他に, ど

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取り 無水硫酸ナトリウムを加え脱水処理を行い 15,000rpm で 5 分間遠心分離処理し 得られた油層を精油サンプルとした 2) 減圧水蒸気蒸留法アスピレーターで減圧することによって得た約 40 の水蒸気を 破砕したサンプルに吹き込むことにより得られた精油を含んだ水蒸気として回収した 3) 溶媒

はじめに ベイピングとも呼ばれる電子タバコが普及するにつれて 電子タバコリキッドに含まれる化合物の分析も一般的になりつつあります 電子タバコリキッドは バッテリ式加熱ヒーターで加熱するとエアロゾルになります 1 液体混合物中の主成分は プロピレングリコールとグリセロールの 種類です 主成分に加えて

 

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

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日本の杉セミナー杉を科学する 4/4/2015( 東京 ) 樹木香気成分の吸入による神経 生理に及ぼす効果 岐阜大学応用生物科学部 応用生命科学課程 分子生命科学コース 光永徹 ( 天然物利用化学研究室 ) 講義内容 ニオイの歴史と基礎科学 ニオイ成分の機能性と有効利用 スギ精油の健康増進効果

アロマとは? アロマバス, アロマオイル, アロマセラピー 有機化学的には Aromatic compound ( 芳香族化合物 ) を持つ化合物 テルペノイド ( 非芳香族 ) バニリン ケイヒアルデヒド ( バニラクリーム ) ( シナモン ) メントール 一般的には芳香族化合物に限らずいいニオイがする物質

ニオイとは? 匂い 香る ( 薫 ) ニオイ ( 香水 植物の香り 食品フレーバー ) 臭い いやなニオイ ( 屎尿 糞臭 生ゴミ臭 加齢臭 ) 空間を飛べる しかし 二酸化炭素や一酸化窒素は? ハエや蚊にとっては立派なニオイである 揮発性の分子で 空間を飛んできて 生物によって受容される物質 魚は? 生物の嗅覚組織で感知される物質

ニオイ物質と生理活性物質 生体内生理活性物質 OH OH HO O NH 2 O CH 3 COOCH 3 OH NH 2 N H ドーパミンセロトニンアスピリンテストステロン ( 神経伝達物質 ) ( 抗炎症剤 ) ( 男性ホルモン ) O ニオイ物質 OH OH OCH 3 COOCH 3 N H O オイゲノール スカトール サリチル酸メチル アンドロステノン ( クローブ ) ( 糞臭 ) ( サロンパス臭 ) ( 尿臭 ) ニオイ物質は身体内で機能する生理活性物質と変わらない低分子化合物である

サンダルウッド 聖徳太子も驚いた沈香とその薬効 沈香木 (Aquilaria agallocha ジンチョウゲ科 ) ミャンマー ベトナム周辺に生育するアキラリア属の樹木, 595 年に淡路島に漂着 微生物などに対する防御物質 ( ファイトアレキシン ) の樹脂が香り成分の主体 結核菌やチフス菌に有効 足利義政 織田信長 明治天皇により聞香 白檀 (Santalum album, ビャクダン科 ) インド スリランカに生育するサンダルウッドと呼ばれる木 精油は抗うつ 消炎 抗ニキビ うるおい付与 日本では天智天皇 (671 年 ) のころからお香として親しまれた仏教の香り

香りを愛した美女たち クレオパトラ (B.C.69-30) バラ 麝香 霊猫香 ( シベット ) 龍涎香 ( アンバーグリス ) シーザー 楊貴妃 (8 世紀中頃 ) 白檀の家 体身香として龍脳を服用 中枢神経興奮作用 玄宗皇帝 小野小町 (9 世紀初頭 ) 深草の少将 沈香や白檀を巧みに使った 妖艶な香り

世界を変えたナツメグとメースの驚くべき薬効 クリストファー コロンブス アメリカ大陸発見者として有名 実は スパイスを探し求める航海でたまたま大陸発見 パンダ諸島にはナツメグ メース クローブ コショウが豊富であった ( 黄金に勝る香料の宝庫 ) ニクズク科の植物の果実の皮 ( メース ) 種の中の仁 ( ナツメグ ) 肉の防腐効果と味付け 中世ヨーロッパでは健胃薬や感染症の特効薬に利用 17 世紀に大流行したペストの特効薬として重宝

麝香の香りでノーベル賞 ジャコウジカ ネパール チベット シベリアあたりの高地に生息する 麝香 オスの包皮線から分泌されるニオイの正体 動物の糞臭で鼻に残るニオイ 希釈するとセクシーな香り? 成分 : ムスコン ( 大環状ケトン ) レオポルド ルチカにより発見 (1926) 合成研究ノーベル化学賞 (1939) 薬理作用 : 強心作用 男性ホルモン様作用 抗炎症作用抗ヒスタミン作用 中枢興奮作用 O CH 3

虫の好かない樟脳と龍脳 樟脳 クスノキ各部の水蒸気蒸留で得られる精油の主成分 中枢神経興奮剤 皮膚刺激薬 O 龍脳 リュウノウジュ ( フタバガキ科 ) の主要成分で香料 清涼剤 別名ボルネオールという OH

歯医者さんの香り クローブの威力 クローブ ( 丁子 ) フトモモ科植物の花の精油 歯痛の緩和剤 成分 : オイゲノール (euginol) 局所麻酔作用 クローブ油は紀元前四世紀にアリストテレスによってはじめて蒸留された 正倉院の御物にも加えられた OCH 3 肉の臭みを抑える天然の防腐剤 抗菌剤法内殺菌効果がありペスト感染にも威力を発揮した OH ゴキブリ忌避剤, 日本刀のさび止め

スパイスのスタージンジャー 新鮮な根茎を生姜 ( ショウキョウ ) とよび乾燥したものを乾姜 ( カンキョウ ) という ショウガ 食用の他 芳香胃健薬 風邪薬 鎮吐薬 鎮痛薬 湿布薬 主成分 : ジンゲロイン ジンゲロール 辛味と同時に温感を与える 抗アレルギー作用 O OH HO OCH 3

嗅覚の閾値と感度 生活空間のニオイの濃度 公園 ピネン 青葉アルコール 金木犀 森林 ピネンなどテルペン類 大便時 メチルメルカプタン アンモニア アミン類 ppt (10-12 ) 1 兆 ppb (10-9 ) 10 億 ppm (10-6 ) 100 万 人間の検知閾値 アミルメルカプタン 0.8ppt スカトール 6ppt メチルメルカプタン 70ppt イソ吉草酸 80ppt 酢酸 6ppb ピネン 20ppb 塩素 50ppb ホルムアルデヒド 500ppb アンモニア 2ppm プロパンガス 1500ppm

どうしてニオイを感じるのでしょう ニオイ分子嗅粘膜嗅覚受容体嗅覚神経嗅球 ニオイの記憶倉庫 海馬 におい分子 自律神経系やホルモンの制御 各脳組織 ニオイ分子

ニオイを感じる仕組み 嗅繊毛 神経細胞の外と内で電位差が生じる 匂いの電気信号として脳へ伝わる 脳 匂い分子

匂い分子と嗅覚受容体の組み合わせ 化学受容体の科学 ( 化学同人 ) から抜粋

運動している状態

自律神経系の働き

嗅覚受容体遺伝子数 生物総数機能受容体数偽遺伝子率 ヒト 802 388 52% ほ乳類鳥両生類魚昆虫 マウス 1391 1037 25% ラット 1493 1202 20% ニワトリ 554 78 86% カエル 888 410 54% ゼブラフィッシュ 133 98 26% フグ 94 40 57% ショウジョウバエ 62 62 0% 蚊 79 79 0% ミツバチ 170 163 4%

森林の香りによる精神 健康に関する研究 豊富なバイオマス資源である樹木成分に関する研究 森林浴 Phytoncide 成分 ヒノキ精油 アロマテラピー, 芳香剤, ヒノキ風呂 リラクゼーション効果 感覚的なアンケート調査が先行 香りの効果を科学的に証明 木材由来の香りについて肥満抑制効果を検討

サイプレス材香気成分の吸入が肥満因子の抑制及び 自律神経活動に及ぼす効果

サイプレス ( 豪州ヒノキ ) について : C. glaucophylla C. glaucophylla の燐片葉 製材所の鋸屑の山 製品 シロアリ塚に立つサイプレス 大鋸屑の焼却炉 サイプレス材で造った住宅

マウスの飼育実験 1 おが屑, 板材を床敷きにしたマウス実験 マウス : ddy 系 5 週齢雄性クリーンマウス ( 日本 SLC) 餌 : 基本飼料 + サフラワー油 (5%)+ コレステロール (1%) の固形餌 条件 : 水, 餌は自由摂取 25 下 期間 : 4 週間 鉋屑を床敷にした飼育 板材を床敷にした飼育

Weight (g) (mg/dl) サイプレス板材で飼育したマウスの体重変化および血中の TC, TG 量 TG が 2/3 に低減!! 体重 (g) 45.00 40.00 35.00 30.00 25.00 20.00 15.00 10.00 5.00 cypress control n =15 p<0.01 Control CY 300 250 200 150 100 0.00 0 5 10 15 20 25 飼育開始からの日数 ( 日 ) Breeding date (day) マウスの体重変化 50 0 TC TG 血中のコレステロール, 中性脂肪濃度

精油の蒸留方法 チップ 水蒸気蒸留 木粉や抽出物 熱水蒸留

植物香り成分の分析に欠かせない機器 ガスクロマトグラフィー質量分析装置 核磁気共鳴装置 600 MHz &400MHz

Intensity CEO GC-MS 分析結果 分析条件 Instrument : Shimadzu GCMS-QP 5050A Injection temperature : 250 Ionization voltage : 70eV Ionization mode : EI Data processing method : Sprit Sprit ratio : 25.0 Column : DB-5 MS [J&W scientific 0.25(φ)mm 30(L)m] Column temperature : 80 (isothermal for 2 min.) with an increase of 5 / min. to 250 (isothermal for 9 min.) Carrier gas : He Frow rate : 42ml/min Detector temperature : 250 MS detection : 40-500m/z モノテルペン セスキテルペンアルコール 2 guaiol 3 γ-eudesmol 4 β-eudesmol 5 α-eudesmol 4 2 含酸素セスキテルペン 1 citronellic acid 1 3 5 6 dihydrocolumellarin 7 columellarin 6 7 Retension time (min.) 26

Intensity 日本産ヒノキ精油 GC-MS 分析結果 セスキテルペン炭化水素 1 copaene 2 (+)-γ-cadinene 3 α-cadinene 4 (-)-γ-cadinene 5 δ-cadinene 4 5 セスキテルペンアルコール 3 1 2 6 7 6 τ-muurolol 7 τ-cadinol Retension time 27

マウスの飼育実験 2 精油 (CEO) を含んだ空気を吸入したマウス実験 最初の 3 日間はコントロール溶液 ( 水 ) をバブリングして ケージ内に送る ( 予備飼育 ) 続く 5 日間は希釈した精油溶液をバブリングしてケージ内に送る ( 本飼育 ) 本飼育終了後に血清, 肝臓中の TC,TG 分析 精油溶液

CEO 吸入マウスの体重変化 Body weight (g) 55 50 45 40 35 30 25 20 有意に減少 コントロール群高脂肪食群精油群 0 10 20 30 40 Time (day) -1 0 10 20 30

CEO 吸入マウスの脂質分析 300 250 血清 TC 200 160 血清 TG TC conc. (mg/dl) 200 150 100 50 TG conc. ( mg/dl ) 120 80 40 TC conc. ( g/dl/liver ) 25 コントロール群に比べ 20 15 10 5 0 0 コントロール群高脂肪食群精油群 有意に増加 肝 TC * 減少傾向 コントロール高脂肪食群精油群 60 50 コントロール群に比べ 40 TG conc. ( g/dl/liver ) 30 20 10 0 0 コントロール群高脂肪食群精油群 有意に増加 肝 TG *p<0.05 vs. コントロール群 **p<0.05 vs. 高脂肪食群 コントロール群高脂肪食群精油群 * ** 高脂肪食群に比べ有意に減少

CEO 吸入マウスの脂肪重量 Weight of epididymal adipose tissue (g) 2.5 2 1.5 1 0.5 0 コントロール群に比べ有意に増加 コントロール群高脂肪食群精油群 * *p<0.05 vs. コントロール群 **p<0.05 vs. 高脂肪食群 高脂肪食群に比べ有意に減少 **

Liver weight (g) 肝臓重量 4.0 **p<0.01 vs. HFD group * p<0.05 vs. HFD group 3.5 3.0 2.5 ** * 2.0 1.5 1.0 0.5 減少傾向 有意に減少 0.0 HFD CA GE G

TC conc. (mg/dl/liver) TG conc. (mg/dl/liver) 肝臓脂質 肝臓 TC 70000 60000 50000 40000 30000 20000 10000 0 HFD CA GE G * * 有意に減少 *p<0.05 vs. HFD group 肝臓 TG 50000 45000 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 HFD 群 CA 群 GE 群 G 群 0 減少傾向 有意に減少 HFD CA GE G * 減少傾向 *p<0.05 vs. HFD group 正常な肝臓

香気成分が交感神経系に及ぼす影響 嗅覚受容体 香り 嗅神経 大脳視床下部 交感神経系 ノルアドレナリン 交感神経活動測定副腎髄質 アドレナリン ノルアドレナリン TG( 中性脂肪 ) リパーゼ FFA FFA リパーゼ TG( 中性脂肪 ) 褐色脂肪細胞 UCP1 UCP1 UCP1 体熱産生 白色脂肪細胞温度測定 CEO の吸入による肥満抑制メカニズムの解明 活性成分の特定 34

実験動物 実験動物 12~13 週齢雄 Wistar ラット ( 体重 280-320g) 室温 25,12 時間のライトサイクルで飼育試料及び水は自由摂取ウレタン溶液の腹腔内投与により麻酔 測定項目 肩甲骨間褐色脂肪組織支配交感神経の神経活動 (BSNA : Brown adipose tissue Sympathetic Nerve Activity) 肩甲骨間褐色脂肪組織 肩甲骨間褐色脂肪組織周辺の組織温度 交感神経 35

BSNA 測定 1 ~ 神経の取り出し方 ~ 褐色脂肪組織 1 2 3 交感神経 末端側 中枢側 肩甲骨 褐色脂肪組織 肩甲骨 4 銀線電極 5 マニュピレーター 銀線電極 交感神経 36

BSNA 測定 2 ~ 神経活動の収録 解析法 ~ 中枢側 銀線電極 生体電位増幅器 Power Lab モニタリング 収録 解析 オシロスコープ PC 神経 末端側 神経活動 スパイクヒストグラム 37

BSNA 測定 3 ~ データの変換 匂い刺激 ~ スパイクヒストグラム 変換 5min. 5min. 5min. 5min. 5min. 5min. 5min. 5min. 5min. 経時変化のグラフ 300 250 蒸留水で 100 倍希釈した試料を紙コップ内のキムワイプに滴下し, ラットの鼻に近づける BSNA(%) 200 150 100 50 10min. 0 0~5 5~10 15~20 20~25 25~30 30~35 35~40 40~45 45~50 Time(min.) 38

褐色脂肪組織周辺の温度測定 褐色脂肪組織 温度センサー Power Lab 記録 PC 肩甲骨 測定結果 温度センサー temperature ( ) 35.5 35.0 10min. 34.5 34.0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 50 60 Time(min.) 39

BSNA(%) GPNA(%) BSNA(%) 温度 ( ) 測定結果 1 日本産ヒノキ精油と CEO の比較 日本産ヒノキ精油 100 倍希釈溶液 300 交感神経活動 (10min. ごと ) 250 組織温度 36.0 CEO 200 水 ヒノキ精油 35.5 150 100 35.0 50 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 CEO 100 倍希釈溶液 Time(min.) 34.5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 50 60 Time(min.) 交感神経活動 (5min. ごと ) 副交感神経活動 (5min. ごと ) 600 500 CEO 300 250 400 200 水 CEO 300 200 100 0 150 水 100 50 ヒノキ精油は交感神経を抑制 0 0 10 20 30 40 CEO 50 60 は交感神経の活性化によりエネルギー消費を増大 70 80 90 100 110 120 130 140 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 Time(min.) Time(min.) 40

Temperature( ) BSNA(%) 測定結果 1 CEO BSNA 700 ** p<0.01 vs. water 600 * p<0.05 vs. water ** 500 ** ** ** 400 水 ** * * 300 200 100 0 温度測定 36.0 CEO CEO 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 145 Time(min.) (n=5) (n=5) 35.5 35.0 34.5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 50 60 CEO は交感神経の活性化によりエネルギー消費を増大 Time(min.) 41

CEO 成分分画 ホワイトサイプレス心材木粉 熱水蒸留 CA 画分 液 - 液分配 中性 フェノール性画分 CEO シリカゲルカラムクロマトグラフィー (-)-citronellic acid GE 画分 分取 HPLC guaiol eudesmol 画分 DC 画分 guaiol β-eudesmol dihydrocolumellarin guaiol α-eudesmol β-eudesmol γ-eudesmol α-eudesmol γ-eudesmol 分画したCEOの成分を匂い刺激の試料に使用活性成分の特定 columellarin 42

BSNA(%) BSNA(%) BSNA(%) 測定結果 2 CA 画分 GE 画分 DC 画分 300 250 200 150 100 50 0 500 400 300 200 100 0 300 250 200 150 100 50 0 BSNA CA 画分 100 倍希釈溶液 水 GE 画分 100 倍希釈溶液 水 DC 画分 100 倍希釈溶液 水 CA 画分 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 GE 画分 DC 画分 Time(min.) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 Time(min.) GE 画分に活性あり 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 Time(min.) (-)-citronellic acid guaiol β-eudesmol α-eudesmol γ-eudesmol ( ) 36.0 35.5 35.0 34.5 GE 画分 dihydrocolumellarin guaiol columellarin とeudesmol 画分で検討 温度測定 0 10 20 30 40 50 Time(min.) 43

BSNA(%) BSNA(%) 測定結果 3 guaiol eudesmol 画分 BSNA 温度測定 400 guaiol 100 倍希釈溶液 guaiol ( ) 36.0 guaiol 300 200 水 guaiol 35.5 35.0 100 34.5 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 Time(min.) 0 10 20 30 40 50 Time(min.) 400 300 200 100 0 eudesmol 画分 100 倍希釈溶液 水 eudesmol 画分 36.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 Time(min.) β-eudesmol guaiol と eudesmol 画分に活性あり α-eudesmol γ-eudesmol ( ) α-,β-,γ-eudesmol それぞれに活性があるか検討 35.5 35.0 34.5 eudesmol 画分 0 10 20 30 40 50 Time(min.) 44

α-,β-,γ-eudesmol の単離 ホワイトサイプレス心材木粉 熱水蒸留 CEO シリカゲルカラムクロマトグラフィー ゼラニウム精油 シリカゲルカラムクロマトグラフィー α-eudesmol β-eudesmol γ-eudesmol α-eudesmol 単離したCEO β-eudesmol の成分を匂い刺激の試料に使用 γ-eudesmol 活性成分の特定 45

BSNA(%) BSNA(%) BSNA(%) 測定結果 4 α-,β-,γ-eudesmol BSNA α-eudesmol 100 倍希釈溶液 400 300 200 100 0 β-eudesmol 100 倍希釈溶液 400 300 200 100 0 水 β-eudesmol 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 γ-eudesmol 100 倍希釈溶液 400 300 200 100 0 水 水 α-eudesmol 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 γ-eudesmol Time(min.) Time(min.) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 α-eudesmol β-eudesmol β-eudesmolに顕著な活性あり γ-eudesmol ( ) 36.0 α-eudesmol ( ) 36.0 35.5 35.0 β-eudesmol 34.5 Time(min.) 0 10 20 30 40 50 ( ) 36.0 γ-eudesmolはbsnaを増加させる傾向あり 34.5 Time(min.) 0 10 20 30 40 50 Time(min.) 35.5 35.0 34.5 Time(min.) 0 10 20 30 40 50 35.5 35.0 γ-eudesmol 温度測定 46

交感神経系活性化と脂質代謝 温度測定 褐色脂肪組織 熱産生 副腎 CA CA 交感神経 脳 交感神経 NA 中性脂肪 (TG) 遊離脂肪酸 FFA UCP1 UCP1 UCP1 UCP1 血管 交感神経活動測定 肝臓 グリコーゲン Glc グルコース CA 中性脂肪 血中 CA 量測定 遊離脂肪酸 FFA 白色脂肪組織 血管 肥満抑制メカニズムの全体像の解明 末端組織 熱産生

スギ精油の健康増進効果を切り口とした新規機能性の探索 48

講義内容 1. 背景 目的および研究概要説明 2. スギ葉精油の調製と成分分析 蒸留方法 GCMS 分析 3. 動物実験 交感神経活動測定および熱産生測定 4. 被験者実験について 脳波の周波数解析 気分検査 (POMS)

背景および目的 スギ (Cryptomeria japonica) 常緑針葉樹古くから木材として利用 日本各地に人工林 現状 外国産の安価な木材の普及による需要低下 林業従事者の減少 人工林の放置 +スギは他の木材と比べて安価 付加価値の高いスギの活用法が求められている 目的 * 香り成分 ( 精油 ) に着目したスギの新規利用法の提案 * 国産スギの需要拡大への寄与

研究概要図 宮崎県木材利用技術センター みや 水蒸気蒸留装置による精油調製 減圧式マイクロ波水蒸気蒸留装置による精油調製 森林総合研究所 テルペン類の組成分析 精油分析と成分特定 GC-MS 分析 動物実験 ヒト試験 麻酔下ラットの交感神経活動測定 岐阜大学 生体計測 : 脳波 心電図 心理計測 :VAS( においの印象に関するアンケート ) POMS( その時の気分に関するアンケート ) 九州大学 スギ葉精油香気成分の健康増進効果に関する科学的エビデンスの蓄積森林医薬アロマセラピーの構築

実験状況 VMSD 法 VMSD( 減圧式マイクロ波水蒸気蒸留 ) 法 Vaccume Microwave-assisted Steam Disitillaton VMSD 装置概略図 減圧状態で抽出 低温での抽出が可能 = 従来法 (SD 法など ) より揮発性の高い香り成分の損失が少ない

実験状況 VMSD 法 試料スギ ( 針葉 ) 2.5 kg VMSD 装置 抽出条件 減圧度 : -90 kpa 最高温度 : 70 マイクロ波出力 : 24 kw ( 缶内温度 50 でマイクロ波振とう開始 ) 抽出時間 :30 分 or60 分 or90 分 現時点では 精油の分離に至らなかったため 抽出条件を再検討中

成分分析 スギ葉精油 材料 スギ針葉精油 ( 水蒸気蒸留 6h) 宮崎県木材利用センター須原氏よりご提供頂いた 方法 ジエチルエーテルで 3 µl/ml に希釈 GC-MS(QP5050A Shimadzu) に 1 µl インジェクション 表 1 分析条件 カラム GC-MS QP5050 (Shimadzu) DB-5 (30 m 0.25 mm : 膜厚 0.25 µm) 気化室温度 230 キャリアガス He インターフェース温度 230 スプリット比 1:30 昇温条件 60 (3 分 ) 3 / 分で昇温 230 (20 分 )

Intensity スギ葉精油 GC-MS 分析結果 : スギ葉精油 (VMSD 法 ) 1 モノテルペン類 1α-pinene 2camphene 3 sabinene 4β-pinene 5β-myrcene 6terpinolene 7limonene 8γ-terpinene 9terpinolene 10cis-sabinene hydrate 11bornyl acetate 7 セスキテルペン類 ジテルペン類 4 35 12longifolen 13thujopsene 14α-cadinene 15β-elemene 16cubenol 17sandaracopimar-15-en- 8.beta.-yl acetate 6 8 10 2 9 11 13 12 14 15 16 17 0 5 10 15 20 25 30 35 Retention time (min.)

絶対強度 成分分析 スギ葉精油 (SD 法 ) 分析結果 24ピーク検出スギ精油 GC-MS 分析結果 40000000 35000000 3 30000000 25000000 5 20000000 15000000 10000000 5000000 0 17 7 11 2 12 14 24 1 4 6 9 13 15 16 18 8 10 19 21 20 2223 3 13 23 33 43 53 保持時間 ( 分 ) 図 1. スギ精油 GC-MS クロマトグラム

成分分析 スギ精油 同定結果 24 ピーク中 22 ピーク同定 M: モノテルペン炭化水素類 MA: モノテルペンアルコール類 S: セスキテルペン炭化水素類 SA: セスキテルペンアルコール類 D: ジテルペンアルコール類 O: その他 表 2. 成分同定結果 No. 化合物名 分類保持時間面積 (%) 1 3-Hexen-1-ol O 3.601 0.2 2 Thujene M 5.557 2.84 3 a-pinene M 5.798 27.55 4 Camphene M 6.305 0.77 5 Sabinene M 7.257 22.71 6 b-pinene M 7.364 1.75 7 b-myrcene M 7.984 5.62 8 Ocimene M 8.755 0.29 9 a-terpinene M 9.034 1.91 10 b-cymene M 9.367 0.94 11 Limonene M 9.571 5.91 12 g-terpinene M 10.957 3.52 13 Terpinolene M 12.333 1.18 14 b-linalool MA 16.585 4.64 15 a-fenchyl acetate O 21.799 0.55 16 Caryophyllene S 27.816 0.57 17 Thujopsene S 28.294 10.66 18 b-farnesene S 29.564 0.78 19? O 31.493 0.27 20? O 32.295 0.69 21 Elemol SA 33.347 2.3 22 b-eudesmol SA 37.316 0.64 23 a-eudesmol SA 37.44 0.66 24 Kaurene D 50.205 3.05

成分分析 スギ葉精油 成分分析結果表 2 の結果から それぞれの成分を分類ごとにまとめた スギ精油成分分析結果 3.6 3.051.71 モノテルペン炭化水素類 4.64 12.01 モノテルペンアルコール類 セスキテルペン炭化水素類 セスキテルペンアルコール類 74.99 ジテルペン類 その他 図 2. スギ精油成分分析結果

動物実験

香りと自律神経系 ( 交感 副交感神経 ) 香気成分 視床下部 嗅覚受容体 交感神経 副交感神経 褐色脂肪組織白色脂肪組織副腎胃小腸 etc... etc... 心拍数増加 エネルギー消費増大 興奮 褐色脂肪組織とは 心拍数減少 消化吸収促進 交感神経の活性化にともない中性脂肪を酸化分解し, 褐色脂肪組織交感神経活動測定熱として放出する脂肪組織 褐色脂肪組織温度測定 リラックス

実験動物による自律神経活動の測定 11~13 週齢雄 Wistar 系ラット ( 体重 270~320g) 室温 25 で飼育 12 時間ライトサイクル 飼料, 水は自由摂取 麻酔 ウレタン溶液の腹腔内投与 測定項目 肩甲骨間褐色脂肪組織の交感神経活動 (Brown Adipose Tissue Sympathetic Nerve Activity=BAT-SNA) 褐色脂肪組織温度 (Brown Adipose Tissue Temperature=BAT-T)

1 BAT-SNA 測定方法 1 褐色脂肪組織 2 末端側 肩甲骨 中枢側 交感神経の束 3 末端側 4 結合組織を除去してない神経 結合組織を除去した神経 中枢側

BAT-SNA 測定方法 2 電極 神経 Power Lab システム オシロスコープ 生体電位増幅器

BSNA (%) スパイクヒストグラムと経時変化 スパイクヒストグラム 刺激中 スパイク 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 10 分 ベース 変換 500.0 450.0 400.0 350.0 300.0 250.0 200.0 経時変化 紙コップ設置 (60 分 ) 紙コップの設置による BSNA の大きな変動は見られなかった 150.0 100% 100.0 50.0 0.0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 Time (min.) 横軸を時間, 縦軸を褐色脂肪組織交感神経活動 (BSNA) として 10 分ごとの神経活動の推移をグラフにする

BAT-SNA (%) BAT-SNA 結果 : スギ葉精油 スギ葉精油 (VMSD) 500 BAT-SNA が匂い刺激中に 31.2% に減少 交感神経が抑制 31.2% 450 400 350 300 250 Water (10min.) BAT-SNA 減少 スギ葉精油 (10min.) 200 150 100 50 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 Time (min.)

BAT-T ( ) 褐色脂肪組織 BAT-T 測定方法 肩甲骨 刺激中 温度センサー スギ葉精油 (10min.) 測定 37.5 37.0 36.5 スギ葉精油 (10min.) Olfactory Stimulation (10min.) 0 10 20 30 40 50 60 Time (min.) Power Lab システム 記録 PC

GPNA(%) 胃支迷走神経 ( 副交感神経 ) 活動測定 副交感神経活動測定 食道 銀線電極 迷走神経 パラフィン - ワセリン混合液 胃 迷走神経 金属板 400 スギ葉精油水 (10min.) 300 200 100 0 100 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 Time(min.)

動物実験 ( ラット ) のまとめ スギ葉の減圧マイクロ波蒸留法 (VMSD) による精油は モノテルペンを主要成分とする爽快感のある精油である スギ葉 VMSD 精油の吸入により 交感神経活動が低下し 副交感神経が興奮した スギ葉香気成分は 胃腸の働きを良くし リラックス効果を高める機能を持つと期待できる

被験者実験

材料 スギ針葉精油 (SD 法 ) 実験概略 1 試験区 (4 試験区 ) 低濃度群 : スクアラン 5 ml+ 精油 2 µl 中濃度群 : スクアラン 5 ml+ 精油 20 µl 高濃度群 : スクアラン 5 ml+ 精油 200 µl コントロール : スクアランのみ スクアラン無色無臭不揮発性のオイル精油の濃度を調整するために使用 測定項目生体計測 : 脳波 心電図心理計測 :VAS においの印象に関するアンケート POMS その時の気分に関するアンケート

装置概略 実験概略 2 被験室内 被験室外 香り成分呈示 作業課題呈示 モニター 清浄空気 香り成分

実験概略 3 タイムスケジュール 作業前の安静課題 :Pre-rest(Pre) 作業後の安静課題 :Post-rest(Post) 脳波 心電図 30 分 5 分 30 分 5 分 30 分 準備 安静課題 ( 座位 閉眼 ) Pre 香り成分呈示 作業課題 ( 座位 開眼 ) オドボール 10 分 3 回 安静課題 ( 座位 閉眼 ) Post 心理計測 片づけ 安静課題 座ったまま 楽な姿勢で閉眼 作業課題 ( オドボール ) モニターにランダムに出る 3 種類の視覚刺激のうち 決まった刺激が出たときに手元のスイッチを押す 視覚刺激 Target

実験概略 4 作業課題 : 視覚 Oddball 課題 被験室外 被験室内 モニター Target 3 つの刺激がランダムな順序で提示される 真ん中の刺激が提示されたらボタンを押す 1 セット 10 分間 3 回

脳波の周波数解析 1 脳波とは? 脳波とは 脳内の神経細胞の電気的活動を巨視的に計測したもの (1 つの電極からは 極めて多くの神経細胞の活動を拾っています ) Fz C3 Cz C4 Pz Oz 本調査の電極の配置 ( 頭を真上から見た図 ) 電極ごとの波形

脳波の周波数 脳波の周波数解析 2 周波数の帯域によって 脳活動の種類が異なる 一般的には 脳波帯域 ( 成分の速さ ) は覚醒度と関係していて 覚醒度が低く眠いときには遅い成分が多くなり 覚醒度が高く活発な精神活動をしているときには速い成分が多くなる 覚醒度が低く眠いときに多くなる 覚醒度が高く活発な精神活動をしているときに多くなる 遅い成分 速い成分 帯域波形例 (5 秒間 ) 周波数 d( デルタ ) 波 0.5~ 3.5Hz q( シータ ) 波 4~7Hz a( アルファ ) 波 8~13Hz b( ベータ ) 波 14~30Hz g( ガンマ ) 波 36~44Hz

脳波の振幅 脳波の周波数解析 3 脳波の振幅が大きいときは 沢山の神経細胞が同期して活動しているが 脳波の振幅が小さいからと言って神経細胞が活動していないとは限らない 神経細胞がバラバラに活動しているときにも脳波振幅が小さくなる 帯域 d( デルタ ) 波 振幅が小さい波形の例 (5 秒間 ) 振幅が大きい波形の例 (5 秒間 ) q( シータ ) 波 a( アルファ ) 波 b( ベータ ) 波 g( ガンマ ) 波 神経細胞がバラバラに活動 沢山の神経細胞が同期して活動

Fz 脳波の周波数解析 Fz C3 Cz C4 Pz Oz Cz Pz Oz 遅い成分 速い成分 脳波の周波数解析 4 帯域波形の例 (5 秒間 ) 周波数 / 振幅 d( デルタ ) 波 q( シータ ) 波 a( アルファ ) 波 b( ベータ ) 波 g( ガンマ ) 波 ひとつの波形には複数の周波数成分が様々な割合 ( 振幅 ) で含まれている 周波数ごとに分解して調べる 0.5~3.5Hz 20~200mV 4~7Hz 20~100mV 8~13Hz 20~60mV 14~30Hz 2~20mV 36~44Hz 3~5mV

脳波の周波数解析結果 6 平均振幅 Pre-Post 変化の割合 (=Post/Pre) d( デルタ ) 波 遅い成分 : 深い睡眠時に生じる 現時点 (n=4) の結果 今後の実験で変わる可能性も 2 1.5 1 0.5 Fz 2 1.5 1 0.5 Oz 対照群 低濃度群 中濃度群 高濃度群 Bar=SE 0 対照群低濃度中濃度高濃度 高濃度群において Fz および Oz などで増加が観察 ( 統計的な有意差は未検定 ) 0 対照群低濃度中濃度高濃度 Fz Cz Pz Oz

脳波の周波数解析結果 7 平均振幅 Pre-Post 変化の割合 (=Post/Pre) q( シータ ) 波 遅い成分 : 若年成人で不愉快 愉快 眠気 現時点 (n=4) の結果 今後の実験で変わる可能性も Fz C4 2 1.5 1 0.5 0 対照群低濃度中濃度高濃度 2 1.5 1 0.5 0 対照群低濃度中濃度高濃度 対照群 低濃度群 中濃度群 高濃度群 Bar=SE 高濃度群において Fz などで増加が観察中濃度群において C4 で増加が観察 Fz Cz Pz Oz C3 Cz C4

脳波の周波数解析結果 8 平均振幅 Pre-Post 変化の割合 (=Post/Pre) g( ガンマ ) 波 現時点 (n=4) の結果 今後の実験で変わる可能性も 速い成分 : 前頭部 中心部感覚刺激に対して生じる 2 1.5 1 0.5 0 Oz 対照群低濃度中濃度高濃度 低濃度群において Oz および C4 などで増加が観察 2 1.5 1 0.5 0 C4 対照群低濃度中濃度高濃度 Fz Cz Pz Oz 対照群 低濃度群 中濃度群 高濃度群 Bar=SE C3 Cz C4

被験者実験まとめ a 波 b 波 : 実験群間で差は見られず d 波 : 高濃度群で増加が観察された q 波 : 高濃度群 中濃度群で増加が観察された g 波 : 低濃度群で増加が観察された 遅い成分 速い成分 遅い成分の増加が観察された 鎮静的な効果の表れ? 呈示する香りの濃度により作用が異なる可能性!! 速い成分の増加が観察された 覚醒的な効果の表れ? (n 数を増やして ) 統計的有意差が得られるか検討

本研究のまとめ スギ葉精油の高揮発性香気成分の吸入は 動物 副交感神経活動を亢進 ヒト 高濃度で鎮静効果 低濃度で覚醒効果 期待効果 リラクゼーション効果 快眠効果 消化管運動促進効果 脂肪分解促進効果 エネルギー消費増大効果 今後の検討課題 実験データの蓄積 機能性成分の特定 メカニズムの解明 森林医薬アロマセラピーの構築

機能性天然アロマ分子の将来展望 今後の検討 臨床実験の必要性 医療関係者との共同研究 エビデンスの追求 精油成分の相乗効果や濃度の影響 ホルモン タンパクおよび遺伝子の発現 発展性 高齢化社会に向けた 安心できる効果の高い天然成分の探索と商品開発の必要性 神経障害および脳機能障害等に関係する疾患の予防 回復に貢献する天然香気成分の探索と機能解明 - 肥満 糖尿病 アルツハイマー病 うつ病 -