第 7 回 沖縄県不動産市場 DI レホ ート ~ 地価と不動産取引の動向に関するアンケート調査結果 ~ 平成 29 年 11 月 公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会作成 後援 : 沖縄県
目次 調査結果の要点 ( 沖縄県全体の不動産市場動向 )... 2 ⅰ トピック ( アパートの空室率と収益性 )... 2 ⅱ 県内の地価動向... 5 ⅲ 県内の不動産取引における取扱件数の動向... 6 ⅳ 賃貸市場の動向... 7 Ⅰ 調査の概要... 8 ⅰ 調査の目的 内容... 8 ⅱ DI 指数... 8 ⅲ 地域区分... 9 ⅳ 今回調査の概要... 10 Ⅱ 調査結果の概要... 11 1 地価動向... 11 2 取扱件数の推移... 14 3 賃料水準 稼働率の動向... 18 1
調査結果の要点 ( 沖縄県全体の不動産市場動向 ) ⅰ トピック ( アパートの空室率と収益性 ) 今回 調査時点 (H29.11.1) にて県民の関心が高いであろうトピック ( 相続対策等 で建築されたアパートの空室率と収益性 ) ついて 最前線にいる不動産業者の意見を調査 した 1 空室率 県内全体で 空室率 5% 以下 が 48.9% であった 那覇市小禄地区では 60% 超 離島部では 80% 超が 空室率 5% 以下 となっている一方で 本島中部では 空室率 10% 以上 の回答が 20% を超えており 地域毎に需給ギャップが異なる 県内全体では 空室率が 5% 以下 との回答が 48.9% 5~10% が 39.7% 10% 以上 が 11.5% であった 空室率が低い地域は 那覇市小禄地区で 5% 以下 64.3% 5~10% 35.7% 10% 以上 0% 離島部で 5% 以下 83.3% 5~10% 16.7% 10% 以上 0% であった 2
空室率が高い地域は 本島中部で 5% 以下 41.5% 5~10% 35.8% 10% 以上 22.6% であった 2 収益性 県内全体では計画通りに収益を得られているとの回答がおよそ半数を占める 計画を上回る収益が得られている回答が約 1 割に対し 計画を下回る収益しか得られていないという回答が約 4 割みられた 特に本島中部では収益性が計画を下回っている割合が 50% を超えており 今後のアパート建築 運営の動向が注目される 県内全体では 収益性が 計画以上 との回答が 10.9% 計画通り が 51.9% 計画以下 が 37.2% であった 収益性が高い地域は 那覇市東部で 計画以上 26.3% 計画通り 47.4% 計画以下 26.3% 離島部で 計画通り との回答が 100% であった 収益性が低い地域は 本島中部で 計画以上 12.0% 計画通り 34.0% 計画以下 54.0% であった 那覇市やその周辺では 安定した稼働率と収益性が見込まれるとの意見もある中 古い物件は入居率が低いとのコメントも見られた 3
本島中部では 新築物件でも入居率が落ちている や 需要が分譲マンションに移行している など供給が過剰であるとの意見が多くみられた また 本島北部においても供給過剰であるとの意見がみられた 一方 離島部ではまだまだ賃貸物件の供給が不足していて 今後もアパート建築は続くであろうとの意見がでている 供給過剰な地域では 民泊等の従来のアパート経営と異なる収益性を求めていく必要があるとのコメントがあった 4
ⅱ 県内の地価動向 実感値はいずれも半年前よりも上昇 半年後は上昇感が和らぐと予測 調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の地価動向に関する実感値は 住宅地 商業地 軍用地のいずれもプラスで 前回よりも DI 指数が上昇しており 地価上昇を実感している回答者が増加した 特に商業地は +67P と住宅地や軍用地よりも高い DI 指数となっている また 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) の地価の動向に対する予測は住宅地 商業地 軍用地のいずれもプラスが続きながらも上昇感が和らぐ傾向がみられる 住宅地と商業地に比べ 軍用地上昇感が特に和らいでおり 今後の動向に注視する必要がある なお 前回調査時点 (H29.5.1) での半年後 (H29.11.1) の予測値は 住宅地 +35.4P 商業地 +38.0P 軍用地 +32.5P であったが いずれも今回調査の実感値が半年前の予測値を大きく上回った 5
ⅲ 県内の不動産取引における取扱件数の動向 実感値は 宅地と戸建住宅が増加した一方 マンションと軍用地は半年前よりも DI 値が減少した 半年後はいずれも現在と同様の傾向が続くと予測 調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の取扱件数の動向に関する実感値は 宅地 マンション 戸建がプラスであるものの マンションと軍用地の DI 値が減少 軍用地は調査開始 (H26.11.1) 以来 継続してマイナスで推移している 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) の取扱件数の動向に関する予測は 軍用地以外の類型で増加すると見られている 軍用地は依然として取引件数の減少を予測している なお 前回調査時点 (H29.5.1) での半年後 (H29.11.1) の予測値は 宅地 +12.6P マンション +13.2P 戸建住宅 +16.8P 軍用地-3.0P であり いずれも実感値が半年前の予測値を下回った 6
ⅳ 賃貸市場の動向 実感値は共同住宅の賃料が減少 共同住宅の稼働率 店舗等の賃料 稼働率が上昇 半年後はいずれも若干の落ち着きをみせると予測 調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の賃貸市場の動向に関する実感値は 共同住宅 店舗等ともに賃料 稼働率がプラスとなっており 県全体の賃貸市場が活性化している結果が現れた しかし 共同住宅の賃料は DI 値が減少しており 今後の動向が注目される 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) の賃貸市場の動向に関する予測値はいずれもプラスであり 賃料は上昇 稼働率は向上を続けると期待されている しかし いずれも予測値が減少しており 落ち着きを見せる可能性がある なお 前回調査時点 (H29.5.1) での半年後 (H29.11.1) 予測値は 共同住宅賃料 +7.2P 共同住宅稼働率 +0.7P 店舗等賃料 +10.3P 店舗等稼働率 +3.3P であり 今回調査の実感値はすべて半年前の予測値を上回った 7
Ⅰ 調査の概要 ⅰ 調査の目的 内容 本調査は 沖縄県の経済に大きな影響を及ぼす県内不動産価格や賃料の近時の動向や今後の見通しなどについて 県内不動産関連業者の意識を把握することにより 不動産市場の動向判断に関する基礎資料を得ること 及び本調査結果公表により 市場関係者の意思決定 市場環境の改善に資することを目的とする 調査時点における過去半年間の不動産市場の推移に関する実感と その後の半年間の予測について 県内不動産業者 ( 公益社団法人沖縄県宅地建物取引業協会 公益社団法人全日本不動産協会沖縄県本部いずれかの登録会員 ) にアンケート調査を郵送にて実施し その結果を DI として県全体ほか 地域区分別に集計した 調査事項は 地価動向 ( 住宅地 商業地 軍用地 ) 取扱件数の動向( 宅地 マンション 戸建住宅 軍用地 ) 賃貸物件の賃料水準 稼働率の動向( 共同住宅 店舗 事務所 ) である ( 詳細は参考資料の 調査票 を参照 ) ⅱ DI 指数 DI とは Diffusion Index( ディフュージョン インデックス ) の略で 現況や先行きの見通し 等において 定性的な判断を指標として集約加工した指数である 本調査における DI は 各判断項目について 5 個の選択肢を用意し 選択肢毎の回答数に基 づき 次式で算出する 例 ) 地価動向 上昇 やや上昇 横ばい やや下落 下落 不明 回答数 A B C D E F DI=(2A + B - D -2E) 2(A + B + C + D + E) 100 例えば 地価動向の DI がゼロを超えていれば 回答者は地価動向について前向き ( 上昇傾 向 ) に考えているといえる 理論上の DI の幅は ±100 の範囲となる 8
DI は 日銀短観等 製商品 サービス需給や在庫 価格 設備 雇用人員 資金繰り等様々 な項目についても作成されている ⅲ 地域区分 本調査では 沖縄県を 8 地域へと区分したが それぞれに含まれる字名 市町村等は以下のと おりである 9
ⅳ 今回調査の概要 調査時点: 平成 29 年 11 月 1 日実感に対応する期間 (H29.5.1~H29.11.1) 予測に対応する期間 (H29.11.1~H30.5.1) 発送数:1483 有効回収数:291 回収率:19.62% 回答者の主な営業地域 回答者の主たる業種 10
Ⅱ 調査結果の概要 本項では 地価動向 取扱件数の動向 賃貸物件の賃料水準 稼働率の動向のアンケート結果について DI 指数化したものをグラフ化した なお 以下の1から3で示したグラフにおいて横軸の H26.11 ~ H29.11 は実感値 H30.5 は H29 年 11 月時点における予測値を示している 1 地価動向 1 住宅地 11
2 商業地 3 軍用地 12
4 小括 住宅地 商業地 軍用地別のエリア別地価動向 DI は以下の通りである 住宅地調査時点における過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の地価動向に関する実感値は いずれのエリアでもプラス 県内全域で地価上昇が実感されているが 那覇市小禄地区 那覇市周辺部ではやや一服感が見られた 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) でもすべてのエリアで地価の上昇傾向が継続すると予測された ただし 全てのエリアで一服感が予測された 商業地いずれのエリアでも調査時点における過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の地価動向に関する実感値はプラス 県内全域で地価上昇が実感され すべての地域で上昇感が拡大した 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) でもすべてのエリアで地価の上昇傾向が継続すると予測された ただし 全てのエリアで一服感が予測されており 住宅地と概ね同様の結果となった 軍用地離島部を含むすべてのエリアで調査時点における過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の地価動向に関する実感値はプラス 軍用地を多く擁する那覇市小禄地区 本島中部 本島北部では前回よりも DI 値が増加した 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) でもすべてのエリアで地価の上昇傾向が継続すると予測された ただし これまでの調査とほぼ同様 全てのエリアで DI 指数は大きく減少しており 上昇傾向が和らぐと予測された 13
2 取扱件数の推移 1 宅地 2 マンション 14
3 戸建住宅 4 軍用地 15
5 小括 宅地 マンション 戸建住宅 軍用地別のエリア別取引件数動向 DI は以下の通りである 宅地調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の取扱件数動向に関する実感値はすべてのエリアでプラスとなっているが 那覇市西部 那覇市東部 那覇市周辺部以外では DI 値が減少しており やや一服感がみられる 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) では離島以外のエリアで増加すると予測されているが 那覇市周辺部と本島北部以外は DI 値が低めとなっており 取引件数は緩やかな増加にとどまると予測された マンション調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の取扱件数動向に関する実感値は 本島中部以外のエリアでプラスとなり 全体的に増加傾向であったものの 那覇市東部と離島部以外は DI 値が半年前よりも低下しており 落ち着きがみられ始めている 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) では 離島部以外の地域でプラスの DI 値となっており 取引が増加すると見込まれる 今回の実感値が +10P 以下のエリアでは上昇 +10P 超のエリアでは減少しており いずれのエリアも同様の DI 値に収斂している 戸建住宅調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の取扱件数動向に関する実感値は 本島南部以外のエリアで DI 値が増加した 本島南部では前回 +11.3P から-1.3P とマイナスに転じた 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) では 離島部を除くすべてのエリアでプラスとなっている 予測値はマンション取引件数の予測と同様に 実績値が高いエリアは落ち着きをみせ 同程度の DI 値に収斂していくと予測されている 16
軍用地調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の取扱件数動向に関する実感値は本島北部以外のエリアではマイナスを示しており 取扱件数はやや減少傾向となった 那覇市小禄地区 那覇市周辺部では前回のプラスからマイナスに転じている 他のエリアは概ね前回と同様の DI 値であった ( 離島部を除く ) 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) では 本島北部 那覇市周辺部でプラス 他のエリアでは引き続きマイナスと取扱件数の減少傾向を予測した 特に那覇市周辺部ではマイナスからプラスに転じると予測された 17
3 賃料水準 稼働率の動向 1 共同住宅の賃料 2 共同住宅の稼働率 18
3 店舗 事務所の賃料 4 店舗 事務所の稼働率 19
5 小括 共同住宅賃料 共同住宅稼働率 店舗 事務所賃料 店舗 事務所稼働率毎のエリア別動向 DI は以下の通りである 共同住宅賃料調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の賃料動向に関する実感値はすべてのエリアでプラスとなっており 賃料が上昇していると示された ただし DI 値は概ね横這い~ 減少しており また 離島部以外では +10P 前後と上昇の実感値としては高くなく 横這い との回答が 72.7% を占めた 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) では 本島中部が今回実感値プラスからマイナスに転じると予測された そのほかのエリアではほぼ横這い~やや減少でプラスを維持すると予測されている 共同住宅稼働率調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の稼働率動向に関する実感値は那覇市東部 那覇市小禄地区がマイナスからプラスに転じ 本島中部以外のエリアでプラスとなった 本島中部はマイナスの前回と同様の DI 値で推移している 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) では 離島部の DI 値が落ち着きをみせる以外は いずれのエリアも現在と同様の傾向で推移すると予測されており 本島中部ではマイナスが継続するとの予測が示されている 店舗 事務所賃料調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の賃料動向に関する実感値は 全エリアでプラスとなった 本島中部も前回よりも上昇しており 堅調に推移しているとみられる 離島部と本島北部では DI 値がやや減少した 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) では エリアによって多少の増減があるものの すべてのエリアでプラスが継続すると予測されており 商業不動産の賃貸市場が好調であることを示している 20
店舗 事務所稼働率調査時点の過去半年間 (H29.5.1~H29.11.1) の稼働率動向に関する実感値は那覇市周辺部 本島南部 本島北部が前回 ±0P からプラスとなったことから 全てのエリアで稼働率が改善しているとの結果が示された 今後半年間 (H29.11.1~H30.5.1) の予測では 那覇市東部で DI 値が上昇しているほかは ほぼ横這い~ 減少となっている ただし 全てのエリアでプラスを維持すると予測されていることから 引き続き稼働率の改善が見込まれる 21