1 大学入学共通テスト 試行調査 ( プレテスト ) 外国語科 英語 平成 30 年 2 月実施 出題内容の分析 出典 : 大学入試センター 試行調査 ( 平成 30 年 2 月実施分 ) 2018 年 3 月 16 日株式会社ラーンズ
2 平成 30 年 2 月試行調査 ( プレテスト ) 英語 の実施概要 調査の趣旨英語で求められる 読むこと 聞くこと の能力をバランスよく把握するため, 筆記 ( リーディング ) については, 必要な情報を整理したりする力や談話構成を理解する力, 要約する力等を, リスニングについては, 複数の情報を聞いて判断したり, 議論を聞いて内容を把握したりする力等を評価することをねらいとした作問を工夫し, 問題の構成や数, 内容, 音声回数等について検証を行う 今回の問題構成や内容が必ずしもそのまま平成 32 年度からの大学入学共通テストに受け継がれるものではない 実施期間 平成 30 年 2 月 13 日 ~3 月 3 日 参加する協力校が任意の日時で実施 ( 実施会場は各協力校 ) 実施科目英語 ( 筆記 ( リーディング ) 及びリスニング )( マーク式 ) 試験時間 受検対象者 受験者数 筆記 ( リーディング ) 80 分, リスニング 30 分 ( リスニングは A と B の 2 グループに分けて実施 ) A すべての問題で問題音声が 2 回流れる方式 B 問題音声が 1 回流れる問題と,2 回流れる問題が混在する方式 このほか, アンケート調査を実施 満点 大問 設問の配点は未公表 高等学校等の 2 年生を対象 筆記 ( リーディング ) 6,281 人, リスニング A 3,132 人 / リスニング B 3,154 人 ( 平成 30 年 3 月 8 日時点 ) 大学入試センター公表資料をもとに作成 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.
3 試行調査 ( プレテスト ) の問題のねらいと形式 問題のねらい 知識の理解の質を問う問題や, 思考力, 判断力, 表現力を発揮して解くことが求められる問題を重視して出題 ヨーロッパ言語共通参照枠 (CEFR) を参考に,A1 から B1 までの問題を組み合わせて出題 筆記 ( リーディング ) は, テキストを読み事実や意見を整理する力, テキストの構成を理解する力, テキストの内容を理解して要約する力等を問うことをねらいとする リスニングは, 複数の情報を比較して判断する力や, 議論を聞いて要点を把握する力等を問うことをねらいとする 音声は, アメリカ英語以外の読み上げ ( イギリス人や英語を母語としない人による読み上げ ) も行われた 新たな出題形式 当てはまる選択肢をすべて選択させる問題も出題された筆記 ( リーディング ): 第 2 問 A 問 4, 第 5 問 B 問 2 リスニング AB: 第 6 問 B 問 29 大学入試センター公表資料をもとに作成 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.
4 筆記 ( リーディング )
5 大問構成 筆記 ( リーディング ) 第 1 問 第 2 問 第 3 問 出題内容語数詳細求められる力 A 情報読み取り ( ウェブサイト ) CEFR レベル :A1 程度 B 情報読み取り ( ポスター ) CEFR レベル :A2 程度 A 説明文 ( 評価サイト ) CEFR レベル :A1 程度 B 説明文 ( 記事 ) CEFR レベル :A2 程度 A ブログ CEFR レベル :A1 程度 B コラム CEFR レベル :A2 程度 約 165 語 約 260 語 約 175 語 約 235 語 約 215 語 約 290 語 簡単な語句や単純な文で書かれている遊園地の混雑予想に関するウェブサイトから混雑予想等の情報を探し読みする問題 平易な表現で書かれているイベント告知のポスターからイベント内容等の情報を探し読みする問題 平易な英語で書かれた短い説明文 ( インターネット上の利用者の評価情報 ) やイラストを参考に場面にふさわしい店を推測する問題 学生がアルバイトをすることの是非についてのディベートの準備をする場面を設定し, 平易な英語で書かれた短い説明文を読む問題 イラスト付きの平易な英語で書かれた旅行記のブログを読む問題 平易な英語で書かれたあるセールスマンの新聞コラムを読む問題 必要な情報を読み取る力が求められた 必要な情報を読み取る力, 書き手の意図を把握する力が求められた 概要や要点を捉える力, 情報を事実と意見に整理する力が求められた 概要や要点を捉える力, 筆者の意見を把握する力が求められた 概要を把握する力が求められた 概要を把握する力が求められた 大学入試センター公表資料をもとに作成 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.
6 大問構成 筆記 ( リーディング ) 第 4 問 第 5 問 第 6 問 出題内容語数詳細求められる力 グラフとレポート ( 二者陳述 ) CEFR レベル :B1 程度 A 学校新聞 CEFR レベル :B1 程度 B 記事 CEFR レベル :B1 程度 物語 CEFR レベル :B1 程度 約 410 語 約 450 語 約 445 語 約 1010 語 授業で, ボランティアに関する調査結果について書かれた複数のレポートを読む場面を設定した問題 学校新聞に掲載予定の 折り紙 に関する執筆中の記事に対するコメントを依頼されるという場面を設定した問題 スパイスに関するプレゼンテーションの準備を行う際に, 関連記事を読んでメモを取る場面を設定した問題 授業内で, サマーキャンプに参加したある少年の物語を読んで, ワークシートにその内容や感想をまとめる場面を設定した問題 書き手の意図や必要な情報を得る力が求められた 概要 要点や論理展開を把握する力, 要約する力が求められた 概要 要点を把握する力, 情報を整理しながら読む力, 要約する力が求められた 登場人物の特徴等を含む物語の概要を把握する力が求められた 大学入試センター公表資料をもとに作成 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.
7 問題分析 1 筆記 ( リーディング ) 第 1 問 B ポスターを読み, 必要な情報を見つけたうえで抽象化する問題 問題 平易な表現で書かれたポスター ( 日常的な素材 ) から, 必要な情報を読み取る問題である 問 2 は,4 名の発表者それぞれから共通して学べることは何かが問われた 正解選択肢の英文がそのままポスター中で使われている訳ではなく, ポスター中の必要な情報を見つけたうえで, 共通点を抽象的にとらえることが求められた ( 後略 ) 従来のセンター試験でも情報の検索は問われてきたが, 与えられた情報量に対して解答に必要な情報はごく一部で, 必要な情報に絞って探しに行くことがより一層求められた
8 問題分析 2 筆記 ( リーディング ) 第 2 問 A 評価サイトを読み, 事実と意見を区別する問題 問題 身の回りの事柄に関して平易な英語で書かれたごく短い英文を読んで, 情報を整理したり, 要点や概要を把握したりする問題である 問 4 は, ネット上に書き込まれた情報を読んだうえで, その内容を事実と意見に分けて整理することが求められた ( 後略 ) ( 後略 ) 従来のセンター試験では問われてこなかった観点であり, 英文もネットで使われている文体で書かれたものだった また, 当てはまる選択肢をすべて選択させる形式であったことも目新しい
9 問題分析 3 筆記 ( リーディング ) 第 4 問 1 つのテーマに関する 2 つのレポートを読んで, 情報を比較 整理する問題 問題 比較的短いレポートや資料から, 必要な情報を読み取り, 論理展開や意図を読み取る問題である ( 後略 ) 問 2, 問 4 は, ボランティアに関する 2 人の生徒のレポートを読んで, 双方の意見の共通点や相違点を見つけることが求められた
10 問題分析 4 筆記 ( リーディング ) 第 6 問 物語を読んで, その内容を書評の形でまとめる問題 問題 ( 中略 ) 物語を読んで, その内容を書評にまとめるという形で整理する問題である なぜ物語を読むのか 読んでどうするのか といった, 目的やゴールが設定される形式は初めてであった いずれの問いも, 物語の展開の把握や, 登場人物の関係性や行動の理解など, 従来物語を読むうえで問われてきた観点と大きくは変わらなかった ただし, 問 4( 空欄 38) の物語が対象とする読者層を判断させる問いは目新しかった
11 まとめ 英語 ( リーディング ) 分析まとめ すべての問題で, 指示文が英語のみになった すべての問題で, 英文を読むための状況設定がなされており, 扱う英文素材もまとまった説明文や物語だけではない, 短いネットレビューやブログなど日常接する機会の多いものが目立った ディベートやプレゼンの準備など, 話す 書く の活動にもつながる素材や課題設定であった 設問においては, 主に下記のような力について重視して問われた > 素材や目的に応じた読み方をする力 > 概要や要点を把握する力, 要約する力 > 論理展開を把握する力 > 事実と意見を区別する力 指導への影響, 今後の見通し 英文量は増えているが時間は 80 分のままのため, 情報処理のスピードが鍵 素材や目的に応じて, スキャニング スキミングを使い分ける指導がより一層必要になると考えられる ある程度まとまりのある英文だけでなく, ブログや広告, ネット情報など, 多様な素材に意識的に触れさせることが必要と考えられる 従来とは異なる, 正解が複数ある問題については, 今まで以上に, 丁寧に読んだり, 根拠を探したりする必要があるので, 状況に応じた読み方ができるようにしておく必要があるだろう
12 リスニング
13 大問構成 リスニング 出題内容リスニング A リスニング B 詳細求められる力 第 1 問 A 短文 英文選択 CEFR レベル :A1 程度 B 短文 イラスト選択 CEFR レベル :A1~ A2 程度 3 小問 2 小問 5 小問 4 小問 身の回りの事柄に関して平易な英語で話される短い発話 (10~20 語程度 ) を聞いて, 内容に合う英文を選ぶ問題 身の回りの事柄に関して平易な英語で話される短い発話 (10 語程度 ) を聞いて, 内容に合うイラストを選ぶ問題 短い発話の内容を把握する力が求められた 発話内容の概要や要点を把握する力が求められた 第 2 問 短会話 イラスト選択 CEFR レベル :A1~ A2 程度 3 小問 5 小問 身の回りの事柄に関して平易な英語で話される短い対話 (30 語程度 ) を, 場面の情報とイラストを参考にしながら聞いて, 質問に合うイラストを選ぶ問題 必要な情報を把握する力が求められた 第 3 問 短会話 Q&A 選択 CEFR レベル :A1~ A2 程度 3 小問 5 小問 1 回読み 身の回りの事柄に関して平易な英語で話される短い対話 (50 語程度 ) を, 場面の情報を参考にしながら聞いて, 質問に合うものを選ぶ問題 概要や要点を目的に応じて把握する力が求められた 第 4 問 A モノローグ 図表完成 CEFR レベル :A2~B1 程度 B モノローグ 情報選択 CEFR レベル :B1 程度 1 小問 8 小問 1 回読み 1 小問 1 回読み 学生が好む間食に関する調査結果報告 ( 約 100 語 ), 英語キャンプ参加者のチーム分けの方法 ( 約 80 語 ) の説明を聞いて, 図表を完成させたり, 分類や並べ替えをする問題 複数のボランティアスタッフの応募者の自己紹介 ( 各約 50 語 ) を聞いて, 最も条件に合う人を選ぶ問題 大学入試センター公表資料をもとに作成 必要な情報を聞き取り, 話し手の意図を把握する力が求められた 複数の情報を聞いて, 状況 条件に基づき比較して判断する力が求められた 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.
14 大問構成 リスニング 出題内容 リスニング A リスニング B 詳細 求められる力 第 5 問 モノローグ ワークシート完成, 内容把握 CEFR レベル :B1 程度 9 小問 9 小問 1 回読み 身近な話題や知識のある社会的な話題に関する講義 ( ここでは 服と環境の関わりに関する講義 (250 語と 50 語 ) ) を聞いて, ワークシートの空欄を埋めたり, 主張を選ぶ問題 メモを取ることを通じて概要や要点を捉えたり, 聞き取った情報と図表から読み取れる情報を組み合わせて判断する力が求められた A 会話文 Q&A 選択 CEFR レベル :B1 程度 2 小問 2 小問 1 回読み 身近な話題や馴染みのある社会的な話題に関する対話や議論 ( ここでは 修学旅行についての対話 ( 約 160 語 ) ) を聞いて, 話者の発話の要点を選ぶ問題 必要な情報を把握したり, それらの情報を統合して要点を整理, 判断する力が求められた 第 6 問 B モノローグ 内容把握 CEFR レベル :B1 程度 2 小問 2 小問 1 回読み 身近な話題や馴染みのある社会的な話題に関する対話や議論 ( ここでは 炭水化物の摂取に関する複数の意見 ( 各 50 語程度 ) ) を聞いて, それぞれの話者の立場を判断したり, 意見を支持する図表を選んだりする問題 必要な情報を把握したり, それらの情報を統合して要点を整理, 判断する力が求められた リスニング A: 総語数は約 1,150 語, 平均音声速度は約 140wpm リスニング B: 総語数は約 1,550 語, 平均音声速度は約 140wpm 大学入試センター公表資料をもとに作成 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.
15 問題分析 1 リスニング リスニング A,B: 第 1 問 A 発話を聞き, その内容に最も近い意味の英文を選ぶ問題 問題 音声スクリプト 日常生活において必要となる基本的な情報を聞き取って, 状況や内容を把握することができるかが問われた 問 2 は, レストランで, 店員の言ったことを理解できたかどうかが問われた 問 3 は, テストの結果について, 話された内容の概要をつかむことが求められた
16 問題分析 2 リスニング リスニング A: 第 4 問リスニング B: 第 4 問 B 問題 複数の人物の音声を聞き, 与えられた条件に合うものを選ぶ問題 音声スクリプト 条件を満たしていると判断できる根拠 条件を満たしていないと判断できる根拠 与えられた状況と条件をもとに,4 人の自己紹介を聞いて, 最も条件に合う人物を選ぶ問題 それぞれの話者の発言内容の要点を, 問題冊子に示されたメモを用いて整理し, 与えられた 3 つの条件すべてを満たす人物を判断することが求められた
17 問題分析 3 リスニング リスニング A: 第 5 問問 14 リスニング B: 第 5 問問 24 講義を聞き, ワークシートを完成させる問題 問題 2 1 1 5 4 3 ( 一部抜粋 ) 音声スクリプト ( 前略 ) 講義を聞いて, ワークシートの空欄を埋める問題 ワークシートとの関連を考えながら講義を聞き, メモを取ることで要点を捉えることが求められた 解答の根拠
18 問題分析 4 リスニング リスニング A,B: 第 6 問 B 複数の人物の音声を聞き, 賛成意見を述べている人物をすべて選ぶ問題 問題 音声スクリプト 賛成の根拠 反対の根拠 4 人の意見を聞いて, 賛成意見を述べている人物をすべて選ぶ問題 炭水化物は精神機能に好ましい栄養源だ 炭水化物を摂取する量を減らすべきだ 体内に蓄えられたタンパク質や脂肪分の方が炭水化物より頼りになる栄養源として使われる 炭水化物が運動能力を高める といった発言をもとに, それぞれの話者が炭水化物の積極的な摂取に対して賛成か反対か判断することが求められた 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.
19 まとめ リスニング 分析まとめ 第 2 問 ~ 第 6 問では, 対話の場面や状況が日本語で示されており, 何を聞くのかを理解したうえで問題を聞くようになっている 単に英語を聞いて問題を解くのではなく, 設定された状況のもとで対話や講義, 説明を聞くという, 実際の日常の場面やコミュニケーションを意識した出題である リスニング A 第 4 問, リスニング B 第 4 問 B, 第 6 問 B では, 一つのテーマに対する複数の意見を聞き, 判断することが求められた また, 第 6 問 B では, 正解の選択肢をすべて選ぶ形式で出題されており, 一人ひとりの意見を聞いて判断することが求められた 第 5 問は, ワークシートを完成させる形式の問題が出題され, メモをしながら概要や要点を聞き取るといった力が問われた 指導への影響, 今後の見通し 全体を通して, 日常の場面を意識した, 活用することを目的としたリスニング力を問う問題が出題された 日ごろから, メモを取りながら聞くこと, 論点や概要をつかみながら聞くことを意識して行い, 必要な情報を把握する力, 相手の意図を把握する力, 概要や要点を目的に応じて捉える力をつけるようにしたい また, 複数の情報を聞いて判断したり, 資料と合わせて考えたりする, 情報を処理する力も求められている 音声速度や話者については, いろいろな速度, 話し方に慣れておく必要がある 内容を 1 回で聞き取る練習をしておくことも必要であろう 2018 Learn-S Co., Ltd. All rights reserved.