地方法人特別税の創設と税務への影響 1. 地方法人特別税の創設 2008 年度の税制改正により 地域間の税収偏在の是正に対応するため 法人事業税の税率を引き下げた上で その一部を分離する形で新たに国税として地方法人特別税が創設されました 所得割及び収入割の標準税率を引き下げて法人事業税の約半分に当た

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Foreword

1. 改正内容 事業者が 以下 (1) 又は (2) の期間中に調整対象固定資産 1 の課税仕入れを行い かつ その仕入れた日の属する課税期間 ( 以下 取得課税期間 といいます ) の消費税の確定申告を一般課税で行った場合には 取得課税期間の初日から原則として 3 年間は免税事業者になることができ

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

平成20年2月

1. 租税協定の機能 日本と香港との間では これまで租税協定は存在しなかったため 本協定により 日本と香港において課税できる範囲が明確に限定 制限され 両者間の二重課税が減少すると考えます そのため 本協定の締結は 日本又は香港での経済 投資活動について課税に対する安定性を与えるものと考えられます

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

Report

税効果会計シリーズ(3)_法定実効税率

1. 上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率の特例の見直し 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が 平成 21 年 1 月 1 日から平成 23 年 12 月 31 日までの間に支払を受ける上場株式等の配当所得の申告分離課税に係る税率と 上場株式等の譲渡による譲渡所得等に対する税率が

2. サプライチェーン マネジメントと国際税務戦略 サプライチェーン マネジメントと国際税務戦略には密接なつながりがあります グローバルに事業を展開している多国籍企業のサプライチェーンは 複数の国の複数の関係会社を通じて行われているのが通常であり 関係会社間の製品やサービスの取引価格は 移転価格税制

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

1% 子会社の清算に係る繰越欠損金の引継ぎ等 概要 平成 22 年度税制改正後においては 平成 22 年 1 月 1 日以後の解散決議により 完全支配関係がある子法人が清算した場合のその清算法人株式の譲渡損益については その清算法人株式を簿価で譲渡したものとして 親法人で譲渡損益 ( 清算損 ) を

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

4. 附加価値への試みと挫折 現行事業税へ昭和 24 年 (1949 年 ) 第一次シャウプ勧告事業税の課税標準について 原料等 他の事業から購入したものの価値に その企業が附加したところの額である とし 課税標準を事業の所得によるのではなく 附加価値を採用すべきである旨勧告昭和 25 年 (194

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

インド税制の概要 DTC GST へと統合 インドの税制は 大きく直接税と間接税に区分されており 主な税目は次のとおりである 直接税 所得税 : 法人税 個人所得税 配当分配税 ミニマム代替税 等 富裕税 間接税 関税 物品税 サービス税 付加価値税 中央政府売上税 等 直接税には 1961 年所得

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

Newsletter_march2011[2]_J.indd

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

設例 [ 設例 1] 法定実効税率の算定方法 [ 設例 2] 改正地方税法等が決算日以前に成立し 当該改正地方税法等を受けた改正条例が当該決算日に成立していない場合の法定実効税率の算定 本適用指針の公表による他の会計基準等についての修正 -2-

Microsoft Word - zeisyou9記載の手引.doc

平成18年度地方税制改正(案)について

Q3. 資本金 500 万円で豊中市内の従業員が 60 人の法人です 均等割の金額を教えてください 豊中市の税率 ( 市町村によって違います ) 資本金等の額 * 従業者数 ( 豊中市内 ) 税額 ( 年額 ) * 50 億円超 10 億超 ~50 億円以下 1 億超 ~10 億円以下 1 千万超

平成23年度税制改正の主要項目

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下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

ファイナンス形態のタックス プランニング 買収資金をいかに調達するかは 常に M&A における初期段階からの主要な論点です 自己資金で賄うだけでなく 投資効率を上げるため 投資資金の一部を外部金融機関等からの借り入れにより調達した上でターゲットを買収することが多いためです 税務上の観点からは 買収資

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

平成20年度の税制改正により、地域間の税源偏在を是正するため、消費税を含む税体系の抜本的な改革が行われるまでの間の暫定的措置として、法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税が創設されました

Microsoft Word - zeisyou6記載の手引.doc

完全支配関係の添付書類 ( 出資関係図 ) (1) 出資関係図の記載例 (Q&A 問 1) 平成 22 年度税制改正で グループ法人税制が導入されたことに伴い 法人税の確定申告書に 内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図 ( 以下 出資関係図 という ) を添付することが定

旬刊経理情報 No.1270 平成 23 年 1 月 日発行 届出等の手続がますます重要に! 租税条約の改正 締結動向と実務上の留意点 Contents 近年の租税条約の改正による恩典の拡大と租税回避防止規定の設置 新型条約で有利になった利子 配当 使用料に係る源泉所得税 クロスボーダー

改正法人税法により平成 24 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度については法人税率が 30% から 25.5% に引き下げられ また 復興財源確保法により平成 24 年 4 月 1 日から平成 27 年 3 月 31 日までの間に開始する事業年度については基準法人税額の 10% が復興特別法人

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平成19年度税制改正.xls

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

IFRSポイント講座 第9部 引当金

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

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PowerPoint プレゼンテーション

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

第 6 号様式記載の手引 H この申告書の用途等 (1) この申告書は 仮決算に基づく中間申告 ( 連結法人以外の法人が行う中間申告に限ります ) 確定した決算に基づく確定申告及びこれらに係る修正申告をする場合に使用します なお 事業税及び地方法人特別税に係る仮決算に基づく中間

はじめに 昨年 9 月のリーマンショック以降 不況の波は日本経済にも多大なる影響を与えており 日本を代表する上場企業が相次いで業績の下方修正を行っている このような状況の中で 親会社単体のみならず グループ会社全体でリストラを検討している企業は少なくないと思われるが 国内子会社の清算は 当該リストラ

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

配当所得の入力編

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注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

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第68回税理士試験 消費税法 模範解答(理論)

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

9 試験研究費の額に係る法人税額の特別控除額 2 10 還付法人税額等の控除額 3 11 退職年金等積立金に係る法人税額 4 12 課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額 の5の欄 ) リース特別控除取戻税額( 別表 1(2) の5の欄又は別表 1(3)

本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H27 課税期間の基準期間における課税売上高を確 の判定 014 認したか H27 事業年度を変更している場合等 前々事業年 015 度が1 年未満の場合の基準期間を確認したか ( 法人の場合 ) H27 基準期間が1 年でない場合

平成30年3月決算における税務上の留意事項

第20号様式記載要領

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法人税 faq

平成29年3月決算における税務上の留意事項

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

配当所得の入力編

第 6 号様式記載の手引 1 この申告書の用途等 (1) この申告書は 仮決算に基づく中間申告 ( 連結法人以外の法人が行う中間申告に限ります ) 確定した決算に基づく確定申告及びこれらに係る修正申告をする場合に使用します なお 事業税及び地方法人特別税に係る仮決算に基づく中間申告は その税額が予定

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

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Microsoft Word - 最新版租特法.docx

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N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

国外転出時課税制度に関する改正「所得税基本通達」の解説

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

Microsoft PowerPoint 寄附金控除制度概要.ppt

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

15 18 定率減税の縮減 (15% 控除 7.5% 控除 (2 万円上限 )) 資本金等の額 ( 税法に規定する資本金等の額又は連結個別資本金等の額 ) が 50 億円超 800,000 円 10 億円超 50 億円以下 540,000 円 1 億円超 10 億円以下 130,000 円 1 千万

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

(消費税)確定申告書作成(簡易課税)編

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得等から控除)編

HPのトップページ更新原稿

p22-24 (所得税)

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貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

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Taro H26記載の手引(H25

はじめに 日本の親会社が海外子会社の清算 整理を行う場合には まず日本の国内税法における取扱いに留意する必要がある 内国法人は原則として日本の法人税法上の諸規定に基づいて全世界所得課税に服するわけであるから当然のことである 特に 海外子会社の清算 整理に際して適用される特別な規定 が整備されているわ

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

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株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得から控除)編

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要概の税別特人法方地要概の税別特人法 要概の税別特人法方地要概の税別特人法方 2009 年 8 月号 日本 Newsletter 地方法人特別税の創設と税務への影響インド税制アップデート 2009 年度予算案 Contents 地方法人特別税の創設と税務への影響 1. 地方法人特別税の創設地 2. 3. 4. 地方法人特別税の概要 法人税における取扱い 実効税率 5. 地方法人特別税創設後の申告書の記載 インド税制アップデート 2009 年度予算案 1. 直接税方 2. 間接税 2008 年度の税制改正により 地方法人特別税が創設され 2008 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度に係る法人事業税から適用となります 本号では 地方法人特別税の概要 法人税における取扱い 実効税率について解説し 実際の申告書の記載例を掲載しています また 12 月決算法人については この 8 月の予定申告における留意点について 具体的な申告書の記載例を挙げて説明しています さらに 本号では インドにおいて 2009 年 7 月に公表された 2009 年度予算案より その主要な項目について解説しています

地方法人特別税の創設と税務への影響 1. 地方法人特別税の創設 2008 年度の税制改正により 地域間の税収偏在の是正に対応するため 法人事業税の税率を引き下げた上で その一部を分離する形で新たに国税として地方法人特別税が創設されました 所得割及び収入割の標準税率を引き下げて法人事業税の約半分に当たる 2.6 兆円を減税する一方で 地方法人特別税を創設してその減税分を国税とすることで 国から各都道府県への再配分を通じて地方間の税収偏在の是正を図るというものです なお 地方法人特別税は人口及び従業者数に基づいて按分され 地方法人特別譲与税として各都道府県へ譲与されます ( 図表 1) 概要 都道府県 国 都道府県 改正前 改正後 法人事業税 ( 地方税 ) 当該都道府県の税収 法人事業税 ( 地方税 ) 分離 創設地方法人特別税 ( 国税 ) 都道府県が税収 国に払い込み 創設地方法人特別税 ( 国税 ) 国が都道府県に再配分 創設地方法人特別譲与税 所得割 収入割の一部を国税化約 2.6 兆円 人口 ( 1/2) 及び従業者数 (1/2) を基準として都道府県に譲与 2. 地方法人特別税の概要 (1) 適用法人法人事業税の申告納付義務がある法人が対象となります (2) 適用時期 2008 年 10 月 1 日以後開始する事業年度 (12 月決算法人は 2009 年 12 月期 3 月決算法人は 2010 年 3 月期 ) に係る法人事業税及び同日以後の解散 ( 合併による解散を除く ) による清算所得に対する法人事業税から適用となります したがって 9 月決算法人が 2009 年 6 月 1 日までに行う中間申告からは 法人事業税と併せて地方法人特別税についても申告する必要があります なお 地方法人特別税は税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置として創設されたものですが 抜本的改革の時期が示されていないため いつまで実施されるのかは未定です 2

(3) 納付税額の計算 1 計算方法所得金額又は収入金額に法人事業税の標準税率を乗じて課税標準を計算し これに地方法人特別税の税率を乗じて税額を計算します A 所得金額又は収入金額 標準税率 ( 下記 2)= 基準法人所得割額又は基準法人収入割額 B 基準法人所得割額又は基準法人収入割額 地方法人特別税の税率 ( 下記 3)= 地方法人特別税額 2 法人事業税の税率 ( 図表 2-1) 法人事業税の税率 ( 東京都の場合 ) 区分法人の種類所得等の区分 所得 清算所得を課税標準とする法人 収入金額を課税標準とする法人 外形標準課税法人 一般の法人 公益法人等 人格のない社団や財団など 特別法人 [ 農業協同組合 信用金庫 医療法人など ] 電気 ガス供給業 又は保険業を行う法人 地方税法第 72 条の 2 第 1 項第 1 号イに規定する法人 [ 資本金の額 ( 又は出資金の額 ) が 1 億円を超える一般の法人 ] 所得割 所得割 所得割 適軽用減法税人率 適軽用減法税人率 適軽用減法税人率 2008 年 10 月 1 日以降に開始する事業年度 ( ) 税率 (%) 2008 年 10 月 1 日前に開始する事業年度 標準税率超過税率標準税率超過税率 年 400 万円以下の所得 2.7 2.95 5 5.25 年 400 万円を超え年 800 万円以下の所得 年 800 万円を超える所得 軽減税率不適用法人 4 4.365 7.3 7.665 5.3 5.78 9.6 10.08 清算所得 (5.3) 5.78-10.08 年 400 万円以下の所得 2.7 2.95 5 5.25 年 400 万円を超える所得 軽減税率不適用法人 3.6 3.93 6.6 6.93 清算所得 (3.6) 3.93-6.93 収入割 0.7 0.765 1.3 1.365 年 400 万円以下の所得 (1.5) 1.69-3.99 年 400 万円を超え年 800 万円以下の所得 年 800 万円を超える所得 軽減税率不適用法人 (2.2) 2.475-5.775 (2.9) 3.26-7.56 清算所得 (2.9) 3.26-7.56 付加価値割 - 0.504-0.504 資本割 - 0.21-0.21 1 2008 年 10 月 1 日以後開始する事業年度の税率が 地方法人特別税創設後における法人事業税の税率となります 2 ( ) 内の税率は 東京都では法人事業税への適用はありませんが 地方法人特別税の基準法人所得割額等の計算に用います 3 所得割又は収入割については 下記の区分に応じ標準税率又は超過税率を適用します (1) 標準税率を適用する法人 資本金の額 ( 又は出資金の額 ) が1 億円以下で かつ 年所得が2,500 万円以下の一般の法人等 年所得が2,500 万円以下の特別法人 資本金の額 ( 又は出資金の額 ) が1 億円以下で かつ 年収入金額が2 億円以下の収入金額を課税標準とする法人 (2) 超過税率を適用する法人 (1) 以外の法人及び清算所得を申告する法人 4 軽減税率不適用法人とは 3 以上の都道府県に事務所 事業所を設けて事業を行っている法人で 資本金の額 ( 又は出資金の額 ) が 1,000 万円以上の法人をいいます 3

3 地方法人特別税の税率 ( 図表 2-2) 地方法人特別税の税率 課税標準 法人の種類 税率 ( %) 基準法人所得割額 外形標準課税法人 148 外形標準課税法人以外の法人 81 基準法人収入割額 - 81 (4) 申告と納付法人事業税と同じ申告書及び納付書により 各都道府県に申告納付する必要があります つまり 国税である地方法人特別税も 法人事業税と併せて事務所等の所在する都道府県に対して申告納付することになります なお 地方法人特別税の創設により 申告書 ( 第 6 号様式 第 7 号様式 第 8 号様式又は第 9 号様式 ) に地方法人特別税を記載する欄が新たに追加されました また 法人事業税の所得割額又は収入割額の算出において標準税率以外の税率が適用される法人が 地方法人特別税の課税標準となる基準法人所得割額又は基準法人収入割額の計算を行う場合には 第 6 号様式別表 14 基準法人所得割額及び基準法人収入割額に関する計算書 に記載し 第 6 号様式等の申告書に併せて提出する必要があります (5) 中間申告地方法人特別税の中間申告義務については 法人事業税の申告義務に準ずることになっています したがって 事業年度が 6 ヶ月を超える法人については 原則 地方法人特別税の中間申告義務があります また 地方法人特別税にも前事業年度の税額に基づく予定申告と 中間仮決算による中間申告があります (6) 予定申告における留意事項地方法人特別税の予定申告では 法人事業税の場合と同様に 前事業年度の税額を前事業年度の月数で除して得た額に 6 を乗じて予定納付額を算出し 法人事業税と併せて申告することになります ただし 2008 年 10 月 1 日以後開始する最初の事業年度については 前事業年度の地方法人特別税額がないため次の経過措置が設けられています 1 法人事業税の予定申告納付額前事業年度の法人事業税額 前事業年度の月数 3.3 具体的には 次の A~C の合計額あるいは D( 収入金額課税法人の場合 ) となります A 前事業年度の所得割額 前事業年度の月数 3.3 B 前事業年度の付加価値割額 前事業年度の月数 3.3 C 前事業年度の資本割額 前事業年度の月数 3.3 D 前事業年度の収入割額 前事業年度の月数 3.3 本来 地方法人特別税は 法人事業税のうち所得割額又は収入割額に基づいて計算されることになっていますが ( 上記 (3)1 計算方法をご参照下さい ) 予定申告の経過措置では 前事業年度の法人事業税額 を計算の基礎としていますので 前事業年度の付加価値割額や資本割額も予定申告納付額の計算に含まれます 2 地方法人特別税の予定申告納付額前事業年度の法人事業税額 前事業年度の月数 2.7 外形標準課税法人の場合は 前事業年度の所得割 付加価値割 資本割の合計額に基づいて計算します 4

3. 法人税における取扱い 地方法人特別税は 法人税の所得の計算上損金の額に算入されない租税公課等 ( 法法 38) には該当しないことから 法人事業税と同様に損金の額に算入されます 加えて 法人税基本通達 9-5-2 では地方法人特別税の損金算入時期に関して法人事業税と同様に規定しています なお 法人税申告書別表 5(2) 租税公課の納付状況等に関する明細書 では 事業税 欄に 法人事業税と地方法人特別税の合計額を記載することになります 4. 実効税率 (1) 法人の税負担への影響地方法人特別税の創設に伴い 法人事業税のうち所得割及び収入割の税率が引き下げられました 一方で 地方法人特別税の税率は 法人事業税と地方法人特別税を合わせた税負担が以前の法人事業税の税負担を上回らないように設定されています そのため 地方法人特別税の創設に伴い 法人の税負担が増えることはありません (2) 外形標準課税創設時との比較外形標準課税創設時においては 日本公認会計士協会より 法人事業税における外形標準課税制度の導入に伴う税効果会計適用上の取扱い が公表されました その中で 付加価値割及び資本割の課税標準について これら二つの課税標準は 公益事業における売上高割と同様に 利益に関連する金額を課税標準として課される税金を対象にした税効果会計の計算論理には適合しないため 繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する場合の法定実効税率の算式に含めるべきではないと考えられる との見解が示されました そして 外形標準課税の創設に伴い 外形標準課税法人の所得割の税率が引き下げられたため その分実効税率も下がりました 一方で 地方法人特別税は 利益に関連する金額を課税標準として課される税金 であり 基本的に地方法人特別税の創設後においても法人の税負担が変わらないように税率が設定されていることから 原則として実効税率への影響はありません ただし 地方法人特別税の計算の仕組みにより若干の差異 ( 税負担の減少 ) が生ずると考えられます 具体例 ( 東京都の場合 ) A 前提 外形標準課税法人 所得金額 100,000,000 円 軽減税率不適用法人 B 地方法人特別税創設前の所得割額 100,000,000 円 7.56%=7,560,000 円 C 地方法人特別税創設後の所得割額及び地方法人特別税額イ所得割額 100,000,000 円 3.26%( 超過税率による所得割の税率 )=3,260,000 円ロ地方法人特別税額 100,000,000 円 2.9%( 標準税率 )=2,900,000 円 2,900,000 円 148%( 地方法人特別税の税率 )=4,292,000 円合計額 7,552,000 円 D B-C=8,000 円 ( 税負担の減少 ) この税負担の減少は 地方法人特別税創設前の所得割の税率 7.56% に対して 創設後の所得割及び地方法人特別税の税率の合計が 7.552%(3.26%+2.9% 148%=7.552%) となり 創設前よりも税率が若干下がることによるものです また 所得割の計算において標準税率が適用される場合においても 同様に税率が若干下がるものと考えられます 5

5. 地方法人特別税創設後の申告書の記載 予定申告及び確定申告における申告書の記載例は 以下の通りです (1) 予定申告の記載例 1 前提 甲株式会社 ( 資本金 4 億円であり外形標準課税法人に該当する ) 事務所等の所在地東京都のみ 当事業年度 2009 年 1 月 1 日 ~2009 年 12 月 31 日 前事業年度 2008 年 1 月 1 日 ~2008 年 12 月 31 日 前事業年度の法人事業税の納付税額 17,215,800 円 内訳 所得割額 11,125,800 円 ( 所得金額 150,000,000 円 ) 付加価値割額 5,040,000 円 ( 付加価値額 1,000,000,000 円 ) 資本割額 1,050,000 円 ( 資本金等の額 500,000,000 円 ) 2 予定納付税額の計算 A 法人事業税 所得割額 11,125,800 円 12 月 3.3=3,059,595 円 3,059,500 円 ( 百円未満切捨 ) 付加価値割額 5,040,000 円 12 月 3.3=1,386,000 円 資本割額 1,050,000 円 12 月 3.3=288,750 円 288,700 円 ( 百円未満切捨 ) B 地方法人特別税 17,215,800 円 12 月 2.7=3,873,555 円 3,873,500 円 ( 百円未満切捨 ) 6

3 第 7 号様式の記載 ( 図表 3) 記載例 38 3.3 3.3 3.3 2.7 記載上の留意点 18 欄 ~21 欄 23 欄の計算式の分子には予め 6 と記載されていますが 2008 年 10 月 1 日以後最初に開始する事業年度については 6 を二重線で消し 3.3 又は 2.7 と記載する必要があります また 23 欄の計算式には予め 22 欄 を基礎として計算するように記載されていますが 2008 年 10 月 1 日以後最初に開始する事業年度については 22 欄に該当する金額がないことから 22 欄 を二重線で消し 38 欄 と記載する必要があります 7

(2) 確定申告の記載例 1 前提 乙株式会社 ( 資本金 8 千万円であり外形標準課税法人には該当しない ) 事務所等の所在地東京都のみ 当事業年度 2009 年 1 月 1 日 ~2009 年 12 月 31 日 前事業年度 2008 年 1 月 1 日 ~2008 年 12 月 31 日 予定申告税額の納付状況法人事業税 ( 所得割額 ) 2,692,300 円地方法人特別税額 2,202,700 円 当事業年度における所得金額 ( 6 号様式 33 欄 ) 150,000,000 円 2 納付税額 ( 年税額 ) の計算 A 法人事業税 ( 所得割額 ) 4,000,000円 2.95%=118,000 円 4,000,000円 4.365%=174,600 円 142,000,000円 5.78%=8,207,600 円 合計 8,500,200 円 税率については 上記 2.(3)2 法人事業税の税率をご参照下さい B 地方法人特別税イ地方法人特別税の課税標準となる基準法人所得割額を 法人事業税の標準税率を用いて計算します ( 第 6 号様式別表 14) 4,000,000円 2.7%=108,000 円 4,000,000円 4%=160,000 円 142,000,000円 5.3%=7,526,000 円 合計 7,794,000 円 ロ基準法人所得割額を基づいて地方法人特別税額を計算します ( 第 6 号様式 56 欄 ~64 欄 ) 7,794,000 円 81%=6,313,140 円 6,313,100 円 ( 百円未満切捨 ) 税率については 上記 2.(3)3 地方法人特別税の税率をご参照下さい 8

3 第 6 号様式の記載 ( 図表 4-1) 記載例 9

( 図表 4-2) 記載例 ( 注 ) 上記本文及び図表 1 2 は 以下の資料に基づいて作成しました 東京都主税局ホームページ地方法人特別税 http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/chihou_houtoku.html 東京都主税局ホームページ地方法人特別税が創設されました http://www.tax.metro.tokyo.jp/tax-info/chihouhoujin2008.pdf 日本公認会計士協会法人事業税における外形標準課税制度の導入に伴う税効果会計適用上の取扱い http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/00273-000522.pdf 10

インド税制アップデート 2009 年度予算案 2009 年度のインド政府の予算案が 2009 年 7 月 6 日に発表されました インド政府の予算案は 通常 2 月に発表されますが 今年はインド議会の下院選挙の影響で 7 月に公表されました 今回の予算案は 主として個人所得税の免税拡大 昨年末からの景気対策を通じて減税された物品税 サービス税の税率維持による消費の喚起を配慮したもので フリンジ ベネフィット税の廃止や GST(Goods and Service Tax) の導入方針の確認なども盛り込まれています しかし 一方で 減税に伴う財政赤字の拡大も懸念されています 2009 年度予算案における直接税及び間接税に関する主な内容は以下のとおりです 1. 直接税 法人税 : 基本税率 サーチャージ及び教育目的税の税率は 変更なし ミニマム代替税 ( MAT: Minimum Alternate Tax) の税率が10% から15% へ変更 MATにおける税額 控除の繰越期間が7 年間から10 年間へ延長 フリンジ ベネフィット税の廃止 製造業 ( ネガティブ リストに掲載されている産業は除く ) に対し 150% 加重の試験研究費控除 移転価格税制におけるセーフハーバー規則の導入 ( 2009 年 4 月 1 日付で発効 ) 移転価格税制に関する係争の早期解決に向けた制度 ( ADR: Alternate Dispute Resolution) の導入 源泉所得税に関する手続として 納税者番号 ( PAN) 取得の義務化 ( 非居住者にも適用 ) 輸出に関するインセンティブ ( Tax Holiday) の終了期限を2011 年 3 月まで延長 個人所得税 : 基礎免税所得金額の引上げ サーチャージの廃止 ( ただし 教育目的税は税率 3% のままで継続 ) 2. 間接税 物品税 サービス税に関する税率は変更なし サービス税の課税対象の範囲の拡大 ( 法律関連のコンサルティング 海上輸送等 ) GST導入見込 (2010 年 4 月 1 日から ) 導入されれば 関税を除く他の間接税が廃止される予定 2009 年度予算案においては 以上のように移転価格税制におけるセーフハーバー規則の導入 外国法人が利用できる ADR の導入 PAN 取得の義務化や GST 導入方針の確認など日系企業にとっても影響が大きいと考えられる改正が予定されています 今後 詳細な情報が提供される予定ですが 対処すべき課題について 早めの検討が重要であると考えられます インドの 2009 年度予算案の詳細は 以下アーンスト アンド ヤングインドのウェブサイトに掲載されておりますので 併せてご参照ください http://www.ey.com/in/en/services/tax/tax_overview 9 月号予告 金融再編における移転価格リスクマネ -ジメント 11

Contact Ernst & Young Assurance Tax Transactions Advisory 地方法人特別税の創設と税務への影響 ビジネスタックスコンプライアンス部 福澤保徳 パートナー 03-3506-2429 yasunori.fukuzawa@jp.ey.com 岡孝次良 パートナー 03-3506-2175 kojiro.oka@jp.ey.com 岡田朋子 シニアマネージャー 03-3506-2060 tomoko.okada@jp.ey.com ビジネスタックスコンプライアンス部は 外資系企業の日本法人や日系の上場企業を中心とした法人のクライアントに対して 法人税 消費税等の各種税務申告書の作成や租税条約に関する届出書の作成といった基本的な税務コンプライアンスサービスの他 連結納税制度 外国税額控除制度 国内外の組織再編やクロスボーダー取引に関する税務アドバイスといった専門性の高い税務サービスを提供しております 法人税 ( 連結 単体 ) 法人事業税 法人住民税 消費税 事業所税 償却資産税等の各種税務申告書の作成 税務調査対応 顧問契約に基づく税務相談 外国税額控除制度に関するコンサルティング 連結納税制度に関するコンサルティング クロスボーダー取引に関する税務コンサルティング 租税条約に関する届出書等の各種税務関係届出書の作成 外国親会社へ提出するタックスパッケージの作成 レビュー 決算時の税金引当計上額の計算 レビュー など インド税制アップデート 国際税務部 2009 年度予算案 網野健司 パートナー 03-3506-2164 kenji.amino@jp.ey.com 田川利一 パートナー 03-3506-2617 toshikazu.tagawa@jp.ey.com ニラドリナグ シニアマネージャー 03-3506-2446 niladri.nag@jp.ey.com 武末朝生 シニアマネージャー 03-3506-2709 asao.takesue@jp.ey.com 国際税務コンサルティング部では 日本および海外の税務に関連する以下のサービスを提供しています 海外進出に係る税務アドバイス ( 現地および日本 ) 海外でのM&Aにおけるストラクチュアリングアドバイス M&A後の組織融合のためのグローバル組織再編アドバイス 連結実効税率最適化のためのサプライチェーンマネジメント ( TESCM) 持株会社 ファイナンスカンパニーの設立アドバイス 多国籍グループ内における国際税務リスクマネジメント 国際税務戦略立案 実行のサポート など アーンスト アンド ヤングについて アーンスト アンド ヤングは 監査 税務 トランザクション アドバイザリー サービスなどの分野におけるリーダーとして 全世界の 13 万 5 千人の構成員が 共通のバリュー ( 価値観 ) に基づいて 品質の高いサービス提供を行っています 私どもは クライアント 構成員 そして社会を支援し 各サービス分野において 皆様の可能性の実現を追求し プラスの変化をもたらすよう支援します 詳しくは www.ey.com にて紹介しています アーンスト アンド ヤング とは アーンスト アンド ヤング グローバル リミテッド (EYG) のメンバーファームを指します EYG は 英国の有限責任保証会社であり グローバルにおいてアーンスト アンド ヤングの組織を統括しており 顧客サービスは提供していません について は 長年にわたり培ってきた経験と国際ネットワークを駆使し 常にクライアントと協力して質の高いグローバルなサービスを提供しております 企業のニーズに即応すべく 国際税務 M&A 組織再編や移転価格などをはじめ 税務アドバイザリー 税務コンプライアンスの専門家集団として質の高いサービスを提供しております 詳しくは www.eytax.jp にて紹介しています 税制関連情報 2009 年 6 月から本日まで 関係省庁より公表された税制に関する情報のハイライトとなります 以下ご参照下さい 財務省 平成 21 年度税制改正の解説 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/kaisetsu21/index.html 財務省 資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会論点とりまとめ http://www.mof.go.jp/singikai/shihon/gijiyosi/20090629.htm 国税庁 国税庁レポート http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/report.htm 国税庁 非上場株式等についての相続税 贈与税の納税猶予 ~ 担保の提供に関する Q&A~ http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/enno-butsuno/qa/index_6.htm 経済産業省 外国組合員に対する特例 および 恒久的施設を有しない外国組合員の課税所得の特例 について http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/fund_tokurei.htm ニュースレター全般に関するご質問 ご意見等がございましたら 下記までお問い合わせ下さい コーポレート コミュニケーション部 Tax.Marketing@jp.ey.com 2009 Ernst & Young Shinnihon Tax All Rights Reserved. 本書又は本書に含まれる資料は 一定の編集を経た要約形式の情報を掲載するものです したがって 本書又は本書に含まれる資料のご利用は一般的な参考目的の利用に限られるものとし 特定の目的を前提とした利用 詳細な調査への代用 専門的な判断の材料としてのご利用等はしないでください 本書又は本書に含まれる資料について を含むアーンスト アンド ヤングの他のいかなるグローバル ネットワークのメンバーも その内容の正確性 完全性 目的適合性その他いかなる点についてもこれを保証するものではなく 本書又は本書に含まれる資料に基づいた行動又は行動をしないことにより発生したいかなる損害についても一切の責任を負いません