精神障害者の治療中断予防のための リスクアセスメント 運用マニュアル 平成 0 年 9 月 福井県丹南健康福祉センター 精神障害者の治療中断予防のための支援体制づくり事業ワーキング
もくじ 目的 目標 支援体制図 4 運用規準 ) 運用地域 ) 運用開始時期 ) 実施方法 4) 実施手順 5) 個人情報の取扱い 6) 運用に関する留意事項 5 資料 精神障害者の治療中断 4 精神障害者の治療中断の アセスメント項目 適用例 考え方 6
目的 精神障害者が 必要な治療を継続しながら地域で安定した生活を送ることができる 精神障害者の治療中断予防のための は 関係機関が 精神障害者の治療中断のリスクをアセスメントするための共通の指標である 関係機関が 精神障害者の状況や背景を的確に把握し 立場の異なる関係機関相互の円滑な情報共有を図るとともに 共通認識の上でケース対応に取り組むためのツールである 目標 ) 関係機関が適切にアセスメントする各関係機関が 治療中断を未然に防ぐため 治療中断 を必要時に活用し リスクアセスメント ( モニタリング含む ) ができ 適切な支援ができる ) 関係機関が連携して支援する 各関係機関が 精神障害者の治療中断を活用し 関係機関の 相互の情報共有ができ 連携してチームで関わることができる 支援体制図 訪問看護ステーション 訪問看護計画等 障害福祉サービス事業所等 個別サービス計画等 精神科病院 ケア会議等 入院計画等 治療中断 相談支援事業所等 サービス等利用計画等 精神科クリニック 治療計画等 健康福祉センター ( 丹南 ) 措置退院後支援計画等 市町 ( 障害福祉担当課 ) 障害認定調査等
4 運用規準 ) 運用地域丹南地域 ( 鯖江市 越前市 池田町 越前町 南越前町 ) ただし 丹南地域以外への情報提供も可能とする ) 運用開始時期 平成 0 年 9 月 ~ ) 実施方法 () 支援を受ける対象者原則 国際疾病分類 ICD-0によるF Fで 継続した精神科治療が必要な精神障害者 統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害(F0-F9) 気分[ 感情 ] 障害 (F0-F9) ただし 上記以外の精神障害者への使用も可能とする () 支援を提供する関係機関の担当者 精神科医療機関 相談支援事業所 訪問看護ステーション その他の関係機関 () 実施時期 入院時 退院時 モニタリング時( 必要に応じて ) 等 <の活用例 > 入院前入院中退院後 医 療機関 入院計画 治療計画 地域の関係機 退院前カンファレンス ( 保健所 ) 措置入院患者の退院後支援計画 ( 相談支援事業所 ) サービス等利用計画個別支援計画等 モニタリング ケア会議等 関 ( 訪問看護ステーション ) 訪問看護計画等
4) 実施手順 () 患者 家族との面接や関係機関からの情報収集等により 治療中断を引き起こすと思われるリスク要因についての状況を把握する () 各アセスメント項目について 該当する点数 (~0 点 ) を記入する () 各アセスメント項目の合計点数を記入し リスクの程度を評価する 小項目別による評価 ~5の大項目別による評価( チャートグラフシートあり ) 項目の総合計点数による評価 (4) 記入したは 関係機関と共有して活用する ケース会議での活用や退院支援情報共有シートに添付し共有する等 5) 個人情報の取扱い個人情報保護の観点から 個人情報の取扱いには十分に留意する () 支援対象者およびその家族の情報を関係機関に提供する際は 原則として事前に同意を得る () 本事業で知り得た支援対象者およびその家族の情報は適切に管理し 第三者に漏らさない () 個人情報の提供は必要最小限とし 目的以外には決して利用しない 6) 運用に関する留意事項 () このは 対象者のアセスメントをするための補助的指標であり 定期的な概況把握や目安として 関係機関が継続した支援を行う上での参考として活用することとする () 措置入院者については 地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン により支援する このは 地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン を補完するものとする () このは 医療保護入院者の退院促進に関する支援におい て活用できる (4) 運用状況について定期的に検証し 必要な見直しを行う
精神障害者の治療中断 08. 丹南健康福祉センター 患者氏名 診断名 医療機関 生年月日 最終入院形態 期間 措置 医療保護 任意 大項目 小項目 適用例 ( 以下のようなことがあれば該当 ) 点数 / / / 備考 治療中断歴 病気や治療内容の理解 受容 0 (5) 病気の病気の理解が不十分 病識や病感がない 5 理解 受容なし 病識はないが病感がある場合は 点 () 治療中断歴あり 受診予定日から ヶ月経過しても受診しない 主剤内服を ヶ月以上中断している 治療の理解 受容なし 過去 年または 5 年以内に 回でも治療中断したことがある 医師からの指示中止は含まない ) 年以内 0 点 5 年以内 5 点 治療内容の理解が不十分 受診や治療の必要性を理解していない 治療について納得していない 薬や病院に悪いイメージを持っている 治療効果を感じていない 受診の必要性のみ理解できている場合は 点 小 計 5 () 現在またはこれまでに副作用が出現した経験がある 副作用 4 治療の副作用ありに関する不安がある 0 治療状況 精神症状 薬を飲まない 捨てる 吐く等の行為あり 5 拒薬あり自己判断で減薬する 薬の飲み方 時間や分量などが分からない 服薬管理支援者 6 服薬管理能力なし がいない 支援があればできる場合は 点 () 身体疾患によるコントロール不良な疾患がある 精神治療に影響を及ぼす疾 7 影響あり患 合併症がある 倦怠感や疲労感がある 精神症状による 8 妄想 幻聴 幻覚等により行動が左右されている 影響あり 小計 0 9 不規則な生活不眠 睡眠リズムが崩れている 日常生活動作 ( 食事 排泄 入浴 整容 衣 移動等 ) に関する 0 ADLの低下支援が必要である IADLの低下 手段的日常生活動作 ( 買物や掃除等の家事 金銭管理 交通機関 電話の利用等 ) ができない ( 服薬管理は 6 で評価 ) 支援があればできる場合は 点 () 4 本人の生活能力 状況 通院困難 通院手段がない 遠い 職場の理解が得られない 仕事や学校を休むことができない 経済困難 一定の収入がない 生活が困窮している等 何らかの経済的な問題がある 日本語の理解が得られない 4 意思疎通困難 外国人 知的 言語 聴覚障害等 5 住所不定者居住地が決まっていない 一時滞在者 6 ひとり暮らし同居者がいない 小 計 家族等支援者がいない 支援してもらえる状況にない 家族や 7 家族等の支援者なし 親戚等と音信普通 支援者が遠距離で協力が得られにくい 家族への被害妄想や暴言 暴力等があり 家族が支援しにく い 4 0 5 支援状況 家族等の理解家族が病気や治療の必要性について理解できていない 家族 8 受容なしが本人との関わりを拒否する傾向にある 4 近隣住民との近隣者とのトラブルがある 近隣者が対象者を理解していな 9 関係不良い 拒否的 0 社会資源の利用なし 地域の支援者とつながっていない 地域で利用している ( 利用予定 ) サービスがない サービスを利用しているが不足している場合は 点 小 計 各項目の合計点数 () 5 0 50 記入者 地域の社会資源 関係機関 相談支援事業所 居宅介護支援事業所 訪問看護ステーション 就労支援事業所 市町 丹南健康福祉センター その他 4
精神障害者の治療中断リスクアセスメント評価 患者氏名 アセスメント大項目 アセスメント小項目番号 治療中断歴 0 病気や治療内容の理解 受容 ~ 0 治療状況 精神症状 4~8 0 4 本人の生活能力 状況 9~6 0 5 支援状況 7~0 0 合計 最大点数 / / / 50 5 支援状況 7~0 治療中断歴 0 9 8 7 6 5 4 0 ハイリスク 病気や治療内容の理解 受容 ~ 4 本人の生活能力 状況 9~6 治療状況 精神症状 4~8 ( 備考 ) 5
精神障害者の治療中断のアセスメント項目 適用例 考え方 ) 大項目 :5 項目 (~5) 大項目 小項目番号 最大点数 治療中断歴 0 病気や治療内容の理解 受容 ~ 0 治療状況 精神症状 4~8 0 4 本人の生活能力 状況 9~6 0 5 支援状況 7~0 0 ) 小項目 : 下記 0 項目 小項目 ( 点数 ) 治療中断歴あり (0 点 or 5 点 ) 受診予定日から ヶ月経過しても受診しない 主剤内服を ヶ月以上中断している 病気の理解 受容なし (5 点 or 点 ) 適用例 ( 以下のようなことがあれば該当 ) 過去 年または 5 年以内に 回でも治療中断したことがある ( 医師からの治療指示中止は含まない ) 年以内 0 点 5 年以内 5 点 病気の理解が不十分 病識や病感がない 病識はないが病感はある場合は 点 考え方 過去に治療中断歴がある場合 再度中断する可能性が高い 支援方法を検討する上で 中断した理由についてもアセスメントする必要がある アドヒアランスが不良であると服薬の自己中断の可能性が高いと考えられる 治療の理解 受容なし (5 点 or 点 ) 4 治療の副作用あり ( 点 ) 5 拒薬あり ( 点 ) 治療内容の理解が不十分 受診や治療の必要性を理解していない 治療について納得していない 薬や病院に悪いイメージを持っている 治療効果を感じていない 受診の必要性のみ理解できている場合は 点 現在またはこれまでに副作用が出現した経験がある 副作用に関する不安がある 薬を飲まない 捨てる 吐くなどの行為がある 自己判断で減薬する 副作用の経験がある場合 副作用について過度の不安を感じ 服薬継続が困難になったり 自己中断してしまうことがある 一時の行動であっても長期にわたる治療中断につながる可能性があり 行動に注意 6
6 服薬管理能力なし ( 点 ) 7 身体疾患による影響あり ( 点 ) 8 精神症状による影響あり ( 点 ) 9 不規則な生活 ( 点 ) 0 ADL の低下 ( 点 ) IADL の低下 ( 点 or 点 ) 通院困難 ( 点 ) 薬の飲み方 時間や分量などが分からない 服薬管理支援者がいない 支援があればできる場合は 点 コントロール不良な疾患がある 精神治療に影響を及ぼす疾患 合併症がある 倦怠感や疲労感がある 妄想 幻聴 幻覚等により行動が左右されている 不眠 睡眠リズムが崩れている 日常生活動作 ( 食事 排泄 入浴 整容 衣 移動等 ) に関する支援が必要である 手段的日常生活動作 ( 買物や掃除等の家事 金銭管理 交通機関 電話の利用等 ) ができない ( 服薬管理は 6 で評価 ) 支援があればできる場合は 点 通院手段がない 遠い 職場の理解が得られない 仕事や学校を休むことができない していく必要がある 家族や関係者でどの程度服薬支援できるか把握する必要がある 合併症や内服している薬の副作用が精神治療に悪影響を及ぼす治療中断につながる可能性があるため コントロールが確実に行われているか確認する必要がある 精神症状に左右されて拒薬行動を起こす可能性がある 生活が不規則だと 服薬する時間が定まりにくく 服薬を忘れる可能性が高い 服薬が習慣化しないことは飲み忘れにつながり 服薬中断のリスクが高いと考えられる 能力の低下により 自力でできることが少なくなり 服薬管理や通院などに影響がでてくる 通院に関する問題が退院後の服薬継続を困難にさせる場合がある 経済困難 ( 点 ) 一定の収入がない 生活が困窮している等 何らかの経済的な問題がある 医療費や交通費が払えずに治療が中断してしまうなどのリスクが考えられる 7
4 意志疎通困難 ( 点 ) 5 住所不定者 ( 点 ) 日本語の理解が得られない * 外国人 知的障害 言語障害 聴覚障害等 居住地が決まっていない 一時滞在者 個人差が大きいが 日本語の理解が十分できず服薬の重要性を伝えることが困難であったり 習慣の違い等もあることから 意思疎通が困難な人は服薬中断のリスクがあると考えられる 住所不定者の場合 継続的な服薬習慣を維持できない場合も多く 治療中断のハイリスク因子と考えられる 6 ひとり暮らし ( 点 ) 7 家族等の支援者なし ( 点 ) 同居者がいない 家族等支援者がいない 支援してもらえる状況にない 家族や親戚と音信不通 支援者が遠距離のため協力が得られにくい 家族への被害妄想や暴言 暴力等があり 家族が支援しにくい 支援者がいないと 日常生活が不規則になったり 服薬の飲み忘れが生じやすい 支援可能な人がいるか どの程度の支援が可能なのかを把握する必要がある 単身や別居でも支援者になる人がいるとよい 8 家族等の理解 受容なし (4 点 ) 9 近隣住民との関係不良 ( 点 ) 家族が本人との関わりを拒否する傾向にある 家族が病気 治療の必要性について理解できていない 近隣とのトラブルがある 近隣者が対象者を理解していない 拒否的 近隣との関係性が精神症状に影響を及ぼす可能性がある また 精神症状により人間関係を良好に保つことができずトラブルを起こす可能性がある 0 社会資源の利用なし ( 点 or 点 ) 地域の支援者とつながっていない 地域で利用している ( 利用予定 ) サービスがない サービスを利用しているが不足している場合は 点 サービス機関等の支援者がいることで 服薬中断や症状悪化に早期に気づき対応することができる 8