(2) 授業者が学びの見通しを持つ ( 学習目標の明確化 ) 問題解決的な学習に取り組む際, どのような場面で, どのようにして, どのような力を子どもたちに付けるのか, 単元や授業における目標を明確にして学びを見通しておくことが大切です 目標が不明確であると, 作業や体験などの活動そのものに, 子

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Microsoft Word - 社会科

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的


課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

ICTを軸にした小中連携

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

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平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

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基礎を育てることを主なねらいとしている 現在 地方自治体を取り巻く状況は 少子高齢化 情報化 グローバル化 経済の変動などによ り急速に変化している また 地方分権を推進する法律がつくられ 各地方自治体は 財政の健全 化や組織の改編 市町村合併等の新しい枠組みづくりに取り組んでいる さらに 子育て支

た, 導入で扱うイメージキャラクターについて, デザインやネーミングの意図, 理由について疑問や関心を持つことにより, より北広島町に興味を持つことが可能となる その他, 調べる際に新聞記事を利用することにより, 記事をスクラップすることができる 記録性 に優れ, 疑問を解決するための手立て, 情報

Taro-5年研究のまとめ

第 6 学年 1 組理科学習指導案単元名 : 瀬野川の生き物のつながり 生き物のくらしと環境 男子 18 名女子 21 名計 39 名 単元について 指導者澄川和生 単元観本単元は, 小学校学習指導要領解説理科編第 6 学年 内容 B(3) の 動物や植物の生活を観察したり, 資料を活用したりして調

2 単元の目標 廿日市市 についての魅力を目的意識や相手意識を明確にして地域内外に発信することができる 自分たちの住む 廿日市市 に愛着をもつことができる 3 単元の評価規準 学習方法 自分自身 他者や社会 課題発見力 思考力 判断力 表現力 主体性 自らへの自信 対象と積極的にかかわる中で, 課題

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考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

詳細に伝えるためにインタビューやアンケートを実施して情報を収集したりする活動を設定することにする 整理する 場面では,CM のテーマをもとに集めた情報の中から伝えたいことが受け手にしっかりと伝えることができる情報を選択する また, 選択肢した情報を加工しながら, 伝えたいことが伝わりやすい CM の

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国語科学習指導案様式(案)

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

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授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

<小学校 生活科>

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授業単元名 中学校 3 年公民科 : 市場経済 ( 金融 )/ 消費生活 目標 震災復興プランの策定では 政府 企業 銀行 の各立場やその役割から どのようにして震災からの復興を支援していくことができるのかを検討してきた 今回は 賢い消費者として自分自身の生活設計を検討する際の 人生全体を通したお金

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H27 国語

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

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平成20年度 努力点研究

(2) 各学年の目標 ア 知識 に関する目標 社会生活についての総合的な理解 第 3 学年 身近な地域や市区町村の地理的環境 地域の安全を守るための諸活動や地域 の産業と消費生活の様子 地域の様子の移り変わりについて 人々の生活と の関連を踏まえて理解する 第 4 学年 県の地理的環境の特色 地域の

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

けて考察し, 自分の考えを表現している 3 電磁石の極の変化と電流の向きとを関係付けて考え, 自分の考えを表現している 指導計画 ( 全 10 時間 ) 第 1 次 電磁石のはたらき (2 時間 ) 知 1, 思 1 第 2 次 電磁石の強さが変わる条件 (4 時間 ) 思 2, 技 1, 知 2

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

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中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

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子葉と本葉に注目すると植物の成長の変化を見ることができるという見方や, 植物は 葉 茎 根 からできていて, それらからできているものが植物であるという見方ができるようにしていく また, 学んだことを生かして科学的なものの見方を育てるために, 生活の中で口にしている野菜も取り上げて観察する活動を取り

自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

2013 年度 統合実習 [ 表紙 2] 提出記録用紙 5 実習計画表 6 問題リスト 7 看護過程展開用紙 8 ( アセスメント用紙 1) 9 ( アセスメント用紙 2) 学生証番号 : KF 学生氏名 : 実習期間 : 月 日 ~ 月 日 実習施設名 : 担当教員名 : 指導者名 : 看護学科

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エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

中学校における授業実践事例 1 第 3 学年社会科 消費生活と経済 1 学校名 職氏名萩市立田万川中学校教諭室谷雄二 2 生徒 3 学年 15 人 3 学習指導案 (1) 題材名消費生活と経済 (2) 題材の目標経済活動の意義について消費生活を中心に理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済

Microsoft Word - 研究協議会資料(保健分野学習指導案)

5 単元の評価規準と学習活動における具体の評価規準 単元の評価規準 学習活動における具体の評価規準 ア関心 意欲 態度イ読む能力ウ知識 理解 本文の読解を通じて 科学 について改めて問い直し 新たな視点で考えようとすることができる 学習指導要領 国語総合 3- (6)- ウ -( オ ) 1 科学

20情報【授業】

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

1

第 3 学年社会科学習指導案 1 小単元名 わたしたちのまちのようす 平成 24 年 6 月 27 日 ( 水 ) 第 3 学年 2 組 3 3 名指導者 : 今橋美都 2 単元について本単元は学習指導要領の第 3 学年及び第 4 学年の内容 (1) アの内容に基づいている (1) 自分たちの住んで

平成15年度 家庭科 年間指導・評価計画

きるか, 必要なものを取捨選択したり, 試したり見立てたり工夫したりしながら, 自分が選んだおもちゃや楽器をつくる できたおもちゃや楽器を交流し, 友達とアドバイスしあいながら, 改良したり, 遊び方を工夫したりして, よいものにしようとする おもちゃフェスティバルを開き実際に遊び, みんなが楽しく

Taro-4年 総合 指導案(最終)

5. 単元指導目標単元の目標 ( 子どもに事前に知らせる ) 小数 整数の意味を考えよう 小数 整数の計算の仕方を見つけ 計算できるようになろう 子どもに事前に知らせる どうまとめるのか 何を ( どこを ) どうするのか ( 作業 教える 考えさせる ) 何についてまとめるのか 1. 小数 整数の

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解答類型

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

( ) 単元計画 ( 全 6 時間 ) 段階 主な学習活動と内容 指導上の留意点 配時 私たちが食べているものは, どこからきて 既習を想起できるように, 農業や いるか考える 水産業の学習内容を掲示しておく 給食の献立から調べた食料自給率から, 給食の献立から調べた食料自給率本つ気づいたことや疑問

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

5 児童の実態と主題に迫るための手だて (1) 児童の実態本学級の児童は明るく 男女の仲もよい いろいろな場面で声を掛け合ったり 仕事を手伝ったりできる児童も多い 話し合い活動では 友達の意見のいいところを取り上げて考えをまとめることができたり 人の意見を聞いて自分の考えを変えることができたりする児

「標準的な研修プログラム《

項目評価規準評価方法状況 C の生徒への対応 関心意欲態度 1 自の考えを持ち 積極的に交流 討論している 2 自らの言葉で 中学生にかりやすく紹介文を書こうとしている 交流 討論で得た仲間の意見を取り入れて 自らの考えを深めるよう促す 参考例を示したり 書き出しを例示したりして 参考にするように指

いろいろな衣装を知ろう

問題解決的な学習スタイルを充実させるために 3 つのステップを積み上げましょう 課 題 板書を充実させる道具を用意している ( マグ ネット名札 学習の流れカード ) 黒板に日付を書き 単元の流れ 本時の流れを 掲示している ノートに日付 単元の流れ 本時の流れを書かせている 前時の振り返りをノート

6. 単元の展開 ( 全 6 間 ) 学習活動 単元の見通しを持つ 2. 学習計画を立てる 3. 本文を読み, 感想を書く 内容に関する感想 書き方に関する感想 4. 感想や疑問を交流する 指導上のポイント ( ) 学習活動に即した評価規準 ( 関 読 言 ) 既習事項を振り返らせ,

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教育研究グループ報告書

算数科学習指導案 指導者中野智子 1 日時平成 30 年 10 月 19 日 ( 金 ) 第 6 校時 2 学年第 6 学年 1 組男子 12 名女子 9 名計 21 名 3 単元名資料の調べ方 4 単元について (1) 単元観本単元は, 小学校学習指導要領第 6 学年の内容 [D データの活用 ]

(Microsoft Word - 201\214\366\212J\216\366\213\3061\224N\211\271.docx)

授業のまとめを行い、医療制度や医療保険のしくみ、医療制度を支えていくことの必要性について確認する。感想をワークシートに記

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

4 単元構想図 ( 全 14 時間 ) 生徒の意識の流れ 表を使って解く 縦 (m) 0 8 横 (m) x= 右辺の形に式を変形して 二次方程式を解こう1 ax = b (x + m) = nは平方根の考えで解くことができる x= 右辺の形に式を変形して 二次方程式を解こう2 x +

たい 生徒は九州地方のイメージを漠然と 自然が多い 山がある 空気がおいしい というような自然や環境がよいことをあげていた そこで 九州地方の環境と産業の関わりや環境保全への取組 持続可能な社会を目指した活動についてなど 九州の地域的特色を捉えさせることが重要である そのために 環境保全には人々の積

6 年 No.22 my summer vacation. 1/8 単元の目標 主な言語材料 過去の表し方に気付く 夏休みの思い出について, 楽しかったことなどを伝え合う 夏休みの思い出について, 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり, 他者に伝えるなどの目的

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あったらいいな ! こんなあそび場 (わたしの町大好き)

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消費者教育のヒント集&事例集

H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

(3) 計画 学習課題学習内容時間 変わり方のようすをわかりやすく表すにはどうしたらよいか考えよう変わり方が大きいか小さいかを調べるにはグラフのどこに目をつけるとよいのだろう 2つの折れ線グラフからどんなことが分かるだろう折れ線グラフをかこう 変わり方を分かりやすく表す工夫 折れ線グラフの縦軸と横軸

スライド 1

Transcription:

(1) はじめに中学校 3 年生公民的分野, 地方自治の単元における授業の一場面です 子どもが, グループごとに自分たちの住んでいる市の将来像を考え, よりよい市にしていくための提案をし, その吟味を行っている場面です S1: 僕たちグループのスローガンは, 市民が安心して暮 < 子どもの提案例 > らせる街づくり です 保健 医療 福祉 市には,46 台のAEDが設置されていて, さらに,24 AEDの設置と講習会 時間営業のコンビニエンスストアへのAED 設置を進 AEDをバスに設置して台数 めています しかし, コンビニエンスストアがない地 を増やし, 講習会を開き小 域もあります だから, 市内の至る所を通っているバ 中学生も使えるようにする スに設置することで, より一層, 市民が安心して暮ら 食 せる市になると思います 給食で地産地消 S2:AEDの取り扱い方を知っている人は, 手を挙げてく 給食に市でとれた食材を使う ださい ( 数人手を挙げる ) ことで, 市の農作物のよさを このように全員は, 分かっていない状況です いくら 知ってもらう AEDが多くなっても, 使えなくては意味がありませ 自然 環境 ん いざという時に, 私たちが使えるように, 小 中 エコショップの設置 学生へAEDの取り扱いを説明する講習会を行うよう ペットボトル, 牛乳パック等 にすることを併せて提案します のリサイクルできるものだけ S3: 講習会は, どんな時間を使って, どのくらいのペース でなく, 使わなくなった家具 で行うのですか や日用品を回収し, 再利用す S2: 今, 学校では, 薬学講座や防災訓練を行っています る そんな機会を使って行ったら良いと考えています S4: 市でも防災訓練をやっています こうした機会を使っ て講習会を行えば, 小 中学生だけでなくて多くの人 が使えるようになります 全体 : おお 確かにそうだ 子どもの提案には, 非現実的なものはありません また, 自分たちも市民の一員として参画することを視野に入れて発言していることが分かります さらに, 仲間の提案に対して, 単にそれを否定するのではなく, 自分が追究してきた市の現状や様々な人々の思いを踏まえて, よりよい提案にしていくための建設的な意見を発言しており, それに対して仲間が賛同しています このような子どもの主体的な学びは, まさに社会科で目指したい授業の姿と言えます しかし, 市の行政に対して一方的に自分が不満に思っていることを発言したり, やって欲しいことを提案したりするだけの授業では, このような子どもの姿は見られないでしょう この授業が問題解決的な学習になっており, この授業の背景に授業者の様々な手立てや関わりがあるからこそ, 子どもが主体的に学ぶ姿が見られるのです それでは, 子どもが主体的に学ぶ, 問題解決的な学習にしていくためには, どうしたらいいのでしょう ここでは, この授業を事例にして, 単元を通した問題解決的な学習のステップの例を示したいと思います 43

(2) 授業者が学びの見通しを持つ ( 学習目標の明確化 ) 問題解決的な学習に取り組む際, どのような場面で, どのようにして, どのような力を子どもたちに付けるのか, 単元や授業における目標を明確にして学びを見通しておくことが大切です 目標が不明確であると, 作業や体験などの活動そのものに, 子どもの興味 関心が集中し, 教科の目標や授業のねらいから外れてしまうこともあるので, 留意したいところです (3) 興味 関心を高める導入と切実な問いの共有 ( 導入と問題の発見 ) 単元の導入において, 授業者は, 身近な社会問 単元名 市の将来像を考え提案しよう 題を扱いました 授業者が, テレビでのニュース映像を資料とし 学 習 活 動 て示すことで, 市民を困らせたサルの捕獲は誰 1 サルの捕獲に, なぜ市がお金を出した が行っていたのだろう 市は, なぜ, サルの 切 のだろう 捕獲に懸賞金を出したのだろう と子どもに疑 実 市は市民のために, どのような仕組み 問が生まれます な の中で取り組んでいるのだろう 子どもは, 新聞記事の資料等から, 市が自分た 問 自分たちと市民の市に対する意識調査 ちの生活を守るために行っていたことを知るとと い を比較しよう もに, どのような仕組みの中で, どのような取組 の 市の将来像について考え, よりよい市 を行っているのかと興味 関心を高めます 共 にしていくための提案をしよう そして, 市民は, 市に対してどう思っている 有 のだろう という疑問を基に, 市に対する市民の意識調査と子どもの意識調査を比較すること 市の取組を調べてみよう で, 人々の思いに着目させ, 世代によって市に対 市民は, 市の政策を知っているのだろ する思いが違うことに気付くとともに, 市民の 2 うか, 満足しているのだろうか, 聞き 思いと市の取組が整合しているのだろうか と 追 取り調査を行おう 疑問が深まります 究 また, 自分たちが住んでいる市には市民提案の の 市の取組や市民への聞き取り調査から 制度があること, 静岡市では, 中学生の提案で, 過 分かったことをまとめ, 市への提案を 路上喫煙禁止条例が制定されたことを学びます 程 考えよう こうした学習を通して, 市に対する人々の思い 市役所の方にアドバイスをいただこう や願いが市の具体的な取組と整合しているかとい 市の将来像についての提案を考えよう う疑問と, 自分たちの提案が実現されるかもしれないという期待がつながり, 市の具体的な取組と 3 各グループの提案を吟味しよう 市民の思いや願いを調べ, 市の将来像を考え, 問 学級の提案をまとめ, 市に伝えよう よりよい市にしていくための提案をしよう と い この学習を通して考えたことや市民の いう単元を貫く問いが共有されていったのです の 一人として自分にできることをまとめ 問題解決的な学習における追究のエネルギー 解 よう は, 問いが子どもにとって切実なものであるかで大きく変わります 上に述べた単元を貫く問いだけでなく,1 時間の授業における問いにおいても, 子どもたちの様々な疑問を焦点化して切実感のある共有した問いとするためには, 資料の提示や発問など, 授業者の関わりが重要です また, 問題を解決するための資料収集等, 子どもが追究する 見通しが持てる環境を設定したいものです 44

(4) 一人一人の個性が生きる充実した追究の過程 ( 調査活動 調査結果の再構成 ) 子どもが問いを追究する方法は多様にあります 前述した実践では, 市の広報やインターネットのホームページ活用の他, アンケートによる調査やゲストティーチャーを招いての聞き取り調査が行われています 社会科での追究方法としては, この他にも, 文献, 地図, 統計資料, 年表等を活用することが考えられるでしょう 子どもが問いを追究する際に授業者は, 次の点に留意し, 一人一人の個性が生きる学びとすることが大切です 子どもの追究 追究の見通しを持つ 問いを解決するために, 何をどのように 何を使ってどのくらい調べることが可能か, 追究するか計画を立てる 追究に活用できる資料と, 子どもの資料を活用 追 調べる目的( 何のために調べるか ) する力を把握し, 発達の段階に応じて指導する 究 調べる内容( 何について調べるか ) 追究に活用できる資料 の 調べる方法 ( 図書館の文献, インターネット, 見学先, 計 ( 何を使ってどのように調べるか ) ゲストティーチャー等 ) 画 資料を活用する力 ( 資料を読み取る力, 必要な資料を収集する力等 ) 一人一人が個性を生かした追究をする 追 追究の計画に基づいて, 子ども一人一人 予想させるなどして, 自分なりの視点を持た 究 が, 様々な方法で追究し, 資料を収集する せるとともに, 発達の段階に応じて, 様々な視点から多面的 多角的に追究できるように指導する 収集した資料を吟味する 追 集めた資料が, 問いを解決して結論に結 子どもの資料を活用する力を把握し, 発達の 究 び付けられるものであるか検証する 段階に応じて指導する の 資料の信頼性や作成年を確認する 資料を活用する力 検 検証する中で, 資料を加える必要性を考 ( 必要な資料を吟味する力, 資料を整理した 証 える り再構成したりする力 ) 追 一人一人が自分の言葉でまとめをする 究 資料から考察するなどして, 追究結果を 追究の目的などを再確認するとともに, 資料 の 自分なりの言葉でまとめる を比較 関連付けて考察し, 再構成して自分な ま りの言葉でまとめられるよう指導する とめ どの場面においても, 子どもの表れ, つまずき等を予想し, 付けたい力に向かう適切な支援を構想し, 実践する 45

(5) 子ども同士の学び合いによる問いの解決 ( 問題の解決 ) この単元において子どもは, グループごとに よりよい市にしていくための提案 をスローガンとしてまとめ, その提案のキーワードをホワイトボードに貼りながら, 聞き取り調査等によって分かった事実を根拠として示して全体に説明しました 授業者は, グループの提案を, 学級全体のものとして市へ提案することを伝え, 学級全体で吟味する必要性を大切にした上で, 提案の妥当性を様々な市民の立場や行政の立場等から吟味していきました 子どもが調べたり考えたりして追究した結果を, 自分の言葉で伝え合い, 子ども同士の学び合う場とすることで, 問いの解決へ, 授業者の目標へと向かうことになります その際, 次のことに留意し, 一人一人の学びが深まる学び合いにすることが大切です 子ども同士の学び合い 調べたことや考えたことを表現し, 伝え合う 伝 資料等を活用し, 根拠を示すなどして自 子どもの表現する力を把握し, 発達の段階に え 分の調べたことや考えたことを分かりや 応じて, 自分なりに資料を活用して説明等で 合 すく表現する きるように指導する う 仲間と自分の調べたことや考えたことを, 仲間と自分の調べたことや考えたことを, 比 比較したり関連付けたりして聞く 較したり関連付けたりして聞けるよう, 発達の段階に応じて指導する 自分の考えや学級の考えを発展させる 問題を解決するために, それぞれが調べ 一人一人の調べたことや考えたことを把握 たことや考えたことの妥当性や信頼性を吟 し, 子ども同士の学び合いによる学びの深まり 学 味したり, 異なる視点から検討したりして, を構想し実践する び 自分の考えや学級の考えを発展させる 観察やノートの記述等から, 子ども一人一人 を の調べたことや考えたことを把握する 深 形態の工夫によって学びの深まりを構想し, め 実践する る ( ペア, グループ, 一斉等 ) 発表方法や指名( 相互指名, 授業者による指名等 ) の工夫によって学びの深まりを構想し, 実践する (6) 子どもが学びを実感し, 授業者のねらいに達する ( 学習目標の達成 ) 市の将来像を考え提案しよう の単元は, 地方自治の仕組みを理解するとともに, 地域社会の一員としての自覚を持ち, 地域に積極的に関わろうとする態度を育むという授業者のねらいのもとに構想され実践されています 自然 環境 保健 医療 福祉 食 というテーマに沿って追究していった子どもは, 仲間と意見を交え, 調べた結果から提案にまとめ, その妥当性を吟味しました その中で子どもは, 市が自分たちのためにどのような取組をし, 市民がどのような思いを持っているかに気付いていきました そして, 単元の学びを振り返ることで, 市民の一人としての自覚を深め, 自分たちが市民の一人としてできることがあることを知り, 共によりよい地域をつくっていこうとする思いを育んでいったのです 46

問題解決的な学習は, 子どもの主体的な学びで展開されていきますが, その授業や単元で子どもが付けたい力を付けていなければ, 子どもの学びを保障できません また, 自分に力が付いたことを子ども自身が実感することが大切であり, それが主体的な学びの姿勢を身に付けることにもつながります したがって, 授業者は, 次のことに留意して単元や授業の振り返りを工夫し, 子どもが学びの実感を積み重ねられるようにするとともに, 授業によって付けたい力が付いたかを, 子どもの表れによって振り返り, 指導と評価の一体化を実践していきたいものです 子どもが学びを実感する 学びを振り返り, 自分の学びを実感する 学びを振り返り, 改めて自分の調べたこ 構造的な板書等によって, 学びを振り返り, とや考えたことをまとめたり再構成した 比較 関連付け 再構成して自分の言葉等で りして, 自分の言葉等で表現する 表現させるなどして自分の考えを深めること 振 学びを振り返ることで, 自分の成長, 仲 ができるようにする り 間との学び合いを実感する 自分の成長, 仲間や学び合いのよさを実感で 返 きるよう, ノートやワークシート等に学びの り 足跡を蓄積させておくなどの工夫をする 付けたい力に沿った評価規準を作成し子どもの表れから自分の授業を振り返り, 指導に生 かす 47