悪性リンパ腫の臨床像と治療

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70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

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悪性リンパ腫の診断と治療 新潟市民病院血液内科髙井和江 市民公開講座 2015 年 11 月 13 日

血液腫瘍の頻度 ( 全国がん登録男性 2013 年 ) その他 19% 大腸 15% 造血器 7% 腎 膀胱 8% 肝胆膵 9% 肺 14% 前立腺 14% 胃 14% 登録総数 352,417 例のうち 血液腫瘍は 23,940 例 (6.8%)

血液腫瘍の頻度 ( 全国がん登録女性 2013 年 ) 腎 膀胱 3% 造血器 7% 肝胆膵 8% その他 16% 乳房 22% 子宮卵巣 15% 胃 8% 肺 8% 大腸 13% 登録総数 277,074 例のうち 血液腫瘍は 18,382 例 (6.6%)

悪性リンパ腫の頻度 ( 全国がん統計血液腫瘍男女合計 2013 年 ) 多発性骨髄腫 11% 他の血液腫瘍 16% 白血病 21% 悪性リンパ腫 52% 血液腫瘍 42,322 例のうち 悪性リンパ腫が 22,156 例 (52.4%) を占める

日本における悪性リンパ腫の罹患率の推移

本日のお話 1. 悪性リンパ腫ってどんな病気? 2. 悪性リンパ腫 : 検査と診断病型診断 病期診断 3. 悪性リンパ腫の治療 4. 化学療法の副作用と対策

悪性リンパ腫とは? 白血球の中のリンパ球ががん化した腫瘍で リンパ節が腫れたり 腫瘤 ( こぶ ) ができたりする病気 多くはリンパ系組織に発生するが 全身のあらゆる臓器から発生しうる リンパ系組織 : リンパ節 胸腺 脾臓 扁桃腺など リンパ外臓器 : 脳 眼 胃 大腸 小腸 甲状腺 肺 心臓 肝臓 骨髄 脊髄 皮膚など 腫瘍細胞の形や性質から 大きくホジキンリンパ腫と 非ホジキンリンパ腫の 2 種類に分類 非ホジキンが大部分

リンパ球の種類と働き リンパ球は 細菌やウイルスなどの病原体の侵入を防ぎ これを排除する ( これを免疫という ) リンパ球には B 細胞 T 細胞 NK 細胞があり それぞれががん化し 多種多様なリンパ腫を発生する B 細胞 : 抗体という蛋白を作って血液中に放出する T 細胞 : 移植における拒絶反応のような細胞性免疫 を担当する NK 細胞 : 免疫反応を介さないで腫瘍細胞を攻撃する

悪性リンパ腫タイプ別頻度日本血液学会 国立病院機構 日本小児血液 がん学会 :2013 年診断例 T/NK 細胞性 13% ホジキン 5% その他 0% B 細胞性 82% 悪性リンパ腫 10,381 例のうち B 細胞リンパ腫が 8,447 例 (81.3%) を占める

非ホジキンリンパ腫の悪性度分類 悪性度 B 細胞性 T/NK 細胞性 低悪性度慢性 ( 年単位 ) 小細胞性リンパ腫 MALT リンパ腫濾胞性リンパ腫 ( ク レート 1,2,3a) 菌状息肉腫 中悪性度 ( 月単位 ) 高悪性度急性 ( 週単位 ) マントル細胞リンパ腫濾胞性リンパ腫 (3b) びまん性大細胞型 リンパ芽球性リンパ腫バーキットリンパ腫 末梢性 T 細胞血管免疫芽球性未分化大細胞型 リンパ芽球性 NK/T 細胞性鼻型成人 T 細胞性 MALT:mucosa-associated lymphid tissue ( 粘膜関連リンパ組織 )

リンパ球の分化と代表的なリンパ腫の発生 びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫 ( インフォームドコンセントのための図説シリーズ悪性リンパ腫医薬ジャーナル社より引用 )

悪性リンパ腫の発生原因 大部分は原因不明 一部に細菌やウイルスが関与 1. 胃 MALT リンパ腫ヘリコバクター ピロリ菌陽性例では除菌療法が有効 2.EB ウイルス関連びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫 免疫不全関連 : 移植後 関節リウマチ AIDS 加齢など 慢性炎症に伴う : 膿胸後リンパ腫 3.EB ウイルス関連 T/NK 細胞リンパ腫 節外性 NK/T 細胞リンパ腫 - 鼻型 小児全身性 EBV 陽性 T 細胞リンパ増殖異常症 4. 成人 T 細胞白血病 / リンパ腫 HTLV-1 に感染数十年後に発症 ( 累積発症率 2~5%) 沖縄九州地方に多いが新潟でも散発

検査と診断 (1) リンパ腫の確定と病型診断 リンパ節または腫瘍生検しこりのあるリンパ節あるいは腫瘍の一部を外科的に採取 病理組織診断: 免疫染色による病型分類採取した組織を顕微鏡で観察し リンパ腫細胞の形や免疫染色の特徴から詳細な病型を決定する 染色体分析 遺伝子診断詳細なリンパ腫の病型や治療選択 治療反応性を検討する 濾胞性リンパ腫 CD20 陽性 B 細胞性

検査と診断 (2) 病期診断のための検査 1. 病歴 ( 問診 ): これまでの経過 発熱 体重減少 寝汗など 2. 診察 : リンパ節の腫れの部位や大きさ 扁桃腺の腫れ 腹部のしこり 肝臓脾臓の腫れ 皮膚の異常など 3. 血液検査 : 白血球 赤血球 血小板 肝機能 腎機能 血糖ウイルス関連検査 ; 肝炎ウイルス HTLV-1 HIV EBVなど 4. 骨髄検査 : 腸骨に針を刺して骨髄液を吸引する骨髄穿刺 組織を採取する骨髄生検で骨髄への浸潤やその状態を見る

検査と診断 (2) 病期診断のための検査 5. 画像診断 : 胸部 X 線 超音波検査 CT, MRI 検査 PET 検査病変の大きさや広がり 胸水 腹水の有無など 6. 消化管内視鏡検査 : 病変があれば生検 ピロリ菌検査など 7. 脳脊髄液検査 : 脳や髄膜にリンパ腫浸潤が疑われた場合

病期分類 (Ann Arbor 分類 ) I 期 :1 つのリンパ節領域 リンパ節以外の臓器の限局的な病変にとどまっている II 期 : 横隔膜を境界として その上または下のいずれか一方に限局した 2 つ以上のリンパ節領域 リンパ組織の病変 B 症状 :38 以上の発熱 寝汗 体重減少がある場合は B, なければ A とする B 症状なければ病期 IA 両側頸部リンパ節 縦隔病変に加え最近強い寝汗あり : 病期 IIB

病期分類 (Ann Arbor 分類 ) III 期 : 横隔膜の両側に及ぶリンパ節領域またはリンパ組織の病変 IV 期 : リンパ節以外の臓器への広範な浸潤 たとえば 骨髄 肝臓など 発熱 寝汗 体重減少なし病期 IIIA CT 検査で肝臓に多発性病変あり原因不明の発熱持続 : 病期 IVB

悪性リンパ腫の治療 リンパ腫の種類悪性度病型 (B or T/NK 細胞性 ) 進み具合 ( 病期 ) 進行に影響する因子 ( 予後因子 ) 治療方針

進行に影響する因子 : 予後因子とは国際予後指標 :International Prognostic Index: IPI 予後因子 年齢血清 LDH PS* 病期節外病変数 予後不良因子 61 歳以上正常上限を超える 2~4 III または IV 2 以上 *PS:Performance Status とは全身状態の指標 PS0: 無症状 PS1: 軽度の症状があり PS2: 日中の 50% 以上は起居 PS3: 日中の 50% 以上は就床 PS5: 終日就床 予後不良因子の数によって risk を決定 0 または 1:low risk(l) 2: low-intermediate risk (LI) 3: high-intermediate risk (HI) 4 または 5: high risk(h)

国際予後指標 (IPI) による各リスクグループの生存曲線 L: low risk, LI: low-intermediate risk, HI: high-intermediate risk H: high risk (N Eng J Med.329:987-994, 1993 より引用

非ホジキンリンパ腫の病型 病期と治療 低悪性度リンパ腫での主な治療選択肢 I 期 II 期 III IV 期 2 つの病変が近い 2 つの病変が離れている 放射線治療 I 期の胃 MALT リンパ腫ではピロリ菌の除菌が第一選択 経過観察 抗がん剤治療 (+ 抗 CD20 モノクローナル抗体 )* 圧迫症状部位への放射線治療 * CD20 抗原陽性例

中悪性度リンパ腫での主な治療選択肢 I II 期 III IV 期 抗がん剤治療 (+ 抗 CD20 モノクローナル抗体 )* 抗がん剤治療 + 放射線治療 抗がん剤治療 (+ 抗 CD20 モノクローナル抗体 )* 高悪性度リンパ腫での主な治療選択肢 抗がん剤治療 (+ 抗 CD20 モノクローナル抗体 )* * 抗 CD20 抗原陽性例

ホジキンリンパ腫の病型 病期と治療 限局型 :I,II 期 進展型 :III,IV 期 結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫 古典的ホジキンリンパ腫 B 症状 ( 発熱 体重減少 寝汗 ) がない B 症状がある 放射線治療抗がん剤治療 + 放射線治療抗がん剤治療

分子標的薬剤とは 腫瘍細胞の持つ分子 ( 蛋白質 ) を標的にして 腫瘍細胞をピンポイント攻撃する 標的分子を持たない正常細胞は攻撃しない 抗がん剤のような血液毒性や嘔気 脱毛などは ほとんど認めない モノクローナル抗体によるインフュージョン リアクション TK 阻害剤による間質性肺炎など 特有の副作用には注意が必要

血液腫瘍に対する分子標的薬剤 1. モノクローナル抗体 一般名商品名標的分子適応疾患 リツキシマブリツキサン CD20 B 細胞リンパ腫 オファツムマブアーゼラ CD20 慢性リンパ性白血病 モガムリズマブポテリジオ CCR4 成人 T 細胞白血病 / リンパ腫末梢性 T 細胞リンパ腫 ブレンツキシマブベドチン アドセトリス CD30 ホジキンリンパ腫未分化大細胞リンパ腫 ゲムツズマブオゾガマイシンマイロターグ CD33 急性骨髄性白血病 2. チロシンキナーゼ阻害剤 イマチニブグリベック BCR/ABL 慢性骨髄性白血病

リツキサンの 作用機序 CDC Complement-dependent cytotoxicity ADCC Antibody-dependent cellmediated cytotoxicity 補体系活性化 リツキサン B リンパ球 Fc レセプター リツキサン CD20 抗原陽性 B リンパ球 NK 細胞 マクロファージ CD20 抗原 リツキシマブ ( リツキサン ): 抗 CD20 モノクローナル抗体

Rituximab( モノクローナル抗体 ) による副作用 Infusion reaction ( インフュージョン リアクション ) Rituximab( リツキサン ) 投与後 24 時間以内に多く発現する副作用 特に初回では 90% に出現 主な症状 : 発熱 悪寒 悪心 頭痛 掻痒 発疹など重度の場合 : 低血圧 アナフィラキシーなど 注意を要する患者 血液中に腫瘍細胞が大量にあるなど腫瘍量の多い患者 脾腫を伴う患者 心機能 肺機能障害を有する患者 対処方法 前投薬 : 解熱鎮痛薬 抗ヒスタミン剤の予防的投与 注入速度を緩めるか 投与を中断し 対症療法を行う 重篤な場合は直ちに中止し 昇圧剤 酸素投与など

リツキサン投与方法 リツキサン : 375 mg/ m 2 1 週間間隔 8 回投与 ( 点滴静注 ) 生理食塩液または 5% ブドウ糖液にて 1mg/mL に調整 前投与 : リツキサン各点滴静注開始 30 分前に経口投与 前投与 解熱鎮痛剤 : アセトアミノフェン 400 mg 抗ヒスタミン剤 :d- マレイン酸クロルフェニラミン 2 mg リツキサン点滴静注速度 25 mg/ 時 100 mg/ 時 200 mg/ 時 30 分 1 時間 1 時間残りの時間

B 細胞リンパ腫の標準的治療 リツキサン併用 CHOP 療法 (R-CHOP) 1 2 3 4 5 6 22 日 リツキサン 375mg/m2 アドリアマイシン50mg/m2 オンコビン 1.4mg/m2 エンドキサン 750mg/m2 プレドニン 40mg/m2 内服 5 日間 日本では 特に高齢者に対しアドリアマイシンの代わりに THP-ADR ( ピラルビシン ) を使用する R-TCOP 療法を選択することが多い 年齢 合併症 PS によって投与量を調整する 外来ではリツキサンと CHOP 療法を 1 日で投与する ( 外来 )

びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に対する CHOP と R-CHOP の比較 (GELA 98.5 syudy) (Feugier P. et al. J.Clin.Oncol.2005; 23:4117-4126)

症例 1. 発症時 37 歳女性 濾胞性リンパ腫 ( 病期 IVA) リツキサン単独療法が著効した事例 X 年初診 全身リンパ節腫脹 肝脾腫 骨髄浸潤あり : 病期 IVA リンパ節生検で濾胞性リンパ腫と診断 CHOP 6 サイクル +CVP 6 サイクルで部分寛解 X+2 年再燃し TCOP 7 サイクル +CVP5 サイクルで部分寛解 X+5 年再燃しサルベージ療法後重症帯状疱疹 X+7 年肝機能障害 (GOT 946), HBs 抗原陽性化 INF-α 併用しながら TCOP 6 サイクル 以後経過観察 X+14 年全身リンパ節腫脹著明 末梢血に腫瘍細胞出現 ( 白血化 ) Lamivudine 使用しながら TCOP 6 サイクル施行したが水腎症出現 リツキサン単独週 1 回 4 回施行後ほぼ完全寛解にいたり 以後無治療で経過観察 13 年間 ( 発症より 27 年 ) 寛解維持している X+17 年 Lamivudine 中止 5 か月後肝炎再燃し 再開 X+20 年 HBV-DNA 陰性化 X+21 年 Lamivudine 中止 以後再燃なし

症例 1 リツキサン投与前後の腹部 CT 脾腫は消失 ( ) 投与前 (X+14 年 ) 傍大動脈リンパ節の縮小 ( ) と左水腎症の改善 ( ) を認める のう胞は不変 ( ) 投与 3.5 年後

症例 2:46 歳女性濾胞性リンパ腫病期 IVB 初回寛解時に自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法施行例 200X 年全身リンパ節腫脹で紹介受診 リンパ節生検で濾胞性リンパ腫 (CD20+) と診断 治療希望せず経過観察自己中断 200X+2 年全身リンパ節腫脹が増強し 再受診 体重減少 寝汗あり WBC 59,600/μL ( リンパ腫細胞 84.5%),Hb 6.5g/dl 血小板 20.4 万 LDH 613 IU, sil-2r 10,400 U/mL IPI :high risk にて予後不良と判断し 初回治療時に自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法 (auto-pbsct) の適応と判断した 寛解導入療法及び auto-pbsct で寛解を得たが 3 年後再燃有り サルベージ療法 ( リツキサン + ベンダムスチン併用療法 ) 施行 腫瘍縮小後は 再発予防のため 地固め療法として ゼヴァリンによる RI( アイソトープ ) 標識抗体療法 を行う予定

症例 2 の治療概要 大量隔週 R-TCOP-G Rituximab 375mg/m 2 d-1 THP-ADR 75mg/m 2 d1 CPA 1,000mg/m 2 d1 VCR 1.4mg/m 2 d1 PSL 50mg/m 2 d1~5 G-CSF 2μg/kg d6~ 移植前大量化学療法 LEED 療法 CPA 60mg/kg d-4,-3 VP-16 250mg/m 2 d-4,-3,-2 L-PAM 130mg/m 2 d-1 Dexa 40mg/body d-4~-1 自己末梢血幹細胞採取 CD34 + 細胞 2.6x10 6 /kg 自己末梢血幹細胞移植

症例 2 入院時頸部 CT PBSCT 後頸部 CT (200X 年 2 月 ) (200X 年 6 月 )

症例 2 入院時胸部 CT (200X 年 2 月 ) PBSCT 後胸部 CT (200X 年 6 月 )

症例 2 入院時腹部 CT PBSCT 後腹部 CT (200X 年 2 月 ) (200X 年.6 月 )

ゼヴァリンによる RI( アイソトープ ) 標識抗体療法 放射性同位元素 ( アイソトープ ) であるイットリウム -90(90Y) を結合したモノクローナル抗体 ( イブリツモマブ ) を静脈注射し リンパ腫細胞に結合した抗体の 90Y から放射されるベータ線によってリンパ腫細胞にダメージを与える治療

ゼヴァリンによる RI 標識抗体療法 適応 CD20 陽性の再発または難治性の 低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫 マントル細胞リンパ腫 治療スケジュール 約 10 日間の入院治療 治療は 1 回のみで終了 1 日目 1 リツキシマブ 3~6 時間で点滴 投与 4 時間以内に 2 インジウム -111(111In) イブリツモマブを 10 分で静脈注射 3~4 日目 2 投与 48~72 時間後 ガンマカメラを用いて画像診断を行う 111In イブリツモマブから放射されるガンマ線により 薬剤の体内分布を測定し 骨髄に著明な分布が認められる場合は治療不適格と判断し 以後の治療 (90Y イブリツモマブ ) は中止する 7~9 日目 1 リツキシマブ 3~6 時間で点滴 投与 4 時間以内に 2 イットリウム -90(90Y) イブリツモマブを 10 分で静脈注射 B 細胞リンパ腫の CD20 抗原に結合し 90Y から放射されるベータ線 (5.3mm の範囲に影響 ) によって リンパ腫細胞にダメージを与える

化学療法の副作用 1. 消化器症状 : 吐き気 ( 悪心 ) 嘔吐下痢 便秘 腹痛 2. 骨髄抑制 : 白血球減少 貧血 血小板減少 3. 皮膚障害 : 血管外漏出 血管炎 薬疹 脱毛 4. 腎障害 5. 肝障害 6. 心筋障害 7. 肺障害 : 間質性肺炎 8. 神経障害 9. 性腺障害

消化器症状 : 便秘 原因 制吐剤の使用により 腸管の蠕動運動が低下 ビンクリスチンによる末梢神経や自律神経の障害による腸管運動の低下 食事量や水分摂取量の減少 食事内容の変化 治療 消化管運動改善薬 便が硬くなっている場合は緩下剤 : 酸化 Mg など 麻痺性イレウスにならないように早期の対策が必要

骨髄抑制 : 抗腫瘍剤による造血障害 白血球 ( 好中球減少 ): 発熱 肺炎 敗血症など感染症の予防と治療 G-CSF 製剤の投与 G-CSF: 好中球 ( 白血球 ) の造血 動員を刺激する薬剤 赤血球減少 ( 貧血 ): めまい 息切れ 倦怠感赤血球製剤の輸血 ( 血色素 7g/dl 以上目標 ) 血小板減少 : 出血傾向 : 紫斑 粘膜出血血小板製剤の輸血 ( 血小板 1~2 万保つ )

白血球 ( 好中球 ) 減少に対する支持療法 CHOP 4000 白血球数 2000 1000 PEG-G-CSF G-CSF 抗生物質 発熱 0 7 14 21 治療日数

リンパ腫の免疫不全と易感染症 リンパ腫 = リンパ球の腫瘍化 ( 正常に働かない ) B リンパ球 : 液性免疫 ( 免疫グロブリン産生 ) ウイルス感染 : 帯状疱疹 サイトメガロウイルス B 型肝炎ウイルスの再活性化 劇症肝炎細菌感染 : 肺炎球菌 T リンパ球 : 細胞性免疫 免疫の司令塔ニューモシスチス肺炎 結核 非定型抗酸菌症 化学療法による好中球減少細菌感染 : 緑膿菌 大腸菌その他の腸内細菌真菌感染 : カンジダ アスペルギルス ムコール ステロイドによる免疫不全 ( リンパ球機能の抑制 )

白血球 ( 好中球 ) 減少時の感染対策 清潔に保つ口腔内 : うがい はみがき手指 : 手洗い アルコール擦り込み身体 : 積極的に風呂 ( シャワー ) に入る 発熱時の抗菌薬投与可能な限り早く ( 翌日まで待たない ) 多くの細菌に十分な抗菌力を持つ薬剤を選択検査 ( 血液培養 胸部 X 線など ) を行いながら 免疫力 体力を落とさない 前向きに考える 十分な休息 睡眠 栄養補給

リンパ腫治療における HBV 再活性化 抗腫瘍剤治療 ( ステロイドを含む ) リツキシマブ ( 抗 CD20 抗体 ) 造血幹細胞移植療法 これらの治療による免疫力の低下が HBV の再活性化を惹起し 重症肝炎を発症する危険あり 慢性肝炎やキャリアの患者には 抗ウイルス剤を併用しながら 利益が上回る場合のみ治療を行う HBs 抗原陰性でも HBs 抗体 HBc 抗体陽性例では定期的に HBV-DNA を測定し 陽性化したら抗ウイルス剤の予防投与が必要

まとめ (1) 1. 悪性リンパ腫は リンパ節のほか 全身のあらゆる臓器から発生しうるためさまざまな症状が見られます 2. リンパ腫の種類 ( 病型 ) 悪性度 病期 ( 進み具合 ) 予後因子によって治療方針を決めるため 生検による組織診断 免疫染色 遺伝子検査 骨髄穿刺 生検 画像診断など 様々な検査が必要です 3. 全身の化学療法が中心ですが 分子標的治療薬の併用 放射線治療を組み合わせ 治療効果を高めます

まとめ (2) 4. 再発例や難治例では 自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法が選択されることがあります 5. 低悪性度 B 細胞性リンパ腫やマントル細胞リンパ腫の再発 難治例にサルベージ療法として抗腫瘍薬 ( ベンダムスチンなど ) ゼヴァリンによる RI 標識抗体療法など新しい治療法があります 6. 化学療法による副作用に対し 様々な支持療法を併用し 化学療法を安全に実施します ご静聴ありがとうございました