定住促進プロジェクト行動計画 ~ 概要版 ~ 土木建築部 定住促進プロジェクトチーム 19
1. 背景と目的日本の将来推計人口をみると 平成 17 年の国勢調査で 1 億 27,768 千人あった人口は 平成 67 年には 8,993 万人になると推計されています 平成 17 年から平成 67 年までの 50 年間で 70.4% と人口は縮小し 約 3 割の 37,838 千人の人口が減少するとされています 人口 世帯の減少は労働力の不足ともなり 地方の産業が衰退する一方で 都市部への人口流出は増加し 地方の活力低下を招いています 南丹市においても平成 18 年 1 月の合併以後も人口減少が続いており 地域の活力を回復するためにも人口減少への対策が重要となっています 人口増加のためには さまざまな分野の施策による総合的な取り組みが必要ですが 日本全体が人口減少社会となった今日 非常に厳しい状況となっています こうした状況の変化に対応するため 南丹市における定住促進の課題を整理し 中 長期的な定住促進を総合的かつ計画的に推進するための南丹市定住促国立社会保障 人口問題研究所の将来人口推計 ( 平成 18 年 12 月推計 ) 進行動計画を策定します 2. 定住促進における現状 (1) 南丹市の将来推計人口南丹市の将来推計人口は 平成 17 年の国勢調査の 36,736 人を 100 とした場合 平成 47 年には 74.2% の 27,260 人になると推計されています その内訳としては 14 歳以下の児童の減少が一番多く平成 47 年には 46.6% の 2,119 人 次いで 15 歳から 64 歳までの生産年齢人口が 65.6% の 14,467 人となっています 一方 65 歳以上の人口をみると 65 歳から 74 歳までが 105.3% の 10,675 人 75 歳以上の人口では 133.6% の 7,242 人と推計されています (2) 住民基本台帳による南丹市の人口推移南丹市の人口は 合併当初の住民基本台帳と外国人登録人口によると 36,402 人であったものが 平成 23 年 9 月現在では 34,366 人と 2,036 人もの人口減少をみています これは出生 死亡による自然減と転入 転出による社会減によるもので その割合は自然減が 3 分の 2 社会減が 3 分の 1 となっています 平成 18 年度から平成 22 年度の内訳でみると自然減の人数は死亡者数が増加傾向を示し 社会減の人数は転入者に比べて転出者が減少しており社会減の減少傾向を示しています (3) 住民基本台帳による南丹市の人口移動平成 18 年 1 月から平成 23 年 8 月までの住民基本台帳人口の転入 転出による南丹市の人口移動をみると転出者に減少傾向がみられ 移動時点の年齢により比較してみると 15 歳以下と 50 歳以上では転入者が転出者を上回っていますが 16 歳から 39 歳では転出者が転入者を上回る結果となっています これは進学や就職 転勤 結婚によるものと思われます 20
1 転入者平成 18 年 1 月から平成 23 年 8 月までの転入者の状況は 京都市 (23.2%) 亀岡市 (18.1%) 大阪府 (9.3%) となっており 転入者の半数を占めています 京都府全体の転入者は 57.3% で その他の都道府県からの転入は 42.7% の状況です 2 転出者平成 18 年 1 月から平成 23 年 8 月までの転出者の状況は 京都市 (26.1%) 亀岡市 (17.2%) 大阪府 (9.5%) となっており 転出者の半数を占めています 府下市町村への転出者は 56.8% で その他の都道府県への転出は 43.2% の状況です 南丹市の年齢別転入 転出者 住民基本台帳人口の転入者 転出者数より移動時点の年齢により作成しています 3. 定住促進の課題 (1) 都市計画マスタープランから得られる課題 1 現況から得られる問題 課題都市機能として幹線街路の整備が進んでおらず 市街化に向けた取り組みや事業の円滑な推進が課題となっています また 新光悦村の企業誘致 小規模宅地の分譲の推進 日吉ダム周辺のリゾートゾーンの活用 かやぶきの里の優れた景観の保全など地域活力の維持 向上への活用なども課題となっています 2 市民アンケート結果から得られる課題身近な生活環境の充実 環境や景観の保全に対する意識が高く 暮らしやすいまちづくり 土地利用としては 拠点機能を高めるための都市機能の誘導 工場や企業の誘致 などの整備 開発を伴う取り組みに対する意識も高いといえます また 都市計画区域外では 自然環境の保全や身近な生活環境 工場や企業の誘致についての意見が多くなっています その反面 主体的な取り組みを伴う意識はやや低くなっています 3 社会情勢から考慮すべき課題持続可能な地域の形成では 集約型都市構造への転換 既成市街地の再構築 地域雇用に密接する産業の活性化 美しく暮らしやすい農山村の形成及び中産間地域の役割の再認識 地域間の交流 連携や人の誘致 移動 ( 二地域居住 外部人材の活用 ) 条件の厳しい地域への対応や災害に強いまちとして ハード ソフトが一体となった取り組みなど減災の観点重視 災害に強い土地利用への誘導 交通 通信網等の迂回ルート等の余裕性 避難誘導体制の充実など地域防災力の強化などの対応が求められています (2) 住生活基本計画から得られる課題 1 市街地開発に対応した住宅政策の検討市街化区域では 南丹市の中心としての賑わいと活力あるまちづくりが求められており 多様なライフスタイルや住宅ニーズを踏まえた住宅の情報発信に取り組むことが重要な要素となっています 市街地部では 民間賃貸住宅の供給が活発なことから 民間賃貸住宅ストックの有効活用を促す取組を民間事業者等と連携しながら検討することも重要な課題となっています 2 各地域の集落活性化に寄与する住宅施策の検討少子高齢社会により 一部では限界集落化が進むなど 地域の居住環境の維持が問題となっ 21
ており 自然環境を求めてやってくる新たな転入者の住宅確保ができない問題もみられます 都市 と 中山間地や農村部 との二地域居住や田舎暮らし IJU ターンなどを活発化させるため 地域の住民組織等と連携しながら検討することが重要な課題となっています 3 住生活の 質 を高めるための各種制度の普及 啓発に向けた検討住宅を大切に使いながら できるだけ長く有効活用していくために 住宅 住環境などの質を高め 優良なストックとして蓄積していくことが重要となっています (3) 各種意識調査から得られる課題 1 南丹市の知名度南丹市が誕生して 7 年目となり南丹市の知名度は高くなってきているものの 京都市内においても未だ南丹市の位置など知られていない状況が見受けられます 定住者及び二地域居住者の多くが 自然景観や周辺環境の良い市町村や良く知っている市町村を選定しています 観光客や二地域居住者といった交流人口を拡大させることや地域外の人にインターネット等を通じて地域の情報を提供する情報交流人口の拡大が重要となっています 2 利便性の高い居住環境の形成人口 世帯の減少社会が到来した今日では人々の居住ニーズも多様化し 住宅の量の確保 から 住生活全般の質の向上 へと施策の転換が求められており 年代ごとに求める住宅も異なってきています また 居住環境においても 通勤に便利な地域 日常生活の買い物に便利な地域 学校が近い 医療機関が近くにある など利便性の高さを求めています 南丹市の住環境における利便性を向上させるため市街地を中心とした商業 流通産業などの充実を図るとともにより利便性の高い居住環境を整備することが重要です 3 定住のサポート南丹市には定住を総合的に支援する部署がなく 南丹市での居住を希望される方からの問合せがあっても的確に対応することができない状況です 定住促進の総合窓口を設置するとともに提供すべき情報の整備や情報発信にも早急に取り組む必要があります 4. 定住促進の当面の方向性二地域居住は 都市部に暮らす人が一定期間を地方の農山漁村で暮らすもので 地方活性化の一方策として都市住民に広がることが期待されている生活様式です 南丹市の約 8 割の世帯は持ち家で 市の人口動態は高齢者世帯や空き家が増える傾向にあることを示しています 既に市内の中山間地域においては実家が空き家となったことにより 住宅や農地の管理を兼ねて野菜を作るなどの二地域居住を実践されている方がおられます 地元の出身者の二地域居住実践者が増え地域とのコミュニケーションがとれれば 高齢化や過疎化の進む地域にとっては コミュニティバランスが保たれ地域の活性化につなげることでき 定住促進の効果が出るまでの間 地域の活性化が図れます 22
5. 具体的な方策 (1) 行政が取り組むべき事業 居住環境を形成する土地利用 市のイメージアップを図る景観づくり 住宅情報等の発信 地域主権一括法の施行に伴う市営住宅等 定住推進の体制整備 情報提供マニュアルの作成 利便性の高い居住環境の形成と豊かな自然環境の保全 快適な集落環境を維持するため 土地利用などの視点から身近な生活環境を高める市民が主体的に取り組めるよう 地区計画等 都市計画提案制度などの都市計画制度を積極的に活用します 景観計画に建築物の形態意匠などの制限を定め 統一感のある景観づくりを推進するなど 南丹市の魅力やイメージアップに戦略的に取り組みます 身近な景観づくりに対する活発な活動が見られる地区などは 実現に向けて必要となるルールとして景観計画や景観協定などを積極的に活用します 民間事業者と連携し 住宅情報を収集するとともに 南丹市への居住希望者が 自らの希望に適った住宅を確保できるよう 情報発信や相談体制の充実に取り組みます また 閲覧者が利用しやすく 南丹市の魅力を発信するためホームページのリニューアルを行ないます 南丹市が保有する住宅は 市営住宅 ( 公営住宅 ) 特定公共賃貸住宅及び改良住宅であり 住宅の規模による入居基準や所得要件を見直し 単身者向け住宅として供給の促進に取り組みます 定住及び二地域居住を検討している方に対して 仕事 住宅 子育てなどの情報提供や地域市民との連絡調整などが必要なことから 総合的に定住を推進し 関連部署との連携が図れる体制を整えていきます 現在 南丹市が行なっている施策 事業で定住者及び二地域居住実践者の支援となる施策 事業を整理し 定住希望者等に職員誰もが的確に情報提供することが可能となるマニュアルの作成を行います (2) 市民の理解と協力を得る事業地域住民と定住者 二地域居住実践者の相互理解が図れるよう定住定住促進の啓発者 二地域居住実践者を受入れに係る情報提供や啓発を行います 地域の住民組織と連携しながら 空き家情報を収集 調査し 住宅政空き家情報の提供策の基礎となる住宅情報データベースの構築を図ります 行政による景観整備だけでは限界があるため 市民と行政が連携しな美しい自然を保つためがら積極的に景観づくりを進めます の景観形成景観形成に係る施策や事業の情報共有を図るなど 総合的な視点から市民主体による景観づくりを進めます 定住促進用パンフレットの作成 定住者 二地域居住実践者への啓発 定住促進を図るため 二地域居住や田舎暮らしなどの希望者に対し 中山間地域の豊かな自然環境や景観 暮らしの魅力 南丹市の各種制度などが伝わるパンフレットを作成し 定住や二地域居住を検討している方への情報発信を行います 新たな定住者 二地域居住実践者に対して 地域の自治会活動や仕組みなどを啓発するとともに 既に定住されている方や地元自治会 区などと意見交換が行なえるよう支援を行ないます 23
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