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(2) 新系統の発生状況平成 28 年 4~10 月にかけて府内 19 地点のネギ キャベツ及びタマネギほ場から採集したネギアザミウマの次世代を一頭飼育法 ( 十川ら, 2013) により調べた結果 南丹市以南の16 地点で新系統 ( 産雄性生殖系統 ) を確認した 山城地域では 産雄性生殖系統が優

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

茨城県 消費者ニーズに応えるイチゴ産地の育成 活動期間 : 平成 22 年度 ~ 継続中 1. 取組の背景鉾田地域は, メロン, ピーマン, イチゴ, トマト, 葉菜類などの野菜類の生産が盛んな, 県内有数の野菜園芸産地である 経営体の多くが複数の園芸品目を組み合わせ, 大規模な複合経営を行っている

硝酸塩低減化に向けたレタス栽培の環境保全型肥培管理

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リンゴ黒星病、うどんこ病防除にサルバトーレME、フルーツセイバーが有効である

試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 1 月中旬 試験中 試験中 試験終了 12 月中旬 試験中 試験中 試験中 1 月上旬 試験中 試験中 試験中 1

ナスにおける天敵の利用法

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5月の病害虫発生予想と防除のポイント

キノンドー顆粒水和剤 2 年目 継続 1. 目的製剤変更による効果確認 樹齢 20 年生栽植密度 m 20 本 /10a (6) 試験内容試験面積 40 a 試験区 20 a 対照区 20 a 7/2 キノンドー顆粒水和剤 1,000 倍 500 リットル 7/2 キノンドーフロアブ

本剤の使用に当たっては 使用量 使用時期 使用方法を誤らないように注意し 特に初めて使用する場合には病害虫防除所等関係機関の指導を受けることをおすすめします 安全使用上の注意事項 本剤は眼に対して刺激性があるので眼に入らないよう注意してください 眼に入った場合には直ちに水洗し 眼科医の手当を受けてく

スプレーストック採花時期 採花物調査の結果を表 2 に示した スプレーストックは主軸だけでなく 主軸の下部から発生する側枝も採花できるため 主軸と側枝を分けて調査を行った 主軸と側枝では 側枝の方が先に採花が始まった 側枝について 1 区は春彼岸前に採花が終了した 3 区 4 区は春彼岸の期間中に採

イチゴの殺虫剤 ( 福岡県 ) 使用香港と同等台湾と同等共通 6 月アーデント WP (2,-ND,ND) ランネート 45DF (1,ND,2) 7 月ロディー EC (5,5,1) アタブロン EC (2,ND,0.5) マトリック FL (0.5,ND,ND) ランネート 45DF (1,ND

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Ⅰ 収穫量及び作柄概況 - 7 -

微生物殺虫剤 < 商品のお問合せは アリスタライフサイエンス株式会社 > 天敵放飼後のレスキュー ( 臨機 ) 防除剤としては 天敵への影響が少ない微生物殺虫剤が効果的です 天敵に悪影響を与えないだけでなく 効果のある化学殺虫剤を 切り札剤 として温存することができますので

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01イチジク

殺虫数(頭(2) 京田辺市におけるフェロモントラップへの誘殺虫数 (7 月第 6 半旬 ~8 月第 5 半旬の合計値 ) は81.0 頭で 平年の22.4 頭を上回っている (+)( 図 1) また 本年度からフェロモントラップを設置した亀岡市および京丹後市でも 8 月第 4 半旬から誘殺数が急増し

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平成 30 年産米づくりのポイント ~ 水稲種子の消毒時の注意点について ~ JA 全農ちば営農支援部今年も水稲栽培に向けた準備の時期がやって来ます イネばか苗病や細菌性の苗立枯病など種子伝染性の病害の発生を防ぐためには 薬剤による種子消毒を中心とした対策が必要不可欠のため しっかりとした対策を実施

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○H29-3 表紙_バジルべと病(案2)

また 被害拡大の速度も速く 防除を怠ると くり園周辺の広葉樹林にも容易に被害が広がる (2) 発生消長平成 24 年 岩手県一関市で行った粘着板による調査では 1 齢幼虫の発生は 7 月 10 月の年 2 化であった (3) 防除試験マシン油乳剤やDMTP 乳剤による防除が知られているが 平成 24

冷蔵貯蔵中のぶどう「シャインマスカット」に発生する灰色かび病防除に、オンリーワンフロアブルの7月中~下旬散布が有効である

H27年度2月表紙チンゲンサイ白さび病

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NO.523

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元高虫防第 139 号令和元年 7 月 4 日 各関係機関長様 高知県病害虫防除所長 病害虫発生予察情報について 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報及び令和元年度予報 4 号 (7 月 ) を送付します 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報 Ⅰ. 気象概況半旬 (6 月 ) 平均気温最高気温最低気

**************************************** 2017 年 4 月 29 日 日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会 耐性菌対策のための DMI 剤使用ガイドライン 一般的な耐性菌対策 1. 薬剤防除だけに頼るのではなく 圃場や施設内を発病しにくい環境条件にする 1)

農薬成分数およびカウント数一覧 ( 作物別 ) 作物名項目使用目的農薬名成分数カウント数 小麦 ビート 殺菌剤殺虫剤育苗期殺菌剤殺虫剤 種子伝染病ベンレート T コート 2 2 眼紋病 うどんこ病ユニックス顆粒水和剤 除草剤 赤さび病アミスター 20 フロアブル 1 1 うどんこ病赤さ

北病防第 平成 23 年 142 号 2 月 18 日 関係総合振興局産業振興部長 関係振興局産業振興部長 様 様 技術普及課長 病害虫防除所長 水稲いもち病防除の徹底について 水稲の重要病害であるいもち病は 平成 20 年以降 3 年連続して多発生し 平成 22 年の 葉いもち と 穂いもち の発

仙台稲作情報令和元年 7 月 22 日 管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022

0.45m1.00m 1.00m 1.00m 0.33m 0.33m 0.33m 0.45m 1.00m 2


(10) マンゴーア殺菌剤, イ殺虫剤 農薬名 成分名 病 病 殺 菌 剤 I C ボ ル ド ー 6 6 D 塩基性硫酸銅 無機殺菌 アミスター 1 0 フロアブルアソ キシストロヒ ン ストロヒ ルリン オーソサイド水和剤 8 0 キャフ タンその他 ジマンダイセン水和剤マンセ フ 有機硫黄 ペ

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わかっていること トマトすすかび病について

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( 一財 ) 沖縄美ら島財団調査研究 技術開発助成事業 実施内容及び成果に関する報告書 助成事業名 : 土着微生物を活用した沖縄産農作物の病害防除技術の開発 島根大学生物資源科学部 農林生産学科上野誠 実施内容及び成果沖縄県のマンゴー栽培では, マンゴー炭疽病の被害が大きく, 防除も困難となっている

本年 10 月 11 日 ~11 月 10 日の間に登録登録されたされた新農薬 ( 適用拡大を含む は 次の通りですりです 下線部が適用拡大適用拡大になりましたになりました 登録日 薬剤名 10/24 テルスタ - フロアブル 登録内容 ( 適用拡大を含む のあらまし 対象作物内容 もも 対象害虫の

26愛媛の普及原稿 軽 Ⅱ

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各都道府県知事 宛 25 消安第 175 号環水大土発第 号平成 25 年 4 月 26 日 農林水産省消費 安全局長 環境省水 大気環境局長 住宅地等における農薬使用について 農薬は 適正に使用されない場合 人畜及び周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある 特に 学校 保育所 病

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表 30m の長さの簡易ハウス ( 約 1a) の設置に要する経費 資材名 規格 単価 数量 金額 キュウリ用支柱 アーチパイプ ,690 直管 5.5m 19mm ,700 クロスワン 19mm 19mm ,525 天ビニル 農 PO 0.1mm

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4. 水田の評価法|鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル

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取組の詳細 作期の異なる品種導入による作期分散 記載例 品種名や収穫時期等について 26 年度に比べ作期が分散することが確認できるよう記載 主食用米について 新たに導入する品種 継続使用する品種全てを記載 26 年度と 27 年度の品種ごとの作付面積を記載し 下に合計作付面積を記載 ( 行が足りない

H17防除指針記入用ファイル

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病害虫名

炭疽病並並やや少 (-) やや多 ~ 並 降水並 ~ 少 (-) 8 月降水量多 チャ カンザワハダニ並並並 やや多 ~ 少 気温並 茶研予察ほ降水並 ~ 少少 (-) クワシロカイガラムシ 並並やや少 (-) 並 ~ やや少 気温並 降水並 ~ 少 カンキツ 黒点病並やや多少 (-) ミカンハダニ

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実証研究の目的 東日本大震災の被災地域である福島県浜通り地域において 花き生産を中心とした農業経営の収益性向上に貢献するため 夏秋トルコギキョウと低温性花きのカンパニュラ メジューム ( 以下カンパニュラ ) を効率的に組合せた周年生産体系の現地実証を行い その成果を普及させることを目的としています

15 表 1 平成 7 野菜の 1a 当たり収量 及び ( 全国 ) 計 品目 1 a 当たり収量 対前比 1 a 当たり収量 474,7 1,654, 11,66, 99 nc nc 根 菜 類 164,7 5,11, 4,49, nc だ い こ ん,9 4,6 1

大型の捕虫網 ( 径 42cm) を使用し 1 地区 5 地点の払い落し法により調査する 越冬後の5~6 月の指標植物としては結実しているクワ サクラ ヒイラギ及び開花中のミカン 新梢伸長中のキリが適しており また 新成虫が出現する7 月以降の好適な指標植物として結実したスギ ヒノキ サワラ ヒイラ

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(1) 未発生圃場では本種の寄生した苗を持ち込まない (2) 施設栽培では施設内への成虫侵入を防止するため 施設開口部に 1mm 程度の目合いの防虫ネットを張る (3) 施設栽培では周辺の畑作物や雑草にも寄生するので 早めに除草を行う (4) 本種の発生した施設栽培では収穫終了後 10 日以上密閉し

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和歌山県農林水技セ研報 13:25~34,2012 ウンシュウミカンの減農薬栽培における 黒点病および緑かび病の防除 井沼崇 間佐古将則 1 中一晃 2 増田吉彦 3 和歌山県農林水産総合技術センター果樹試験場 Control of Citrus Melanose and Common Green

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ハクサイ黄化病のヘソディム

月中旬以降の天候によって塊茎腐敗による被害が増加する事例も多い 平成 28 年度は疫病の発生面積率は19.9% と例年に比べてやや少なかったものの 塊茎腐敗の発生面積率は 14.8% と例年に比べてやや多かったとされる ( 平成 現在 北海道病害虫防除所調べ ) かつては 疫病には

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メラレウカ苗生産技術の検討 供試品種は レッドジェム, レボリューションゴールド を用い, 挿し木を行う前日に枝を採取し, 直ちに水につけ持ち帰り, 挿し穂の基部径を 0.8~1.2mm,1.8~2.2mm,2.8~3.3mm で切り分けた後, 長さ約 8cm, 基部から 3cm の葉を除いた状態に

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土着天敵を保護するネギ栽培体系導入事例 オオムギ間作によるネギアザミウマの防除技術 : 静岡県での事例 1. 静岡県での事例静岡県では県西部 中部を中心に全県にわたりネギが栽培され 生産額では県産野菜の上位を占める重要品目となっている 中でも夏期が生育期にあたる秋冬どり根深ネギ栽培に

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付図・表

Transcription:

2 難防除病害虫特別対策事業 (1) アスパラガス病害虫総合防除対策の実証 ア背景および目的本県におけるアスパラガスの栽培面積は 県内全域でここ数年急速に延び 重要品目となっている 近年の主流である雨よけハウスによる半促成長期どり栽培では 収穫量は以前の栽培方法に比べ増加している その反面 斑点病や褐斑病などの斑点性病害 アザミウマ類 ハスモンヨトウなどの重要害虫の発生に加え コナジラミ類の発生が増加している またアスパラガスは全国的にはマイナーな作物であり 登録農薬が少ないため 防除に苦慮する場面が多い そこで 従来の農薬と物理的防除資材との組み合わせ 薬剤の散布時期等の総合的な防除対策による病害虫被害の軽減を実証した イ試験方法 ( ア ) 試験場所長崎市琴海地区現地農家圃場 ( イ ) 供試作型 品種 区制半促成長期取り栽培 ウェルカム 1 連制 ( ウ ) 面積 耕種概要 a 病害防除区 :12a 立茎開始 4 月 7 日 b (a) 試験区 : 3a 立茎開始 4 月 12 日 (b) 慣行区 :1a 立茎開始 5 月 8 日 ( エ ) 試験区の構成 a 病害防除区殺菌剤の立茎初期の散布及び温湿度条件に応じた薬剤選定による病害防除体系を実証した 使用薬剤は 使用基準が収穫前日までであるアミスター フロアブル ダコニール1 及びコサイドDFを中心として組み立てた b (a) 試験区以下の対策を取り入れた害虫防除体系を実証した 1UVカットフィルムの被覆 2 防虫ネット ( ハウス側面開口部 つま窓部 出入口に4 4mm 目合いネットを被覆 ) 設置日 :6 月 8 日 3アザミウマ類の要防除水準による防除時期の決定下の調査方法で述べるアザミウマ成虫払い落とし数が1 頭に達したときを要防除水準とし 防除を実施 (b) 慣行区物理的対策は特になし 薬剤防除は農家慣行とした ウ調査方法 ( ア ) 斑点性病害発生状況調査 (1~14 日間隔 ) 病害防除区の任意の1カ所 1 側枝について 発病状況を下記の調査基準により調べ 発病側枝率及び発病度を調査した - 134 -

斑点病指数 : 発病を認めない 1: 茎 側枝 擬葉に1~ 4 個の病斑がある 2: 茎 側枝 擬葉に5~1 個の病斑がある 3: 茎 側枝 擬葉に11 個以上の病斑がある または一部の擬葉が黄化 落葉している 4: 擬葉の1/2 以上が黄化 落葉している褐斑病指数 : 発病を認めない 1: 側枝や擬葉に病斑が認められる 2: 側枝 ( 擬葉は除く ) に5 個以上の病斑が認められる または 擬葉や側枝に ブラシ状 ( 綿毛状 ) に叢生した分生子を肉眼で容易に認めることができる病斑が1つでもある 3: 側枝 ( 擬葉は除く ) に15 個以上の病斑が認められる または 側枝全体の擬葉の1/4 以上 1/2 未満に病斑が認められる ( 落葉したものも含める ) 4:1/2 以上に病斑が認められる ( 落葉したものも含める ) 発病度 {Σ( 程度別発病側枝数 指数 ) (4 調査側枝数 )} 1 ( イ ) アザミウマ類発生状況調査 (7~14 日間隔 ) 虫害防除試験区及び慣行区の任意の1ヶ所を選び 胸高付近の成茎を5 回手で払い 1.5cm 22.5cmの白色板に落下したアザミウマ類成虫数を調査した また各区任意の若茎 1 茎について 被害茎数を調査した ( ウ ) ハスモンヨトウの発生調査 (7~14 日間隔 ) 虫害防除試験区及び慣行区の任意の1カ所 1 側枝について 寄生幼虫数を若 中 老齢別に見取り調査した また各区任意の若茎 1 茎について 被害茎数を調査した ( エ ) コナジラミ類の発生調査 (7~14 日間隔 ) 虫害防除試験区及び慣行区ハウス内の各 2 箇所に黄色粘着トラップを設置し コナジラミ類の誘殺成虫数を調査した ( オ ) 施設内の温度及び湿度推移病害防除区と虫害防除試験区の地表 15cm 上にセンサーを設置し 1 時間ごとの温度及び湿度の推移を調査した また に隣接するハウス (UVカットフィルム被覆 防虫ネット無し ) にも同様にセンサーを設置し ネットの有無による差を調べた エ結果及び考察 ( ア ) 病害防除区コサイドDF( クレフノン加用 ) は若茎への汚れが懸念されたことから 若茎に付着する必要のある殺虫剤の混用を避けた 薬剤散布のタイミングがつかみ辛い梅雨期間中はダコニール1を殺虫剤と混用して使用したが 梅雨時期のみで使用基準である 3 回に達した 夏季以降は厳しい残暑が続き アミスター フロアブルによる薬害を回避するため9 月下旬までコサイドDFのみで防除を行った その結果薬剤防除の作業回数が多くなり 作業性は悪かった ( 表 1) - 135 -

本圃場では斑点病の発生が優勢だったため 発病度は斑点病の基準により調査した その結果 収穫終了まで生育に影響する程度の落葉 黄化は認められない発生程度に抑えられた ( 図 1) 薬剤散布後はハウス内湿度が上昇することが確認できた ( データ省略 ) ことから 薬剤散布回数の増加が斑点性病害の発生に影響を与える可能性がある コサイドDFは散布回数の制限が無く 斑点性病害の防除に有効な薬剤であるが より使いやすくするためには労力 防除効果の両面から 薬液量や汚れの生じない展着剤 つま面開放による湿度低下対策等を検討する必要がある ( イ ) a アザミウマ類試験区は立茎 2 週間後に防除した後 払い落とし虫数が要防除水準以下となるよう防除を実施した 若茎被害率は期間を通し 低い水準で抑えられた ( 図 2 図 3) 慣行区は立茎 2 週間後から払い落とし虫数が著しく増加し 若茎被害も立茎 3 週間以降には被害率が約 2 割となった 8 月下旬以降も試験区より早い時期に払い落とし虫数および若茎被害が認められ 9 月下旬の若茎被害率も高くなった ( 図 2 図 3) 以上の結果より UVカットフィルムの被覆と立茎 2 週間後および要防除水準での防除により アザミウマ類による若茎被害を低い水準に抑えることが出来た 農薬散布回数は 試験区が慣行区より多くなった ( 表 2) これは 試験区の立茎時期が慣行区と比べ約 1ヶ月早かったことと 7 月以降ハスモンヨトウ類の防除が必要になったことによるものと考えられる b ハスモンヨトウ類試験区へのネット被覆後も若茎被害が発生し 9 月下旬までは若茎被害茎数の差は見られなかったが ハスモンヨトウの発生が多くなった9 月下旬以降は 慣行区の被害が大きくなった ( 図 4) 成茎への寄生は調査では確認出来なかったが 試験区に隣接するハウス (UVカットフィルム被覆ハウス ネット無し) で6 月中旬頃に成茎への寄生が確認された 以上の結果より ネット被覆によりハスモンヨトウの被害が低減できた 但しネット被覆では完全に被害を防ぐことはできないため注意が必要である 施設内の温湿度は 8 月上旬以降ネット被覆ハウス内の温度が高くなった ( 図 6) 本試験区はフルオープンハウスであったが 8 月上旬の台風襲来以降 天井ビニールの開放面積を少なくしたため通気性が悪くなったことが影響していると考えられ ネット被覆の際は換気に注意する必要がある c コナジラミ類試験区 慣行区とも8 月中旬から誘殺成虫数が増え始め 9 月下旬までは試験区の誘殺数が慣行区を上回ったが 1 月からは慣行区が試験区より多く UVカットフィルムの有無による差は判然としなかった ( 図 5) UVカットフィルムのみでは被害軽減につながらないと考えられるため 他の害虫との同時防除を考慮した防除体系の検討等も必要と思われる - 136 -

表 1 病害防除区散布実績 防除日散布農薬名倍数 5 月 7 日アミスター フロアブル 5 月 9 日モスピラン水溶剤 5 月 19 日コサイドDF 1 5 月 31 日コサイドDF 1 6 月 3 日スピノエース顆粒水和剤 5 6 月 11 日モスピラン水溶剤 6 月 17 日ダコニール1 スピノエース顆粒水和剤 1,5 6 月 3 日コサイドDF 1 7 月 17 日ダコニール1 アファーム乳剤 1, 7 月 3 日ダコニール1 コテツフロアブル 1, 8 月 17 日アファーム乳剤 8 月 29 日コサイドDF 1 9 月 4 日乳剤 9 月 12 日コサイドDF 1 9 月 22 日コテツフロアブル 9 月 26 日コサイドDF 1 1 月 11 日乳剤 1 月 13 日アミスター フロアブル 1 月 21 日乳剤 1 月 28 日アミスター フロアブル 散布回数 殺菌剤 12 殺虫剤 11 斑点病発生率 ( 発病側枝数 /1 カ所 1 側枝 ) (%) 1 発病側枝率 /1 カ所 1 側枝 8 6 5/5 5/19 6/2 6/16 6/3 7/14 7/28 8/11 8/25 9/8 9/22 1/6 1/ 11/3 斑点病発生度 ( 発病側枝数 /1 カ所 1 側枝 ) 1 発病度 /1 カ所 1 側枝 8 6 5/5 5/19 6/2 6/16 6/3 7/14 7/28 8/11 8/25 9/8 9/22 1/6 1/ 11/3 は病害防除 は虫害防除 図 1 病害防除区における斑点病の発病率 発病度推移 - 137 -

表 2 虫害試験区及び対照区散布実績 1 虫害試験区 2 虫害対照区防除日散布農薬名倍数防除日散布農薬名倍数 5 月 3 日ダコニール1 1 6 月 1 日ダコニール1 1 モスピラン水溶剤 モスピラン水溶剤 5 月 21 日スピノエース顆粒水和剤 5 6 月 23 日スピノエース顆粒水和剤 5 7 月 3 日モスピラン水溶剤 7 月 31 日ダコニール1 1 7 月 5 日アファーム乳剤 乳剤 7 月 24 日アミスター フロアブル 8 月 11 日アミスター フロアブル 8 月 18 日ダコニール1 1 9 月 24 日ダコニール1 1 乳剤 乳剤 8 月 28 日乳剤 1 月 7 日アミスター フロアブル 9 月 27 日乳剤 散布回数 1 散布回数 9 殺菌剤 3 殺菌剤 5 殺虫剤 7 殺虫剤 4 ( 頭 /1ヶ所) 16 1 払い落と 8 し虫数 モスピランアファーム 虫害慣行区 5/31までのデータは 成虫 + 幼虫 払い落とし数 それ以降は 成虫のみ 払い落とし数図 2 払い落とし法による成茎のアザミウマ寄生数推移 (%). 虫害慣行区 若茎被害 1. 茎率 モスピラン スピノエース モスピランアファーム. 図 3 若茎のアザミウマ類による被害茎率推移 - 138 -

(%) 1. 虫害慣行区 若茎被 5. 害茎率 モスピランアファーム. 図 4 若茎のハスモンヨトウによる被害茎数推移 ( 頭 / 日 ) 5 粘着トラップ誘殺数 3 1 モスピラン 虫害慣行区スピノエースモスピランアファーム 図 5 コナジラミ類の粘着トラップ誘殺数推移 最高 最低温度 ネット有最高温度 5 ネット有最低温度 ネット無最高温度 45 ネット無最低温度 35 3 25 15 1 5 5/31 6/1 6/ 6/3 7/1 7/ 7/3 8/9 8/19 8/29 9/8 9/18 9/28 1/8 1/18 1/28 図 6 ( ネット有り ) 及び隣接ハウス ( ネット無し ) 内の温度 湿度の推移 - 139 -