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養老山地で生息が確認されたクマについて Q1. クマってどんな生き物? 本州に生息するクマはツキノワグマで 冬季 (12 ~3 月頃 ) は冬眠し 冬眠から覚めると山菜などを食べ 6 月頃に繁殖期を迎えます 夏は草や木の実や昆虫を探し 秋になると木の実を食べることが多くなります 利用する餌は多様性に

計画作成年度

(別記様式第1号)

( 別記様式第 1 号 ) 計画作成年度平成 28 年度 計画変更年度平成 29 年度 計画主体 筑紫野市 筑紫野市鳥獣被害防止計画 < 連絡先 > 担当部署名所在地電話番号 F A X 番号メールアドレス 筑紫野市環境経済部農政課筑紫野市二日市西一丁目 1 番 1 号

アマミノクロウサギ保護増殖事業計画 平成 27 年 4 月 21 日 文部科学省 農林水産省 環境省

現行見直し案見直し理由等 カラス 被害時期 : 通年 ニホンザル 被害対象 : 農作物全般への食害 農業施設へ被害 生活環境被害 ヒヨドリ 被害時期 : 通年 アナグマ 被害対象 : 果樹への食害 被害対象 : 農作物全般への食害 ハクビシン 被害対象 : 農作物全般への食害 住居侵入による生活環境

実施計画の参考様式(この様式については、決定したものではありません

Microsoft Word - 【セット版】別添資料2)環境省レッドリストカテゴリー(2012)

状況を適切に把握したうえで 科学的かつ計画的な個体数管理や被害管理の方針を定める必要がある そこで本研究では 兵庫県に生息するニホンザルの個体数調査を行い 個体数とその増減の傾向を把握するとともに 地域絶滅防止と被害抑制の観点から保護管理上留意すべき点について考察した 2. 方法 図 1 兵庫県のニ

(別記様式第1号)

(別紙様式第1号)

(別記様式第1号)

Microsoft Word - 01 変更計画書

Microsoft Word - 鳥瓣被害韲æ�¢è¨‹çfl»ï¼‹H30-32;朕絇Ver

技術体系の紹介 : 1.ICT による檻罠の遠隔監視 操作システム クラウドまるみえホカクン 加害獣の集中的な捕獲による密度低下や頭数削減のため 大型の檻 罠が普及しています これらの捕獲効率を向上させるための遠隔監視 操作システムを開発しました ( 図 1 2) 檻をカメラで監視し インターネット

頭数が多く 人慣れも進んだサル群 柵を設置できない河川から侵入するシカ 技術体系の紹介 : 1.ICT による檻罠の遠隔監視 操作システム クラウドまるみえホカクン 加害獣の集中的な捕獲による密度低下や頭数削減のため 大型の檻 罠が普及しています これらの捕獲効率を向上させるための遠隔監視 操作シス

抜本的な鳥獣捕獲強化対策 平成 25 年 12 月 26 日環境省農林水産省

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域対象鳥獣イノシシ ニホンジカ ヌートリア アライグマ ハシブトガラス ハシボソガラス ( 以下 カラス類 と言う ) ツキノワグマ ニホンザル カワラバト キジバト ( 以下 ハト類 という ) アオサギ ダイサギ( 以下 サギ類 という ) 計画

バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)

Microsoft PowerPoint 特定鳥獣イノシシ研修(配布用) (2)

PowerPoint プレゼンテーション

被害を受けにくい作付方法 ( 鳥類 ) 鳥類では作付方法による被害軽減も有効である 種子を深めに播く トウモロコシでは 6~9cmの深播きにより苗が地上に現れるまでに十分に根付くことができるため カラスやハトなどによる被害を軽減することができる ( カラスやハトのトウモロコシの出芽苗の被害は 十分に

被害の現状 いま ニホンジカとイノシシが どのような問題をもたらしているのでしょうか? ニホンジカが日本の自然を食べつくす!? 日本に昔から生息しているニホンジカやイノシシは 近年 急速に生息数が増加し 全国で分布を広げています 増えすぎたニホンジカやイノシシが いま 日本全国で生態系や農林業 さら

2 生息状況と被害の特徴 1970( 竹下資料 ) 1224 メッシュ 1978( 環境庁 ) 2288 メッシュ四国 207 高知 90 2 生息状況と被害の特徴 2003( 環境省 ) 3471 メッシュ 群れの分布の変遷 2009( 環境省 ) 3124 メッシュ四国 349 高知 124 分

(様式第1号)

1 アライグマの 分布と被害対策 1 アライグマの分布 1977 昭和52 年にアライグマと少年のふれあいを題材とし たテレビアニメが全国ネットで放映されヒット作となった それ 以降 アライグマをペットとして飼いたいという需要が高まり海 外から大量に輸入された しかしアライグマは気性が荒く 成長 す

目 次 1 被害状況 (1) 農作物被害の推移 1 (1) 人身被害 1 2 捕獲状況 (1) 捕獲数の推移 2 (2) 狩猟捕獲の状況 3 (3) 被害防止捕獲の状況 4 3 防護柵の設置状況 (1) 防護柵設置延長の推移 5 (2) 防護柵の維持管理 6 4 生息地における取組状況 6 5 モニ

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣計画期間対象地域 シロガシラ イノシシ キジ平成 27 年度 ~ 平成 29 年度うるま市全域 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村名を記入 する 2. 鳥獣による農

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域イノシシ ニホンジカ 中獣類 ( ハクビシン アライグマ そ対象鳥獣の他狩猟獣 ) カラス類 ( ハシブトガラス ハシボソガラス ) カモ類 ニホンザル ツキノワグマ計画期間平成 29 年度 ~ 平成 31 年度対象地域福井市 2. 鳥獣による農林

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人とクマのあつれき 近年 人とクマのあつれきがメディアを賑わせる人身事故件数の推移 (2006 ~ 2015 年度 ) ことが多くなってきました クマは本来 人目を避けて暮らす動物ですが 残念ながら人とクマとの間にはトラブルが発生しています シカやイノシシなどは農業被害が中心ですが クマの場合は人身

人 3,500 3,000 狩猟登録者数の推移 3,241 3,180 3,202 3,247 3,373 合計 網 わな 銃 2,500 2,000 1,843 1,845 1,910 1,965 2,100 1,500 1,000 1,398 1,335 1,292 1,282 1,273 50

4 有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術の向上 ( 農林事務所 猟友会 ) わな猟免許新規取得者を対象に有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術研修 実地指導を実施 (6 農林事務所で 8 回実施計 147 人受講 ) 2 捕獲の強化 (1) ニホンジカの捕獲強化 ( 猟友会委託 ) 指定管理鳥獣捕

2 生息状況と被害の特徴 1970( 竹下資料 ) 1224 メッシュ 1978( 環境庁 ) 2288 メッシュ四国 207 高知 90 2 生息状況と被害の特徴 2003( 環境省 ) 3471 メッシュ 群れの分布の変遷 2009( 環境省 ) 3124 メッシュ四国 349 高知 124 分

秋子割合 現状評価と課題の整理 市内のイノシシ対策の現状を評価し, 課題を整理するため, 地理情報分析および捕獲状 況分析を行った ( 資料編参照 ). 1 地理情報分析による評価集落単位の各種行政資料 ( 捕獲情報, 防護柵設置状況, 市民からの要望など ) について, 地図上での分析 ( 地理情

( 別記様式第 1 号 ) 計画作成年度 平成 27 年度 計画変更年度 平成 29 年度 計画主体 飯能市 飯能市鳥獣被害防止計画 < 連絡先 > 担当部署名産業環境部農林課所在地飯能市大字双柳 1 番地の 1 電話番号 F A X 番号 メール

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目 次 1 計画策定の目的及び背景 1 (1) 計画策定の目的 1 (2) 計画策定の背景 1 2 管理すべき鳥獣の種類 1 3 計画の期間 1 4 第二種特定鳥獣の管理が行われるべき区域 1 5 生息状況と被害実態 2 (1) ニホンザルの生息状況 2 (2) ニホンザルの生息環境 3 (3) 農

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣 ツキノワグマ カラス類 サギ類 カワウ カモ類 ハト類 スズメ イノシシ タヌキ ハクビシン ニホンジカ ニホンザル 計画期間 平成 28 年度 ~ 平成 30 年度 対象地域 長岡市全域 2. 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に

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3-1 地域の特殊性を考えた戦略 東北地方には 広いイノシシの空白地帯 ( 未生息地域 ) があることが他の地方と大きく異なり 未生息地域にイノシシを侵入させない 定着させないことが肝心となる このためには 農業部局と環境部局による一層の連携はもとより 国や自治体 また住民と一体となった明確な戦略が


(最終版)ニホンザル第二種管理計画 表紙

また日光足尾山地のオスで 71kg (SD=23.7, n=8), メスで 42kg (SD=5.8, n=6) となり, オスの方がメスよりも大きい性的二型を示す ツキノワグマは日本には 30~50 万年前に渡来したと考えられ, 現在は地域個体群ごとに遺伝的分化の生じている可能性が示されている [

農業だより

防除実施計画(表紙、目次)

イノシシH30年度別計画

untitled

平成 30 年度 森林整備事業 ( 造林 ) 標準単価 京都府農林水産部林務課

11 10 第 2 章防護柵の種類と効果的な設置法1 防護柵の種類と特性農作物を守るには 防護柵で野生動物の侵入を防ぐのが効果的です 農地周辺の見通しをよくして野生動物の隠れ場所を無くす 野生動物のエサとなる収穫残渣を畑に放置しないなどの対策は柵による侵入防止を高める効果が期待できます しかし せっ

イ繁殖キョンのメスは早ければ生後半年前後で妊娠し 生後 1 年 ~1 年 2ヶ月程度で初出産し 1 産 1 子です 千葉県においては 出産は年間を通して行われており 5~10 月の出産が多い状況です また 妊娠期間は約 210 日であり 交尾の多くは10~3 月に行われていると推定されます ウ寿命と

を達成しよう の達成に資する 計画策定と背景と経過 前期計画を継承 第 4 期計画策定を追記 生息分布 被害の推移の図は資料編から移動 これまでの経過を記載 図表などは資料編に記載 対象鳥獣 継承 これまでの計画を継承 図表を見やすさを考え再 移動 計画期間 H31.4.1~H H26

釧路湿原国立公園 釧路湿原生態系維持回復事業計画 平成 28 年 4 月 1 日

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平成 28 年度 森林整備事業 ( 造林 ) 標準単価 京都府農林水産部林務課

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣 計画期間 ニホンザル ツキノワグマ イノシシ ニホンジカ 平成 28 年度 ~ 平成 30 年度 対象地域小国町 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村名を記入する

(別記様式第1号)

Microsoft Word - 新潟県イノシシ保護管理計画(溶け込み)

(様式2)

いないか 又は収穫が行われなくなった樹木のこと 畑や敷地に植えられたカキやクリが一般的で あり 他に耕作放棄地に放置されたリンゴやブドウなどもある (5ページ) 泥浴び イノシシが地面に転がり 泥に体をこすりつける行為のこと 体に付いたノミやダニを落したり 夏毛の時は虫に刺されないために行うとされる

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域対象鳥獣エゾシカ カラス類 ( ハシブトガラス ハシボソガラス ) ヒグマ キツネ アライグマ トド アザラシ計画期間平成 28 年度 ~ 平成 30 年度対象地域北海道稚内市 ( 全域 ) 2. 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関する基本

鳥獣被害対策に関する実態調査-参考事例集

シカ・イノシシ・タヌキ・ハクビシンの生態について

鳥獣による被害及びその防止の取組の実態調査_参考資料

Microsoft Word 修正 特定計画(イノシシ)案

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

( 参考資料 ) ( 注 ) 鳥獣被害の現状と対策 ( 平成 28 年 3 月農林水産省 ) から抜粋 1

1. 有害鳥獣対策の法規制の緩和と捕獲業務の体制強化 建議 農作物の大敵である有害鳥獣の被害防止対策につきましては 毎年 補助事業等の活用により ワイヤーメッシュ柵 電気牧柵器及び箱罠の設置等に多額の予算を計上していただき また その普及や管理に関する知識の伝達等にご尽力いただいておりますことに対し

研究成果のとりまとめ 獣害回避のための野生動物調査 < 共同研究者畜産草地研究所塚田英晴 石川圭介 > < 共同研究者中央農業総合研究所竹内正彦 > 神津牧場は 上信国境の山間部にあり また 国定公園内に位置し鳥獣保護区に指定されている その結果 イノシシ シカを始めとする野生動物の出没が激しく 相

Microsoft Word - ⑦内容C【完成版】生物育成に関する技術.doc

福井県第二種特定鳥獣管理計画 ( ニホンザル ) ( 案 ) 平成 27 年月 福井県

031010 乳牛疾病の早期発見応急処置予防対策 酪総研

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第1部 わかやまの貴重な動植物 1 選定の考え方 (1) 対象種 県内域に生息 生育する陸産 淡水産及び汽水産の野生動植物とする ただし 海域を生息域とするウミガメ類については 産卵地が県内域で確認されている種を 選定の範疇に含めた 原則として外来種や飼育種 栽培種は除外するが これらに該当する種で

4-1 シカの基礎知識 分類 偶蹄目 ( ウシ目 ) シカ科シカ属に属する動物である 日本に生息するこの属の野生動物としては唯一の種である 学名は Cervus nippon という 標準和名がニホンジカであったり 学名に nippon という語が含まれていたりするが 日本固有の動物では

西会津町における鳥獣被害対策について ~ 自分達の畑は自分達で守る ~ 西会津町の概要 人 口 7,523 人 世帯数 2,813 世帯 高齢化率 40.0% 面 積 298km2 (86% が山林 ) 平均降雪期間 128 日 平均最深積雪量 142cm 福島県耶麻郡西会津町 町内中心部より望む飯

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長野県第二種特定鳥獣管理計画 ( 第 3 期イノシシ管理 ) 計画期間平成 30 年 4 月 ~ 平成 35 年 3 月 (2018 年 4 月 ~2023 年 3 月 ) 長野県

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

加えて 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律 ( 平成 14 年法律第 88 号 ) が改正され 平成 27 年 5 月に施行されることとなっている 改正に伴い 法律の題名は 鳥獣の保護及 び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 ( 以下 鳥獣保護管理法 という ) に改められ 法目的に 鳥獣の管理

新システム概念図 変更点及び今後の課題 新システムの検討にあたっては 当初 シールを用いた徴収方法を検討していたが 関係者との調整の結果 以下のような変更及び課題が生じている 1 変更点 : 製品価格に内部化する費用の性質発炎筒の流通は 主として 新車搭載用として自動車製造業者等 交換用として自動車

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福井県第二種特定鳥獣管理計画 ( ニホンザル ) 平成 27 年 10 月 福井県

( 松尾委員 ) 調査は 10 年後なのか 環境が変わった時に計画の変更見直しは可能なのか 調査は必要に応じて実施可能 指定される状況でなくなれば 解除手続きはある ( 八代田委員 ) 今のままだとシカ被害が進んでいく可能性が高い 今後 捕獲強化を実施するのであれば 捕獲の効果を見るような調査を組む

【H 制定】災害高機能型推進事業実施要領

Microsoft PowerPoint - 【資料9-2】春日伸予委員提出資料

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スライド 1

2016 年 03 月 01 日 サンプル株式会社本社事業場エイギョウブ ジョウホウタロウ様 _SPL ltpaper ストレスチェックキット個人用レポート 裏面のストレスレーダーもお読み下さい ストレスチェック総合 あなたのストレスの状況は

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森林科学59号表紙

PowerPoint プレゼンテーション

別紙 1 事故データベースへ登録する事故報告書の提出対象事故について 事故の定義は以下のとおりとする 事故の分類 事故の定義 労働災害 ( 工事作業が起因して 工事関係者が死傷した事故 ) もらい事故 ( 第三者の行為が起因して 工事関係者が死傷した事故 ) 死傷公衆災害 ( 工事作業が起因して 当

第2章 調査結果の概要 3 食生活

七策対策活動のポイント主な対策活動内容実証普及資材 器具 施設 1. 皆で 住民主体の生活環境整備 2. 囲って 鳥獣侵入防止柵の設置 3. 除いて 鳥獣の定住化を阻止 住民の情報共有と危機醸成 里人活動としての合意形成 生活環境整備として住民総参加型で計画的実践 侵入は山 川 道路からで柵は完全ブ

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Transcription:

2 サル (1) サルの生態ア群れニホンザルは ふつう 20~100 頭の群れで生活している オスは オトナになるまでに必ず生まれた群れを離脱し 1 頭あるいはオスだけから成る小グループでの行動を経て別の群れに入る これに対してメスは 一生涯生まれた群れで生活する ウ一日の生活ニホンザルは 日の出から日没までの明るい時間帯だけ活発に活動し 夜間は活動しないため 夜にサルが被害を及ぼすことはない 夜間は樹冠内部などを泊まり場として休息する エ体の大きさ 特徴 10 年ほどで成熟し オスは最大で 15kg( 頭胴長 60cm) メスは 12kg 程度 (50cm) にまで成長する 顔とお尻は皮膚が露出していて赤く 秋の交尾期には赤みが一段と増す 体型は オスが筋肉質で力強いのに対して メスはずんぐりと丸みを帯びている 至近距離からは オスの睾丸と経産メスの乳首 ( どちらか片側が長い ) を確認することで雌雄が判別できる オ鳴き声ほか社会性が発達したニホンザルは 様々な鳴き声を発する 特に秋の交尾期には 威嚇や悲鳴などの鳴き声でサルの存在を知ることができる 鳴き声は 群れ生活のみで用いられるため ハナレザルが発することはない 参考にニホンザルの代表的な鳴き声を示す グー グー : 休息や採食時にメスやコドモが発するフォイー ワー ウリャー : 近くの仲間を呼んだり探したりするとき発するクオン クオン : 警戒音で人やイヌに追われたときなど発するガーガガガ ゴゴゴ : 成獣オスが自分を誇示したり 交尾期にメスを追いかけるときゴッ ゴッ ガッ ガッ : 相手を威嚇したり攻撃して追いかけるときギャー キキイー : 攻撃されたサルが出す悲鳴 カ食べ物ニホンザルは 植物性食物を主体とし 昆虫などの動物性食物なども食べる雑食性である イ遊動ニホンザルの群れは 群れごとに行動域をもち 一年を通してそのエリア内を採食 移動 休息しながら生活 (= 遊動 ) している 隣接する群れの行動域は 周辺部で重複することがあるため 地域によっては複数の群れが出没することもある -45-

植物は 新芽 新葉 冬芽 草本茎 果実 種子 花 草本根 樹皮 きのこ等 季節に合わせて様々な部位を利用するが 草食動物と異なり成熟葉は分解できないため 自然群の食べ物は冬に次いで夏に少なく 被害が発生しやすい なお サルの食性の大部分は長い年月の中で経験的に身に付けてきたものであるため 地域によって加害される農作物や加害程度が異なることがある キ繁殖ニホンザルの交尾期は 10 月から2 月で 出産は4 月から6 月に行う 初産年齢は6 歳くらいからで その後は2~3 年に1 回出産し 1 回当たりの出仔数は1 頭である そのため 通常の増加率は高くない しかし 耕作地の作物を食べるようになると 栄養状態が良くなるため 初産の低年齢化 (4 歳以下 ) 出産間隔の短縮( 毎年 ) 死亡率の低下などにより増加率が上昇し 個体数は急増する (= 被害量の急増 ) ( 参考 ) 体重にしてわずか数百グラムの差 1 日あたり数十キロカロリー ( サツマイモにして 1/2 本以下 ) が妊娠( 個体数の増加 被害増加 ) に繋がる ( 表 1) 表 1. ニホンザルの頭胴長別に分別した11 月の体重 (kg) (N=39)(mean±SD) 区分 440mm 以上 480mm 未満 480mm 以上 520mm 未満 520mm 以上 540mm 未満 妊娠 7.436±0.25 7.928±0.61 8.425±0.39 非妊娠 * * * 排卵 6.500±0.47 7.100±0.36 8.100 無排卵 6.245±0.55 6.389±0.37 6.750±1.06 *p<0.01 森光由樹 1997 野生ニホンサ ルにおける妊娠診断法の確立とその生息環境評価への応用に関する研究 ク県内でのニホンザルの生息地域県内では 天竜川 大井川 安倍川の中 ~ 上流域 ( 南アルプス地域 ) 愛鷹山麓 伊豆半島南部と熱海市以東に群れの連続分布 ( 地域個体群 ) がみられる また ハナレザル といわれる1 頭またはオスだけから成る小グループは 県内で広く確認されている 南アルプス地域以外の地域個体群では 群れの分断 孤立化が急激に進行しており 地域的な絶滅が懸念される状況にある 熱海地域では わずか数頭から十数頭を残すのみであり 愛鷹山麓では数群のみが生息し 伊豆半島南部でも 1981 年に環境庁が行った調査時に 12 市町村で得られた群れの生息情報が 1993 年には6 市町村に減少している -46-

浜松市水窪町山住 (2000 年 7 月 ) ( 静岡県の哺乳類より引用 ) シイタケの食害 : 第 2 回調査のみ確認 : 第 6 回調査のみ確認 : 第 2 回と第 6 回の両方で確認 図 8 静岡県におけるサルの分布図 ( 環境省 生物多様性情報システム より引用 ) -47-

(2) 被害防止対策ア群れ単位で行うサル被害防止対策群れで行動するサルの被害防止対策は 群れごとの被害レベルにあった対策を行って 当面の被害を防止するだけでなく 群れの被害レベルを進行させないこと ( 将来的な被害対策の軽減 ) を目標に行う必要がある このため 被害が発生している地域では まず 加害しているサルが群れのサルかハナレザルかを見極め 群れのサルである場合は 作物被害の状況や人への反応などから 被害レベルを見極めることが必要である イ群れとハナレザル及び被害レベルを見極める判断基準とレベルに応じた対策 ( ア ) 群れかハナレザルかを見極める判断基準次に示す1~4のひとつでも確認できれば群れであると判断できる 1メスザル 2コザル 3 鳴き声 4 個体数が 10 頭以上 ( イ ) 被害レベルの判定基準と各レベルのときに必要な対策 被害レベル 被害発生場所 被害状況 ( 作物 ) 時期 必要な対策 ( いずれかではなく全て必要 ) 1 森林内 シイタケ 守りやすい生産構造への変更 ( ほだ場の移動 分散するほだ場の統合等 ) 廃ほだ木処分の徹底 収穫期の見張 追い払い 2 カキ クリ キウイ 柑原則除去 ( または物理的防橘類 ( 単木 ) お墓のお除の徹底 ) 供え物 森林と農地等 ( オープンな平坦地 ) との カキ クリ キウイ 柑 守りやすい生産構造への変更 ( 低く剪定 周囲に見回る 3 境橘類 ( 果樹園 ) 道や水路を配置等 法面緑農林道等道路法面の緑化時期の見直し ) 防護柵の 化植物 設置 収穫期の見張 追い 上げ 物理的防除 ( 防護柵の設置 ) 4 畑 ( オープンな平坦夏 冬 + 心理的防除 ( 追い払い 野菜地 ) 追い上げ等 ) 5 周年 広域的な物理的防除 ( 防護 6 水田 麦畑 ( よりオ柵の設置 )+ 心理的防除 ( 追水稲 麦ープンな場所 ) い払い 追い上げ 捕獲個 7 人家や耕作地周辺 人を見れば逃げる 体への学習放獣 ) -48-

8 子ども 老人 女性だと逃げない 広域的な物理的防除 ( 防護柵の設置 )+ 心理的防除 ( 追 9 人家や耕作地周辺 大人の男性でも逃げない い払い 追い上げ 捕獲個体への学習放獣 ) 噛み付く個体の除去と他の 10 人に噛み付く被害 個体へ心理的防除 ( 捕獲し て学習放獣 ) の徹底 ウ具体的な被害防止対策 ( ア ) まずできる被害対策 1 被害群についての情報収集 蓄積と情報の共有化 被害地周辺の地図を準備 被害群の情報 日時 場所 群れのサルの数 サルの反応 ( サルとの距離 追ったときの反応等 ) 移動ルート 移動の速さ サルが食べていたもの 被害を受けた作物 被害を受けなかった作物 サルの鳴き声 サルが残した足あと フン 食べ痕等の特徴 また なんらかの被害対策を実施した場合 その内容と結果 を サル出没情報記録票 などを参考になるべく細かく記録 蓄積し 群れの被害レベルの判定と有効な被害対策を検討するための資料とする ( 参考様式 5;54 頁 ) 情報は多くの人と協力した方が情報が早く蓄積するが 又聞きの情報等は排除し 客観的な現象のみを記録するようにする 得られた情報のうち 位置や移動方向については速やかに有線放送や 同線無線 FA X ホームページ等により群れの行動地域内で共有するようにする 2 サルが餌として利用可能なものをチェック 除去被害が始まると 栄養価の作物を得ることで栄養状態がよくなって出産率が増加し 群れの個体数 ( 作物に味をしめたサルの数 ) が急増する これらの変化は 実は被害の意識のない人為的な餌が引き金となって作物被害が発生する前から起きていることが多い このため 被害対策を行う前に 例えば 収穫しない果物や廃ほだに発生したシイタケ お墓のお供え物 生産調整で捨てた果物 くず野菜 法面の緑化植物 田んぼに落ちたもみや彦生え 被害を受けた作物など餌として利用可能ものをチェックし 除去して 食べさせないようにする 3 被害に強い耕作地づくり周囲に逃げ場 隠れ場所となる森林がなく 人家が近く追い払いがしやすい 防護柵など物理的な対策で接近が難しいなど 心理的にサルの不安感を煽る耕作地が被害に強い 森林に隣接する耕作地でも 間伐や下層を草刈りして視界を良くする 森林側に水路や道や防護柵を設ける さらに目隠し等で柵の中の作物が見えないようにする 森林に近い側には被害を受けにくい作物を栽培し サルが好む作物はなるべく森林側から離れた場所に配置する などの工夫により被害に強い耕作地となる 参考に 滋賀県農業技術振興センター湖北分場が実施した 猿害を受けにくい農作物の選定 試験結果から サルの被害を受けにくい農作物を示す -49-

ほとんど猿害を受けない農作物 ( 飼育ザルの採食試験の結果 嗜好性が極めて低く野生ザルの被害を受けなかった農作物 ) タカノツメ コンニャク クワイ ほとんどの群れで被害を受けにくい農作物 ( 飼育ザルの採食試験の結果 嗜好性が比較的低く野生ザルの被害を受けなかった農作物 ) ピーマン サトイモ シュンギク ミント バジル ショウガ 群れによっては 被害を受けにくい農作物 ( 飼育ザルの採食試験の結果 サルの年齢による採食行動に差があるが 野生ザルの被害は受けなかった農作物 ) トウガラシ ( 普通種 ) ミョウガ ミツバ パセリ オクラ ゴボウ等 ( イ ) 心理的被害対策 ( 見張 追い払い 追い上げ 学習放獣 ) ニホンザルの本来の生息地は森林であり 森林内では 例え地上で活動しているときに突然外敵に奇襲されても 瞬時に身を守りやすい樹上に逃げ 樹上を移動することが可能な身体的能力を備えている これに対して 地上を長時間走って逃げる能力は低く 不得意であるため 平坦な耕作地に出ることはかなり勇気のいる行為である なお サルが持つ不安感は 天敵である人間や犬による攻撃に対してのものである 参考に サルの不安感をより増大させる対策をいくつか示す 1 天敵 人間と犬による追い払い特にサルを追うよう訓練した犬を活用するなど時間的に余裕を与えないことが有効 2 特定の人ではなく 全員参加での追い払いオレンジの帽子をかぶった人 ( ハンター ) だけ追ってくるのではなく だれもが追う ( おばあちゃんも追う ) ことが有効 3 一人より 大勢での追い払い一人だけで追うのではなく 大勢で組織的に追うことが有効 4 特定のところではなく 地域全域で追い払い特定の場所だけで追うのではなく どの場所でも見つかれば追うことが有効 5 ラジオ テレメトリー法を活用した追い払い群れのサルに電波発信器を取り付けることで群れの位置を把握するラジオ テレメトリー法により 地域に接近するだけで先回りし 追うことが有効 6 石 ロケット花火やパチンコなど飛び道具を使った追い払い離れたところから攻撃して 時間的な余裕を与えないことが有効 7 柵などの物理的被害対策と組み合わせた追い払い逃げ場 ( 森林 ) に近い耕作地には柵を設置し 柵の無い耕作地までは距離があるようにして追うことが有効 8 捕獲 + 学習放獣と組み合わせた追い払いたまに生け捕りにし 人間が怖い存在であることを学習させて 放すことが有効 -50-

( ウ ) 物理的被害対策 ( 防護柵の設置 ) 防護柵等により 物理的にサルが畑に侵入できないようにすることで被害を防ぐことは 被害予防手法として有効な手法のひとつである 設置作業を町内など地域の共同作業で行うことで 一人一人の作業負担が減るだけでなく 作業を繰り返し経験することで技術が身に付き 張り方の工夫など地域全体の予防技術の向上が期待できる 参考 ( これまでに実績が認められている防護柵 ) えんらく 1 奈良県果樹振興センターが開発した 猿落君 柵の支柱上部にしなりやすいダンポールを使用することで 登るためのよりどころをなくし サルの登攀能力が発揮できないように工夫したものである 資材は 農協やホームセンターで安価で容易に手に入れられる農業資材を使用するため 費用も安く (700 円前後 /m) 高い効果が得られる防護柵である 2 京都大学霊長類研究所が開発したネット式電気柵 モンキー SHOCK 支柱を電気が流れるネットよりも畑側に立てて外側にネットを吊り下げることで サルが侵入するためにはネットを登るしかなく 確実に電気ショックが与えられる工夫がされている また ネット下部を絶縁にして 草などの接触による漏電の心配が無いようにも工夫がされている 資材は クラーク から市販されており 設置後の草刈りなどの作業負担がほとんど必要ないことを考えると 費用も比較的安く (3,000 円前後 /m) 高い効果が得られる電気柵である 3 ネットハウスビニルハウスの枠組み等を利用して 耕作地の上部も含む全体を金網やネットで囲う方法であり 小規模な耕作地でのみ 実施が可能である 全体を覆うため サルだけでなく 鳥獣被害全般に対して効果が期待できる点で優れている なお 1 2については イノシシによる被害が発生している地域では トタン等によりネット下部を強化したり 見回りと補修を繰り返し行うなどのイノシシ対策を行う必要がある -51-

エその他 ( ア ) サル被害対策に必要な地域での共同作業学習能力が高く 群れで行動するニホンザルによる被害は 個人で対策を行っても 無対策の箇所がある限り 群れの被害レベルが進行してしまい 対策はより困難となる このため 被害が発生している地域では 生活する一人一人がサルの被害に対して協力して戦う意識を持って対策に取り組むことが必要である なお 大勢で行うことにより地域の予防技術の向上が期待できる ( イ ) サル被害対策に有効なラジオ テレメトリー法の活用群れで行動し メスは生涯同じ群れで過ごすニホンザルの被害対策では 群れのオトナメスを捕獲し 電波発信器を取り付けて放獣し その受信電波から群れの位置を把握することが可能となるラジオ テレメトリー法を用いることは有効であり 群れの識別 利用地域 群れの行動パターンや群れの移動ルートなどが概ね把握できるようになることで より効果のある防除が可能となる 特に心理的な被害対策においては 被害を受ける前にこちらから迎え撃つなど 効率的で効果的な予防が可能となる ( ウ ) 有害捕獲の問題点と被害対策として有効な実施方法被害対策として有効な有害捕獲は 全てのサルを捕殺するか 二度と耕作地に近寄りたくない恐い体験をさせることであって 群れの一部のサルを銃や捕獲檻で捕殺しても 捕殺されたサル以外は無傷であるために生き残ったサルへの恐怖体験としての学習効果が低い また 中途半端な数の捕殺は 1 頭当たりの作物への依存度や被害レベルを進行させて被害が増加する場合もあるほか 隣接する群れ間の関係に影響を与え これまで1 群のみによる被害が発生していた地域で 複数の群れによる被害が発生するようになってしまった例もある このため 有害捕獲を行う場合は 捕殺ではなく いかに二度と耕作地に近寄りたくない恐い体験をさせるのか を目的とし 実施時期 実施場所 実施回数 頻度等捕獲作業の実施方法を十分検討して行うことが必要である ( 参考 ) ロケット花火による追い払いについて ( 農林水産省野生鳥獣被害防止マニュアルより抜粋 ) がん具用ロケット花火をサル等の野生鳥獣の追い払い用に使用することについては 火薬類取締法上 がん具煙火 ではなく 煙火 に該当するため 次のことが必要です 1 火薬又は爆薬 10 グラム以下のロケット花火を 1 日に 200 個以下使用するのであれば県知事の許可は不要ですが 200 個を超えて使用する場合は県知事の許可が必要です 2 加えて 火薬類取締法施行規則第 56 条の 4 の規定が適用され 消費の技術上の基準として 消火用水を定めることやあらかじめ定めた危険区域内に関係者以外立ち入らないようすること 風向きを考慮して上方その他安全な方向に打ち揚げることなどの決まりを遵守する必要があります また 人のいる方向や可燃物のある方向に打ち揚げた場合 事故や火災につながる危険性もありますので 安全な使い方を徹底するよう十分注意して下さい 詳しくは 農林水産省のホームページをご覧下さい http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/index.html -52-

物理的な被害予防手法 ( 防護柵 ) 猿落君 猿落君 改良型 モンキー SHOCK ラジオ テレメトリー法 ネットハウス 電波受信機と携行アンテナ 発信器を装着したメスザル -53-

参考様式 5 サル出没情報記録票 ( 表面 ) サル出没情報記録票 記録者 1. いつの情報か年月日時分 2. 場所 ( 裏の地図上に記載 ) 3. 何頭か 4. 群れかどうか確認できたものを で囲む 子ザルがいた メスがいた 鳴き声を聞いた( ) 5. どの方向へ移動したか 6. 何を食べていたか 7. 被害の有無 被害作物 8. 対策の有無と方法 結果 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 ( 裏面出没情報調査地図 A B C D E F G H I 年月日 16:30 13:11 9:05 7:12 連絡先 : - -54-