目次 1. はじめに 1 復興 防災マップづくり とは 期待される成果 6 実践の上で大切なこと 7 復興 防災マップづくり 実践校の取組み 8. 単元計画の作成 1 自校化に向けた計画作成のステップ 10 復興マップづくり 単元計画例 11 防災マップづくり 単元計画例 17 地域の地形, 土地利

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P5 26 行目 なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等の関係から なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等から P5 27 行目 複式学級は 小規模化による学習面 生活面のデメリットがより顕著となる 複式学級は 教育上の課題が大きいことから ことが懸念されるなど 教育上の課題が大きいことから P

38 災害緊急時における聴覚障害者の情報伝達保障支援の状況分析 表2 生の協力のおかげで遂行することができた 避難訓練の年間実施回数 回 回 2回 3回 4回 5回以上 4 6 35 9 図 避難所担当者との連携 図2 避難訓練の年間実施回数 Ⅳ 調査研究の経過および結果 なかでも年2 3回実施して

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領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

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はじめに 企業がマイナンバー法 ( 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 ) に対応するためには 様々な社内文書が必要となります 例えば 2015 年 10 月に市区町村から個人番号の通知が行われる前には 通知カードを紛失しないようにアナウンスする文書が必要になります

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はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

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様式 Ⅰ 平成 28 年度オリンピック パラリンピック教育推進校 事業実施報告書 学校名 井手町立井手小学校 多賀小学校 泉ヶ丘中学校 全校児童 生徒数 井手小 ;222 名多賀小 ; 99 名泉ヶ丘中 ;154 名 Ⅰ スポーツへの誘い自己肯定感の醸成 Ⅱ 障害者や高齢者への理解共生社会の形成 Ⅲ

1 調査の目的 マイナンバーカード に関するアンケート 区政運営 区政会議 に関するアンケート 区の広聴事業 に関するアンケート 防災 に関するアンケート 防犯 に関するアンケート区民の皆さんに マイナンバーカード取得に関する事や 区政会議 広聴事業の取り組み 住之江区の防災 防犯についてお伺いし

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た, 導入で扱うイメージキャラクターについて, デザインやネーミングの意図, 理由について疑問や関心を持つことにより, より北広島町に興味を持つことが可能となる その他, 調べる際に新聞記事を利用することにより, 記事をスクラップすることができる 記録性 に優れ, 疑問を解決するための手立て, 情報

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

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2 単元の目標 廿日市市 についての魅力を目的意識や相手意識を明確にして地域内外に発信することができる 自分たちの住む 廿日市市 に愛着をもつことができる 3 単元の評価規準 学習方法 自分自身 他者や社会 課題発見力 思考力 判断力 表現力 主体性 自らへの自信 対象と積極的にかかわる中で, 課題

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資料 目 次 事業方針 実施計画 みんなで福祉の風土を広げよう 住民 関係機関 団体のネットワークで身近な福祉活動を進めよう 一人ひとりの安全で安心な暮らしを守ろう Ⅳ 推進基盤の強化 主な年間行事等

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

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4 展開計画 ( 全 5 時間 ) 時テーマ ねらい活動 内容使用教材 1 タンザニアを知ろう! No.1 アフリカの途上国 タンザニア という国について知る 興味を持ち どんな文化なのかどんな生活をしているのかを自ら調べようとする タンザニアについての基本的な情報を聞く ワークシートパワーポイント

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実践 報告書テンプレート

Transcription:

復興 防災マップづくり 実践 の手引き 郷土の自然と暮らしを知るために 監修 : 東北大学災害科学国際研究所 防災教育国際協働センター

目次 1. はじめに 1 復興 防災マップづくり とは 期待される成果 6 実践の上で大切なこと 7 復興 防災マップづくり 実践校の取組み 8. 単元計画の作成 1 自校化に向けた計画作成のステップ 10 復興マップづくり 単元計画例 11 防災マップづくり 単元計画例 17 地域の地形, 土地利用の変遷を理解するための地図とその活用例. 授業と実践 1 準備 7 学習の流れ 8 マップの授業での活用 8 情報プラットホームの構築と活用 9. 終わりに 教育委員会からのメッセージ 実践校の教員, 児童 生徒からのメッセージ 大学からのメッセージ 0 本手引きは 復興 防災マップづくり ホームページでご覧頂くことができます http://drredu-collabo.sakura.ne.jp/mapping

別冊目次 別冊学校における実践事例集 石巻市立鹿妻小学校 石巻市立湊小学校 石巻市立渡波小学校 6 石巻市立住吉小学校 9 石巻市立中里小学校 10 石巻市立湊中学校 1 石巻市立住吉中学校 1 石巻市立大川小学校 1 石巻市立鹿又小学校 16 石巻市立和渕小学校 18 石巻市立河南東中学校 0 別冊ワークシート集 (Word ファイル ) WS - ❶: 保護者への依頼 WS - ❷: 地域への依頼 WS - ❸: 事前アンケート ( 復興マップ ) WS - ❹: 事前アンケート ( 復興 防災マップ ) WS - ❺: おうちの人にインタビューをしてみよう! WS - ❻: まち歩きの計画をたてよう! WS - ❼: 自由に発見をしてみよう! WS - ❽: インタビューカード WS - ❾: ふりかえりワークシート 1 WS - ❿: ふりかえりワークシート WS - ⓫: インタビューカード WS - ⓬: 復興マップのタイトルを考えよう! WS - ⓭: 復興マップについて発表してみよう! WS - ⓮: 復興マップ学年発表会 WS - ⓯: 復興マップ発表会 ( 年生用 ) WS - ⓰: 復興マップ発表会 ( 年生用 ) WS - ⓱: 発表会に参加された地域の皆様へ WS - ⓲: 保護者の皆様へ WS - ⓳: 事後アンケート ( 復興マップ ) WS - ⓴: 事後アンケート ( 復興 防災マップ )

1. はじ め に 復興 防災マップづくり プログラムは 011年 月11日に発災した東日本大震災の被災地である石巻市にて 市教育委員会 の協力の下 防災教育に携わる東北大学 山形大学 神戸大学の研究者 国際 NGO セーブ ザ チルドレンが学校現場の先生方 と協働して始めた 学校ベースの災害復興 防災教育プログラムです 東日本大震災から1年半後の 01 年度に開始された当初は 大震災を直接経験した沿岸部の学校の子どもたちがその経験を乗 り越え 被災した地域を 嫌いにならない よう 復興 に焦点を当てた未来志向の災害復興教育プログラムとして位置づけられ ました 大震災から5年を経て市内の震災復興が進む中 学校と地域の連携による地域に根ざした持続可能な災害復興 防災教 育プログラムを目指して 石巻市内の沿岸部 中心部 そして津波被害を直接受けていない河南エリアへと対象を広げ これま でに10 の小中学校で 復興 防災マップづくり として 実践が行われてきました さらに年月を経て 大震災を直接経験したことのない児童 生徒や先生方 そして地域住民の方々が増えていく中 地域の災 害経験を学び その経験や教訓を踏まえて次の災害で起こりうる被害を軽減していくため 地域に根差した 地域ぐるみの防災 教育の重要性が増しています そこで 東北大学災害科学国際研究所では5年間の10 校での実践経験を踏まえて 今後のさらな る普及のために 復興 防災マップづくり 実践の手引きをまとめました 本冊子が 復興 防災マップづくり に関心をお持ち頂く 石巻市内 日本 そして世界の皆様への手引書となることを願っています 桜井 愛子 東北大学災害科学国際研究所 准教授 防災教育国際協働センター 副センター長

1 復興 防災マップづくりとは 復興 防災マップづくり は 011 年 月 11 日に発災した東日本大震災の被災地石巻市の小中学 校において 総合的な学習の時間を用いて取組まれている災害復興 防災教育の学習プログラムです 東日本大震災を経験した石巻市に生きる子どもたちが まち歩き と マップづくり という 体 験学習 を通じて地域の自然や歴史 復興や防災に関する情報収集を行い 地域の良さや魅力を再発 見することを目指しています また 災害からの復興が進む石巻市の子どもたちが 地域学習を通じて 復興 防災に関心を持ち続け 災害に強いまちづくりに貢献していくことを期待しています マップづくり を 通じて 復興と防災を 連続してとらえる 復旧 復興 事前 予防 東日本大震災 災害時 対応 地域の震災 経験から学ぶ 震災の経験を 踏まえて次の災害に 備える 発災 011..11 図 1 災害サイクルと 復興 防災マップづくり の位置づけ 復興 防災マップづくり は 基本的には以下の流れで行われます 学校 子どもたちの実情 地域の状況 扱うテーマや時数によって 適宜 変更すること 単元の一部にマップづくりを盛り込むことも可能です 授業での活用 発表会 マップづくり まち歩き オリエンテーション 図 復興 防災マップづくりの流れ

期待される成果 復興 防災マップづくり の実践を通じて 以下のような成果が期待されます 子どもたちが地域の魅力を再発見し 地域を好きになる 子どもたちの地域の復興への意欲が高まる 子どもたちが自分たちの住む地域の地形やまち並みの変遷 地域の歴史 過去の災害履歴を知 り 災害に対する脆さが時代とともに変化していることに気づき 地域に根ざした防災 を考 えることができるようになる 子どもたち自身が地域の役に立っているという社会的自己実現の機会になる 地域の復興 防災を学習することにより 子どもたちの間で防災意識が高まる 活動を継続することによって 学校の取組みとして学年を超えたつながりが醸成される 子どもたちの学習活動を通して 地域の大人と子どもたちとのつながりが育まれる 大人を含めた地域全体の復興や防災に対する意欲が高まる 将来のまちづくりの担い手を育み 持続可能なまちづくりにつながる 復興 防災マップづくり の学習を通じて 子どもたちの復興への参加意欲が高まっていることが 確認されています 図 鹿妻の復興に 何か自分も役に立ちたいと思いますか 01 年度 鹿妻小学校 年生 01事前 n= 01事後 n= 7 1 0 10 6 1 0 0 0 0 1 60 70 80 90 100 とてもそう思う そう思う あまり思わない 思わない わからない 不明 その他 震災 1 年後 01 年度 と震災 年後 01 年度 の 鹿妻復興マップ の比較から 地域の復興 が着実に歩みを進めていることが子どもたち自身の手によって確認されました 図 鹿妻復興マップ における発見ポイントの分類別変化 01年度 N=18 01年度 N=10 6 0 0 9 0 震災の前にはなかったもので震災の後に新しくできたもの 0 震災の前からあったもので被害を受けたがこれまでに直されたもの いま建設中 修理中のもの 6 60 1 60 1 80 100 復興準備中のところ がれきがなくなって整理されたさら地は復興 のスタート 危険や不安に思う場所やもの その他みんなが特に気付いた場所やもの 楽しい きれい 自慢でき る場所やもの

実践の上で大切なこと 復興 防災マップづくり の実践に当たっては 以下の点に留意し 本手引きを参考にしながら各 学校独自のプログラムとして実践されることを期待しています 東日本大震災からの復興を経験した地域ならではの学習テーマや着眼点を設定すること 子どもたちの主体的な学習の機会とすること 地域との接点を設けること インタビュー まち歩きの見守りに保護者や地域の参加を得る こと 発表会を保護者や地域に対して行うこと 等 教科とのつながりを図ること 各教科で学んだ災害 防災等に関する知識を自分たちの地域 へと適用し 地域に根ざした防災教育 を実現する機会とすること 石巻市防災副読本 社会科副読本等の石巻独自の教材や資料等の活用を図ること 学校で継続していける計画とすること 欲張らず 続けていけること 子どもたちの手による情報や記録を学校独自の教材として蓄積を図り 学習材として活用す ること まち歩きでのインタビューを通じて 大人から子どもへと東日本大震災の経験が伝承され 地域の大人 と子どもたちとの交流が生まれ 子どもたちの間で地域への愛着が深まっていることが確認されています 図 鹿妻の大人やお店の人に震災や復興のお話を聞いてどう思いましたか 01? 年度鹿妻小 年生 自分たちに今できることをがんばろうと思った 9 地域の人と震災や復興について話ができてよかった 鹿妻のことが前より好きになった 1 鹿妻に住んでいてよかったと思った 1 おとなの人にがんばってほしいと思った 1 大人になったら鹿妻のために何かしたいと思った 0 ずっと鹿妻に住み続けたいと思った 17 地震や津波のことを思い出してこわくなった 11 地域の人と復興についてもっと話したいと思った その他 0 10 1 0 0 0 図 出典 桜井愛子 徳山英理子 佐藤健 村山良之 石巻市の小学校における 復興マップづくり の実践 安全教育学研究 第 1 巻 1 P.7-61 01. 7

復興 防災マップづくり 実践校の取組み 01 平成 年度より鹿妻小学校で 復興マップづくり として始められたプログラムは 016 平 成 8 年度までに 復興 防災マップづくり として石巻市内の小中学校 10 校 下記図 6 表 1 で 取組まれています 9 10 8 6 7 1 図 6 実践校 10 校のロケーション 表 1 実践校の取組み概要 学校名 図 1 位置 開始年 対象年 時間数 主な活動内容またはテーマ 1 鹿妻小学校 01 年度 年生 約 時間 まちの復興の記録を残し 地域の未来を考える 渡波小学校 01 年度 年生 約 70 時間 震災前後の様子に興味関心をもち 将来を考える 湊小学校 01 年度 年生 約 10 時間 避難ルール 経路 場所の確認と 10 年後のまちを考える 湊中学校 01 年度 全学年 1 時間 学区を離れた居住地での 防災マップづくり 住吉小学校 01 年度 年生 約 0 時間 生きていくわたしたち 桜井 01 地域を知る地域とつながる 6 中里小学校 01 年度 年生 約 時間 届けよう! わたしたちの学び 中里小からの情報発信 7 住吉中学校 01 年度 1 年生 約 10 時間 自分たちの地域を知り 安全安心な生活を送る 8 鹿又小学校 016 年度 6 年生 約 1 時間 10 年後につなげようこの思い 未来へつながるマップづくりを通して 9 和渕小学校 016 年度 6 年生 約 時間 まち歩き と マップづくり から 和渕のよさを考えよう 10 河南東中学校 016 年度 1 年生 約 6 時間 自分たちが感じている通学路周辺につい ての留意点を各小学校区の防災マップを 活用し 児童と保護者に伝えよう 各学校での活動内容は 別冊 実践事例集 をご覧ください 8