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スライド 1

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8略都市スライド東北(郡山市)全部 [互換モード]

堺市新金岡地区の自転車通行環境整備のアンケート 交通量調査結果について 堺市新金岡地区において 歩行者 自転車利用者が安心して通行できる安全なまちづく り を目指し 自転車通行環境の整備を行いました 自転車通行環境モデル地区において 平成 22 年 ~ 平成 23 年に自転車道 歩道の視覚 分離の整

計画の構成 1. 総論 2. 計画の目標 3. 自転車活用推進施策 4. 推進体制 (1) 計画の目的 (2) 計画の位置付け (3) 計画の区域 (4) 計画期間 (1) 目標設定の考え方 (2) 目標と課題 (3) 施策の方向性 (1) 幹線道路等における自転車ネットワークの形成 (2) 路上駐

1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)

Microsoft PowerPoint - 05_資料4-1_宇都宮市の自転車施策について【宇都宮市作成】_150203表紙番号修正

(仮称)さいたま自転車総合利用計画 自転車まちづくり大綱(案) 概要版

Ⅱ 区の概況と自転車利用の現況 課題 1. 区の概況から見た課題 千代田区の概況 日本の中心都市として常に活発な都市活動 夜間人口約 5 万人 昼間人口約 82 万人 1 日の発生トリップ数 380 万 周辺区からの利用が増大 通勤 通学 業務 買い物 観光 リクリエーションなど多様な利用自転車利用

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Microsoft PowerPoint - 2_「ゾーン30」の推進状況について

アンケート内容 2

名古屋市自転車利用環境基本計画【概要版】

自転車活用推進に関係する本市既存計画 例規 (2) 計画名駐車基本計画 (H11 年 3 月策定 ) 都市計画局 大阪都市魅力創造戦略 2020( H28 年 11 月策定 ) 経済戦略局 駐車場法 1999( H11) 年度から 2016( H28) 年度から 駐車政策の基本方針 1


資料 -2 国道 24 号烏丸通 歩行者 自転車通行安全協議会 国道 24 号烏丸通の概要 平成 30 年 3 月 国土交通省近畿地方整備局京都国道事務所

論点2 地域公共交通の改善

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注 5 指定管理者制度公の施設の管理について 民間事業者を含む指定管理者に施設の管理を委ねることにより 民間事業者等の有する能力 経験 知識等を活用しつつ 市民サービスの向上と経費の節減等を図る手法 注 6 PFI 方式 PFI(Private Finance Initiative): 公共サービス

4.1 自転車駐車場の現状 (1) 公営の自転車駐車場の状況区内の公営の自転車駐車場には 区立施設のほか 公益財団法人練馬区環境まちづくり公社と公益財団法人自転車駐車場整備センターが開設している施設があります 現在 公営自転車駐車場は 84 箇所あり そのうち区立の施設は 72 箇所 収容台数は 3

速度規制の目的と現状 警察庁交通局 1

Microsoft Word - 03_パブコメ意見対応一覧表

生活道路対策

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

Microsoft Word - 資料4 パブコメ意見表紙

目次 1 1. 奈良市中心部の道路交通環境 1) 広域的な自転車利用ネットワーク P2 2) 幹線道路の交通状況 ( 交通量 ) P3 3) 幹線道路の交通状況 ( 混雑状況 ) P4 2. 自転車事故の分析結果 1) 道路種別別 ( 国道 県道 市道 ) 自転車事故発生状況 P5 2) 自動車交通

2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1

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35 い 自転車のまちであるといえます 一方で 市内における自転車の事故が多いというデータがあります 平成 17 年度の交通事故分析センターの資料によると 人口 1 万人あたり自転車事故件数は 30.7 人と全国でワーストから6 番目の多さとなっています また 上尾市の特徴として 平坦な勾配と市域の

第 5 章八王子市自転車利用環境整備計画の基本的な考え方 ルールに基づく自転車の安全利用 近年では 道路交通法の改正により悪質な自転車利用に対する罰則が強化される等 より安全でルール マナーを意識した自転車利用が求められています 本市における交通安全教育は 警察署や交通安全協会 教育委員会等との連携

江東区 「自転車条例」の手引

(第14回協議会100630)

( 件 / 人 ) 12, 交通事故の推移 (S4~) ( 人 ) 18 1, 8, 6, 4, 2, 死者数 人身事故件数 負傷者数 S4 S45 S5 S55 S6 H2 H7 H12 H17 H 約 2 倍 6 人身事故件数及び負傷者数は 平成 14 年以降減少傾

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

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発表の流れ 新聞記事と要約 自転車専用レーンとは? 自転車の需要と背景 現状の問題と政策 政策提言 メリット デメリット 試算表 まとめ 参考文献

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の整備を推進し 自転車本来の走行性能の発揮を求める自転車利用者には歩道以外の場所を通行するよう促すとともに 車道を通行することが危険な場合等当該利用者が歩道を通行することがやむを得ない場合には 歩行者優先というルールの遵守を徹底させることが必要である また 制動装置不良自転車運転を始めとする悪質 危

Microsoft Word - ●自転車交通安全条例( )

日付:平成22年6月15日

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140327子ども用ヘルメット調査リリース(最終稿).pptx


1

施設までの距離は 地区中心付近からのおおよその距離 大原台 回答者の年齢構成 3 5 主な (2 箇所の行き先 ) 10% 1 70% 主な行き先 フレスタ沼田店 ( 約 0.7km) ビッグハウス沼田店 ( 約 1km) 買物目的 :7 :1 : 最寄り駅 大原 ( 約 0.7km) 駅 :88

Microsoft Word _【評価書】自転車交通.docx

Microsoft PowerPoint - 10_0北海道自転車条例(P)_180316(セット)(表紙)

Microsoft Word _基本計画.doc

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千代田自転車

交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

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2

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第 2 章横断面の構成 2-1 総則 道路の横断面の基本的な考え方 必要とされる交通機能や空間機能に応じて, 構成要素の組合せ と 総幅員 総幅員 双方の観点から検討 必要とされる道路の機能の設定 通行機能 交通機能アクセス機能 滞留機能 環境空間 防災空間 空間機能 収容空間 市街地形成 横断面構

放置自転車のない安全で快適な住みよいまちづくりを 近年 自転車は日常生活において手軽な交通手段として また 環境に優しく 健康的な交通手段としてクローズアップされています しかし 自転車利用の増加に伴い 駅周辺などでは多くの自転車が道路上に放置され 大きな社会問題となっています 八王子市では 平成

6. 自転車のまち あげお の目標 ビジョン 5. 現状と課題を整理し 3つの視点で目標 ビジョンを定め 目標 ビジョンごとに3 つの政策 施策を以下のとおり定めました 自転車が快適に利用できるまち は 自転車利用を促進するための自転車利用者目線の政策 施策を中心に立案しています また 自転車マナー

自転車の活用の推進に関する指標 ( 案 ) 目標施策将来目指すべき水準 目標 1 自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成 1. 自転車通行空間の計画的な整備推進 自転車活用推進計画を策定した地 0 団体 (2017 年度 ) 200 団体 (2020 年度 ) 900 団体以上 ( 概ね10

はじめに

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市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

数値目標 平成 29 年 オープンカフェ新規参加店舗数 58 店 6 店 6 店 オリオン市民広場集客数 1,500 人 3,000 人 3,000 人 センターコア歩行者 自転車通行量 ( 平日 ) 1,700 人 1,700 人 1,700 人 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概

県産材の需要拡大の推進について(枠組み)

2. 住民アンケート調査 以下の既往のアンケート調査から 都市計画及びまちづくりに関する住民ニーズや方向性等を以下の とおり把握 解析する (1) 第 2 次長久手町土地利用計画策定にあたってのアンケート調査 1 調査の概要 調査対象は 町内在住住民及び市街化調整区域の土地所有者とし それぞれ 2,

(3) バリアフリーポイントの設置旧交通バリアフリー基本構想の重点整備地区においては 市内でも特に乗降客数等が多く 多くの高齢者 障害者等の地区利用が見込まれる地区となっていますが 交通バリアフリー基本構想では 建築物等のバリアフリー化を促進する計画となっていません そのため 高齢者 障害者等の円滑

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24 ごみ減量分野様式 2 ごみゼロをめざすまち 分野目標 1 ごみゼロ都市 なかの を実現するために 区民 事業者 区が連携して3Rの取組みを進め ごみの排出量が減少するまちをめざす 2 循環型社会を実現するために 資源の再使用 再生利用などの資源の有効利用が広がっているまちをめざす 成果指標 区

4. 都市機能誘導区域 4.1 都市機能誘導区域設定の基本的な考え方 (1) 都市機能誘導区域とは医療 福祉 商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約することにより これらの各種サービスの効率的な提供を図る区域のことです 原則として 居住誘導区域内において設定します これらの都市機能は

目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

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1

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Microsoft PowerPoint - ○ITARDA H30年1~9月( )JTA改

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

昨年9月、IOC総会において、東京が2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市に決定し、日本中が歓喜の渦に包まれた

久留米市セーフコミュニティ 交通安全対策委員会

Microsoft Word - 概要版.doc

資料 2 主要渋滞箇所 ( 案 ) の抽出方針について ( 一般道 ) 平成 24 年 8 月 9 日

寄居町中心市街地活性化基本計画

とめる 使い方に応じた駐輪環境 とめる 施策の方向性 1. 施策の目指す姿 駐輪目的に応じた駐輪場の 量 と 質 の提供と まちに適した駐輪対策 自転車利用に必ず発生する とめる 行為に対して 通勤 通学 買い物など駐輪が発生する場所において その目的に適したサービスを提供することで 適切な駐輪需要

新規文書1

資料3

目 次 1 交通事故の発生状況 1 2 死傷者の状況 (1) 齢層別の状況 3 (2) 状態別の状況 5 (3) 齢層別 状態別の状況 7 (4) 損傷部位別の状況 12 (5) 昼夜別の状況 14 3 交通事故の状況 (1) 齢層別の状況 17 (2) 法令違反別の状況 19 (3) 飲酒別の状況

PowerPoint プレゼンテーション

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

1 自転車関連事故の現状と指導取締りの状況 (1) 自転車関連事故の推移 自転車関連事故の全交通事故に占める割合は増加傾向にあり 平成 23 年は約 2 割を占めている状況 自転車対歩行者の交通事故件数は10 年前の約 1.5 倍 全交通事故件数 ( 件 ) ( 件 ) 1,000, ,

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目次

沖縄でのバス自動運転実証実験の実施について

関係機関と連携し 渋滞対策を推進することとしている MM は 渋滞対策における TDM 施策の 1 つとして 関係機関と連携しながら実施するものである なお 札幌開発建設部では 従前より渋滞対策における MM を検討 実施しており 平成 11 年度に 全国で初めての MM を札幌市あいの里地区で実施

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

1 日本再興戦略 2016 改革 2020 隊列走行の実現 隊列走行活用事業モデルの明確化ニーズの明確化 ( 実施場所 事業性等 ) 技術開発 実証 制度 事業環境検討プロジェクト工程表技高齢者等の移動手段の確保 ( ラストワンマイル自動走行 ) 事業モデルの明確化 ( 実施主体 場所 事業性等 )

1 趣旨このガイドラインは 日本国内の公道 ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 ) 第 2 条第 1 項第 1 号に規定する 道路 をいう 以下同じ ) において 自動走行システム ( 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度に行い 又はその全てを行うシステムをいう 以下同じ ) を

Transcription:

自転車利用環境の整備に関する 今後の取組みの考え方 平成 24 年 3 月 大阪市

目次 第 1 章検討の背景等 1 検討の背景 1 2 本資料の役割と構成 3 3 検討の対象地域 4 第 2 章自転車利用の現状とこれまでの取組み 1 自転車利用の現状 (1) 自転車保有台数 5 (2) 代表交通手段としての自転車利用 5 (3) 自転車の利用目的と自転車を利用する理由 6 (4) 自転車関連事故 8 2 これまでの取組み (1) 放置自転車対策の経過 10 (2) 自転車駐車場の整備 12 1) 自転車駐車場整備の役割分担 12 2) 自転車集中台数と自転車駐車場整備台数 13 3) 地区ごとにみた自転車駐車場の整備状況 14 4) 中心市街地 ( キタ ミナミ ) での整備 14 5) 建築物に対する自転車駐車場附置の義務化 15 6) 公開空地の活用 16 (3) 自転車放置禁止区域の指定 即時撤去 自転車駐車場の有料化 17 1) 鉄道駅周辺における自転車放置禁止区域の指定 17 2) 中心市街地における自転車放置禁止区域の指定 18 3) 放置自転車の撤去 19 4) 自転車駐車場の有料化 20 (4) 啓発 21 1) サイクルサポーター制度 21 2) 市民協働型自転車利用適正化事業 22 3) 中心市街地での自転車まちづくり地域協定 23 4) 児童絵画の路面シート 23 (5) 放置自転車の状況 24 (6) 自転車走行環境整備 27 1) 整備手法 27 2) 進捗状況 28

目次 第 3 章今後の取組みの考え方 1 自転車を とめる 事に関して (1) 鉄道駅周辺のきめ細かい駐輪対策 33 1) 自転車駐車場の整備 33 2) 鉄道事業者の責務強化に向けた働きかけ 36 3) 余裕がある空間の転活用 36 (2) 民間による自転車駐車場整備の促進 38 1) 附置義務の適用を受けない施設への働きかけ 38 2) 民間による公共自転車駐車場整備促進に向けた仕組みづくり 38 (3) 利用率が低い自転車駐車場の利用促進 39 1) 要因に応じた対策の実施 39 (4) 中心市街地における駐輪対策 42 1) 緊急的措置としての自転車駐車場整備 42 2) 自転車放置禁止区域の指定と自転車まちづくり地域協定の締結 43 (5) 商店街における駐輪対策 44 1) 共同自転車駐車場の整備に向けたルールづくり 44 (6) バス停留所周辺における駐輪対策 47 1) バス停留所周辺における効果的な駐輪対策 47 2 自転車で はしる 事に関して (1) 市内中心部における自転車走行環境対策 48 1) 自転車走行環境整備 48 (2) 市内周辺部における自転車走行環境対策 60 1) 未整備区間の整備 60 2) ミッシングリンクの解消 61 (3) 観光目的を想定した自転車走行環境対策 63 1) 観光目的のニーズ調査を踏まえたあり方検討 63 3 自転車を きちんとつかう 事に関して (1) 自転車管理責任の明確化 走行ルールの周知などの対策 64 1) 保険 登録 講習制度の総合的活用 64 2) 効果的 継続的なルール教育 啓発活動などの対策 66

第 1 章検討の背景等 1 検討の背景 自転車は非常に便利な移動手段として 通勤や通学 買物などに幅広く利用されている また 近年の環境や健康志向といった意識の高まりもあって スポーツやレクリエーションなど自転車に乗ること自体を目的とした利用も増えてきている 特に大阪市内は 上町台地を除いてほぼ平坦な地形となっており 自転車が非常に利用しやすい環境となっているため 今後も自転車の利用は増加するものと考えられる 本市では過去 高度成長期に急速にモータリゼーションが進展した事に伴い 慢性的な交通渋滞が発生したことを契機として 通勤や通学などを目的とした自転車の利用が急激に増加した その結果 鉄道駅周辺では大量の放置自転車が発生し 移動時には自転車による交通事故も多く発生した この対策として 昭和 48 年から駅周辺における自転車駐車場の整備や自転車道などの自転車走行環境整備を順次進めてきており 平成 24 年 3 月時点で自転車駐車場は約 15 万 3 千台 自転車走行環境は約 470km の整備が完了している また別途 放置自転車削減の取組みとして 昭和 58 年に自転車放置禁止区域の指定による即時撤去を開始し 昭和 63 年には自転車駐車場の有料化を開始することによって不要不急の自転車利用の抑制ならびに自転車駐車場の適正管理の推進を行ってきた こうした取組みを通じて 市内鉄道駅周辺の放置自転車台数は 昭和 58 年のピーク時の約 6 万 9 千台から平成 24 年 2 月の約 1 万 9 千台にまで減少してきたものの この放置台数は全国的にみると依然としてワースト 1 の数字となっており 歩行者の安全 快適な通行の妨げとなるだけでなく 街の良好な景観を阻害するなど 様々な問題を発生させている放置自転車を削減することは 本市にとって喫緊の課題となっている また一方では 自転車の無謀な運転やルールを無視した走行などによって死亡重傷事故が発生するなど 自転車に起因する事故の割合は増加傾向にある こういった状況の中 平成 23 年 10 月に警察庁から 良好な交通秩序の実現を図るため 良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について の通達が出されている 今日 自転車の不適正な走行が原因となった問題は 市内の様々な場所で発生しており 放置自転車と同様に歩行者の安全 快適な通行の妨げとなっている これら本市の抱える自転車利用に関する諸問題を解決していくにあたっては 多様な移動手段の一つとしての自転車利用のあり方を見据え 地域の特性に応じた望ましい交通体系の実現をめざしながら 一方で 現に発生している放置自転車や自転車関連事故の削減など喫緊の課題に対する今後の取組みの考え方を整理しておく必要がある このような中で 今後の取組みについては この間の市の取組みを踏まえつつも 地域ごとの自転車利用の特性に応じた課題とその改善方法を検討する必要があるとの認識に立ち 大阪市自転車施策検討会議 ( 平成 23 年 12 月に名称変更 : 平成 21 年 6 月 ~ 平成 23 年 12 月は 大阪市自転車施策検討委員会 として開催 ) において様々な観点から議論を行い検討を進めた 本資料はその成果をここに取りまとめるものである 1

第 1 章検討の背景等 ( 用語説明 ) 放置 とは 自転車等が道路に置かれ かつ 利用者等が当該自転車等を離れて直ちに移動することができない状態にあること 自転車走行環境 とは 自転車道 自転車専用通行帯 ( 自転車レーン ) など自転車専用の通行空間及び歩道上における自転車と歩行者の輻輳を防ぐため カラー舗装等により視覚的に分離した空間など 自転車放置禁止区域 とは 自転車等が放置されていることにより 交通に支障が生じ 市民の安全で快適な生活環境が著しく阻害されていると認められる駅等の周辺の地域を自転車放置禁止区域として指定したもの 区域内では放置自転車を即時撤去し 保管することができる 2

第 1 章検討の背景等 2 本資料の役割と構成 本資料は 歩行者にやさしい 安全安心 快適な自転車利用環境の実現に向け 今後 それぞれの地域の状況に応じて 地域が主体的に対策を検討 実施していくための基礎資料として活用していくことを目的として 本市の自転車利用の現状やこれまでの取組みを取りまとめるとともに それを踏まえた現状の課題を抽出し さらにそれらの課題に対する今後の取組みの考え方をまとめたものである 自転車の利用については 駐輪問題や走行に関する問題などを個別に扱うのではなく ハード ソフトも合わせて包括的に自転車の適正利用を促進する必要があるため 自転車を とめる 自転車で はしる 自転車を きちんとつかう という切り口で 今後の取組みの考え方を示す ( 第 2 章以降の構成 ) 第 2 章 自転車利用の現状 自転車保有台数 代表交通手段としての自転車利用 自転車の利用目的と自転車を利用する理由 自転車関連事故 これまでの取組み 放置自転車対策の経過 自転車駐車場の整備 自転車放置禁止区域の指定 即時撤去 自転車駐車場の有料化 啓発 放置自転車の状況 自転車走行環境整備 第 3 章 課題の抽出 今後の取組みの考え方 (3 つの切り口から ) 1 自転車を とめる 2 自転車で はしる 3 自転車を きちんとつかう 3

第 1 章検討の背景等 3 検討の対象地域 検討は下図に示す通り 大阪市全域を対象とする 図 1-1 検討の対象地域 4

第 2 章自転車利用の現状とこれまでの取組み 1 自転車利用の現状 (1) 自転車保有台数 本市の自転車保有台数は 昭和 45 年以降 増加傾向にある 本市の自転車保有台数の推移を見ると 昭和 45 年から平成 18 年まで増加してきている 8,000 7,000 ( 千台 ) 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 大阪府大阪市兵庫県京都府 大阪市は 大阪府の数値から人口案分により推計したもの 1970 1980 1990 2000 2005 2006 2007 2008 (S45) (S52) (H2) (H12) (H17) (H18) (H19) (H20) 資料 :( 社 ) 自転車協会資料図 2-1 自転車保有台数の推移 (2) 代表交通手段としての自転車利用 過去 3 回のパーソントリップ調査結果 ( 以降 PT 調査 ) をみると 代表交通としての自転車利用比率が 5.6 ポイント増加している 本市におけるトリップの手段構成は 平成 2 年では自転車を代表交通手段としていた比率 17.2% に対し 平成 22 年 ( 速報値 ) では 22.8% と比率が増加している 一方で 徒歩の比率は 7.0% 減少している 単位 : 千トリップ / 日 ( ) 内は代表交通手段構成比 0% 20% 40% 60% 80% 100% 平成 2 年 5,842 (32.2) 356 (2.0) 3,056 (16.8) 354 (2.0) 3,122 (17.2) 5,402 (29.8) 13 18,145 (0.1) (100.0) 平成 12 年 5,345 (32.3) 283 (1.7) 2,698 (16.3) 329 (2.0) 3,430 (20.7) 4,433 (26.8) 13 16,531 (0.1) (100.0) 平成 22 年 ( 速報値 ) 5,056 (38.2) 243 1,660 230 (1.8) (12.5) (1.7) 3,013 (22.8) 3,012 (22.8) 19 14,468 (0.1) (100.0) 鉄道バス自動車自動二輪自転車徒歩その他 平成 22 年については 本市が独自に集計した値 ( 手段が不明であるトリップを除く ) を示す 図 2-2 発生集中量の手段構成の変化 ( 近畿圏 PT 調査 [ 速報版 ]) 5

第 2 章自転車利用の現状とこれまでの取組み (3) 自転車の利用目的と自転車を利用する理由 自転車は 主に自由目的 ( 買い物 食事 レクリエーションなど ) で利用されており 通勤 業務目的の合計割合より高い 近畿圏 PT 調査 [ 速報版 ] によると 代表交通手段として自転車利用する目的は 帰宅を除くと自由目的が 3 割以上と多く 通勤及び業務目的は 2 割程度である 速報値 単位 : 千トリップ / 日 ( ) 内は代表交通手段構成比 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全市域 443 (15.1) 88 (3.0) 918 (31.2) 241 (8.2) 1,250 (42.5) 2,940 (100.0) 通勤登校自由業務帰宅 本市が独自に集計した値 ( 目的が不明であるトリップを除く ) を示す 図 2-3 自転車の利用目的 ( 近畿圏 PT 調査 [ 速報版 ]) なお 中心市街地のキタ ミナミ地域は 商業施設や店舗が多く並ぶ商業エリアであり 市全域の傾向と比べるとキタ ミナミとも業務目的の自転車利用の割合が大きく その一方で 登校目的が小さくなっている 中心市街地では業務の中での自転車利用が多いと考えられる キタ ミナミ地域 速報値 単位 : 百トリップ / 日 ( ) 内は代表交通手段構成比 0% 20% 40% 60% 80% 100% キタ 186 (19.7) 13 (1.4) 249 (26.4) 142 (15.0) 354 (37.5) 943 (100.0) ミナミ 78 (18.4) 5 (1.2) 125 (29.4) 56 (13.2) 161 (37.8) 434 (100.0) 通勤登校自由業務帰宅 本市が独自に集計した値 ( 目的が不明であるトリップを除く ) を示す 図 2-4 キタ ミナミにおける自転車の利用目的 ( 近畿圏 PT 調査 [ 速報版 ]) 6

第 2 章自転車利用の現状とこれまでの取組み 市民が自転車を利用する理由は 主に 利便性 効率性 経済性 の 3 つである 回答者の約 8 割の方が 自転車を利用する理由として 利便性 を挙げている また 健康増進や環境保全等の自転車のプラス面に期待して利用する方も一定数認められる 一方 他の交通機関がないとする人も若干みられることから 公共交通と併せてモビリティ確保のための環境整備が求められている 図 2-5 自転車利用の理由 ( 複数回答 ) 出典 : 大阪市市政モニター調査 (H22.1) ( 用語説明 ) パーソントリップ (PT) 調査 とは どのような人が どのような目的で 交通手段で どこからどこへ 移動したかなど 人 (Person) の動き (Trip) を調べるもの そこからは 鉄道や自動車 徒歩といった各交通手段の利用割合や交通量などを求めることができる 10 年に 1 回実施され H22 に実施されたばかり 現在は速報版が公表されており 今後 さらに精度を高め確定版が公表される予定 代表交通手段 とは ( 端末交通手段 P31 参照 ) 1 つのトリップの中でいくつかの交通手段を用いている場合 そのトリップの中で利用した主な交通手段のこと 7

第 2 章自転車利用の現状とこれまでの取組み (4) 自転車関連事故 交通事故件数に占める自転車事故件数の割合が全国平均 大阪府に比べて高く 近年その割合が増加してきている 平成 23 年の交通事故件数に占める自転車事故件数の割合は 全国平均の 2 割程度に対し 本市では 4 割程度 ( 約 2 倍 ) となっている 40.0% 35.0% 30.0% 25.0% 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% 0.0% 全国大阪府大阪市 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 資料 : 大阪府の交通白書等 図 2-6 交通事故件数に占める自転車事故件数の割合 自転車関連事故の件数は 平成 16 年以降減少傾向に転じている 一方で 自転車対歩行者の件数は 平成 11 年以降急増しており 自転車が加害者となる事故が増えている 自転車対歩行者の件数は 平成 11 年は 12 件であったが 平成 23 年には 131 件 ( 約 11 倍 ) にまで増加している ( 件 ) 10000 ( 件 ) 150 8000 120 自転車関連事故 6000 4000 90 60 対歩行者 自転車関連事故 対歩行者 2000 30 0 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 0 図 2-7 自転車事故件数の推移 ( 大阪市 ) 資料 : 大阪市の交通事故 8

第 2 章自転車利用の現状とこれまでの取組み 歩行者の約 9 割が 自転車に危険を感じた経験があり また 市民の 7 割以上が自転車のマナーが悪くなってきていると感じている 市政モニター調査結果によると 歩行者が自転車に危険を感じた割合は 頻繁に感じるが 37.5% 時々感じることがある 51.9% であり 89.4% が自転車に危険を感じた経験があると回答している また 自転車マナーが非常に悪くなってきていると感じる方が 42.9% やや悪くなってきていると感じる方が 30.2% となっている このように 自転車と歩行者の関係からみて 事故まで行かなくても 危険な状況が潜在的にあると考えられる 出典 : 大阪市市政モニター調査 (H19.2) 図 2-8 歩行者で自転車に危険を感じた経験の割合 図 2-9 自転車のマナー 出典 : 大阪市市政モニター調査 (H22.1) 9

第 2 章自転車利用の現状とこれまでの取組み 2 これまでの取組み (1) 放置自転車対策の経過 昭和 48 年より自転車駐車場整備を開始し その後 自転車放置禁止区域の指定による即時撤去 自転車駐車場の有料化 啓発などを進めてきた 自転車駐車場整備については 鉄道駅周辺 ( 市内周辺部 ) からはじまり 現在は 鉄道駅周辺 ( 市内中心部 ) や中心市街地 ( キタミナミ ) の整備も行っている また 昭和 58 年より鉄道駅周辺に自転車放置禁止区域の指定及び即時撤去の実施 昭和 63 年より自転車駐車場の有料化を進めてきている さらに平成 14 年からは サイクルサポーター制度をはじめ 市民協働による啓発活動を実施している 平成 21 年からの 3 箇年は 放置自転車対策を市の重点的な施策に位置づけ それぞれの対策強化に努めてきた 図 2-10 放置自転車対策の経過 10