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京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

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都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

有症率 食物アレルギー は どのような人に いつ どんな原因で発生するのでしょう 発生状況や原因 症状の割合など を知ることは このテーマと向き合う出発点になります ここでご紹介する 食物アレルギーの発症を数え上げる 視点 手法は このテーマに注目するべき領域をわかりやすく示すものでもあります 食物



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愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

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発育状態調査 身長 身長 ( 平均値 ) を前年度と比較すると 男子は 5~8,10,11,16 歳で 女子は 7~12,15,17 歳で前年度を上回っている (13 年齢区分中 男子は増加 7 減少 4 女子は増加 8 減少 3) 全国平均と比較すると 男子は全ての年齢で 女子は 9~11 歳を除

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第 2 章計画の推進及び進行管理 1 計画の推進 県 市町村及び県民が 関係機関等と相互に連携を図りながら 県民の歯 口腔の健康づくりを推進します 県における推進 (1) 全県的な推進 県全域の課題を踏まえた基本的施策や方向性を示すとともに 取組の成果について継続的な評価を行い 県民の生涯を通じた歯

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子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

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発育状態調査 身長 身長 ( 平均値 ) は 前年度と比較すると 男子は 12~15 歳で前年度を上回り 女子は 5,6,8,9,14,16 歳で前年度を上回っている (13 年齢区分中 男子は増加 4 減少 6 女子は増加 6 減少 5) との比較では 男子は全ての年齢で 女子は 5,9 歳を除い

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を余儀なくされ 時には成長の各段階で過ごす学校や職場等において 適切な理解 支援が得られず 長期にわたり生活の質を著しく損なうことがある また アレルギー疾患の中には アナフィラキシーショックなど 突然症状が増悪することにより 致死的な転帰をたどる例もある 近年 医療の進歩に伴い 科学的知見に基づく

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104 (3) 全中学校において アクティブスクール を展開 全中学校を アクティブスクール として位置付け 自校の目標 ( 値 ) や取組内容を定めた 体力向上推進計画 を作成し 取組を強力に推進している (4) スーパーアクティブスクール や アクティブライフ研究実践校 による取組中学校 47

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

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7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

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18 定期的にモニタリンク を行い 放課後等ディサービス計画の見直しの必要性を判断しているか 19 カ イト ラインの総則の基本活動を複数組み合わせて支援を行っているか 20 障害児相談支援事業所のサービス担当者会議にその子どもの状況に精通した最もふさわしい者が参画しているか 関係機関や保護者との連


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2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

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( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

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雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

放課後等デイサービス事業所における自己評価結果 ( 公表 ) 公表 : 平成 31 年 3 月 15 日事業所名運動療育スクール jump 宇部校 環境 体制整備業務改善 1 チェック項目はいいいえ工夫している点 利用定員が指導訓練室等スペースとの関係で 適切である 2 職員の配置数は適切である 3

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2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

Ⅱ 調査結果の概要

Transcription:

東京都アレルギー疾患対策推進計画 ( 案 )

目次 第 1 章計画策定の趣旨 1 1 背景 2 計画の位置づけ 3 計画期間 第 2 章アレルギー疾患対策の施策体系 2 第 3 章アレルギー疾患をめぐる現状 3 1 疾患の特徴と患者の状況 (1) アレルギー疾患の特徴 (2) アレルギー疾患患者の状況 2 都におけるアレルギー疾患対策 (1) 日常生活における予防等のための知識の普及等 (2) 疾患の状態に応じた適切な医療を提供する体制 (3) 患者等の生活の質の維持 向上に向けた支援 第 4 章アレルギー疾患対策に係る施策の展開 7 < 施策の柱 Ⅰ> 適切な自己管理や生活環境の改善のための取組の推進施策 1 患者 家族への自己管理のための情報提供等施策 2 大気環境の改善施策 3 花粉症対策の推進施策 4 アレルゲン表示など食品に関する対策施策 5 生活環境が及ぼす影響に関する知識の普及等 < 施策の柱 Ⅱ> 患者の状態に応じた適切な医療やケアを提供する体制の整備施策 6 医療従事者の資質向上施策 7 専門的医療の提供体制の整備施策 8 医療機関に関する情報の提供 < 施策の柱 Ⅲ> 生活の質の維持 向上を支援する環境づくり施策 9 多様な相談に対応できる体制の充実施策 10 社会福祉施設や学校等職員の緊急時対応力の向上施策 11 事故防止 緊急時対応のための組織的取組の促進施策 12 災害時に備えた体制整備 < 施策展開の土台 > 施策を推進するための取組取組 1 施策展開の基礎となる調査等の実施取組 2 関係機関及び区市町村との連携 協力取組 3 専門的知見等を取り入れた対策の検討等

資料編 15 資料 Ⅰ 東京都におけるアレルギー疾患患者の状況資料 Ⅱ 学校保健統計調査の概要資料 Ⅲ アレルギー疾患に関する3 歳児全都調査 ( 平成 26 年度概要版 ) 資料 Ⅳ アレルギー疾患に関する施設調査 ( 平成 26 年度概要版 )

第 1 章計画策定の趣旨 1 背景東京都 ( 以下 都 という ) は 平成 10 年に 東京都アレルギー疾患対策検討委員会 を設置して以降 日常生活の中での予防対策に係る普及啓発やアレルギー疾患の相談等に係る人材育成 区市町村や保育所等の支援等を実施してきました アレルギー疾患が 国民生活に多大な影響を及ぼしている現状や 生活環境に係る多様かつ複合的な要因によって発生し 重症化することに鑑み アレルギー疾患対策を総合的に推進するため 平成 27 年 12 月 25 日に アレルギー疾患対策基本法 ( 平成 26 年法律第 98 号 以下 法 という ) が施行され 平成 29 年 3 月 21 日には アレルギー疾患対策の推進に関する基本指針 ( 平成 2 8 年厚生労働省告示第 76 号 以下 基本指針 という ) が策定されました こうした状況を踏まえ 都は アレルギー疾患対策を総合的に推進するため 東京都アレルギー疾患対策推進計画( 以下 計画 という ) を策定することとしました 2 計画の位置づけ本計画は 法第 13 条に基づき策定する 都におけるアレルギー疾患対策の推進に関する計画です 3 計画期間計画期間は 平成 29 年度から平成 33 年度までの 5 年間とします ただし 基本指針の改正やアレルギー疾患に関する状況の変化があった場合は 策定から5 年を経過する前であっても 必要に応じて内容の見直しを行います 1

第 2 章アレルギー疾患対策の施策体系 法では 地方公共団体が 国の施策と相まって 当該地域の実情に応じて行う基本的施策を大きく3つの区分に整理して掲げています (1) アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減のための施策 (2) アレルギー疾患医療の均てん化の促進等のための施策 (3) アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上のための施策 都は これを踏まえて 都のアレルギー疾患対策に係る施策の方向性を3つの 施策の柱 に整理し アレルギー疾患をめぐる現状を踏まえた諸課題に的確に対応すべく総合的な取組を推進していきます 施策の柱 Ⅰ 適切な自己管理や生活環境の改善のための取組の推進 Ⅱ 患者の状態に応じた適切な医療やケアを提供する体制の整備 Ⅲ 生活の質の維持 向上を支援する環境づくり 2

第 3 章アレルギー疾患をめぐる現状 1 疾患の特徴と患者の状況 (1) アレルギー疾患の特徴アレルギー疾患は 気管支ぜん息やアトピー性皮膚炎 食物アレルギー アレルギー性鼻炎等 疾患の種類や病態が多様な慢性疾患で 症状の悪化と改善を繰り返すことが多く 治療等により一旦は症状が改善し安定した状態が続いた後であっても 抑えられていた症状が再び悪化することがあります また 卵や牛乳 小麦などの食品 ダニ ハウスダスト たばこの煙 スギ ヒノキ等の花粉 大気汚染の原因物質等 生活環境中に広く存在する様々な因子で症状が誘発されます これらのアレルゲンや増悪因子が引き金となって 急激な重症化やぜん息発作 アナフィラキシーショック等を引き起こすこともあります このように アレルギー疾患は 生活の質 ( 以下 QOL という ) に影響を及ぼす場合が多い疾患です (2) アレルギー疾患患者の状況厚生労働省が実施している患者調査のデータを基にした推計では アレルギー疾患により医療機関を受診する患者数は増加傾向にあります 1 平成 26 年度に都が実施した アレルギー疾患に関する 3 歳児全都調査 ( 以下 3 歳児調査 という ) では 3 歳までに何らかのアレルギー疾患であると診断された子供は約 4 割という結果でした 2 疾患別に見た場合 食物アレルギーのある子供は 調査を開始した平成 11 年度から一貫して増加しています 2 また 東京都の 花粉症患者実態調査 では スギ花粉症推定有病率は調査開始の昭和 58 年度から一貫して増加しています 巻末資料 1 資料 Ⅰ 東京都におけるアレルギー疾患患者の状況 15 頁図 1 アレルギー疾患推計患者数の年次推移( 東京都 ) 資料 Ⅱ 学校保健統計調査の概要 17 頁 2 資料 Ⅲ アレルギー疾患に関する 3 歳児全都調査 ( 平成 26 年度概要版 ) 18 頁図 1 3 歳までに何らかのアレルギー症状有かつ診断された児の割合 図 2 各アレルギー疾患のり患状況の推移 3

2 都におけるアレルギー疾患対策 (1) 日常生活における予防等のための知識の普及等ア適切な自己管理のための情報提供アレルギー疾患の症状の発症 重症化を予防し 症状の軽減を図るためには 適切な自己管理を継続的に実践することが重要です 都は 現在 啓発資材の作成や都民向け講習会の開催などを行っています イ生活環境の改善 リスクの低減重症化の予防や症状の軽減のためには 患者を取り巻く生活環境の改善を図ること また 患者自身がアレルゲンや増悪因子を軽減 回避することが重要です 都は ディーゼル車の排出ガス規制や花粉の少ない森づくり 室内環境におけるアレルゲン低減化等の普及啓発 食品中のアレルゲンの適切な表示や製造時の混入防止 ぜん息発作の増悪因子となるたばこの煙の対策などに取り組んでいます (2) 疾患の状態に応じた適切な医療を提供する体制ア標準的治療の普及現在では 関係学会により分野別の診療ガイドラインが整備され ガイドラインに基づく標準的治療を受けることで症状のコントロールがほぼ可能になってきています しかし 厚生労働科学研究 アレルギー疾患対策の均てん化に関する研究 では アレルギー科を標ぼうしている医療機関でも 必ずしも最新の診療ガイドラインを参照しているのではないことが報告されています また 平成 28 年度東京都医療機能実態調査でも アレルギー疾患の診療を行っている と回答した医療機関のうち約 4 割が アレルギー疾患診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っていない と回答しています イ標準的な治療では病態が安定化しない患者等に対する医療アレルギー疾患の中には 診断が困難な場合や 標準的な治療では病態が安定化しない重症及び難治性のものもあります 国は 医療提供体制に関する通知 ( 平成 29 年 7 月 ) において 患者が居住する地域に関わらず適切な医療を受けることができるよう 全国的な拠点病院と都道府県の拠点病院 地域の医療機関やかかりつけ医による連携体制を整備することとしています ウ医師以外の医療従事者の資質の向上アレルギー疾患の治療においては 患者やその家族が塗り薬や吸入薬などの適切な使用や食事管理などを継続できるように支援していくことが必要です そのため 薬剤師 看護師 栄養士等の医療従事者が アレルギー疾患治療に関する専門的な知識や技能を高め それぞれの専門性を生かして 患者や 4

家族へのきめ細かい説明や指導を行うことが重要です 都では こうした医療従事者を対象とした研修会等においてアレルギー疾患治療に関する情報提供を行っています エ患者や家族等への医療機関に関する情報提供疾患の種類や病態が多様なアレルギー疾患では 症状に応じ適切な医療機関を受診できるようにすることが重要です 平成 26 年度に実施した3 歳児調査では 行政 ( 都や区市町村 ) に対し希望する取組として 約 5 割の保護者の方が アレルギー疾患に関する知識や医療機関に関する情報提供を挙げています 都では アレルギー疾患の診療を行っている医療機関の情報を 電話やインターネットで提供しています (3) 患者等の生活の質の維持 向上に向けた支援ア多様な相談への対応アレルギー疾患は 長期的にQOLに影響を及ぼす場合が多く また 乳幼児に発症が多いなど 患者やその家族の心理的な負担も大きいものがあります 都内の保健所や区市町村では 保健師や栄養士等が 都民からの相談に対応しています イ保育施設や学校等の対応力の向上患者の発症予防や QOL の維持向上には 家族に加え 患者が日常生活で接する関係者の理解と支援が不可欠です とりわけ 患者が子供の場合は 自分で病状を把握できず 十分な説明もできないため その必要性が大きいと言えます 平成 26 年度に都が保育施設等を対象に実施した アレルギー疾患に関する施設調査 ( 以下 施設調査 という ) では 食物アレルギーやぜん息を持つ子供が在籍している施設の割合は約 8 割と高く また 過去 1 年間に施設内で食物アレルギーを経験した施設は約 2 割に上りました 3 その一方で 委員会等を設置し 組織的に対策を検討している施設は 約 4 割にとどまっています 4 都では 保育施設をはじめとする社会福祉施設や学校等の職員が緊急時に組織的に対応できるよう 対応マニュアルの作成や施設職員向けの研修などを実施しています 巻末資料 3 資料 Ⅳ アレルギー疾患に関する施設調査 ( 平成 26 年度概要版 ) 20~21 頁図 1 アレルギーのある園児 児童が在籍する施設割合 図 3 施設内での食物アレルギーの経験 4 資料 Ⅳ アレルギー疾患に関する施設調査 ( 平成 26 年度概要版 ) 22 頁図 7 アレルギー対応を検討する委員会や健康 安全に関する担当者の設置状況 5

ウ災害時への備え災害時においては 避難生活を余儀なくされ 適切に自己管理を行うことができなくなることなどにより 症状が悪化することが懸念されます 都では 講演会やホームページなどで災害時の対応について情報提供をしています 6

第 4 章アレルギー疾患対策に係る施策の展開 都は アレルギー疾患をめぐる現状を踏まえ 対策の充実や関係機関との連携の強化を図り 総合的に施策を展開していきます また 施策展開の土台となるよう 施策検討の基礎となる調査や関係機関等との連携協力体制の構築など 施策を推進するための3つの取組を進めていきます < 東京都アレルギー疾患対策推進計画施策の体系図 > 施策の柱 Ⅰ 適切な自己管理や生活環境の改善のための取組の推進 施策 1 患者 家族への自己管理のための情報提供等施策 2 大気環境の改善施策 3 花粉症対策の推進施策 4 アレルゲン表示など食品に関する対策施策 5 生活環境が及ぼす影響に関する知識の普及等 施策の柱 Ⅱ 患者の状態に応じた適切な医療やケアを提供する体制の整備 施策 6 医療従事者の資質向上施策 7 専門的医療の提供体制の整備施策 8 医療機関に関する情報の提供 施策の柱 Ⅲ 生活の質の維持 向上を支援する環境づくり 施策 9 多様な相談に対応できる体制の充実施策 10 社会福祉施設や学校等職員の緊急時対応力の向上施策 11 事故防止 緊急時対応のための組織的取組の促進施策 12 災害時に備えた体制整備 施策展開の土台施策を推進するための取組 取組 1 施策展開の基礎となる調査等の実施取組 2 関係機関及び区市町村との連携 協力取組 3 専門的知見等を取り入れた対策の検討等 7

施策の柱 Ⅰ 適切な自己管理や生活環境の改善のための取組の推進 都民がアレルギー疾患に関する正しい情報に基づいて 適切な自己管理や生活環境中の増悪因子等の回避 軽減などに取り組み 発症 重症化の予防や症状の軽減につなげられるよう 情報を入手しやすい環境を整えるとともに 最新の知見を踏まえた情報を提供するなど 普及啓発を充実していきます また アレルゲンや増悪因子による影響を低減するため 大気環境の改善や花粉症対策等をさらに進めていきます 施策 1 患者 家族への自己管理のための情報提供等 福祉保健局 病院経営本部 アレルギー疾患に関する基礎知識 自己管理や生活環境の改善方法等の情報をポータルサイト 東京都アレルギー情報 navi. により 患者 家族等に提供します 患者 家族等を対象に アレルギー疾患に関する最新の知見や自己管理方法 標準的な治療法などについての専門医等による講演会を開催します 区市町村が地域の住民や関係者等を対象に実施する アレルギー疾患対策に関する講演会や研修会等の普及啓発の取組を支援します また 区市町村からの要請に応じて 都立病院の専門医等を講師として派遣します 施策 2 大気環境の改善 環境局 工場 事業場に対して ばい煙等の排出について法令に基づく届出の指導や審査を行うとともに 必要に応じて立入検査を実施し 規制指導を徹底します 低公害 低燃費車の導入に対する助成 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 ( 環境確保条例 ) に基づくディーゼル車規制などにより 自動車排出ガス削減対策を進めます 大気汚染物質の常時測定 監視を行い 測定値をわかりやすく公表します 施策 3 花粉症対策の推進 産業労働局 環境局 福祉保健局 スギ ヒノキ林の主伐を実施し 花粉の少ないスギ苗木等を植栽することにより樹種更新を図ります 針葉樹と広葉樹の混交林化により森林からの花粉飛散の削減を図ります スギ ヒノキ等の花粉の飛散状況の継続的な観測 解析を行い 花粉の飛散開始時期や飛散数等の情報を都民に提供します 8

施策 4 アレルゲン表示など食品に関する対策 福祉保健局 食品表示法で表示が義務付けられているアレルゲン ( えび かに 小麦 そば 卵 乳 落花生 ) について 食品の製造 販売事業者等の監視指導や食品の検査を実施し アレルゲン表示の適正化を図るとともに 講習会やパンフレット ホームページ等を通じて普及啓発を行います アレルゲン表示の違反により 事業者が自ら食品等の回収を行う場合は 東京都食品安全条例に基づき 報告を徴収して 回収情報を的確に把握し ホームページで広く都民に注意喚起を行います 食品の製造施設に対し 使用原材料の点検 確認を指導するほか アレルゲン検査等の手段を活用し 製造段階における意図しないアレルゲンの混入防止を図ります 給食施設や飲食店等の食品関係事業者からのアレルギー対応に関する相談に対して 保健所等が必要な助言 指導を行います 飲食店等において 消費者にアレルゲンに関する情報を適切に提供できるよう 営業者や従業員向け普及啓発資料を配布します また 外国人にも説明や情報提供ができるよう ピクトグラムや指さしシートなどのコミュニケーションツールを提供し 飲食店を支援します 施策 5 生活環境が及ぼす影響に関する知識の普及等 福祉保健局 アレルギー疾患は 排出ガスや花粉のほか 室内のダニ たばこの煙など生活環境に係る多様かつ複合的な要因によって発生し 重症化することがあることから 生活環境が疾患に及ぼす影響についての最新の知見やデータを踏まえた普及啓発に取り組みます 室内環境対策の総合的なガイドブックである 健康 快適居住環境の指針 により ダニ カビ ペットやたばこの煙等のアレルゲンや増悪因子の除去 軽減対策に関する情報提供を行います 9

施策の柱 Ⅱ 患者の状態に応じた適切な医療やケアを提供する体制の整備 都民がアレルギーの状態に応じて適切な医療を受けることができるよう アレルギー疾患医療の質の向上と医療機関の連携体制の構築 医療機関に関する情報提供の充実等に取り組みます 施策 6 医療従事者の資質向上 福祉保健局 病院経営本部 東京消防庁 アレルギー疾患の専門的医療を行う医療機関や医師会等の関係団体と連携し 地域において日々のアレルギー疾患医療を提供している診療所や病院の医師を対象として 診療ガイドラインによる標準的治療 患者の日常生活や疾患管理の支援などを内容とした研修を実施し 専門的な知識の普及と技能の向上を図ります 東京医師アカデミー 5 の小児科コースにおいて研修を実施し 専門的なアレルギー疾患医療の提供が可能な医師を育成します 薬剤師 看護師 栄養士等に対し 薬剤師会 看護協会 栄養士会等の関係団体と協力して研修を実施します 救急隊員に対し アレルギー症状を呈する傷病者に対する対応及び自己注射が可能なアドレナリン製剤の取扱いについて教育を行います 医療従事者が アレルギー疾患医療に関する最新の知見などの情報を得られるよう 関係学会と連携して 東京都アレルギー情報 navi. により情報提供します 施策 7 専門的医療の提供体制の整備 福祉保健局 病院経営本部 診断が困難な症例や 標準的治療では病態が安定しない重症及び難治性のアレルギー疾患の患者が円滑に専門的な医療を受けられるよう 今後 幅広い診療領域に対応可能な 都におけるアレルギー疾患医療の拠点病院を選定するとともに 拠点病院を含む専門的なアレルギー疾患医療を提供する医療機関のネットワーク構築に取り組みます また 診療ネットワークに参画する病院と地域の医療機関が それぞれの役割に応じ円滑に連携できる体制の整備に取り組みます 5 東京医師アカデミー : 都立病院と公社病院が一体となって提供する後期臨床研修システム 各病院の特色を生かしたカリキュラムにより 臨床を重視した質の高い医師の育成を目的としている 10

施策 8 医療機関に関する情報の提供 福祉保健局 疾患の種類や病態が多様なアレルギー疾患患者が 状態に応じた適切な医療機関を受診できるよう 診断が困難な患者や重症及び難治性のアレルギー疾患患者の診療を行う専門的な医療機関に関する情報を 東京都アレルギー情報 navi. により提供していきます アレルギー疾患の診療を実施している医療機関の所在地や診療時間等について 電話やファクシミリ インターネットを通じて提供していきます ( 東京都医療機関案内サービス ひまわり ) 11

施策の柱 Ⅲ 生活の質の維持 向上を支援する環境づくり 患者 家族の様々な不安や悩みに適切に対応できるよう 相談体制の充実を図ります また 疾患管理に必要な行為を自ら十分に行うことができない乳幼児 児童 生徒 高齢者又は障害者が居住 滞在する施設や学校等において 適切な配慮や緊急時の対応ができるよう 施設等の職員への研修や情報提供を行います このほか 災害時に備えた体制を整備していきます 施策 9 多様な相談に対応できる体制の充実 福祉保健局 患者やその家族の支援に携わる保健 福祉関係者 企業等の安全衛生担当者等を対象に 患者の日常生活や疾患管理を支援する上で役に立つ相談のノウハウや実技などを内容とした研修等を実施します 保健所等においては 様々な職種の職員が専門性を生かして 疾患管理や室内環境の改善等 都民からの相談に対応します 東京都健康安全研究センター等は 都民からのアレルギー疾患に関する相談等に応じている保健所や区市町村の保健師や栄養士等の職員等に対し 必要に応じ 技術的助言を行います 区市町村が実施するアレルギー相談事業を支援します 国が専門的な相談に応じるために設置している アレルギー相談センター や患者家族会とも連携しながら 多様な相談に対応していきます 施策 10 社会福祉施設や学校等職員の緊急時対応力の向上 福祉保健局 教育庁 東京消防庁 社会福祉施設等の職員が 疾患管理を自ら十分に行うことができない子供や高齢者 障害者等に適切な配慮を行い また 生命に危険が及ぶおそれのある ぜん息発作やアナフィラキシー症状が起きた時などの緊急時に適切な対応ができるよう 実践的な対応方法を習得するための研修を実施するとともに 東京都アレルギー情報 navi. により施設等の職員向けの情報を提供していきます 学校の教職員研修において アレルギー対応に関する知識を習得する機会を設けます 緊急時の対応力を向上させるため 心肺蘇生法及びAEDの使用方法について 応急救護訓練及び救命講習等を実施します 12

施策 11 事故防止 緊急時対応のための組織的取組の促進 福祉保健局 教育庁 生活文化局 アレルギー疾患のある児童 生徒が安心して学校生活を送ることができるよう 学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン ( 文部科学省監修 財団法人日本学校保健会発行 ) や 学校給食における食物アレルギー対応指針 ( 文部科学省 ) に基づいた事故予防と緊急時対応に関する組織的な体制づくりを推進します 社会福祉施設等において 地域の医療機関等と円滑に連携し 緊急時に組織的な対応を行うことができるよう 研修や保健所における講演会などを実施するとともに 東京都アレルギー情報 navi. により 緊急時対応に関するガイドブックやマニュアルを周知し 各施設における体制整備を支援します 区市町村が行うアレルギー疾患対策に関する講演会や地域の関係者による意見交換会など 社会福祉施設や学校等と医療機関などとの連携体制を構築するための取組を支援します また アレルギー児の状態に応じた保育サービスを提供する保育施設等での事故防止のための区市町村の取組を支援します 施策 12 災害時に備えた体制整備 福祉保健局 平常時からの災害への備えや災害発生時における対応について ホームページやガイドブック等に掲載するとともに 講演会等を通じて 都民や関係機関職員への普及啓発を行っていきます 区市町村の防災関係者が 避難所におけるアレルギー対応に関する準備や配慮等ができるよう 避難所管理運営の指針 等により支援します 区市町村等の災害備蓄の補完として 牛乳アレルギー用調製粉乳やアレルギーに配慮した食料の備蓄を行っていきます 13

施策展開の土台施策を推進するための取組 施策を効果的に進めていくため 関係機関や区市町村との連携 協力を強化します また 基礎的データの収集 分析を行うとともに 専門家の知見や患者 家族等の意見も取り入れ 施策の効果検証 検討を行っていきます 取組 1 施策展開の基礎となる調査等の実施 福祉保健局 施策を効果的に推進するため 乳幼児に関するアレルギー調査など 統計データの集積 分析等の取組を実施していきます 取組 2 関係機関及び区市町村との連携 協力 福祉保健局 医師会 薬剤師会 看護協会等の関係機関との情報共有や連携 協力により施策を進めていきます 連絡会や研修等を通じて 情報共有や関係機関の取組に対する技術的な支援を行い 地域の実情に応じた相談体制や関係者間の連携体制の構築等を進めていきます 取組 3 専門的知見等を取り入れた対策の検討等 福祉保健局 都におけるアレルギー疾患をめぐる状況を的確に捉え 本計画に基づく施策を効果的に推進するため 専門医 関係団体 区市町村 患者家族会等で構成する東京都アレルギー疾患対策検討委員会において 専門家の知見や患者 家族等の意見を取り入れながら施策の効果検証 検討を行っていきます アレルギー疾患に関する状況変化や施策を実施する上での課題等を勘案し 必要に応じて 国に対して提案要求を行っていきます 14

資料編

資料 Ⅰ 東京都におけるアレルギー疾患患者の状況 図 1 アレルギー疾患推計患者数の年次推移 ( 東京都 ) 総患者数注 1) ( 千人 ) 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 アトピー性皮膚炎 (14~) 8 11 14 17 20 23 26 結膜炎注 3) 出典 : 患者調査 ( 総患者数 性 年齢階級 傷病小分類別注 4) 都道府県別 )( 厚生労働省 ) 調査の時期 :10 月中旬の 3 日間のうち医療施設ごとに定める 1 日 注 1) 総患者数 ( 傷病別推計 ): 調査日現在において 継続的に医療を受けている者 ( 調査日には医療施設を受療していない者も含む ) の数を 数式により推計したもの 総患者数 = 入院患者数 + 初診外来患者数 + 再来外来患者数 平均診療間隔 調整係数 (6/7) 注 2) アレルギー性鼻炎 : 花粉症によるものを含む ただし スギ ヒノキ花粉による花粉症は 2 月 ~4 月に多いため 本調査の患者数にはほとんど含まれないと推測される 注 3) 結膜炎 : 非アレルギー性の結膜炎患者を含む 注 4)8 及び 11 のみ 傷病中分類別より抽出 喘息 アレルギー性鼻炎注 2) 年 < 参考 > アレルギー疾患推計患者数の年次推移 ( 全国 ) 厚生労働省 第 1 回アレルギー疾患対策推進協議会 ( 平成 28 年 2 月 3 日 ) 資料 2 アレルギー疾患対策について より 15

図 2 アレルギー疾患の年齢別患者構成割合 ( 東京都 ) (%) 100% 90% 15 32 7 80% 10 6 70% 18 49 60% 50% 7 15 17 40% 47 30% 8 20% 30 20 10% 32 3 0% 結膜炎 アレルギー性鼻炎 喘息 アトピー性皮膚炎 グラフ上の数値は各年齢階級における患者数 ( 千人 ) 65 歳以上 45~64 歳 25~44 歳 0~24 歳 出典 : 平成 26 年患者調査 ( 総患者数 性 年齢階級 傷病小分類別 都道府県別 )( 厚生労働省 ) 図 3 喘息による死亡者数推移 ( 東京都 ) ( 人 ) 350 300 250 200 150 100 50 0 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 ( 年 ) 出典 : 人口動態統計 ( 厚生労働省 ) 16

資料 Ⅱ 学校保健統計調査の概要 調査目的学校における幼児 児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的とする 調査の範囲 対象 (1) 調査の範囲は 幼稚園 幼保連携型認定こども園 小学校 中学校 高等学校及び中等教育学校のうち 文部科学大臣があらかじめ指定する学校とする (2) 調査の対象は 調査実施校に在籍する満 5 歳から17 歳まで (4 月 1 日現在の満年齢 ) の幼児 児童及び生徒の一部とする 調査事項 (1) 児童等の発育状態 ( 身長 体重 ) (2) 児童等の健康状態 ( 疾病 異常等 ) 調査方法 (1) 調査は 学校保健安全法による健康診断の結果に基づき 4 月 1 日から6 月 30 日の間に実施 (2) 調査票の配布収集方法都道府県知事をとおし調査対象校に調査票を送付し 記入された調査票を回収 インターネットを利用したオンライン調査でも実施 (3) 抽出方法標本抽出方法は 発育状態調査が層化二段無作為抽出法 健康状態調査が層化集落抽出法である 図 1 ぜん息被患率の推移 ( 東京都 ) (%) S 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 17 年度分はデータなし 学校保健統計調査報告書 ( 東京都総務局 ) より 図 2 ぜん息被患率の推移 ( 全国 ) (%) S 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 学校保健統計調査全国集計結果 ( 文部科学省 ) より 17

資料 Ⅲ アレルギー疾患に関する 3 歳児全都調査 ( 平成 26 年度概要版 ) 調査目的 都内の 3 歳児におけるアレルギー疾患のり患状況等 推移の把握 3 歳児の保護者のアレルギー疾患対策に対するニーズの把握 調査対象平成 26 年 10 月の都内 3 歳児健康診査受診者及びその保護者 8,383 人 調査方法区市町村の協力により 8,383 人の保護者へ無記名による自記式調査票を配布し 郵送で回収 回答数 3,435 人 ( 回収率 41.0%) 主な調査内容 アレルギー疾患 のり患状況 ( 症状の有無 医師の診断の有無 ) ぜん息 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 アレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎 じんましん 保育所等への通所状況 アレルギー疾患に関する要望 1 3 歳までに何らかのアレルギー疾患にり患している児は約 4 割で推移 図 1 3 歳までに何らかのアレルギー症状有かつ診断された児の割合 (%) 45 40 35 36.8 36.7 38.8 39.3 0 平成 11 年度 (n=4,415 人 ) 平成 16 年度 (n=4,305 人 ) 平成 21 年度 (n=2,912 人 ) 平成 26 年度 (n=3,407 人 ) 2 食物アレルギー は一貫して増加傾向 図 2 各アレルギー疾患のり患状況の推移 (3 歳までにアレルギー症状有かつ診断された児の割合 ) (%) 25 20 15 10 5 0 10.5 9.3 7.9 8.5 8.5 7.1 ぜん息食物アレルギー (2 回以上症状有 ) 平成 11 年度平成 16 年度平成 21 年度平成 26 年度 16.7 16.6 15.3 15.8 14.4 アトピー性皮膚炎 11.2 6.1 11.1 9.2 9.0 アレルギー性鼻炎 4.8 4.6 4.5 4.8 アレルギー性結膜炎 11.9 11.3 8.7 じんましん 12.4 ぜん息 (2 回以上の症状 ) 4.6 3.0 2.2 1.3 その他のアレルギー疾患 18

3 食物アレルギーで出現した症状 ( 報告書本文 P22 参照 ) 80 図 3 3 歳までに食物アレルギーと診断された児の食物アレルギーで出現した症状 (%) 100 91.6 92.9 94.7 平成 16 年度 平成 21 年度 平成 26 年度 60 40 20 0 30.3 25.1 24.2 17.3 22.8 20.4 15.1 13.7 16.8 15.0 12.0 11.7 ショック症状を 1 割が経験 皮膚の症状目の症状消化器の症状口の症状呼吸器の症状ショック症状 * 鼻の症状 ( 出現症状は保護者の判断による ) * ショック症状 : 本調査では 意識がない 意識もうろう ぐったり 尿や便を漏らす 脈が触れにくい 唇やつめが青白い のいずれかの症状を指す 1.4 10.4 7.6 7.3 9.6 3.9 4 食物アレルギーと診断された児のうち 4 人に 1 人は誤食を経験 図 4 誤食の経験 図 5 誤食の起こった場所 自宅 69.0 ある 25.2% レストラン等の外食先 33.8 親戚 友人宅 22.5 なし 74.8% 保育施設等 その他の場所 7.0 5.6 外食先での誤食も 3 割を超える発生があった 3 歳までに食物アレルギーと診断された児 ( 無回答を除く n=564 人 ) 0 20 40 60 80 100(%) (3 歳までに食物アレルギーと診断された児で誤食の経験有 n=142 人 ) 5 保護者の行政 ( 都や区市町村 ) や保育施設 幼稚園等に対する要望の内容 図 6 行政に対する希望 ( 複数回答 ) 図 7 保育施設 幼稚園等に対する希望 ( 複数回答 ) アレルギー疾患に関する知識や情報提供医療機関に関する情報提供関係者への知識等向上のための取組禁煙 分煙など たばこ対策の徹底食品表示監視の徹底 その他 職員の理解と知識の向上他の児童への教育相談体制の充実アレルギー対応食の提供アレルギーの薬の預かりや投与その他 0 50 100 (%) 0 50 100 (%) 19

資料 Ⅳ アレルギー疾患に関する施設調査 ( 平成 26 年度概要版 ) 調査目的都内の保育施設等に在籍するアレルギー疾患児の状況や 施設における対応 ニーズの把握 調査対象都内児童福祉施設 幼稚園等 7,405 施設 ( 平成 26 年 9 月現在 ) 調査方法アンケート調査 ( 郵送 ) 回答施設数 5,348 施設 ( 回収率 72.2%) 主な調査内容 基本項目 アレルギー疾患 のり患状況や把握状況 ぜん息 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 アレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎 じんましん 食物アレルギーのある児の状況や施設の対応 体制整備状況 アレルギー疾患に関する要望等 1 アレルギー疾患のある園児 児童が在籍している施設の割合 図 1 アレルギーのある園児 児童が在籍する施設割合 (5,348 施設 ) (%) 100 80 80.5 60 60.2 55.3 40 20 28.7 34.8 21.2 0 食物アレルギーぜん息 アトピー性皮膚炎 アナフィラキシー アレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎 図 2 アレルギー疾患のり患状況 ( 園児 児童数 403,614 人 ) (%) 10 8 6 6.3 4 2 3.6 2.9 0.6 2.3 0.9 0 食物アレルギーぜん息アトピー性皮膚炎 アナフィラキシー アレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎 20

証保育稚可保育施2 過去 1 年間に施設内で食物アレルギーを経験した施設は約 2 割であり そのうちの約 6 割が初発 初発 : 症状が出る前に原因食物と診断されておらず 初めて症状を経験した場合 図 3 施設内での食物アレルギーの経験 19.3% アレルギー症状を経験した施設 アレルギー症状を経験していない施設 80.7% (%) 図 4 食物アレルギーの症状が出た状況 ( 無回答を除く n=5,264 施設 ) 100 全80 60 40 20 64.9 34.1 誤食初発無回答 75.6 70.7 68.2 68.1 67.3 67.2 61.3 54.5 49.4 45.5 46.8 30.0 31.3 29.5 30.4 32.7 24.4 16.1 0 設n=1,014 認所n=574 認認幼こ定ども園所n=150 n=22 ベ家ホビ園テールn=79 n=44 学庭童的保保育n=32 上前の記施施以設育設外n=69 n=45 回調査(再掲)n=825 3 食物アレルギーのある園児 児童を約 9 割の施設が受け入れると回答 図 5 食物アレルギーのある子供の受け入れ体制 受け入れない 2.8% その他 2.8% 図 6 エピペン を処方されている子供の受け入れ体制 アナフィラキシーがあらわれた時に使用し 医療機関で治療を受けるまでの補助治療薬 決まっていない 24.9% 受け入れる ( 状況により受け入れるも含む ) 94.4% 断る 11.5% 受け入れる 63.6% ( 無回答を除く n=5,240 施設 ) ( 無回答を除く n=5,073 施設 ) 21

4 委員会などアレルギー対応を検討する場を設けている施設は約 4 割 図 7 アレルギー対応を検討する委員会や健康 安全に関する担当者の設置状況 (4,960 施設 複数回答 ) アレルギー対策委員会やアレルギー専門委員会を設置している 特にアレルギー対策委員会は設置していないが 別な会議を代用している 5.5 38.3 委員会などアレルギー対応を検討する場を設けている 43.8 健康 安全に関する担当者を決めている 39.4 特に何も決めていない 34.6 0 10 20 30 40 50 (%) 5 約 9 割の施設で アレルギー疾患に関するガイドラインやマニュアル等を整備 図 8 ガイドラインやマニュアル等の整備状況 特に備えていない 7.0% 都が作成した 食物アレルギー緊急時対応マニュアル は 約 8 割の施設が すぐ取り出せる場所に備えてある と回答 図 7. ガイドラインやマニュアル等の整備状況何らかのガイドラインやマニュアル等を整備 93.0% ( 無回答を除く n=5,128 施設 ) 22