1 全体の目的のパート 目的 介護予防において なぜ栄養に注意することが必要かを伝えます 中年期の生活習慣病予防のための食事の注意だけでなく 高齢期になってからは低栄養の予防も大切なことをご理解いただきます 重点 食事は単なる栄養補給ではなく 楽しく おいしく食べることが大切であることが伝わるように

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【0513】12第3章第3節

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Ⅵ ライフステージごとの取り組み 1 妊娠期 2 乳幼児期 (0~5 歳 ) 3 学童期 (6~12 歳 ) 4 思春期 (13~19 歳 ) 5 成年期 (20~39 歳 ) 6 壮年期 (40~64 歳 ) 7 高年期 (65 歳以上 ) ライフステージごとの取り組み ( 図 )

日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

2214kcal 410g 9.7g 1 Point Advice

私の食生活アセスメント

1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

活実態と関連を図りながら重点的に指導していきたい また, 栄養教諭による給食献立の栄養バランスや食事によるエネルギー量を基盤として, グループごとに話合い活動を取り入れるなどの指導の工夫を行いたい また, 授業の導入にアイスブレイクや, カード式発想法を取り入れることにより, 生徒が本気で語ることが

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札幌鉄道病院 地域医療連携室だより           (1)

2 夜食 毎日夜食をとっている者は では 22.5%( 平成 23 年 23.9%) であり で % と割合が高い では 18.3%( 平成 23 年 25.2%) であり 40 歳代で割合が高い 図 夜食の喫食状況 (15 歳以上 性別 年齢階級別 )

日常的な食事に関する調査アンケート回答集計結果 ( 学生 ) 回収率 平成 30 年 12 月 1 日現在 134 人 問 1 性別 1 2 男性女性合計 % 97.0% 100.0% 3.0% 男性 女性 97.0% 問 4 居住状況 家族と同居一人暮らし

スライド 1

小学校 第○学年 学級活動(給食)指導案

平成 30 年度広島県立庄原特別支援学校食に関する年間指導計画小学部重複障害学級 食べ物と健康との関わりについて知ろう 給食について知ろう 学習 遊びの指 導 生活単元 給食の食材や献立について知る 正しい手洗いを身に付ける 協力して配膳ができる 食後の片付けができる しっかりかむ習慣を身に付け,

平成 29 年度広島県立庄原特別支援学校食に関する年間指導計画小学部重複障害学級 遊びの指導 生活単元学習 給食の食材や献立について知る 正しい手洗いを身に付ける 協力して配膳ができる 給食の食材や献立について知る バランスよく, 何でも食べる 必要な水分を上手に摂取する 食後の片付けができる しっ

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

Microsoft Word 栄マネ加算.doc

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特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 報告書46~63ページ

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事業内容

識及び技能を活用して総合的に学習できるような教材である 家庭の食事や給食について振り返ってバランスよく食品を組み合わせて食事をとる大切さを理解させたり, 体に必要な栄養素の種類と働きを知り 1 食分の献立を考えさせたりする 栄養バランスを考えた 1 食分の献立を計画することは, 小学校での 2 年間

第 4 章 地域における食育の推進 1 栄養バランスに優れた 日本型食生活 の実践 ごはんを中心に 魚 肉 牛乳 乳製品 野菜 海藻 豆類 果物 茶など多様な副食などを組み合わせて食べる 日本型食生活 は 健康的で栄養バランスにも優れている 農林水産省では 日本型食生活 の実践等を促進するため 消費

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

(1) 高齢者の特徴加齢による身体機能の低下は人により異なりますが 高齢者の体にさまざまな変化をもたらすと同時に 食生活にも影響を及ぼします このため 高齢者への食生活支援には 身体状況や食事の摂取状況の把握に加え 環境や社会的 経済的要因の他 サービス利用者本人や家族の意向などを考慮した栄養改善計

平成 29 年度食育活動の全国展開委託事業報告書 ( 食生活と農林漁業体験に関する調査 ) 平成 30 年 2 月

②肥満 やせの状況 3 歳児における肥満児の割合は減少していました 成人男性の肥満は横ばいで 代女性の肥満は増加傾向がみられました 一方 20 代女性のやせは倍増しており 肥満だけでなく 子どもを産み育てる世代への支援が必要となります 20代 60代の肥満 BMI 25以上 の割合 肥満

刈谷市食育推進計画

新しい介護食品 の考え方 平成 26 年 3 月 介護食品のあり方に関する検討会議 定義に関するワーキングチーム 平成 25 年 2 月より 介護関係者や学識経験者等による これからの介護食品をめぐる論点整理の会 ( 以下 論点整理の会 という ) を立ち上げ 同年 7 月に論点が取りまとめられた

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

の課題フェイズごとの食に関する問題 大規模な水害や地震が起きると ライフラインが寸断されたり家屋が倒壊 損傷したりして自宅で食事を摂ることができなくなります しばらくすると支援物資が運ばれてきますが 道路の寸断により時間がかかり食料が手に入りにくい状況も想定されます また 避難所や野外へ避難する人が

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

FastaskReport

平成24年度高齢者の健康に関する意識調査結果 食生活に関する事項

このシートは 下記のから9のカテゴリーをチェック () することで 御社の健康づくりの現状と その先の取り組みを設定するための参考とすることができます 各カテゴリーの設問については できている 5 点 もう一歩 2 点 できていない 0 点で採点することで それぞれの項目における現状を点数で把握する

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各推進主体の具体的な取り組み 家庭 幼稚園 保育所 関係団体 家族で一緒に朝 早寝 早起き 朝 朝食の大切さを 食を食べる日を ごはんを推進し 伝えていきまし 増やしま ま ょう 朝食の大切さ 早寝 早起き 朝 園便りや給食便 簡単に作れる朝 の推進 ごはんを心がけ りで食育推進を 食のメニューを

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

はじめに 連携パス とは 地域のと大阪市立総合医療センターの医師が あなたの治療経過を共有できる 治療計画表 のことです 連携パス を活用し と総合医療センターの医師が協力して あなたの治療を行います 病状が落ち着いているときの投薬や日常の診療はが行い 専門的な治療や定期的な検査は総合医療センターが

Interview 02 vol. 15 vol

Ⅰ はじめに

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次世代ヘルスケア産業協議会第 17 回健康投資 WG 資料 6 職場における食生活改善の質の向上に向けて 武見ゆかり第 6 期食育推進評価専門委員会委員 ( 女子栄養大学教授, 日本栄養改善学会理事長 )

11 平成 21 年度介護予防事業実施状況について 平成 22 年 7 月 大阪市健康福祉局健康づくり担当

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附帯調査

食育って, ご存知ですか? 食育とは 生きる上での基本であって, 知育, 徳育及び体育の基礎となるべきもの 様々な経験を通じて 食 に関する知識と 食 を選択する力を習得し, 食育の推進に取り組んでいます! 28 年 ( 平成 2 年 )3 月に 福山市食育推進計画,213 年 ( 平成 25 年

ウ食事で摂る食材の種類別頻度野菜 きのこ 海藻 牛乳 乳製品 果物を摂る回数が大きく異なる 例えば 野菜を一週間に 14 回以上 (1 日に2 回以上 ) 摂る人の割合が 20 代で 32% 30 代で 31% 40 代で 38% であるのに対して 65 歳以上 75 歳未満では 60% 75 歳以

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食育に関するアンケート


リハビリテーションマネジメント加算 計画の進捗状況を定期的に評価し 必要に応じ見直しを実施 ( 初回評価は約 2 週間以内 その後は約 3 月毎に実施 ) 介護支援専門員を通じ その他サービス事業者に 利用者の日常生活の留意点や介護の工夫等の情報を伝達 利用者の興味 関心 身体の状況 家屋の状況 家

食品には たんぱく質や脂質 炭水化物などの栄養成分が含まれています 私たちが健康な生活を送ることができるのは 食品から必要な栄養を必要な量とっているからです 食材を加熱すると 食材に天然に含まれている成分から新たな成分ができることがあります それによって 例えばパンを焼いたときの美味しそうな色 コー

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乳がん術後連携パス

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第2章 調査結果の概要 3 食生活


青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

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茨城県食育推進計画―第三次―

(5) 食事指導食事指導は 高血圧の改善 耐糖能障害の改善 代謝異常の改善について 各自の栄養状況 意欲などに応じて目標をたて これを達成できるよう支援する形で行った 開始時点で 食事分析を行い 3ヶ月ごとに 2 回進捗状況を確認する面接を行った 1 年後に終了時点の食事分析を行った 各項目の値の増

三菱冷凍冷蔵庫

給食の時間における食に関する指導事例 ( 小学校第 6 学年 ) 1 主題戦争中の食事を体験しよう 2 関連教科等 単元名社会科 長く続いた戦争と人々のくらし 3 献立名麦ごはん めざし みそ汁 たくわん 4 ねらい戦争中の食糧不足の食事を通して 食糧不足の時代と今の時代の食生活の違いが分かる <

Microsoft Word - 6 参考資料_第3回検討会までの議論やヒアリングにおける主な意見の概要(検討会後修正)

5月号_P01-28

一人暮らし高齢者に関する意識調査結果 <概要版>2

14栄養・食事アセスメント(2)

記録ノート(A4単ページ ) indd

2015 1,200 A B J 一般社団法人 J ミルク牛乳乳製品の知識改訂版 001

平成 29 年度食品安全モニター課題報告 食品の安全性に関する意識等について I. 食品の安全性に係る危害要因等について 問 1 A~G に掲げる事項についてリスクの観点からあなたはどう思いますか それぞれ の事項について 選択肢 1~6 の中から 1 つずつ選んでください 事項 A 環境問題 B

お子さんの成長にあわせ お母さんの食生活を見直してみませんか? お子さんの成長にあわせて あなたの食生活をかえるチャンスがあります 3 か月 か月 か月

為化比較試験の結果が出ています ただ この Disease management というのは その国の医療事情にかなり依存したプログラム構成をしなくてはいけないということから わが国でも独自の Disease management プログラムの開発が必要ではないかということで 今回開発を試みました

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SoftBank 301SI 取扱説明書

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せきがはら10月号.ec6

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プレミアム体の燃料源 リムリーン ダッチチョコレート 栄養 ベネフィットおよびよくある質問 製品概要 : 原材料 : 独自仕様プロテインブレンド ( 濃縮ホエープロテイン 濃縮ミルクプロテイン ホエイプロテインアイソレート 卵アルブミン ) 可溶性コーンファイバー ダッチプロセスココアパウダー 天然

2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

私の場合 上記表より男性 年齢 51 歳の所を確認しました 活動量低い 普通以上を選択します 活動量は低いにあてはまります ( 座り仕事が中心 歩行 軽いスポーツ等は 5 時間未満 ) 表よりエネルギーは 2200±200 キロカロリーになり 1 日にとる 5 種類の分類のうち摂取量 ( つ (SV

[Q] なぜ 休日用に いいパン を選んでいるか 理由をお選びください ( 休日用に いいパン を選んでいると回答された方 n=188 複数回答 ) パンのおいしさ を ゆっくり食べて味わえるから 64.9 休日には 自分の好きな いいパン ごほうびパン を食べて 贅沢したいから 49.5 パンのお

平成17年度社会福祉法人多花楽会事業計画(案)

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

基本チェックリストの概要 総合事業の実施に伴い 要介護 要支援認定申請に加え 基本チェックリストを活用する流れが設けられました 基本チェックリストは 従来のような二次予防事業対象者の把握のためという活用方法ではなく 相談窓口において 必ずしも認定を受けなくても 必要なサービスが利用できるよう 本人の

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栄養改善 パンフレットの解説 表 裏 このパンフレットは表側に 2 つのパート 裏側に 3 つのパートがあります すべての部 分について説明する必要はありませんので 対象者の方の状況にあわせて適切なパートをご 使用ください 1

1 全体の目的のパート 目的 介護予防において なぜ栄養に注意することが必要かを伝えます 中年期の生活習慣病予防のための食事の注意だけでなく 高齢期になってからは低栄養の予防も大切なことをご理解いただきます 重点 食事は単なる栄養補給ではなく 楽しく おいしく食べることが大切であることが伝わるように気を付けてください 使い方 必要に応じて 対象者の方と一緒に読む または後で読んでおいていただくようにしてください 2 食事を見直すパート 目的 ご本人にご自身の食事を見直していただき どの部分に問題があるかや どのような食事が適切であるかをご理解いただきます 重点 望ましい料理の揃え方を理解できるように話を進めてください 食事が楽しいものであることを忘れないように 好きな料理などの話をとりまぜて使用してください 使用方法 まず 左下の図とご自身の食事( 直前の食事など ) を比べていただきます 右側にあるチェックポイントについて 比べてください 料理の種類がそろうか 1 皿の量はどうかを比べます そろっていない料理 ( 例えば野菜料理 ) は他の食事の時にはあるのでしょうか それともいつもないのでしょうか 理想的な食事と比べて 整っている部分と足りない部分を確認します 足りない料理や量的に少ない料理は なぜそうなるのかを考えていただきます 料理の品数や量に問題がない場合は 様々なたんぱく質源 ( 肉 魚 大豆製品 卵 乳製品 ) 緑黄色野菜と淡色野菜など材料の種類が増えるように考えます 3 食生活チェックのパート ( 質問紙と同じ項目 ) 目的 ご本人の食事の状況をチェックする 食事の不足や過剰がどのような理由でおきているのかを理解していただきます 重点 改善の方向性を考えるために使用します 最初のアセスメントと同じ項目ですので すべてを聞く必要はありません 問題となりそうな個所について 再確認を行います E. 栄養に関連する健康状態 に はい と答えた項目がある場合は 医師や管理栄養士の個別相談を受けるように勧めます 使用方法 アセスメントですでに聞いてあれば A. 体重について B. 食事の内容について C. 食事の準備について D. 食事の状況についての各項目のうち問題になりそうなポイントについて再度 確認します そのうえで 改善するための方法をご本人と一緒に考えましょう 2のパートと合わせて そろいにくい料理や不足しがちな物がどうしてそうなるかの原因を見つけるためのパートです それぞれの項目の説明や改善の方向性は以下の通りです A. 体重について 2

体重の変化がエネルギーの摂取量の過不足の最も良い指標となります 体重の変化量が大きい 体重の減少や増加が続くような場合には 管理栄養士による個別相談が勧められます 1. 定期的な体重測定定期的に体重を測定することによって 早期に体重の減少や増加を知ることができます 起床後 入浴前後 病院の受診時など 定期的に体重の測定をしやすい時を決めます 2. この 1 カ月の体重減少体重の自然な減少がある場合には 食事の量や内容の不足 脱水の可能性があります また 消化 吸収能力の低下 疾患や薬剤によるエネルギー消費量の増加に伴い体重が減少することもあります 3. この 1 カ月の体重増加体重の自然な増加がある場合にも不適切な食事が疑われます 疾病や薬剤による浮腫でも体重が増加します 食事内容に大きな偏りはないか 大きなストレスとなるイベント うつや認知症などにより過食や少食になっていないかを確認します B. 食事の内容について 1. 食事の回数 1 日に 3 回の食事が基本ですが 1 回に多くの量が食べられない場合には 食事の回数を増やします また 間食はエネルギーやたんぱく質源として有効です 2. 肉 魚 豆類 卵肉 魚 豆類 卵はたんぱく質を多く含む食品です これらの食品を主とした料理 ( 主菜 ) を 3 回の食事で毎食摂るようにします 現在の疾病の状況を考慮して 適切な食品を組み合わせます プリン チーズ ヨーグルトなどは間食となる手軽なたんぱく質食品です 3. 野菜 果物野菜や果物はビタミン類 食物繊維の補給源です 野菜を主にした料理 ( 副菜 ) を毎回の食事で 1~2 皿摂るようにします 買物や調理の負担が少ない半処理済野菜 ( 皮むき カット野菜 レトルト食品 冷凍 缶詰 ) や宅配サービスの利用などの情報を提供します 4. 牛乳 乳製品 豆乳たんぱく質やカルシウムの良質な補給源となり 調理が不要で 軟らかな形態が多いので 高齢者にも適した食品です コーヒー ココア 紅茶 抹茶 果実酢などをいれると飲みやすくなります 5. 水分 3

口渇感を感じにくくなり また お手洗いが近いことや尿漏れを気にして水分の摂取量が少なくなりがちです 水分の摂取不足は 夏には熱中症のリスクとなります 血液が濃厚になると血栓ができやすくなります 1 日に最低でも 5 杯 ( 食事時に 1 杯を 3 回と食事間で 2 杯 ) は飲むようにします 6. こだわりの食品こだわって習慣的にとっている食品やサプリメントが不適切あるいは 経済的に負担になっていると危惧される場合には 管理栄養士による個別相談が勧められます C. 食事の準備について買物や食事の準備が負担になってきます これまで買物や料理を担当していた家族が病気あるいは死亡した場合も 食事の準備状況が悪くなります 1. 買い物坂道や階段の状況 エレベータの有無など自宅の状態によっては 外出がしにくい 重い荷物を持っての移動が困難になります (1) 重い物の運搬が困難電話 ファックス インターネット等を通じての配達サービス 商店街やスーパーの配達サービス 地域の買い物ボランティアなどの情報を提供します (2) 行くことのできる商店がない移動販売の有無 他の商店やスーパーの確認 自宅から注文できるサービスの活用 商店までの移動方法 ( コミュニティーバス等 ) を検討します (3) 買物の経験不足食生活改善推進員やボランティア等による買物同行や食品の選び方などの情報を提供します 2. 食事の支度体力や気力の低下に伴う食事準備や調理の負担から食事の量が減少し 内容が偏ります (3) 体力的に食事の支度が困難簡単にできる献立やレシピ 弁当や惣菜の宅配サービス 半調理品 ( 皮むき カット食材 レトルト食品 冷凍 缶詰等 ) 調理のボランティアや食事会等の情報提供 台所設備 ( 調理台が高い等 ) や調理器具の不足の確認などを行います (4) 調理の経験不足使用可能な調理器具 ( 炊飯器 電子レンジ等 ) の確認と使用方法の指導 簡単な調理方法やレシピ 初心者向けの簡単料理教室 調理済あるいは半調理品 調理ボランティア等の紹介を行います (5) 食品の衛生的な管理 4

冷蔵庫が稼働し 適切に使用されているか 食品の保管方法が適切で 賞味期限 消費期限が守られているか 調理済みの料理や配食弁当等の保管方法 調理器具や食器が衛生的に使用されているかなどの確認を行います D. 食事の状況について食欲や食事への意欲が低下することは 食事量の減少や食事の内容の偏りを招き 低栄養の大きなリスクとなります 1. 食欲の有無適切な食事の摂取のためには 適度な食欲があることが大切です 食欲がない場合は いつ頃から食欲が低下したのか その頃に何か身体や生活の変化があったかを伺い 原因を把握します 食べたい おいしい と思う食べ物をまず食べて食欲を早めに取り戻します 好きな食べ物 旬の食べ物や思い出の食べ物の話をする デパ-トや商店街の食品売り場を歩いて おいしそうな食べ物をみたり 香りをかぐと食欲がでてきます 2. 食事の楽しさ食事の時間は 食事を楽しみ 他の人との交流を楽しむ場です 食事が楽しくなくなる理由には 味を感じにくいなどの身体の変化のほか 生活上の様々なイベントが影響します 味覚がひどく鈍くなっている場合には 薬剤が影響している場合もありますので 医師との相談も必要です 専門家によるカウンセリング 食事会や趣味のサークルなど他の人と話をしたり 一緒に食事をする機会を紹介します 3. 誰かと一緒の食事 1 人での食事は 寂しさからの食欲の低下 食べる回数の減少 食材料の偏りなどから低栄養のリスクが高くなります 趣味のグループやボランティアなどの仲間と一緒に食事をする機会を作ったり 地域のボランティアに話し相手を依頼するなど他の人と交流する機会をすすめます 4. 規則正しい生活夜更かしや朝寝坊 食事時間が不規則な生活では 空腹感を感じにくくなります 決まった時間に 少しだけでも食べていると 徐々にその時間になると空腹感を感じるようになります 室内だけの生活で身体活動量が低下すると 食欲が低下しますので 買い物や散歩に出るなど外に出る機会をつくり運動 休養 ( 睡眠 ) 食事のバランスを整えます 上記の B~D について具体的なアドバイスや個別相談が必要な場合には 管理栄養士や管理栄養士と連携した経験のある栄養士に繋いでください E. 受診を勧める場合 管理栄養士の個別相談を必要とする場合 1~3 の 3 項目のいずれかに該当する方については 医師への相談及び管 理栄養士による詳細な食事のチェックと個別の栄養相談が必要です 5

1.3カ月以内の手術や食事制限 療法の必要な入院手術や食事制限 療法を必要とする入院の後には 体力の回復 疾病の再発予防などのケアが必要となります 2. 慢性疾患の有無食事療法や食事に注意が必要な慢性疾患がある場合は 食事療法をしながら低栄養状態にならないような食事の注意が必要です 3. 継続する下痢や便秘下痢が長く続くと 栄養不良が急速に進行します 下痢の原因には 疾病や薬物が影響している場合や 不適切な食事 不十分は衛生管理など様々な要因があります 一方で 高齢者では投薬 消化管機能の低下や水分摂取量の不足 運動不足 生活リズムの乱れなどにより便秘を起こしやすい状態にあります 4 調理や買物 食欲の状況 目的 食事内容の不足や偏りが起こる原因の大きなものに 買い物や料理が困難であることがあります ご本人だけでなく 配偶者 介護者など周囲の方を含めた状況を把握し 解決策を検討します 重点 調理や買物に関する部分は 家族関係や経済状態も影響するデリケートな部分ですが 高齢者の食事の乱れには大きく影響します 丁寧な聞き取りをしながら 必要に応じて 他職種との連携をとってください 使用方法 調理や買物で困難に感じる部分の有無と 具体的にどんな点に困っているかを明確にしていきます それに対する対応策を下の部分を参考にしながら考えます 具体的な情報提供 他の福祉サービス 民間サービスの利用も検討します 調理技術の不足や経済的に限られた材料での食事などの事例では 管理栄養士につなぐことで具体的な方法が提案できることもあります また 特に経済的な問題が深刻な場合には他の福祉サービスとの連携も必要です 食欲が出ない場合には 右下の部分を見直し 生活リズムを整えること 他の人と食事をする機会をつくることも検討します いずれも できるだけ具体的な情報提供ができるよう近隣の状況についての情報を集めておきます 5 体重測定のパート 目的 定期的な体重測定の習慣を身につけて 体重減少を早期に把握できるようにします 重点 食事量の減少はご本人では分かりづらいものです 定期的な体重測定ができるよう自宅 あるいは自宅外も含めて 具体的なチャンスを見つけます 使用方法 現在 定期的に測定していない方に対して 自宅や頻繁に行く場所に体重計があることをご存じであれば 次回までに 1 回 測定していただきます さらに 介入期間の終わり頃にも測定を依頼します 体重計のある場所が思いつかない方のために 近隣の公的施設や通院されている病院などの体重計の有無も必要に応じて確認しておき 介入期間中に一度は測定に行っていただくように勧めます 6

栄養改善プログラム班髙田和子 ( 独立行政法人国立健康 栄養研究所 ; 食生活チェックの作成 ) 杉山みち子 北岡英子 ( 神奈川県立保健福祉大学 ) 古明地夕佳 ( 神奈川県三崎保健福祉事務所 ) 田中和美 ( 神奈川県大和市 ) 7