アプリケーションノート食品 / 飲料品検査 発酵モニタリング 農薬 バイオ燃料 代替エネルギー Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z カラムによる糖の分析 著者 Anne Mack and Ta-Chen Wei Agilent Technologies, Inc. 概要 Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z カラムを用いて グラジエントとイソクラティック溶出における 11 種類の糖化合物を分離しました ph および温度がグルコースのアノマー分離に与える影響について調べました 高 ph と低温を組み合わせることが ピーク形状とカラム寿命の両方に対する最適なソリューションであるという結果が得られました 最終の分離では 水酸化アンモニウムを 35 C で使用しました
はじめに 液体クロマトグラフィーには 表面多孔質粒子の LC カラムが広く使用されています これらのカラムは全多孔質粒子カラムの同等製品と比べて 低圧で高効率です これは主に 物質移動距離がより短く カラムに充填されている粒子のサイズ分布がきわめて狭いためです カラムの効率が高いほど 分析を高速化できるだけでなく 分離能と感度が向上し より信頼性の高い結果が得られます 今日まで 表面多孔質粒子は主に逆相分離に重点を置いて使用されてきました 表面多孔性粒子技術が成熟したため 親水性相互作用液体クロマトグラフィー (HILIC) のような ケミストリとクロマトグラフィー手法向けのアプリケーションが使用できるようになっています HILIC は極性対象化合物の分析に最適ですが この化合物は逆相モードで保持および分離するのが困難な場合があります このアプリケーションノートでは Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z 2.7 μm カラムの UHPLC 性能と グラジエントとイソクラティック溶出による 11 種類の糖化合物の分離能力について説明します InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z では 堅ロールとデータ処理には Agilent OpenLab 牢なハイブリッド粒子に結合された新しい両ソフトウェアを使用しました 表 1 に 使用し性イオン型固定相を使用します この相は最たクロマトグラフィーメソッドを示します すべ大 C および最大 ph 12 まで安定していての化合物は個別の標準として注入しました ます また この相は幅広い極性にわたる分表 2 に濃度とサンプル溶媒を示します 析対象物を分離できます HILIC-Z 相が持つ分析した 11 種類の糖化合物は Sigma- これらの特徴は分析困難な高 ph 分離に最適 Aldrich から購入しました ギ酸アンモニウム であり 堅牢な 1 つのソリューションを提供しギ酸 酢酸アンモニウム および水酸化アンモます ニウムも Sigma-Aldrich から入手しました 実験方法 この研究では Agilent 1260 Infinity バイナリ LC と Agilent G4218A を使用しました システムでの分散を最小限にするために すべての接続キャピラリーの長さを短くし 内径を 0.12 mm にしました システムのコント表 2. サンプル前処理および注入量 糖 溶媒組成 注入量 (μl) キシロース CH 3 O (9:1) 0.1 アラビノース CH 3 O (9:1) 0.1 フルクトース CH 3 O (9:1) 0.1 マンノース CH 3 O (9:1) 0.2 グルコース CH 3 O (9:1) 0.4 ガラクトース CH 3 O (9:1) 0.4 スクロース CH 3 O (9:1) 0.5 マルトース CH 3 O (9:1) 1.0 ラクトース CH 3 O (9:1) 1.5 マルトトリオース CH 3 O (9:1) 3.0 ラフィノース CH 3 O (9:1) 7.0 アセトニトリルは Honeywell (Burdick and Jackson) 製のものです 水は Milli-Q システム (Millipore 社 ) で精製し 0.2 µm フィルタでろ過した分子量 18 のものを使用しました 表 1. メソッドパラメータ メソッド A B の組成 水 (ml/min) カラム カラム温度 ( C) 設定 mm ギ酸アンモニウム 図 1 水溶液 ph 4.5 mm 酢酸アンモニウム水溶液 ph 7.0 アセトニトリル 12 分で 95~ %B 3 分間再平衡 0.4 他社製 HILIC カラム 35 40 または 30 Hz 0.6 % 水酸化アンモニウム 水溶液 図 2 図 3 0.3 % 水酸化アンモニウム水溶液 mm 酢酸アンモニウム水溶液 ph 7.0 0.3 % 水酸化アンモニウム水溶液 35 アセトニトリル 90 % B イソクラティック 0.4 30 Hz Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z 0.3 % 水酸化アンモニウム 6 分で 85~60 %B 0.4 アセトニトリル溶液 3 分間再平衡 (p/n 685775-924) 35 30 Hz 図 4 0.3 % 水酸化アンモニウム 水溶液 0.3 % 水酸化アンモニウム アセトニトリル溶液 % B イソクラティック 0.4 35 30 Hz 2
結果と考察 糖は 多数の化合物でアノマー分離が発生するため HPLC で分析するのが困難な場合があります 図 1 は グルコースのアノマー分離が高 ph 高温 またはそれらの組み合わせのいずれかで制御できることを示しています シリカベースの LC カラムの場合 これらの条件は厳しいものであり カラム寿命に悪影響を与える可能性があります H 2 O, 35 C ph 4.5, 35 C ph 4.5, C PW = 0.1439 ph ph 7.0, 40 C PW = 0.2669 ph 7.0, C PW = 0.1267 ph ~10.8, 35 C PW = 0.2185 A) 変動 B) CH 3 CN グラジエント 12 分で 95~ %B 温度 Varies 変動 カラム 2.1 mm 他社製の HILIC カラム 温度 図 1. ph および温度がグルコースのアノマー分離に与える影響 3
Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z 粒子は ハイブリッド粒子への独自の両性イオン結合から生成されており 高 ph で安定性が増します 図 2 では 糖分析に適したメソッド条件の下で Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z カラムの寿命を評価しています 高 ph と低温を組み合わせることにより 14,000 までのカラム容量において性能は低下していません 高温を中程度の ph と組み合わせても狭いピーク幅と低い背圧が達成されますが これらの条件ではカラムの劣化が加速されてしまいます InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z カラムでは 高 ph と低温を組み合わせることにより 糖分析用のより堅牢なメソッドが実現します 図 3 は グラジエント溶出と高 ph を用いて InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z カラムで 11 種類の糖を分離した結果を示しています すべての化合物においてピーク形状は優れており 水酸化アンモニウム (ph ~ 10.8) と 35 C のカラム温度を用いたアノマー分離は適切に制御されていました 2 つの重要なペアであるキシロース / アラビノースおよびグルコース / ガラクトースはベースライン分離されていませんでしたが これらの分離は カラムと分析時間をともに長くすることにより改善される可能性があります 図 4 は 糖ではイソクラティック分離も使用できることを示しています 図 3 は グラジエント分析とほぼ同じ時間でイソクラティック分離が達成されたことを示しています ただし 溶出時間が早い化合物では十分に良好な分離能が達成されず 溶出時間が遅い化合物では十分に高い感度が達成されていません このように小さな問題は存在しますが グラジェント溶出が使用できない糖分析において イソクラティック分離は適切に機能しています RI 検出器のフローセルは 高 -ph では使用できません RI 検出が必要な場合は 中程度の ph と高温を組み合わせて使用します その他すべてのメソッドパラメータを一定に保つことにより 類似した選択性が実現すると推測されます A 高 ph (~10.8) 低温 (35 C) B 中程度 ph (7.0) 高温 ( C) 120 フルクトース 120 フルクトース 115 グルコース スクロース 115 グルコース スクロース 110 マルトース 110 マルトース リテンションタイム (%) 105 95 リテンションタイム (%) 105 95 90 90 85 85 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 1,0000 1,2000 1,4000 カラム容量 カラム容量 A) 0.3 % 水酸化アンモニウム B) CH 3 CN グラジエント 90 %B 温度 35 C A) mm 酢酸アンモニウム ph 7.0 B) CH 3 CN イソクラティック 90 %B 温度 C 図 2. 高 ph 対高温の糖分析における 2.7 µm Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z LC カラムの寿命の比較 4
mv 4 1 160 140 120 1 2 3 5 6 A) 0.3 % 水酸化アンモニウム H 2 O 溶液 B) 0.3 % 水酸化アンモニウム CH 3 CN 溶液 グラジエント 6 分で 85~60 %B 温度 35 C 7 8 9 10 11 1. キシロース 2. アラビノース 3. フルクトース 4. マンノース 5. グルコース 6. ガラクトース 7. スクロース 8. マルトース 9. ラクトース 10. マルトトリオース 11. ラフィノース 60 40 20 0 1 2 3 4 5 分 図 3. Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z LC カラムにおける 11 種類の糖化合物のグラジエント分離 mv 225 200 175 150 1 4 5 A) 0.3 % 水酸化アンモニウム H 2 O 溶液 B) 0.3 % 水酸化アンモニウム CH 3 CN 溶液 イソクラティック %B 温度 35 C 1. キシロース 2. アラビノース 3. フルクトース 4. マンノース 5. グルコース 6. ガラクトース 7. スクロース 125 2 3 6 8. マルトース 9. ラクトース 10. マルトトリオース 11. ラフィノース 75 7 50 25 8 9 10 11 0 1 2 3 4 5 6 7 分 図 4. Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z LC カラムにおける 11 種類の糖化合物のイソクラティック分離 5
結論 Agilent InfinityLab Poroshell 120 HILIC-Z カラムは糖の分離に最適です このカラムは すべての化合物において良好な分離能とピーク形状を達成し 高 ph 条件下において優れた寿命を有します ホームページ www.agilent.com/chem/jp カストマコンタクトセンタ 0120-477-111 email_japan@agilent.com 本製品は一般的な実験用途での使用を想定しており 医薬品医療機器等法に基づく登録を行っておりません 本文書に記載の情報 説明 製品仕様等は予告なしに変更されることがあります アジレント テクノロジー株式会社 Agilent Technologies, Inc. 2018 Printed in Japan, January 30, 2018 5991-8984JAJP