1 218 年 6 月 26 日 IoT/ トリリオンセンサを指向した 小型ホルムアルデヒド検出器 物質 材料研究機構 国際ナノアーキテク トニクス研究拠点 ナノマテリアル分野 フロンティア分子 G 主任研究員 石原伸輔
2 Outline (1) 電気抵抗が変わるホルムアルデヒド検出材料 (2) デバイス化の例 (3) まとめと企業連携への期待
3 従来技術とその問題点 ホルムアルデヒドは 接着剤や防腐剤として建材などに使用され アレルギーや喘息の原因物質である ホルムアルデヒドを簡易的に定量する方法として 検知管法などがあるが 繰り返し利用できない 測定毎に手動での操作が必要 等の問題があり 広く利用されるまでには至っていない
4 本研究が目指す化学センサ First responder ( 第一応答者 ) を人からセンサへ 従来型 有害物質 未来型 有害物質 健康被害 小型センサで検知し 安全確保 動機付け 測定 精密測定 ( 従来法でも OK) 事後的な対処 予防的な対処
5 小型化学センサ 半導体 無機半導体 (SnO 2 ) 数百 の加熱が必要 = 電力消費大 単層カーボンナノチューブ (SWCNT) 室温で半導体 = 省エネ 電極 u u SWCNT 分散液 乾燥 SWCNT ネットワークの電気抵抗値をモニタ 2 μm.1 V SWCNT 1 g から 数百万個のセンサが作製可能
6 ホルムアルデヒド検出の原理 = 検知管 化学反応 ( アミン類 * とカルボニル化合物の脱水縮合 ) * アミン ヒドロキシルアミン ヒドラジンなど + HONH 2 HCl HON=CH 2 + H 2 O + HCl ドーピング剤.1 V I(t) u SWCNTs network u HCl NH 2 OH HCl << HONH 2 HCl S. Ishihara, J. Labuta, T. Nakanishi, T. Tanaka, H. Kataura, mperometric Detection of Sub-ppm Formaldehyde using SWCNTs and Hydroxylamines: Referenced Chemiresistive System, CS Sensors 217, 2, 145 149.
電流値変化率 試薬担持方法の検討 PVDF メンブレンフィルターにヒドロキシルアミン塩酸塩を担持させるとホルムアルデヒドへの良好な繰り返し応答が見られた 湿度 37% 3 cc/min flow u.1 V SWCNTs network I(t) u 1 8 6 4 2 3. ppm 3. ppm PVDF メンブレンフィルター 紙 HCl -2 直接混合 -4 1 15 1 2 15 25 3 2 25 35 時間 ( 秒 ) NH 2 OH HCl CS Sensors 217, 2, 145 149 7
1 電流値変化率 試薬の検討 ヒドロキシルアミン塩酸塩 1 が感度と繰り返し応答性に優れていた 8 6 4 2 3. ppm 3. ppm 1 5 4 2 3-2 7 11 4 15 8 12 19 16 23 時間 ( 秒 ) CS Sensors 217, 2, 145 149 8
9 濃度依存性 (a) (b) 2 175 15 125 1 75 5 25-25 65 7 5 1 75 15 8 2 85 25 9 3 95 1 8 6 4 2-2 15 1 5-5 71 6 735 85 11 76.5.5 ().5 15 1 5-5.5.5.1.2.3 2 4 6 8 concentration (ppm) Concentration of in ppm.19.19.9 (c) 15.19 ppm 環境基準 1.8 ppm 5 H 2 O EtOH 検出限界 32.16 ppm ppm 44-5 -1.9 3. 3. 6.7 6.7 MeOH 12 ppm THF 86ppm Response Toluene 72 ppm CS Sensors 217, 2, 145 149
繰り返し応答性 1 8 6 4 2-2.9 ppm センサは通気でリカバリーし 高濃度のホルムアルデヒドに 長時間曝された後も繰り返し利用できる With 1 Without 1 2 4 6 8 (a) (b) 12 1 8 6 4 2-2 3 25 2 15 1.9 ppm 2 4 6 8 6.7 ppm 6.7 ppm 6.7 ppm With 1 Without 1 6.7 ppm 6.7 ppm (b) 3 25 2 15 1 5-5 6.7 ppm 6.7 ppm 6.7 ppm Time (hr) 6.7 ppm 6.7 ppm 1 2 3 4 5 1
11 湿度の影響 湿度が極端に低い場合 (1.5% RH) には 応答が小さい 6 4 2-2 37%RH.9 ppm 37%RH 68%RH.9 ppm 68%RH 68%RH 1.5%RH.9 ppm 1.5%RH 1.5%RH 12.5%RH.9 ppm 12.5%RH 12.5%RH 35%RH -4 97 99 11 13 15 17
12 5.19.19 選択性 Response 15 1 ホルムアルデヒド : 導電性上昇その他 : 導電性減少 15 8 2 85 25 9 3 95 15 5-5 H 2 O 水 32 ppm H 2 O H 2 O 3 (c) 15 1 5-5.19 ppm H 2 O 32 ppm EtOH 44 ppm MeOH 12 ppm THF 86ppm Toluene 72 ppm -1-5 126 128 2 13 4 132 6 134 8 1 15 1 5 5-5 EtOH EtOH EtOH -1-5 59 61 2 63 4 65 6 67 8 15 1 エタノール 44 ppm 8-1 15 Toluene Toluene Toluene CS Sensors 217, 2, 145 149 5-5 トルエン 72 ppm -1-5 143 145 2 147 4 149 6 151 8
13 アセトンへの応答 検知管と同様 アセトンには応答してしまうことが課題 アセトン 154 ppm 12 cetone 9 cetone 6 3 cetone アセトン ホルムアルデヒド -3 4 45 5 1 15 55 2 6
14 誤応答の排除 ヒドロキシルアミン塩酸塩ありのセンサヒドロキシルアミン塩酸塩なしのセンサ 2 つのセンサを比較することで 湿度 VOC, 温度などによる誤応答が排除できる (d) 4 2-2 RH = 75% RH = 39% RH = 2% concentration (ppm) RH = 39%.9 ppm (RH = 39%) With 1 Without 1 RH = 39% -4 1 5 6 1 11 15 16 2 21 25 26 (e) 1 75 5 25 4 o C Heating Cooling With 1 Without 1 22 o C 22 o C -25 322 332 1 342 2 352 3 362 4
15 Outline (1) 電気抵抗が変わるホルムアルデヒド検出材料 (2) デバイス化の例 (3) まとめと企業連携への期待
16 LED 簡易デバイス.9 ppm Sensor LED1 Sensor LED1 2 kω Clean air 1 kω 2 kω LED2 2 kω LED2 3. V 3. V
17 スマホセンサ 近距離無線通信 13.75 MHz NFC タグ (Passive 型 )
S 11 gain (db) NFC タグの修飾 Modified NFC tag オリジナル回路を切断 SWCNT センサを挿入 R IC C L R 1-1 -2.3 kω -3 2.2 kω -4-5 4.7 kω 1 2 3 4 5 6 Frequency (MHz) S. Ishihara, J. M. zzarelli, M. Krikorian, T. M. Swager, J. m. Chem. Soc. 216, 138, 8221 8227 18
Turn-on 型センサ R Sensor 電気抵抗が変化する材料があれば 他の化学物質の検出にも適用可能 通信不可 通信可能 R Sensor = 3.6 kω R sensor =.79 kω S. Ishihara, J. M. zzarelli, M. Krikorian, T. M. Swager, J. m. Chem. Soc. 216, 138, 8221 8227 19
動画 : Turn-ON sensor 2
21 IoT/ トリリオンセンサへの拡張 情報収集 通信 OFF 通信 ON データ GPS 警報
22 Outline (1) 電気抵抗が変わるホルムアルデヒド検出材料 (2) デバイス化の例 (3) まとめと企業連携への期待
23 新技術の特徴 従来技術との比較 従来技術の問題点であった 常時モニタリングを実現することに成功した 従来は検知タグが 1 度限りの使用に限られていたが センサ構造を改良することで 繰り返し測定することが可能となった 本技術の適用により ホルムアルデヒドを電気信号として直接検知できるため デバイスのサイズと製造コストが大幅に削減されることが期待される
24 想定される用途 住宅や職場 ( 医療現場など ) におけるホルムアルデヒドのリアルタイム観測 携帯型のホルムアルデヒド検知器 使用する試薬を変更することで ホルムアルデヒド以外の化学物質の検知も可能であると考えられる
25 企業への期待 ホルムアルデヒドとアセトンの区別については 複数のセンサの応答を比較 解析する技術により克服できると考えている センサ デバイス開発の経験 技術を有する企業との共同研究により実用化を目指したい また 小型化学センサのIoT 化 環境 健康 医療分野への展開を考えている企業には 本技術は有望と思われる
26 本技術に関する知的財産権 発明の名称 : ホルムアルデヒド検知センサ および それを用いたシステム 出願番号 : 特願 217-172699 出願人 : 物質 材料研究機構 発明者 : 石原伸輔 ラブタヤン 中西尚志
27 お問い合わせ先 国立研究開発法人物質 材料研究機構外部連携部門連携企画室 TEL: 29-859-26 FX: 29-859-25 e-mail: technology-transfer@nims.go.jp