2 月の病害虫発生予想と防除のポイント 鹿児島県経済連 肥料農薬課鹿児島県病害虫防除所から発表された病害虫発生予報第 11 号 (2 月 ) を基に, 防除のポイントを下記に取りまとめましたので防除指導の参考にしてください Ⅰ. 野菜 発生量は平年比較, 発生予想の下段 ( 根拠 ) の は多発要因,(-) は少発要因を示す キュウリべと病うどんこ病褐斑病 やや少 1 月の発生 : 少発生ほ場率 : 低い (-) 発生程度の高いほ場あり やや少 1 月の発生 : やや少発生ほ場率 : やや低い (-) やや少 1 月の発生 : 少発生ほ場率 : 低い (-) 1 月の気象予報気温 : 高い ( べと病 ) 1 多湿条件で発生, 進展が助長されるので, 多湿時 ( 特に結露が多い場合 ) は強制的に加温期を稼動させ, ハウス内の湿度低下を図る 2 発病葉は早めに除去し, ハウス外に持ち出して処分する 3 肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので, 適正な肥培管理に努める 4 多発すると防除は困難になるので, 初期防除を徹底する 5 既発生圃場では, リドミル MZ, フェスティバル M, ランマン, ブリザードなどでローテーション防除し, 未発生圃場ではダコニール, ベフドーなどで予防を行う ( うどんこ病 ) 1 発病葉は早めに除去し, ハウス外に持ち出して処分する 2 多発すると防除は困難になるので, 初期防除に努める 3 発生を認めた場合はモレスタン, ジーファイン, トリフミン等治療効果のある薬剤で防除し, その後はアミスター, ダイマジン, ダコニール, ブリザード, フルピカ, ベルクート等をローテーション散布して他病害との同時防除を心掛ける 4 薬剤は下位葉や葉裏に十分かかるよう丁寧に散布する ( 褐斑病 ) 1 高温多湿条件で発生しやすいので, ハウス内の通風換気を十分に行う 特に,2 月下旬以降の晴天日はハウス内温度が急激に上昇するため, こまめに換気を行なう 2 発病葉は早めに除去し, ハウス外に持ち出して処分する 3 窒素肥料の過度な施用は発生を助長するので, 適正な肥培管理に努める 特に茎葉が繁茂する生育中 ~ 後期に多発する傾向がある 4 多発すると防除は困難になるので, 初期防除に努める 5アミスター, カンタス, ゲッター, セイビアー, フルピカ, ベルクートなどでローテーション防除する ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) ::P.61~65
トマト灰色かび病 並 1 月の発生 : 並発生ほ場率 : 並 ( 灰色かび病 ) 1ハウス内の通風換気を十分行い, 加湿にならないように努める 2 収穫果房より下の摘葉はこまめに行い 果房付近の風通しを良くする 3 果頂部やへたの付近に付着する花弁はこまめに除去する 4 発病果実は早めに除去し, ビニール袋等に入れてほ場外へ持ち出し処分する 5アミスター, カンタス, ゲッター, セイビアー, スミレックス, ベルクート, ロブラールなど系統の異なる薬剤をローテーション散布する ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) :P.113~117 ピーマン斑点病 やや多 1 月の発生 : やや多発生ほ場率 : やや高い ( 斑点病 ) 1 多湿条件で発生しやすいので, ハウス内の通風換気を十分に行う 2 発病葉はできるだけハウス外に持ち出して処分し, 菌密度の低下を図る 3 成り疲れなどによる草勢低下により発生しやすいので, 適正な肥培管理に努める 4 多発すると防除は困難になるので, 初期防除に務める 5 防除はダコニール, ラリー, カスミンボルドー, アミスターオプティ, ドーシャスフロアブルなどをローテーション使用し, 他病害との同時防除を心掛ける ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) :P.156~158 イチゴ灰色かび病 やや多 1 月の発生 : やや多発生ほ場率 : 並発生程度の高いほ場あり ( うどんこ病 ) 1 多湿条件下で発生しやすいので, ハウス内の通風換気に努める 特に葉露が長時間残ると発生, 進展が助長されるので, 強制加温等で葉露を早めになくする 2 下葉が混み合うと風通しが悪く, 防除効果も低下するので下葉の除去はこまめに行う 3 果実に付着した花弁は発病の原因となるのでこまめに取り除く 4 薬剤防除はストロビー, ダイマジン, パンチョ TF, フルピカ, モレスタン, カリグリーンなど作用性の異なる薬剤 をローテーション散布する
ハダニ類 多 1 月の発生 : 多発生ほ場率 : 高い 発生程度の高いほ場あり ( ハダニ類 ) 1ナミハダニの発生が主体である 管理作業時に注意深く観察し, 発生の初期防除に努める 2 寄生葉や摘葉した葉はほ場外に持ち出し処分する 3 薬剤散布は下葉かきを行ってから葉裏によくかかるように行う 4 春先にチリカブリダニ等の天敵を導入予定のほ場では, 天敵の放飼前に天敵に影響の少ない農薬で, ハダニの密度を低下させておく 5 防除薬剤はコロマイト, バロック, マイトコーネ, アファーム, コテツ等作用性の異なる薬剤でローテーション防除するが, ナミハダニに対して, 薬剤感受性の低下がみられるので, 散布後の効果確認に留意する 6 薬剤の使用にあたってはミツバチへの影響に注意する (24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ):P.52) ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) :P.168~174 サヤインゲン菌核病 ( 施設 ) 少 1 月の発生 : 少発生ほ場率 : 低い (-) ( 菌核病 ) 1 低温多湿条件化で発生しやすいので, ハウス内の温度管理及びつうふうかんきに努める 2 過繁茂は発生を助長するので葉かきをこまめに行い, 風通しを良くする 3 発病株は早めに除去する 菌核が落ちないようにビニール袋等に入れてほ場外に持ち出し, 適切に処分する 4 薬剤散布はセイビアフロアブルを株元までかかるように丁寧に行う 施設野菜共通アザミウマ類 ( キュウリ, ピーマン, イチゴ ) やや少 ~ 並 1 月の発生 : 並ピーマン : 並キュウリ : やや少イチゴ : やや少 ( アザミウマ類 ) 1アザミウマ類はピーマン黄化えそ病, キュウリ黄化えそ病の病原ウイルスを媒介するので, ハウス開口部 ( サイド等 ) 等に青色粘着トラップを設置し, 早期発見 初期防除に努める 2ピーマンやイチゴでは花や新芽の中, キュウリでは葉裏など薬剤のかかりにくい場所に生息するので, 薬剤散布は丁寧に行う 3スワルスキーカブリダニなどの天敵を放飼しているほ場では, 天敵に影響の少ない薬剤を選択する 4 防除薬剤はアルバリン / スタークル, アドマイヤー, ベス
コナジラミ類 ( キュウリ, メロン, トマト, ミニトマト, ピーマン, イチゴ, サヤインゲン ) 並 1 月の発生 : 並キュウリ : 並トマト, ピーマン, イチゴ : やや少サヤインゲン : やや多サヤインゲンでは発生程度の高いほ場があり トガード, マラバッサ, アファーム, スピノエースなどをローテーション使用するが, ピーマンではミナミキイロアザミウマに対して, 薬剤感受性の低下がみられているので散布後の効果確認に留意する ( コナジラミ類 ) 1タバココナジラミは, トマトの黄化葉巻病, ウリ類の退緑黄化病の病原ウイルスを媒介し, またサヤインゲンの莢の白化症, トマト, ミニトマトの着色異常果の原因になるので生育初期から防除の徹底と総合的な防除対策が必要である 2ハウスの開口部には必ず防虫網を設置する 3 黄色粘着トラップを設置し, 早期発見と初期防除に努める 4ウイルス発病株は伝染現になるので, 疑わしい株も含めて見つけしだい除去し, ハウス外に持ち出して埋没処分するか, ビニール袋に入れて処分する 5キュウリ, メロン, トマト, ミニトマト, ピーマンではバイオタイプ Q に効果のあるアファーム, スタークル / アルバリン, ベストガード, サンマイト, コロマイト, スピノエース, モスピラン等の登録状況を確認して使用する ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) :P.66~69( キュウリ ),P.90~93( メロン ),P.118~121( トマト ),P.134~137( ミニトマト ),P.159~162( ピーマン ),P.171~174( イチゴ )P.268~269( サヤインゲン ) 参照 防除に関する今月の留意事項 1. キュウリの植え替え作業時におけるアザミウマ類の防除について キュウリのミナミキイロアザミウマは黄化えそ病の病原ウイルスを媒介する 半促成作型での黄化えそ病の発生を未然に防ぐためには, 植え替え作業時における害虫防除を徹 底する 1 抑制作型は収穫終了まで的確な害虫防除を行う 2 収穫終了後は根から引き抜き, 株全体を枯死させる 3 中二重と外張りの間や谷下, 暖房機の下などに生えている雑草は, ミナミキイロアザミウマの増殖 源になるので引き抜きや除草剤散布などの除草対策を行う 4 除草対策後はハウスを密閉し, 蒸しこみを 14 日以上行う 5 定植時には必ず殺虫剤 ( 粒剤 ) の植え穴処理を行う
露地野菜キャベツ菌核病 やや多 1 月の発生 : 並発生ほ場率 : 並 ( 菌核病 ) 1 気温上昇と雨天が続いた時に発生しやすいので, 天候に注意し, 予防散布に努める 特に発生しやすい品種では留意する 2 病原菌は葉柄基部付近から侵入するので, 薬剤は株元へ十分かかるように散布する 3 発病株は次年度の伝染源となるので, ほ場外に持ち出して処分する 4 防除薬剤はアフェット, アミスター, オンリーワン, カンタス, セイビアー, トップジンM, ベンレート, ロブラールなどがあるが, 同一系統薬剤の連用を避け, 作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) :P.205~207 エンドウ類うどんこ病ハモグリバエ類アザミウマ類 やや多 1 月の発生 : やや多発生ほ場率 : やや高い 並 1 月の発生 : 並発生ほ場率 : 並 降水量 : 並やや多 1 月の発生 : やや多発生ほ場率 : やや高い ( うどんこ病 ) 1 多発すると防除は困難になるので, 初期防除に務める 2 下位葉に発生しやすいので, 薬剤が十分かかるように散布する 3 多発ほ場では5~7 日おきに防除を行う 4 薬剤は, 既発生ほ場ではトリフミンなど治療効果のあるE BI 剤を使用し, 発生初期のほ場ではサプロール, カリグリーン, サンヨールなど予防効果のある薬剤をローテーション散布する ( ハモグリバエ類 ) 1 寄生種はナモグリバエが種である 2 多発してからの防除は困難なので初期防除に努める 多発ほ場では5~7 日おきに連続散布し, 徹底した防除を行う 3 防除薬剤はアディオン, アファーム, スタークル, ハチハチ, パダンなどでローテーション散布する ( アザミウマ類 ) 1 寄生種はハナアザミウマが種である 2 薬剤のかかりにくい花弁の奥や若莢に寄生するので, 薬剤散布は丁寧に行う 3 防除薬剤はマラソン, マブリック, モスピランがあるが, ハモグリバエ類との同時防除も可能であるので, 作用性の
病害虫 発生予想 防除のポイント異なる薬剤とのローテーション散布を行う ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) : P.248~250 ( サヤエント ウ ),p255~257( 実エント ウ ) 参照 ジャガイモ 疫 病 熊毛地域 : やや少奄美地域 : 並熊毛 1 月の発生 : やや少発生ほ場率 : やや低い (-) 降水量 : 並奄美 1 月の発生 : やや少発生ほ場率 : やや低い (-) 降水量 : 多い ( 疫病 ) 1 降雨が数日続くと発生しやすく, 発生すると急激に病勢が進展するので, 防除は予防散布に重点をおく 2ほ場の見回りを行い, 発生を認めたら直ちに防除を行う その後は進展状況に応じて7~10 日後に追加防除を行う 3ペンコゼブ ( ジマンダイセン ), ダコニール, サーガ, エムダイファーなどで予防を行い, 発病が見られたらフェスティバル含有剤, ホライズン, ランマン, リドミル含有剤などのローテーション散布によって, 防除を徹底する 4 収穫が遅れは被害拡大につながるため, 適期収穫を行う 5 次作の伝染源となる発病株や収穫残渣はほ場外に持ち出し, 処分する ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 野菜編 ) :P.305~307 Ⅱ. 花き ( キク ) 発生量は平年比較, 発生予想の下段 ( 根拠 ) の は多発要因,(-) は少発要因を示す 病害虫 発生予想 防除のポイント 黒斑病 褐斑病 県本土 ( 施設 ): やや多奄美 ( 露地 ): やや多県本土 1 月の発生 : やや多発生ほ場率 : やや高い 奄美 1 月の発生 : やや多発生ほ場率 : 並発生程度の高いほ場あり 降水量 : 多い ( 黒斑病 褐斑病 ) 1 通風, 採光と排水対策に努め, かん水は土が跳ね上がらないようにする 2 発病葉は伝染源となるので早めに摘み取り, 適正に処分する 3 肥料切れや窒素過多は発病を助長する 4 被害部は伝染源となるので, 母株の予防散布を行う
花き ( 続き ) 病害虫 発生予想 防除のポイント ハダニ類アザミウマ類 県本土 ( 施設 ): やや多 1 月の発生 : やや多発生ほ場率 : 高い 2 月の気象予報気温 : 高い 県本土 ( 施設 ): やや多奄美 ( 露地 ): 多県本土 1 月の発生 : 並発生ほ場率 : 並 奄美 1 月の発生 : やや多, 発生ほ場率 : 高い 降水量 : 多い (-) ( ハダニ類 ) 1 出入り口や前作での発生場所近くでスポット状に発生する場合が多いので, よく観察して発生に注意し, 初期防除に努める 2 圃場内や周辺の雑草, 収穫後の残渣等は早めに除去し, 適正に処分する 3 薬剤は葉裏までよくかかるよう丁寧に散布する 4 防除薬剤はコテツ, コロマイト, スターマイト, バロック, ピラニカ, マイトコーネなどで, 同一系統薬剤の連用を避け, 作用性の異なる薬剤によりローテーション防除を行う ( アザミウマ類 ) 1キクえそ病 (TSWV) とキク茎えそ病 (CSNV) を媒介するので, 圃場への侵入防止と初期防除に努める 地域での一斉防除は効果が高い 2 母株や苗の導入に際してはアザミウマ類の寄生やウイルス感染に細心の注意を払う 3 施設では, 開口部に目合い1mm の防虫網を張って侵入を防ぐ 発生動向を把握するために, 出入り口や開口部に青色粘着シートを設置し, 防除の目安にする 4 除草等の環境整備を行うとともに母株の防除を徹底する 5 種によって薬剤感受性が異なり, 感受性の低下が見られる薬剤もあるので散布後は効果を確認する 6 近年, クロゲハナアザミウマの発生が確認された地域があり, 本虫の被害葉はハダニ類による かすれ 症状とよく似ているので注意する 薬剤は葉裏までよくかかるように散布する 7 同一系統薬剤の連用を避け, 作用性の異なる薬剤によりローテーション防除を行う 8 栽培終了後は速やかに残渣を処分する 24 農薬使用の手引き ( 普通作物 花き編 ) P.120~125 ( キク )
Ⅲ. 茶樹 発生量は平年比較, 発生予想の下段 ( 根拠 ) の は多発要因,(-) は少発要因を示す 病害虫 発生予想 防除のポイント カンザワハダニ やや少 1 月の発生 : やや少発生ほ場率 : やや低い (-) 寄生葉率 : 並 降水量 : 並 ( カンザワハダニ ) 1 圃場を見回り, 今後の発生に注意する 2 春期防除は, 平均気温が 10 を超える 2 月下旬 ~3 月上旬頃に, 裾部, 葉裏を重点に残効性の長い薬剤で防除する ( 防除薬剤は 24 農薬使用の手引き ( 果樹 茶編 )P.127 ~130,137~138( 茶 )