Microsoft Word - 連結納税と損益の通算2010_v3.docx

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【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ


CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

連結法人の(法人事業税・法人都民税)の概要

完全子会社同士の無対価合併 1. 会社法の規制 100% 子会社同士が合併する場合は 兄弟合併とも言われます 実務上は新設合併はマイナーで 法律上の許認可の関係で一方が存続する吸収合併が一般的です また 同一企業グループ内での組織再編成の場合は 無対価合併が一般的です 簡易合併に該当する場合は 存続

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

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[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

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PG_第3期期末配当の取扱いに関するQA

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

平成23年度税制改正の主要項目

II. 課税標準の確定申告と納付 ( 地 税法第 103 条の23) 1. 申告期限 各事業年度の終了 が属する の末 から4ヶ 以内 ( 連結法 は5ヶ 以内 ) に納税地管轄の地 治 団体の に申告 納付しなければなりません 法 地 所得税の申告納付期限は下記のとおり 部変更されました 区分 従

に相当する金額を反映して分割対価が低くなっているはずですが 分割法人において移転する資産及び負債の譲渡損益は計上されませんので 分割法人において この退職給付債務に相当する金額を損金の額とする余地はないこととなります (2) 分割承継法人適格分割によって退職給付債務を移転する場合には 分割法人の負債

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

連結納税基礎セミナー ~専門書では分からない実務上の留意点について~

損金経理と積立金経理の違い ( 圧縮超過額がない場合の基本構造 ) 例 A 社は 50の国庫補助金を得て 100で機械を取得した なお A 社の経常利益は 100 である * 仕訳の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理積立金経理 補助金受贈と機械取得時の仕訳 ( 両者とも同じ ) 現金預金 50

Invincible

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

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平成30年公認会計士試験

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

( 復興特別法人税制度の具体的内容 ) 復興特別法人税制度の具体的な内容は 次のとおりです 1 納税義務者法人は 基準法人税額につき 復興特別法人税を納める義務があります ( 復興財源確保法 42) なお 人格のない社団等及び法人課税信託の受託者である個人は 法人とみなすこととされています ( 復興

1 納税義務者法人は 基準法人税額につき 復興特別法人税を納める義務があります ( 復興財源確保法 42) なお 人格のない社団等及び法人課税信託の受託者である個人についても 復興特別法人税を納めることとなる法人とみなすこととされています ( 復興財源確保法 411) ( 注 ) 法人税の納税義務の

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

[2] のれんの発生原因 企業 ( または事業 ) を合併 買収する場合のは 買収される企業 ( または買収される事業 ) のおよびを 時価で評価することが前提となります またやに計上されていない特許権などの法律上の権利や顧客口座などの無形についても その金額が合理的に算定できる場合は 当該無形に配

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

平成25年度 第134回 日商簿記検定 1級 商業簿記 解説

投資主の皆様へ 平成 29 年 3 月 マリモ地方創生リート投資法人 第 1 期分配金の税務上の取扱いに関するご説明 拝啓平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます さて 本投資法人は 平成 29 年 2 月 14 日開催の役員会において 第 1 期 ( 平成 28 年 12 月期 ) の (A)

連結の補足 連結の 3 年目のタイムテーブル B/S 項目 5つ 68,000 20%=13,600 のれん 8,960 土地 10,000 繰延税金負債( 固定 ) 0 利益剰余金期首残高 1+2, ,120 P/L 項目 3 つ 少数株主損益 4 1,000 のれん償却額 5 1,1

Microsoft Word - メルマガQ&A(23.8.1問2)利益剰余金の資本組入(父確認中)

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

Microsoft Word - zeisyou6記載の手引.doc

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

2017年税制改正によるスピンオフ税制とスクイーズアウト関連税制の創設等

対応別表一覧表

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

日本基準基礎講座 収益

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

ワコープラネット/標準テンプレート

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

IFRS基礎講座 IAS第11号/18号 収益

 

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

実務対応報告第 7 号 連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い ( その 2) 平成 15 年 2 月 6 日改正平成 22 年 6 月 30 日最終改正平成 27 年 1 月 16 日企業会計基準委員会 目的 実務対応報告第 5 号 連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関す

9 試験研究費の額に係る法人税額の特別控除額 2 10 還付法人税額等の控除額 3 11 退職年金等積立金に係る法人税額 4 12 課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額 の5の欄 ) リース特別控除取戻税額( 別表 1(2) の5の欄又は別表 1(3)

2 事業活動収支計算書 ( 旧消費収支計算書 ) 関係 (1) 従前の 消費収支計算書 の名称が 事業活動収支計算書 に変更され 収支を経常的収支及び臨時的収支に区分して それぞれの収支状況を把握できるようになりました 第 15 条関係 別添資料 p2 9 41~46 82 参照 消費収入 消費支出


経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

自己株式とみなし配当 1. 自己株式取得の法務自己株式は 会計上は資本取引として認識し 純資産の部から取得価額を控除する形式で表示します ( 自己株式会計基準 7) 一方税務上では 発行法人の貸借対照表と自社株式の取引価額次第で みなし配当課税と所得税の源泉徴収が必要な場合があります 自己株式の取得

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Microsoft Word - 決箊喬å‚−表紎_18年度(第26æœ�ï¼›

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

法人税制改正詳解 CONTENTS はしがき 第 1 章平成 23 年 12 月改正 第 1 節 法人税率の引下げ 2 1 改正の趣旨及び内容 2 2 税率引下げの必要性 5 3 実効税率の計算への改正の影響 7 4 適用関係 8 5 実効税率と復興特別法人税との関係 8 6 法

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二法人税法施行規則第六十一条の三第一号ロ及びハ並びに第二号ロ及びハ並びに第六十一条の五第一号ハ及びヘ並びに第二号ハ及びヘに掲げる勘定科目内訳明細書ホ別表に掲げる明細書 ( 当該明細書に記載されている事項又は記載すべき事項の内訳に係る部分に限る ) 四省令第五条第二項の規定により同項に規定する添付書面

公益法人の寄附金税制について

連結納税の概要と税制改正の影響~実務上の留意点をふまえて~

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第1章 簿記の一巡

目次 Ⅰ タックス ヘイブン対策税制の概要 3 Ⅱ 非課税所得の範囲 連結納税を適用している場合の取扱い 1 非課税所得の範囲 2 連結納税を適用している場合の租税負担割合の算定方法 Ⅲ 各国の事例に基づく検討 1 米国 ( 現物分配 連結納税 LLC) 2 英国 ( グループリリーフ ) 3 ドイ

11 市町村民税の申告書 空欄は 次のように記載します (1) 法人税の中間申告書に係る申告の場合は 中問 (2) 法人税の確定申告書 ( 退職年金等積立金に係るものを除きます ) 又は連結確定申告書に係る申告の場合は 確定 (3) (1) 又は (2) に係る修正申告の場合は 修正中間 又は 修正

組織再編税制の見直し

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完全支配関係の添付書類 ( 出資関係図 ) (1) 出資関係図の記載例 (Q&A 問 1) 平成 22 年度税制改正で グループ法人税制が導入されたことに伴い 法人税の確定申告書に 内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図 ( 以下 出資関係図 という ) を添付することが定

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

第 20 号様式の記載について 1 この申告書の用途等 (1) この申告書は 仮決算に基づく中間申告 ( 連結法人以外の法人が行う中間申告に限ります ) 確定した決算に基づく確定申告及びこれらに係る修正申告をする場合に使用します (2) この申告書は 堺市長に 1 通 ( 提出用及び入力用 ) を提

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www.pwc.com/jp/tax 連結納税制度と 損益の通算 連結納税から最大限のベネフィットを享受するためには連結納税の損益通算効果を十分に活用する必要があります 連結納税の導入を検討するにあたり そのエッセンスである 損益の通算 のメカニズムをよく理解しましょう 2010 年 12 月

目次 1. 単体納税の損益通算との比較から 3 2. 損益の通算のできる法人 - 連結納税の構成メンバ- 4 3. 留保した連結所得の個別帰属 - 単体納税との架橋 5 4. 連結納税に係る税務調整項目 7 5. 離脱と 損益の通算 の対象となる期間の特定 8 6. 連結納税をしない連結法人 9 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース 100-6015 東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号霞が関ビル 15 階電話 : (03) 5251-2400, Fax: (03) 5251-2424, www.pwc.com/jp/tax/

1. 単体納税の損益通算との比較から 連結納税の場合 メンバー法人の欠損金は他のメンバーの当期又は将来の所得と相殺可能なので 欠損金の所得相殺効果が著しく拡大します したがって 同じ 欠損金 でも 連結納税における欠損金はその性格が単体納税の欠損金とは異なります 通常の単体納税の場合 損益の通算は同一法人の過去の事業年度の損失との通算 ( 欠損金の繰越控除又は繰戻し ) しかありません しかし 連結納税の場合には 連結納税のメンバーを一体として所得計算を行いますので (1) ある連結事業年度内でメンバー法人間の所得と欠損金の相殺が可能 (2) 連結欠損金が発生した場合 ( すなわち通算結果がマイナス ) その繰越控除は翌連結事業年度以降 7 年間の連結所得が発生した連結事業年度で行えます ( 連結子法人が単体納税から持ち込む特定連結欠損金には若干の制限あり ) すなわち 連結納税のエッセンスはメンバー法人間での損益の通算なのです したがって 同じように 所得 あるいは 欠損金 という名称で呼ばれていても 連結納税の所得計算から生じる欠損金 ( 連結欠損金 ) は 単体納税の欠損金とは異なる性格を持っているといえます この 欠損金にみられる メンバー法人間での損益通算という連結納税の特徴は 平成 22 年度の法人税法の改正で導入された グループ法人単体課税制度 の場合と比較してみると より明確になります ご存知のように この制度は連結納税制度とほぼ同じく 完全支配関係 (2. 損益の通算のできる法人 参照 ) のある法人間に適用されるので 連結納税制度と共通の規定があり たとえば一定のグループ法人間の資産の譲渡について その損益を繰り延べることなどができます しかし グループ法人単体課税制度 の場合 グループの各法人の所得は 単体納税であるため あるグループ法人間の取引が一方で収入 他方で費用となるとしても これをネットすることはできませんし また あるグループ内法人の欠損金を同一グループ内の別の法人の所得に充当することもできません もちろん 組織再編成や事業譲渡を利用して事業を移転し 将来的に連結納税制度を適用した場合と同じような効果を得ることは可能ですが その都度合併や分割等の相対 ( あいたい ) 的 個別的な対応をしなければならず 連結納税制度のようにシステマティックにグループ法人間で損益通算ができる訳ではありません このように 単体納税と連結納税における所得あるいは欠損金の計算過程は違っているという 差異性を強調する見方を押し進めると 連結納税の開始 ( への加入 ) は単体納税とは別の次元への移行を意味することになるので ( ア ) 単体納税のもとで発生した欠損金は 連結欠損金とは発生構造に違いがあるので 一定の要件を満たさなければ 連結納税に持ち込ませない ( イ ) 単体納税のもとで課税繰延べになっている資産の含み損益 ( 特に潜在的欠損金である 含み損 ) は 各メンバー法人において一旦精算したうえで連結納税に参加するべき すなわち 連結納税の開始前と開始後の損益の通算は制限すべき という主張につながり 連結納税の開始 加入にあたって 一定の例外的な取り扱いを受ける連結親法人等の場合を除き 上の ( ア ) と ( イ ) の制限を規定した条文が設けられることになりました ( 次の図 1 参照 ) そこで連結納税の採用 ( 開始又は加入 ) にあたっては それらの制限との関係で 失われる欠損金と実現する含み損益の課税上の影響等を慎重に検討する必要があります PwC 3

( 図 1) 連結納税時の繰越欠損金切捨て 時価評価課税 ( 原則 ) 2. 損益の通算のできる法人 - 連結納税の構成メンバー 損益の通算は 原則として 連結納税の承認の効力が生じた法人 ( 連結法人 ) 間で認められます 連結法人 連結親法人 連結子法人 連結申告法人などの定義同士の関係を理解しましょう 損益の通算 を行っている法人 ( 連結申告法人 ) は 法法 2 十六 ( 資本金等の額の定義 ) において 各連結事業年度の連結所得に対する法人税を課される連結事業年度の連結法人 と規定されています 次の図 2 をご覧になりながら以下の説明をお読みください ( 図 2) 連結申告法人と連結法人 PwC 4

連結所得に対して法人税を課される のが連結納税であれば 連結納税は複数法人間の損益の通算の代名詞でもあるということになります それでは損益の通算が認められる複数の法人はどのような属性の法人でなければならないかというと 連結法人 は連結納税の承認を受けているグループのメンバーである法人 ( 単数 ) を指すので 損益の通算を行う複数の法人同士の関係は より具体的には 内国法人同士で完結する発行済株式に係り直接又は間接 100% 保有とされる資本関係 ( 完全支配関係 に含まれる ) で結びついた複数の内国法人間の関係 ( 一つの連結親法人と一つ以上の連結子法人 ) で 連結納税義務者の承認を受けたもの ( 連結完全支配関係 ) ということになります したがって 完全支配関係 があれば グループ法人単体課税制度 の適用対象にはなりますが 連結納税に係る承認がなければ連結納税は始まりません なお 連結納税義務者の承認 とは 連結納税義務者 ( 法法 4 の 2) となるための申請に対する国税庁長官の承認です 連結納税の承認 ( 法法 4 の 3) と 連結納税の承認の取消し ( 法法 4 の 5) の規定が具体的に申請とその承認による効果を定めています この 承認 が効力を発生する日から 例外的なものを除き 連結納税を申請した親法人および親法人と連結完全支配関係で結ばれた子法人は その効力により 連結法人 成りし また その効力を失う日から非 連結法人 となります したがって 連結納税の承認 という場合 実はその承認の効力が生じているかどうかがポイントになる訳です 以下では 承認を受け効力が発生している 状態を簡略化して 承認を受けた と記します つまり 連結申告 納税を行う 連結申告法人 とは 連結納税を行うための承認を受け 申告すべき所得の計算に関し 他の連結納税のメンバーとの間での一体計算することが許されている法人 ( 連結法人 ) であって かつ 一体計算をすべき申告期間にある法人 ということになります 連結申告法人に係る法人税の申告 納税は 連結親法人がそのグループで一体計算した所得 ( 連結所得 ) とそれに係る税額等をひとつの申告書 ( 連結確定申告書 ) に記載して行います この場合 連結親法人は法人税の申告 納付に係り 連結納税のメンバーである一連結法人というよりも 連結納税を行う全ての連結申告法人の代表機関の地位にあるといえます また 子法人である個々の連結申告法人は 連結申告を行った期間に関して法人税の申告 納税を行う必要はありませんが 個別帰属額の届出書を所轄税務署に提出する義務があります ( 法法 4 の 2 81 の 22 81 の 27) なお 図 2 の下部に楕円で囲まれた 連結分離 と 真正離脱 がありますが これは 連結申告法人ではない連結法人に関係しておりますので 6. 連結納税をしない連結法人 で説明します 3. 留保した連結所得の個別帰属 - 単体納税との架橋 連結所得 税額はメンバー一体で計算しますが メンバーは独立した法人なので 連結所得 税額を分割してメンバーそれぞれに帰属させる ( 個別帰属 ) 必要があります 一体として所得を算出するということは 連結所得はあくまで連結法人全体の金額としてのみ把握されることを意味します 連結納税は 原則として 所得計算だけに関する制度なので 各メンバー法人に再編その他みなし配当事由が生じる場合 ( 解散を含む ) のことなどを考えると 所得として留保される金額がどの連結法人にどれだけ残っているかを各法人単位で把握しておかなければならない必要が制度上生じます そもそも ある連結親法人のもとで形成された連結納税グループは 法人税の損益通算の便宜からグループとされるものなので その輪郭 ( 損益通算の範囲 ) も連結法人の加入 離脱によって変化してゆきますし また 連結納税グループとして法人格を有する訳 PwC 5

ではないので 制度的には全く法人としての権利能力の裏付けを欠いた法人税法固有の存在にすぎません したがって 連結納税上の連結資本金等の額あるいは連結利益積立金といった法人の資本の部に属する項目は 連結納税グループ単位で 直接 処分や処理のできない 単なる集計上の名目値でしかありません そこで グループ全体で把握した連結所得のうち留保される金額は 実際にそれらを処分の対象とできる場所 すなわち各連結法人に個別帰属させることが必要となります この個別帰属のための手続は 連結所得を各連結事業年度の連結申告法人の益金の合計額から同じく損金の合計額を控除して計算 ( 法法 81 の 2) するのと 実務的にはほぼ同時並行で行われるようになっています ここで次頁の図 3 をご覧になりながら 法人税法における連結所得計算の規定の構造等について以下の説明をお読み下さい ( 図 3) 連結所得と個別所得との関係 連結事業年度の益金と損金の差が連結所得または連結欠損金 連結事業年度の益金 個別帰属益金 P S1 S2 S3 S4 S5 S6 連結所得計算の 別段の定め 等による益金 個別帰属損金 連結所得計算の 別段の定め 等による損金 連結事業年度の損金 各連結法人の個別帰属益金と個別帰属損金の差が個別所得または個別欠損金 (*) (*) 連結欠損金が生じる場合 個別欠損金の額はその法人で連結欠損金個別帰属額 ( の発生額 ) とされる金額の部分を除く 法人税法の計算規定は 所得計算を単体計算 ( 第 2 編第 1 章第 1 節第 2 款から第 11 款まで ) と連結計算 ( 第 2 編第 1 章の 2 第 1 節第 2 款から第 4 款まで ) の二種類に分けられています ( 前者の適用は 後述するように連結法人か否かを問わないが 後者は連結申告法人のみに適用 ) が 連結所得計算においては 法法 81 の 3 によって第 2 編第 1 章第 1 節第 2 款から第 11 款までの多くの計算規定が準用され 単体納税の益金 損金の取扱いが 連結所得計算に組み込まれています なお 法人税法の条文のうえでは 連結所得計算における益金と損金は 法人格に係りなくグループ全体として先ず把握する建前になっていますが 実務においては 益金 損金の個別帰属の規定との関係で 連結法人ごとに ( 単体納税と同じように ) 実際には把握されることになります PwC 6

すなわち 連結所得計算の最初の段階では 各連結申告法人が法法 81 の 3 により準用する単体課税の規定 ( 法人税法第 2 編第 1 章第 1 節第 2 款から第 11 款まで 法法 81 の 3 で除外されているものを除く ) に基づいて その法人で発生する益金又は損金の認識をおこなうと その益金あるいは損金として認識されたそれぞれの金額は そのまま認識した連結法人に ( 個別 ) 帰属する益金額または損金額となります しかし 連結所得を算定するためには さらに連結納税の一体計算から必然的に要請されるところの いくつかの連結納税固有の益金または損金の調整が必要となります そのような連結納税固有の益金または損金の項目の主なものについては 次節 4. 連結納税に係る税務調整の項目 で説明します ( 法法 81 の 3 で除外されている単体課税の規定に対応するもの 法人税法本法に係るものは 別段の定め として法法 81 の 4 以下の部分に規定されています ) 4. 連結納税に係る税務調整項目 連結納税独自の主な計算規定は 損益の通算 によっても自動的に相殺されない連結法人間の取引について設けられています 自動的に相殺されない連結法人間の取引 の主なものには 連結法人間の配当金や資産の譲渡に係る損益 ( これらはグループ法人単体課税制度と共通 ) および投資簿価修正等があります このほか他 連結ベースでの限度額計算をするものに 受取配当金の益金不算入額 あるいは寄附金および交際費の損金不算入額の計算等があります 複数の連結申告法人を一体として所得を算出するという連結納税の原則に照らすと 個々の連結申告法人が益金あるいは損金として認識している取引 ( これまでの単体納税上で益金や損金となる取引という意味です ) であっても 連結所得として全体で所得金額を計算する場合には 例えば 連結子法人株式の譲渡損益のうち実質的に別の連結法人の所得として連結納税で課税済みである部分の金額や 完全支配関係法人間で売買されたある種の資産の譲渡損益は 調整が必要です これら連結所得計算で調整が必要な項目は 以下のようなものがグループ法人単体課税制度 ( 法法 61 の 13 など ) あるいは連結納税固有の申告調整を要する項目 ( 主として法法 81 の 4 から 81 の 10) として法人税法で規定されています (1) 完全支配関係のある内国法人間の資産譲渡から生じる損益連結法人間の一定の資産の売買等から生じる損益は 連結会計の未実現損益の取り扱いと同様の考え方に基き 完全支配関係のある内国法人間の資産譲渡に係わる譲渡損益の調整 ( 法法 61 の 13) として 課税所得計算において繰り延べます (2) 連結欠損金 ( 法法 81 の 9123) 連結事業年度で生じた連結欠損金および一定の条件を満たして連結欠損金とみなされた連結事業年度前の連結法人の繰越欠損金 ( 特定連結欠損金を含む ) は連結所得から繰越控除できます (3) 受取配当金 ( 法法 81 の 435) 連結法人が受け取る受取配当金については 連結納税グループを一体とした益金不算入額の計算が必要となります また 所得への二重課税を避ける意味もあって 完全支配関係法人からの配当金は全額益金不算入となります (4) 寄附金 ( 法法 81 の 6) および対応する受贈益 (3) の受取配当金と同様に 連結法人が支出した寄附金については 連結納税グループを一体とした損金不算入額の計算が必要となります なお 完全支配関係法人に支出した寄附金の額は全額損金不算入となりますが 寄附を受けた側で受贈益は課税されません ( 法法 25 の 2) (5) 交際費等 ( 措法 68 の 66) 交際費等の損金不算入額の計算は 連結納税グループを一体とした計算が必要となります PwC 7

以上のうち (1) の完全支配関係法人間の資産譲渡取引や ( 上に列挙されていませんが 連結子法人株式の譲渡損益のうち実質的に連結所得計算で課税済みの部分の金額を調整する ) 投資簿価修正は 当事者の連結法人で直接益金又は損金となる金額を把握できますので 一般のやの場合と同様に 当該当事者の法人に直接個別帰属させることになります しかし その他の項目 例えば連結欠損金の繰越控除額 受取配当金の益金不算入額 寄付金の損金不算入額等については全体計算の結果でその益金あるいは損金となる金額が決定しますので 定められた配賦方法によって算出される個別帰属金額を各連結申告法人に配分することになります ここまでの手続で ( 正確にいうと欠損金の繰越控除完了後 ) 連結申告法人ごとに 個別帰属益金 と 個別帰属損金 が確定しますので それらの差額として連結申告法人ごとの 個別所得 ( 又は 個別欠損金 ) がやはり確定することになります 以上の説明を 個別帰属させる金額が直接に決まるかどうかを基準にして図にまとめると 以下の図 4 のようになります ( 図 4) 連結納税の申告調整と個別帰属 Σ 当期利益または当期損失の額 Σ 減価償却超過額 Σ 貸倒引当金繰入限度超過額 Σ 受取配当金の益金不算入額 寄附金の損金不算入額 控除所得税額 完全支配関係法人間取引の繰延譲渡損益 交際費等の損金不算入額 控除対象外国法人税額 Σ 特定連結欠損金個別控除額 非特定連結欠損金の繰越控除 当期利益または当期損失の額 減価償却超過額 貸倒引当金繰入限度超過額 完全支配関係法人間取引の繰延譲渡損益 受取配当金の益金不算入額の個別帰属額 交際費等の損金不算入額の個別帰属額 寄附金の損金不算入額の個別帰属額 控除所得税額の個別帰属額 控除対象外国法人税税額の個別帰属額 個別所得から控除する特定連結欠損金個別帰属額 非特定連結欠損金個別帰属額 連結所得金額 個別所得金額 法人税額の特別控除 (*) 所得税額の控除外国法人税額の控除 (*) 連結法人税額 法人税額の特別控除所得税額の個別帰属額外国法人税額の控除連結法人税個別帰属税額 各連結法人で申告調整すべき金額を決定する項目 (*) 連結納税グループ全体で申告調整すべき金額が決るため 各連結法人は その計算のもととなる情報を連結親法人に送り 計算結果としての個別帰属額を申告調整する : 基本的には控除限度額を全体で計算し 各連結法人に按分し 控除額自体は各連結法人で決定する 連結所得が確定すると法人税率 30% を乗じ さらに所得税額控除 外国税額控除等の税額控除等が調整され最終的な連結法人税額が算定されます また さらに当該連結法人税額は各連結申告法人の 個別所得 又は 個別欠損金 額に基づき 連結法人税個別帰属支払額又は連結法人税個別帰属受取額として各連結申告法人に帰属させられます 連結申告法人に配分された個別帰属支払額又は受取額は 連結親法人への債務 PwC 8

又は債権として認識され 原則として適当な期間内で精算することとされています 5. 離脱と 損益の通算 の対象となる期間の特定 連結納税の 損益の通算 では 通算するメンバーを特定することに加えて 損益の通算 をすべき期間が特定されなくてはなりません 損益を通算すべき期間を特定しなければならないのは メンバーの加入や離脱等に伴い連結親法人事業年度の期間に一致しない課税期間 ( みなし事業年度 ) が発生するからです 連結納税は個別の内国法人を完全支配関係で束ねて連結納税グループを擬制し 損益の通算 を行う制度なので 完全支配関係がなくなったり 新たにメンバーが増加する場合には 連結納税グループの範囲が変化することになります 1. 単体納税の損益通算との比較から で概観したように 単体納税と連結納税は別のタイプの所得計算であると考えれば 連結法人がいつから連結納税を開始あるいは加入するか または ある連結法人がいつ連結納税を離脱するかは課税上重要な問題となってきます すなわち 連結納税の対象になる法人を 承認 により連結法人として特定することに加え 損益の通算 の時間的な範囲を特定することも 連結納税制度のうえで対処しなければならない課題となります 単体納税であれば 納税申告する法人とその確定申告の対象期間は通常あたりまえのように決定しますが 損益の通算 の必要な連結納税の場合 連結納税グループの範囲はつねに変化する可能性をはらんでいますので 各連結法人が所得を通算すべき期間に係る取り決めがなければ 前述の制度に基く適正な所得計算は成立しません そこで 先ず 連結親法人の事業年度を 連結事業年度 とし 子法人の事業年度もそれにならうことにしていますが 子法人の会社法上の 営業年度 はつねに親法人のものと一致するとは限りませんし また 連結事業年度の中途での連結納税への加入や連結納税からの離脱もありえます そこで 連結納税の開始 加入 離脱にあたって生じる連結親法人の事業年度にぴたりと一致しない半端な部分の期間は 税務上の みなし事業年度 として規定されています ( 法法 141 三 ~ 十八 ) このような みなし事業年度 が発生すると 法法 4 の 3( 承認 ) と 4 の 5( 承認の取り消し ) だけでは 損益の通算 をする期間を律し切れません この部分をカバーしているのが前に触れた法法 15 の 2( 連結事業年度の意義 ) で この条文で半端な課税期間となってしまう みなし事業年度 を 損益の通算 できる期間かどうか指示することになります こうした取り決めの結果として 連結法人でありながら連結申告 ( 損益の通算 ) をしない法人もでてくることになります 次の 6. 連結納税をしない連結法人 で説明する みなし事業年度 はその典型的なものです 6. 連結納税をしない連結法人 連結法人でありながら単体申告となる みなし事業年度 は合併による解散や他の離脱事由が連結親法人事業年度の中途で起こった場合に発生します かかる みなし事業年度 には 実質的に連結納税からの離脱を前提としない 連結分離 に係るみなし事業年度と離脱を前提にした 真正離脱 に係るみなし事業年度の二つのタイプがあり 規定の適用が若干異なります 離脱に伴い 離脱する法人の株式の簿価には 当該法人が連結法人である間に純増減した利益積立金額に相当する金額だけ投資簿価修正が起こります ある連結法人が被合併法人 同一グループの他の連結法人が合併法人となって連結事業年度の中途で合併を行った場合には 当該合併の日の属する連結事業年度の開始の PwC 9

日から当該合併の日の前日までの被合併法人のみなし事業年度は連結事業年度ではないとされています ( 法法 15 の 21 二 ) したがって 当該被合併法人である連結子法人は当該みなし事業年度の所得について 他の連結法人から離れて単体申告します ( 以下この解説書では この合併による解散および連結法人が解散し残余財産が確定した場合に発生する みなし事業年度 を 合併等の後には合併法人等に含まれて実質的に連結納税に戻るため 連結分離 タイプと呼んでおきます ) 一方 連結法人でありながら単体申告するもう一つのタイプ 真正離脱 は 連結事業年度の中途で連結子法人が連結親法人と完全支配関係を失うケースに係るもので このような場合 単体申告すべきみなし事業年度は離脱の日の属する連結事業年度開始の日から当該離脱の日の前日までの期間となります ( 法法 15 の 21 三 ) この 真正離脱 タイプは 当該 みなし事業年度 後にその連結法人が連結納税に戻らない点が 連結分離 タイプと異なります なお 連結法人が連結納税を離脱すると 離脱する法人が連結法人であった期間の課税済み留保所得金額の純増減金額が 当該離脱法人の株式の簿価に対する投資簿価修正額として その株主である連結法人で調整されます この投資簿価修正も 当該株式の譲渡損益等の計算に含めて二重課税を調整する 損益の通算 補完手段のひとつといえます 以上のように連結法人として連結納税の承認の効力が継続している期間でも 単体申告をする場合がありますが その申告期間 ( すなわち 連結グループ間で損益の通算をしない期間 ) においても 連結法人あるいは完全支配関係にある法人として一定の項目についてその課税上の取り扱いが継続しますので 規定の適用関係には注意が必要です PwC 10

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