資料 -3 平成 29 年 2 月 13 日平成 28 年度北海道 北極海航路 調査研究会 ロシア 北欧調査より ~ 北極海航路の利活用に向けて 北海道総合政策部交通政策局物流港湾室
北極海航路とは 近年 夏期における北極海の海氷減少とともに 新たな海上輸送ルートとして国際的に注目 北極海航路を利用すると アジアと欧州北部や欧州ロシアの間は 既存のスエズ運河ルートと比較して概ね 4 割の距離が短縮可能 ロッテルダム 北極海航路ルート約 13,000km 約 4 割の短縮 北海道 北海道 ~ ロッテルダム スエズ運河ルート約 21,000km 出典 JAXA 国総研 北開局 青森県 北極海航路に係る衛星 AIS データを活用した共同研究成果 に物流港湾室加筆作成 2
調査概要 調査目的 平成 28 年 2 月に策定した 北極海航路の利活用に向けた方針 に基づき 航路活用による本道経済の活性化に向け 北極海航路に関する最新情報の収集と 欧州側の拠点を目指すバレンツ地域との協力体制の構築に向けた地域間交流の促進を図ることを目的に 関係者との意見交換及び情報収集を行った 調査日程 平成 28 年 8 月 10 日 ( 水 )~17 日 ( 水 ) 参加者 氏名 所属 荒川 裕生 北海道 副知事 鈴木 邦明 北海道 物流港湾室参事 横内 龍三 北海道経済同友会 代表幹事 中村 栄作 北海道経済同友会 幹事 久保木 眞 北海道経済同友会 事務局次長 氏名 所属 川合 紀章 寒地港湾技術研究センター理事長 大塚 夏彦 北海道大学北極域研究センター教授 佐藤 裕 苫小牧市 副市長 青山 滋 稚内市 副市長 富木 浩司 石狩湾新港管理組合 参事 3
調査箇所 ヘルシンキ モスクワ ムルマンスク 北海道 出典 : 北極環境研究コンソーシアムと国立極地研究所 (http://www.nipr.ac.jp/aerc/map.html) 資料に物流港湾室加筆作成 4
ロシア調査 ~ ムルマンスク州 1 ムルマンスクの概要 ムルマンスク州は ロシア北西部 バレンツ海と白海に挟まれたコラ半島に位置し 西端はノルウェー及びフィンランドに接する 大部分が北極圏に含まれ 北部は亜北極帯気候であるが 北大西洋暖流の影響を受け 比較的温暖な気候 ムルマンスク州の人口は約 79.5 万人 ムルマンスク市の人口は約 30.7 万人 (2010 年国勢調査 ) ムルマンスク市は ムルマンスク港を中心とする海運交通が発達 軍港や海軍基地が造られており 閉鎖行政地域に組み入れられている ムルマンスク市 ムルマンスク州 5
ロシア調査 ~ ムルマンスク州 2 ムルマンスク州政府 北極海航路の拠点であるムルマンスク港を有し ロシア連邦の北西連邦区に含まれる州 ムルマンスク交通ハブプロジェクトにより 鉄道開発や電力開発が進められ 石炭ターミナル 石油ターミナルの建設計画もある 港湾のインフラ整備として コンテナターミナルを検討予定 6
ロシア調査 ~ ムルマンスク州 3 7
ロシア調査 ~ ムルマンスク州 4 8
ロシア調査 ~ ムルマンスク州 5 ムルマンスク港 9
ロシア調査 ~ ムルマンスク州 6 ムルマンスク港 10
ロシア調査 ~ 極東開発基金 1 11
ロシア調査 ~ 極東開発基金 2 12
ロシア調査 ~ 極東開発基金 3 13
ロシア調査 ~ 極東開発基金 4 極東開発基金 極東地域のインフラ整備における都市プロジェクトに対して資金調達を行うことを目的に 2011 年ロシア大統領の指示により組織 14
ロシア調査 ~KARAT trading KARAT trading 水産加工輸出会社 ムルマンスク港から欧州向けの水産物輸出を行う 極東の水産物を北極海航路経由でモスクワへ輸送することを検討中 15
ロシア調査 ~Rosatomflot 社 Rosatomflot 社 砕氷船を運航する国営企業 北極海及びその沿岸産のエネルギー資源輸送の支援業務を主要事業とし その生産計画に対応して 老朽化している原子力砕氷船の更新計画を進めている 16
フィンランド調査 ~ 政府関係者 ( 北極大使 ) フィンランド外務省アレクシ ハルコネン北極担当大使 北極評議会 (AC) の議長国にフィンランドが来年春から就任し 北極担当大使は実質的にACの政策を形成する場である高級北極実務者会合の議長となる予定 17
フィンランド調査 ~ 北極評議会 出典 : 国土交通省 HP(http://www.mlit.go.jp/common/001043214.pdf) 第 1 回北極海航路に係る官民連携協議会 ( 外務省作成資料 ) 18
フィンランド調査 ~ 北極関連企業 1 Team Arctic Team Arctic は北極に関する中核を担うフィンランド企業が参加している組織 様々な分野の企業が集まり総合的に問題の解決に当たるトータルコンサルタントアプローチという戦略を持って活動 19
フィンランド調査 ~ 北極関連企業 2 Team Arctic の代表的な企業 KPP 社 AAT 社 ARCTIC 社 ARCTIA 社 テラマヤ社 企業名 ESN シッピング社 フィンランド健康研究所 ラモア社 エマー社 ロールスロイス マリーン フィンランド SSAB 社 テクニック オプション フィンランド社 企業概要 電気系の企業 アジポット ( プロペラの推進器 ) の高い技術力を有する 設計 研究を主体とする企業 氷海での研究を行う 造船会社 砕氷船建造の世界シェアは 50% 以上 砕氷船を保有し 砕氷船サービスを展開している企業 作業船を保有し 海中での杭打ち等の基礎造成工事を行う企業 船会社 所有船は全て耐氷船 バルト海をはじめヤマル LNG でも活動 極寒地域での健康に関する研究を実施 ロシアと共同研究も実施しており 北極海航路に関する研究所がタイミル半島とティクシに所在 世界で最も優れた氷海での流出回収技術を持った企業 自動製造ラインに関する企業 造船や石油掘削機の製造で活躍 アジポットの製造を行う 最近では無人潜行装置の開発も行う 極寒環境での構造物の製造を行う 海洋構造物 ( 石油開発等に使うタワーなど ) の建設を行う 20
フィンランド調査 ~ 北極関連企業 3 ARCTIA 社 砕氷船を所有及び運用を行う国営企業 砕氷サービス及び海上支援サービス 船舶管理及び用船などを行う 世界で唯一 北東航路と北西航路の両方の運航経験を有する企業 21
フィンランド調査 ~ 北極関連企業 4 22
フィンランド調査 ~ 北極関連企業 5 23
フィンランド調査 ~ 北極関連企業 6 24
調査結果のまとめ 1 ロシア 極東地域開発に積極的 現時点での北極海航路の利用は 国内での開発中の石油 LNG 等の資源輸送が中心 北極海航路に関する投資のポテンシャルを把握するための調査を実施 上記調査では 北極海航路のメイン貨物をコンテナ貨物とした場合 楽観的な検討であるが 5 年後には運航可能との見通し 北極海航路は 季節的な問題 情報 安全に関するインフラ整備が不足 北極海航路を利用した場合 時間短縮のメリットがあり 新たな貨物の利用も期待 シベリア鉄道よりも早いため極東から欧州市場への物流システムを検討中 ロシア国内貨物の東側の拠点はペトロパブロフスクカムチャッキー港を想定 ムルマンスク港湾のインフラ整備を官民で実施中 トランジット貨物においては アジアの貨物の発生地はいろいろなところにある 北海道も地理的状況から活発であることは承知 北極観光 極東観光についても期待している 25
調査結果のまとめ 2 フィンランド 3 月に発表したフィンランドと日本の共同声明において 北極圏に関するものでは 鉱山 林業 漁業 環境問題などがテーマ 調査機関 ( 北大 ヘルシンキ大学 ) や産業界との連携も始まっている 北極海航路が安全かつ信頼性のある航路とするには両国の協力が必要 北極海航路の利用には経済的な発展とともに自然環境への保全にも配慮が必要 環境に対する保全行為に関して両国は実行する力を持っている 北極海航路 ( 北東航路 ) の利用にあたりロシアではロシアの港 ロシアの砕氷船の利用を義務づけており 非常に高価な利用料となっている ロシアとどのように関係を築くかがカギ 北西航路では そのような義務もないので利用料は安く抑えられる 北極海航路でどのような貨物をどこに運ぶのか検討が必要 双方向貨物の確保が必要 北極政策を考える場合 科学技術調査が大きなポイント バレンツ地域は北極海航路の拠点の他 鉱物資源 森林資源 漁業資源が豊富 バレンツ地域と北海道は 北極海航路で結ばれている 北極海航路の最大利点はリードタイムの短縮であるが 半年しか利用できない期間的な問題やデイリー輸送 ジャストインタイムといった仕組みの構築も課題 ( 海上運航の安全性と信頼性の確保 ) 26