Ⅰ. 介護保険制度の現状と見直し 1. 現状 (1) 被保険者数 65 歳以上の被保険者数は 5 年 5 ヶ月で約 378 万人 (17%) 増加 2000 年 4 月末 2003 年 4 月末 2004 年 4 月末 2005 年 9 月末 被保険者数 2,165 万人 2,398 万人 2,453 万人 2,543 万人 (2) 認定者数 介護認定を受けた者は 5 年 5 ヶ月で約 207 万人 (95%) 増加 2000 年 4 月末 2003 年 4 月末 2004 年 4 月末 2005 年 9 月末 認定者数 218 万人 348 万人 387 万人 425 万人 認定者数 / 被保険者数 10.1% 14.5% 15.8% 16.7% (3) サービス受給者数 5 年 3 ヶ月で 居宅は 166% 施設は 52% 全体で 126% の増加 2000 年 4 月 2003 年 4 月 2004 年 4 月 2005 年 7 月 居宅サービス 97 万人 201 万人 231 万人 258 万人 施設サービス 52 万人 72 万人 76 万人 79 万人 合 計 149 万人 273 万人 307 万人 337 万人 1
(4) 総費用の伸び 介護保険の総費用は 毎年増加している 3.6 兆円 6.8 兆円 7.1 兆円 6.3 兆円 5.7 兆円 4.6 兆円 5.2 兆円 (27.8%) (13.0%) (9.6%) (10.5%) (7.9%) (4.4%) (2000 年度実績 )(2001 年度実績 )(2002 年度実績 ) (2003 年度実績 ) (2004 年度予算 ) (2005 年度予算 ) (2006 年度予算 ) 補正後 グラフのカッコ内の割合は 対前年度との比較 (5) サービス提供体制 在宅サービスを中心に事業者の参入が続いている 特に 営利法人と NPO 法人の伸びが大きい 法人種別 社会福祉法人 医療法人民法法人営利法人 NPO 法人農協生協地方公共団体 ( 合計 ) 社協以外社協 2001 年 5 月 15134 4884 42907 2666 21882 682 952 1401 5384 95892 2005 年 5 月 増減 19838 5132 61093 3310 50585 2735 1189 1966 6416 31% 5% 42% 24% 131% 301% 25% 40% 19% WAMNETベース 指定件数については その他法人 非法人 見なし指定 152264 59% により申請のない事業所を除く 2
2. 現行制度 (1) 費用負担の構成 第 1 号被保険者の保険料 平均 18% 調整交付金平均 5% 国庫負担金 20% 第 2 号被保険者の保険料 32% 都道府県負担金 現行 市町村負担金 三位一体見直し後 施設等給付費 ( 注 1) 居宅給付費 ( 注 2) 第 1 号被保険者の保険料 調整交付金平均 5% 第 1 号被保険者の保険料 調整交付金平均 5% 平均 19% 平均 19% 国庫負担金 15% 国庫負担金 20% 第 2 号被保険者の保険料 31% 第 2 号被保険者の保険料都道府県負担金 17.5% 31% 都道府県負担金 市町村負担金 市町村負担金 3 ( 注 1) 施設等給付費とは 都道府県知事が指定権限を有する介護老人福祉施設 介護老人保健施設 介護療養型医療施設 特定施設に係る給付費 ( 注 2) 居宅給付費とは 施設等給付費以外の給付費
道府県国民健康保険団体連合会介護保険制度における保険料徴収の仕組み 被保険者 第 1 号被保険者 (65 歳以上 ) 2,500 万人 ( 平成 15~17 年度 ) 第 2 号被保険者 (40~64 歳 ) 4,300 万人 ( 平成 15~17 年度 ) 保険料 保険料 各年金保険者 普通徴収 市町村の個別徴収 特別徴収 年金から天引き 厚生年金 国民年金 国 共 済 地 共 済 私学共済 医療保険者 健保組合 国保など 一括納付 ( 全国でプール ) 約 2 割の者が対象 約 8 割の者が対象 市町村 特別区 高齢者の 保険料 (18% ) 市町村都支援 若年者の保険料 (32%) 公費 (50%) 国 (25% ) 都道府県 () 市町村 () 審査 支払等 社会保険診療報酬支払基金 交付 * 若年者の保険料については 医療保険と同様に 事業主負担 国庫負担があり 国の負担分のうち5% は調整交付金であり 75 歳以上の方の数や高齢者の方の所得の分布状況に応じて増減 4
(2) 保険料 ( 第 1 号被保険者 ) 保険料設定の基本的考え方 高齢者の保険料は 負担能力に応じた負担を求める観点から 原則として各市町村ごとの所得段階別の定額保険料としている (5 段階ないし 6 段階 ) 生活保護受給者等 この部分が均衡するように 第 4 段階と第 5 段階の境界の基準所得金額を設定 住民税世帯非課税者 住民税本人非課税者 基準所得金額 現行 200 万円 第 1 段階第 2 段階第 3 段階第 4 段階第 5 段階 0.5 0.75 1 1.25 1.5 約 2% 約 34% 約 39% 約 13% 約 12% 乗率 対象者 75% 住民税非課税層 25% 課税層 乗率変更保険者数 :249 保険者 基準所得金額変更保険者数 : 35 保険者 6 段階制導入保険者数 :230 保険者 全国平均額 第 1 期 (H12~14 年度 ) 第 2 期 (H15~17 年度 ) 第 3 期 (H18~20 年度 ) 2,911 円 3,293 円 (+13%) 4,090 円 ( 見込み ) (+24%) 条例案 ( 予定を含む ) の数値を集計したもの 保険料収納率 第 1 号保険料 調定額に対する割合 徴収方法別の収納率 収納率 特別徴収 普通徴収 特別徴収 普通徴収 平成 12 年度 98.7% 81.0% 19.0% 100.0% 93.2% 平成 13 年度 98.6% 80.5% 19.5% 100.0% 92.8% 平成 14 年度 98.4% 80.4% 19.6% 100.0% 91.9% 平成 15 年度 98.3% 81.2% 18.8% 100.0% 91.0% 平成 16 年度 98.2% 81.9% 18.1% 100.0% 90.2% 出典: 介護保険事業状況報告年報 5
(3) 保険料 ( 第 2 号被保険者 ) 2 号保険料の徴収の仕組み 第 1 号保険料 平均 19 % 第 2 号被保険者一人あたり負担額を算出 被保険者数に応じて 各医療保険者に負担額を割り当て ( 被保険者数の頭割りで納付金を賦課する ) 当年度の介護納付金額 当年度の概算納付金額 前々年度の確定納付金額 + 前々年度の概算納付金額 2 年後に確定精算 公 費 50 % 保険料 50 % 第 2 号保険料 31 % 第 2 号被保険者 (40 歳以上 65 歳未満 ) 医療保険の保険料として一括徴収 介護保険料 医療保険各法により 事業主負担および国庫負担が行われる 医療保険者 組合健保 政管健保 船員保険 日雇健保 共済組合等 国民健康保険 < 事業主負担のみ> < 国庫負担あり> 一括納付 介護納付金 社会保険診療報酬支払基金 全国プール 定率交付 介護交付金 第 1 号被保険者と第 2 号被保険者の人数にもとづく割合 ( 平成 18~20 年度 ) 6
政府管掌健康保険の介護保険料率 12 年度 (12 年 (13 年 4 月 ~) 1 月 ~) 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 6.0 10.8 10.9 10.7 8.9 11.1 12.5 12.3 注 ) 平成 15 年度以降の料率は 総報酬制導入後の料率である 健康保険組合の平均介護保険料率 12 年度 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 11.088 11.273 9.884 8.567 9.66 10.50 注 ) 料率は 平成 12 年度から平成 15 年度までは組合決算 平成 16 年度は組合決算見込みにおける平成 17 年 2 月末時点の組合平均数値である また 平成 17 年度は組合予算における平成 18 年 3 月 1 日時点の組合平均数値 注 ) 平成 12 年度の年間平均については8.159 7
介護納付金の第 2 号被保険者一人当たり負担見込額等の推移 12 年度 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 対前年度 対前年度 対前年度 対前年度 対前年度 金額 金額 伸び率 金額 伸び率 金額 伸び率 金額 伸び率 金額 伸び率 金額 (%) (%) (%) (%) (%) 対前年度伸び率 (%) 年額 28,915 円年額 32,425 円年額 35,019 円年額 36,513 円年額 41,665 円年額 45,054 円年額 47,578 円 概算納付金 112.1 108.0 104.3 114.1 108.1 105.6 月額 2,410 円月額 2,702 円月額 2,918 円月額 3,043 円月額 3,472 円月額 3,755 円月額 3,965 円 年額 24,901 円年額 31,764 円年額 36,093 円年額 38,356 円年額 41,688 円年額年額 確定納付金 127.6 113.6 106.3 108.7 月額 2,075 円月額 2,647 円月額 3,008 円月額 3,196 円月額 3,474 円月額月額 ( 注 ) 年額については 厚生労働大臣が毎年官報掲載により公示している医療保険者が納付金の算定に用いるための 2 号被保険者一人当たり負担見込額または負担額であり 月額は年額を 12 月で除して四捨五入したものである 8
(4) 調整交付金 調整交付金による財政調整 国庫負担 25% のうちの 5% 部分は 市町村の保険財政の調整のための 調整交付金 として交付される 全国平均と比較して後期高齢者や低所得者の割合が高い保険者にとっては 保険料水準の増嵩を抑える効果を果たしている 調整交付金のうち 保険者間の調整のために保険者ごとに増減させている金額は 給付費全体の 0.7% に過ぎない 第一号被保険者の保険料 平均 18% 調整交付金平均 5% 国庫負担金 20% 介護給付費約 56,000 億円 40~64 歳の保険料 32% 都道府県負担金 ( 数字は平成 16 年度 ) 市町村負担金 調整に要する費用約 400 億円 < 調整交付金の約 14%> 5% 水準 調整交付金 < 総額で給付費の 5%> 約 2,800 億円 後期高齢者が少ない低所得者の割合が低い 後期高齢者が多い低所得者の割合が高い 調整交付金の役割 保険者の給付水準が同じであり 収入が同じ被保険者であれば 保険料負担額が同一となるよう調整するもの 9
平成 17 年度調整交付金交付割合及び第 2 期月額保険料について ( 保険者別分布状況 ) 平均保険料額 3,293 円 10.00% 平成 1 7 年度調整交付金交付割合 5.00% 0.00% 0 円 1,000 円 2,000 円 3,000 円 4,000 円 5,000 円 6,000 円 第 2 期月額保険料 平成 17 年度調整交付金の交付対象保険者 ( 平成 18 年 2 月末時点 ) のうち 第 2 期保険料額の確認ができた 1,619 保険者を対象としている 10
(5) 財政安定化基金 財政安定化基金の仕組み 事業計画における見込を上回る給付により 1 号保険料の収納不足等が生じた場合には 都道府県に設置された財政安定化基金により所要額を貸し付け 次期事業運営期間において償還する仕組み 市町村の介護保険特別会計に赤字が出ることとなった場合に 一般財源から財政補填をする必要のないよう 市町村に対して資金の交付 貸付を行うもの 保険料未納 給付費増 保険料の見込違い等による財政不足について基金より必要な資金を交付 貸付 ( 2) ( 平均 )18% ( 1) 第 1 号保険料 財政安定化基金 32% 貸し付け状況 公費 第 2 号保険料 ( 支払基金から交付 ) 市町村 都道府県 国 ( 平均 )25% 精算交付 国庫負担等の負担金 交付金については実績ベースで精算 国都道府県市町村 ( 保険料 ) 1/3 ずつ拠出給付費に対する拠出率 ( 標準割合 ) 第 1 期 :0.5% 第 2 期 :0.1% 第 3 期 :0.1% 1 調整交付金の交付割合によって 各市町村における第 1 号被保険者の負担割合も変動する 2 財政安定化基金からの借入については 第 1 期における借入にかかる特例措置として 通常 3 年の償還期限を 6 年ないしは 9 年に延長することも認める措置をとっている 11
以降に償還(保険料に反映)貸付を受けた保険者は第2期以降に償還(保険料に反映)貸付を受けた保険者は第3期財政安定化基金貸付状況 第 1 期 ( 平成 12~14 年度 ) ( 百万円 ) ( 保険者数 ) 35,000 1,000 28,734 900 30,000 800 701 25,000 700 20,000 600 500 15,000 390 400 10,969 10,000 300 200 5,000 78 100 668 0 0 平成 12 年度末 平成 13 年度末 平成 14 年度末 貸付金額 ( 左軸 ) 貸付保険者数 ( 右軸 ) 第 2 期 ( 平成 15~17 年度 ) ( 百万円 ) ( 保険者数 ) 45,000 1,000 40,000 900 35,000 800 30,000 700 600 25,000 500 20,000 15,090 400 15,000 290 300 10,000 170 200 5,000 4,320 100 0 平成 15 年度末平成 16 年度末平成 17 年度末 貸付金額 ( 左軸 ) 貸付保険者数 ( 右軸 ) 0 参考平成 16 年度末保険者数 2,250 12
給付費に占める財政安定化基金貸付金額の割合 ( 分布状況 ) 第 1 期事業運営期間 ( 平成 13 年度末 2 年度目 時点 ) 貸付保険者数 (( ) は全体に占める累積割合 ) 100 (38.4%) 97 1.0% 以上の保険者が全体の 6 割 ( 平均割合 1.26%) (14.1%) 56 (56.3%) 71 (73.4%) 68 50 (81.4%) 最大値 8.51% 32 (87.4%) 24 (92.0%) 18 (94.7%) (97.2%) 11 (98.7%) 10 (99.2%) 6 (99.5%) (99.7%) (100.0%) 2 0 0 1 0 1 0 1 0 0.5% 未満 0.5% 以上 1.0% 未満 1.0% 以上 1.5% 未満 1.5% 以上 2.0% 未満 2.0% 以上 2.5% 未満 2.5% 以上 3.0% 未満 3.0% 以上 3.5% 未満 3.5% 以上 4.0% 未満 4.0% 以上 4.5% 未満 4.5% 以上 5.0% 未満 5.0% 以上 5.5% 未満 5.5% 以上 6.0% 未満 保険者毎の給付費に占める貸付額の割合 6.0% 以上 6.5% 未満 6.5% 以上 7.0% 未満 7.0% 以上 7.5% 未満 7.5% 以上 8.0% 未満 8.0% 以上 8.5% 未満 8.5% 以上 第 2 期事業運営期間 ( 平成 16 年度末 2 年度目 時点 ) 貸付保険者数 (( ) は全体に占める累積割合 ) (31.5%) 100 107 (59.7%) 96 1.0% 未満の保険者が全体の 6 割 ( 平均割合 0.87%) (80.6%) 71 50 (90.6%) 34 最大値 4.04% (95.6%) 17 (97.6%) (99.4%) 7 6 (99.7%) (100.0%) 0 0.5% 未満 0.5% 以上 1.0% 未満 1.0% 以上 1.5% 未満 1.5% 以上 2.0% 未満 2.0% 以上 2.5% 未満 2.5% 以上 3.0% 未満 3.0% 以上 3.5% 未満 3.5% 以上 4.0% 未満 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4.0% 以上 4.5% 未満 4.5% 以上 5.0% 未満 5.0% 以上 5.5% 未満 5.5% 以上 6.0% 未満 6.0% 以上 6.5% 未満 6.5% 以上 7.0% 未満 7.0% 以上 7.5% 未満 7.5% 以上 8.0% 未満 8.0% 以上 8.5% 未満 8.5% 以上 保険者毎の給付費に占める貸付額の割合 13