Global Market Outlook 18 年 1 月 9 日号 18 年度第 四半期の市場動向と今後の見通し 1. 国内債券を除く 資産がプラスグラフ 1 は 年度初からの内外 4 資産ベンチマーク収益率の推移です 赤の外国株式は第 四半期も上昇の勢いが衰えず四半期で 8 近く上昇しました 黒の国内株式は 9 月半ばまでは一進一退の展開でしたが その後急激に上昇し 5 台のプラスを記録しました 外国債券は欧米長期金利が上昇しましたが 為替市場で円安が進行したため小幅のプラスを確保しました 国内債券はわずかながら長期金利が上昇したため 1 弱の下落 年度初来でもマイナスとなりました 17 年度末基準 18 16 14 1 1 8 6 グラフ 1: ベンチマーク収益率推移 収益率 () 年度初来 (Q) 外国株式 +15.7 (+7.9) 国内株式 +6.97 (+5.86) 4 外国債券 +.17 (+1.4) 国内債券 - -.77-4 (-.96) 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 弊社. 主な出来事 1 米中貿易戦争が激化するも 米国経済は好調で株価を押し上げ米国政権は中国に対し 7 月に年間 4 億ドル 8 月には第 弾として同 16 億ドル そして 9 月には第 弾の同 億ドル相当の製品に追加関税を賦課 中国もそれぞれ報復措置に動き米中貿易戦争は激化しました カナダ メキシコに対しては NAFTA の見直し また欧州や日本に対しても通商問題で厳しい姿勢を示しました しかし米国経済は企業 家計部門とも引き続き堅調で 企業業績も好調を維持したことから政治面からの株価への影響は限られ 主要米国株式指数は史上最高値を更新しました 先進国中央銀行の利上げ続く米国は 9 月に今年 回めの利上げを決定 英国は 8 月 カナダは 7 月 ノルウェーは 9 月にそれぞれ利上げを決定しました 欧州中銀は年内での量的緩和終了を強く示唆 日本銀行は 7 月に長期金利許容レンジを拡大しました 指数 5 15 1 5 6 5 4 1 グラフ : 米国株と ISM 製造業指数 グラフ : 政策金利 SP5 指数 ( 左軸 ) ISM 製造業指数 ( 右軸 ) 指数 7 6 5 4 米国 カナダ 英国 ノルウェー 6 年 8 年 1 年 1 年 14 年 16 年 18 年 1
一部新興国市場が動揺 アルゼンチンは前四半期から経済危機に陥っていましたが トルコでは 6 月に再選された大統領が米国と対立したこと等を契機に 8 月に通貨が急落しました ブラジルや南アフリカ インドの通貨も下落が加速する局面が見られ 中国元も緩やかに値を下げました これまでのところ個別国の問題という色彩が強いものの 米国が利上げを続ける過程でドル借り入れの大きい新興国には厳しい状況が訪れると思われ グローバル市場全体にとっても大きなリスクと言えそうです 18 年初 =1 グラフ4: 新興国対米ドル為替 1 9 8 中国 7 6 インド南アフリカ ブラジル 5 トルコ アルセ ンチン 4 1 月 月 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月. 1~1 月期の注目点 1 米国中間選挙とトランプ政権 貿易戦争 11 月 6 日に米国中間選挙が行われます 下院の全議席と上院の 5 議席 ( つの補欠選挙を含む ) が対象となります 下院は現在共和党が多数を占めているものの ( 共和党 6 民主党 19 空席 6) 民主党が過半数を奪還する可能性が高まっています 上院は現在 51 対 49 で共和党が辛うじて多数を維持しており また改選される議員は共和党の 9 議席に対し 民主党は 6 議席と共和党が有利な状況にもかかわらず 共和党が過半数を維持できるかどうか微妙な情勢です トランプ大統領は就任後 年足らずで 大規模減税や TPP パリ協定からの離脱 エルサレムへの大使館移転等 選挙戦で掲げた公約の多くを実現してきましたが 選挙結果次第ではその後の政策運営に変化が生じることも想定されます 米中貿易戦争の行方も左右されることになりそうです 英国 EU 離脱交渉とイタリア来年度予算英国は来年 月 9 日に EU を離脱することになりますが 離脱条件や離脱後の関係についての交渉は難航しています 英国はもとより加盟 8 ヶ国の承認が必要となり 残された時間は少なく 1 月末 遅くとも 11 月中には合意に漕ぎ着ける必要があります もし 合意なき離脱 が現実となった場合 社会的に大きな混乱を招くことが想定され 金融市場もその例外ではありません 月に誕生したイタリア連立政権による来年度予算にも注目です 1 月 15 日が EU への提出期限となり その後の財政赤字幅等をめぐるイタリア政府と EU の厳しい交渉は難航必至とみられます 利上げ 緩和解除を進める先進国中央銀行と新興国市場米国は 1 月に今年 4 回めとなる利上げに動き 欧州中銀は年末で量的緩和を終了するとみられます 金融危機以降 市場を支えてきた先進各国の 異例な金融緩和 から脱却する動きが加速化すると思われ 新興国市場への影響も懸念されます 4 その他 1 月に実施されるブラジル大統領選挙 日本では対米貿易交渉 来年 1 月とされる消費増税の判断 また貿易戦争が激化するなか 人民元や中国経済の動向にも注目したいと思います
4. 各資産の動きと今後の見通し 内外株式 ~ 上方基調継続と予想するが不安材料も多い米国主導での好調な世界経済を背景に企業業績は好調を維持し 株価は当面堅調に推移すると思われます しかし米中貿易戦争の激化 中間選挙後の米国政治情勢 英国の EU 離脱交渉や新興国市場の動向次第では 今年初にみられたような急激な下落が再現する可能性も否定できず 特に政治リスクを注視したいと思います 中国や新興市場の動きも気になるところです ポイント 19 18 17 16 15 14 147 1 グラフ 5: 東証株価指数 16 年度 17 年度 151 1716 18 年度 1 185 19 ポイント 1 9 8 7 6 5 4 6 1 グラフ 6: 米国 SP5 指数 6 641 95 内外債券 ~ 長期金利は緩やかに上昇好調なマクロ経済や 株価等資産価格の上昇から 米国を中心にこれまでの異例な金融緩和の解除が進むと想定され 長期金利押し上げ材料として働くでしょう しかし日本は 長短金利操作 の幅を拡大したといっても 1 年国債利回りが. を超える水準では当局が上昇抑制に動くことはほぼ確実で 金利上昇が加速する可能性は非常に低いと思われます 米国も物価上昇が加速しない限り 利上げペースに拍車がかかることは想定されず 1 年国債利回りが を超える水準からは緩やかな上昇に留まると予想します 欧州は英国の EU 離脱交渉やイタリア予算の問題が金利上昇を抑えるとみます.5..1.5 -.5 -.5 -.1 - -. -.5 グラフ 7: 日本 1 年国債利回り.7.5 -. グラフ8: 米国 1 年国債利回り.6.4....8.6.74.4. 1.77.9 1.8 1.6 1.4 1.
為替 ~ 円安進行には限界か米国金利の上昇や世界的なリスク選好度の高まりから円安が進行しています しかし円安が加速する局面では米国政権からの 口先介入 も想定され 17 年度から何度も跳ね返されている 115 円を超えて円安が進行する可能性は低いと考えます もっとも日米金利差がドルの底値を支えるとみられ よほど強いメッセージが米国から発せられない限り 円を割り込んでの円高加速も考えにくいところです ユーロは欧州政治の問題が頭を抑えると思われ ユーロ円も徐々に頭打ちとみます 中国元や資源通貨は貿易戦争の行方に左右される展開が継続しそうです 円 1 115 11.4 15 1 グラフ 9: ドル円為替 111.4 16.4 95 11 円 15 145 14 15 1 18.1 15 1 115 グラフ 1: ユーロ円為替 119. 1.8 15 1 17 4
18 年 8 月以降のレポート 8 月 1 日号 7 月の市場動向と 8 月の注目点 8 月 1 日号 トルコ市場の暴落が先進国にも波及? 8 月 14 日号 トルコ市場の暴落が先進国にも波及? その 9 月 日号 8 月の市場動向と 9 月の注目点 9 月 7 日号 米国は予想通り今年 回めとなる利上げを決定 1 月 1 日号 9 月の市場動向と 1 月の注目点 MU 投資顧問株式会社 登録番号金融商品取引業者関東財務局長 ( 金商 ) 第 1 号 一般社団法人日本投資顧問業協会会員一般社団法人投資信託協会会員 11-6 東京都千代田区神田駿河台 --11 電話 -559-551 * 本資料に含まれている経済見通しや市場環境予測はあくまでも作成時点における弊社ストラテジストの見解に基づくもので 今後予告なしに変更されることがあり また弊社商品における運用方針と見解が異なることがあります * 本資料は情報提供を唯一の目的としており 何らかの行動ないし判断をするものではありません また 掲載されている予測は 本資料の分析結果のみをもとに行われたものであり 予測の妥当性や確実性が保証されるものでもありません 予測は常に不確実性を伴います 本資料の予測 分析の妥当性等は 独自にご判断ください * なお 資料中の図表は 断りのない限りブルームバーグ収録データをもとに作成しております 5