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である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

第 5 章 N

ラリーマン 相続税の申告は? 45 相続税の申告はどのようにすればよいのでしょうか 相続が開始したことを知った日 ( 通常は被相続人が死亡した日 ) の翌日から 10 か月以内に 被相続人の住所 地の所轄税務署に申告し 相続税を納付する必要があります 申告書を提出する人が 2 名以上いる場合は 共同

おき 太郎様 Inheritance Report 相続診断書 税理士法人おき会計 平成 28 年 7 月 20 日作成

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

相続税 贈与税の基本がよくわかる! 誰が相続人になるの? 税額はどのようにして求めるの? 土地 建物の評価はどうするの? 住宅取得資金の贈与は最大 3,000 万円が非課税に? 教育資金や結婚 子育て資金の贈与は非課税に? 新しくできる配偶者居住権ってどんなもの? etc.

相続対策としての土地有効活用

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

Microsoft Word - uchida_report_24++.doc

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

2011年税制改正のポイント

⑷ 納税猶予の打ち切り P. 49 Q. 納税猶予の対象の農地を売却する場合 納税猶予が打ち切られてしまうのですか ⑸ 市町村合併と納税猶予 P. 54 Q.B 町が平成 3 年 1 月 1 日現在特定市であるA 市に合併される場合 旧 B 町の農地等は生産緑地の指定を受けていないと納税猶予の特例は

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

平成16年版 真島のわかる社労士

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

相続税に関するチェックリスト

Microsoft Word - 平成15年税制改正(2).doc

コピー又は web からダウンロードしてご使用ください 答案用紙 Chapter1 問題 1 個人とみなされる納税義務者 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 遺贈財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額 2 生前贈与加算される贈与財産の額の計算 ( 単位 :

税金の時効 税務では 時効のことを更正 決定処分の期間制限 = 除斥期間 といいます その概要は 以下の通りです 1. 国税側の除斥期間 ( 通則法 70) 1 期限内申告書を提出している場合の所得税 相続税 消費税 税額の増額更正 決定処分の可能期間 : 法定申告期限から 3 年 2 無申告の場合

相続税の総額の計算法定相続分であん分課税遺産総額実際の相続割合であん分超過累進税率の適用税価格の合計額の総額税額 基礎控除額遺産に係る相続税の基礎知識 (1) 相続税の計算過程 相続人が配偶者と子 2 人の場合課法定相続分 法定相続分 税額 算出税額 法定相続分 税額 相続税算出税額 税額控除相続人

債務控除できるもの できないもの 1. 概要相続税の申告で 債務控除できるものや葬式費用には 被相続人名義の銀行借入金や未納の所得税等の公租公課 未払医療費等のいわゆる債務の金額 葬式費用が挙げられます ( 相法 13) 斎場へのタクシー代や式後の飲食代なども含みますが 通常必要とされる範囲内とされ

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

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13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

スライド 1

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相続診断士試験

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

例えば毎年 子供 2 人に対し110 万円づつ贈与し続けるのであれば 10 年間で2,200 万円の財産を無税で子供に移すことができます 贈与税の基礎控除額を上手く活用する方法だけでも 計画的に行うことがどれだけ大切なのかご理解いただけると思います とにかく財産を所有している人が高齢になればなるほど

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

PowerPoint プレゼンテーション

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課税遺産総額 = 各人の課税価格 ( ア ) の合計額 - 遺産に係る基礎控除額ウ相続税の総額の計算 1 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定し 各人ごとの取得金額を計算する 2 1に税率をかけ 各人の税額を合計する (= 相続税の総額 ) エ各人の相続税額の計算相続税の総

配偶者がいる人の一次相続と二次相続のデータ 被相続人に配偶者がいる一次相続と 配偶者がいない二次相続の相続税シミュレーションを行います 配偶者の税額軽減は その節税効果が大きいために一次相続で相続税を大幅に減額することができますが 次の二次相続では想定外の相続税が発生することがあります 配偶者がいる

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

なぜ法人化するのか? 所得税 住民税 事業税 社会保険 医療費が高い! それは 所得 (= 収入 - 経費 ) が高いからです すべてにかかわります 特に所得税は超過累進税率です 住民税 :10% 事業税 ( 不動産 ):5% どういう場合に法人化するのか? 相続税対策が終わった場合 相続税が発生し

第 1 問次の関連業法とコンプライアンスに関する各文章 ( 問 1~ 問 10) を読んで 正しいもの または適切なものには〇を 誤っているものまたは不適切なものには を 解答用紙に 記入しなさい ( 各 1 点 ) ( 問 1) 弁護士資格を有しない相続診断士が 事件性のある法律相談を無償で行うこ

資産運用として考える アパート・マンション経営

相続税を計算してみましょう!

上級相続診断士練習問題 < 注意事項 > 1 試験問題用紙は 問題用紙と解答用紙からなっています 解答はすべて解答用紙に記入してください 2 試験問題用紙は 問題用紙と解答からなっています 解答はすべて解答用紙に記入してください 3 問題数 (= 解答数 ) は合計 45 問です 本試験は試験時間

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人のデータ 自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人の 法定相続人の数と相続財産および債務のデータから相続税を試算します 賃貸マンションについては全室が賃貸用かどうか 駐車場については舗装がしてあるかどうかで評価額が違ってくることがあります また

資産運用として考える アパート・マンション経営

一戸建ての自宅を所有している人のデータ 東京都内やその近郊など路線価の高い宅地に一戸建ての自宅を所有し その他に預貯金や有価証券を保有している人の相続税シミュレーションになります 路線価が高いと自宅の敷地の面積が広くなくても その宅地の評価額は高額になりますので この宅地に対して小規模宅地等の特例が

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

養子縁組制度の利用 1. 制度の概要養子には 民法上 普通養子と特別養子の 2 種類があります 養子の相続税法上の取り扱いは 以下の通りです 1 累進課税される相続税率の緩和 (3 億円超は 50%) 2 相続人の数が増えるため基礎控除枠が増加 (1,000 万円 法定相続人 ) 3 死亡保険金 死

金融商品と資金運用

『やさしい相続のススメ』

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

配偶者居住権の相続税評価額について 2018/12/28 田口税理士事務所 平成 30 年の民法改正により 配偶者の居住権を保護するために配偶者居住権が新設されましたが 相続税の評価にどう影響させるかについて 今回の税制改正大綱に記載されています まず 前提となる配偶者居住権について 説明します 1

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

小規模宅地等の評価減の特例 1. 概要 居住用や事業用宅地を相続した場合 小規模とされる一定面積までを 50%~80% 評価減できる特例があります ( 措置法 69 条の 4) 区分宅地の区分事業や居住の見込減額割合対象面積 1 号特例特定事業用等宅地等 1 親族が相続して事業を継続 80% 400

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

PowerPoint プレゼンテーション

舟子さん 先生 娘の笹江は明るいところはいいのですが お財布を忘れて買い物に行ってしまうようなおっちょこちょいで でも私もこれから歳を取っていくし 今のうちにアパート経営を笹江に任せて 身軽になりたいと思っているのです 笹江さん お母さんったら お財布忘れては余計よ 先生 わが家の相続税がいくらかか

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

貸家建付地 貸家建付地とは 自分名義の土地に自分名義の建物を建設してその建物を他人に貸しているものです ( 財基通 26) 借家人には法律上の借家権が発生し 地主は立退料を支払わないと自由に土地建物を処分できません( 借地借家法 28) 貸家建付地の典型例は アパート マンションです このため 相続

金庫株を活用した事業承継対策 1. 概要 非上場株式を相続して相続税が発生する場合は 相続で取得した自社株を相続税の申告期限後 3 年以内に金 庫株すればみなし配当課税しない (= 譲渡所得とする ) 特例があります ( 措置法 9 条の 7) 所得税の特例の内容 ( 自己株式をみなし配当課税しない

契約をするとき 契約書に貼る印紙税不動産取引で取り交わす契約書は 印紙税の対象となります 具体的には 不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書 土地賃貸借契約書 ローン借入時の金銭消費貸借契約書等がこれに当たります 印紙税の額は 契約書に記載された金額によって決定されます 原則として 収入印紙を課税

1.修正申告書を作成する場合の共通の手順編

( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

144 第 2 章宅地等の評価第 3 個別事情のある宅地の評価 このような過小宅地を評価する場合 財産評価基本通達における原則評価 ( 奥行価格補正率や奥行長大補正率等 ) のみでは上記の要因が十分に考慮されているとは言い難く 市場価値である時価と大きく乖離しているケースが見受けられます よって 本

1 相続税対策の必要性 生前からの対策が円満相続のカギ 11 なぜ 相続対策が必要なのか 13 事前の対策が不可欠 相続税対策の目的は財産を守ることです 相続税対策をしていれば子孫に財産を残すことができます が 何もしていないと家や事業用財産まで失ってしまいます 相続対策をしていないと? 相続になる

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N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

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住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

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住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

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Ⅰ ワンルームマンション経営と節税 税務署 確定申告 税金還付 20 万 ~30 万円 ワンルーム家賃収入ローン元利返済サラリーマンマンション A 氏 1 戸所有月 70,000 円月 60,000 円 銀行 年 30,000 円 月 8,000 円 固定資産税 管理会社 1 ワンルームマンション投

1.一般の贈与の場合(暦年課税)編

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事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

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未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

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相続税の相談事例とその解決思考

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

叔父から財産の贈与(1~3) を受けた場合 1/1 12/31 2/1 3/15 相選養続択与子贈時届贈精出縁与算書与 1組課提2 税出3 暦年課税相続時精算課税 養子縁組前の贈与 1については 暦年課税により贈与税額を計算し 養子縁組以後の贈与 2 及び 3は 相続時精算課税により贈与税額を計算し

Transcription:

相続の対策について ( 平成 22 年 10 月 1 日の法令による ) <1> 対策を分類する 1) タイミングごとに 対策 ( 方法 ) が分かれる 生前における対策 直前における対策 相続発生後における対策 2) 目的別に 対策 ( 方法 ) が分かれる 評価を下げるための対策 ( 節税その1) 税率を下げるための対策 ( 節税その2) 納税力を確保するための対策 争族 とならないための対策 上記を分類 整理したマトリックス 生前 ( 直前含む ) 発生後 申告後 評価を下げるための対策 ( 節税その1) A-1 B-1 税率を下げるための対策 ( 節税その2) A-2 B-2 C 納税力を確保するための対策 A-3 B-3 争族 とならないための対策 A-4 B-4 <2> 留意事項 1) 我が家にとって必要なのは どの目的の対策か 実は 大切なことは 争族 とならないための対策が最も大事 次に納税力を確保するための対策が重要 2 次相続まで考慮してプランを作るべき 2) まず 試算 をすることから始まる 相続人の確認 財産の確認 * 絶対に残したい財産 と 処分可能な財産 の分類 整理 3) 対策は実行しなければ意味が無い 出来ることからやっていく 4) 対策のデメリットも理解する 5) 対策実行後のフォローも大切 節税は その1もその2も 改正によって効果が変動する! 社会環境変化への対応策を考える必要がある 6) 税務調査を受けることを前提に対策を考える 1

<A-1> 生前 & 評価を下げるためポイント : 1 相続税法の 特例 を効果的に使う 要件に注意 2 実質価値より相続税評価が低くなる資産にシフトする 不動産の評価は 売却時価 ( 収益還元価値ではない ) 3 父の財産を今以上に増やさない ( 所得を分散する ) 4 財産そのものを移す 1) 遺言書の作成 小規模宅地の特例 配偶者の税額軽減 は分割が確定しないと使えない 2) 金融資産を投資して ( 借り入れして ) 賃貸用不動産を取得する 通常 建物は投資額より評価が下がる 更に 貸家は借家権が控除できる また 土地の評価額は 実績価格の80% 以下になることが多い さらに 貸家の敷地は 評価が下がる ( 下記 13の場合 ) * 建築主に注意する建築主の候補 1 父 2 子 3 法人 次の3) 参照 3) 子が出資した法人に 土地を貸す 無償返還届 により 賃貸借でも借地権課税なし * 法人が借地権を20% 持つことになる 退職金の非課税枠を使える可能性がある 4) 生前贈与 通常贈与か 相続時精算課税制度を使うか * 将来 相続税評価額が上がることが確実なものは 精算課税制度が有利 証拠を残す * 契約書を作り確定日付印を付す 贈与税の申告を行う 通帳に記録を残すなど 生前 3 年以内の贈与は相続税の対象となる 相続人以外に贈与すべき 収益物件を贈与する 所得税対策にもなる場合が多い 居住用財産について 贈与税の配偶者控除 の適用を受けて贈与する 争族 の種にならない工夫を 2

5) その他 仏壇や墓地は 生前に父の資金から購入しておくべき 居住用財産について 贈与税の配偶者控除 の適用を受けて贈与する 同族会社の株式については 要注意 3

<A-2> 生前 & 税率等を下げるためポイント : 1 相続税は 基礎控除がある (5000 万円 +1000 万円 法定相続人の数 ) 2 相続税は 超過累進課税である 相続人の数が増えたほうが有利 1) 養子 15 年改正で 孫養子は2 割加算の対象となった 実子あり :1 人まで 実子なし :2 人まで 税務計算上 法定相続人の数の修正を行う * いわゆる 連れ子養子 は規制の対象外 * 民法上は あくまでも養子が相続人であることには違いは無い 遺贈 よりも 登録免許税や不動産取得税も安くなる 実子がいない場合に養子縁組すると 相続順位が変動する * 兄弟姉妹が複数いる場合など 結果的に法定相続人が減る場合 税金が高くなる 2) 生前に 贈与その他の方法で分配する 相続税は 累進課税であるから財産総体が減れば税率は下がる 3) 遺言書の作成 孫に遺贈する 一代とばす効果がある ( ただし 2 割加算 となる ) 4

<A-3> 生前 & 納税力確保ポイント : 1 推定相続人の財産を増やす 2 現金化し易い財産も残す 3 延納 ( 又は借入 ) を可能にするような財産活用 1) 生前贈与 相続人固有の財産が多ければ 納税力が高まる 2) 生命保険の活用 非課税枠 (500 万円 法定相続人の数 ) までは 加入を検討すべき 3) 土地の測量 ( 境界確認 ) や担保物件の整理 物納するにせよ 売却するにせよ 父の資金で行っておくべき * 意外に費用がかかる * 隣地との境界確定も 父の代でやっておくと助かる 残すべきものと処分可能なものを区分しておく ( 共有物や抵当権付きの物件は 売却や物納が困難 ) 4) 土地を有効活用する ( 貸家を建てるなど ) 納税力の観点から納税用に残すべき資産をしっかり区分してから行うこと 土地の評価は 収益還元方式ではない 時価に見合う収益を上げるべき 法人を経由すると 複数の相続人に納税資金を貯めさせやすい * 推定相続人の金融資産を増やす結果になることが望ましい * 行為 計算の否認規定に留意する 5) 不良資産 の整理 貸地 納税力の観点からは 不良資産である * 父の代に 借地人と交渉して売却可能な資産に転換していくことが必要 同族会社の株式 同族会社への貸付金 5

<A-4> 生前 & 争族 対策 1) 遺言書を作成しておく 極力 公正証書 にするべき 家訓 や 今後の生活指針 など 財産に関すること以外も書いてよい 実際には 遺言と異なる分割協議をすることも可能 2) 財産の内容を オープンに子に伝えておく 疑心暗鬼にならないで済むように 3) 生前贈与は要注意 特別受益と寄与分は水掛け論になり易い 4) 節税 を優先しすぎない 相続後の相続人の生活が成り立つようにプランすることが重要 * 建物と借入金の評価差額を使った節税策は やり過ぎると大変 養子縁組は要注意 土地の有効活用が行き過ぎの場合 分割しづらくなる * 残すべき資産と処分可能な資産 6

<B-1> 発生後 & 評価を下げるため 1) 適法範囲内で最大の評価減を適用する 税理士選びは重要なポイント 時には 不動産鑑定士に評価を依頼する 分割の方法によって 評価が下がる場合もある 2) 期限内 ( なるべく早く ) 分割を確定させる 配偶者の税額軽減が使える 小規模宅地の特例 * 財産の受取人によって 控除額が変化することに注意 農地等の相続税の納税猶予および特定事業用資産の特例が使える 3) 同族会社がある場合 死亡退職金の検討 7

<B-2> 発生後 & 税率等を下げるため 1) <B-1>に集約した 8

<B-3> 発生後 & 納税力確保 1) 納付の方法の選択 現金一括 できなければ 延納( 又は借入 ) か 物納( 又は売却 ) 延納 物納 は期限内の申請が要件 平成 18 年改正により 厳しくなった 申告 納付期限はあっという間に来る 2) 不良資産 の処理 貸地は要注意 同族会社の株式 同族会社への貸付金 3) 分割しづらい財産の場合 現金による 代償分割 を活用する 預金の本数が多いときも 活用すると便利である 代物分割 になると 譲渡所得税が課税されることになる 法定相続分以上に受け取ると 贈与 となる 4) 相続税の提出期限から3 年以内に譲渡した場合 相続税の取得費加算 の適用ができる 相続税の納税資金ねん出のためにも 譲渡による所得税を少なくする 5) 法人を持っている場合には 死亡退職金も検討する 6) 連帯納付義務に注意 他の相続人の納税力にも注意が必要である 7) 次の相続のことを検討しておく 今回の納税額は高くなっても 通算すると節税になる可能性あり 9

<B-4> 発生後 & 争族 対策 1) 分割協議の場に 父が同席している と想像しながら協議する 2) 第三者 ( おじ おば 外部専門家 ) を同席させる 3) 次世代のことを考える 将来 いとこ同士の共有は不自然 次の相続の納税のことを考える 4) 分割が期限内に完了しない場合の税務上のデメリットを理解する 配偶者の税額軽減が使えない 小規模宅地の特例が使えない * 誰が相続するか によって控除割合が変化することにも注意 物納できない 譲渡した場合の 相続税の取得費加算 は相続税の提出期限から3 年以内に譲渡した場合のみ 5) 預金関係は 分割確定前は 相続人全員の合意がないと 支払いに充てられない 預金を下ろすのにも 相続人全員の合意が必要 * 各種の納税や借り入れの返済に間に合わないことがないよう注意する 6) 自宅等を取得する人を先に決める 生活の根拠であるから 決めやすい 7) 収益物件を取得する人を先に決める 相続人固有の納税力が低い人に収益物件を相続させ その後順次決めていく 10

<C> 申告書提出後の対策 1) 分割協議のやり直しは 原則として贈与と認定される 交換 贈与 売却などの手段を専門家に相談すべき 相続人が新たに現れた など特別な事情がある場合には 専門家に相談すべき 2) 遺産に漏れがあった場合 修正申告の義務がある 調査があることを予見して修正した場合 とそうでない場合 罰金類が異なる 3) 遺産を過大に計算していた場合 原則として 申告期限から1 年 ( 嘆願により5 年 ) まで 還付請求が出来る ( 更正の請求 ) 4) 相続税の取得費加算 は相続税の提出期限から 3 年以内に譲渡した場合のみ 5) 税務調査に備える 申告書作成に使った資料類を無くさない 11

相続税の税率 14 年以前 15 年以降 法定相続分に応ずる取得金額率 (%) 控除額 ( 千円 ) 法定相続分に応ずる取得金額率 (%) 控除額 ( 千円 ) 8000 千円以下 10-10000 千円以下 10-16000 千円以下 15 400 30000 千円以下 15 500 30000 千円以下 20 1,200 50000 千円以下 20 2,000 50000 千円以下 25 2,700 1 億円以下 30 7,000 1 億円以下 30 5,200 3 億円以下 40 17,000 2 億円以下 40 15,200 3 億円超 50 47,000 4 億円以下 50 35,200 20 億円以下 60 75,200 20 億円超 70 275,200 贈与税の税率 ( 相続時精算課税制度不選択の場合 ) 14 年以前 15 年以降 基礎控除後の金額率 (%) 控除額 ( 千円 ) 基礎控除後の金額率 (%) 控除額 ( 千円 ) 1500 千円以下 10-2000 千円以下 10-2000 千円以下 15 75 3000 千円以下 15 100 2500 千円以下 20 175 4000 千円以下 20 250 3500 千円以下 25 300 6000 千円以下 30 650 4500 千円以下 30 475 10000 千円以下 40 1,250 6000 千円以下 35 700 10000 千円超 50 2,250 8000 千円以下 40 1000 10000 千円以下 45 1400 15000 千円以下 50 1900 25000 千円以下 55 2650 40000 千円以下 60 3,900 1 億円以下 65 5,900 1 億円超 70 10,900 12