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栄養表示に関する調査会参考資料①

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脂質について知りたい! からだに必要なものを取り込んで生きていく営み ( 栄養 ) において 特に重要な成分は 炭水化物 たんぱく質 脂質 ビタミン ミネラルです 脂質は私たちのからだにとって重要な栄養素であり 食品にあっては食べ物をおいしくしたり 食べやすくしたりするなどの役割も担っています 私た

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2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

脂質への高い関心と無理解 一般の人に健康意識調査を行うと あぶら ( 油脂 ) の摂取にたいへん高い関心があること がわかります その理由の多くは 肥満を意識したダイエットのためと 血清コレステロールや中性脂肪の値を心配してのことです しかし 脂質の栄養には健康にとってさらに本質的で重要な側面があり

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

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経管栄養食 アイソカル RTU アイソカルプラス EX ネスレヘルスサイエンス ネスレヘルスサイエンス 1.0kcal/ml の流動食さらにやさしく より確かな安全を 1.5kcal/ml の高濃度流動食 アルギニン配合 アイソカルプラス アイソカル 1K ネスレヘルスサイエンス ネスレヘルスサイエ

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Umpolung Reactivity of Difluoroenol Silyl Ethers with Amines and Amino Alcohols

dic s ヘルスコミュニケーション vol.6 美容と脂質の摂りかた

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目次 < 栄養表示の特徴 > 栄養表示の特徴 1 < 健康 栄養政策と栄養表示の関係 > 健康 栄養政策と栄養表示基準 2 健康 栄養政策と栄養表示 3 健康 栄養政策と栄養表示の関係 4 21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) の具体的な推進について 5 < 栄養表示の重要性の

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相模女子大学 2017( 平成 29) 年度第 3 年次編入学試験 学力試験問題 ( 食品学分野 栄養学分野 ) 栄養科学部健康栄養学科 2016 年 7 月 2 日 ( 土 )11 時 30 分 ~13 時 00 分 注意事項 1. 監督の指示があるまで 問題用紙を開いてはいけません 2. 開始の

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学校給食摂取基準の活用 学校給食摂取基準は全国平均を示したものであるから その考え方を踏まえた上で 各学校の実態に応じた摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成する必要がある EER 算出シートに数字を打ち込めば EER( 推定エネルギー必要量 ) は算出できるが 専門職 ( 管理栄養士 栄養士 )

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2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

脂肪酸 1) 脂肪酸の分類脂肪酸は, 中性脂肪や複合脂質に結合しており, その構造は炭素鎖が連なるカルボン酸である 脂肪酸は炭素の鎖長 ( 長短 ) によっても分類され, 炭素数 2~4 個のものを短鎖脂肪酸 ( 低級脂肪酸 ),5 ~12 個を中鎖脂肪酸, それ以上の炭素数のものを長鎖脂肪酸 (

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

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Shokei College Investigation into the Physical Condition, Lifestyle and Dietary Habits of the Members of a Boy s Soccer Team and their Families (1) Ph

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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1-1 栄養素の代謝と必要量 : 糖質 炭水化物 1 糖質の消化吸収 デンプンは唾液中のα アミラーゼの作用により加水分解され かなりの部分が消化を受ける ヒト の唾液中に存在するデンプン消化酵素は α アミラーゼがほとんどである 胃では糖質の消化酵素は 分泌されないが 食道から胃内に流入した食塊が

Q1. あなたが 普段健康のために積極的に摂取している栄養成分 控えている栄養成分をお答えください ( 単数回答 ) n=1000 積極的に摂っている栄養成分 TOP5 積極的に摂っているどちらとも言えない摂取を控えている 水分 61.7% 34.1% 4.2% たんぱく質 44.7% 48.4%

目次 栄養成分表示を知ろう! 栄養成分表示のことを知っていますか? 栄養成分表示のことを知って あなたの食生活に活用してみましょう エネルギーとたんぱく質 脂質 炭水化物のバランスについて 2 栄養成分表示をどのように活用したらいいの? 3 自分に必要なエネルギー及び栄養素の目標量を計算してみましょ

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本日の流れ 脂質の性質と吸収について トランス脂肪酸について 最新の情報 ( 参考 ) 海外の情報 2

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(2-3)脂質異常症 ポスター H

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(5) 食事指導食事指導は 高血圧の改善 耐糖能障害の改善 代謝異常の改善について 各自の栄養状況 意欲などに応じて目標をたて これを達成できるよう支援する形で行った 開始時点で 食事分析を行い 3ヶ月ごとに 2 回進捗状況を確認する面接を行った 1 年後に終了時点の食事分析を行った 各項目の値の増

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SoftBank 301SI 取扱説明書

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新技術説明会 様式例

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肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

6. 審査等の方法 栄養成分ごとに一定の規格基準を設け 規格を満たすもののみが栄養機能食品として認められる ( 自己認証 ) 製品ごとに事業者が特定保健用食品としての申請を行い その申請に対して 消費者委員会等の審議を踏まえ 消費者庁が個別許可を行う なお 特定保健用食品としての許可実績が十分である

目次 1, 研究背景 1-1, ダイエッに対する関心 1-2, 現代の食生活の問題 2, 肥満になる原因 2-1, 肥満になるメカニズム 2-2, 原因 3, 食事パターンによる比較 3-1, 食事パターンの構造と栄養素等の摂取状況の研究 4, 研究目的と分析手順 4-1, データ概要 4-2, 用

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01. 表紙

Transcription:

基本的事項 脂 質 脂質 (lipids) 水に不溶で 有機溶媒に溶解する化合物栄養学的に重要な脂質脂肪酸 中性脂肪 リン脂質 糖脂質 ステロール類 機能エネルギー産生の主要な基質脂溶性ビタミンの吸収ステロイドホルモン ビタミン D の前駆体 消化 吸収 代謝 トリアシルグリセロール 膵リパーゼ 消化 吸収リン脂質 膵ホスホリパーゼA2 消化 吸収コレステロールエステル コレステロールエステラーゼ 消化 吸収

脂質全体のポイント 脂質は 目標量としてエネルギー比率 (% エネルギー ) で示した 飽和脂肪酸については 生活習慣病予防の観点からエネルギー比率で示した 必須脂肪酸である n-6 系脂肪酸 n-3 系脂肪酸の目安量は 総エネルギー摂取量の影響を受けない絶対量 (g/ 日 ) で示した 脂質とその構成 点線で囲んだ 4 項目について基準を策定した

中性脂肪と脂肪酸の分類 グリセリンと脂肪酸からなるトリアシルグリセロール ジアシルグリセロール モノアシルグリセロール C-OH C-OH C-OH グリセリン 脂肪酸 1 脂肪酸 2 脂肪酸 3 COOH COOH COOH 飽和脂肪酸 ( 脂が多い ): パルミチン酸 (16:0) ステアリン酸 (18:0) 脂肪酸 不飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 : オレイン酸 (18:1) 多価不飽和脂肪酸 n-6 系リノール酸 (18:2) アラキドン酸 (20:4) n-3 系 α- リノレン酸 (18:3) EPA(20:5) DHA(22:6) 必須脂肪酸 : リノール酸 α- リノレン酸 アラキドン酸

脂質の食事摂取基準 ( 脂質の総エネルギーに占める割合 ( 脂肪エネルギー比率 ):% エネルギー ) 性別男性女性 年齢等目安量目標量 1 ( 中央値 2 ) 目安量目標量 1 ( 中央値 2 ) 0~5( 月 ) 50 50 6~11( 月 ) 40 40 1~2( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 3~5( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 6~7( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 8~9( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 10~11( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 12~14( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 15~17( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 18~29( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 30~49( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 50~69( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 70 以上 ( 歳 ) 20~30 (25) 20~30 (25) 妊 婦 授乳婦 1 範囲については おおむねの値を示したものである 2 中央値は 範囲の中央値を示したものであり 最も望ましい値を示すものではない

脂肪エネルギー比率の目標量の下限 (20% エネルギー以上 )

脂肪エネルギー比率の目標量の上限 (30% エネルギー未満 ) 1. 肥満 糖尿病予防や死亡率 ( コホート研究からの報告 ) より 欧米で低脂質とされているエネルギー 30% 未満が望ましい 2. 日本人の食生活とも近い値であり 実行しやすい

飽和脂肪酸のポイント 飽和脂肪酸 動脈硬化性疾患 特に心筋梗塞の発症及び重症化予防の観点から 日本人の摂取実態も踏まえ 成人について目標量を設定し エネルギー産生栄養素バランスに含めた 小児期における飽和脂肪酸の摂取量と摂取源に関する記述疫学的研究 さらには小児期の飽和脂肪酸摂取量と成人期の動脈硬化関連疾患との関係を調べた研究や小児期に飽和脂肪酸摂取量を少なくした場合の安全性 ( 成長障害など ) を調べた研究が不十分なため 小児の目標量の設定は見送った

飽和脂肪酸の食事摂取基準 (% エネルギー ) 性別男性女性年齢等目標量目標量 0~5( 月 ) 6~11( 月 ) 1~2( 歳 ) 3~5( 歳 ) 6~7( 歳 ) 8~9( 歳 ) 10~11( 歳 ) 12~14( 歳 ) 15~17( 歳 ) 18~29( 歳 ) 7 以下 7 以下 30~49( 歳 ) 7 以下 7 以下 50~69( 歳 ) 7 以下 7 以下 70 以上 ( 歳 ) 7 以下 7 以下 妊婦 授乳婦 下限値がなくなった!! ( 旧 )4.5%~7.0%

なぜ消えたか? これまで 飽和脂肪酸摂取量が少ないと脳出血が増加する可能性がある

しかしながら 動物実験で 飽和脂肪酸摂取の増加と脳出血の予防の関連性が認められない もしかしたら 飽和脂肪酸摂取減少による 動物性たんぱく質の摂取減少??

飽和脂肪酸の目標量の上限 (18 歳以上で 7% エネルギー未満 )

n-6 系脂肪酸のポイント n-6 系脂肪酸 n-6 系脂肪酸は 生体内でアセチル CoA から合成できないので 経口摂取する必要がある 0~5 か月児は 哺乳量と母乳中の n-6 系脂肪酸濃度から目安量を設定した 6~11 か月児は 0~5 か月児の目安量と 1~2 歳児の摂取量の中央値の平均値を目安量とした 小児 成人は 平成 22 年 23 年国民健康 栄養調査の結果から算出された n-6 系脂肪酸摂取量の中央値を目安量とした 妊婦については 平成 19 年から 23 年までの国民健康 栄養調査の結果から算出された妊婦の n-6 系脂肪酸摂取量の中央値を目安量とした 授乳婦については 平成 19 年から 23 年までの国民健康 栄養調査の結果から算出された授乳婦の n-6 系脂肪酸摂取量の中央値を目安量とした

n-6 系脂肪酸の食事摂取基準 (g / 日 ) 性別男性女性 年齢等 目安量 目安量 0~5( 月 ) 4 4 6~11( 月 ) 4 4 1~2( 歳 ) 5 5 3~5( 歳 ) 7 6 6~7( 歳 ) 7 7 8~9( 歳 ) 9 7 10~11( 歳 ) 9 8 12~14( 歳 ) 12 10 15~17( 歳 ) 13 10 18~29( 歳 ) 11 8 30~49( 歳 ) 10 8 50~69( 歳 ) 10 8 70 以上 ( 歳 ) 8 7 妊婦 9 授乳婦 9 酸化の問題炎症を惹起する物質 (PGE2 LTB4) の問題 しかし 過剰摂取のリスクが想定されるが 日本人に関する研究がないため目標量は設定しなかった ( 旧 )10%EN 未満

n-3 系脂肪酸のポイント n-3 系脂肪酸 n-3 系脂肪酸は 生体内で合成できず 欠乏すると皮膚炎などを発症するため 経口摂取する必要がある 0~5 か月児は 哺乳量と母乳中の n-3 系脂肪酸濃度から目安量を設定した 6~11 か月児は 0~5 か月児の目安量と 1~2 歳児の摂取量の中央値の平均値を目安量とした 小児 成人は 平成 22 年 23 年国民健康 栄養調査の結果から算出された n-3 系脂肪酸摂取量の中央値を目安量とした 妊婦については 平成 19 年から 23 年までの国民健康 栄養調査の結果から算出された妊婦の n-3 系脂肪酸摂取量の中央値を目安量とした 授乳婦については 平成 19 年から 23 年までの国民健康 栄養調査の結果から算出された授乳婦の n-3 系脂肪酸摂取量の中央値を目安量とした

n-3 系脂肪酸の食事摂取基準 (g / 日 ) 性 別 男 性 女 性 年齢等 目安量 目安量 0~5( 月 ) 0.9 0.9 6~11( 月 ) 0.8 0.8 1~2( 歳 ) 0.7 0.8 3~5( 歳 ) 1.3 1.1 6~7( 歳 ) 1.4 1.3 8~9( 歳 ) 1.7 1.4 10~11( 歳 ) 1.7 1.5 12~14( 歳 ) 2.1 1.8 15~17( 歳 ) 2.3 1.7 18~29( 歳 ) 2.0 1.6 30~49( 歳 ) 2.1 1.6 50~69( 歳 ) 2.4 2.0 70 以上 ( 歳 ) 2.2 1.9 妊 婦 1.8 授乳婦 1.8

魚で約 90g/ 日

その他の脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 トランス脂肪酸 共役リノール酸ジアシルグリセロール中鎖トリアシルグリセロール植物ステロール 食事性コレステロール 目標量の設定なし!!

炭水化物 基本的事項 炭水化物 (carbohydrate): 組成式 Cm(H2O)n からなる化合物

炭水化物のポイント 炭水化物が直接ある特定の健康障害の原因となる報告は 生活習慣病の一つである糖尿病を除けば 理論的にも疫学的にも乏しいため 推定平均必要量 ( 並びに推奨量 ) も耐容上限量も設定せず エネルギー栄養産生バランスの観点から 1 歳以上について たんぱく質並びに脂質の残余として % エネルギーで目標量を設定した アルコールについては 炭水化物ではないもののエネルギーを産生することから 炭水化物の合計量に含めた ただし アルコールの摂取を勧めるものではない なお 糖類については 日本人においてその摂取量の測定が困難であることから 基準の設定は見送った 22

炭水化物の食事摂取基準 (% エネルギー ) 性別男性女性 年齢等目標量 1,2 ( 中央値 3 ) 目標量 1,2 ( 中央値 3 ) 0~5( 月 ) 6~11( 月 ) 1~2( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 3~5( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 6~7( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 8~9( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 10~11( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 12~14( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 15~17( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 18~29( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 30~49( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 50~69( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 70 以上 ( 歳 ) 50~65(57.5) 50~65(57.5) 妊婦 授乳婦 1 範囲については おおむねの値を示したものである 2 アルコールを含む ただし アルコールの摂取を勧めるものではない 3 中央値は 範囲の中央値を示したものであり 最も望ましい値を示すものではない

食物繊維のポイント 食物繊維の摂取不足が生活習慣病の発症に関連するという報告が多くあることから 目標量を設定した 食物繊維摂取量との関連が最も明らかな生活習慣病は 心筋梗塞であると考えられ レビューの結果得られた成人における理想的な摂取量と日本人成人における摂取量の中央値との中間値を目標量を算出するための参照値とした 小児については 食物繊維摂取の重要性は示唆されているものの 生活習慣病等との関係についての直接的な根拠や量的な検討に資する情報が十分ではないことから 1~5 歳については 目標量を設定せず 6~17 歳に限って 成人と同じ方法で目標量を算出した なお 目標量の算定に用いられた研究の多くは通常の食品に由来する食物繊維であり サプリメント等に由来したものではない したがって 通常の食品に代えて同じ量の食物繊維をサプリメント等で摂取した時に 同等の健康利益を期待できるという保証はない 25

食物繊維の食事摂取基準 (g / 日 ) 性 別 男 性 女 性 年齢等 目標量 目標量 0~5( 月 ) 6~11( 月 ) 1~2( 歳 ) 3~5( 歳 ) 6~7( 歳 ) 11 以上 10 以上 8~9( 歳 ) 12 以上 12 以上 10~11( 歳 ) 13 以上 13 以上 12~14( 歳 ) 17 以上 16 以上 15~17( 歳 ) 19 以上 17 以上 18~29( 歳 ) 20 以上 18 以上 30~49( 歳 ) 20 以上 18 以上 50~69( 歳 ) 20 以上 18 以上 70 以上 ( 歳 ) 19 以上 17 以上 妊婦 授乳婦

エネルギー産生栄養素 エネルギー産生栄養素バランスのポイント エネルギー産生栄養素バランスは エネルギーを産生する栄養素 すなわち たんぱく質 脂質 炭水化物 ( アルコールを含む ) とそれらの構成成分が 総エネルギー摂取量に占めるべき割合 (% エネルギー ) としてこれらの構成比率を指標とした 各種栄養素の摂取不足を回避すると共に 生活習慣病の発症予防とその重症化予防を目的とするものであるが 実質的には 前者を満たした上で 後者を主な目的とするものであるため その指標は 目標量とした 乳児については 母乳における栄養素の構成比をもって 好ましいエネルギー産生栄養素バランスと考えるものとし 1 歳以上について 目標量を設定した

エネルギー産生栄養素バランスのポイント 各栄養素の範囲については おおむねの値を示したものであり 生活習慣病の予防や高齢者の虚弱の予防の観点からは 弾力的に運用する必要がある 脂質については その構成成分である飽和脂肪酸など 質への配慮を十分に行う必要がある 炭水化物については 食物繊維の目標量を十分に注意する必要がある 29

たんぱく質エネルギー比率の目標量の下限 (13% エネルギー以上 ) 推奨量以上であること 非妊娠時 授乳時での 最高値は 13.3%EN(70 歳 ) 妊娠 授乳期では 14.3%EN(18-29 歳妊娠後期 ) たんぱく質の栄養素としての重要性から やや高めに算定 たんぱく質エネルギー比率の目標量の上限 (20% エネルギー未満 ) 耐容上限量 ( 好ましくない代謝 高窒素血症 ) を考慮 成人 :19-22%EN 高齢者 :22-23%EN (2.0g/kg 体重 / 日 )

炭水化物エネルギー比率の目標量の上限 (65% エネルギー以下 ) たんぱく質 脂質の残余として設定 ただし 精製度の高い穀類や甘味料では ミネラル ビタミンの含有量が少なくなる たんぱく質 (13%) 脂質 (20%) 炭水化物は 67%? 65% とした 炭水化物エネルギー比率の目標量の下限 (50% エネルギー以上 ) たんぱく質 脂質の残余として設定 たんぱく質 (20%) 脂質 (30%) 炭水化物は 50% 食物繊維の摂取量が少なくならないように注意が必要

エネルギー産生栄養素バランス (% エネルギー ) 目標量 1 ( 中央値 2 )( 男女共通 ) 脂質 3 年齢等 たんぱく質 脂質 飽和脂肪酸 炭水化物 4, 5 0~11( 月 ) 1~17( 歳 ) 13~20(16.5) 20~30(25) 50~65(57.5) 18~69( 歳 ) 13~20(16.5) 20~30(25) 7 以下 50~65(57.5) 70 以上 ( 歳 ) 13~20(16.5) 20~30(25) 7 以下 50~65(57.5) 1 各栄養素の範囲については おおむねの値を示したものであり 生活習慣病の予防や高齢者の虚弱の予防の観点からは 弾力的に運用すること 2 中央値は 範囲の中央値を示したものであり 最も望ましい値を示すものではない 3 脂質については その構成成分である飽和脂肪酸など 質への配慮を十分に行う必要がある 4 アルコールを含む ただし アルコールの摂取を勧めるものではない 5 食物繊維の目標量を十分に注意すること

活用上の注意と今後の課題 基準とした値の幅の両端は明確な境界を示すものではない 柔軟に対応 脂質ならびに炭水化物はそれぞれの栄養素の 質 脂肪酸 ( 飽和脂肪酸 ) や糖 ( 食物繊維 ) の構成に配慮する 何らかの疾患への取り組みの場合には 摂取実態を把握し 適正な構成比率を判断する エネルギー賛成栄養素バランスは他の栄養素の摂取量にも影響を与える 日本人の摂取量データを用いて詳細に検討する 脂質の目標量の上限を算定するための研究の推進