第 1 部 6 への暴力やセクシュアル ハラスメントの防止 6 への暴力やセクシュアル ハラスメントの防止 (1) 全国調査にみるドメスティック バイオレンス (DV) の実態 内閣府調査によれば 結婚経験者のうち 配偶者 ( 事実婚や別居中の夫婦 元配偶者も含む ) から 身体的暴行 心理的攻撃 性的強要 の何らかの暴力を1 回以上受けた人の割合は では 33.2% では 17.4% にのぼっています の場合 そうした暴力が 何度もあった と回答した人も1 割に達しています 一方 10 代 20 代の時に受けた交際相手からの暴力をみると 被害を受けた経験があるとする回答は すべての年代でが高くなっており 特に 20 歳代のでは 22.8% もの割合で被害を受けていることがわかります 夫から妻への犯罪検挙件数は近年増加傾向にあります 特に 傷害事件は 2000( 平成 12) 年を境に増加し また 2006( 平成 18) 年の暴行事件の検挙件数が 671 件と 前年に比べほぼ倍増しています 図表 6-1 配偶者等からの被害経験 ( 全国 ) * 身体的暴行 心理的攻撃 性的強要 のいずれか 1 つでも受けたことがある (n=1,283) 10.6 22.6 6 2.0 2.6 33.2% (n=1,045) 1 80.9 17.4% 何度もあった 1 2 度あったまったくない 身体的暴行 心理的攻撃 性的強要 身体に対する暴行を受けた 精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫を受けた 性的な行為を強要された コラムドメスティック バイオレンス (DV 配偶者からの暴力 ) ドメスティック バイオレンスは 一般的に 夫や恋人など親密な関係にある 又はあったからに対して振るわれる暴力 という意味で使われています 夫を立て 家を守る良き妻 という性別役割分担意識や 私的領域である家の中に外部から介入すべきでないという考え方から 人に相談がしにくく 暴力を受けていても被害が潜在化しやすい特徴があります 2001( 平成 13) 年 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律 が成立し 2004( 平成 16) 年には暴力の定義の範囲が拡充されました 2007( 平成 19) 年には被害者支援の範囲が拡充される改正が行われ 2008( 平成 20) 年 1 月より施行されます 暴力は重大な人権侵害である ことを認識し に対する暴力の根絶に向けて社会的に取り組む必要があります 44
第 1 部 6 への暴力やセクシュアル ハラスメントの防止 図表 6-2 交際相手からの被害経験 ( 全国 ) 0.7 0.5 0.9 100% * 10 代 20 代で 身体的暴行 心理的攻撃 性的強要 のいずれか 1 つでも受けたことがある (n=872) (n=678) 76.6 8 22.8 18.7 20 歳代 (n=145) (n=83) 10.8 30 歳代 (n=235) (n=166) 7.2 88.0 9 1.2 0.6 40 歳代 3.2 87.1 12.4 (n=202) (n=154) 96.8 50 歳代 3.7 92.1 5.6 (n=178) (n=135) 9 1.5 5.4 2.9 93.8 60 歳代以上 92.9 (n=112) 4.3 (n=140) 80% 60% 40% 20% 0% あった 全くない 図表 6-3 夫から妻への犯罪の検挙状況 ( 全国 ) ( 件 ) 1400 1200 1065 1197 1211 1143 1264 1294 1000 800 600 838 671 400 200 0 112 309 101 43 1996 ( 平成 8) 340 1997 (9) 31 273 129 33 1998 (10) 105 375 1999 (11) 36 134 2000 (12) 124 116 2001 (13) 152 120 2002 (14) 211 133 2003 (15) 230 127 2004 (16) 284 126 2005 (17) 359 117 2006 ( 年 ) (18) 殺人傷害暴行 資料 : 内閣府 平成 19 年版男女共同参画白書 45
第 1 部 6 への暴力やセクシュアル ハラスメントの防止 (2) 暴力に関する相談 配偶者から受けた被害の相談の状況について全国調査をみると の場合 友人 知人 家族 親戚 に相談する割合がそれぞれ約 3 割となっており 身近な人に相談することがうかがえます 一方で 男女ともに どこ ( だれ ) にも相談しなかった とする回答が最も多く では約半数 では8 割以上にのぼります 相談しなかった理由としては 相談するほどのことでもないと思ったから が男女ともに最も多く ( 45.2% 69.7%) なっています また については 自分さえがまんすれば なんとかこのままやっていけると思った 恥ずかしくてだれにも言えなかったから が に比べて割合が高いことがわかります 一方 横浜市における相談の状況をみると 2006( 平成 18) 年度に横浜市男女共同参画センターに寄せられた相談件数 5,995 件のうち ドメスティック バイオレンス が 38.1% を占めており また 同年の福祉相談に寄せられた相談 3,176 件のうち 1,390 件 (43.8%) で暴力が関係しています 今後とも 相談窓口の案内やドメスティック バイオレンスに関する正しい理解のための情報提供や 相談しやすい環境づくり 相談に対する的確な対応などが求められています 図表 6-4 配偶者から受けた被害の 相談先 ( 全国 ) 図表 6-5 相談しなかった理由 ( 全国 ) 友人 知人に相談した 家族や親せきに相談した 警察に連絡 相談した 医療関係者 ( 医師 看護師など ) に相談した 民間の専門家や専門機関民間の専門家や専門機関 ( 弁護士 弁護士会 ( 弁護士 弁護士カウンセラー カウンセリング機関 会 民間シェルターなど ) に相談した 配偶者暴力相談支援センターに ( 婦人相談所の施設相談した) に相談した 法務局 地方法務局 人権擁護委員に相談した相談した 3.4 2.8 0.6 男女共同参画センター / センター 0.6 ( ただし 配偶者暴力相談支援センターの 機能を果たす施設を除く ) に相談した 上記 (1~4) 以外の公的な機関に相談した 学校関係者 ( 教員 養護教員 スクールカウンセラーなど ) に相談した ) どこ ( だれ ) にも相談しなかった (n=179) (n=90) 6.7 5.0 1 29.1 30.2 46.9 84.4 0 20 40 60 80 100 相談するほどのことでもないと思ったから 自分にも悪いところがあると思ったから 自分さえがまんすれば なんとかこのままやっていけると思ったから 相談しても無駄だと思ったから 恥ずかしくて誰にも言えなかったから 相手の行為は愛情の表現だと思ったから 世間体が悪いから 他人を巻き込みたくないと思ったから どこ ( だれ ) に相談してよいのかわからなかったから そのことについて思い出したくなかったから 相談したことが分かると 仕返しを受けたり もっとひどい暴力を受けると思ったからり 相談相手の言動によって不快な思いをさせられると思ったから 20.2 17.1 13.1 14.5 13.1 7.9 9.5 9.5 2.6 7.1 他人に知られると これまで通りのつきあい ( 仕事や学校などの人間関係 ) がつきあい ( 仕事や学校などの人間関係 ) できなくなると思ったから 加害者に 誰にも言うな とおどされたから (n=84) (n=76) 7.1 2.4 7.9 15.8 29.8 26.2 45.2 39.3 44.7 69.7 0 20 40 60 80 100 46
第 1 部 6 への暴力やセクシュアル ハラスメントの防止 図表 6-6 男女共同参画センター 心とからだと生き方の総合相談 ( 横浜市 ) 件数は 男女共同参画センター横浜と男女共同参画センター横浜北の合計 資料 :( 財 ) 横浜市男女共同参画推進協会 事業報告書 平成 18 年度 図表 6-7 横浜市福祉相談 ( 横浜市 ) 暴力にかかわる相談の割合 2006( 平成 18) 年度 暴力なし 56.2% (1,786 件 ) 暴力あり 43.8% (1,390 件 ) 総数 =3,176 件 ( 件数 ) 500 400 300 200 258 緊急一時保護件数 の推移 360 366 473 453 DV 防止法施行 2001 年 ( 平成 13) 年 4 月 13 日 427 393 100 0 2000 ( 平成 12) 2001 (13) 2002 (14) 2003 (15) 2004 (16) 2005 (17) 2006 (18) ( 年度 ) 注 ) 暴力あり は 夫等からに限らず暴力に関わる内容 が含まれる相談 資料 : 横浜市こども青少年局調べ 47
第 1 部 6 への暴力やセクシュアル ハラスメントの防止 (3) セクシュアル ハラスメント 市民意識調査から 市民のセクシュアル ハラスメントによる被害経験をみると 職場 学校 地域活動 の各場面で よりもの方が被害を感じている様子がうかがえます 特に高いのは 職場 で の 5 人に 1 人強 のおよそ7 人に1 人が被害を感じています 同調査で 職場でのセクシュアル ハラスメントと思われる行為の内容についてたずねたところ 上位項目については総じて男女間で共通していましたが の場合は 容姿や年齢について話題にされた (53.3%) が第 1 位となっていて 男女間で認識に大きな差がみられました 一方 上位項目ではないものの 性的な噂をたてられた ( 7.7% 18.1%) 性的な内容の手紙やメール 電話を受けた ( 6.2% 11.4%) は との回答率に差があります 図表 6-8 セクシュアル ハラスメントと思われる行為を受けた経験の有無 ( 横浜市 ) 職場で 学校で 22.7 1 2.7 27.1 2.0 3 36.1 52.0 18.1 13.6 11.9 52.1 53.1 29.3 29.3 セクシュアル ハラスメントと思う行為を受けた経験がある受けたことはない この 3 年の間 職場 学校 地域活動の場にいたことがない 地域活動の場で 9.7 37.2 40.8 12.6 9.8 40.4 44.6 資料 : 横浜市市民局 男女共同参画に関する市民意識調査 平成 17 年度 図表 6-9 セクシュアル ハラスメントと思われる行為の内容 [ 職場で ] ( 横浜市 ) 容姿や年齢について話題にされた 結婚や出産など プライベートなことについてたびたび聞かれた 性的な話や冗談を聞かされた 異性との交際について聞かれた 女 ( 男 ) のくせに 女 ( 男 ) だから などと言われたなどと言われた 宴会などでお酌や宴会などでお酌やデュエットなどを強要された 不必要に身体にさわられた 性的な噂をたてられた 交際を強要された 性的な内容の手紙やメール 電話を受けた 性的な関係を強要された 7.7 6.9 6.7 6.2 11.4 5.0 3.8 2.3 1.0 11.4 25.5 21.0 18.1 24.3 29.5 38.2 35.2 38.2 42.9 37.1 41.9 35.1 39.0 53.3 (n=259) (n=105) 0 20 40 60 80 資料 : 横浜市市民局 男女共同参画に関する市民意識調査 平成 17 年度 48