資料シリーズNo.198『高齢者の多様な活躍に関する取組―地方自治体等の事例―』|労働政策研究・研修機構(JILPT)

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結  果  の  概  要

事業所

26公表用 栃木局版(グラフあり)(最終版)

資料シリーズNo.198『高齢者の多様な活躍に関する取組―地方自治体等の事例―』|労働政策研究・研修機構(JILPT)

平成 21 年経済センサス 基礎調査確報集計結果 (2) 産業分類別 - 従業者数 ( 単位 : 人 %) 北海道 全国 従業者数従業者数 (*2 (*2 A~S 全産業 A~R 全産業 (S 公務を除く )

①-1公表資料(本文 P1~9)

若年者雇用実態調査

①公表資料本文【ワード軽量化版】11月8日手直し版【1025部長レク⑤後】平成30年61本文(元データあり・数値1004版)

経済センサス活動調査速報

< アンケート結果 > 健康経営等に関する設問 Q. 貴社において 改善 解決したい課題はありますか Q. 貴社において 従業員が健康的に働けるよう独自に取り組んでいること ( または今後 取り組んでみたいことは何ですか Q. ご自身の健康のために独自に取り組んでいること ( または今後取り組んでみ

PowerPoint プレゼンテーション

経済センサス活動調査速報

要介護 ( 要支援 ) 認定者 (ⅰ) 要支援 1 ( 各月末日の数 ) 福岡県 43,104 43,023 43,237 43,251 43,318 43,170 43,360 43,331 43,170 42,996 42,742 42,782 福岡県 6,210 6,129 6,188 6,1

29付属統計表(全体)

28付属統計表(全体)

Microsoft Word - コピー ~ (確定) 61発表資料(更新)_

30付属統計表(全体)

所4. 事業所 1. 経営組織別全事業所数 男女別従業者数 総 数 事業所数 1km ( 人 ) 当たり市区町村従業者数 ( 事業内容等事業所数不詳を含む ) ( 注 ) 事業所数事業所数男女 従業者数 鹿 児 島 県 82,752 81, , , ,505 9.

鎌倉市

28付属統計表(全体)

2015 年 6 月 19 日 ジェトロバンコク事務所 タイ日系企業進出動向調査 2014 年 調査結果について ~ 日系企業 4,567 社の活動を確認 ~ 1. 調査目的 タイへの日系企業の進出状況については 2008 年当時の状況について ( 独 ) 中小企業基盤 整備機構が タイ日系企業進出

平成 22 年国勢調査産業等基本集計結果 ( 神奈川県の概要 ) 平成 22 年 10 月 1 日現在で実施された 平成 22 年国勢調査 ( 以下 22 年調査 という ) の産業等基本集計結果が平成 24 年 4 月 24 日に総務省統計局から公表されました 産業等基本集計は 人口の労働力状態

C 労働 (1) 総数 ( 単位人 ) 年齢 (5 歳階級 ) 総 総数主に仕事 C-1 労働力状態 (8 区分 ), 年齢 家事のほか仕事 通勤のかたわら仕事 休業者 98,762 59,160 56,303 45,585 8,703 1, ~19 歳 6,689 1,108 9

第3節 重点的な取り組み

平成 22 年国勢調査 < 産業等基本集計結果 ( 大阪 平成 24 年 5 月 大阪市計画調整局

第 2 章 我が国における IT 関連産業及び IT 人材の動向 1. IT IT IT 2-1 IT IT 大分類 A 農業, 林業 B 漁業 C 鉱業, 採 業, 砂利採取業 D 建設業 E 製造業 F 電気 ガス 熱供給 水道業 G 情報通信業 H 運輸業, 郵便業 I 卸売業, 小売業 J

2 東京都産業労働局雇用就業部調 平成 26 年労働組合基礎調査結果 ( 東京都分 ) 発表 労働組合数 組合員数とも減少 労働組合推定組織率は 23.9% ( 組合 ) 1, 8, 6, 4, 2, ( 万人 ) 組合員数

Microsoft PowerPoint - ★グラフで見るH30年度版(完成版).

厚生労働省発表

調査分析シリーズ(冊子用).indb

取材時における留意事項 1 撮影は 参加者の個人が特定されることのないよう撮影願います ( 参加者の顔については撮影不可 声についても収録後消去もしくは編集すること ) 2 参加者のプライバシーに配慮願います 3 その他 (1) 撮影時のカメラ位置等については 職員の指示に従ってください (2) 参

事業所規模 5 人以上 (1 表 ) 月間現金給与額 産 業 ( 単位 : 円 %) 現金給与総額 きまって支給する給与 所定内給与 特別に支払われた給与 対前月増減差 対前年同月増減差 全国 ( 調査産業計 確報値 ) 278, , ,036

平成25年毎月勤労統計調査

国勢調査結果の農業集落別集計論理書 国勢調査結果を用いて 以下の手法により農業集落別各種世帯数 人口 就業者数の集計 データを市区町村ごとに作成する 1 データ収集 整理 1.1 収集データ (1) 農業集落地図データ (GISデータ): 集落ごとのポリゴンデータ (2) 小地域 ( 町丁 字等 )

Ⅰ 事業所に関する集計 1 概況平成 26 年 7 月 1 日現在の本道の事業所数 ( 国及び地方公共団体の事業所を含む 事業内容不詳の事業所を含む ) は 25 万 3,139 事業所 従業者数は 245 万 7,843 人となっており 全国順位は 事業所数 従業者数ともに 東京都 大阪府 愛知県

Ⅲ 卒業後の状況調査 1 中学校 (1) 卒業者数平成 29 年 3 月の中学校卒業者数は 7 万 8659 人で 前年度より 655 人 (0.8%) 減少している [ 表 57 図 25 統計表 ] 専修学校 ( 一般課程 ) 等入学者 58 人 (0.1%) 専修学校 (

第 10 表 産業大中分類別, 性別, 常用労働者の1 人平均月間現金給与額 規模 5 人以上 TL 調査産業計 年次及び月次 平成 17 年 313, , ,854 50, , ,534 61, , ,321 36,193 平

短時間労働者への厚生年金 国民年金の適用について 1 日又は 1 週間の所定労働時間 1 カ月の所定労働日数がそれぞれ当該事業所 において同種の業務に従事する通常の就労者のおおむね 4 分の 3 以上であるか 4 分の 3 以上である 4 分の 3 未満である 被用者年金制度の被保険者の 配偶者であ

健康保険・船員保険          被保険者実態調査報告

第 10 表 産業大中分類別, 性別, 常用労働者の1 人平均月間現金給与額 規模 5 人以上 TL 調査産業計 年次及び月次 平成 20 年 300, , ,080 48, , ,954 60, , ,246 32,505 平

(2) 予定される行動計画導入方法 ( 問 21 で 2 策定に向けて検討中である と答えた方へ ) 付問 1 一般事業主行動計画は どのような方法で導入する予定ですか ( はいくつでも ) 次世代育成支援対策推進法に基づく 一般事業主行動計画 を策定に向け検討中の事業所で どのような方法で導入する

毎月勤労統計調査地方調査の説明 1 調査の目的この調査は 統計法に基づく基幹統計で 常用労働者の給与 出勤日数 労働時間数及び雇用について 東京都における毎月の変動を明らかにすることを目的としています 2 調査の対象本調査の産業分類は 平成 2 年 10 月改定の日本標準産業分類に基づき 鉱業, 採

事業所規模 5 人以上 (1 表 ) 月間現金給与額 産 業 ( 単位 : 円 %) 現金給与総額 きまって支給する給与 所定内給与 特別に支払われた給与 対前月増減差 対前年同月増減差 全国 ( 調査産業計 確報値 ) 262, , ,075

H30情報表紙 (H30年度)

平成24年経済センサス-活動調査

毎月勤労統計調査 地方調査結果速報 平成30年11月分

結果の概要

第三章:保育士の就業・就職行動と意識

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

Let s ゆとり! キャンペーン好事例 実施期間 : 平成 30 年 9 月 1 日 ~11 月 30 日 参加事業所数 :249 事業所 PickUp! 参加してどんな効果があったの? ゆとりキャンペーン参加事業所の事例紹介 宣言内容 県内一斉 ノー残業デー に参加します 毎月第 2 第 4 水

所4. 事業所 1. 経営組織別全事業所数 男女別従業者数 総 数 事業所数 1km 市区町村従業者数 ( 人 ) 当たり ( 事業内容等事業所数不詳を含む ) ( 注 ) 事業所数事業所数従業者数男女 鹿 児 島 県 82,752 81, , , ,505 9.

FREINS Satei Sheet

都道府県別有効求人倍率 ( 季節調整値 ) 令和元年 5 月 広島 東京 岡山 福井 岐阜 愛知 富山 石川 香川 大阪 鳥取 群馬 三重 長野 新潟 島根 宮城 愛媛 京都 茨城 山口 熊本 福岡 大分 静岡 徳島 山形 福島 宮崎 秋田 奈良 栃木 和歌山 兵庫 岩手 山梨 千葉 鹿児島 埼玉

Microsoft PowerPoint HP掲載資料v6

1 はじめに

6 市町村と連携した就職促進セミナー ( 総括 コーディネート ) 就職活動の進め方 履歴書の書き方 面接対策 等をテーマにしたセミナーを市町村等実施地区の関係者と協力 連携して実施 ( 県内 15 地区 ) 7 新入社員向け職場定着促進セミナー ( 総括 コーディネート ) 概ね入社後 1 年の若

FREINS Satei Sheet

(Microsoft Word - 11 \212T\227v\201i\216\226\213\306\217\212\201j.doc)

1

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 平成 30 年 8 月内容 ハローワーク旭川パート除く常用 有効求人数有効求職者数 1,400 有効求人倍率 ,200 1, ,

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 平成 30 年 9 月内容 有効求人数有効求職者数 1,400 ハローワーク旭川パート除く常用有効求人倍率 ,200 1, ,

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 平成 31 年 3 月内容 有効求人数有効求職者数 1,400 ハローワーク旭川パート除く常用有効求人倍率 , , ,

★外国人公表資料【完成版】

1 概況 ( 調査産業計 ) 賃金 労働時間及び雇用の動きについては (1) 現金給与総額が事業所規模 5 人以上で前年比 0.2% 減少 30 人以上で0.4% 増加 (2) 総実労働時間が事業所規模 5 人以上で前年比 0.9% 減少 30 人以上では変化なかった (3) 推計常用労働者数が事業

調査概要 調査目的 : 調査方法 : 調査対象 : 調査期間 : 兼業 副業に対する企業の意識調査 電話調査法 2,000 社 帝国データバンクが所持している企業データより全国の中小 中堅 大企業をランダム抽出 ( 社員規模は 10 名以上 ) 2017 年 1 月 6 日 ~1 月 27 日 集計

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 令和元年 6 月内容 有効求人数有効求職者数 1,400 ハローワーク旭川パート除く常用有効求人倍率 ,200 1, ,

平成29年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果

08飯山(__26.2月).xls

H26-5-all

H26-5-all

平成26年経済センサス‐基礎調査(確報)結果の公表

(2) 男女別の公的年金加入状況平成 22 年 11 月末における 20~59 歳の男子の公的年金加入状況をみると 第 1 号被保険者が 979 万 6 千人 ( 男子人口に対し 29.5%) が 2,262 万 1 千人 ( 同 68.2%) が 11 万 3 千人 ( 同 0.3%) であり (

ワークス採用見通し調査

1 15 歳以上人口の就業状態 富山県の 15 歳以上人口 人のうち 有業者は 人 ( 全国 6621 万 3 千人 ) と 平成 24 年と比べると 人減少しています 有業率 (15 歳以上人口に占める有業者の割合 ) についてみると 59.5%( 全国 5

宮崎労働局 宮崎労働局発表平成 26 年 8 月 29 日解禁 報道関係者各位 雇用失業情勢 ( 平成 26 年 7 月分 ) Press Release 照会先 宮崎労働局職業安定部 部 長 上村有輝 職業安定課長 森山成人 労働市場情報官 多田真理子 ( 代表電話 )0985(38)8823 平

正 島根 公表資料(1P)

⑤資料4~8高卒状況の推移

図 -33 退職金制度の有無 第 33 表退職金制度の有無とその根拠 ( 事業所数の割合 ) (%) 退職金退職金制度の根拠退職金区分合計制度有労働協約就業規則社内規定その他無回答制度無調査計 (100.0) (3.0) (

第1回「若手社員の仕事・会社に対する満足度」調査   

中央労働災害防止協会発表


労働力調査(基本集計)平成29年(2017年)平均(速報)結果の概要

雇用失業情勢2908

(1) 政府の方針 (2) 近年の法改正の動向 (3) 国の高齢者雇用施策の概要 2 神奈川県の取組 (1) シニア ジョブ スタイル かながわ (2) 神奈川生涯現役促進協議会の取組 (3) 第 10 次神奈川県職業能力開発計画 (4) 経済団体への要請 (5) シルバーベンチャーの創出促進 (6

一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

第 18 表都道府県 産業大分類別 1 人平均月間現金給与額 ( 平成 27 年平均 ) 都道府県 鉱業, 採石業, 砂利採取業建設業製造業 円円円円円円円円円 全国 420, , , , , , , ,716 28

山形県富山県秋田県福井県群馬県福島県島根県鳥取県長野県栃木県宮崎県新潟県佐賀県石川県岩手県山梨県岐阜県青森県徳島県茨城県三重県大分県山口県香川県熊本県岡山県鹿児島県沖縄県静岡県高知県和歌山県宮城県愛媛県長崎県滋賀県北海道愛知県福岡県広島県奈良県兵庫県千

事業タイトル 秋田犬と暮らし生涯現役社会を目指すハチ公のふるさと大館 事業構想提案団体 : 大館市高齢者活躍支援協議会 ( 事業対象地域 : 秋田県大館市 ) 大館市は平成 17 年に周辺町と合併したが 65 歳以上の高齢者が 36% をしめるなど 人口減少と高齢化が深刻 な状況である 一方 合併か

就業構造基本調査について 就業構造基本調査は, 我が国の就業 不就業の実態を明らかにすることを目的とし, 昭和 31 年の第 1 回調査以来ほぼ3 年ごと,57 年以降は5 年ごとに実施している 平成 24 年調査の対象は, 全国の世帯から選定した世帯 ( 約 47 万 ) にふだん住んでいる 15

目次. 独立行政法人労働政策研究 研修機構による調査 速報値 ページ : 企業調査 ページ : 労働者調査 ページ. 総務省行政評価局による調査 ページ

< 結果の要約 > 1. 概況 平成 21 年 7 月 1 日現在の我が国の企業グループ数は2 万 7 千 会社企業 180 万 7 千企業のうち 企業グループに属する会社企業数は9 万企業 (%) 子会社数は6 万 3 千社で 1 企業グループ当たりの子会社数は2.4 社 会社企業の従業者 412

★外国人公表資料本文

⑤資料4~8高卒状況の推移(更新)_

(1) 事業所ベース 1 表産業別規模別事業所 企業数 ( 民営 非一次産業 2012 年 ) 中小事業所うち小規模事業所 大事業所 合計 産業 事業所数 構成比 (%) 事業所数 構成比 (%) 事業所数 構成比 (%) 事業所数 構成比 (%) 鉱業, 採石業, 砂利採取業 2,

機構ニュース223号

外国人労働者の雇用実態に関するアンケート調査結果 速報版 平成 30 年 12 月 山形県商工労働部 1. 調査目的 県内における外国人労働者の実態等について調査を実施し 今後の外 国人材の活用施策の検討材料とする 2. 調査期間 平成 30 年 10 月中旬 ~11 月中旬 3. 調査対象 方法

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

Microsoft Word - 単純集計_センター長.docx

雇用の現状_季刊版2014年夏号

Transcription:

第 7 章福岡県の事例 - 市町村との協力関係 - 第 1 節地域のすがた 本章では 福岡県の事例を紹介する 1 福岡県の年齢別の人口推移は 図表 7-1 に示すとお りである 図表 7-1 福岡県の年齢別人口推移 ( 人 ) 6000000 5000000 870290 997798 1123376 1304764 1339441 4000000 3000000 2000000 1000000 0 3393080 3326610 3227932 3057855 3029437 742740 701195 684124 676045 675202 2000 年 2005 年 2010 年 2015 年 2016 年 0~14 歳 15~64 歳 65 歳以上 出所 : ふくおかデータウェブ 平成 28 年福岡県の人口と世帯年報 (http://www.pref.fukuoka.lg.jp/dataweb/ji nko-2016y.html) より筆者作成 産業構造は 卸売 小売業 医療 福祉 製造業が中心的な位置を占めていると言える ( 図 表 7-2) 1 福岡県のヒアリング調査では 福岡県 70 歳現役応援センターの坪根千恵子氏 野中康弘氏 福岡県福祉労働部労働局新雇用開発課の三井朋美氏 公益財団法人九州経済調査協会の原口尚子氏にご協力いただいた 調査に応じてくださった皆様には記して謝意を表したい また 本調査は 2017 年 10 月 5 日 6 日に実施されたものであり 本報告は調査時点の内容であることに留意されたい -71-

図表 7-2 福岡県の産業別従事者数および事業所数 ( 人 ) ( 箇所 ) 600000 70000 500000 60000 400000 50000 300000 40000 30000 200000 20000 100000 10000 0 0 農業, 林業 漁業 鉱業, 採石業, 砂利採取業 建設業 製造業 電気 ガス 熱供給 水道業 情報通信業 運輸業, 郵便業 卸売業, 小売業 金融業, 保険業 不動産業, 物品賃貸業 学術研究, 専門 技術サービス業 宿泊業, 飲食サービス業 生活関連サービス業, 娯楽業 教育, 学習支援業 医療, 福祉 複合サービス事業 その他サービス業 従事者数 事業所数 出所 : 福岡県 産業中分類 経営組織別事業所数及び従事者数 より筆者作成 また 図表 7-3( 参考資料 5 再掲 ) に記すように 福岡県は 65 歳以上就業率が低い一方 1 人当たり後期高齢者医療費 (2010 年 ) が全国一高く 医療費削減の上で 高齢者の就労に よる健康増進及び健康寿命の延伸は 効果が期待できると考えられる -72-

図表 7-3 都道府県別 65 歳以上就業比率と 1 人当たり後期高齢者医療費 出所 : 厚生労働省 平成 24 年版労働経済の分析 分厚い中間層の復活に向けた課題 を筆者が編集 ( 第 1 章参考資料再掲 ) 65 歳以上就業比率は 2000 年 1 人当たり後期高齢者医療費は 2010 年のデータを使用 第 2 節福岡県 70 歳現役応援センターの取組 前節で示した地域的課題のある中 福岡県では 全国に先駆けて 年齢にかかわりなく活躍し続けることができる選択肢の多い 70 歳現役社会づくりに取り組んできており ( 図表 7-4 7-5) 2012 年に 福岡県 70 歳現役応援センター ( 以下 センター と表記 ) が設置された 図表 7-4 70 歳現役社会概念図 出所 : ヒアリング当日配布資料を筆者が編集 修正 -73-

図表 7-5 70 歳現役社会づくりのあゆみ 2010 年 6 月 福岡県 70 歳現役社会づくり研究会 創設 2010 年 11 月 福岡県 70 歳現役社会づくり研究会 東京会議開催 2011 年 9 月 福岡 70 歳現役社会推進協議会 設立 70 歳現役推進大会 開催 2012 年 4 月 福岡県 70 歳現役応援センター 開設 2012 年 7 月 70 歳現役社会づくりモデル地域事業スタート 2013 年 4 月 70 歳まで働ける企業 への入札参加資格審査加点制度導入 2013 年 5 月 福岡県 70 歳現役応援センター北九州オフィス 開設 2013 年 11 月 福岡県とセブン イレブンとの包括連携協定締結 2014 年 4 月 九州 山口 70 歳現役社会づくり 研究会設置 2015 年 1 月 九州 山口 70 歳現役社会づくり 研究会中間報告会 ( 東京開催 ) 九州 山口 70 歳現役社会推進協議会 設立 2015 年 6 月 九州 山口 70 歳現役社会推進大会 開催 福岡県 70 歳現役応援センター久留米オフィス 飯塚オフィス 開設 2015 年 10 月 第 1 回九州 山口 70 歳現役社会推進協議会 ( 幹事会 ) 開催 2016 年 7 月 第 2 回九州 山口 70 歳現役社会推進協議会 ( 幹事会 ) 開催 2016 年 10 月 第 3 回九州 山口 70 歳現役社会推進協議会 ( 幹事会 ) 開催 2017 年 5 月 第 4 回九州 山口 70 歳現役社会推進協議会 ( 幹事会 ) 開催 2017 年 11 月 第 5 回九州 山口 70 歳現役社会推進協議会 ( 幹事会 ) 開催 九州 山口 70 歳現役社会推進大会福岡県大会 開催 出所 : 福岡県ホームページ 70 歳現役社会 の実現を目指して (http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/70-ge neki.html) を筆者が編集 修正 センターは 企業に 70 歳まで働ける制度 (70 歳以上までの定年引上げ 70 歳以上までの継続雇用制度 定年廃止 ) の導入の働きかけを行うと同時に 社会参加を望む高齢者に対し専門相談員が個別に相談し 経歴や希望を踏まえた上で 情報提供 職業紹介 ( 後述するように ) シルバー人材センターへの取次ぎ ふくおか子育てマイスター をはじめとする県の制度の奨励といった支援を行ってきた ( 図表 7-6) -74-

図表 7-6 福岡県 70 歳現役応援センターの機能および体制 出所 : 九州 山口 70 歳現役社会推進協議会 九州 山口 70 歳現役社会づくりパンフレット を筆者が編集 修正 センターでは 連携事業より以前から本来事業として相談事業に取り組んできた センタ ー自体は就労以外の多くの活躍の選択肢を用意しているものの 利用登録者の 98% は就労を 目的としている ( うち 86% 程度が生きがいや仲間づくりを目的としている ) 2 また セン 3 ターには シルバー人材センター 及び高齢者能力活用センターが週 1 回出張窓口を設置している他 高齢者が子育て支援の現場で活躍するための ふくおか子育てマイスター制度 の窓口も併設されている センターに相談に来れば このような幅広い選択肢を知ることが できる センターの相談によるマッチング件数は 図表 7-7 に示すとおりである 2 ヒアリング当日配布資料より 3 飯塚オフィスの高齢者能力活用センターの出張窓口は月 1 回 -75-

利用登録者数 ( 人 ) 1380 1834 2542 2574 2597 10927 進路決定者数図表 7-7 センターによるマッチング件数等 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 2016 年度累計 のべ相談件数 ( 件 ) 5028 9601 14059 16597 18143 63428 就職 ( 人 ) 293 680 1023 1318 1472 4786 NPO ボランティア等 ( 人 ) 13 37 19 24 20 113 出所 : ヒアリング当日配布資料より筆者作成 また センター利用登録者の男女比は 2016 年度では男性 1621 人 (62%): 女性 976 人 (38%) となっている 4 センターの理念としては 単に高齢者に仕事をあっせんするだけでなく その仕事に定着できることを重視している あっせん後も センターに配置されたコーディネーターが 就労後の様子を事業主や本人に聞いて アフターフォローを行っている センターが開拓した求人に就職した者の 3 ヶ月後の定着状況は 図表 7-8 のようになっている 図表 7-8 2016 年 1 12 月におけるセンターが開拓した求人への 就職者の 3 ヶ月後の定着状況 (N=371)( 人 ) 82 289 就職継続 離職 出所 : ヒアリング当日配布資料より筆者作成 センターの見解としては 高齢者を若い労働力の代替として雇っても長くは続かないため 高齢者の個別の状況やニーズに合わせた丁寧な仕事の切り出しとマッチングを行っていくこ 4 ヒアリング当日配布資料より -76-

とが 定着には重要だという センターによる仕事の切り出しの例としては 人手不足に困っている自動車修理業務のものがある ( 図表 7-9) この例では 洗車や納車まですべて整備士が行っていた状態から その部分の仕事を切り出して高齢者に任せることで 整備士の負担を軽減することに成功している 図表 7-9 自動車修理業務における高齢者雇用に向けた業務切り出しの例 出所 : 福岡県 70 歳現役応援センター 高齢者雇用の手引き 小売業編 より引用 センターでは こうした具体的事例を同業かつ同規模の事業所に紹介することで 企業へ の高齢者雇用の啓発を図っている 第 3 節生涯現役促進地域連携事業の概要 県の生涯現役促進地域連携事業 ( 以下 連携事業 と表記 ) は センターでの取組を中心に据えて実施されている ( 図表 7-10) -77-

図表 7-10 連携事業と福岡県 70 歳現役応援センターの概念図 出所 : 福岡県 70 歳現役応援センターより提供 連携事業におけるセンターの取組として 以下ではセカンドキャリア応援セミナーと職種 別講習会を取り上げる また センターの各企業への認知がまだ行き届いていないため ( 図 表 7-11) 連携事業を通したセンターとその取組の周知も図られている -78-

図表 7-11 事業所の福岡県 70 歳現役応援センターの認知度 (N=462)(%) 3.5 11.9 84.6 知っていた知らなかった無回答 出所 : 公益社団法人福岡県雇用対策協会 小売業の高年齢者雇用に係る事業所 アンケート調査結果 より筆者作成 特に 2016 年度 12 月から福岡県の主要産業の 1 つである小売業に特化してアプローチしており 小売業の高年齢者雇用に係る事業所アンケート を実施した これは事業所の高齢者雇用の実態や考え方を調査しているものだが この調査を通して各事業所に連携事業を周知することにも成功している 小売業の事業所の規模は様々だが 50 人前後程度の中規模の小売業者をターゲットにしていくことが有効であると考えられている 小売業の高年齢者雇用に係る事業所アンケート においては 30 49 人 50 99 人の従業員規模の事業所が 県の連携事業におけるターゲットになると考えられる ( 図表 7-12) 図表 7-12 今後の 65 歳以上の新規雇用の予定 ( 従業員規模別 )(%) 区分 考えている 考えていない わからない無回答 1~9 人 (N=134) 7.5 56.7 33.6 2.2 10~29 人 (N=163) 12.9 41.7 42.9 2.5 30~49 人 (N=50) 10.0 34.0 54.0 2.0 50~99 人 (N=37) 21.6 40.5 32.4 5.4 100 人以上 (N=68) 19.1 32.4 45.6 2.9 無回答 (N=10) 30.0 20.0 20.0 30.0 出所 : 公益社団法人福岡県雇用対策協会 小売業の高年齢者雇用に係る事業所アンケート調査結果 より筆者作成 なお 福岡県 70 歳現役社会推進協議会 は図表 7-13 で示すような構成になっている これは 2010 年 6 月に設置された 福岡県 70 歳現役社会づくり研究会 を母体として 2011 年 9 月に設立されたもので 連携事業の開始以前から存在し センターとともに高齢者の就労等を推進してきたものである -79-

本章で紹介する連携事業の具体的な取組としては セカンドキャリア応援セミナー ( 以下 セミナー と表記 ) 職種別講習会があり 第 2 節で紹介したセンターの本来事業と一体的 に展開され それらの事業がより効果のあるものとなっている 図表 7-13 福岡県 70 歳現役推進協議会 構成団体 福岡県経営者協会 経済団体 労働者団体 高齢者関係団体 福岡県商工会議所連合会福岡県商工会連合会福岡県中小企業団体中央会日本労働組合総連合会福岡県連合会 ( 公社 ) 福岡県高齢者能力活用センター ( 公社 ) 福岡県シルバー人材センター連合会 ( 社福 ) 福岡県社会福祉協議会 ( 公社 ) 福岡県老人クラブ連合会 福岡県地域婦人会連絡協議会 ( 特非 ) ふくおか NPO センター NPO 団体等関係団体行政顧問 高齢社会をよくする北九州女性の会地域づくりネットワーク福岡県協議会 ( 特非 ) えふネット福岡 ( 公社 ) 福岡県雇用対策協会福岡県福岡県市長会福岡県町村会法政大学大学院教授藤村博之九州経済産業局 福岡労働局 出所 : 福岡県ホームページ 福岡県 70 歳現役社会推進協議会 (http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/70kyogikai.html) を筆者が編集 修正 1 セカンドキャリア応援セミナーセミナーは年間 20 回開催し 1 回につき 15 人程度の参加者となっている 20 回のうち 4 回は センターの福岡 北九州 久留米 飯塚の 4 オフィスで開催し 16 回は 県内各地の市と共催の形で市庁舎の会議室や公民館で開催している ( 市はセミナーの広報にも協力している ) セミナーの開催日程については図表 7-14 を参照のこと -80-

図表 7-14 2017 年度のセミナーの日程 苅田町 5 月 19 日 久留米市 9 月 14 日 行橋市 5 月 25 日 古賀市 9 月 15 日 柳川市 6 月 7 日 小郡市 9 月 21 日 大牟田市 6 月 15 日 北九州市小倉北区 11 月 2 日 筑後市 6 月 30 日 中間市 11 月 17 日 福岡市 7 月 7 日 北九州市八幡西区 11 月 30 日 糸島市 7 月 13 日 飯塚市 1 月 19 日 筑紫野市 7 月 27 日 田川市 1 月 24 日 福津市 9 月 1 日 直方市 1 月 31 日 宗像市 9 月 7 日 朝倉市 3 月 1 日 出所 : ヒアリング当日配布資料を筆者が編集 修正 2 職種別講習会小売業の講習会では 接客マナーをロールプレイング形式で実施し 2013 年に締結された福岡県のセブン イレブンとの包括連携協定を活かし セブン イレブンのレジを持ち込んでレジ体験も行っている 前述のとおり センター利用登録者の男女比は 2016 年度では 6:4 であったが 小売業の接客の講習会では圧倒的に女性が多くなっている ( 福岡市では 27 人の参加申し込み者のうち男性 6 人 女性 21 人 北九州市では 23 人の参加申し込み者のうち男性は 8 人 女性 15 人 ) 3 今後の課題とまとめ連携事業の取組の課題としては あくまで県単位の事業であるため 細かな地域の特性に合わせたものになっていないことがある 特に 北九州地区や筑豊地区ではセミナーへの参加が比較的芳しくない状況があり その内容や広報の仕方に改善の余地がある 県の連携事業は センターの取組を中心として展開されている センターは本来事業として 相談事業や コーディネーターによる就労後のアフターフォロー 高齢者の状況や就労ニーズに合わせた業務の切り出しを行っていた 連携事業においては センターでは 主要産業の 1 つである小売業に焦点を当て セカンドキャリア応援セミナー 職種別講習会によって 高齢者及び事業所の啓発を進めている 本報告が紹介した福岡県の事例では 県単位で連携事業を営むに当って 市町村の協力を得て 県の産業や人口といった特徴を踏まえ 業種を絞って様々な事業が展開されていた 特に 企業の啓発の面では 同業種 同規模の事業所の具体的な高齢者雇用の成功例を示す方が効果的だと考えられ 今後さらに小売業の求人やマッチング数も増えていくことが期待される -81-