~ 改正の変遷 ~ (1) 平成 12 年度改正前相続人 受贈者がの場合には 国内財産のみ課税 (2) 平成 12 年度改正後 平成 25 年度改正前平成 12 年度改正 : 相続人 受贈者について国籍主義を導入 H12 年度改正 : 国内財産 国外財産ともに課税 相続人 受贈者 相続人 受贈者 被

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2. 改正の趣旨 背景 国内に住所を有しないことにより相続税 贈与税の課税を免れる租税回避行為を抑制するため 平成 12 年度改正 ( 相続人 受贈者の国籍による納税義務判定の導入 ) 平成 25 年度改正 ( 相続人 受贈者が日本国籍なしの場合の課税強化 ) が行われてきた 平成 29 年度改正で

2017年度税制改正 相続税・贈与税国外財産に対する納税義務の範囲の見直し

2018年度改正 相続税・贈与税外国人納税義務の見直し

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問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

国外転出時課税制度(出国税)の導入

用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 意義 所得税法 ( 所法 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) をいいます 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行令 ( 昭和 40 年政令第 96 号 ) をいいます 改正所令 所得税法施行令の一

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

( 外国 ) 同上 ケース ( ) 相続人が取得した全 2 財産に対して課税 ( 外国 ) 国内財産に対しての み課税 ケース ( ) 相続人が取得した全 3 財産に対して課税 ( 外国 ) 同上 ( 平成 25 年度税制改正より ) ケース ( ) 被相続人 相続人いず 4 れも 5 年超居住の場

2017年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点

12. 小規模宅地等の特例の見直し 1. 改正のポイント (3) 適用時期平成 30 年 4 月 1 日以後に相続又は遺贈により取得する宅地等に係る相続税について適用される ただし (2)1 の改正について 平成 30 年 3 月 31 日においての別居親族の要件を満たしていた宅地等を平成 32 年

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

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税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 テーマ 1 居住者 非居住者判定テーマ 2 課税範囲についてテー

平成 29 年度税制改正解説資産課税 納税義務の見直し 1 国外財産に関する相続税 贈与税の納税義務の範囲が見直されます 被相続人が日本国籍を有しない者であって 一時的滞在 ( 2) をしていたものを除く 2

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相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

Microsoft Word - 第58号 二世帯住宅の敷地にかかる小規模宅地等の特例

税制改正大綱―資産課税・相続税等の見直し

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

平成19年12月○日

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

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Microsoft Word - 文書 1

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

2018年度税制改正大綱 - 資産税関連の主な改正点

( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

1. 相続税 (1) 基礎控除額の引き下げ 1) 改正の趣旨現在 ( ) の相続税の仕組みは 下図の通りです すなわち 合計課税価格から 基礎控除額を除いた課税遺産総額が相続税の計算の対象となるため 合計課税価格が基礎控除額の範囲内である場合には 相続税が課税されません その結果として 現状の相続税

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5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

Microsoft Word - 36号事業承継.doc

Microsoft Word - 第65号 二世帯住宅と小規模宅地等の特例

である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

第 5 章 N

事業承継税制の拡充・資産税逃れ対策等

2011年税制改正のポイント

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

LEC 会計大学院紀要第 12 号 研究ノート 日米国際相続における生存配偶者の相続税 遺産税および所得税上の取扱い 大塚正民 目次 3 つの設例 設例 1 設例 2 設例 3 各設例の検討 設例 1 日本の相続税および所得税アメリカの連邦遺産税および連邦所得税設例 2 日本の相続税および所得税アメ

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叔父から財産の贈与(1~3) を受けた場合 1/1 12/31 2/1 3/15 相選養続択与子贈時届贈精出縁与算書与 1組課提2 税出3 暦年課税相続時精算課税 養子縁組前の贈与 1については 暦年課税により贈与税額を計算し 養子縁組以後の贈与 2 及び 3は 相続時精算課税により贈与税額を計算し

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て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

相続税に関するチェックリスト

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税金読本(13-1)贈与税と二つの課税方法

平成 29 年度税制改正大綱 の概要と主要項目 個人所得税では 個人所得課税改革第 1 弾として 配偶者控除 配偶者特別控除の見直しが行われ 今後数年をかけて 基礎控除をはじめとする人的控除等の見直し等が行われる 資産税では 財産評価において相続税法の時価主義の下 実態に即した評価を行う見直しが行わ

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

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新・NPO法人申請マニュアル.pwd

ビジネス・タックス・ロー・ニューズレター

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

A&K パートナーズ税理士法人 秋山税理士事務所 秋山総合研究所 1

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

船橋市遺児手当支給条例 船橋市遺児手当支給条例昭和 46 年 3 月 31 日条例第 22 号改正昭和 48 年 3 月 31 日条例第 13 号昭和 49 年 4 月 1 日条例第 18 号昭和 50 年 4 月 1 日条例第 14 号昭和 52 年 3 月 31 日条例第 17 号昭和 53 年

目次 第 1 相続税 贈与税の納税義務者の範囲 1 第 2 国外財産の評価 12 第 3 国外財産の評価をめぐる事例 ( 国税不服審判所平成 28 年 2 月 4 日裁決 ) 14

Ⅲ 納付 [Q6] 申告 納付等の期限の延長が認められた場合 延滞税 利子税はどのようになりますか また 加算税は賦課されますか 7 [Q7] 今般の熊本地震災害により被害を受けましたが 納税の猶予はどのような場合に受けることができますか 8 [Q8] 納税の猶予の 相当の損失 とはどの程度の損失を

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 所得税法 ( 所法 ) 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行規則 ( 所規 ) 租税特別措置法 ( 措法 ) 国税通則法 ( 通法 ) 国税通則法施行令 ( 通令 ) 国税通則法施行規則 ( 通規 ) 金融商品取


参考. 改正前の制度概要 ( 改正対象は太字 ) (1) 税の納税猶予の全体像 ( 概要 ) の要件 会社の代表者であったこと 時には代表権を有していないこと と同族関係者で決議数の 50% 超の株式を保有かつを除いた同族内で筆頭株主であったこと 認定対象会社の要件 の要件 会社の代表者であること

日本国法務省 外務省 厚生労働省及び警察庁とカンボジア王国労働職業訓練省との間の在留資格 特定技能 を有する外国人に係る制度の適正な運用のための情報連携の基本的枠組みに関する協力覚書 ( 仮訳 ) 日本国法務省 外務省 厚生労働省及び警察庁 ( 以下 日本の省庁 と総称する ) 並びにカンボジア王国

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

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2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

アクタスマネジメントサービス㈱

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

スライド 1

時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

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金融商品と資金運用

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

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2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

Transcription:

相続税 贈与税の国外財産に対する納税義務の見直し 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 高度外国人材等が日本で働きやすいように 在留資格により一時的に日本に住所を有する外国人同士の相続 贈与については 国外財産を相続税 贈与税の課税対象としないこととする 2 日本に住所を有しないことにより相続税 贈与税の課税を免れる租税回避行為が問題視されているため 抑制を図る (2) 内容 1 日本に住所のある外国人につき 在留資格をもって一時的滞在をしている場合等には 相続税 贈与税の課税対象を改正前の 国内及び国外双方の財産 から 国内財産のみ に限定し 課税範囲を縮小する 2 被相続人 ( 贈与者 ) 相続人 ( 受贈者 ) のいずれもが 5 年超日本に住所を有しない場合 国内財産のみが課税対象であったが このルールが 10 年超に改正される 3 相続人 ( 受贈者 ) が日本に住所を有せず 日本国籍を有しない場合でも 被相続人 ( 贈与者 ) が 10 年以内に日本に住所を有していたときは 国内及び国外双方の財産が相続税 贈与税の課税対象になる (3) 適用時期平成 29 年 4 月 1 日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用 (4) 影響 1 外国人が日本に駐在する際の懸念事項であった日本の相続税 贈与税の課税対象が 国内財産のみに限定されることにより 外国人材等の受入れが促進される 但し 滞在期間等に一定の要件があるため 注意が必要である 2 例えば 親子とも日本から海外に住所を移しても 10 年間は国内及び国外双方の財産が日本の相続税 贈与税の課税対象になる

~ 改正の変遷 ~ (1) 平成 12 年度改正前相続人 受贈者がの場合には 国内財産のみ課税 (2) 平成 12 年度改正後 平成 25 年度改正前平成 12 年度改正 : 相続人 受贈者について国籍主義を導入 H12 年度改正 : 国内財産 国外財産ともに課税 相続人 受贈者 相続人 受贈者 被相続人 贈与者 被相続人 贈与者 日本国籍あり 日本国籍なし 問わない 国内財産国外財産ともに課税 国内財産のみに課税 国内財産 国外財産ともに課税 国内財産のみに課税 (3) 平成 25 年度改正後 平成 29 年度改正前平成 25 年度改正 : 相続人 受贈者が日本国籍なしの場合について課税強化 被相続人 贈与者 相続人 受贈者 H25 年度改正 : 国内財産のみに課税 国内財産 国外財産ともに課税 国内財産 国外財産ともに課税 日本国籍あり 日本国籍なし 国内財産のみに課税 問題点 : 子を海外に居住させることにより 国外財産を課税対象外とすることができた H12 年度改正により課税強化 問題点 : 日本国籍を持たない子を海外居住させ その上で親が海外に転居し 国外財産を贈与税の課税対象外とする事例が生じた H29 年度改正により課税強化 問題点 : 例えば 子をハワイで出生してアメリカ国籍を取得させ 海外居住させれば国外財産を課税対象外とすることができた H25 年度改正により課税強化 問題点 : 親子ともに海外に居住して 5 年超が経過した場合 国内財産のみが課税の対象となるため 租税回避目的で 5 年を想定した移住の事例が生じた H29 年度改正により課税強化

(4) 平成 29 年度改正後 国内 国外財産に課税 国内財産に課税 被相続人贈与者 相続人受贈者 国内に居住 一時居住者 ( 1) 10 年以内に住所あり 日本国籍あり 国外に居住 左記以外 日本国籍なし 国内に居住 一時居住者 ( 1) A 10 年以内に住所あり C ( 3) 国外に居住 日本国籍のない短期滞在者 ( 2) 上記以外 B 日本国内財産のみ課税 ( 変更なし ) 1 出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格 ( 外国の大使 高度人材 プロスポーツ選手などが対象 ) を有する者であって 相続開始 贈与前 15 年以内に日本に住所を有していた期間の合計が 10 年以下であるもの 2 相続開始 贈与前 15 年以内に日本に住所を有していた期間の合計が 10 年以下であり 当該期間引き続き日本国籍を有していなかったもの 3 H29.4.1~H34.3.31 までの間の非居住外国人 (H29.4.1 以後から相続 贈与の時まで引続き日本に住所を有しない者で 日本国籍を有しない者 ) からの相続 贈与については 国内財産のみの課税として取扱われる

1 改正点 A: 在留資格 ( 1) をもって日本に一時的に住所を有する者に対する課税対象の縮小 改正前は 外国人がたまたま日本に住所を有する時に死亡すると 国外に住む親族が国外の財産を相続する場合であっても その国外財産は日本の相続税の課税対象であった ( 出典 ) 平成 29 年度税制改正に関する経済産業省要望 概要 改正後は 日本に赴任している外国人が日本で亡くなった場合 被相続人等及び相続人等が在留資格 ( 1) をもって一時的滞在 ( 2) をしているケースならば 国内財産のみ を相続税の課税対象とする つまり 外国企業の外国人駐在員が日本に駐在しているケースでは 日本に滞在している間に駐在員が亡くなった場合 日本国内の財産についてだけ日本の相続税の課税対象となり 海外の財産については課税対象とならない また 日本に住所を有する外国人駐在員の親 ( 海外居住 ) が死亡し その外国人駐在員が親から相続する国外財産についても 改正前は日本の相続税の課税対象であったが 改正後は 日本の相続税の課税対象外となる ( 1) 出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格 ( 2) 一時的滞在とは 国内に住所を有している期間が 相続開始前 15 年以内で合計 10 年以下の滞在をいう ( 注 ) 贈与税の納税義務についても同様とする

2 改正点 B: 被相続人 ( 贈与者 ) 相続人( 受贈者 ) のいずれもが 10 年超日本に住所を有しない場合 国内の財産のみに課税する ( 5 年 を 10 年 にする課税強化 ) 改正前は 親子ともに海外に移住し 5 年超 経過したのちに 国外財産を贈与 相続することにより国外財産を課税対象外とする租税回避行為が見られた この対応策として 5 年超 を 10 年超 とし 課税の強化を図る 改正後は 親と子 ( 日本国籍あり ) がともに海外に移住してから 10 年超を経過した場合には 相続税 贈与税において国内財産のみが課税対象となる 3 改正点 C: 相続人 ( 受贈者 ) が日本国籍なし 日本に住所なしのケースで 被相続人 ( 贈与者 ) が相続開始 贈与前 10 年以内に日本に住所を有していれば 国内及び国外双方の財産に課税する ( 課税強化 ) 改正前は ハワイで出生して日本国籍を取得しなかった子 ( 日本に住所なし ) に対して 親が一時的に住所を国外に移した上で 国外財産を贈与する租税回避行為が見られた これに対する課税強化が行われる 改正後は 日本に住所を有せず 日本国籍を有しない相続人 受贈者 ( 例えば ハワイで出生して日本国籍を取得しなかった子 ) が 日本に住所を有しない被相続人 贈与者から相続 贈与により財産を取得する場合 被相続人 贈与者 ( 日本国籍を有しない者であって一時的滞在をしていたものを除く ) が相続開始 贈与前 10 年以内に日本に住所を有していたときは国内財産だけでなく 国外財産も課税対象に含めることとする

3. 適用時期 平成 29 年 4 月 1 日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用される 4. 改正の影響と留意点 (1) 高度外国人材等の受入れの促進 一時的に日本に住所を有する外国人同士の相続 贈与の場合等には 国外財産 ( 本国の自宅等 ) が日本の相続税 贈与税の課税対象外となる 課税範囲が縮小されることで 日本への駐在の阻害要因が取り除かれ 高度外国人材等の受入れが促進されると考えられる 但し 在留資格者 ( ) であっても日本での滞在期間が無制限ではないことに注意が必要である 日本に住所を有している期間が過去 15 年以内に合計 10 年を超えると 全世界課税となる 出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって在留する者をいう (2) 親子とも日本から海外に住所を移す場合 10 年間は国内財産 国外財産ともに課税 現在 親子とも海外移住した後 5 年を経過しているケースで いずれ国外財産の贈与を予定している人も 改正により 海外移住後 10 年超 を経過していなければ 全世界課税となる