レベチラセタム 新規抗てんかん薬として日本では 2010 年に薬価収載 適応 : てんかん患者の部分発作 ( 二次性全般化発作を含む ) 代謝 排泄 : 肝臓で 1/3 代謝 (CYP を介さない : 相互作用がほとんどない ), 腎臓で 2/3 排泄 t1/2: 約 8 時間 (2 日弱で定常状態

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(別添様式)

スライド 1

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

新しい抗てんかん薬

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

Epilepsy2015

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

No.16-35

Sep :28:29

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

患者向医薬品ガイド フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg 2016 年 5 月作成 この薬は? 販売名 フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg Fycompa Tablets 2mg Fycompa Tablets 4mg 一般名 ペランパネル水和物 Perampanel Hydrate

スライド 1

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

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緒言

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

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(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

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試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

用法 用量 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制 mg mg mg mg kg 30kg 40kg 20kg 30kg 10kg 20kg 5kg 10kg 1900mg mg mg mg

Microsoft Word - JAID_JSC 2014 正誤表_ 原稿

審査結果 平成 26 年 1 月 6 日 [ 販 売 名 ] ダラシン S 注射液 300mg 同注射液 600mg [ 一 般 名 ] クリンダマイシンリン酸エステル [ 申請者名 ] ファイザー株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 8 月 21 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 7

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

減量・コース投与期間短縮の基準

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

要望番号 ;Ⅱ-183 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者学会 ( 該当する ( 学会名 ; 日本感染症学会 ) ものにチェックする ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 1 位 ( 全 8 要望中 ) 要望する医薬品

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症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

24 CQ2 医療機関受診時にけいれん発作が続いている場合, 最初に試みるべき治療は何か 推奨 1. 第一選択薬としてミダゾラム もしくはジアゼパムの静注を行う.1 回静注で発作収束しない場合は,5 分後に同量を静注することができる推奨グレード A 2. 血糖値を迅速測定し, 低血糖があれば速やかに

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

用法・用量DB

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査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

学術委員会学術第 1 小委員会 慢性腎臓病(CKD) 患者への適正な薬物療法に関する調査 研究 ~ 腎機能低下患者への投与に関係する添付文書記載の問題点の調査 ~ 委員長東京薬科大学薬学部医療実務薬学教室竹内裕紀 Hironori TAKEUCHI 委員白鷺病院薬剤科和泉智 Satoshi IZUM

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

添付文書の薬物動態情報 ~基本となる3つの薬物動態パラメータを理解する~

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Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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(別添様式1)

抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

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TDMを活用した抗菌薬療法

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日本内科学会雑誌第98巻第12号

(別添様式)

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

要望番号 ;Ⅱ-24 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 8 位 ( 全 33 要望中

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1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

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の状態により適宜減量する 成人 A 法 : 他の抗悪性腫瘍剤との併用において ブスルファンとして 1 回 0.8 mg/kg を生理食塩液又は 5% ブドウ糖液に混和 調製して 2 時間かけて点滴静注する 本剤は 6 時間毎に 1 日 4 回 4 日間投与する なお 年齢 患者の状態により適宜減量す

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

添付文書がちゃんと読める 薬物動態学 著 山村重雄竹平理恵子城西国際大学薬学部臨床統計学

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別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 商品名 : イチョウ葉脳内 α( アルファ ) 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) 弊社では当該製品 イチョウ葉脳内 α( アルファ ) と同一処方の製品を 200

食欲不振 全身倦怠感 皮膚や白目が黄色くなる [ 肝機能障害 黄疸 ] 尿量減少 全身のむくみ 倦怠感 [ 急性腎不全 ] 激しい上腹部の痛み 腰背部の痛み 吐き気 [ 急性膵炎 ] 発熱 から咳 呼吸困難 [ 間質性肺炎 ] 排便の停止 腹痛 腹部膨満感 [ 腸閉塞 ] 手足の筋肉の痛み こわばり

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

医薬品の添付文書等を調べる場合 最後に 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 特定の文書 ( 添付文書以外の文書 ) の記載内容から調べる場合 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 最後に 調べたい医薬品の名称を入力 ( 名称の一部のみの入力でも検索可能


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第 66 回厚生連病院共同治験審査委員会 会議の記録の概要 開催日時開催場所出席委員名 議題及び審議結果を含む主な議論の概要 2018 年 09 月 19 日 18 時 00 分 ~18 時 20 分日本文化厚生農業協同組合連合会 8 階中会議室高瀬浩造 西田博 板井勉 田中克巳 江口善美 山崎きよ


ダラツムマブってどんな薬? 初発の患者さん ( 初めて治療を受ける患者さん ) の治験募集についてー 米国で承認された ダラツムマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 名古屋市立大学病院血液 腫瘍内科診療部長飯田真介先生です Q1 ダラツムマブという薬が米国で承認され

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

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ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

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本書の読み方 使い方 ~ 各項目の基本構成 ~ * 本書は主に外来の日常診療で頻用される治療薬を取り上げています ❶ 特徴 01 HMG-CoA 代表的薬剤ピタバスタチン同種同効薬アトルバスタチン, ロスバスタチン HMG-CoA 還元酵素阻害薬は主に高 LDL コレステロール血症の治療目的で使 用

データの取り扱いについて (原則)

腎薬ニュース第 5 号 (2007 年 6 月 ;2012 年 1 月加筆修正 ) 熊本大学薬学部臨床薬理学分野平田純生 添付文書どおり腎機能に基づいた投与量にしても起こるアシクロビル中毒の原因は? 1. アシクロビル中毒の症状は? 慢性腎臓病 (CKD) 患者に頻発するアシクロビル バラシクロビル


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CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

④資料2ー2

(別添様式1)

Transcription:

レベチラセタムの静注薬 2016/3/15 慈恵 ICU 勉強会 薬剤部明石岩雄

レベチラセタム 新規抗てんかん薬として日本では 2010 年に薬価収載 適応 : てんかん患者の部分発作 ( 二次性全般化発作を含む ) 代謝 排泄 : 肝臓で 1/3 代謝 (CYP を介さない : 相互作用がほとんどない ), 腎臓で 2/3 排泄 t1/2: 約 8 時間 (2 日弱で定常状態に達する ) 初回負荷が必要ない 薬理作用 神経伝達物質放出の調節に関与すると考えられる SV2A への結合 N 型 Ca2+ チャネル阻害作用 細胞内 Ca2+ 遊離抑制作用 GABA 及びグリシン作動性電流に対する アロステリック阻害の抑制作用 神経細胞間の過剰な同期化の抑制作用など 2014/6/3 慈恵 ICU 勉強会 フェニトインとレベチラセタム 一部改変

適応 ( イーケプラ 点滴静注添付文書より ) 1. 効能又は効果 一時的に経口投与ができない患者における 下記の治療に対するレベチラセタム経口製剤の代替療法 てんかん患者の部分発作 ( 二次性全般化発作を含む )

レベチラセタム静注 ( イーケプラ 点滴静注 ) 医療上の重要性を考慮し 意識障害 手術など 何らかの理由で一時的に経口投与ができない患者に対して てんかん治療を継続するための新投与経路医薬品として開発され 欧州で 2006 年 3 月 米国では 2006 年 7 月に承認を取得し 世界 40 以上の国又は地域で承認されている (2014 年 11 月現在 ) 本邦では 2011 年より臨床試験が開始され 2014 年 7 月に一時的に経口投与ができない患者における抗てんかん薬との併用療法 2015 年 2 月に経口剤と同様の効能 効果を取得し単剤療法も可能 ( イーケプラ 点滴静注インタビューフォームより )

用法用量 ( 添付文書より ) レベチラセタムの経口投与から本剤に切り替える場合 : 通常 レベチラセタム経口投与と同じ 1 日用量及び投与回数 にて 1 回量を 15 分かけて点滴静脈内投与する レベチラセタムの経口投与に先立ち本剤を投与する場合 : 成人 : 通常 成人にはレベチラセタムとして 1 日 1000mg を 1 日 2 回に分け 1 回量を 15 分かけて 点滴静脈内投与する 小児 : 通常 4 歳以上の小児にはレベチラセタムとして 1 日 20mg/kg を 1 日 2 回に分け 1 回量を 15 分かけて 点滴静脈内投与する ただし 体重 50kg 以上の小児では 成人と同じ用法 用量を用いること

いずれの場合においても 症状により 適宜増減できるが 1 日最高投与量及び増量方法 は以下のとおりとすること 成人 : 成人では 1 日最高投与量は 3000mg を超えないこととし 増量は 2 週間以上の間隔 をあけて 1 日用量として 1000mg 以下ずつ行う 小児 : 4 歳以上の小児では 1 日最高投与量は 60mg/kg を超えないこととし 増量は 2 週間以上の間隔 をあけて 1 日用量として 20mg/kg 以下ずつ行う ただし 体重 50kg 以上の小児では 成人と同じ 投与量を用いること

薬物動態 健康成人における経口剤から注射剤への切り替え試験 健康成人 ( 日本人 25 例 ) にレベチラセタム 1500mg を 15 分間点滴静脈内投与又は経口投与したとき 経口投与時と比較して 点滴静脈内投与時の Cmax は約 1.6 倍高く AUC 及び t1/2 は類似していた なお レベチラセタム経口投与時の生物学的利用率は約 100% であった

肝機能障害時の用量 健常者および軽度 中等度の肝機能障害患者 (Child-Pugh 分類の A,B) ではレベチラセタムの全身クリアランスに差はなかった しかし重度の肝機能障害患者 (Child-Pugh 分類の C) では全身クリアランスは正常な被験者の半分であった Clin Pharmacol Ther. 2005 Jun;77(6):529-41. 軽度から中等度の肝機能障害では LEV の用量調節を必要としない 重度の肝機能障害では推奨用量の半分にすべき Front Neurol. 2013; 4: 192.

腎機能障害時の用量 イーケプラ インタビューフォーム LEV の過半数 (66%) は 主に腎排泄である 腎不全では約 25 時間まで半減期が延長する 腎機能別に患者における用量を減少させるべきである 約 50% が 4 時間透析によって除去することができる CRRT:1 回 250 ~ 750 mg を 12 時間おきに投与 Front Neurol. 2013; 4: 192. up to date LeveXracetam: Drug informaxon

有害な影響 最も一般的な副作用 : 疲労 緊張 全身衰弱 神経過敏 興奮 情緒不安定 うつ病 気分のむら めまい 不安 不安定 発作 記憶喪失 混乱 増加した反射神経 知覚異常 攻撃性を含む神経行動 認知機能低下 および自殺のリスクの増加 他の一般的な副作用 : 過敏性反応 感染症 筋肉痛 鼻炎 および食欲不振 Front Neurol. 2013; 4: 192.

ICU でのレベチラセタム静注の意義は? 重大な副作用がほとんどない 薬物間相互作用がほとんどない (CYP に影響を受けない 添付文書上では相互作用の記載はなし ) 中程度の肝機能障害までは通常量使用できる TDM が必要ない 経口と違い 消化管が損傷していても大量に投与できる 今までの抗痙攣薬と比べ 有効性は?

成人および年長児における一般痙攣性てんかん重積状態 (SE) の治療アルゴリズム Lancet Neurol 2015; 14: 615 24 ロラゼパム バルプロ酸の注射は 2016 年 3 月現在日本では発売されていない

てんかん重積の治療のためのセカンドラインの抗てんかん薬の研究 Lancet Neurol 2015; 14: 615 24

てんかん重積におけるレベチラセタムと他の薬剤の比較

Prehospital treatment with leve5racetam plus clonazepam or placebo plus clonazepam in status epilep5cus (SAMUKeppra): a randomised, double-blind, phase 3 trial Lancet Neurol. 2016 Jan;15(1):47-55. 全身痙攣性てんかん重積状態 (GCSE) においてベンゾジアゼピンは病院に入院する前に有効であるとされている GCSE において入院前にクロナゼパムで治療した患者にレベチラセタムの追加が有効かを無作為化 二重盲検 フェーズ 3 優越性試験を行い検討 (SAMUKeppra 試験 ) クロナゼパム + プラセボ (n=68) クロナゼパム + レベチラセタム (n=68) プライマリアウトカム : 痙攣の 15 分以内の消失

ベンゾジアゼピン ( クロナゼパム ) によるファーストラインの治療後の追加レベチラセタムは 入院前の GCSE の制御においてクロナゼパムによる治療に勝る利点を提示しない レベチラセタムによる長期的な効果を調査する必要がある

Leve5racetam versus lorazepam in status epilep5cus:a randomized, open labeled pilot study J Neurol (2012) 259:645 648 てんかん重積状態 (SE) の管理については ロラゼパム (LOR) は第一選択として フェニトインまたはホスフェニトインは第二選択として推奨されている これらの薬剤は 有意な毒性を持っている 静脈内レベチラセタム (LEV) が利用可能となっているが その有効性と安全性は報告されていない 無作為化 オープンラベルのパイロット研究 LOR と LEV の比較を行った

SE は LOR で患者の 41 例中 31 例 (75.6%) LEV では 38 例中 29 例 (76.3%) で制御することができた LOR は 人工呼吸の必要性が有意に高く また低血圧が有意に高い頻度であった SE の治療において LEV は LOR の代替になり 呼吸障害や低血圧のある患者では好ましいことがある

Intravenous leve5racetam treatment in status epilep5cus: A prospec5ve study Epilepsy Research (2015) 114, 13 22 てんかん重積における静注 LEV の効果の多施設前向き研究 救急部門 神経学で その発作の臨床的特徴に応じて分類された患者で実施 てんかん重積発作においてジアゼパム静注で治療がうまくいかなかった患者 (N=30) に静脈 LEV を投与した 痙攣を伴うてんかん重積 (CSE)14 人 痙攣を伴わないてんかん重積 (NCSE)11 人 持続部分てんかん (EPC)5 人 結果 : てんかん重積発作は 23 人 (76.6%) で改善した レベチラセタムの静注はてんかん重積においてベンゾジアゼピン後の第一選択となりうる

Management of generalised convulsive status epilep5cus (SE):A prospec5ve randomised controlled study of combined treatment with intravenous lorazepam with either phenytoin, sodium valproateor leve5racetam Pilot study Epilepsy Research 114 (2015) 52 58 ロラゼパム使用中の一般的な痙攣てんかん重積の患者 (N=150) においてフェニトイン (N=50) バルプロ酸 (N=50) レベチラセタム (N=50) の有効性を比較した単施設 RCT 投与量 ロラゼパム 0.1mg/kg フェニトイン 20mg/kg バルプロ酸 30mg/kg レベチラセタム 25mg/kg

レベチラセタム (N = 50) においては 発作は ロラゼパム + レベチラセタムで 39 人 (78%) で制御することできた フェニトイン バルプロ酸 レベチラセタムの間に統計的に有意な差は認められなかった

Leve5racetam versus phenytoin in management of status epilep5cus Journal of Clinical Neuroscience 22 (2015) 959 963 SE の二次治療で IV が可能なものはフェニトイン ホスフェニトイン バルプロ酸と限られている レベチラセタムは SE において有望な選択肢となるが セカンドラインの薬剤の相対的有効性を比較する無作為化試験が著しく不足している IV PHT(20mg / kg) または IV LEV(20 mg / kg ) の RCT 主要エンドポイント薬剤注入の開始後 30 分以内に発作活動が喪失 二次エンドポイント入院中 24 時間以内の発作の再発 薬物関連の副作用 退院時の神経学的転帰 換気支援の必要性 死亡率

LEV と PHT の両方が一次および二次アウトカム指標に関して同様に有効であった PHT は 15 人 (68.2%) LEV は 13 人 (59.1%) の患者で SE を制御することができた (P=0.53) 退院時の発作の再発に関して同等の結果を示した 結論 :LEV は SE の管理において PHT の代替にすることができる

外傷時の発作におけるレベチラセタムと他の薬剤の比較

Changing trends in the use of seizure prophylaxis after traumatic brain injury: A shift from phenytoin to levetiracetam Journal of Cri5cal Care (2013) 28, 883.e9 883.e13 外傷性脳損傷のガイドラインでは外傷後の発作のリスクを減少させるために損傷後 7 日間の抗てんかん薬の投与を推奨している フェニトインはこの期間の発作のリスクを 73% 低下させるとされている レベチラセタムは代替手段だが 同等の有効性を示すとされている フェニトイン対レベチラセタムで治療した患者で外傷性脳損傷 7 日後に発作の発生率を評価し 抗てんかん薬の有効性を比較した後ろ向きコホート研究

フェニトインとレベチラセタム投与群のうちそれぞれ 1 例ずつ外傷後発作が起きた フェニトインとレベチラセタム投与群入院中の予防期間に差はなかった

静注のレベチラセタム承認後はレベチラセタムを好む傾向が見られた

A prospec5ve mul5center comparison of leve5racetam versus phenytoin for early poszrauma5c seizure prophylaxis J Trauma Acute Care Surg Volume 74, Number 3 脳外傷財団のガイドラインは 早期外傷後発作 (PTS) を防止するための発作予防を推奨 フェニトイン (PHE) が一般的に使用される レベチラセタム (LEV) は外傷性脳損傷におけるデータは不足しており より高価であるが TDM を必要としない代替品として導入されている 早期の PTS を防止するための LEV と PHE の有効性を比較した多施設観察研究 主要評価項目として 入院 7 日以内に発生した 臨床的に初期の PTS において PHE と LEV を比較

結果 :1191 人の患者中 組み入れ基準を満たしていなかった 378(31.7%) を除いた 813 人 (68.3%)(LEV 406 人と PHE 407 人 ) を分析 LEV と PHE の間に有意差はなかった 初期の PTS の予防において LEV が PHE を上回る結果は出なかった 血中濃度確認のためのコストと必要性は 予防薬を選択をする際に考慮すべき事項である

レベチラセタム静注の有効性および忍容性

Intravenous leve5racetam in clinical prac5ce Results from an independent registry Seizure. 2015 Jul;29:109-13. 抗てんかん薬の一般的な臨床試験は除外基準や厳格な治療レジメンの仕様のため 日常の診療を反映するものではない 静脈内投与レベチラセタム (LEV-IV) の有効性および忍容性を評価するため大規模な非介入レジストリを提示 ドイツにおける 17 の神経および小児神経センターで 10 ヶ月間 すべての年齢層での LEV-IV 治療の患者 観察期間は 10 日 LEV- 静脈内投与の毎日のドキュメント 発作の種類や頻度 現在使用される薬剤や投与量 および有害事象 (AE) を評価

重大な副作用は観察されなかった 忍容性 有効性:96% の患者で 十分 以上の評価 簡便性:92% の患者で 簡単 の評価 経口への切り替え:95% の患者で 簡単 の評価

まとめ レベチラセタムは既存の抗痙攣薬と比べ 有効性は同等であると考えられる 既存の抗痙攣薬に比べ 相互作用がない 使用方法が簡便である 経口へ切り替えやすい TDM が必要ないなどの点で使用しやすい 呼吸障害や低血圧などがある患者に対して使用しやすいと思われる

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