大阪府知事への諫言 大阪府知事橋下徹様 2008( 平成 20) 年 5 月 10 日 大阪府立高等学校教職員ネットワーク 貴方は 4 月 11 日 知事の直轄プロジェクトチームの 1100 億円削減計画を発表しました 私たちは これまでも二度にわたり 知事宛に PT 試案の全面的な撤回と財政再建策の見直しを求める要望書を提出しています 本日 改めて 知事の行政姿勢と人件費削減などについて意見と要望を行ないます この試案が強行されれば 府民に直結するあらゆる施策の切り捨てや負担増をもたらし 教育や文化 大阪の歴史的伝統を破壊することにつながります 学校運営も教育活動も大 きな打撃を受けます すでに貴方が押し通した暫定予算で 例えば 8 学級規模の定時制高校では 普通教科の教材費が わずか数千円で 8 月まで教科運営をしなければならない状況に追い込まれています 自費で教材を購入している教師も出てきています 非常勤雇用の人々も かつてなく不安定な状況に追い込まれています 皆さんが あり得ない暴挙 と声をそろえ 不信と怒りを表明しています 非常勤雇用の教職員は 7 月までの雇用期限で不安定な状況に追い込まれています 貴方の 改革 =PT 試案 の内容を知れば知るほど 府民 関係者は批判を強め 怒りを増幅させ 各界各層で 反対運動や要望 要求 怒りと不安が広がっています PT 試案撤回と見直しの署名に反対する人は皆無に近いです 貴方への 期待 とPT 試案の内容には 落差が大きいという実態を知ってください 貴方は こういった批判に論理的に 的確に反論できていません 論理をすり替え ご自分の主張をまくし立てているだけのように見えます 子どもの教育を憂うる親たちや博物館や図書館にまで 費用効果があるのか? との論理を振り回し 金銭や利益で大阪府と職員の仕事や施設を値踏みし 府民や職員にはとうてい同意できない自分の偏った価値観を押しつけているように見えます 1
弥生博物館の金関館長が 教養のサービスを 金銭で考えるのか と 知事の姿勢を 批判しています (5 月 2 日毎日新聞 ) が 貴方はこういう金銭で評価できない価値というものをすべて否定するのですか? 貴方のような価値観が 普通の価値観だと本当に信じているのですか? じっくりと他の人の意見をきく余裕と度量をもって欲しいものだと思います 府庁内の部局で一切調整していない数字合わせの PT 試案を 11 人の職員に出させ さも 大阪府の正式の財政再建策かのように マスコミを動員して宣伝をしていますが こうい うやり方は行政の進め方として フェアではありません これでは 行政組織を統括する知事として 真に指導性を発揮しているとはいえません PT 試案を発表する直前の部長級の意見交換会で 貴方は 理念がない という部長らの批判を認め 理念を打ち出していなかったのは 私の責任 と認めたのではなかったですか? 府民だけでなく 庁内幹部や職員の共感や支持を得ない政策を強行しようとは 尋常な沙汰ではありません このような知事の姿勢を 多くの人々が憂慮しています まず削減額ありきで理念なし のPT 試案が一人歩きし 府民と府下市町村 府庁と全職員を混乱と不安 激しい不満と要求を巻き起こしていることをご存知ですか? 知事 貴方一人のために 府民は多大な迷惑と不信 混乱の中にいます 府庁内でも 府下各地でも あり得ない めちゃくちゃ という言葉が 合言葉のように言われています 知事 貴方は 裸の王様 になってはいませんか? 貴方は 180 万人の府民の支持があった と抗弁するでしょうね しかし 貴方は こ の PT 試案を持って 知事選挙を闘ったのですか? 貴方を支持した府民は こんなはずで はなかった と 嘆いているはずです 知事 貴方が 府民の絶大な支持得ている と自負するなら 一旦 辞職されて この PT 試案を あなたのマニフェストとして府民に大々的に提示し 再出馬 当選してから 断行されたら如何ですか? 採用試験受験志望の説明会に出て 知事 貴方の人件費削減計画を説明し かつ 私の言うことを聞いてくれない人は大阪府を受験しないでほしい 職員になってもすぐやめてもらう と志望者たちにいうことができますか? 貴方の姿勢や主張は 到底世間に受け入れられないことばかりだと思います 2
地方自治なんか知らなくてもよい (5 月 10 日朝日 ) と言う貴方に 地方行政を目指 す若者をただしく指導 勧誘できるのですか? そういう貴方の下で 地方行政に携わる職 員の苦労がお分かりになりませんか? 今後は 知事としての見識をもって発言してください 知事 貴方は 形式的には府民の意見や要望を聞く行脚を続けていません しかし 結局のところ 汗をかいてもらいたい ご協力をお願いします とはおっしゃるばかりです PT 試案 1100 億円削減額にこだわり 最後は知事が決断する と府民の要望に応える姿勢は見せません 知事 貴方のように 泣いて問題が解決するなら みな泣きたいです 関係者との話し合いでも 感情的に反発し ご自分の意見や方針に固執する姿勢が常です これらのことは 先の府議会の数度にわたる問題発言撤回と謝罪騒ぎ マスコミにおける報道でも明らかです 普通の職員 幹部なら 職の罷免 左遷につながる不祥事です 確か 5 月 7 日の 10 チャンネルでも 二人の言語研究者 2 人が登場し 貴方の発言と内容の分析をしていました 論理的でなく 感情的反発と感情の振幅が大きく 一緒に死んで下さい とかの 脅し のマイナス語が多いと分析していました 一度 ビデオ再録で見て下さい 私もふくめて府民の多くも 貴方のこれまでの発言を聞いて そう感じていた方が多い と思います 知事就任直後 私の方針に従わない職員には 退職してもらう などとも 確かに言っていましたね この発言に私たち職員も 弁護士としては 不穏当であり 知事として憲法や地方公務 員法無視の姿勢と感じていました 感情に任せて好きなことを言うのは タレント時代は 許されたでしょうが 知事としては全く通用しません 反省してください もう少し冷静に 論理的な話ができないものでしょうか? 自分の考えが絶対! では 最後は 府民や支持者から見放されるのではないでしょうか? 貴方は知事ですから 府民や職員が貴方の言動をじっと見ています 若さはいいですが 感情に任せた 恥ずかしい振る舞いや言動は慎んでください 子どもも見ています 知事が 3 月 2 日に河内長野市の小学校を訪問した時 貴方が テ レビを見る時間を少なくするよう にと児童たちに説いたところ 一人の児童が テレビ があったからおっちゃんは知事になれたんやで と言ってのけたと 報道されていました 3
子どもたちは貴方をしっかり見ていますよ 発言には 責任と品格を持って 大阪の知事としてふさわしい姿勢で臨んでください 若さはいいのです しかし 若くても責任感と品格をもった人は多いです 庁内にもそのような職員がたくさんいます 職員を見下した言い方ではなく 仕事に精通し 誠心誠意職務に忠実な部下たちから学ぶ姿勢も欲しいです 文化大革命時代の毛沢東の紅衛兵ではないのですから 若手職員だけでなく 幹部職員 や中堅職員も よく信頼して仕事を任せる行政手腕と姿勢がほしいです そうでなければ 仕事が進みません PT メンバーも困るでしょう 5 月 7 日の知事の職員人件費削減に関する発言には 正直言って驚きました 5 月 8 日の新聞報道で知りました これは 同日の朝日新聞の報道です ここ十何年の間に退職した人に 退職金を返してもらい ( 財政再建の ) 財源にしてもらいたい 大規模事業の損失は ( 府の職員以外の ) 誰が責任を取るのか? 人件費削減は 府民の声 これは 4 月 23 日の毎日新聞の報道です 涙 自分でも絶妙なタイミングだったと思う 府庁職員が人件費削減案を自ら出して きたので 感極まった 知事のこの発言にはつよく抗議します PT の人件費削減は 府庁職員が 自ら出した のではなく 知事の人件費削減の大号令があり 私の改革に反対するものは 府をやめて もらう という いわば半ば脅しの中で PT 試案がまとめられたのではないのですか? 人件費削減提示に関わり 知事は 自分が感極まるほど泣いたのが 絶妙のタイミング とおっしゃっていますが その思いが 府職員の思いと本当に同じかどうか 全職員に知事のPT 試案に支持か 不支持かをアンケートでもとって確認してみては如何ですか? 人件費削減を自ら言い出した知事に忠実な府職員像を勝手に作り上げて 自らの精神の脆弱さを糊塗する言い訳にする貴方の姿勢を歓迎する職員は皆無に近いでしょう ここ十何年の間に退職した人に 退職金を返してもらい ( 財政再建の ) 財源にしても らいたい 大規模事業の損失は ( 府の職員以外の ) 誰が責任を取るのか? 4
人件費削減は 府民の声 職員はみな 知事 貴方のこれらの発言の冷たさ 偏狭さに驚きます 関空やりんくう開発を推進した政府や財界 府議会与党に 責任はないのですか? 府の 職員と府民だけが責任を負うのですか? 高額な府議員報酬や行政調査費について 発言し たことがありますか? 大阪府の財政をこれだけ悪化させた原因は 90 年代に景気回復策として大型事業をおしつけて 借金漬けにした国の景気対策 小泉改革 = 三位一体改革 により 500 億円以上 (2007 年度 ) の府への財源を削ってきた国 = 政府の地方切り捨て政策に主要な責任があるのではないですか? 大規模事業の損失を招いた国と府議会与党各派 歴代知事は 失政と巨額赤字の責任 を取れ は 府民の声ではないのですか? 貴方は権力に媚びて 弱者にばかり犠牲を強いているのではないですか? そういう傾向 はありませんか? 自省してみてください 4 月 24 日の朝日新聞の報道 ( 橋下会見 23 日 ) によると 山口 2 区補選の自民党候補支援ビデオメッセージ ( 公選法違反で物議 ) の内容 = ガソリン暫定税率廃止は無責任 自民 公明に信頼をよせて欲しい について 記者から 市町村に対する態度とダブルスタンダードで違和感がある と質問されたのに対して 国にモノ申すには 自民 公明との関係を築かないとできない 理屈ではない と答えたとされています そういう関係を構築しているなら 知事 貴方を支持してかつぎだした国政の与党と政府に談判して 500 億円の財源を取り戻す努力や働きかけをしましたか? これから 財政再建案をまとめる前提として 地方交付金や財源譲渡などで財源を確保する決意はありますか? これを放置していて 府民 弱者 職員にだけ犠牲を強いる行政姿勢は 強者や権力に 弱い という批判を招いています 府の職員の賃金は 全国でもラスパイレス指数で 42 番目の低さです 府人事委員会勧告 も無視され 24 ヶ月延伸 夏冬の一時金の一律カット 退職金の削減で 職員は既に 年間 53 億円も損害をこうむっています PT 試案で示された 400 億円は これに追い討ちをか 5
けるもので 職員の生活破壊をもたらします 論理で議論するのではなく 泣くことを利用するのは 自分の論理や根拠の脆弱さを示すものではないですか? またこれをテレビが映像に利用するのは 一緒の詐術的な表現方法で 表現の自由を乱用するものです あのような所業を 普通の人は 大人ではあり得ない そう見ていますよ アメリカの政治家でしたら これでだけで 有権者や世論から完全に見放されるようなことです 4 年前に大阪府を退職した女子教職員が 大学同窓の和歌山県教員である友人の退職金が 300 万円も多かった と ぼやいていました 当時よりも 現在はもっと悪いです 3 年前に 岩手大学から大阪府立大学に割愛転入した大学教授が 24 ヶ月延伸を理由に 給与が 4 万円近く下がったといって現給保障を求めています 東北から大都市に移転し生活は大変だと言っています こういう実態も知ってほしいと思います 府民と職員にしわ寄せするしか方策のない これまでの弱い知事や私利私欲の政治家に 不信感を覚えます 知事 貴方にはそういう知事であってほしくないのです 国 = 政府と与党の財政政策と関西財界や府議会与党と連携した歴代府知事の失政により 大阪府民と職員は 家計からバブル借金のツケ払いに多額のお金を収奪されてきました もうこれ以上はたくさんです 今や これは普通の国民の意識と感情です 知事 貴方は建設業界から 15 分ないし 20 分間のスピーチで 毎回数十万円の不当 不適正な謝礼を受け取り 責任をとって知事選出馬を断念した太田前知事が わずか 6 年間で 8 千万円を大きく超える退職金をもらった事実をご存知ですね 私たちは 2 月 5 日に 全額返上をすべきだ とする要求を 文書で太田知事宛てに致しました こういう状況が放置され 財政破綻を招いた責任があいまいにされ すべて府民と職員にしわ寄せを負わせる知事 貴方のPT 試案を基本とした財政再建では 大阪府財政の真の再建はなく 府民 職員から収奪されたお金が またぞろ家計から土建行政のツケ払いに消えることは 明白です 山口 2 区補選の自民候補応援で 10 年間で 54 兆円の道路建設を約束することにつながる ガソリン暫定税率 の廃止に反対し 自民 公明に信頼をよせて欲しい と 国交省や道路利権族への期待を表明した知事 貴方の姿勢は それを予測させます 国民や府民の意識や要望とは大きな乖離があります これが 誤解だと言うなら 政府権力や与党にも はっきりと言ってください いいやすい弱者や職員にコワモテの姿勢は よい政治手法ではありません 6
テレビ出演は 公務でない 個人収入だ (2 月 1 日知事発言 ) として別ポケットがあ り これまでも 3 億円の年収があったと報道される知事の生活では予想できないでしょう が 私たちの生活は大変厳しいものとなっています もうこれ以上の人件費削減は やめてください 府の職員は PT 試案の人件費削減案をまったく認めていません よく検討して PT 試案を撤回し 府民参加 職員参加の財政再建案を練り上げてください 以上 7