序章 計画改定の背景 足立区では 昭和 57 年 3 月に 大地震による火災から区民の生命と財産を守る た め 足立区防災まちづくり基本計画 を策定し この計画に基づき各種事業を展開し てきました その後 平成 7 年 1 月 17 日に発生した阪神 淡路大震災では 密集市街地に被害が 集中し 改め

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計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

2 計画 ( 素案 ) からの主な変更点 1 はじめに頁主な変更点 1 これまでの経緯に 不燃化特区補助制度の指定 地区計画と都市防災不燃化促進事業の導入についての記載を追加 また 大和町中央通り沿道地区は 平成 26 年に不燃化特区補助制度 ( 平成 32 年度まで ) の対象区域に指定されるとと

2

第18期火災予防審議会地震対策部会

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(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

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防災まちづくりの具体的な方向性を示す 方針 は 防災まちづくりに関するキーワードごとに 以下の12 項目にまとめました 防災まちづくりの方針 防災( 安全 安心 ) 地域コミュニティ ひと 1 多様な世代の交流や地域活動への参加が 防災 減災活動を支えるまち ( 自助 共助の話し合いが活発に行われて

( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

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第 3 号様式 ( 第 3 条関係 ) 不燃化推進特定整備地区整備プログラム 品川区 豊町 丁目 二葉 3 4 丁目及び西大井 6 丁目地区 平成 25 年 11 月第 1 回変更認定平成 27 年 10 月第 2 回変更認定平成 29 年 3 月 品川区

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目次 方針策定の背景 1-1. 用途地域指定の基本的な考え方 1-2. 住居系 [ 第一種低層住居専用地域 ] [ 第二種低層住居専用地域 ] [ 第一種中高層住居専用地域 ] [ 第二種中高層住居専用地域 ] [ 第一種住居地域 ] [ 第二種住居地域 ] [ 準住居地域 ] [ 田園住居地域 ]

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資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

新曽中央地区 地区まちづくり協定 & 地区計画 ~ 水に親しみ緑あふれる 歩いて楽しいまち ~ の実現に向けて 新曽中央地区 このパンフレットについて 戸田市は 新曽中央地区のまちづくりを推進するため 新曽中央東部 西部地区まちづくり協議会との協働による検討を進め 平成 24 年 3 月に 戸田市都

1 整備目標 方針 地区名大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目地区位置東京都品川区大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目の全域地区の現況 課題 現状 当地区は 品川区の南に位置しており 北側に滝王子通り 東側に補助 28 号線 ( 池上通り ) 西側にJR 東海道新幹線及びJR 横須賀線 南側に大田区

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

世田谷区

葛飾区

1 整備目標 方針 地区名 大森中地区 ( 西糀谷 東蒲田 大森中 ) 西糀谷一丁目 西糀谷四丁目 北糀谷二丁目 東蒲田二丁目の全域位置大森中二丁目 大森中三丁目 西糀谷二丁目 西糀谷三丁目 東蒲田一丁目 南蒲田一丁目の各一部地区の現況 課題 現況 当地区の幹線道路沿いは商業 業務施設及び中高層の集

目 次 1 基本方針 再開発を促進すべき地区等の整備又は開発の方針... 2 別表再開発促進地区の整備又は計画の概要... 3 都市再開発方針図 ( 総括図 )... 6 都市再開発方針附図

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大阪市防災 減災条例 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章本市の責務 ( 第 4 条 - 第 7 条 ) 第 3 章市民の責務 ( 第 8 条 ) 第 4 章事業者の責務 ( 第 9 条 ) 第 5 章災害予防 応急対策 ( 第 10 条 - 第 25 条 ) 第 6

区域の整備 開発及び保全に関する方針 地区施設の整備の方針 建築物等の整備の方針 (1) 道路の整備方針区域内外との円滑な交通ネットワークの形成と歩行者等の安全で快適な歩行環境の向上を図るため 街区幹線道路及び区画道路を整備する 生活利便施設や良質な街並みを形成する住宅等の立地を誘導し 地域拠点にふ

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別記様式第4

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(3) 東京都が掲げている目標を確実に達成するには 延焼遮断帯の形成やその主要な要素である特定整備路線の整備 老朽木造建築物の除去等の施策をより強制力をもって展開することが必要であり 一定の私権の制限もやむを得ないと考える その際 移転や住替えを余儀なくされる住民へ移転先をしっかりと確保するなど き

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都市計画変更素案に関する説明会 建築規制の変更に関する説明会 特定整備路線補助 29 号線 井 東 込区間 (JR 横須賀線 区界 ) 沿道 日時 : 平成 29 年 8 3 ( ) 場所 : 品川区 伊藤 学校 前方右側に手話通訳者を配置しております 必要な方はお近くの席にお移り願います 1 本日

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平井二丁目付近地区地区計画の概要 平井二丁目付近地区地区計画の概要をお示しします 詳しくは 同封の 平井二丁目付近 地区計画書 計画図 をご確認ください 地区計画の区域地区計画の対象区域は 下図のとおりです 平井二丁目付近地区 ( 約 28.6ha) 江戸川区平井一丁目 平井二丁目及び 小松川三丁目

板橋区

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

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不燃化推進特定整備地区整備プログラム/北区/志茂地区

3. 市街化調整区域における地区計画の基本的な考え方 3. 市街化調整区域における地区計画の基本的な考え方 4. 地区計画の策定に当たっての留意点 4. 地区計画の策定に当たっての留意点 このガイドラインに示す事項以外に 開発許可の要件を満たすことが 2. このガイドラインに示す事

表1-表4-2

指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

Microsoft Word - 法第43条第2項第2号許可基準

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( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

三鷹市耐震改修促進計画(改定素案)

改正包括同意基準参考図

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仙台市市街地再開発事業補助金交付要綱取扱い基準 ( 平成 27 年 3 月 30 日都市整備局長決裁 ) 目次 序章 1 はじめに 2 基準の位置づけ 第一章補助採択の方針 1 補助採択に対する市の基本的な考え方 第二章補助対象となる事業 1 市街地再開発事業の要件 2 本市施策との整合 3 事業効

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

地区計画とは 地区計画とは 土地や建築物の所有者など地区の皆さんが合意を図りながら道路や公園などの配置 建築物の用途 容積率 高さ 色やデザイン等のルールをきめ細かく定め そのルールに基づいて建築行為等を行うことにより より良いまちづくりをすすめる手法のひとつです 地区の特性に応じて必要な項目を選択

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西原町 2~4 丁目地区 区域図 西原町 2~4 丁目地区 低密度住宅ゾーン 中密度住宅ゾーン 戸建ての低層住宅地を主体に落ち着いた雰囲気を持った良好な居住環境の形成を誘導します また 都市農地の保全に努め 農地と共存した良好な居住環境の形成を誘導します 低層住宅と中高層住宅が調和した良好な居住環境

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北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

第3 復興整備計画 参考様式集

目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

中井町緑の基本計画(概要版)

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7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

計画書

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環状第二号線沿道新橋地区街並み再生地区及び街並み再生方針について

本日の説明内容 1 板橋駅西口周辺地区のまちづくり 2 板橋駅西口地区都市計画素案について 1 市街地再開発事業 2 地区計画 3 高度利用地区 4 高度地区 3 今後のスケジュール 1

都市防火研究と災害調査

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第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画

目次 Ⅰ 運用基準の策定にあたって P1 1 策定の目的 P1 2 運用基準の位置づけ P1 Ⅱ Ⅲ 土地利用のあり方 P1 地区計画の活用 P2 1 地区計画とは P2 2 地区計画の活用類型 P2 (a) 地域資源型 P3 (b) マスタープラン適合型 P3 (c) 街区環境整序型 P3 (d)

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~ 災害に強く 安全で安心して住み続けられるまちの実現に向けて ~ 荒川二 四 七丁目地区地区計画 ( 平成 30 年 4 月 1 日変更 ) 道路 公園などの地区施設や地区にふさわしい建築物の用途 形態などを定めることにより 地区の特性に合わせたきめ細やかなまちづくりを実現するための都市計画制度で

区域の整備 開発及び保全に関する方針地区施設の整備の方針建築物等の整備の方針 (2) 公園 緑地の整備方針地域に親しまれる やすらぎと憩いの空間を形成するとともに 西武立川駅から玉川上水に向けて形成される緑のネットワークの拠点となるよう公園や緑地を配置する (3) その他の公共空地の整備方針各敷地の

本町二・四・五・六丁目地区の地区計画に関する意見交換会

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市街化調整区域内における地区計画について

1 整備目標 方針 地名 位置 地の現況 課題 羽田二 三 六丁目地 ( 大田 ) 東京都大田羽田二丁目 三丁目 六丁目 現状 独立住宅を中心に 集合住宅や併用住宅も含めた住居系の土地利用がほとんどを占めている 幅員 4m 未満の道路が大半を占めており 幅員 2.7m 未満の道路も多くなっている ま

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東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

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市町合併という基本的枠組みの変更に対応した 市全域を対象とした計画の見直し 少子高齢化をはじめとする本市を取り巻く社会経済情勢の変化に対応した計画づくり 総合計画や都市計画区域マスタープランなど 上位関連計画との整合 調整の必要性 都市計画マスタープランは 都市計画法第 18 条の 2 に基づいて策

計画書 阪神間都市計画防災街区整備地区計画の変更 ( 尼崎市決定 ) 都市計画今福 杭瀬寺島地区防災街区整備地区計画を次のように変更する 名称 位置 面積 地区計画の目標 区域の整備 開発及び保全に関する方針土地利用の方針 地区施設及び地区防災施設の整備の方針 建築物等の整備の方針 その他当該区域の

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1. 目的 本町の第 3 次総合計画において 本町の将来像である ( みんなが主役 やすらぎと健康福祉のまち ) の実現に寄与すべく 本町の市街化調整区域における地区計画の運用にかかる基本的な方針を示すため 市街化調整区域における地区計画運用指針 ( 以下 運用指針 という ) を策定しました この

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区域の整備 開発及び保全に関する方針 江戸川一丁目地区地区計画 計画書 計画決定 H 江戸川区告示第 433 号 計画変更 H 江戸川区告示第 27 号 計画変更 H 江戸川区告示第 482 号 名称江戸川一丁目地区地区計画 位置 江戸川区江戸川一丁目 江戸

国土技術政策総合研究所 研究資料

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平井二丁目付近地区のまちづくり 平井二丁目付近地区は JR 平井駅南東部の都市計画道路放射第 15 号線に接し 都市計画道路補助第 120 号線が南北に通るなど 交通利便性が高く 旧中川沿川のうるおいある環境を感じられる地区です しかし 耕地整理により形成された街区内などでは 幅員 4.0m 未満の

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住まい まちづくりの基本目標と基本的施策の展開方向 1. 住まい まちづくりの理念と基本目標 だれもが安心して住み続けたいと感じる魅力ある とだ の住まい まちづくり を政策の基本理念とし これを実現するために次の 3 つを基本目標として総合的な施策を図るものとします 基本目標 -Ⅰ 多様なニーズに

4 回答者属性 (1) 性別 人数割合 (%) 男性 女性 49.4% 0.4% 男性 5 女性 % 2 0.4% (2) 年代別 人数割合 (%) 20 代 % 30 代 % 40 代 % 50 代 % 60~6

山手地区の概要 面積 約50ha 用途地域 工業地域 建ぺい率 60 容積率 200 高さの限度 第一種高度地区 最高限20m 2

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江東区

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

病院等における耐震診断 耐震整備の補助事業 (1) 医療施設運営費等 ( 医療施設耐震化促進事業平成 30 年度予算 13,067 千円 ) 医療施設耐震化促進事業 ( 平成 18 年度 ~) 医療施設の耐震化を促進するため 救命救急センター 病院群輪番制病院 小児救急医療拠点病院等の救急医療等を担

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足立区防災まちづくり基本計画 - 概要版 - 足立区 平成 0 年 3 月

序章 計画改定の背景 足立区では 昭和 57 年 3 月に 大地震による火災から区民の生命と財産を守る た め 足立区防災まちづくり基本計画 を策定し この計画に基づき各種事業を展開し てきました その後 平成 7 年 1 月 17 日に発生した阪神 淡路大震災では 密集市街地に被害が 集中し 改めて密集市街地の地震対策及び防災まちづくりの重要性や緊急性が再認識さ れました このため 区では平成 1 年 5 月に 新たな防災まちづくり基本計画 としてこの計画の改定を行いました しかし 阪神 淡路大震災後や平成 16 年 10 月に発 生した新潟県中越地震をはじめ直近の地震では 古い建物の倒壊が多く見受けられ 建 物の耐震性の重要性が再認識されました 今回の改定では 防災輪中計画 1 の考え方を継承しつつ 自分の生命やまちは自分で守る ことにつながる建物個々の耐震性の強化を図ることを視点の一つに加え 地 震災害からの被害を最小限にとどめる災害予防 ( 減災 ) 計画を中心に 復興まちづくり計画も含めた計画としました 防災生活圏の形成イメージ 防火帯に囲まれた生活圏 沿道建築物の不燃化 耐震化及び高層化 防火帯となる都市計画道路 1 濃尾平野 ( 岐阜県 ) の低地帯で木曽川 長良川などの水害から村を守るため 堤防を周りに築いた土地 をいう 輪中計画は これにならって大震災時の市街地の延焼火災に対して 幹線道路 鉄道 河川等を 延焼遮断帯として 都市構造の上から防災区画化を図る足立区独自の計画 国 都 区 そして区民 事業者が それぞれの責任を果たすことによって 災害による被害を最小限度 にとどめること ( 足立区地域防災計画 )

民 事業者個レベル区内全域区第 1 章計画の基本理念と位置づけ 1 計画の基本理念 (1) 地震災害に対し 区と区民及び事業者が協働し それぞれの役割を担い 逃げないですむ防災まちづくりを推進すること を基本理念とします () 行政と区民及び事業者の役割分担による防災まちづくりを推進します 協力 区民の役割区防災生活圏行政の役割 計画の位置づけ (1) 地域防災総合計画における位置づけ () 防災に関するまちづくり計画としての位置づけ 3 計画の期間と目標 (1) 計画期間は 基本構想 基本計画や都市計画マスタープランと整合を図り 平成 8 年度までの 9 年間とします () 計画の目標 1 密集事業地区内の不燃領域率 37% を40% 以上とします 3 支援 重点整備地域の不燃領域率 50% を 60% 以上とします 行政と区民の役割分担 70 地区の防災生活圏のうち 都市計画道路が整備されて防火帯の基礎ができている 40 地区を 45 地区とします 防災生活圏の形成方針図 3

第 章逃げないですむ防災生活圏づくりの基本的な考え方 1 減災の基本方針減災の防災まちづくりは 骨格的な防災施設の整備 防災生活圏内の防災施設の 整備 災害に強い建物づくりと地域防災特性に応じたまちづくりから成り立ちます 特に防災性の高い市街地の形成は 防火帯の整備による市街地延焼火災を防止す るために 骨格的な防災施設の整備を進めることが重要です 次に防災生活圏内における地区レベルの防災施設の整備や建物等個別の安全性確保のための取り組みが必要であり それには地区の現状に応じて展開する必要があ ります また 防災の地域特性により密集事業を活用していきます 都市復興の基本方針 震災発生時の被害を最小限にとどめるように 日頃から防災まちづくりに取り組 むことが重要であり もし万が一被災した場合は避難所運営本部を中心に速やかに復興を進め 被災を繰り返さない災害に強いまちとして復興させることが必要です 区では 都市復興を迅速かつ円滑に進めるために 足立区震災復興対策及び震災 復興事業の推進に関する条例 3 と 足立区被災市街地復興整備条例 4 を制定しています そして災害に備えて 足立区都市復興マニュアル を策定し 都市の復興プロセ スを明らかにするとともに職員復興模擬訓練をおこなっています 第 3 章区内全域における減災のまちづくり 1 骨格的な防災施設の整備 (1) 災害対策拠点や広域避難場所などを位置づけ それらを整備します 1 区役所周辺は総合的な災害対策拠点として 地区計画制度の活用による 防災環境の向上を図ります 備蓄倉庫や応急給水槽等の周辺道路整備を進め 輸送経路の確保と安全性の強化を図ります () 河川や鉄道及び都市計画道路 ( 未整備を含む ) に囲まれたエリアを防災生活 圏として位置づけます 足立区には 70 地区の防災生活圏があります (3) 都市計画道路を整備するとともに その沿道の建物の不燃化 耐震化及び 高層化により防火帯を形成します 3 地震により大規模な被害を受けた際の復興に向けて 区 区民及び事業者の責務と足 立区震災復興本部に関する事項を定めたもの 4 大規模な地震により被災した市街地の復興に際し 市街地の計画的な整備について必 要な事項を定めたもの 4

骨格的な防災施設整備 防災生活圏内の防災施設の整備 (1) 被災者の生活拠点や救済拠点としての避難所を整備します 1 避難所となる公共施設の耐震性と耐火性を向上させます 避難所建物周辺に防火性能の高い樹種を配慮して緑化 ( 防災植樹 ) に努 めます () 避難路や消防活動の迅速化を図るための道路を整備します 地区幹線道路 主要生活道路及び細街路の整備に努めます (3) 防災活動の拠点としての公園や緑地及び消防水利を整備します 地区防災施設や防災活動空間のイメージ < 地区防災道路 > 親水水路 緑道等で形成するハードな施設によるネットワークルート 細街路 ( 幅員 4m) 整備 地区幹線道路 ( 幅員 8m~1m) 主要生活道路 ( 幅員 6m 以上 ) 主要生活道路の整備による防災活動空間のネットワーク化 およそ 10m 地区幹線道路の整備による緊急車両通行可能道路のネットワーク化 およそ 50m~1k およそ 50m~500m およそ 50m~500m 休息地となりガイドとなるほか 貯水槽等があるプチテラス 防火帯沿道の不燃化誘導 接道部緑化や小規模な緑地確保により形成するソフトなネットワークルート 避難所など防災活動拠点周辺のアクセス路の改善 ネットワーク化 公共施設内での防災活動空間 ( 広場等 ) の創出 < 防災活動拠点 > 学校 ( 避難所 ) 街区公園等 行き止まり道路の改善 5

3 災害に強い建物づくり (1) 新しい建築物の安全性の向上を図ります 1 確認申請における指導を強化します 道路に接する場所ではブロック塀から生垣化へ誘導します () 既存建物の安全性の向上を図ります 1 木造住宅等の耐震化を総合的かつ計画的に推進します 3 4 老朽木造建物密集地区の不燃建築物への建替えを誘導します 倒壊のおそれがある老朽建築物への適切な指導をおこないます 不特定多数が利用する建築物は特に安全性の確保に努めます 第 4 章地域防災特性に応じた減災のまちづくり 1 既成密集市街地における減災まちづくり密集事業と防災街区整備地区計画の活用によるまちづくりを推進します (1) 既成密集市街地において 特に優先的に整備をおこなう地区を選定し そ のうえで地区住民との協働による防災まちづくりを進めます () 延焼防止上支障のある建築物は耐火建築物等への建替えを誘導します (3) 地区計画で道路や公園の整備と沿道建築物の防災性の向上を図ります 基盤未整備地域における減災まちづくり地区計画制度を活かしたまちづくりを推進します 3 基盤整備済地域における減災まちづくり 環境保全のための地区のルールづくりを推進します 優先的に整備する既成密集市街地 6

第 5 章都市復興のまちづくり 1 復興まちづくりの条例上の位置づけ (1) 足立区震災復興対策及び震災復興事業の推進に関する条例では 震災の発生前の震災復興に関する対策と被災後の復興事業を総合的かつ計画的に推進することとしています () 足立区被災市街地復興整備条例では 1 都市復興基本計画の策定 復興対象地区の指定 3 都市復興事業の推進 4 指定された地区における建築行為の届出と協議事項が規定されています 足立区都市復興マニュアルによる復興まちづくり足立区では 平成 1 年度に復興まちづくりを迅速かつ円滑に進めるための行動 指針 計画指針と 日常時から復興まちづくりの考え方に関する区と区民との共通 認識の確立を目的に 足立区都市復興マニュアル を策定しました これに基づき地震災害が発生した場合に 足立区全体を対象とした 足立区都市 復興基本計画 を策定するとともに 被災した地区ごとに策定される 地区復興ま ちづくり計画 を策定します 3 復興事業推進体制の整備 (1) 家屋被害状況に関する調査体制震災後 速やかな被害状況の把握が人的な被害を抑えるとともに初期の行 政対応の成否を決定づけます そのため 災害状況 家屋被害概況 応急危 険度判定及び公共施設などの被害状況の把握は 区及び施設管理者 または必要に応じて民間ボランティア等の支援により調査を実施します () 協働による都市復興減災のまちづくりの実現には区民や事業者等の理解と協力が重要となりま す そのために 日常時から防災の視点によるまちづくり活動への取り組みに 区民の皆さまの積極的な参加と 都市復興に際しての区及び区民 事業者の 役割分担についても十分な共通認識が図られる取り組みをおこなっていきま す 7

足立区防災まちづくり基本計画 ( 概要版 ) 発行年月 : 平成 0 年 3 月 発 行 : 足立区都市整備部都市計画課足立区中央本町一丁目 17 番 1 号 電話 03-3880-5111( 代表 ) 登録番号 :19-937 印 刷 : 文栄社 8