(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

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経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

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6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

【表紙】

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

特定口座一般口座株式等の譲渡 売却などが該当 ) による所得は 申告分離課税の対象となっており 原則として お客さまによる譲渡損益の計算や申告納税の手続きが必要です 特定口座には これらの事務負担を軽減する機能があります 特定口座の機能 上場株式等の譲渡損益の計算 管理を行います 特定口座内に保管す

FX取引に係る確定申告について

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2 2 上場株式等 の範囲の拡大 上場株式等には 上場株式 上場投資信託の受益権 (ETF) 上場不動産投資法人の投資口 (REIT) 公募株式等証券投資信託の受益権が含まれていた 今回の租税特別措置法の改正により 発行者の情報が一般に公開され その商品内容を入手することが容易に可能な公社債を 上場

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得等の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

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e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

本資料のポイント 平成 29 年度税制改正で 上場株式等に係る配当等 について 所得税 と 住民税 で異なる課税方式を選択することが可能であると明確化されました このことにより 課税所得 900 万円以下の場合 所得税は 総合課税 住民税は 申告不要 を選択することで 納税額を抑えることが可能となり

5 事業用の車両等を売却 ( 譲渡 ) した場合の売却益 ( 譲渡益 ) 売却損 ( 譲渡損 ) については 事業所得とはならない 総合課税の譲渡所得 ( 土地 建物以外 ) の扱いになり 所有期間 (5 年超か以下か ) によって長期譲渡所得 短期譲渡所得に区分される 6 使用可能期間が1 年未満

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

ワコープラネット/標準テンプレート

概要 平成 27 年までと平成 28 年以後の証券税制の比較 平成 27 年までは 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが異なっています 平成 28 年以後は 金融所得課税の一体化 により 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが統一されます 平成 27 年まで 上場株式等 上場株式 公募


上場株式等の配当等に対する課税

公募株式投資信託の解約請求および償還時

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[ 課税対象化 ] POINT1. 1 の売却益が課税対象に 改正前 ( 平成 27 年 12 月 31 日まで ) 原則非課税 改正後 ( 平成 28 年 1 月 1 日から ) % 2 の申告分離課税 1 国債 地方債 外国国債 外国地方債 公募公社債 上場公社債 ゼロクーポン債等

Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得等から控除)編

 

配当所得 配当所得の金額 = 収入金額 - 元本取得のための ( 源泉徴収前 ) 借入金の利子 原則 支払い時に源泉徴収 確定申告によって精算 総合課税 申告不要あり 株式の配当 株式投資信託の収益分配金 保険会社から受け取る基金利息など 申告分離課税あり 例外 非課税株式投資信託の特別分配金 (

投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

d. 少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称 NISA) 少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した非課税口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間 新規投資額で毎年 100 万円を上限

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

公社債税制の抜本改正(個人投資家編)<訂正版>

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

2018年 租税法基礎答練1回

( ロ ) 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る出資等減少分配 ( 所得税法第 24 条に定めるものをいいます 以下 本 ( ロ ) 出資等減少分配に係る税務 において同じです ) のうち本投資法人の税務上の資本金等の額に相当する金額を超える金額がある場合には みなし配当 ( 計

1 どちらかをご選択特定口座と客さま般口座の特定口座の概要 特定口座とは 個人のお客さまが公募株式投資信託を換金され利益が出た場合は 原則 確定申告が必要ですが お客さまの確定申告にかかる負担を軽減させるべく当金庫が納税の代行などを行う制度として 特定口座 があります 特定口座 をご利用いただくこと

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

(1) 所得階級別人員 区 分 給与所得者 所得者別内訳 雑所得者 他の区分に該当しない所得者 人人人人人人人人人 70 万円 以下 25,319 1,201 20,012 54, ,063 6, , 万円 12,048 2,039 8,935 22,

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税金の課税方法 個人の税金の課税方法について確認しましょう 大きく分けて 総合課税と分離課税の二種類があります 総合課税 1 年間の所得を全部まとめて一定の税率で課税する方法 所得額によって異なる税率 金額に応じて確定申告を行う 源泉分離課税他の所得と分離して その所得の支払いの際に一定の税率で源泉

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PG_第3期期末配当の取扱いに関するQA

218 年分以降の配偶者控除額は夫の年収に応じて減っていきます 217 年分までは が 13 万円 ( 合計所得金額 38 万円 以下であれば 夫の年収にかかわらず 配偶者控除額 38 万円 ( 住民税は 33 万円 を夫の所得から控除できました 218 年分以降は が 13 万円 ( 合計所得金額

税金読本(4-3)配当課税の仕組み

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Ⅰ 株取引等報告書 ( 国家公務員倫理法第 7 条 ) について 1. 概要 (1) 報告の対象となる職員 国家公務員倫理法第 2 条第 4 項に規定する 本省審議官級以上の職員 所得等報告書と異なり 平成 29 年 (1 月から12 月 ) の途中で新たに本省審議官級以上の職員となった者でも報告の

株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

所令要綱

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別表六 ( 一 ) 所得税額の控除に関する明細書 1 この明細書の用途この明細書は 法人が当期中に支払を受ける利子及び配当等並びに懸賞金等及び償還差益について課された所得税の額について 法第 68 条第 1 項 (( 所得税額の控除 ))( 復興財源確保法第 33 条第 2 項 (( 復興特別所得税

 

 

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

Taro-記載要領27.jtd

配当所得は 他の所得と総合し 累進税率を適用して税額を計算しますが 一定の上場株式等の配当等については 他の所得と分離して税額を計算する申告分離課税を選択することができます ただし 申告分離課税を選択すると 配当控除を受けられず 確定申告をする一定の上場株式等の配当等の全てについて総合課税とするか

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「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の結果について

1 仮想通貨の売却問保有する仮想通貨を売却 ( 日本円に換金 ) した際の所得の計算方法を教えてください ( 例 )3 月 9 日 2,000,000 円 ( 支払手数料を含む ) で4ビットコインを購入した 5 月 20 日 0.2 ビットコイン ( 支払手数料を含む ) を 110,000 円で

1. 上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率の特例の見直し 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が 平成 21 年 1 月 1 日から平成 23 年 12 月 31 日までの間に支払を受ける上場株式等の配当所得の申告分離課税に係る税率と 上場株式等の譲渡による譲渡所得等に対する税率が

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

得金額から除かれているので 所得割の課税標準となる総所得金額には含まれ ないものであること 得金額から除かれているので 所得割の課税標準となる総所得金額には含まれ ないものであること ア 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) 第 3 条第 1 項に規定する一般利 ア 租税特別措置法

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

必要経費の考え方 所得の種類によって 名前は異なるが 内容としては 必要経費 にあたるものを示していると考える ( 例 ) 配当所得の場合 株式取得の借入金利子給与所得の場合 給与所得控除額雑所得 ( 公的年金 ) の場合 公的年金等控除額譲渡所得の場合 取得費用などの他 特別控除額一時所得の場合

配当所得の入力編

( 注 3) その他の少額上場株式等の非課税口座制度の詳細については 証券会社等の金融商品取引業者等にお問い合わせ下さ い b. 利益を超える金銭の分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 平成 27 年 4 月 1 日以後開始事業年度に係る利益を超える金銭の分配につ

【修正】07_別表五~.indd

配当所得の入力編

課税上の取扱い

「2 所得税及び復興特別所得税の確定申告書データをお持ちでない方」からの更正の請求書・修正申告書作成編

確定申告をする ( 下記のいずれか一方を選択 ) 総合課税 申告分離課税 確定申告をしない ( 確定申告不要制度 ) ( 注 1) 借入金利子の控除ありあり 税率累進税率上記 (ⅰ) と同じ 配当控除なし ( 注 2) なし - 上場株式等に係る譲渡損失との損益通算 なし あり 扶養控除等の判定 合

費用並びに当該一般事務受託者 当該資産保管会社及び当該資産運用会社が立て替えた立替金の遅延利息又は損害金の請求があった場合は かかる遅延利息又は損害金を負担します 前記に加え 本投資法人は 原則として以下に掲げる費用を負担するものとし その詳細については 当該一般事務受託者 当該資産保管会社又は当該

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

~ この操作の手引きをご利用になる前に ~ この操作の手引きでは 確定申告書の作成方法を説明しています 操作を始める前に 以下の内容をご確認ください 共通の操作の手引きの確認入力方法やデータ保存 読込方法などを説明した ( 共通 )e-tax で送信するための準備編 又は ( 共通 ) 書面提出 (

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

投資信託ホームページ構成案

(****) 非課税口座に設けられる勘定は 毎年 非課税管理勘定 (NISA) 又は累積投資勘定 ( つみたて NISA) のいずれかに限ります 更に 2016 年 4 月 1 日から2023 年 12 月 31 日までの期間 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称ジュニアNISA)

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

6 成人年齢引下げに伴い一般 NISA つみたて NISA の対象年齢を 18 歳以上とするこ と 根拠法の制定 恒久化 1NISA 制度が国民の安定的な資産形成に資する恒久的な制度となるよう根拠法 (NISA 法 ) を制定すること 2 口座開設期間を恒久化すること 3 非課税期間を恒久化すること

相続の基礎 ~ 「相続」を学ぼう!! ~ 生前贈与①有価証券

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

平成平成 年度税制改正要望に関する基本的考え方 本年度は 東日本大震災からの復興支援を視野に入れつつ 以下の考え方を柱として 必要な税制上の措置を要望する 主な具体的要望項目 1. 東日本大震災からの復興支援 地方公共団体が委託者となる土地信託に係る登録免許税等の非課税措置 日本版レベニ

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

Transcription:

経営情報あれこれ 平成 28 年 11 月号 年末と改正税法 今年も残すところ 1ヶ月余りとなりました この1 年間 会社や個人にとって 様々な取引が発生し その結果として利益又は損失が生じていると思います この利益や損失に対し 税法上 合理的な租税負担となるためには 各税法の規定を確認していただき 所得税 法人税 相続税及び贈与税の確定申告等において 適切に申告することが望まれます 特に 税制改正等がなされた場合 適用を失念する場合があります 今月は年末に向けて この1 年間の取引から発生した損益 特に金融商品からの損益に関し 所得税法上の規定や事例を設けて説明いたします 1 所得税法の概要 租税負担を合理的に軽減するためには 基本的な税法の仕組みを理解し 自分の所得金 額 資産ごとの課税方式 適用される税率を確認することが必要となります (1) 総合課税制度 総合課税制度とは 各種の所得金額を合計し 累進税率を適用して所得税額を計算す るものです 1 対象となる所得 この対象となる所得は 利子所得 ( 分離課税されるものを除く 以下同じ ) 配当 所得 不動産所得 事業所得 給与所得 譲渡所得 一時所得 雑所得です 2 総合課税所得に適用される税率 総合課税所得に適用される税率は 15% から 55% の累進課税が適用されます ( 住 民税の税率は一律 10% です 所得税は 5% から 45% の累進税率です ) なお これに加え震災復興税が所得税額に対し 2.1% 課税されます ( 分離課税につ いても同じです ここでは復興税については記載を省略します ) 所得税及び住民税の税率表 課税所得金額 所得税 住民税 負担税率 195 万円以下 5% 10% 15% 195 万円超え 330 万円以下 10% 10% 20% 330 万円超え 695 万円以下 20% 10% 30% 695 万円超え 900 万円以下 23% 10% 33% 900 万円超え 1,800 万円以下 33% 10% 43% 1,800 万円超え 4,000 万円以下 40% 10% 50% 4,000 万円超 45% 10% 55% 1

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります 2 源泉分離課税に適用される税率源泉分離課税に適用される税率は 割引債の償還差益 (16% 又は 18%) を除き 一律 20%( 所得税率 15% 住民税率 5%) です (3) 申告分離課税制度申告分離課税制度は 対象となる所得に関し 他の所得とは分離して税額を計算し ( この点で総合課税と異なります ) 確定申告により税額を納める( この点で源泉分離課税と異なります ) 制度です 申告分離課税の対象となる所得については 次の税率が適用されます 1 退職所得退職所得に関しては 課税退職所得 {( 収入金額 - 基礎控除 ) 1/2} に対し総合課税の累進税率が適用されます なお 特定役員退職所得の計算では 1/2 を乗じる規定が適用されません 2 山林所得山林所得に関しては 山林所得に関する税率表が適用されます 3 土地建物等の譲渡所得所有期間が 5 年内の短期譲渡所得には 一律 39%( 所得税 30% 住民税 9%) 5 年超の長期譲渡所得には 一律 20%( 所得税 15% 住民税 5%) の課税がされます (4) 金融商品の譲渡等に関する課税制度平成 28 年 1 月 1 日から金融商品に関する譲渡所得 利子所得 配当所得 事業所得及び雑所得に関し 大幅な税制改正が行われ 課税制度が次のようになりました 1 金融商品のグループ化金融商品は 次のグループに分類され グループごとに課税方式が異なります イ 上場株式等金融商品取引所に上場されている上場株式 上場投資信託 REIT 特定公社債 ( 国債 地方債 外国国債 公募公社債 ) ロ 一般株式等非上場株式 私募債 私募投資信託等ハ 先物取引等 ( デリバティブ取引 ) 商品先物 有価証券先物 株価指数先物 外国為替証拠金 (FX) オプション取引ニ その他のもの 2

同族会社が発行した社債 ( 総合課税 ) 土地保有会社が発行した株式の短期売買 ( 分離の短期譲渡所得課税 ) ゴルフ会員権の譲渡に類似する株式取引( 総合課税 ) 大口株主の保有する上場株式( 総合課税 ) 適格ストックオプション取引 ( 申告分離のみなし譲渡所得 ) 2 上場株式等イ 利子及び配当上場株式等の利子及び配当は 一律 20%( 所得税 15% 住民税 5%) が源泉徴収されます 確定申告は不要ですが 確定申告により 譲渡損失との損益通算 ( 分離課税 ) 又は配当所得については総合課税により源泉徴収税額の還付を選択することもできます ロ 譲渡損益上場株式等の譲渡損益に関しては 一律 20%( 所得税 15% 住民税 5%) が源泉徴収されます 申告分離課税を選択した場合には 上場株式等の損益通算 利子及び配当所得との損益通算ができます さらに控除しきれない譲渡損失に関しては 3 年間の繰越控除ができます 2 一般株式等イ 配当等一般株式等の配当等には 一律 20%( 所得税 15% 住民税 5%) が源泉徴収され 総合課税の対象となります ロ 譲渡損益一般株式等の譲渡損益は 一律 20%( 所得税 15% 住民税 5%) の申告分離課税の対象となります 一般株式等の譲渡等において 損失が生じた場合には 一般株式等のグループ資産間で損益通算ができます 損益通算後において なお損失がある場合には その損失はなかったものとされます ( 注 ) 平成 28 年 1 月 1 日からの譲渡損益に関しては 上場株式等との損益通算ができず また譲渡損失の繰越控除もできません ( エンゼル税制適用株式を除く ) 3 先物取引等 ( デリバティブ取引 ) イ 譲渡損益先物取引等の譲渡損益に関しては 先物取引等に係る雑所得等として一律 20%( 所得税 15% 住民税 5%) の申告分離課税の対象となります ロ 損益通算と 3 年間の繰越控除先物取引等の譲渡損益は 先物取引等のグループ間での損益通算ができ 控除しきれない損失に関しては 3 年間の繰越控除が適用されます (5) 損益通算損益通算とは 他の所得で生じた損失を他の所得から控除する制度です なお 金融商品の譲渡損益 利子配当等の損益通算に関しては 上記 (4) を参照して下さい 1 不動産所得 事業所得 譲渡所得 山林所得における損失 3

不動産所得 事業所得 譲渡所得 山林所得において損失が生じた場合には その損失を他の所得 ( 利子所得 配当所得 不動産所得 給与所得 譲渡所得 退職所得 山林所得 一時所得 雑所得 ) から控除することができます この場合 生活に通常必要でない資産の譲渡損失 土地取得にかかる負債利子から生じた不動産所得の損失は損益通算の対象となりません 2 居住用土地及び家屋の譲渡損失居住の用に供していた一定の土地及び建物の譲渡により生じた損失は 他の所得との損益通算ができ また損益通算により控除できない損失には繰越控除ができます 2 事例による対処方法 (1) 上場株式の譲渡損失がある場合 ( 事例 1)Aさんは 28 年中において 保有上場株式 1 万株を売却し譲渡損失として 200 万円が発生しました また Aさんは 28 年中において 上場投資信託の収益の分配として 80 万円 ( 収入 100 万円から 20% の所得税 住民税控除後の金額 ) 並びに譲渡した株式からの配当 8 万円 ( 収入 10 万円から 20% の所得税等控除後の金額 ) の収入がありました その他 給与収入 500 万円があります 1ポイントと適用法令イ ポイント Aさんにとって 上場株式の譲渡により 失った 200 万円をいかに回収するかがポイントとなります また 上場株式等の配当に関しては 申告不要 分離課税 総合課税を選択適用できます ロ 適用する法令上場株式等のグループに属する金融商品に関しては 損益通算と 3 年間の繰越控除ができます 損益通算に関しては 利子及び配当も対象となります 2 対応イ 損益通算譲渡損失 200 万円 -( 投資信託の収益分配金 100 万円 + 上場株式配当 10 万円 ) =90 万円の損失ロ 税金の還付確定申告において 申告分離課税を選択し 申告することで源泉徴収された 22 万円 ( 収益分配金の源泉徴収税額 20 万円 + 配当に係る源泉徴収税額 2 万円 ) が還付されます ハ 3 年間の繰越控除譲渡損失の内 損益通算で控除しきれない 90 万円については 確定申告により 3 年間の繰越控除額として申告し 翌年度以降 3 年間の上場株式等の譲渡益や利子 配当所得から控除することができます (2) 不動産所得の損失がある場合 ( 事例 2) サラリーマンであるBさんは 会社勤めをしながら 不動産賃貸業 ( アパート ) 4

を兼業しています 給与所得は 400 万円 ( 源泉徴収額 40 万円 ) でしたが 近くに新しいアパートができたことから 不動産所得において 100 万円の損失がでました ( 借入金の利子はありません ) また その他 上場の特定株式投資信託を保有し 28 年中に分配金 48 万円 ( 分配金 60 万円から源泉所得税 20% を控除した金額 ) を受けとっています 所得控除の金額は 100 万円です 1ポイント不動産所得の損失に対し損益通算を適用します また 特定株式投資信託の分配金に関し 申告不要 分離課税 総合課税の選択ができますが どれがBさんにとり望ましいかを検討します この場合 Bさんに適用される税率がポイントとなります 2 適用する法令イ 不動産所得にかかる損失は総合課税となる他の所得との損益通算ができます ロ 上場株式等の収入である特定株式投資信託の収益分配金は 上場株式等に係る配当所得であり 申告不要 分離課税 総合課税の選択ができ さらに総合所得課税を選択した場合 配当控除の対象となるものです 3 対応イ 損益通算給与所得 400 万円 - 不動産所得の損失 100 万円 =300 万円ロ 収益分配金の課税方法の選択申告不要 申告分離課税 総合所得課税のうちどれを選択するかについては Bさんに適用される税率 ( 総合課税の税率と分離課税の税率 20% 並びに配当控除の税率 10% 又は 5%) との関係から 課税方法を選択します この事例では 総合課税の税率が 30% 未満となることから 総合課税を選択すると租税負担が減少します ハ 還付される所得税総合課税所得金額 = 損益通算後の所得 300 万円 + 分配金 60 万円 =360 万円課税所得金額 =360 万円 - 所得控除額 100 万円 =260 万円所得税の金額 =260 万円 10%-97,500 円 =162,500 円配当控除金額 =60 万円 10%=6 万円納付すべき所得税 =162,500 円 -60,000 円 =102,500 円 ( 復興税を除く ) 還付される所得税 = 源泉税額 (400,000 円 +120,000 円 )-102,500 円 =417,500 円 事務所から 世界全体にナショナリズムが広がり グローバル化への修正がかかりつつあります 英国のEU 離脱 米国大統領選でのトランプ氏の勝利もその一環といえます この流れは 日本経済ばかりでなく 世界経済にも影響を与えます 環境変化に適切に対応して下さい ( 公認会計士辻中事務所 税理士法人みらい ) 5