5. 採取活動 1) 静脈採血 (1) 採血前準備 a) 採血施行者は アシスト画面 のバーコードリーダーに採血施行者のラベルを読ませる b) 採血管トレイ内の 採血指示書 に記載されている採血管の種類 本数を確認する c) 採血指示書 の下段に 1/2 2/2 の表示がある場合 2 つに分かれているので取り残しがないように注意する d) 手貼り用ラベルがある場合 2 人のスタッフによるダブルチェックを行い 該当する採血管にラベルを貼る e) 採血指示書のバーコードを読ませて 自動アナウンスにより患者を呼び入れる f) 必要に応じてカーテンを閉める g) 患者確認作業を行う 患者から受け取った整理券をバーコード読み取りし 照合確認を行う 患者自身に氏名と生年月日を言ってもらい受診票に採血のチェックを入れる 採取容器のラベルの患者氏名を 患者自身に確認してもらう (2) 採血手順 a) 手指を消毒して使い捨て手袋を着用する b) 血管の太さ 走行 弾力性等を確認し 穿刺する血管を選択する c) 患者にアルコール消毒に対する過敏反応の有無を確認する ある場合は 別の消毒 ( ヘキシジン ) を選択する d) 穿刺部位を中心に中心から外側に向けて消毒を行い 乾燥するまで待つ アルコールが乾燥しないまま穿刺すると消毒が不十分な上に 穿刺に伴う痛みを増強させる原因となる e) 針を血管に対して 30 以下程度の角度で刺入し針が動かないように固定する 穿刺中 痺れや激しい痛みがある場合はすぐに抜針する f) 採血針の基部に血液の逆流を認めたら 採血管をホルダーにまっすぐ差し込み 採血管への血液の流入を確認する g) 検査に必要な血液量を採血できたら 速やかに採血管をホルダーからはずし 次の採血管を差し込む 採血管の順序は別紙に記載する h) 最後の採血管をホルダーから抜去し 駆血帯をはずす i) 穿刺部位に消毒綿を軽く当てた状態で 抜針し 圧迫する j) 針とホルダーを一体のまま 鋭利器材用の感染廃棄容器に捨てる
k) 刺入部から出血のないことを確認し 絆創膏を貼る l) 絆創膏の上から5 分程度圧迫してもらうように指示する m) 採血管と指示書を照合し 指示書にチェックと採血施行者の名前を記入する n) 採血管を所定の場所に置く o) 手袋をはずして 感染廃棄容器に捨てる (3) 注意事項 a) 採血管の順序真空採血管の場合注射器採血の場合 ( 分注の順序 ) 1 血清用採血管 1 凝固検査用採血管 2 凝固検査用採血管 2 血沈用採血管 3 血沈用採血管 3ヘパリン入り採血管 4ヘパリン入り採血管 4EDTA 入り採血管 5EDTA 入り採血管 5 解糖阻害剤入り採血管 6 解糖阻害剤入り採血管 6 血清用採血管 7その他 7その他 b) 採血行為に際して 採血に関する注意事項を患者に確認をとった上で採血業務を行うまた緊急事態の採血に関しては SO-5.5-22-0001 標準操作手順書 ( 採血業務 ) の採血時の状況別対応法にそって行う (a) 適した採血部位 両肘窩部に同等の血管がある場合は 神経損傷などの可能性を考えて利き腕でない腕からの採血が好ましい ただし患者の希望がある場合 医学的 技術的に特段の問題がなければそちらを優先する 太さ 深さ 弾力性などの観点から最も適した血管を選択する 尺側皮静脈では 付近を動脈や神経が走行しているため 注意を要する 肘窩部に採血可能な血管がない場合は 前腕または手背の静脈を用いる (b) 採血を避けるべき部位 火傷痕や 重症のアトピー性皮膚炎のある部位 血腫や感染のある部位 乳房切除を行った側の腕の血管 シャントのある腕の血管 (c) 血管を怒張させる手技 駆血帯を巻き 手を軽く握ってもらう
手首から肘に向けて前腕をマッサージする 指で血管を数回軽く叩く 温めたタオルをビニール袋に入れ 採血する部位を温める 参考文献 : 日本臨床検査標準協議会 (JCCLS) の標準採血法ガイドライン (GP4-A2) 2) 採尿 (1) 採尿時による尿の種類 a) 早朝尿起床第 1 尿で 夜間多尿のある場合を除きもっとも濃縮されており 定性 定量 尿沈渣 細菌検査 ( 亜硝酸試験 ) に適している b) 随時尿早朝尿以外の随時に採取される尿で 早朝尿に比べ希釈されている 著しく希釈された尿では微量の化学成分は見逃されることがある 外来患者の多くはこの尿であり スクリーニング検査としてはこの尿で十分である c) 負荷後尿目的によって負荷する内容が異なり 運動負荷 体位性負荷やPSP 試験 PAH クリアランス試験 糖負荷試験などのようにそれぞれの物質を経口あるいは注射によって負荷した後 一定時間内の尿と採り 尿中に排泄された濃度より 機能および障害の程度を知ることができる d) 蓄尿蓄尿容器は直射日光を避けて冷暗所に保存する 早朝尿 随時尿では 尿量 濃縮の程度などにより測定値は大きくばらつくため クレアチニンなどで可及的に補正を行わなければならない 正しい臨床的評価を与えるためには 尿中成分の測定はできる限り24 時間蓄尿を用いることがきわめて重要となる CPR 測定用の畜尿は予め畜尿容器にCPR 安定化剤を添加する カテコールアミン メタネフリン 5-HIAA 測定用の酸性畜尿は予め畜尿容器に添加する (2) 採尿方法による尿の種類 a) 自然尿 (a) 全部尿 ( 全尿 ): 自然排尿で全量を採取した尿 (b) 部分尿 : 自然排尿の一部を採取した尿 (c) 初尿 : 放尿した最初の部分のみを採取した尿 クラミジア尿道炎などの検査に用いる (d) 中間尿 : 排尿の最初と最後の部分を捨て 中間の部分を採取した尿 最も一
般的な採尿法で 多くの尿検査に適している b) カテーテル尿 : 尿道カテーテルにより採取した尿 女性において採尿時の汚染を最小限に防止する目的で行われることもある c) 膀胱穿刺尿 : 無菌的に採尿する最良の方法であるが 患者への負担が大きい d) 分杯尿 : 目的に応じて分割採取した尿 e) その他 : 回腸導管などの尿路変更術後尿など (3) 採尿方法 a) 成人 ( 中間尿 ) 採尿コップの内側を触れないように持ち 出始めの尿を便器に排出した後 途中の尿を約 50mL 前採尿コップに取る 終わりの尿はコップに取らずに排尿する 特に女性の場合 排尿の始めの部分には膣部や外陰部由来成分の混入が多く 最後の部分は力むことにより膣分泌物の混入が多くなるので避ける また生理中の検査は適切でない 採尿前に尿道口を清拭することが望ましい b) 乳幼児 オムツの取れていない乳幼児では オムツを広げると2~3 分して排尿するのでこれを利用する もしくは市販のポリ製の採尿バックを用い 随時排尿させる 採取した尿は 採尿カップに移し提出する 尿を採取している間は 袋が正しく固定されているかどうかを頻繁に確認する必要がある 3) 細菌検査材料の採取 (1) 検体採取時の一般的注意点 a) 検体の採取時期 採取法 発病( 発熱等 ) 初期 抗菌薬投与開始以前に採取する 患者の状態を考慮し 安全性の高い採取法を選ぶ 患者に十分説明し 最良の検体が採れるように協力を求める 採取容器は頑強で空気漏れがなく 検査しやすいものを選ぶ 検体量は適量( できるだけ多く ) を採取する b) 抗菌薬投与中の患者からの採取 24 時間以上中止して採取する 中止できない場合は 抗菌薬の血中濃度が最も低いレベルにある時期( 次回投与の直前 ) に行う
c) 常在菌の混入 消毒薬の混入を避ける 常在菌の混入は検査を煩雑化し 起炎菌の推定を困難にする 採取部位の消毒に用いた消毒薬を検体に混入させない d) 検体の乾燥を避ける 乾燥すると多くの微生物は死滅する 微量検体は直接培地に接種する 綿棒などは輸送培地の入った試験官に入れる e) 嫌気性菌の存在を疑う場合 ( 閉鎖性病巣 悪臭を伴う材料 ) 嫌気性菌の保存に適した専用容器に採取する これがない場合は検体容器を材料で 満たし 死腔を少なくする 菌の死滅を防ぐために直ちに検査室へ届ける f) 検体の室温放置は厳禁 検体は培地の役目をするので 菌が増殖し 成績を誤らせる 複数菌混在例では発育の遅い病原菌の検出が困難になる (2) 尿 採取 尿は原則として中間尿またはカテーテル尿を滅菌容器に採る (3) 喀痰採取 採取前にうがいをし 口腔内を十分に清潔にした後 大きく深呼吸をして喀出する 喀痰( 喀出痰 ) は患者に苦痛を与えることなく採取が可能であることから検査に頻用される 痰を自発的に喀出できない患者では吸引によって採取する場合があり 吸引痰として喀痰とは区別したほうがよい (4) 血液培養採取時期 抗菌薬投与以前に実施 血液中の細菌数が最も多いのは悪感戦慄の出現時といわれている 抗菌薬投与中の患者では 1~3 日中止後 これができない場合は血液中の抗菌薬濃度が最も低いとき すなわち 次回の抗菌薬投与の直前に行う
4) 血液培養採取手順検査部 HP(http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/manuals/2012/09/26/kensa/ 安全な血液培養ボトルの採取法について-ボトル採血法の写真 ) 又は Cumnavi( 検査部 血液培養ボトルの変更について-ボトルの貼付け位置 ) 参照 5) 採取ラベルに関して (1) 採取ラベルの記載事項は下記の通りです (2) バーコードラベルの貼付に関しての注意 バーコードラベルをそのまま分析装置に読ませますので 不適切な貼り方をしていると検査の遅延につながります 汚さないように正しい位置に貼付してください
6) 採取後 ~ 搬送の保存条件 注意点 検体採取から遠心までの時間が 1 時間を超えないように注意する アンモニア: 直ちに氷冷し 迅速に提出して下さい 血液ガス: 保存不可 迅速に提出して下さい 7) 採取に使用された材料の安全な廃棄 (1) 感染性廃棄物 : 患者体液に汚染された手袋 エプロン アルコール綿など (2) 鋭利な感染性廃棄物 : 使用後の注射針 チップなど (3) 非感染性廃棄物 : 非感染性のプラスチック 紙 感染性廃棄物鋭利な感染性廃棄物非感染性廃棄物