平成 30 年度大豆栽培講習会 平成 30 年 4 月 20 日午後 6 時 30 分より農業創造センター 1. 開会 2. 開会挨拶 3. 内容 1 29 年産反省及び 30 年産重点取り組み事項について高岡農林振興センター伊山副主幹 2 その他除草剤の取扱い BASF 4. 質疑応答 5. 閉会挨拶 6. 閉会
2018/4/19 JA いなば大豆栽培講習会自己紹介 30 年産大豆の収量 品質向上に向けて平成 27 年度大豆栽培講習会 平成 30 年 4 月 20 日 ( 金 ) JA いなば農業創造センター会議室高岡農林振興センター小矢部班 高岡農林振興センター伊山幸秀 2 富山県農林水産総合技術センター農業研究所 3 東京での富富富発表会 ( 平成 29 年 3 月 ) 4 本日の内容 1. 平成 29 年産大豆の反省点 2. 平成 30 年産大豆の重点技術対策 大豆奨励品種決定調査 5 1
2018/4/19 本日の内容 1 JA いなばの大豆作付面積の推移 (ha) 減少傾向 平成 29 年産大豆の反省点 8 JA いなばの大豆単収の推移 (kg/10a) ほぼ横ばい JA いなばの大豆等級比率 (%) H28 年産より向上しました 等級平成 29 年産平成 28 年産平成 27 年産 2 等ーー 2.3 3 等 39.1 0.6 77.0 特定加工 ( 合格 ) 59.5 59.0 15.5 規格外 1.4 40.4 5.2 9 JAいなば大豆検査結果より 10 生育期の特徴 〇播種時期が早く 播種量が多い経営体あり 苗立が多く生育が旺盛 〇概ね 2 回培土が実施できた 良好な生育が維持された 〇開花期以降 急激に主茎長が伸長したほ場が見られた 小 中程度の倒伏 11 病害虫等の発生 病害 1 黒根腐病の発生が増加 2 葉焼病の発生 ( 一部シュウレイ ) 虫害 1 ハダニ類による葉枯れが発生 2 ウコンノメイガ マメシンクイガが散見 難防除雑草 1 イヌホオズキの発生が拡大 12 2
2018/4/19 黒根腐病 ハダニ類 13 14 イヌホオズキ本日の内容 2 平成 30 年産大豆の重点技術対策 15 重点技術対策 ていねいで確実な作業を行い収量 品質向上を! 1 排水の良いほ場づくり ( 排水対策 ) 2 土づくり 堆肥の施用 石灰質資材の散布 3 適正な播種作業 4 適期の中耕 培土作業 5 畦間かん水の実施 6 病害虫の適期防除 7 適切な雑草対策 8 熟期を確認して適期に収穫 1 排水対策 ~3 適正な播種作業までのポイント 1 排水対策 2 土づくり 3 適正な播種作業 18 3
2018/4/19 1 排水対策排水が悪いと 1 排水対策 播種精度の低下 除草剤の効果が不十分 培土が困難 苗立不足 初期生育不良 根量不足 収量の低下 大豆は湿害に弱い額縁排水溝の設置 高い方が水はけが良くなる!! 溝の深さは 20cm 以上!! 用水路 すぐに実施! 心土破砕の実施 細かく斜めにかける!! しっかり連結 排水路 排水溝は 深く掘り下げる 1 排水対策排水溝と水吐尻との連結 掘り下げ 2 土づくり 発酵鶏糞 (100kg~200kg/10a) や堆肥等を投入 地力の向上 散布作業 石灰質資材 ( 苦土石灰 100kg/10a) を施用し ph6.0~6.5に矯正 連結 根粒菌の着生 活性の向上 茎疫病の発生防止 ( 苗立ちの安定 ) 平成 30 年度の土づくりに向けて ヘアリーベッチの作付けも検討しましょう (9 月下旬 ~10 月上旬播種 ) 茎疫病 3 適正な播種 出芽 苗立ち不良の要因は 土壌的要因 排水不良による土壌水分過多 砕土の不良 ( 砕土率が低いと苗立率も低下 ) 機械的要因 播種機の調整不良 ( 駆動輪と繰出ロール 播種ベルトと播種目皿との連動不良等 ) 播種深度 ( 浅過ぎる 深過ぎる ) 播種速度 ( 速過ぎて駆動輪が跳ね上がる ) 〇わらのすき込みが不十分 ( 土中にうまく播種されない ) 3 適正な播種 乾いたほ場では! 出芽が良好! 除草剤もよく効く! 湿ったほ場では 出芽が不揃い! 除草剤の効果も半減 4
2018/4/19 3 適正な播種 砕土率 40% 以下 吸水が遅い 不均一な苗立ち 苗立ちが不安定で揃いが悪い 砕土率 60% 以上 吸水が速い 均一苗立ち 出芽 苗立ちが安定し 揃いも良い 砕土率が高いと苗立率も高くなる 3 適正な播種 品種別 播種時期別の栽植本数と播種量の目安 品種 エンレイ シュウレイ 播種時期に合わせて播種量を調整 早すぎる播種を避ける 播種時期 5 月 6 半旬 ~ 6 月上旬 6 月中旬 5 月 6 半旬 ~ 6 月上旬 6 月中旬 栽植本数 ( 本 /10a) 14,000~ 16,000 16,000~ 18,000 12,000~ 15,000 15,000~ 18,000 粒種 大粒 大粒 播種量 (kg/10a) H29 産種子注 ) 4.9~5.6 5.6~6.3 設定条件 ( 条間 80cm) 目皿 スプロケット 目皿側 H26 産種子は B-3 でも可 注 ) 大粒の百粒重 : エンレイ 31.6g シュウレイ 37,1g として計算 苗立率 90% の場合 車輪側 B-2 11 13 B-22 14 10 B-2 10 14 B-22 13 10 大粒 4.9~6.2 B-3 11 13 大粒 6.2~7.4 B-3 10 14 26 3 適正な播種播種精度の向上 品種別 播種時期別の目標栽植本数に応じた種子量を準備 目皿とスプロケットの組合せ等の調整は事前に 播種作業速度は 0.5m/ 秒程度の速さで 30a ほ場を 70 分程度で播種する速度 (3 連播種機 ) 3 適正な播種 播種時の留意点 砕土率を高めるため 耕うん作業は速度を落とし丁寧に 播種も速度を落としてしっかり適正量を播く 耕起 ~ 播種 除草剤散布の一連の作業は土壌が乾いた状態で 1 日で実施 播種深度は 3cm ( 乾燥時はやや深く ) 播種深度は 3cm 程度! 3 適正な播種 適正な播種深度 4 中耕 培土作業 ~7 雑草対策までのポイント 播種深度は 3cm 程度 図播種深度が播種後 2 日の大豆種子含水率に及ぼす影響 (H25 農研 栽培課 ) 土壌が乾燥し その後も晴天が続くと予想される場合はやや深くする 天気予報 ( 週間天気 ) 確認!! 4 適期の中耕 培土作業 5 畦間灌水の実施 6 病害虫の適期防除 7 雑草対策 30 5
2018/4/19 4 中耕 培土 的確な培土の実施を! (1 回目は遅れずに 2 回目は確実に ) 培土作業は ほ場条件の良い時に 晴れ間を見て早めに実施 培土の効果を高めるため 株元にしっかりと土をかける 培土の効果 ~ 培土は一石四鳥 ~ 1 排水の促進と湿害の防止 2 根量と根粒菌の増加 3 雑草の抑制 4 倒伏の防止 4 中耕 培土排水溝の点検と手直しを 2 回目 : 播種 30~35 日後 ( 本葉 4~5 葉期 ) 初生葉が隠れる程度 良い培土 悪い培土 1 回目 : 播種 20~25 日後 ( 本葉 2~3 葉期 ) 子葉が隠れる程度 株元に凹みのある培土では 株元に水がたまり 湿害や病害の原因となる 新根が伸びず 生育不良となる 株間の雑草を抑制できない 倒伏しやすくなる ( 収穫にも影響 ) 培土後は溝の手直し ( 連結作業を忘れずに行う!! 32 4 中耕 培土排水溝の点検と手直しを 雨の日は ほ場に出て点検!! 5 畦間かん水 干ばつ時の畦間かん水の実施 莢数の確保 ちの防 開花期から 9 月上旬頃までの間に 3 日間以上晴天日が続いたら 土壌の乾き具合に応じて早めにかん水 30 50 スコップひとかきで解決!! 百粒重 (g) 29 28 27 26 百粒重の増加 ちりめんじわ粒発生率 ( 粒数 %) 40 30 20 10 0 しわ粒の減少 は開花期以降 多くの水が必要 6 病害虫の適期防除 基本防除は適期に確実に実施! 主な害虫と被害 薬剤散布は莢伸長期 ~ 子実肥大期に 2 回実施 防除時期の目安薬剤名防除対象主な被害 1 回目 8 月初旬 2 回目 8 月中旬 粉剤 スミチオンベルクート粉剤 DL 液剤 ベルクートフロアブル +ダントツフロアブル 粉剤 Zボルドートレボン粉剤 DL 液剤 アミスタートレボン SE 紫斑病カメムシ類等 紫斑病カメムシ類等 落莢 青立ち 子実肥大停止 青立ち カメムシ多発生地域では 2 回防除後も発生状況をみて追加防除 フタスジヒメハムシマメシンクイガ アオクサカメムシ 資料 : 滋賀県病害虫防除所 HP より 6
2018/4/19 黒根腐病の症例 生育初期から感染するが 後半になって葉の黄化や立ち枯れ症状を呈する 黒根腐病の特徴と対策 < 特徴 > 〇病原菌は土中に長期に潜伏する 大豆作付の回数が多いと 被害が拡大する 〇排水が悪いほ場で蔓延しやすい 〇発生した場合の治療的な薬剤がない < 対策 > 1 連作回避 病原菌の密度を高めない 2 排水対策 3 激発したほ場は最後に収穫 38 7 適切な雑草防除 < 耕種的防除 > 出芽苗立をしっかりとる 砕土率を高め 播種直後除草剤の効果を高める 排水を良くし ほ場を過湿状態にしない 株元までしっかり土がかかるように2 回培土を実施 大豆の生育を旺盛にして地表を覆う 畦畔雑草は早めに刈取り 雑草の種子をほ場に落とさない < 除草剤 > 雑草の種類を確認し 生育期間中に使用可能な除草剤を適期に散布する 7 適切な雑草防除大豆用の除草剤 散布時期対象雑草薬剤名 10a 当たり散布量 播種後出芽前 雑草生育期 ( イネ科雑草 3~10 葉期 ) ( 収穫 30 日前まで ) 大豆 5 葉期 ~ 雑草生育期 ( 畦間 株間処理 ) ( 収穫 28 日前まで ) 雑草の生育初期 ~6 葉期 ( 収穫 45 日前まで ) 1 年生雑草 ( ツユクサ カヤツリク サ トレファノサイド粒剤 2.5 キク アフ ラナ科を除く ) 1 年生雑草 イネ科 1 年生雑草 ( スズメノカタビラ除く ) プロールプラス乳剤 ポルトフロアブル 1 年生雑草バスタ液剤 1 年生雑草 ( イネ科を除く ) 大豆バサグラン液剤 4~6kg 400~600ml ( 水 70~150l で希釈 ) 200~300ml ( 水 100l で希釈 ) 300~500ml ( 水 100~150l で希釈 ) 100~150ml ( 水 100l で希釈 ) 40 7 適切な雑草防除 こんな植物をみかけたら すぐ退治! 7 適切な雑草防除 防除のポイント : 後始末より未然防止 ほ場に入れない ( 早期発見 早期防除 ) 種子を増やさない ( 結実前の徹底防除 ) 帰化雑草に対する非選択性除草剤の効果 非選択除草剤 草種類 \ 除草剤 バスタ液剤 ロロックス 41 帰化アサガオ類 イヌホオズキ類 ヒユ類 非選択性薬剤を散布する際は 大豆にかからないように注意が必要 42 7
適期収穫雑草防除病害虫防除 2018/4/19 < 参考 > 砕土率向上にアップカットロータリ 耕うん爪の取付け方法を改良 トラクタ進行方向 ゴムカバースクリーン整地板細かい土回転方向粗い土アップカットロータリの耕起断面 上層 : 細かい土が集まる 発芽安定効果下層 : 間隙が大きい 排水効果 フランジ型 ( 従来 ) ホルダー型 ( 改良 ) 耕うん爪 耕うん軸 4 ヶ所 1 本毎に取付け 砕土性向上 耕うん同時畝立て播種機 アップカットロータリ耕うん同時畝立て播種 わら詰まり 防止用ディスク 成形版 1. メリット 砕土率が高まる は種まで 1 工程で行い 降雨リスクを回避 労働時間を短縮できる 2. デメリット 大型トラクターが必要 走行速度が遅い 砂壌土では 爪が擦り減りやすい ( ダウンカットロータリを活用する方法もあり ) 46 今年の重点技術対策 ( まとめ ) 排水対策の徹底 土づくりと適正な施肥 適正な播種 作付 播種計画 畦間かん栽植本数の確保確な中耕 培土~ 開花期収獲的水( 管理)播種前 ていねいで確実な作業を行い収量 品質向上を! 基本技術を徹底し 気象変動に負けない大豆づくりを! 47 おわり 48 8