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Transcription:

ワンセグ切り出し方式室内実験結果 北日本放送株式会社 目的 ワンセグ切り出し方式の 固定受信への影響軽減 を検証 1. 内容 SFN 干渉による固定受信への影響について以下を測定し比較する フルセグ( 希望波 ) にフルセグ ( 再送信波 ) が重なった時の (B 階層 ) のC/N フルセグ( 希望波 ) にワンセグ切り出し ( 再送信波 ) が重なった時の (B 階層 ) のC/N 2. 被測定装置 ( ワンセグ切り出し装置 ) (1) 再変調方式入力信号を一旦復調し ワンセグ帯域のみを再変調する 12セグ帯域は出力されず またC/Nが改善される (2) デジタルフィルタ方式入力信号をIF 周波数に変換し ワンセグ部分のみ通過させるデジタルフィルタを使用しており RFフィルタよりもワンセグ以外の帯域の減衰特性が良い 今回はチャンネルイレーサー 凸凹くん ( 多波対応 フィルタ特性はフルセグ通過とワンセグ通過を切替可能 ) を使用した (3)RFフィルタ方式入力信号をRF 周波数にてワンセグ部分のみ通過させるフィルタを使用している 表 1 ワンセグ切り出し 3 方式の特性

3. 測定方法 測定系統図 測定風景写真

測定チャンネル :28ch フェージングシミュレーター入力レベル CH1: 希望波想定 -28(13seg)/-39(1seg)dBm CH2: 妨害波想定 -28(13seg)/-39(1seg)dBm( フルセグ時 ) -39(1seg)dBm( ワンセグ切り出し時 ) 妨害波側レベルはATT3で調整 妨害波側装置のフルセグとワンセグ切り出しの切替方法は以下とする ( 再変調方式 ) OFDM 変調器の変調帯域の設定を フルセグ / ワンセグにて切替 ( デジタルフィルタ方式 ) デジタルフィルタのフィルタ特性設定を フルセグ / ワンセグにて切替 (RFフィルタ方式) フルセグ時にはRFフィルタをバイパス フェージングシミュレーター出力の2 信号の合成信号を雑音付加装置に入力し C/N 特性を測定する 希望波と妨害波との遅延差及び位相差はフェージングシミュレーターで設定する 4. 室内実験結果希望波に再変調波 (SFN1 波 ) が混入する固定受信モデルにおいて 再送信波は ( 希望波に対する ) 遅延時間がガードインターバル期間を超えると ( ノイズを与える ) 妨害波 ガードインターバル期間内であれば ( 信号振幅を変化させる ) 干渉波とみなすことができる 室内実験では ワンセグ切り出し ( 再送信 ) 方式が通常のフルセグ ( 再送信 ) 方式に比べて固定受信への影響 (SFNにおける難視発生) 確率が軽減することを確認するために 地上デジタルテレビ放送波 ( 希望波 ) に再送信波 (SFN1 波 ) が混入した場合の受信信号の劣化度を 混入する再送信波が フルセグ と ワンセグ切り出し方式 2パターンについてそれぞれ測定した その結果 いずれのワンセグ切り出し方式も 受信信号に対する劣化度が フルセグ よりも大幅に軽減されることを示すデータを取得した

5. 測定結果と分析 (1) 再変調方式 1 希望波 + フルセグ再送信波の B 階層特性の波形データは次のとおり (D/U= ) (D/U=25dB) (D/U=20dB) 図 1 合成信号のスペクトラム波形 1 2 希望波 + ワンセグ切り出し再変調方式再送信波の B 階層特性の波形データは次のとお り (D/U=10dB) (D/U=0dB) 図 2 再変調方式合成信号のスペクトラム波形 2

3 結果分析はじめに 再送信波がない場合 ( 希望波のみ ) の受信波 C/Nとビタビ復号による誤り訂正後 ( 以下 ビタビ後 と記す ) の誤り率との関係を示すものが 妨害波なし ( 黒線 ) である また 固定受信を実現するために必要となるビタビ後の所要誤り率は 2E-4( 黄色直線 ) である ちなみに 上記 2 線の交点は 固定向けサービスの所要 C/N(20.1dB) と ほぼ一致している ここで 希望波に再送信波が重なると信号品質が劣化する ( 1) ためにC/N 対 B ER 特性が悪化 ( 右方向にシフト 2) する まず 再送信波がフルセグの場合 希望波よりも25dB 低いレベルを混入すると グラフ上 青線 ( フルセグD/U=25dB) になり 黒線 ( 妨害波なし ) に対して大きく右方向にシフトしている この場合 黄色直線 と 青線 の交点より 固定受信に必要となるC/Nは22dBを超えており 要求される受信 C/Nが約 2dB 高くなっていることがわかる 一方 再送信波が ( ワンセグ切り出し ) 再変調方式の場合 希望波よりも25dB 低いレベルで混入しても 黒線 ( 妨害波なし ) との差が見られなかったため さらに条件の悪い 希望波よりも10dB 低いレベルの特性 赤線 印 ( 再変調 D/U=10 db) を示す しかし この場合でも 黄色直線 と 赤線 の交点より 固定受信に必要となるC/Nはほぼ 妨害波なし と変わらないことがわかる 以上の比較より ( ワンセグ切り出し ) 再変調方式では フルセグ (ISDB-T 方式 ) よりも15dB 高いレベルで再送信波が混入してもB 階層信号の品質はほとんど変化しておらず 再送信波による受信信号の劣化度が大幅に軽減されることを確認した 1. 今特性は希望波と再送信波の合成信号に対して雑音付加装置で所定のノイズをさらに付加する方法により測定した ( 別冊測定系統図参照 ) 再変調方式は ( 希望波に対する ) 遅延時間がガードインターバル期間を超えるためにノイズ信号とみなすことができる このため 希望波にノイズ ( 再送信波 ) が混入することにより信号品質が劣化する 2. 信号品質が劣化すると 信号 C/Nに対するBERが高くなることから特性グラフが全体的に右方向へシフトする またこのシフト量が大きいほど信号の劣化度合いが高い ( 再送信波による影響が大きい ) ことを示す これによりビタビ後の所要誤り率 (2E-4) を確保するためにはより高いC/Nレベルが必要となる ( 所要 C/Nが増加する ) が 実際の受信環境において元々電界強度が低いなどの理由により所要 C/Nに対するマージン量が少ない場合では 再送信波の混入によってビタビ後の所要誤り率 (2E-4) が確保できなくなり難視が発生する

( 注 ) 希望波と再送信波の D/U はワンセグ帯域の信号レベルで規定 共聴 / ケーブル地域におけるワンセグのあり方に関する検討会

(2) デジタルフィルタ方式 1 合成信号 ( 希望波 + フルセグ再送信波 ) の B 階層特性の波形データは次のとおり 図 3 合成信号のスペクトラム波形 2 合成信号 ( 希望波 +ワンセグ切り出しデジタルフィルタ方式再送信波 ) ( ア ) 事前測定測定に先立ち希望波と再送信波との位相を変化させ BER を測定したところ 120 で最良値 180 で最悪値となることが確認できた C/N-BER 特性はこの位相に設定して測定を行うこととした ( イ ) 合成信号 ( 希望波 +ワンセグ切り出しデジタルフィルタ方式再送信波 ) の波形データは次のとおり ( 位相 120 ) 最良値 ( 位相 180 ) 最悪値図 4 デジタルフィルタ方式合成信号のスペクトラム波形 3 結果分析まず再送信波がフルセグの場合 希望波と同じレベルの再送信波を混入すると グラフ上 青線 ( フルセグD/U=0dB) になり 黒線 ( 妨害波なし ) に対して大きく右方向にシフトしている この場合 黄色直線 と 青線 の交点より 固定受信に必要となるC/Nは約 28dBであり 要求される受信 C/Nが約 8dB 高くなっていることがわかる 一方 再送信波が ( ワンセグ切り出し ) デジタルフィルタ方式の場合 希望波と同じ

レベルで混入するとグラフ上 赤線 印 ( デジタルフィルタD/U=0dB180 ) 及び 赤線 印 ( デジタルフィルタD/U=0dB120 ) となる ( 3) この場合 黄色直線 と 赤線 印 及び 赤線 印 の交点より 固定受信に必要となるC /Nは21.0~21.5dBであり 要求される受信 C/Nの変化量はわずか0.5 ~1dBである 以上の比較より ( ワンセグ切り出し ) デジタルフィルタ方式では フルセグ (ISD B-T 方式 ) よりもB 階層信号の品質変化が極めて小さく 再送信波による受信信号の劣化度が大幅に軽減されることを確認した 3. 再送信波が ( ワンセグ切り出し ) デジタルフィルタ方式 ( 遅延時間差 5.7μs) の場合 C/N 対 B 階層 BER 特性は希望波と再送信波の位相差に依存する ( 4) ため 事前に特性ベストとワースト時の ( 再送信波側に加える ) 位相付加量を確認した ( ベスト :120 ワースト:180 ) 4. 希望波に遅延時間がガードインターバル期間内の再送信波 (SFN) が混入すると 受信信号は帯域内でリップル ( 信号振幅に山と谷の部分が生まれる ) 特性を持つようになる このため 各キャリアのレベルが上下するためにそれぞれのBERが変化 ( 悪化 ) する ここで 帯域内のリップルの大きさと間隔は希望波と再送信波の遅延時間に依存する ( 遅延時間が短くなるほどリップルは大きくかつ間隔が長くなる ) また帯域内のリップルの位置は希望波と再送信波の位相差に依存する ( 注 ) 希望波と再送信波の D/U はワンセグ帯域の信号レベルで規定

(3)RFフィルタ方式 1 合成信号 ( 希望波 +フルセグ再送信波 ) のB 階層特性 及び合成信号 ( 希望波 +ワンセグ切り出しRFフィルタ方式再送信波 ) のB 階層特性の波形データは次のとおり ( 位相 270 ) 最良値 ( 位相 180 ) 最悪値 図 5 RF フィルタ方式合成信号のスペクトラム波形 3 結果分析はじめに ( ワンセグ切り出し )RFフィルタ方式の送信装置の遅延時間は 0.1μs 程度であり 希望波に対して同じレベル (D/U=0) の再送信波が重なる時 C/N 対 B 階層 BER 特性は希望波と再送信波の位相差に大きく依存する ( 4) このため 再送信波がフルセグの場合と ( ワンセグ切り出し )RFフィルタ方式の場合における位相 ( 5) 対 B 階層 BER 特性 ( ビタビ復号による誤り訂正前 : 以下 ビタビ前 と記す ) を測定した ここで 固定受信を実現するために必要となるビタビ前の所要誤り率は 2E-2( 黄色直線 ) である まず再送信波がフルセグの場合 希望波と同じレベル (D/U=0dB) の再送信波を混入すると グラフ上 青線 ( フルセグ ) となる この場合 青線 が 黄色直線 を上回っている位相は全体の約 48% となっている 一方 再送信波が ( ワンセグ切り出し )RFフィルタ方式の場合 希望波と同じレベルで再送信波を混入すると グラフ上 赤線 (RFフィルタ) となる この場合 赤線 は全ての位相で 黄色直線 を下回っている 以上の比較より ( ワンセグ切り出し )RFフィルタ方式では フルセグ(ISDB- T 方式 ) よりも再送信波による受信信号の劣化度が大幅に軽減されることを確認した 5. 希望波と再送信波の信号を合成する際に再送信側に加える位相付加量 希望波と再変調波の位相差は受信位置を移動させることで変化するため 位相付加量を可変することは受信位置を移動することに相当する 尚 デジタル電波 (28ch) の1 波長 (360 ) は約 53cmである