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図 1 正面像で中央陰影 横隔膜に重なる肺野面積 43% 26% 重なる体積 重なる面積 図 2 CT 像で中央陰影 横隔膜に重なる肺野面積 体積 周りが空気に覆われた場合は線の外側に透過性の高い帯状構造が認識され 逆に 空気や肺が突出し 周りが軟部で覆われた部分では線自体の透過性が低下し画像上白っ

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それでは具体的なカテーテル感染予防対策について説明します CVC 挿入時の感染対策 (1)CVC 挿入経路まずはどこからカテーテルを挿入すべきか です 感染率を考慮した場合 鎖骨下穿刺法が推奨されています 内頚静脈穿刺や大腿静脈穿刺に比べて カテーテル感染の発生頻度が低いことが証明されています ただ

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

085 特発性間質性肺炎

S-1 急性肺血栓塞栓症の項参照 144 頁 緊張性気胸などをま 一過性意識障害 と失神 肺水腫 肺血栓塞栓症 ず鑑別する その他 COPD 増悪を含む などの呼吸器疾患 心不全 急性 慢性 急性心不全の項参照 139 頁 などの循環器疾患以外にも 貧血 神経筋疾患 代謝疾患 S-2 意識障害 精神

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問 6. 肺高血圧症に関して誤っているものを選んで下さい 1 肺動脈高血圧症は臨床的に肺動脈圧が 30mmHg 以上であることが診断基準となる 2 肺動脈高血圧症は組織学的に細動脈のリモデリングを特徴とする 3 肺静脈高血圧症は左心不全に続発する 4 犬の肺静脈閉塞症では組織学的変化がび漫性に生じる

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

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透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

かかわらず 軟骨組織や関節包が烏口突起と鎖骨の間に存在したものを烏口鎖骨関節と定義する それらの出現頻度は0.04~30.0% とされ 研究手法によりその頻度には相違がみられる しかしながら 我々は骨の肥厚や軟骨組織が存在しないにも関わらず 烏口突起と鎖骨の間に烏口鎖骨靭帯と筋膜で囲まれた小さな空隙

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医学生 研修医に知っててほしい 胸部単純写真読影の常識 改訂第 4 版 2015 年 8 月 キナシ大林病院放射線診断科児島完治 ( ご意見 コメントは ) k o j i m a - i m a g i n g @ o b a y a s h i h p. o r. j p まで 5 年生のポリクリまでに知っていてほしいことは ( A ), 国家試験のときには知っていてほしいことは ( B ), 研修医で胸部単純写真を読影するときに知っていてほしいことは ( C ) ( * 胸部単純写真読影力バッジテスト 2 級レベル ) にランク分けしています ( * バッジテストについてはキナシ大林病院ホームページ > 放射線科 > 画像 診断心得を参照してください ) 昔々, 約 3 0 年前, 香川医科大学開院当時, 若い研修医を対象にフィルムでカンファレンスをしていました 元々, フィルムがあり, その後このテキストを作りました 今回, 以前使っていたフィルム その後パワーポイントに変更した資料を胸部単純写真集として作製しましました ( 図 ) の項目にはそれに対応する写真 図がありますので参考にしてください ポリクリ学生が覚えておくべき重要な用語に下線を引きました ( 第 1 部 ) 1. A 胸部単純写真は全身をうつす鏡である 胸部写真 1 枚で, 患者さんの体格 骨格, 栄養状態, 呼吸 循環器疾患および状態などがわかる 2. A 入院時に胸部写真を撮影するのは, 全身状態, 呼吸器, 循環器系のチェックの意味もあるが, 院内感染の原因となる症状のない肺結核などの感染症, あるいは無症状の肺がんなどを見落とさないためでもある 3. A 症状のない 40 才以下の患者さんの撮影は正面写真だけで十分である 正面写真で異常があれば, 側面写真を追加する 医師たるもの, 無駄な被曝は少しでも少なくすることを忘れてはいけない ( 撮影について ) 4-12 4. A X 線が多くあたると, 写真は黒くなる 空気は X 線が減衰することなく通過してフィルムにあたるので, 写真では黒く, 水, 筋肉, 脂肪は灰色, 骨は X 線が透過しにくいので白くなる 5. A X 線が透過しやすいのは, 空気 > 脂肪 > 水 軟部組織 > 石灰化 骨 > 1

金属である この順番で写真は黒 > 灰色 > 白色になる 6. A X 線フィルムはアナログ画像である 無段階で黒から白色になる デジタル画像は CT と同じで数値で黒白を表現できる CT では骨は + 1 0 0 0 H U ( H o u n s f i e l d u n i t ), 水が 0 HU, 空気がー 1 0 0 0 HU と定義されているが, デジタル単純写真の場合は 1 0 b i t ( 1024 段階一つの画素は 100μ 100μ ) で表現される 7. A フィルム撮影では, X 線が直接フィルムを感光させるのではない フィルムが入っている箱のことをカセットというが, カセットの中には増感紙という発光物質が箱の内部の前後に貼り付けられている この増感紙が X 線により発光し, フィルム乳剤を感光させて像を作る 8. A C R ( C o m p u t e d r a d i o g r a p h y ) はデジタル画像である C R では X 線の検出器として増感紙 + フィルムの代わりにイメージングプレート用いる CR は日本のフジフィルムが発明したもので, 初期には F C R ( F u j i c o m p u t e d r a d i o g r a p h y ) と呼ばれていた 増感紙 + フィルムシステムの被曝量にくらべ 10 分の 1 以下の被曝で撮影が可能であり, 世界に誇る日本の大発明であった ( 残念ながら, 最近は低線量写真の画質が悪いという理由で増感紙 + フィルムシステムとほぼ同じ撮影条件で撮影が行われている ) ( 因みに被曝量は胸部単純写真が 0. 0 2 m S v ミリシーベルト, CT の被曝量は単純写真の約 100~~500 倍である ) 9. A 最近では X 線に直接反応する素子を用いた f l a t p a n e l d e t e c t o r というデジタルラジオグラフィがある ( ふつうのデジタルカメラと同じ原理である ) 撮影後, 即座にモニターで画像を得ることが可能になった フィルムにプリントすることなく, モニターで観察, 伝送が可能である 10. A X 線画像は直接 X 線により作られ, 間接的な散乱 X 線により画質が低下する 散乱線の発生を少なくするためグリッドという装置がある 散乱線除去のためのグリッドは患者とフィルムの間に置く 11. A 胸部写真は, 肺をしっかり観察するため, 深吸気で肺をふくらませて撮 影する いつも同じ条件で撮影するため, 経過の比較が容易である 特殊 な場合として, 子供のピーナツ誤嚥疑い ( 気管支内異物疑い ) などでは呼 気撮影でエアートラッピング ( 異物がある側は肺の空気が出て行かない 膨 らんだままになっている ) により異物の入った側の診断をする 12. A 肺気腫では肺の空気量が増加する 肺の透過性が亢進する 肺野は黒くなり, これを俗に, あるいは古い先生が 肺野が明るくなる というが, 黒くなるのが明るい など, 言葉で混乱を招くので使わないほうがよい 肺野の透過性が亢進している というのがよい ( 撮影の方向 ) 13-19 13. A 普通の胸部 X 線写真では, X 線は背中から入り腹部に抜ける X 線が 2

背中 ( 後 ) から腹 ( 前 ) 側へ抜けることより, このような写真を後前撮影 ( p o s t e r o - a n t e r i o r v i e w, P A v i e w ) という 仰臥位でのポータブル撮影, 坐位の撮影など, X 線が前から後ろに通過する場合は, 前後撮影 a n t e r o - p o s t e r i o r v i e w, A P v i e w という 側面撮影で X 線が右から左に通過するのは, 左側面撮影という 14. A 後前撮影 ( PA 撮影 )( X 線を背中から腹側に透過させ撮影すること ) をするのは肩甲骨が肺野に重ならならないようにするためである さらに心臓の拡大をおさえ, 肺野を広く見るためである 胸部写真はもともと肺野を観察するための写真である ポータブル撮影などの前後撮影では, 肩甲骨が肺野に重なり, 心臓は拡大されていることで区別する 15. A 背臥位で撮影された胸部写真 ( AP 撮影 ) では心臓は大きく, 血管影も増強してみえる 16. A X 線管球とフィルムの位置は約 2 m である 距離が近いと, X 線管球に近い側 ( 後前撮影では脊椎など ) が大きく拡大されてしまうためである 17. A 側面写真の基本は左側面撮影である これは心臓の拡大をおさえ肺野を広く見るためである X 線は右側から左に通過する 18. A 病変が明瞭に見える ( 病変がフィルムに近く, 拡大されない ) ので, 病変が右肺にあるときには右側面写真を撮るべきだ, というのは昔の常識である 今は, 側面写真は常に左側面とするのが世界標準といわれている 経過観察での比較が重要なためである 19. A 側面像は, 葉間裂 ( 水平裂 = 小葉間裂, 斜裂 = 大葉間裂 ) が明瞭にみえ, 肺葉をはっきりと区別できるので肺葉の無気肺の診断に有用である ( 撮影条件 )20-22 20. A 撮影条件で写真の見え方は大きく変わる 電圧, 吸気, 体位などの条件により大きく変化する 低い電圧で撮影された写真は, 骨, 肺の血管影が目立つ, 心臓の後ろが透けて見えない 電圧が高くなるほど, 肋骨が透けてみえてくる 肋骨に重なる病変 ( とくに肺癌 ) の発見によい 21. A 電圧が低いと X 線透過性が悪い 低い電圧 ( 約 3 0 K V ) で撮影するものに乳房撮影がある 乳房の中の正常乳腺と, 少し硬い乳癌の陰影を区別する 高い電圧では, 軟部の密度差を区別することができない 肋骨や脊椎などの骨を見るには 60-80KV で撮影する 22. A 胸部単純写真は, 多くの施設では, 1 2 0 K V p 以上の電圧で撮影されている これは, 縦隔や肋骨に重なる陰影, 特に肺癌を見落とさないことが目的である 肋骨の写真は普通 60 8 0 K V p で撮影する 低電圧の写真では肺野の血管影も目立つ 淡い肺炎像や間質性陰影も明瞭になるが, 病的かどうかの判断も難しくなる 3

( いい写真とは ) 23 23. A いい写真とはどんな写真か を知っておかねばならない 施設により, フィルムや, 撮影条件が異なるため写真の質が異なる それぞれの施設のいい写真というのは同じではない 基本的には, 体位, 写真濃度が適切な写真をいう 濃度は心臓の後ろの肺野, 脊椎が透けて見える 気管分岐部がみえる 腹部の椎体が見えるか見えない程度 ( 腹部の脊椎がはっきり見えるのは見えすぎである 肺野が黒すぎる ) と言われていた しかし, 最近は CR( C o m p u t e d R a d i o g r a p h y ) 写真のため, 画像処理により心臓の背面だけでなく, 腹部までちゃんと見えるのに, 肺野も黒くなく適切な濃度の写真になっている バカチョン写真のため, 濃度的にはみんないい写真になってしまった 放射線技師の撮影の腕は体位の正確性でしか判断できなくなってしまった ( 解剖の常識, 解剖と X 線画像 ) 2 4-49 24. A 右主気管支と下葉気管支の間は中間気管支幹と呼ばれる 25. A 左上葉気管支は上区枝と舌区枝に分かれる 26. A 胸部正面写真で B 3 b 気管支の輪切りがしばしばみられる B とは気管支 b r o n c h u s の略号である A 3 b は肺動脈 a r t e r y を表している 27. A 右の B 2 は右上葉後上区域気管支をあらわす 気管支の番号で覚えるのも大事だが, 場所の名前とあわせて覚えなければならない 28. A 肺葉は右 3 葉, 左 2 葉である 肺区域は右が 10 区域, 左は8 区域である 側面像で下葉の区域は前から S8-S9-S10 と並んでいる 29. A 肺の構造は, 肺葉 > 肺区域 > 二次小葉 > 細葉 > 肺胞の順である 30. A 気道は気管支 > 小気管支 > 終末細気管支 > 呼吸細気管支 > 肺胞嚢 肺胞管 > 肺胞となる 31. A 肺の実質とは, 肺胞腔と肺胞上皮である 32. A ( 図 ) 肺胞を支持している毛細血管, リンパ管, 結合織を肺の間質という 後述するが, 間質には大きく分けて二種類ある 肺胞周囲の間質, 肺胞隔壁である肺胞壁間質と, 小葉間隔壁, 太い血管や気管支周囲の微小血管, リンパ管や結合織などであるリンパ路性間質である ( 多くの日本語の本では 狭義間質 広義間質 と記載されているが, そこで使われている狭義, 広義というのは, 日本語本来の意味でなく, 小さい, 微小な, 細かい, 大きな, 粗大なという意味で用いられているにすぎない 日本語の狭義, 広義という本来の使い方ではないので注意が必要である ) 最近は混乱を来たさないため広義間質という言葉は, リンパ路性間質と呼ばれている 4

33. B 小葉間隔壁には静脈と, リンパ管がある 34. B リンパ路性間質に異常が起こると血管周囲の間質や小葉間隔壁の陰 影が出現する 胸部写真では, 間質の異常は, 血管影の増強や, 血管 の辺縁のボケ像, 葉間胸膜の肥厚, 小葉間隔壁の肥厚 ( K e r l e y 出現として認められる ( 間質性パターン : 後述 ) 線 ) の 35. A 肺胞内 ( 肺の実質 ) が液体や軟部組織 ( 血液, 浮腫液, 腫瘍など ) で 充填 ( コンソリデーション ) されると, 肺は白くなる ( 肺胞性パターン : 後述 133-151) 36. A 肺動脈と気管支は区域の中心部を走行する 併走する気管支径と動 脈径は正常ではほぼ等しい 右肺動脈は右主気管支の前を通る 左肺 動脈は左主気管支を前から後ろに乗り越える 37. A 肺門陰影は肺動脈, 気管支, 気管支周囲間質 ( 結合織 ) およびリンパ 節から形成される 正常例では, 左肺動脈が左主気管支を前側から後 方に乗り越えるため, 左肺門が右よりわずかに高い 38. A 肺静脈は区域の間を走行する 肺静脈は左房に入る 39. A 肺を覆っている胸膜は2 枚あり, 臓側胸膜, 壁側胸膜である その間隙が胸膜腔である 右肺の上中葉間には小葉間裂 ( 水平裂 M i n o r f i s s u r e ) がある 左肺では, 上葉と下葉の間に, 右では上 中葉と下葉の間に大葉間裂 ( 斜裂 M a j o r f i s s u r e ) がある 40. A 葉間裂には臓側胸膜 2 枚がある 葉間裂には大葉間裂, 小葉間裂以外に奇静脈葉などを形成する副葉間裂 ( a c c e s s o r y f i s s u r e ) がある 大葉間裂は側面像でないとみえないのが一般的である 時に, 右上肺野外側に淡い帯状の陰影として大葉間裂の s u p e r o l a t e r a l m a j o r f i s s u r e が見える 41. B 奇静脈葉は右上葉内側にできる 奇静脈葉の胸膜は 4 枚ある 奇静脈が右上葉の中にあるとき, 奇静脈葉が出現する 正常の奇静脈は気管と右主気管支分岐部の上側にある 正常では幅 1 c m を越えない 臥位では拡張する 42. A 鎖骨より上を肺尖, 肺尖部という よい胸部写真は鎖骨が第 4 肋骨後部と重なるといわれている 前第 2 肋骨より上を上肺野という 前第 2 肋骨から前第 4 肋骨までを中肺野という 43. B 肺が過膨張を示すと, 横隔膜が低下する 前第 6 肋骨より横隔膜が低い場合, 肺の過膨脹という 後部の肋骨では第 1 0-1 1 肋骨である 44. B 横隔膜と心臓の角を心臓横隔膜角 c a r d i o p h r e n i c a n g l e という 横隔膜外側の肋骨との角は肋骨横隔膜角 c o s t o p h r e n i c a n g l e と呼ぶ 側面像で横隔膜後側と肋骨の角は後部肋骨横隔膜角 p o s t e r i o r c o s t o p h r e n i c a n g l e という 5

45. B 横隔膜は心臓のため左側が右より低い 左横隔膜の下には胃泡と横行結腸脾弯曲の空気が見える 46. B 左側面写真では横隔膜が交叉している どちらが右か左かを決めるのは, 胃泡の上にあるのが左, 前側が心臓によるシルエットサインで消えているのが左である 47. C 側面写真で脊椎の後方に投影された肋骨をみると, 太さが違う 太い方がフィルムより離れた側である ( b i g r i b s i g n という ) 48. C 側面写真で, 肺門部の下に肺静脈が楕円形の腫瘤様に見えることがある 加齢に伴う脊椎の変性 ( 変形性脊椎症 ) による椎体の骨棘も丸い結節に見えることがある 49. C 過膨張の場合, 側面写真では胸骨と上行大動脈の間の肺のスペースが増加する ( 正常変異 ) 50-59 50. C 正常肺尖部は第 2 肋骨下縁まで広がっている 第 2 肋骨下縁から 5 m m 以上肺尖の空気と離れているとき胸膜肥厚という 肺尖部の胸膜肥厚を思わせる変化がすべて, 陳旧性炎症による胸膜の肥厚ではない a p i c a l c a p あるいは肋骨随伴陰影といわれる正常変異もある 後者は, 肋骨に沿った脂肪が胸膜肥厚のように見える 肥満者で観察されることが多い これらを区別することは難しい 51. C 両側肺尖部に a p i c a l c a p と呼ばれる非特異性瘢痕陰影がみられる 末梢性無気肺が瘢痕化したものである 画像上は胸膜肥厚と区別できない 52. C 第一肋骨の肋軟骨部の加齢による骨化像はよく肺腫瘤と間違えられる いろいろな形をとり, 左右非対称の骨化で, 腫瘍かどうか迷うことがおおい 53. C 下部肋軟骨の化骨は, 女性は尖った形で ( p e n i l e s h a p e ), 男性は U 字型 (v a g i n a l s h a p e ) に骨化するといわれている 下部肋骨の化骨は腫瘤と間違えることはあまりない 54. C 肋骨骨折の治癒仮定である化骨形成は, 結節, 腫瘤, c o i n l e s i o n と間違えやすい 55. C ( 図 ) 漏斗 ( ロート ) 胸など胸郭の変形が写真上ではどう写るか知っておかねばならない 右 2 弓のシルエットサイン陽性, 心臓の左への偏位, 前方の肋骨が縦向きになる 56. C 前胸壁, 背部のいぼ, あるいは乳頭が腫瘤として写ることもある 大きな乳房では肺野が白くなる ( 透過性が低下している ) 乳房切除術がおこなわれた側の肺野は黒くなる ( 透過性が亢進している ) 57. C 老人では動脈硬化により右腕頭動脈が屈曲蛇行し, 上縦隔右側に腫 6

瘤様にみえることがある 58. C ( 図 ) 横隔膜の変化には, 横隔膜の筋束が波打ってみえる s c a l l o p i n g や三角形に持ち上がる t e n t i n g, 横隔膜の線が不明瞭になる b l u r r i n g がある また, 横隔神経麻痺などないにもかかわらず, 原因不明で横隔膜が挙上する e v e n t r a t i o n ( 横隔膜弛緩症 ) がある 59. C ( 図 ) 肥満者では c a r d i o p h r e n i c a n g l e に脂肪が沈着するため, 心臓右第 2 弓, 左第 4 弓のシルエットが部分的になくなる ( シルエットサイン陽性 ) ことがある ( 画像診断 ) 60-65 60. B 胸部単純写真は撮影して眺めるだけでない 所見を拾い, 解析し, 診断名を推理しなければならない 最初は順序よく読影する事を習慣づける 肺野を見た目では瞳孔が明順応するまで縦隔は十分見えない 縦隔は内部を観察するつもりで見ないと見えない 61. C 読影にあたっては人工物を最初にチェックする 医原性トラブルがないか注意深く観察する ( 詳細は第 2 部 215-246) 62. C CV( 中心静脈 ) カテーテルは右房内に入れてはいけない 不整脈や穿孔を引き起こす危険がある 63. C 胃管先端が食道内にあると, 注入された液体が逆流し肺に誤嚥が起こる可能性がある 64. C ( 図 ) 外傷で皮下気腫を発見したら, 縦隔気腫, 気胸を探す 外傷がない縦隔気腫を特発性縦隔気腫という 大声を出したり, 吹奏楽など胸腔内圧を上げる動作をしたときに起こる 65. C ( 図 ) 胸部単純写真で異常を発見するには, 下記の 3 つの方法がある 1 よく見える異常陰影を見つける 2 本来見えるべき辺縁が見えなくなるシルエットサインや縱隔線の消失などから間接的に発見する 3 特殊な所見から疾患あるいは病態を診断する ( K e r l e y 線, 葉間線の肥厚, 横隔膜下胸水, A,B 3 b の太さあるいは p e r i b r o n c h i a l c u f f i n g, 背臥位写真で気胸を診断する d e e p s u l c u s s i g n など ) 4 熟練者が行う特殊な方法に肺の既存構造の解析がある 単純写真でみえる気管支, 血管影を個々に観察して解析する 血管影の走向, 分布などにより, 無気肺や腫瘤性病変を解析する ( 結節 腫瘤 空洞 ) 66-71 66. A 明瞭な境界をもった径 3 c m 以上の限局性のコンソリデーションを腫瘤 7

( m a s s ) という 3 c m 未満を結節 ( n o d u l e ) という 1 c m 未満は小結節 5 m m 以下は粒状影と呼ぶ 67. A 結節の周囲に小さな結節影を認める場合, これを散布巣あるいは衛星結節と呼ぶ 散布巣は炎症性肉芽腫性病変とくに結核で見られる 悪性腫瘍ではみられないので良悪の鑑別によく利用される 68. A 浸潤影, 腫瘤, 結節の内部が抜け, 透過性を示す ( 黒くみえる陰影は透亮像ともよばれる ) 状態を空洞という 69. B 空洞内に液体があると液面形成 ( a i r - f l u i d l e v e l ) が形成される 炎症による浸出液貯留を示し, 病変が活動性である証拠である 70. B 肺動静脈瘻では拡張した流入動脈, 流出静脈が特徴である 71. A 肺の良性腫瘍には過誤腫, 硬化性血管腫などがある ( 肺癌 ) 71-85 72. A ほとんどの肺癌は結節や腫瘤を形成する 73. A 肺癌の組織型には, 腺癌, 扁平上皮癌, 小細胞癌があり, それぞれ画像に特徴がある 大雑把にその特徴を知っていれば, 1 / 3 以上の確率で組織型を推定できる 74. B 腺癌は末梢に発生する 末梢型腺癌の特徴はスピクラ, 血管気管支の引き込み像, 胸膜陥入像などが特徴である 5 cm をこえるような大きなものはあまりない その大きさではすでに骨転移や, 脳転移を来している 75. B 扁平上皮癌の特徴は, 肺門部に発生する, 二次性肺炎や無気肺を占める, 空洞形成を認める, 5 cm を超える大きな腫瘤などである 76. B ( 図 ) 逆 S 字サイン ( G o l d e n ' s S s i g n ) は肺門部肺癌をあらわす 肺門部の腫瘤と右上葉の無気肺である 多くは扁平上皮癌である 77. B 小細胞癌は, 肺門や縱隔リンパ節腫大が特徴である 原発腫瘍は小さいのに大きなリンパ節腫大があることが特徴である 78. B 特殊な肺癌に P a n c o a s t 腫瘍がある これは, 肺尖部に発生し, 上腕神経叢浸潤などを来すものをいう 79. B CT でしかわからない肺癌がある 多くは淡いすりガラス陰影を示す A I S ( a d e n o c a r c i n o m a in s i t u ), M I A ( m i n i m a l l y i n v a s i v e a d e n o c a r c i n o m a ) ( 旧称細気管支肺胞上皮癌 ( B A C, b r o n c h i o l o a l v e o l a r c a n c e r ) である 見えない肺癌を必死でさがすことより, まず, 胸部単純写真でちゃんと見えている肺癌や病変を見落とさず読影することが大切である 80. B 心臓や縱隔に重なり見えない肺癌がある かくれんぼ肺癌 と呼ばれる 縦隔の中, 心臓の後ろ, 横隔膜の下, 肋骨に重なる部分など注意深い観察が必要である 8

( 多発結節影 転移性肺腫瘍 ) 81-85 81. B 転移性肺腫瘍では結節の大小不同が特徴である 82. B 転移性肺癌で空洞を伴いやすいのは, 頭頚部癌, 食道癌, 子宮頸癌などの, 組織型が扁平上皮癌の腫瘍である 83. B 甲状腺癌の肺転移は多数の小さな結節 ( 数 m m の大きさ, 粟粒大, 微細粒状影 ) が特徴である 84. B 多発粒状影 ( 数 m m ) を来すものには粟粒結核, 血行性肺転移, 塵肺症, サルコイドーシスがある 85. B じん肺症では長径が 1 c m 以上の結節影を大陰影と呼ぶ ( 石灰化 ) 86-92 86. C 胸部単純写真でみられる石灰化は, 一般的に陳旧性変化, 古い結核性肉芽腫である 石灰化とわかれば, 確実に良性と言える所見である 陰影が石灰化かどうか判定できることは読影の技術 ( わざ ) である 陰影濃度から CT 値 ( CT でいえば約 130HU 以上だが, 単純写真で石灰化と判るのは結節, 小結節の大きさ, 石灰化の含有率に影響される ) を判定する能力である 結節が石灰化かどうか, 結節に石灰化があるかどうかを区別する能力は胸部写真読影で必須である この区別ができないレベルでは, 胸部写真を一人で読影してはならない 明らかな石灰化を腫瘤だといって, すべて CT をとって確認するのは常識はずれである 87. C 肋骨と同程度の陰影を示すものは石灰化である 肋骨より小さいのに骨より濃い結節は石灰化である 88. C 結核の乾酪壊死が石灰化する 石灰化は結核の治癒した状態を示す 小さな石灰化散布巣と線状, 索状陰影 ( 瘢痕影 ) を認める 線維石灰化病巣 ( f i b r o c a l c i f i c f o c i ) である 普通の肺炎のあとは石灰化を来さない 89. C 肺門リンパ節の石灰化は結核後あるいは塵肺症の所見として見られる 90. A 結節の石灰化のうち, 層状, 中央部の石灰化, ポップコーン様, 全体の石灰化は良性の特徴である 辺縁部だけに石灰化がある場合は, 悪性の可能性もある 91. A 肺過誤腫の石灰化の特徴はポップコーン様石灰化である 92. C 透析患者など二次性副甲状腺機能亢進症で発生する肺実質の石灰化沈着は転移性肺石灰化症と呼ばれる ( 浸潤影 感染症 ) 93-98 93. A 肺胞内 ( 肺の実質 ) が液体や軟部組織 ( 血液, 浮腫液, 腫瘍など ) で充填 ( コンソリデーション ) されると, 肺は白くなる ( 肺胞性パターン : 後述 133-151) 9

94. A コンソリデーションは胸部単純写真では, 境界不明瞭, 不鮮明な濃度上昇を示す 浸潤影ともいう 95. A 浸潤影には大葉性肺炎などの均等性陰影と気管支肺炎の不均等陰影がある 細菌性肺炎は均等陰影, マイコプラズマ肺炎など非定型肺炎は不均等陰影の傾向がある 96. B 区域性陰影を来すものに閉塞性肺炎, 気管支肺炎などがある 97. B 中枢側に肺癌があり, 末梢に肺炎を合併するような病態を閉塞性肺炎という 閉塞性肺炎は不均等陰影である 98. B 浸潤影を呈する悪性腫瘍に浸潤性粘液産生性腺癌 ( 粘液産生性細気管支肺胞上皮癌 ) と悪性リンパ腫がある ( エアブロンコグラム ) 99-102 99. A 肺炎では肺胞内に炎症細胞浸潤を生じる 気管支内腔には空気が残り X 線写真では黒く見える これをエアブロンコグラム ( a i r b r o n c h o g r a m ) という エアブロンコグラムは病変が肺胞内 ( 肺実質 ) にあることを示している 気管支と気管支の間にはさまれて見られる気管支透亮像 ( 気管支が黒く見えること ) や CT で気管支の中にみられる空気はエアブロンコグラムとはよばない 100. A コンソリデーションの中にみえる黒いエアブロンコグラムは日本語で表現すると 樹枝状の透亮像 と表現される 101. C コンソリデーションの中にエアブロンコグラムは見えるが, その気管支に伴走する肺動脈がみえない これはシルエットサインのためである 102. C 癌が気管支を閉塞したり, 気管支内に分泌物が充填したりする場合には, エアブロンコグラムは見えない ( シルエットサイン ) 103-107 103. A 同じX 線吸収度の構造が直接接すると境界が消失する これはシルエットサイン ( S i l h o u e t t e s i g n ) と呼ばれる 心臓や大動脈の線が消失したとき, その消失した線のところに病変が存在していることを意味している 104. A 心臓右第 2 弓のシルエットサイン陽性 ( 線が消えること ) は右中葉の肺炎 無気肺 肺がんなどを示す 105. A 下行大動脈のシルエットサイン陽性は左下葉の肺炎 無気肺あるいは胸水を示す 106. A ( 図 ) 左上葉の無気肺では, 大動脈弓 ( 左第 1 弓 ), 左肺動脈 ( 第 2 弓 ), 左房 ( 第 3 弓 ) のシルエットサインが陽性になる 107. B シルエットサインは隣接したカルシウム濃度のものと水濃度では成立しない 軟部影, 軟部濃度 ( 脂肪 水 軟部 ) の場合に有効である CT では軟部影の濃度差が区別できるのでシルエットサインはみられない 10

( 比較読影 臨床所見 診断について ) 1 0 8-1 1 0 108. C 1 枚の写真だけから, 陰影が古い炎症のあとか, 活動性の肺炎なのかについては判定することは難しい 臨床所見との対比, あるいは写真の経過比較が重要である 以前に無かったものが出現したり, 経過で陰影が消えたりすることで, 胸部写真で肺炎の診断が可能となる 109. C 実際の臨床では, 肺水腫か肺炎か診断に難渋することはよくある 肺炎により肺うっ血が進行し肺水腫になることはよくある 肺水腫には容易に感染を合併する 臨床所見や検査データで判断するしかないことが多い 110. C 写真の比較は, 少し前のフィルムとだけ比較すると変化に気が付かないことがある 少し前とずっと以前のフィルムと 3 枚で比較すると変化がよくわかる ( 結核 真菌感染症ほか ) 1 1 1-1 2 0 111. C 肺結核はどんな陰影でも引き起こす 腫瘤, 多発腫瘤影, 肺胞性, 間質性陰影, 胸水等様々である ガフキー検査, 培養等で初めて結核と確定診断が可能である 確定診断までは, 胸部単純写真でどのような陰影でも, 結核疑い, 結核も否定できません, と答えるしかない 鑑別診断に結核をあげることを忘れてはいけない 112. C 非結核性抗酸菌症が結核とよく似た画像所見を呈する 非結核性抗酸菌症は, 80% がアビウム菌 ( M y c o b a c t e r i u m a v i u m c o m p l e x ), 10% がカンサシー菌 ( M k a n s a s i i ) である アビウム菌は中葉, 舌区に慢性炎症変化がみられ, カンサシー菌は肺尖部に空洞を来たし, 結核との鑑別が難しい 113. A 肺真菌症にはクリプトコッカス症, 肺アスペルギルス症などがある 114. B ( 図 ) アスペルギローマでは空気の部分が三日月型の a i r c r e s c e n t ( m e n i s c u s ) s i g n を呈する 115. B 気管支腔に粘液が詰まった状態を粘液栓 ( m u c o i d i m p a c t i o n ) という 粘液栓は, 喘息やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症で見られる 116. B アレルギー性気管支肺アスペルギルス症では粘液栓, 浸潤影と気管支拡張が特徴である 117. B 肺実質の壊死を伴った限局性感染症を肺膿瘍という 118. B ニューマトシールとは肺炎の経過中にエアートラッピングにより生じる嚢胞性変化である 119. C 異常所見から診断名をあげる場合, パターン診断でただちに診断でき るものと, 鑑別診断として複数の診断名をあげざるをえないものがある 11

120. C 正しい診断をおこなうためには, 病名を知っていなければならない 知らなければ診断はできない 学生時代は内科や外科で病気を習い, その胸部写真の所見を学ぶ 放射線科で典型的な胸部写真, 所見を見ることで, 疾患と典型画像を頭のなかで結びつける まず, 典型例の画像を知ることである 卒業後は, 所見を発見し, 次に病名をあげねばならない 典型例の診断は簡単に見えるが, 所見をみつけることは難しい さらに, 初期病変を見つけるために, 微細な所見を発見しなければならないが, その所見と疾患を結びつけることはまた難しい 研修医にとって, これから多くの経験が必要になるが, その前の出発点としてここに書いてある常識程度は知っておかねばならない ( 無気肺 ) 1 2 1-1 2 7 121. B 正しい診断をおこなうためには, 用語を正しく使う必要がある 122. B 肺の容積減少を表す言葉に, 虚脱 ( c o l l a p s e ), 無気肺 ( a t e l e c t a s i s ), 容積減少 ( v o l u m e l o s s ) がある 肺容積の減少には閉塞性, 受動性, 瘢痕性, 肺胞癒着性, 低換気性などがある 123. B 無気肺とは, 一般的に単純写真で濃い陰影を示すものをいう 単に容積の減少している場合には v o l u m e l o s s ( 容積減少 ) と言う 無気肺に炎症が合併しているかどうかの鑑別は, 胸部写真からだけではできない 症状や白血球増多, C R P の変化などで臨床的に判定するしかない 124. B 無気肺には気管支の閉塞による閉塞性無気肺と, 外からの圧迫や, 伸展不良, 換気不全による非閉塞性無気肺 ( 拡張不全といったほうがわかりやすい ) がある 125. B 無気肺 a t e l e c t a s i s は, 容積減少で陰影のあるもの, c o l l a p s e は含気が完全になくなり容積が非常に小さくなった完全虚脱の場合に使うのがわかりやすい 126. B 低換気で起こりやすい下肺野の索状陰影を呈する部分的無気肺を板状無気肺という 特殊な無気肺に円型無気肺がある 円型無気肺とは胸水によって生じた無気肺が, 胸水改善のあとも残り腫瘤様に見えるものをいう 127. C 肺線維症と線維化病変は違う 線維化病変とは炎症性瘢痕 ( f i b r o t i c s c a r ) をいう 無気肺も長期間になると線維化, 瘢痕化してしまう 可逆性の陰影の場合に無気肺という言葉を使うべきである ( 透過性の亢進 ) 1 2 8-132 128. B 肺気腫と過膨脹は違う 肺気腫は肺胞の破壊を伴うものである 過膨脹は破壊がない 単に肺がふくらんでいるだけで 気腫性, e m p h y s e m a t o u s という言葉は混乱を招きやすいので使わないほうがよい 12

過膨脹 h y p e r i n f l a t i o n, o v e r i n f l a t i o n という言葉のほうが分かり易い 喘息の発作時や C O P D では過膨脹はあるが, 肺気腫ではない 前側の第 6 肋骨, 後ろ側では第 11 肋骨より横隔膜より低いと横隔膜の低位という ただ, やせた人, アスリートでは正常でも横隔膜低位の人がいる 過膨脹とは, 横隔膜が低位に加え平坦になった場合をいう 129. B 肺気腫の原因は喫煙によることがほとんどである 130. B 肺気腫には小葉中心性, 汎小葉性, 傍隔型がある 小葉中心型は上肺野優位に見られる 汎小葉性肺気腫は下肺野によくみられる 131. B 肺気腫の診断は難しい 横隔膜の低位と平坦化, 血管影の狭細化で診断する 132. B 一側性の肺野透過性亢進をきたすものに S w y e r - J a m e s 症候群がある ( 肺胞性パターンと間質性パターン ) 133-151 133. B ( 図 ) 肺胞性パターン, 間質性パターンという陰影性状の表現法がある 肺胞性病変や, 間質性疾患でよく見られる胸部 X 線パターンということである 間質性疾患でも肺胞性パターンを示すものはある 肺胞性と間質性が混在していることはよくあることである 134. B 肺胞性パターンは, 浸潤様陰影, シルエットサイン, a i r - b r o n c h o g r a m, b u t t e r f l y s h a d o w が典型的である コンソリデーションは肺胞性パターンである コンソリデーションの中に肺紋理 ( 肺血管影 ) は見えない シルエットサインのため血管影は陰影のなかに埋もれている 135. B 肺胞性パターンを示す疾患は変化が速い 肺炎や肺水腫がそうである 136. B 肺胞性パターンで病変の変化の遅いものに肺胞上皮癌, 悪性リンパ腫, 肺胞蛋白症などがある 137. B Butterfly s h a d o w を来たすものには肺水腫以外に肺出血, ニューモシスティス肺炎, A R D S ( a d u l t r e s p i r a t o r y d i s t r e s s s y n d r o m e 成人呼吸促迫症候群 ) などがある 138. B B u t t e r f l y s h a d o w の原因には 1 心原性 ( 静水圧の上昇 ), 2 腎性 ( 循環血液量の増加, 膠質浸透圧の低下 ), 3 非心原性 透過亢進型 ( 肺胞基底膜の透過性亢進, A R D S ) がある 139. B 間質性パターンとは, すりガラス陰影, 粒状影, 線状影, 網状影, 蜂窩肺などである 140. B ( 図 ) 肺間質には 3 種類ある すなわち 1 肺胞隔壁, 2 末梢性肺間質 ( 臓側胸膜と小葉間隔壁 ), 3 中心性肺間質 ( 太い血管気管支周囲間質 ) である 13

C カンファレンスで, 肺胞隔壁が狭義間質, 後 2 者が広義間質と表現されることが多い 著者も以前は使っていた しかし, たとえばサルコイドーシスなどで 病変は, 狭義間質にはほとんどなく, 主に広義間質に認める という記述は明らかに国語的に誤りである 広義間質に狭義間質が含まれるのは常識である 狭義間質に異常のない広義間質病変というのはありえない 臨床放射線 2004 年第 1 巻 1 号 225 ページに多田信平先生が, m a c r o と m i c r o, m a j o r と m i n o r, 粗大と微小などの用語を用いるべきだと提唱されていた 最近 ( 2015 年 ) では, 肺胞隔壁を肺胞壁間質, 末梢性間質と中心性間質の両者をリンパ路性間質と呼ばれている 肺胞隔壁, 小葉間隔壁, 胸膜下間質 気管支血管周囲間質 など解剖名で呼ぶのがもっとも正確な, わかりやすい呼び方と思われる 141. C 肺胞壁間質 ( 肺胞隔壁 ) の病変が, 間質性肺炎である 陰影の変化は遅い 肺胞の中 ( 実質 ) の病変は ( 肺胞性 気腔性 ) 肺炎である 142. C 肺胞隔壁間質病変はすりガラス陰影, 粒状影, 網状影, 蜂窩肺を示す 143. C リンパ路性間質 ( 気管支血管周囲間質 ) が肥厚すると, 肺の末梢まで血管が見えるようになる 正常人では肺血管影は胸壁から 1 横指程度までしか見えない リンパ路性間質 ( 気管支血管束間質 ) が増加すると肺紋理が増強する 血管影が胸壁まで達する 144. C リンパ路性間質 ( 小葉間隔壁 胸膜下間質 気管支血管周囲間質 ) の病変には, うっ血性心不全による間質性肺水腫, 癌性リンパ管症, 急性好酸球性肺炎, 異型肺炎などがある 変化がはやい 145. C リンパ路性間質病変は, 葉間胸膜の肥厚, K e r l e y 線,p e r i b r o n c h i a l c u f f i n g, h i l a r h a z e などを示す 146. C 胸部単純写真でのすりガラス陰影とは微細粒状影を示し, 過敏性肺臓炎, 急性間質性肺炎に特徴的である すりガラス陰影 g r o u n d g l a s s o p a c i t y ( G G O ) は CT でよく知られている その定義は 血管影が透けて見える濃度上昇 である これに対し, 胸部単純写真ではすりガラス陰影があると末梢の血管影が見えにくくなる 147. C ( 図 ) 肺気腫患者の肺炎は, 網状影など間質性パターンを示す 炎症性変化をきたす正常肺組織部分が少ないためである 148. C 間質性陰影では, 肺胞内に空気がのこっているためエアブロンコグラムはほとんど認められない 14

149. C 間質性疾患の超初期は低酸素血症で発見されることがある 低酸素血症があるにもかかわらず肺野に全く異常のないことがある 150. C 間質性変化の初期像であるすりガラス陰影があると, 単純写真では末梢の血管構造が見えにくくなる 151. C びまん性陰影の経過観察では, 全体像の見える単純写真のほうが CT より比較しやすい びまん性陰影とは区域や肺葉をこえて広がる病変である ( びまん性陰影 ) 152-159 152. B ( 図 ) 特発性間質性肺炎と肺線維症は同義語である 特発性間質性肺炎では病変は肺底部に始まり徐々に上方に進展する 高度の線維化では蜂窩肺をきたす 特発性間質性肺炎では肺の縮みがみられる 153. C 肺線維症と線維化病変は違う 線維化病変とは炎症後瘢痕 ( f i b r o t i c s c a r ) をいう 無気肺も長期間になると線維化, 瘢痕化してしまう 可逆性の陰影の場合に無気肺という言葉を使うべきである 154. B 成人呼吸促迫症候群 ( A R D S ) の病理学的変化はびまん性肺胞領域障害 (D A D ) である A R D S では, 非心原性肺水腫 ( 心拡大のないバタフライ陰影 ) を認める 155. B 線状影を来す疾患には間質性肺水腫, 癌性リンパ管症がある 癌性リンパ管症を来す原発巣は胃癌が多い 156. B 肺リンパ脈管筋腫症 ( 呼吸器病理で高名な故山中晃先生は, この筋組織のオリジンは過誤腫性といわれ過誤腫性脈管筋腫症という名称を使ったが, 欧米派はリンパ管の平滑筋がオリジンである という論争があった 残念ながら欧米派のリンパ脈管筋腫症という名称が定着した ) や肺ランゲルハンス細胞組織球症では気胸を起こしやすい 肺ランゲルハンス細胞組織球症は, かつて, 好酸球性肉芽腫症と呼ばれていた 157. B 逆肺水腫型陰影 ( n e g a t i v e p u l m o n a r y e d e m a p a t t e r n ) は慢性好酸球性肺炎にみられる 急性好酸球性肺炎は間質性パターンである 158. B ( 図 ) 過敏性肺臓炎はスリガラス陰影が特徴である 159. B ニューモシスティス肺炎はすりガラス陰影が特徴である ( 肺の血管影 うっ血 ) 1 6 0-1 7 4 160. B 一般に血管影の分布は, おおよそ上肺野 : 下肺野 = 1 : 2 である 161. B ( 図 ) うっ血性心不全の胸部単純写真所見には重症度分類がある 軽症から重症に並べると, 1 静脈うっ血 ( 静脈高血圧 ) ( v e n o u s c o n g e s t i o n, v e n o u s h y p e r t e n s i o n ), 2 間質性肺水腫 ( i n t e r s t i t i a l l u n g e d e m a ), 15

3 肺胞性肺水腫 ( a l v e o l a r e d e m a ), である 162. B 肺うっ血の初期である静脈うっ血のときは, 上肺野の静脈が太くなる ( 肺血流の再分布 c e p h a l i z a t i o n ) といわれる所見があるが, 判定は非常に難しい 経過の写真を比べて理解できる 何例か経験をつむしかない 163. C K e r l e y A 線は急性心不全 ( 48 時間以内 ) による肺うっ血でみられるが, 一過性にしか観察されないことが多い 臨床的に非常に重要な所見である 164. C K e r l e y B 線は急性心不全だけでなく, 慢性心不全でも見られ, うっ血の活動性の指標にはならない 165. B カーリー線は小葉間隔壁の肥厚, 液体による拡張をしめす 166. C 心不全の診断で胸水の有無は非常に重要である 心不全の非代償性を示すものは胸水貯留である 167. C K e r l e y C 線は下肺野にみられる網状変化である 血管影の増強やリンパ路性間質の変化の重なりで見えるものである 168. B ( 図 ) 重症の肺水腫はバタフライ陰影が特徴で, 肺胞性肺水腫と呼ばれる 肺水腫ではシルエットサインにより肺血管影が見えない 169. B ( 図 ) 肺胞性肺水腫を示すもので, 心拡大のないものは非心原性肺水腫 ( 透過性肺水腫 ) とよばれ A R D S, 神経原性肺水腫, 薬物中毒, 尿毒症肺などが含まれる 170. B 肺高血圧症の原因には慢性肺疾患 ( C O P D, 肺線維症 ), E i s e n m e n g e r 症候群, 特発性肺高血圧症がある 171. B 肺血管影の増強する原因として, 左ー右シャント, 甲状腺機能亢進症, 妊娠などがある 172. B 肺塞栓症でみられる肺門部肺動脈の拡大を K n u c k l e s i g n という 173. B 肺塞栓症で見られる肺紋理の減少を W e s t e r m a r k ' s s i g n という 174. B 肺塞栓症で肺野に陰影を生じたとき, 肺梗塞という ( 胸水 胸膜 胸膜腔 ) 175-190 175. C ( 図 ) c o s t o p h r e n i c a n g l e ( C P a n g l e ) が d u l l である といった場合, 胸水があるのか, 古い癒着だけなのか区別しなければならない 肋骨と胸 膜の間に間隙があるものは胸水貯留を疑う 経時的に形が変われば癒着 でなく胸水であることが確実である 176. C ( 図 ) 胸水の有無は C P a n g l e ばかりでなく, 横隔膜下部の肺野部分 を観察しなければならない 胸水がないときは, 肺野の深いところまで観察 できる 177. C CP a n g e l 肋骨横隔膜角 ( 溝 ) のもっとも深いところは背側である 少 量の胸水は側面写真の p o s t e r i o r c o s t o p h r e n i c a n g l e の観察が有用 である 16

178. B ( 図 ) 肺下胸水 ( s u b p u l m o n a r y e f f u s i o n ) という珍しい非定型的な胸水貯留がある 一見横隔膜が挙上したようにみえる 横隔膜挙上があるだけで, 正面写真では C P a n g l e は s h a r p である 正面写真だけでは診断できない 診断には胸水の疑われる側を下にした前後撮影 ( デクビタス撮影と呼ばれる ), CT, エコーが有用である 179. B うっ血性心不全で出現する葉間胸水の偽腫瘍は V a n i s h i n g t u m o r とよばれる 180. B 胸膜の癒着などで固定化された胸水貯留のことを被包化胸水という 被包化胸水は体位変換で移動しない 181. B 感染した胸水は膿胸と呼ばれる 胸腔内の出血は血胸という 182. B 胸水と気胸の合併したものは水気胸 ( h y d r o p n e u m o t h o r a x ), 血胸と気胸の合併は血気胸 ( h e m o p n e u m o t h o r a x ) とよぶ 183. C 水気胸 ( h y d r o p n e u m o t h o r a x ) では鏡面像 ( a i r - f l u i d l e v e l ) が見える 臥位の写真では鏡面像は見えない 184. B 気胸の診断には呼気撮影が有用である それでもわかりにくいときは, 気胸の疑われる側を上にしての呼気でのデクビタス撮影がよい 気管挿管前のチェック ( 気胸があるのに挿管すると緊張性気胸を生じるので危険である ) で気胸が疑わしい場合は CT のほうが確実である 185. C ( 図 ) 背臥位写真での気胸の診断は非常にむつかしい c o s t o p h r e n i c a n g l e が深くみえるのを d e e p s u l c u s s i g n という そのほか, 心臓辺縁の透過性亢進などに注意する 疑った場合にはデクビタス撮影, あるいは CT を撮影する 186. B ( 図 ) 緊張性気胸では肺の虚脱, 横隔膜低位, 縱隔の編位がおこる 187. B E x t r a p l e u r a l s i g n は肺内から発生した腫瘍か肺外のものか区別するときに役立つ 腫瘤の辺縁, 立ち上がりが鈍角になっていると, これは肺内のものではないと診断できるというサインである e x t r a ( 外の ) p l e u r a l ( 胸膜の ) と, 胸膜より外の病変の診断に役立つサインのような英語である このサインを提唱した F e l s o n 教授 ( 高名な胸部放射線科医である シルエットサイン, エアブロンコグラムサインそのほか多くの有名なサインを提唱した ) に, なぜ, E x t r a p u l m o n a r y s i g n にしなかったのか聞いてみたいものである 188. B 両側中肺野での対称性の胸膜肥厚, 石灰化を見たときにはアスベストの職歴を聞く必要がある 189. B 胸膜肥厚斑 ( プラーク ) とはヒアリン化したコラーゲンの壁側胸膜への集積をいう 胸膜プラークは石綿 ( アスベスト ) 曝露の既往を示すよい所見である 190. B 胸膜肥厚, あるいは胸膜石灰化の診断は難しいが可能である しかし, 17

これらに腫瘤が合併しているかどうかの判定は難しい CT で肺野の変化を 観察しなければならない ( 肺門陰影 ) 1 9 1-197 191. A 左肺門は右より高い 右の方が高いときには, 右上葉の容積が少なくなっている 無気肺, v o l u m e l o s s を疑う 192. C 肺門腫大の診断は難しい 血管影, とくに肺動脈の輪郭を観察する事が大切である 193. C 右肺動脈下幹は正常では 1 5 m m 以下である これをこえるものは肺高血圧症である ほかに, 同じレベルにみえる肋骨の幅と比べるという方法もある 腫瘍の合併の有無に注意する 腫瘍による肺門腫大と間違ってはいけない 194. B 肺塞栓症でも肺門が大きく見える k n u c k l e s i g n と呼ばれる 195. B 両側肺門リンパ節腫大 ( B H L, b i l a t e r a l h i l a r l y m p h a d e n o p a t h y ) をきたすものにはサルコイドーシス, 悪性リンパ腫, 肺癌がある 196. B 肺門リンパ節の石灰化は炎症 ( 結核 ) 後の所見として見られる 197. B リンパ節の卵殻状石灰化は塵肺症の特徴である ( 心臓 心嚢 ) 198-204 198. A 心拡大の有無は心胸郭比 ( C a r d i o t h o r a c i c R a t i o ) > 50% を用いる 199. B 心臓の拡大と心嚢液貯留の区別はできない 心嚢液貯留の診断には心エコーが有用である 200. B 心臓の右第 1 弓は上大静脈ときに上行大動脈による 右第 2 弓は右房である 201. B 右心系は腹側に, 左心系は背側に位置する 右心室は正面写真では辺縁を形成しない 202. B 左房 ( 左第 3 弓 ) の拡大は僧帽弁膜症をしめす 左第 3 弓が外側に向かって凸の場合はまず異常といえる 203. B 僧帽弁膜症は左房の拡大で診断する 右第 2 弓の二重辺縁 ( d o u b l e c o n t o u r ), 気管分岐角の拡大, 左主気管支の上方偏位, 左第 3 弓の突出などである 204. B 若い女性, 大動脈の高度の石灰化では高安病, A o r t i t i s s y n d r o m e をうたがう ( 縱隔 ) 2 05-214 205. B F e l s o n の分類では前縦隔と, 中縱隔の境界は, 気管の前から心臓の後縁を結ぶ線である 206. B 中縱隔と後縱隔の境界は, 胸椎の前縁から後方 1 c m を通る線であ 18

る 207. B 上行大動脈は前縦隔にある 食道は中縱隔にある 208. B H i l u m o v e r l a y s i g n とは, 肺門部に重なる腫瘤があるとき, 腫瘤の中に肺門の血管が見えることをいう すなわち, シルエットサインで血管がきえていないので, 腫瘤が肺門発生の腫瘍ではないことをあらわしている 209. A ( 図 ) 前縦隔腫瘍には胸腺腫, 奇形腫, 胸腔内甲状腺腫, 心膜嚢胞などがある 210. A 中縦隔腫瘤には気管支嚢胞, 悪性リンパ腫, 食道疾患がある 211. B 大動脈肺動脈窓の観察はボタローリンパ節腫大の診断に有用である 212. A 後縦隔腫瘤には, 神経原腫瘍, カリエスなどがある 213. B 奇静脈食道陥凹は右肺にある 奇静脈食道線を観察することで, 気管分岐部リンパ節腫大や下葉内側の肺癌の見落としを防ぐことができる 214. C 胸部単純写真読影上達の道は, 一例一例論理的によく考え, それぞれの所見について決断する事である そして間違いを反省すること, 学習することで読影テクニックに磨きがかかる 達人への近道はない 眺めるだけでは少しも上達しない ( 第 2 部 ) ポータブル写真について 2 15-246 215. B ( 図 ) 一般に胸部のポータブル撮影は背臥位前後撮影である 背臥位か立位で撮られた写真かの区別は, 胃泡に鏡面像があれば立位で撮られたものとわかる 216. B 前後撮影, 後前撮影かの区別は, 肩甲骨が肺野に大きく重なっているものは前後撮影である 217. B 臥位のため心臓は横位になり, 加えて, 前後撮影による幾何学的拡大により心臓は拡大して見える 横隔膜も立位写真より高い位置にある 肺の膨らみも立位ほどよくないので, 肺血管影も太く目立つ 218. B ( 図 ) ポータブル写真の撮られる患者さんは状態の悪い人が多い ちゃんとした正面で撮影されていないこともよくある 撮影のたびに体位の違っていることもある また人工呼吸の行われている患者さんでは, 呼吸の位相が一定していないこともある 219. A ( 図 ) 写真の左右正面性は左右の胸鎖関節と棘突起の距離で判定する 220. A 上下の正面性は, 鎖骨と第 4 肋骨後部とが重なるぐらいがよい 221. C ( 図 ) 以上の理由で, ポータブル写真の読影は難しい ポータブル写真に普通の立位写真に求めるような多くを期待してはいけない 読影で重要 19

なのは比較読影である 前回の写真とくらべてどうか, という判断に用いるのが重要である 前回のフィルムと比べるといっても, 異なる体位, 異なる濃度の写真を想像力で同じ条件の写真として比べることは, 訓練なしにはできない プロの技術がいる 222. C 臥位の写真では, 心拡大の判定には正常心胸郭比を 55 57% 以下とする 223. B 肺血管は見慣れた立位写真より明らかに拡張し目立つ 異常か正常かの判断は数多くの臥位の写真を見て慣れるしかない 同じ患者さんの場合には, 必ず前回と比較して評価しなければならない 224. C 肺野濃度が全体に白いときには両側の胸水, 肺炎, 肺水腫などを疑う 問題なのは撮影条件不良のため写真全体が白いときがあることである 腋窩の軟部陰影あるいは上腕骨頭などの見え方を比べる 軟部が白く, 骨との濃度に差がないならば, 写真が線量不足で白いと判定し, その目で肺野の病変の有無を考えねばならない 225. C 悪い写真を以前の写真と比較するには, 頭の中で修正して比較するしかない 写真が黒い場合には, 肺炎や肺水腫が改善したようにみえるので注意が必要である 226. C ( 図 ) 気管内挿管, 気管切開の患者さんの場合, 人工呼吸器, P E E P なのか自発呼吸なのか知っておかねばならない とくに P E E P 患者では肺は機械的に膨張させられているので, 本来濃い陰影を呈する肺炎や肺水腫の陰影がすりガラス陰影や間質性陰影のように見える 227. C 生命維持装置の付属物, 多数のチューブが写真に重なりうつることがある 腫瘤影と間違えてはならない 228. C ( 図 ) 皮膚のしわが線状影として見えることがある 気胸と間違えてはならない 迷ったときには患側を上にしてデクビタス撮影を行う 229. C ( 図 ) ポータブル写真読影にあたって, 第一にはチューブなどの人工物のチェックを行う これらの異常をみつけるために胸部写真は非常に重要である 位置, 形状のチェック, 前回と比較することで重大な医原性事故を未然に防ぐことができる 230. C ( 図 ) 中心静脈カテーテルの先端は, 内頚静脈あるいは鎖骨下静脈から挿入されたものでは, 上大静脈がよい 右の心臓横隔膜角から第 1 肋骨先端までの上方 1/3 にあるのがよい 大腿静脈から挿入されたものは肝静脈合流部直下あたりがよい 20

231. C ( 図 ) 気管内チューブは, 首の前後屈で約 4 c m 移動する そのため首の位置が中立位のとき気管分岐部より少なくとも 4 c m 上,6 8 c m がよい 232. C 気管内挿管時に皮下気腫, 縦隔気腫を発生することがある 233. C 先端のバルーンが気管の径以上に膨らんでいると気管損傷の原因になる 234. C 気管切開による気管チューブの先端は, 気管切開口から気管分岐部の間, 上から 1/2 から 2/3 のところ, およそ第 3 頚椎あたりがよい 235. C ( 図 ) 胸腔内ドレナージチューブの位置は気胸では頭腹側, 胸水では背尾側が理想的である 236. C ( 図 ) 胃管チューブは先端が確実に胃の中になければならない 側孔が食道内にあると逆流性食道炎を来す 237. C ( 図 ) S w a n - G a n z カテーテルは左右肺動脈本幹か太い葉動脈に置く 肺門から 2 c m 以上外側では肺動脈血栓症や動脈破裂などの危険性がある 238. C ( 図 ) 心臓ペースメーカーのリード線先端は右心室の心尖部である 断線, 本体周囲の膿瘍などのガス像にも注意する 239. C 大動脈バルーンパンピングカテーテルの先端は左鎖骨下動脈分岐部直後におく 240. C ( 図 ) 気胸に気づかないで, 気管内挿管, 人工呼吸が行われると, 緊張性気胸になり致死的な状態になる ポータブル写真での気胸診断は重要である 241. C ( 図 ) 胸腔内フリーエアーは背臥位では胸郭前方, なかでも胸郭下部が高いので下肺野の腹側, 左では心臓に沿って存在する そのため, 下肺野の透過性亢進, 心臓の辺縁が明瞭に見える, 肋骨横隔膜角が深くなる d e e p s u l c u s s i g n を認める しかし, 実際のところ, 臥位での気胸診断は難しい 242. C ( 図 ) 少しでも気胸が疑われる場合には, 患側を上にしたデクビタス撮影あるいは CT を施行すべきである 243. C ( 図 ) 胸水は背側に貯まるため, 肺野全体の濃度が低下する 肺炎との鑑別は, 胸水では陰影は均一であり, さらに陰影の中に肺炎のようなエアブロンコグラムを認めないことである 244. C ( 図 ) 左側胸水では心臓に重なる肋骨横隔膜角, 下行大動脈輪郭の消失を認める 胸水と左下葉無気肺との鑑別は難しい 245. C 観察できる限りの腹部も観察する習慣をつけておく 消化管穿孔による大量のフリーエアーを見落としてはいけない 消化管壁が腸管内と外の空気に挟まれて見えてくる ( ( R i g l e r s s i g n, R a d i o l o g y 21

2 0 0 3 : 2 2 8 : 7 0 6 ) ) 246. C ポータブル胸部写真の読影では比較読影が最も重要である 胸部写真はひとつの診断補助手段であり, 常に臨床所見と対比検討し, 総合的な判断が必要である ( 最後に ) 世の中に, ゴルフのレッスン書, 雑誌は数多くあり, よく売れています いくら読んでも上達しないのでよく売れます うまくなるには, 実際の練習とコースのラウンドが必要です 画像診断の中で, 胸部単純写真の読影も同じです 誰もが上達したいと思っています 入門書, 症例集, 成書 ( 本格教科書 ) も多くあり どれもよく売れています 知識はもちろん必要ですが, 実際の読影訓練, 臨床例を経験しない限り読影力は上達しません 2015 年夏腰痛で好きなゴルフのできなかった暑い夏でした 22