IARC/IACRにおける多重がんの判定規則改訂版のお知らせ

Similar documents
福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

目 次 統計の説明 部位( 中分類 ) 別男女別腫瘍数 1 部位別腫瘍数 < 総数グラフ> 2 部位別腫瘍数 < 男性グラフ> 3 部位別腫瘍数 < 女性グラフ> 4 部位( 中分類 ) 別年齢階層別腫瘍数 5 部位( 中分類 ) 別来院経路別腫瘍数 6 来院経路別腫瘍数 <グラフ> 7 部位( 中

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

目 次 統計の説明 部位( 中分類 ) 別男女別腫瘍数 1 部位別腫瘍数 < 総数グラフ> 2 部位別腫瘍数 < 男性グラフ> 3 部位別腫瘍数 < 女性グラフ> 4 部位( 中分類 ) 別年齢階層別腫瘍数 5 部位( 中分類 ) 別来院経路別腫瘍数 6 来院経路別腫瘍数 <グラフ> 7 部位( 中

平成29年度沖縄県がん登録事業報告 背表紙印字

Microsoft PowerPoint 病期分類概論 ppt[読み取り専用]

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

1981 年 男 全部位 C00-C , , , , ,086.5 口腔 咽頭 C00-C

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

目 次 統計の説明 部位( 中分類 ) 別男女別腫瘍数 1 部位別腫瘍数 < 総数グラフ> 2 部位別腫瘍数 < 男性グラフ> 3 部位別腫瘍数 < 女性グラフ> 4 部位( 中分類 ) 別年齢階層別腫瘍数 5 部位( 中分類 ) 別来院経路別腫瘍数 6 来院経路別腫瘍数 <グラフ> 7 部位( 中

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

がん登録実務について

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

各医療機関が専門とするがんに対する診療機能 1. 肺がん 治療の実施 (: 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 当該疾患を専門としている 開胸 胸腔鏡下 定位 小線源治療 1 呼吸器内科 8 2 呼吸器外科 3 3 腫瘍内科 放射線治療科 1 グループ指定を受ける施設との連携 昨年

小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1

1. 部位別登録数年次推移 表は 部位別に登録数の推移を示しました 2015 年の登録数は 1294 件であり 2014 年と比較して 96 件増加しました 部位別の登録数は 多い順に大腸 前立腺 胃 膀胱 肺となりました また 増加件数が多い順に 皮膚で 24 件の増加 次いで膀胱 23 件の増加

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

腫瘍センターの稼働実績 ( 平成 29 年 9 月 ) 最終版 H28 年 9 月 H29 年 9 月 H29 年度累 H28 年 9 月 H29 年 9 月 H29 年度累 H28 年 9 月 H98 年 9 月 H29 年度累

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

日本の方が多い 表 2 は日本の癌罹患数の多い順の第 7 位までの部位とそれに対応する米国の数値と日 米比を示す 赤字と青字の意味は表 1 と同じである 表 2: 部位別の癌罹患数 : 日 米比較日 / 米 0.43 部位 罹患数 ( 日 ) (2002)( 人 ) 罹患数 ( 米 ) 罹患数比日本

<303491E592B BC92B08AE02E786C73>

院内がん登録集計報告


A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

腫瘍センターの稼働実績 ( 平成 29 年 8 月 ) 最終版 H28 年 8 月 H29 年 8 月 H29 年度累 H28 年 8 月 H29 年 8 月 H29 年度累 H28 年 8 月 H98 年 8 月 H29 年度累

NEO_list.txt - メモ帳

< 高知県立幡多けんみん病院 年院内がん登録 ( 詳細 )> 性 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 9~ 総計件数比率 口腔 咽頭食道胃結腸直腸肝臓胆嚢 胆管膵臓喉頭肺骨 軟部皮膚乳房子宮頸部子宮体部卵巣前立腺膀胱腎 他の尿路 女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

全国がん罹患モニタリング集計 (MCIJ) 2014 年罹患数 率報告 国立がん研究センターがん対策情報センター MCIJ2014 報告 1

小児 AYA 世代のがん罹患 国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計 総合解析研究部 1

          

H27栃木県のがんH27.indd

和歌山県地域がん登録事業報告書

山形県立中央病院 院内がん登録2008

PowerPoint プレゼンテーション

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

松江市立病院 院内がん登録 2017 年 診断症例報告書

<4D F736F F D20819A819A95F18D908F91967B95B DE97C78CA A88EA95948F4390B3>

Microsoft Word - 頭頸部.docx

記入方法

2. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : 診療を実施していないがん ( 診療科ま 医師数 専門として 1 整形外科 2 2 状 績 なし例 : 脊髄腫瘍脊髄腫瘍 治療の実施状況 (: 実施可 /: 実施不可 ) / 昨年の実績 ( あり / なし ) 化学療法体外定位照射 IMRT 小線源治療 あり

和歌山県地域がん登録事業報告書

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

今日の内容 1. がん対策 ( 山梨県がん対策推進条例及び山梨県がん対策推進計画 ) 2. がんデータ ( 死亡者数 罹患率など ) 3. がん検診

口腔がん登録 Q&A Ver /11/21 用語 定義に関する Q&A Q1.本調査に関する各用語の定義を教えてください 下記の図表を参照してください 各用語の定義等について 口腔内 口唇 口腔 顎骨中心性 UICCの Lip & Oral cavity 顎骨中心性) 舌 可動部 上顎

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

平成 26 年 2 月 13 日 平成 25 年度第 2 回小児がん部会提供資料 大阪府における 小児がんの実態と受療動向について 大阪府小児がん連携ワーキンググループ大阪府立成人病センターがん予防情報センター

<4D F736F F D F D814082C982A882AF82E991BD8F6482AA82F192E88B6088C45F F2E646F63>

<4D F736F F D20819A819A95F18D908F91967B95B DE97C78CA A202E646F63>

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

Microsoft PowerPoint - 【資料3】届出マニュアル改訂について

Microsoft PowerPoint - tobacco

部位別 施設名 総数 がん診療連携拠点病院院内がん登録 2014 年集計 口腔咽頭 食道胃結腸直腸大腸肝臓 胆嚢胆管 膵臓喉頭肺 埼玉県立がんセンター 3, さいたま赤十字病院 1,456-2

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

膵臓癌について

<4D F736F F F696E74202D2082AA82F18AB38ED2936F985E E3182CC89FC92E CA48F4389EF E707074>

目次 1 全部位の概要 1-1, 部位別登録数 1-2, 年齢階級 部位別登録数 6 1-3, 来院経路 部位別登録数 8 1-4, 患者住所 部位別登録数 9 1-, 症例区分 部位別登録数 1 1-6, 発見経緯 部位別登録数 11 2 部位別詳細 2-1, 胃 , 大腸 14 2-

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

表紙等

目次 1 部位別登録件数 2 部位別 性別登録件数( 上位 10 部位 ) 3 部位別 年齢階層別登録件数( 上位 10 部位 ) 4 部位別 組織型別登録件数 5 部位別診断時ステージ分布( 主要 5 部位 ) 6 部位別 治療行為別登録件数( 上位 10 部位 行為別件数上位 5 項目 ) 7

1. 集計の対象 (1) 罹患日の期間 2013 年 1 月 1 日から 2013 年 12 月 31 日まで 罹患日の定義 1 届出による登録症例は 当該がんと診断された年月日診断日とは 自施設診断日ないし当該腫瘍初診日自施設診断日とは 自施設で最も診断根拠の高い診療 ( 検査 ) を行った日当該

補遺 4 医療機関と患者会 患者支援団体での調査結果の比較 問 1 がんと診断されたのはいつですか ( 年代別 ) 診断年齢 医療機関患者会実数 (%) 実数 (%) 1.20 代 81 (1.1%) 29 (4.8%) 2.30 代 334 (4.6%) 101 (16.8%) 3.40 代 98

目次 1 全部位の概要 1-1, 部位別登録数 5 1-2, 年齢階級 部位別登録数 6 1-3, 来院経路 部位別登録数 8 1-4, 患者住所 部位別登録数 9 1-5, 症例区分 部位別登録数 1 1-6, 発見経緯 部位別登録数 11 2 部位別詳細 2-1, 胃 , 大腸 14


目次頁

スライド 1

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

Microsoft PowerPoint - 平成28年届出についてフィードバック_ pptx

頭頚部がん1部[ ].indd

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

病理剖検登録の手引き_剖検情報

以下も届出対象になる Paget 病 ボウエン病 菌状息肉症 セザリー病 悪性組織球症 レットレル ジーベ病 ( ランゲルハンス細胞性組織球症 ) ハンド - シュラー - クリスチャン病 H 鎖病 ( 重鎖病 ): アルファ重鎖病 ガンマ重鎖病 ミュー重鎖病 マクログロブリン血症 ( ワルデンスト

PowerPoint プレゼンテーション

8希少がん検討会議高橋資料.pptx

43048腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第1版 追加資料

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

6 月 25 日胸腺腫 胸腺がん患者の情報交換会 & 勉強会質疑 応答 奥村教授にお聞きしたいこと 奥村教授の話 1 特徴 (1) 胸腺腫 胸腺がん カルチノイドの違いについて 胸腺腫はがんの種類か 病理学的には胸腺腫はがんではなくて正常と区別つかず機能を残したまま腫瘍化したもの 一部 転移するもの

1)表紙14年v0

Microsoft Word - 眼部腫瘍.doc

日産婦誌61巻4号研修コーナー

環境発がん物質のリスク評価

資料4-2メイン

核医学分科会誌

各報告 目 次 1 スタッフ 業務体制 31 2 業務内容 31 3 業務実績 32 (1) 平成 2 年度活動状況総括 32 (2) 平成 2 年度受診者統計 1 検査件数の推移 2 月別検査件数 3 3 検査目的別集計 3 紹介元医療機関別件数 3 病名別件数 3 施設 教育研修 3 今後の展望

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

Microsoft PowerPoint - 標準登録様式 解説2010F

<4D F736F F D208D918DDB8EBE956195AA97DE8EEEE1878A775F D4F5F2091E63394C >

が 6 例 頸部後発転移を認めたものが 1 例であった (Table 2) 60 分値の DUR 値から同様に治療後の経過をみると 腫瘍消失と判定した症例の再発 転移ともに認めないものの DUR 値は 2.86 原発巣再発を認めたものは 3.00 頸部後発転移を認めたものは 3.48 であった 腫瘍

<4D F736F F D208D918DDB8EBE956195AA97DE8EEEE1878A775F D4F5F2091E63394C E646F63>

Transcription:

地域がん登録における多重がんの判定規則 1. 要旨 がん登録では 同一の患者に複数の独立した腫瘍 ( 多重がん ) が診断された場合 それぞれの腫瘍を別々に登録 集計する 多重がんの発生には (1) 同一の要因が複数の器官に作用する場合 ( 例 : 喫煙者の喫煙関連がん ) (2) 第 1 がんの治療が第 2 がんの要因となる場合 ( 例 : 子宮頸がん放射線治療後の直腸がん ) (3) 個体の素因が問題となる場合があり 多重がんの発生状況を把握し評価することは がんの発生予防のためにも 適切な診断 治療計画のためにも 重要な意味を持つ 地域がん登録においては 各地域が多重がんの判定規則を用いると 罹患統計の比較が困難となるため 共通のルールに従い多重がんの判定を行う 2004 年に IARC/IACR から 集約時における多重がんの判定規則 (Recording rule) 並びに 罹患 生存率集計時に適用される判定規則 (Reporting rule) が示された わが国でもこのルールを 地域がん登録の標準方式に採用することが決まった 再発 転移がんを 誤って多重がんと判定すると 正しいがん統計を得ることができない 多重がんの判定には 原発部位 左右の別 組織診断名 ならびにがんの拡がりに関して 正確な情報を得るとともに 正しく分類することが不可欠である 2. 地域がん登録における多重がんの判定規則 罹患率計測では 患者単位の数でなく 個々のがんの数をカウントするため 多重がんの判定は罹患率に少なからず影響を及ぼす 地域間の罹患率を比較するためには 各登録室が多重がんの判定に共通のルールを用いることが望まれる 地域がん登録における多重がんの定義としては 国際がん研究機関 (IARC)/ 国際がん登録学会 (IACR) の判定規 則と米国 SEER の判定規則がよく知られている IARC/IACR の判定規則は 部位 側性 組織 診断日について詳細な情報が得られない場合 ( 死亡情報のみ など ) でも 多重がんの判定が可能なように 考慮された定義である 罹患率の国際比較研究において 本定義が採用される ICD-O-3 用として 2004 年に出版された改訂版では 登録に際しては 集計時に用いる多重がんの定義より詳細な登録を推奨している 前者を Recording rule 後者を Reporting rule と言う SEER の判定規則は 部位 側性 組織 診断日について 詳細で均質な情報収集を前提としている わが国の院内がん登録において 主治医の判断が明らかでない場合に 本判定規則の参照が推奨されており その翻訳が 院内がん登録マニュアルに掲載されている (https:// ganjoho.ncc.go.jp/hospital /cancer_registration/registration02_01.html ) 地域がん登録においても IARC/IACR の判定規則のみでは判断が困難な場合に 参考となる わが国の地域がん登録では 多重がんの定義として IARC/IACR の判定規則の採用を推奨してきた ICD-O-3 による多重がんの判定規則としても 集計においては IARC/IACR の Reporting rule を標準方式に採用することが決まった 登録に際しては IARC/IACR の Recording rule を基本とし 上皮内がんの取扱いについて SEER の考え方を参考に わが国における固有ルールを追加した 3. わが国における多重がんの判定規則 (ICD-O-3 用 ) 集約時における多重がんの判定規則 (Recording rule) 1. 多重がんを判定する際 時間の関係は問わない すなわち 同時性 異時性を考慮する必要はない 但し 同一部位 同一組織の上皮内がん (CIS;Carcinoma in Situ) から 一定期間経過した後浸潤がんとなっ 1

た場合 わが国の固有ルールとして 7 に後述する例外を設ける 2. 一方が他方の進展 再発 転移によるものではない 3. 一つの臓器 あるいは組織に発生した腫瘍は 一腫瘍とみなす 多重がん判定の目的上 いくつかの部位群に関しては 単一部位とみなす 表 1 にそれを示す 多発がん ( 同一部位に発生し 明らかに連続性を欠く複数の腫瘍 : 膀胱がんなど ) は 一つの腫瘍としてカウントする 4. 以下の場合は ルール 3 を適用しない 4.1 多くの臓器を侵す可能性のある全身性 ( 多中心性 ) がんでは 1 個のみカウントする カポジ肉腫や造血臓器の腫瘍がこれに該当する 4.2 組織型の腫瘍は ( たとえそれらが同一部位に同時に診断された場合でも ) 多重がんとみなされるべきである 同一部位に発生した複数の腫瘍の組織型が表 2 の わが国の組織型群 において 一つの組織型群に属す場合は 1 個の腫瘍とみなす 複数の組織型群に属す場合は たとえ同一部位であっても組織型と考え 複数の腫瘍としてカウントする いくつかの組織型を併せ持つ単一腫瘍が表 2 の単一組織型群に属す場合は 高い数字の ICD-O-M を用いて単一腫瘍として登録する しかし 表 2 の脚注に示すとおり 非特異的な組織型に関しては 特異的な組織型の腫瘍が存在すれば 非特異的な組織型は無視し 特異的な組織型を登録すべきである 5. 乳房など両側臓器の左右に別々に診断された組織型の複数の腫瘍は 一方が他方の転移であるという断りがない限り それぞれ独立して登録すべきである 但し 下記腫瘍が左右に診断された場合は 両側性の単一腫瘍として登録する 卵巣腫瘍 ( 同一組織型 ) 腎臓のウィルムス腫瘍 ( 腎芽腫 ) 網膜芽細胞腫 6. 大腸 (C18) と皮膚 (C44) の 4 桁部位に発生したがんは それぞれ独立して登録すべきである 7. 多重がん登録に関するわが国の独自ルール 同一部位 同一組織の上皮内がん (CIS; Carcinoma in Situ) から 一定期間経過した後浸潤がんとなった場合 1 年未満であれば単一がんとして浸潤がんのみを登録するが 1 年以上の間隔がある場合は 上皮内がんと浸潤がんの重複がんとして別々に登録する 子宮がん 膀胱がんなどでよくみられる 注意すべきは 後発の浸潤がんが再発がんと診断された場合にも適用される点である 罹患 生存率集計時に適用される判定規則 (Reporting rule) 集約時の判定規則 (Recording rule) の 1-4 とである 以下の点で集約時の判定規則と 1. 集約時の判定規則 5 に対して 左右臓器に発生した同一組織型の腫瘍は 一腫瘍とみなす 2. 集約時の判定規則 6 に対して 大腸 (C18) と皮膚 (C44) の 4 桁部位に発生したがんも 同一組織型であれば一腫瘍とみなす 3. 集約時の判定規則 7 に対して 同一部位 同一組織の上皮内がんと浸潤がんの重複症例については 最初の浸潤がんのみとする 4. 補足 IARC/IACR による多重がんの国際規則 (ICD-O 第 3 版 ) の翻訳 IARC/IACR: International Rules for Multiple Primary Cancers (ICD-O Third Edition). IARC, Lyon, 2004. Internal Report No. 2004/02 (http://www.iacr.com.fr /MPrules_july2004.pdf) 多重がん判定に関する IARC/IACR の新ガイドライン (2004 年 ) がん登録では 登録に際して 様々なルールに従い多重がんの判定を行っている 以下に示す規則は 集団における発がんリスクや予後を比較するため がん罹患や生存率計測のためのデータファイル作成時に適用されるものである (Reporting rule) データ収集の際には より詳細なデータを収集し登録することが望ましく 巻末に登録時の推奨ルールが提案されている (Recording rule) しかし そのような症例は解析の際 国 2

際ルールに合せるべく変換される必要がある 罹患 生存率集計時に適用される規則 Reporting Rule 1. 多重がんを判定する際 時間の関係は問わない すなわち 同時性 異時性を考慮する必要はない 2. 一方が他方の進展 再発 転移によるものではない 3. 一つの臓器 両側臓器 あるいは組織に発生した腫瘍は 一腫瘍とみなす 多重がん判定の目的上 いくつかの部位群に関しては 単一部位とみなす 表 1 にそれを示す 多発がん ( 同一部位に発生し 明らかに連続性を欠く複数の腫瘍 : 膀胱がんなど ) は 一つの腫瘍としてカウントする 4. 以下の場合は ルール 3 を適用しない 4.3 多くの臓器を侵す可能性のある全身性 ( 多中心性 ) がんでは 1 個のみカウントする カポジ肉腫や造血臓器の腫瘍がこれに該当する 4.4 組織型の腫瘍は ( たとえそれらが同一部位に同時に診断された場合でも ) 多重がんとみなされるべきである 同一部位に発生した複数の腫瘍の組織型が表 2 の一つの組織型群に属す場合は 1 個の腫瘍とみなす 複数の組織型群に属す場合は たとえ同一部位であっても異な る組織型と考え 複数の腫瘍としてカウントする いくつかの組織型を併せ持つ単一腫瘍が表 2 の単一組織型群に属す場合は 高い数字の ICD-O-M を用いて単一腫瘍として登録する しかし 非特異的な組織型 ( 組織型群 5,12,17) に関しては 特異的な組織型の腫瘍が存在すれば 非特異的な組織型は無視し 特異的な組織型を登録すべきである 多重がん登録に関する IACR の最新勧告 Recording Rule 1. 乳房など両側臓器の左右に別々に診断された組織型の複数の腫瘍は 一方が他方の転移であるという断りがない限り それぞれ独立して登録すべきである 但し 下記腫瘍が左右に診断された場合は 両側性の単一腫瘍として登録する 卵巣腫瘍 ( 同一組織型 ) 腎臓のウィルムス腫瘍 ( 腎芽腫 ) 網膜芽細胞腫注意 : 両側臓器の全く組織型の腫瘍は 別々に登録されなければならない 2. 大腸 (C18) と皮膚 (C44) の 4 桁部位に発生したがんは それぞれ独立して登録すべきである 3

表 1. 多重がんの判定において 1 つの部位と考える部位群 ICD-O-2/3 部位 * 部位コード C01 舌基底部 C02 舌のその他および部位不明 C02.9 C00 口唇 C03 歯肉 C04 口腔底 C05 口蓋 C06 口腔 その他および部位不明 C06.9 C09 扁桃 C10 中咽頭 C12 梨状陥凹 ( 洞 ) C13 下咽頭 C14 その他および部位不明確の口唇 口腔および咽頭 C14.0 C19 直腸 S 状結腸移行部 C20 直腸 C20.9 C23 胆嚢 C24 その他および部位不明の胆道 C24.9 C33 気管 C34 気管支および肺 C34.9 C40 四肢の骨 関節および関節軟骨 C41 その他および部位不明の骨 関節および関節軟骨 C41.9 C65 腎盂 C66 尿管 C67 膀胱 C68 その他および部位不明の泌尿器 C68.9 * 診断時期が異なれば 最初に診断された部位をコードするが 診断時期が同 じ時は ここに書かれたコードを用いる 4

表 2. Berg の組織型群 ( 多重がんの判定において 組織型と考える組織型群 ) IARC/IACRによる組織型群 わが国の織型群 O3M 癌腫 1. 扁平上皮癌 01-01 8051-8084, 8120-8131 2. 基底細胞癌 02-01 8090-8110 3. 腺癌 03-01 8140-8149, 8160-8162, 8190-8221, 8260-8337, 8350-8551, 8570-8576, 8940-8941 4. その他の明示された癌腫 04-01 8030-8035, 8040-8045 04-02 8046 04-03 8150-8157 04-04 8170-8175, 8180 04-05 8230-8255 04-06 8340-8347 04-07 8560-8562 04-08 8580-8671 (5). 詳細不明の癌腫 05-01 8010-8015, 8020-8022, 8050 6. 肉腫およびその他の軟部組織の腫瘍 06-01 8680-8713, 8800-8921, 8990-8991, 9040-9044, 9120-9125, 9130-9136, 9141-9252,9370-9373, 9540-9582 7. 中皮腫 07-01 9050-9055 造血系とリンパ組織の腫瘍 8. 骨髄性 08-01 9840, 9861-9931, 9945-9946, 9950, 9961-9964, 9980-9987 9.B 細胞性新生物 09-01 9670-9699, 9728, 9731-9734, 9761-9767, 9769, 9823-9826, 9833, 9836, 9940 10.T 細胞 NK 細胞性新生物 10-01 9700-9719, 9729, 9768, 9827-9831, 9834, 9837, 9948 11. ホジキンリンパ腫 11-01 9650-9667 12. 肥満細胞性腫瘍 12-01 9740-9742 13. 組織球および副リンパ球様細胞 13-01 9750-9758 (14). 詳細不明の血液腫瘍 14-01 9590-9591, 9596, 9727, 9820, 9832, 9835 ( リンパ腫 リンパ性白血病 ) 14-02 9760, 9800-9801, 9805, 9860, 9960, 9970, 9975, 9989 15. カポジ肉腫 15-01 9140 16. その他の明示された悪性腫瘍 16-01 8720-8790 16-02 8930-8936 16-03 8950-8983 16-04 9000-9030 16-05 9060-9110 16-06 9260-9365 16-07 9380-9539 (17). 詳細不明の悪性腫瘍 17-01 8000-8005 わが国の織型群が組み合わせは 以下の例外を除いて別の組織とみなす 1) 05-01:01-01~04-08と同一 2) 14-01:09-01, 10-01と同一 3) 14-02:08-01~14-01と同一 4) 17-01: 全てと同一 5) 肺の04-02:01-01, 03-01, 04-07と同一 5

5. 多重がんの定義と判定基準のまとめ 表 3. 部位 組織 時期の定義 集約時 (Recording) 集計時 (Reporting) 同一部位とする 部位 ICD-O3T の前 3 桁部位 結腸 (C18) と皮膚 (C44) については 4 桁目が場合には部位とする 同一部位とする ICD-O3T の前 3 桁部位が場合でも 一定の部位の組み合わせであれば同一部位とする 同左 組織 1. Berg の組織型群で 群であれば同一組織型とする 2. Berg の組織型群の 5 14 17 については 5 は 1~4 と同一組織型 14 は 8~13 と同一組織型 17 は 1~16 と同一組織型とする 同左 時期同時 異時の区別はしない 同左 表 4. 多重がんの判定基準 部位組織集約時 (Recording) 側性のない部位 1. 単一の腫瘍 2. 多発がん ( 同一部位に発生し 第一がんとは明らかに連続性のない複数の腫瘍 : 膀胱がんなど ) の場合も 組織型であれば単一の腫瘍とする 側性のある部位 上皮内がんから浸潤がんとなった場合 ( 一定期間経過した後 )* 多重がん 一方が他方の転移によるものでなければ 多重がんとする 但し 下記の両側性腫瘍は単一の腫瘍とする 卵巣腫瘍 腎臓のウィルムス腫瘍 ( 腎芽腫 ) 網膜芽細胞腫 1. 1 年未満であれば単一がんとして浸潤がんのみを登録 2. 1 年以上の間隔がある場合は 上皮内がんと浸潤がんの重複がんとして別々に登録する 3. 後発の浸潤がんが再発がんと診断された場合にも 1. または 2. が適用される 1. 一方が他方の腫瘍の進展 再発 転移によるものでなければ多重がんとする 2. 多くの臓器を侵す可能性のある全身性 ( 多中心性 ) がんでは 単一の腫瘍とする ( 例 : カポジ肉腫 造血臓器の腫瘍 ) 多重がん * 日本における固有のルール 6