21 年 12 月期 1 都 3 県賃貸住宅指標 ~1 都 3 県 211 年の空室率の見通し ~ 211 年 2 月 25 日発行 1. 賃貸住宅指標概況 東京都 全域 23 区 市部 会社名 : 株式会社タス所在地 : 東京都中央区八丁堀 2-25-9 トヨタ八丁堀ビル 7F 3-6222-123( 代表 ) 3-6222-124(FAX) http://www.tas-japan.com/ 12.58 12.36 15.61 12.76 15.21 13.47 募集期間 ( ヶ月 ) 3.24 3.25 3.17 3.53 3.52 3.47 更新確率 (%) 42.21 41.81 43.68 4.96 42.76 43.53 中途解約確率 (%) 4.39 4.78 38.93 42.12 42.99 43.55 賃料指数 (24 年 =1) 神奈川県埼玉県千葉県 97.73 97.55 98.89 98.42 99.6 これらの指標は アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています 東京都 東京 23 区の募集戸数が多いため 東京都全域の動きは 東京 23 区にほぼ連動しています TVI の傾向には変化がなく 東京都全域 東京 23 区とも横ばい傾向 東京市部は微増傾向となっています マンション系 (S 造 RC 造 SRC 造 ) アパート系 ( 木造 軽量鉄骨造 ) 別の長期 TVI 推移では 東京 23 区のマンション系 アパート系ともに横ばい傾向です 東京市部については マンション系 アパート系共に増加傾向が鮮明となってきました なお 統計に使用した全データに占めるアパート ( 木造 軽量鉄骨造 ) の割合であるアパート率は 東京都全域 :22.6% 東京 23 区 :17.15% 東京市部 :41.22% です 募集期間は市部は横ばい傾向 東京 23 区は微増傾向にあります 若干の増減はありますが 3.2 ヶ月前後で推移しています 21 年 12 月期は東京 23 区 東京市部とも中途解約確率が減少 更新確率が増加しています 東京 23 区については長期的にも中途解約確率が減少傾向 更新確率は微増傾向であり テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れます 賃料指数は東京 23 区 東京市部とも継続して下降しており 回復には時間を要すると思われます より詳細な情報として 広域市場レポート ( 東京都マクロレポート ) 地域市場レポート ( 東京 23 区各区マクロレポート ) およびインデックスレポート ( 統計指標 ) 周辺市場レポート ( 賃料査定サービス 指定場所から半径 4m) を TAS-MAP(http://www.tas-japan.com/) から提供しております 211 年 3 月初旬に 広域市場レポート 地域市場レポート インデックスレポートを 21 年 12 月末版に更新予定です 今回のバージョンから 東京 23 区各区インデックスレポートに各区賃料指数を追加いたします 神奈川県 神奈川県の TVI は 21 年 4 月より横ばい傾向です マンション系 アパート系別の長期 TVI 推移からは どちらの分類においても神奈川県が最も低い値を示しています なお 神奈川県のアパート率は 44.97% で アパート率の高さが全体の TVI を引き上げています 募集期間は引き続き微増傾向にあり 回復にはまだ時間を要しそうです 神奈川県は長期的には中途解約確率が微減傾向 更新確率が微増傾向であり テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れます 賃料指数については 99 前後で安定して推移しています 埼玉県 埼玉県の TVI は横ばい傾向が鮮明になってきましたが 過去 2 年間で最も高い水準にあります マンション系 アパート系別の長期 TVI 推移で 他都県よりもアパート系の TVI が高く 継続して増加傾向にあることが読み取れます 埼玉県のアパート率は 43.78% です 募集期間については 過去 2 年間は 3.4~3.5 ヶ月で推移しています ここ 1 年の傾向としては 中途解約確率が微減傾向 更新確率が微増傾向であり テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れますが 中途解約確率は千葉県に次ぎ高いレベルにあります 賃料指数は 99 前後で安定して推移していましたが 21 年第 4 四半期の下げ幅が大きくなっています 千葉県 千葉県の TVI は横ばい傾向が継続しています マンション系 アパート系別の長期 TVI 推移では アパート系が埼玉県に次いで TVI が高くなっています マンション系は神奈川県に次いで TVI が低くなっていますが アパート率が 46.4% と高いため全体の TVI も高くなっています 募集期間は 3.4 ヶ月前後で横ばいとなっています ここ 1 年の傾向としては 中途解約確率が微減傾向 更新確率が増加傾向であり テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れますが 中途解約確率は 1 都 3 県で一番高いレベルにあります 賃料指数は 1 前後で安定して推移しています Vol.12-1
211 年 2 月 25 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 16 15 14 13 12 11 1 9 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 29 年 1 月 11.5 1.75 12.97 12.7 13.41 12.66 29 年 2 月 1.88 1.56 12.95 13.38 12.64 29 年 3 月 1.76 1.44 12.9 11.92 13.34 12.51 29 年 4 月 1.67 1.33 12.93 11.87 13.37 12.42 29 年 5 月 1.76 1.37 13.29 12.1 13.51 12.66 29 年 6 月 1.86 1.48 13.42 12.4 13.65 12.66 29 年 7 月 1.99 1.62 13.53 12.8 13.69 12.71 29 年 8 月 11.15 1.81 13.65 12.15 13.68 12.7 29 年 9 月 11.3 1.98 13.78 12.21 13.83 12.76 29 年 1 月 11.44 11.13 13.91 12.24 13.93 12.86 29 年 11 月 11.61 11.32 14. 12.32 14.11 12.98 29 年 12 月 11.86 11.61 14.17 12.41 14.33 12.98 21 年 1 月 12.5 11.82 14.36 12.47 14.45 13.3 21 年 2 月 12.3 12.7 14.69 12.56 14.54 13.7 21 年 3 月 12.47 12.26 14.88 12.63 14.64 13.22 21 年 4 月 12.66 12.48 14.98 12.73 14.74 13.39 21 年 5 月 12.65 12.53 14.89 12.69 14.74 13.24 21 年 6 月 12.65 12.52 14.97 12.73 14.85 13.33 21 年 7 月 12.62 12.48 15.2 12.75 14.97 13.33 21 年 8 月 12.62 12.48 15.4 12.76 15.17 13.45 21 年 9 月 12.61 12.47 15.14 12.76 15.12 13.45 21 年 1 月 12.61 12.44 15.31 12.8 15.21 13.47 21 年 11 月 12.6 12.43 15.4 12.79 15.18 13.42 21 年 12 月 12.58 12.36 15.61 12.76 15.21 13.47 これらの指標は アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています Vol.12-2
211 年 2 月 25 日発行 1 都 3 県アパート ( 木造 軽量鉄骨 )TVI ポイント 33. 32. 31. 3. 29. 28. 27. 26. 25. 東京都東京 23 区東京市部神奈川県埼玉県千葉県 1 都 3 県マンション (S 造 RC 造 SRC 造 )TVI ポイント 1. 9. 8. 7. 6. 東京都東京 23 区東京市部神奈川県埼玉県千葉県 これらの指標は アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています Vol.12-3
211 年 2 月 25 日発行 2.1 都 3 県の 211 年空室率の見通し ~ 区賃貸住宅需給ギャップ分析より ~ (1) 分析方法前回の定期発表時の分析で 需給ギャップと空室率の指標である TVI( タス空室インデックス ) との動きが連動している様子が観測できました 詳細は 21 年 1 月期 11 月期 1 都 3 県賃貸住宅指標を発表 ~ 東京 23 区賃貸住宅需給ギャップ分析 ~ (http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/vol11_residential211121.pdf) をご覧ください 前回と同様に需給ギャップは 公的統計情報 ( 住民基本台帳による世帯と人口 平成 17 年国勢調査 人口問題研究所の推定値 ( 平成 19 年 5 月推定 ) ) を利用して 下記の式で推定します 需給ギャップ = 供給 - 需要 = ( 推定賃貸住宅供給量 - 平均滅失戸数 ) - 世帯数増減 民間借家の滅失数について 前回は 総務省住宅土地統計調査 ( 平成 15 年 平成 2 年 ) を用いて 両者の戸数の差から推定していました しかしながらこの手法だと 一部地域 期間については滅失数がマイナスになるなど 正確性に疑問があります このため 今回は需給ギャップと TVI が連動するという仮定のもと 各地域の滅失数を調整し 需給ギャップと TVI の関係を定性的に分析します (2)1 都 3 県の賃貸住宅需給ギャップと TVI の関係次ページに 1 都 3 県の需給ギャップと TVI の推移を示します なお 21 年 11 月以降は推計値となります 東京 23 区 神奈川県 千葉県については需給ギャップの推移と TVI の推移に相関性が読み取れます 一方で東京市部と埼玉県については 27 年の第 3 四半期から 29 年の第 4 四半期にかけて需給ギャップ推移と TVI 推移の乖離があります 同様の傾向は 23 区内の足立区 葛飾区 江戸川区等でも観測することができ 何らかの規則性に基づいていると考えられます ここでは この乖離が賃料の推移と関連していると仮定し 検証を行ってみましょう 1 都 3 県の需給ギャップと TVI 図の右下に東京 23 区の賃料指数を示します 東京 23 区の賃料指数は 27 年頃から急上昇しています また東京市部および埼玉県の TVI の推移が 東京 23 区の賃料指数と逆の動きをしていることも読み取れます 実は 1 都 3 県の中で東京 23 区の賃料指数の動きは特別なものです 他の地域では 27 年ごろからの賃料指数の推移は比較的安定しています また東京 23 区内を詳細に分析すると 外周部の区についても同様に 27 年からの賃料指数の上昇は見られません つまり 27 年からの賃料急上昇は 23 区の内側にある区だけで発生していたということです これらから 賃料が高騰した 23 区内側の区から 賃料の安い東京市部 埼玉県への人の移動が発生した という仮説を立てることができます またこれら移動した人は需給ギャップには反映できない つまり住民票を登録していない人であると思われます なお 千葉県方面については 足立区 葛飾区 江戸川区で移動需要が吸収されてたものと思われます (3)211 年空室率 TVI の推移予測需給ギャップの推移および上記の仮説に基づき 211 年の空室率 TVI の推移予測を行います 東京 23 区 : 東京 23 区では需給ギャップ解消に向けて調整が進んでいることが読み取れます 従って 211 年は 空室率 TVI が減少傾向となると思われます 東京市部 : 東京市部においても需給ギャップの調整が進んでいますが 東京 23 区の賃料の下落による人口流出が予想されるため 当面は空室率 TVI が高止まりすると思われます 神奈川県 : 神奈川県も需給ギャップ解消に向けて調整が進んでいるため 今後空室率 TVI が減少傾向となると思われます 埼玉県 : 埼玉県は需給ギャップの調整があまり進んでいません 一方で東京 23 区の賃料の下落による人口流出が予想されるため 当面は空室率 TVI が上昇傾向となる可能性があります 千葉県 : 千葉県は需給ギャップの調整があまり進んでいません 当面は空室率 TVI が横ばい傾向となると思われます Vol.12-4
211 年 2 月 25 日発行 1 都 3 県の賃貸住宅需給ギャップと TVI 1. 9. 8. 7. 6. 東京 23 区 25, 2, 15, 5, -5, - 16. 15. 14. 東京市部 8, 6, 4, 2, -2, -4, -6, -8, 東京 23 区 TVI 東京 23 区需給ギャップ需給ギャップ移動平均 東京市部 TVI 東京市部需給ギャップ東京市部ギャップ移動平均 神奈川県 25, 2, 15, 5, -5, 16. 15. 14. 埼玉県 25, 2, 15, 5, 1. - 1. -5, 神奈川県 TVI 神奈川県需給ギャップ需給ギャップ移動平均 埼玉県 TVI 埼玉県需給ギャップ需給ギャップ移動平均 千葉県 東京 23 区賃料指数 14. 2, 15 15, 5, 1 1. -5, 95 千葉県 TVI 千葉県需給ギャップ需給ギャップ移動平均 TVI( タス空室インデックス ) は アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて株式会社タスが分析 需給ギャップは 東京都住民基本台帳 東京都着工統計 人口問題研究所の将来推計 総務省住宅土地統計 国勢調査を用いてタスが推計しています Vol.12-5
211 年 2 月 25 日発行 用語説明 TVI(TAS Vacancy Index: タス空室インデックス ) タスが開発した賃貸住宅の空室の指標です TVI はアットホーム株式会社の賃貸住宅募集データを空室のサンプリング 募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして下式で算出を行います なお 募集建物の総戸数は 1 募集建物を階層別に分類 2 国勢調査 住宅土地統計調査を用いて階層別の都道府県毎の平均戸数を算出し 両者を乗じることにより算出しています TVI = 空室のサンプリング ストックのサンプリング = 募集戸数 募集建物の総戸数 募集期間 (Downtime) 成約した物件の平均募集期間を示します アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて 下記の計算式で求められます 募集期間 = Average( 成約日 - 募集開始日 ) 更新確率 中途解約確率 更新確率は契約期間が 2 年として入居したテナントが契約更新を行う確率 中途解約確率は契約期間が 2 年として契約満了前にテナントが退去する確率を示します アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて算出しています 成約した部屋が再び市場に現れる ( 募集が開始される ) までの月数をカウントし 7~48 ヶ月目を総数とし 7~22 ヶ月目までに市場に現れた件数を中途解約した件数 27~48 ヶ月目に現れた件数を契約更新をした件数としてそれぞれの確率を計算しています 注 1: データ上 7 ヶ月未満で募集されているデータも存在していますが 入力ミスの可能性も否定できないため 算出から省いています 注 2:49 ヶ月以上で募集されているデータは全体の 1% 未満であること また注 1 で省いた部分に含まれる可能性のある正規データ (6 ヶ月以内に中途解約したデータ ) とのバランスを考慮して 算出から省いています 株式会社タスではこれらの指標を使用した 賃貸住宅市場賃料査定サービス 賃貸住宅市場レポートサービスを提供しています 詳細は TAS-MAP ホームページ (http://www.tas-japan.com/menu/menu_market.html) をご覧ください Vol.12-6