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スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

に相当する金額を反映して分割対価が低くなっているはずですが 分割法人において移転する資産及び負債の譲渡損益は計上されませんので 分割法人において この退職給付債務に相当する金額を損金の額とする余地はないこととなります (2) 分割承継法人適格分割によって退職給付債務を移転する場合には 分割法人の負債

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

債務超過会社の吸収合併 1. 会社法の規制債務超過会社を消滅会社とする合併は 旧 商法では 資本充実の原則 に反するとして認められていませんでした つまり 合併登記が受理されませんでした このため実務上は 不動産や有価証券の含み益を計上するか営業権を認識して債務超過を解消する あるいは債務超過の子会

2 (1) 事業譲渡説明 A 社 A 社又は新 A 社 A 社が B 社の事業金甲銭事 ( 甲事業 ) ( 財産 ) の一部又は全等業部を買収する (AM) B 社 B 社 ( 原則として A 社 B ( 甲 乙事業 ) ( 乙事業 ) 社の株主総会の特別 決議が必要 ) 清算年度 ( 解散後 )

自己株式とみなし配当 1. 自己株式取得の法務自己株式は 会計上は資本取引として認識し 純資産の部から取得価額を控除する形式で表示します ( 自己株式会計基準 7) 一方税務上では 発行法人の貸借対照表と自社株式の取引価額次第で みなし配当課税と所得税の源泉徴収が必要な場合があります 自己株式の取得

企業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について⑦・連結税効果実務指針(その2)

128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

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自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

第 1 章会社法における合併の概要 49 (2) 不動産登記関係合併においては 被合併法人の所有する不動産の名義変更登記が必要となります 新設合併の場合には 合併当事会社がすべて消滅するため すべての不動産が対象となり 登記費用が吸収合併に比して高額となります (3) 社会保険届出等の事務手続新設合

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

平成30年公認会計士試験

損金経理と積立金経理の違い ( 圧縮超過額がない場合の基本構造 ) 例 A 社は 50の国庫補助金を得て 100で機械を取得した なお A 社の経常利益は 100 である * 仕訳の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理積立金経理 補助金受贈と機械取得時の仕訳 ( 両者とも同じ ) 現金預金 50

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

[2] のれんの発生原因 企業 ( または事業 ) を合併 買収する場合のは 買収される企業 ( または買収される事業 ) のおよびを 時価で評価することが前提となります またやに計上されていない特許権などの法律上の権利や顧客口座などの無形についても その金額が合理的に算定できる場合は 当該無形に配

その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

プルータスセミナー 新株予約権の税務について 株式会社プルータス コンサルティング 平成 18 年 12 月 7 日

 

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

連結会計入門 ( 第 6 版 ) 練習問題解答 解説 練習問題 1 解答 解説 (129 頁 ) ( 解説 ) S 社株式の取得に係るP 社の個別上の処理は次のとおりである 第 1 回取得 ( 平成 1 年 3 月 31 日 ) ( 借 )S 社株式 48,000 ( 貸 ) 現預金 48,000

貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

第4期 決算報告書

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第1章 簿記の一巡

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

第6期決算公告

東京電力エナジーパートナー

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

平成25年度 第134回 日商簿記検定 1級 商業簿記 解説

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

d. 少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称 NISA) 少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した非課税口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間 新規投資額で毎年 100 万円を上限

[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

【表紙】

営業報告書

投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

2 2. 企業買収売却 ( 再編 ) の 6 つのタイプ 企業買収には株式を買う方法と事業そのものを買う方法の 2 つがある 株式を買う方法は被買収会社の法人格を残したまま買収する方法である (1) 株式取得 B 社の株式を A 社が現金で購入する (A 社株主 ) (B 社株主 ) (A 社株主

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

計算書類等

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平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

1. みなし配当とは? A Q1. みなし配当の定義とみなし配当が生じる取引について教えてほしい みなし配当とは 以下 1~6 の事由により法人が株主へ金銭等の交付を行った場合において その交付金銭等の合計額がその法人の資本金等の額又は連結個別資本金等の額のうち交付の基因となった株式に対応する部分を

( ロ ) 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る出資等減少分配 ( 所得税法第 24 条に定めるものをいいます 以下 本 ( ロ ) 出資等減少分配に係る税務 において同じです ) のうち本投資法人の税務上の資本金等の額に相当する金額を超える金額がある場合には みなし配当 ( 計

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

リリース

株式会社 2019 年 5 月 13 日山陰合同銀行 自己資本の構成に関する開示事項 (2019 年 3 月期自己資本比率 ) 1. 自己資本の構成 連結 ( 単位 : 百万円 %) 項目 当四半期末 経過措置による不算入額 前四半期末 経過措置による不算入額 コア資本に係る基礎項目 (1) 普通株

<4D F736F F D20834F838D815B836F838B8F5A94CC81408C768E5A8F9197DE E718CF68D90817A E36>

( 注 3) その他の少額上場株式等の非課税口座制度の詳細については 証券会社等の金融商品取引業者等にお問い合わせ下さ い b. 利益を超える金銭の分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 平成 27 年 4 月 1 日以後開始事業年度に係る利益を超える金銭の分配につ

M&A会計の解説 第11回 事業分離に関する税効果会計

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参考 企業会計基準第 25 号 ( 平成 22 年 6 月 ) からの改正点 平成 24 年 6 月 29 日 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 の設例 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 平成 22 年 6 月 30 日 ) の設例を次のように改正


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2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

第10期

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

組織再編税制の見直し

第4期電子公告(東京)

ゴルフ会員権の売却と損益通算 1. 概要 個人で所有する預託金方式のゴルフ会員権の場合 総合課税の譲渡所得として その売却損は損益通算できま す ( 所基通 33-6 の 2) ゴルフ会員権やレジャークラブ会員権は優先的プレー権と預託金返還請求権の 2 要素があり 売却した場合は譲渡所得になります

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

経営 V iewpoint 相 談自己株式の取得に係る会計と税務について 宮澤正彦相談部東京相談室 自己株式の取得については 平成 18 年に資産の取得から資本の控除項目へと会計基準が変更されました この改正に伴い 税法も取扱いが変更されました 自己株式の取得についての手続きや留意

連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示項目 のいずれに相当するかについての説明 ( 付表 ) 1. 株主資本 資本金 33,076 1a 資本剰余金 24,536 1b 利益剰余金 204,730 1c 自己株式 3,450 1d 株主資本合計 258,893 普通株式等 Tier1 資

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

計 算 書 類

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業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について⑧・連結税効果実務指針(その3)

役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

Microsoft Word - メルマガQ&A(23.8.1問2)利益剰余金の資本組入(父確認中)

Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 本号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 承前 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステータス 100% グループ内の法人からの受取配当

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の


( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払

第 151 回日商簿記 2 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 解答 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 現 金 8,500,000 車両減価償却累計額 760,000 1 商 品 6,100,000 本 店 17,640,000 車 両 3,800,000 2 その他有価証券 2,000,00

Microsoft Word - 公開草案「中小企業の会計に関する指針」新旧対照表

 

10 第 1 章 1 株式会社の設立 会社法 445 条 1 項 [ 株式会社の資本金の額 ] 株式会社の資本金の額は この法律 [ 会社法 ] に別段の定めがある場合を除き ( memo. ) 設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする 株式会社

1% 子会社の清算に係る繰越欠損金の引継ぎ等 概要 平成 22 年度税制改正後においては 平成 22 年 1 月 1 日以後の解散決議により 完全支配関係がある子法人が清算した場合のその清算法人株式の譲渡損益については その清算法人株式を簿価で譲渡したものとして 親法人で譲渡損益 ( 清算損 ) を

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

平成22年5月17日

第 76 期 計算書類 自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 大泉物流株式会社

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平成23年度税制改正の主要項目

平成26年度 第138回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

コア資本に係る調整項目 無形固定資産 ( モーゲージ サービシング ライツに係るものを除く ) の額の合計額 うち のれんに係るもの ( のれん相当差額を含む ) の額 うち のれん及びモーゲージ サービシング ライツに係るもの以外の額 繰延税金資産 ( 一時差異に係るものを除く ) の額 適格引当

⑭【設例】適用指針案

Microsoft Word - 247_資本連結実務指針等の改正

平成 30 年 3 月末 負債の時価評価により生じた時価評価差額であって自己資本に算入される額 退職給付に係る資産の額 15,162 3,790 5,815 3,877 自己保有普通株式等 ( 純資産の部に計上されるものを除く ) の額 意図的に保有している他の金融機関等の対象資本

「平成20年版 法人税申告書の記載の手引」別表五(一)

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第 8 回企業組織再編 1 会計と経営のブラッシュアップ平成 27 年 5 月 18 日山内公認会計士事務所 本レジュメは 企業会計基準及び次の各書を参考にさせていただいて作成した ( 企業組織再編の会計と税務山田淳一郎監修 H22.10 税務経理協会刊 ) ( 企業買収 グループ内再編の税務佐藤信祐外著 2010.11 中央経済社刊 )( 事業再生の法務と税務太田達也著 H25.6 税務研究会刊 ) Ⅰ 企業組織再編による事業再生 1. 事業再生の諸手法 譲渡 ( 分離 ) 側と取得側からの検討 ( 税務 会計 経営 ) 区分内容メリットとデメリット (1) 事業譲渡 1 営業 ( 財産 ) の一部又は全部の譲渡 1 設計がしやすい 2 契約による取引行為 2 簿外債務リスクが少ない 3 個々の財産の譲渡 3 許認可の引継ぎの困難 4 株式の譲渡の方法 4 事業譲渡価額の決定 5 営業権の計上 5 消費税の課税 6 充分な再建計画の必要性 6 資産譲渡益の処理 (2) 分割 1 個別の取引でなく 包括的な資産負債の移転 ( 包括承継 ) 2 第 2 会社方式の活用 1 個別の同意は不要 2 許認可手続の容易化 3 重畳的債務引受を行う方法 3 適格 不適格の区分 4 簿外債務の承継リスク 4 営業権 ( 資産調整勘定等の発生 ) の計上 5 移転資産の範囲 6 充分な再建計画の必要性 (3) その他の方法 1 債権放棄 2 増減資 3 DES 4 DDS 5 株式交換 株式移転 (4) 株式譲渡 1 株式の譲渡 2 個人不動産の譲渡 (ME) 5 消費税 不動産取得税 登録免許税 6 資産譲渡益の処理 1 非常にわかりやすい 2 法人格に移動が生じない 3 欠損金の引継 免除益要請 4 認許可不要 5 簿外債務リスクがある 本レジュメはブラッシュアップ日迄にホームページに up してあります http://yamauchi-cpa.net/index.html

(6) 税務上の取扱い 1 事業譲渡の場合 ( イ ) 資産調整勘定 ( 営業権 ) は 60 ヶ月で損金算入 ( 償却 ) する逆に負債調整勘定は 60 ヶ月で益金算入する ( ロ ) 消費税法上の譲渡等に該当する ( ハ ) 不動産の移転登記に伴い登録免許税が課される ( ニ ) 譲受会社に対して 不動産取得税が課される 4 2 会社分割の場合 ( イ ) 非適格分割となる場合が多い ( ロ ) 時価での分割 ( 譲渡 ) となる ( ハ ) 資産調整勘定 負債調整勘定 ( 営業権等 ) は 60 ヶ月で償却される ( ニ ) 消費税法上の譲渡に該当しないため 課税対象外取引となる ( ホ ) 一定の要件を満たせば 不動産取得税は課されない ( ヘ ) 所有権の移転登記に対する登録免許税については 軽減措置あり (7) 消費税法上の取扱い 旧会社が新会社株式をスポンサー企業に譲渡する場合に この取引は消費税法上の非課税取引に該当する したがって 株式の譲渡価額の 5% について 非課税売上として考慮のこと (8) オーナーの所得税法上の取扱い ( イ ) オーナーが私財提供した時平成 25 年度の改正により 一定の要件を満たしているときは 譲渡課税は適用されない ( ロ ) 求償権を行使できない時一定の場合 貸倒損失となる ( 所基通 64-1 51-11) ( ハ ) 上記 ( イ ) ( ロ ) について法人が事業を継続している時 H14.12.25 付中小企業庁からの照会 (9) 仮装経理を行っていた場合の取扱い H22.10.6 法人税質疑応答事例 ( イ ) 実在性のない資産の発生原因が明らかである場合 ( ロ ) 実在性のない資産の発生原因が不明である場合 (10) 親会社の解散 清算でなくて 100% 子会社を解散等する場合は 存続する親会社の 100% 化のタイミングによる貸倒損失 繰越欠損金の引継 子会社株式の償却損に注意する

3. その他の組織再編の概要図 5 (1) 債権放棄説明 旧債権者 A 社 新株主等 債権者 株主構成の変化 A 社 1 債権放棄と 2 3 増資等による財務の改善 債権放棄 2 増資 3 融資 (2) 増減資 ( 株主構成の変更 ) 旧株主 A 社 新株主 株主構成の変更 A 社 1 2によるオーナーの交代による財務の改善 1 減資 2 増資 (3)DES 説明 債務の資本化 ( 負債 資本 ) B/S 債務を資本へ振替えるときの注意点!! 資産 負債 資本 資産 負債 資本

6 (4)DDS 債務の劣後化 ( 負債 長期化 ) B/S 資産負債 資産 負債 劣後負債 (5) 株式交換

(5)-2 株式移転 7 (A 社株主 ) (B 社株主 ) (C 社 旧 A B 社株主 ) 1 又は 2 以上の株式 C B C 会社 (A 社 B 社 ) がそ社社社株新設 C 社株株の発行済株式の全部式式式を新たに設立する C 100%( 強制的 ) 社に取得させる方法 A 社 B 社 A 社 B 社 である ( 原則として A ~C 社の株主総会の特別決議が必要 ) A 社株式 ( 検討すべき課題 ) 1. 共通支配下の取引の意味 ( 合併 ) 2. 親子会社間の合併 子会社同士の合併 同一の者 ( 個人 ) に支配されている会社同士の合併 3. 同一の者 ( 個人 ) の支配と適格合併 4. 1~3 の場合 ( 資産 負債の簿価引継 ) の繰越欠損金の引継 5. 抱合せ株式消滅差損益についての別表四 五 ( 一 ) の処理 6. 資産負債差額 営業権の資産性の有無

4. 株式の譲渡 8 ( 旧株主 ) (B 社株主 ) ( 株主の変更 ) A 社 B 社 B 社株式を A 社へ A 社から金銭を受取 A 社 100% B 社 B 社の株式を A 社が現金で購入する (1) 売り手の株主 A 株主が個人である場合 1 株式の譲渡益課税 20% の申告分離課税所得税 15% 住民税 5% 2 上記株式の譲渡損がある場合には 通算可能買戻しは子供で行うこともできる B 株主が法人である場合他の所得と合算して法人税等が課税される 現行の実効税率は 約 33% である C 取締役等の退職金株式譲渡価額に反映する (2) 買い手 1 取得価額は 買取金額と付随費用 2 のれん以上の工夫 (ⅰ) 買い手が買収後事業譲渡 取得会社売却益 譲渡会社で償却 取得会社の解散 清算で課税損失 (ⅱ) 株式買収会社で 合併又は清算して営業権計上 5. 不動産の譲渡と合わせた取引 (1) 株式譲渡価額と調整可能 (2) 株式と土地 ( 不動産 ) を分割して考える 株式 営業権プラス土地 借地権等プラス

9~10 6. 株式譲渡と事業譲渡の比較 (1) ケース ( 株式譲渡の場合 ) 譲渡株式 資産 20 億 負債 25 億 純資産 5 億 青色欠損金 15 億 譲渡対価 5 億円 (a) 売手の仕訳 ( 株式譲渡の場合 ) 現金 5 / 株式譲渡益 5 ( 個人 20% 課税 法人 33% 課税 ) 買手の仕訳株式 5 / 現金 5 (b) 売手の仕訳 ( 事業譲渡の場合 ) 現金 5 / 資産 20 負債 25 / 譲渡損益 10 ( 会社の青色欠損金 15 億円で譲渡益相殺 ) 買手の仕訳資産 20 / 負債 25 のれん 10 / 現金 5 (c) 有利不利の判定 (a) 売手会社の青色欠損金の活用 ( 事業譲渡 ) (b) 買手ののれん ( 資産調整 ) の活用 ( 事業譲渡 ) (c) 株式譲渡の場合は (a) (b) がない ( 資産負債調整 ) その直前に営む事業及び譲渡資産 負債の概ね全部が移転する場合には 非適格合併 分割 事業の譲受けについては 資産負債調整 ( のれん ) を計上できる こののれんは 事業譲渡等があった日の属する事業年度から 5 年間で損益算入しなければならない

Ⅱ 営業権 ( のれん ) の評価 11 1. 資産調整勘定と負債調整勘定 従来 事業譲渡における取扱いと基本的に同じと考えられていた非適格組織再編における営業権の取扱いは 平成 18 年改正の事業結合と分離等の会計基準とそれに応じた法人税法の改正により従来の営業権の取扱いとの違いを明確にした それは企業会計基準におけるパーチェス法の考え方であり 税法上も次のような点が具体化された 法人税法 会計 資産調整勘定のれん ( 営業権 ) 差額負債調整勘定 退職給与負債調整勘定 短期重要負債調整勘定 負ののれん 退職給付引当金 特定勘定 従来の営業権に対応する資産調整勘定は 会計上の費用処理に関係なく 税務上は別表の加算減算を通じて 5 年間の均等償却 ( 法法 62 の 83~8) が強制される

2. 営業権 ( 負の営業権 ) 12 税務上 非適格組織再編等により交付した対価の金額 ( 新株 金銭等の合計金額 ) が移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額を超えるときは その超える部分の金額について 資産調整勘定として取扱われる 逆の場合は差額負債調整勘定となる ( 法法 62 の 8) B/S 資産 1,000 負債 1,200 資産調整勘定 200 非適格組織再編により移転を受けた財産の時価が純資産額を超える場合には 営業権 ( 資産調整勘定 ) を認識する 但し 非適格組織再編により交付した対価の金額のうち一部に 仮に次のような寄附金に該当するものがある場合には その部分については 資産等超過差額となり 資産負債調整勘定として取扱うことはできない 1 営業譲渡の対価 1,000 2 税務上の個別純資産 800 3 資産等超過差額 50 寄附金 注意が必要 4 資産調整勘定 1-2-3 150 営業権 ( 納得が ) (1) 営業権の償却 ( 調整勘定の強制償却 ) 税務上 資産調整勘定を認識した場合には 5 年間の均等償却を行い 各事業年度の損金の額に算入しなければならない ( 法法 62 の 84 5) 差額負債調整勘定を認識した場合には 5 年間の均等償却を行うことで各事業年度の益金の額に算入する必要がある (2) 第 2 次組織再編における営業権の取崩しと引継ぎ 第 2 次組織再編が非適格合併に該当する場合には 資産調整勘定 差額負債調整勘定を全て取崩して 損金又は益金の額に算入する必要がある ( 法法 62 の 84 7) 第 2 次組織再編が適格合併に該当する場合には それらは引継がれる しかし 非適格分割等の非適格組織再編については取扱いが規定されていないため 均等償却を継続していくことになると考えられる

3. 寄附金 13 非適格組織再編等による対価の額には 寄附金部分は除かれる (1) 適正時価での取引 ( 適正譲渡 ) イ. 簿価純資産 70 ロ. 個別資産の時価 80 (B/S の時価純資産 ) ハ. あるべき事業対価の額 100 ( 営業権相当額 20 が含まれる ) ニ. 取引対価 100 ( ハ-ニで寄附金はない ) 受入法人 時価純資産 80 現金 100 資産調整勘定 20 払出法人 現金 100 簿価純資産 70 譲渡益 30 (2) 払出法人から受入法人に対する寄附 ( 低額譲渡 ) イ. 簿価純資産 70 ロ. 個別資産の時価 80 (B/S の時価純資産 ) ハ. 取引対価 80 ( ニ-ハ 20 の寄附金の認識 ) ニ. あるべき事業譲渡の対価 100 ( 営業権を含む対価 ) 受入法人 時価純資産 80 現金 80 資産調整勘定 20 受贈益 20 払出法人 現金 80 簿価純資産 70 寄附金 20 譲渡益 30 (3) 受入法人から払出法人への寄附 ( 高額譲渡 ) イ. 簿価純資産 70 ロ. 個別資産の時価 80 (B/S の時価純資産 ) ハ. 取引対価 120 ( ハ-ニ 20 の寄附金の認識 ) ニ. あるべき事業譲渡の対価 100 受入法人 時価純資産 80 現金 120 資産調整勘定 20 寄附金 20 ( 償却の損金算入不可 ) 払出法人 現金 120 簿価純資産 70 譲渡益 30 受贈益 20 寄附金と資産等超過差額の区分 ( 前頁参照 )

4. 資産等超過差額 ( 損金処理が出来ない差額 寄附金 ) 14 制度の概要 資産調整勘定の金額のうち 資産等超過差額 に相当する部分の金額については 資産調整勘定として認められないため 将来の事業年度において損金処理を行うことができない 具体的な資産等超過差額の算定方法は以下の通りである ( 法規 27 の 16) 1 非適格分割の場合において 資産調整勘定の金額が分割により移転を受ける事業により見込まれる収益の額の状況その他の事情からみて実質的に当該分割に係る分割法人の欠損金額に相当する部分からなると認められる場合のその金額 2 分割法人 A 社における処理 ( 資産調整勘定の認識 ) これに対し 分割法人 A 社における受入仕訳は以下の通りである 会計上の仕訳 諸資産 1,000 諸負債 100 資本準備金 900 : 営業権に対する税効果は認識しない ( 適用指針 72) 税務上の仕訳 諸資産 1,000 諸負債 100 資産調整勘定 100 資本積立金 1,200 資産等超過差額 200 ( 寄附金 ) : 前提条件に記載の通り 営業権の金額 300 のうち 200 について資産等超 過差額として取り扱われ 残りの 100 については資産調整勘定として取り 扱われる このように 会計上は営業権が計上されていないが 税務上 資産調整勘定が設定されていることから この部分について加算調整が必要になる 従って営業権の評価が重要である

5. 資産負債調整勘定 ( 差額負債調整勘定 ) 15 (1) 非適格分割において 旧会社の概ねすべての資産と負債が新会社へ分割される 1 新会社が 時価で受入れた資産負債の差額 ( 時価純資産 ) 2 新会社が交付した株式等の時価 ( 資本金等 ) 3 1 と 2 の差を 資産調整勘定 ( 差額負債調整勘定 ) という (2) 資産調整勘定 ( 法法 62 の 81) 時価純資産 < 資本金等 ( 発行株式等分割対価 ) 新会社の受入れた時価純資産額資産負債調整勘定 ( 分割の対価 ) 800 200 資本金等 1,000 5 年間にわたり 月額で減額 ( 償却 ) し 損金算入する この差額は受入時価純資産 < 事業価値 ( 分割の対価 ) ということであり 営業権とも言うべきものである (3) 差額負債調整勘定 (2) とは逆に時価純資産 > 資本金等 ( 分割対価 ) の場合は 差額負債調整勘定として 5 年間にわたり 月割で減額して 益金に算入する (4) 旧会社 ( 分割法人 ) の税務処理 1 会計上の仕訳新会社株式 諸資産 諸負債 譲渡益 2 税務上の仕訳 ( 時価評価 ) も1と同じ (5) 新会社 ( 分割承継法人 ) の税務処理 1 会計上の仕訳諸資産 諸負債 のれん 剰余金 2 税務上の仕訳 ( 時価評価 ) も同様に資産調整勘定 =のれん (6) 償却性資産等の引継と償却 非適格分割により償却資産を引継いだ場合は 分割の日の前日までの償却費を計上することはできない 何故なら 分割時点の時価引継であるからである