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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

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Transcription:

[ 宮城県農林水産部農村振興課 ] 2015.1.17~2015.2.1 短期派遣専門家調査団 活動報告書 草の根技術協力事業 ( 地域活性化特別枠 ) マラウイ国農業水利人材能力開発支援事業 (H25~H28) 2015 年 3 月宮城県農林水産部農村振興課 Rural Development Promotion Division, Agriculture, Forestry and Fisheries Department, Miyagi Prefectural Government, Japan

目次 マラウイ共和国位置図 Ⅰ. はじめに... 1 1. 短期専門家派遣職員 2. 現地同行者 3. 派遣日程 4. 現地活動内容 Ⅱ. マラウイ政府農業, 灌漑及び水資源開発大臣及び灌漑局幹部表敬... 2 1. 農業, 灌漑及び水資源開発大臣表敬... 2 2. 灌漑局並びにリロングウェ管区灌漑事務所表敬... 2 Ⅲ. リロングウェ農業大学ブンダカレッジ訪問... 3 Ⅳ. 技術移転セミナーの開催... 4 1. デッザ県行政庁及びデッザ県灌漑事務所訪問... 4 2. 技術移転セミナーの開催... 5 Ⅴ. 本県 JOCV 派遣者の生活圏調査... 7 Ⅵ. 現地調査... 8 1. マラウイ湖を水源とする灌漑施設 ~サリマ ISD 管内リフウ地区 ~... 8 2. ブワンジェバレー (Bwanje Valley) 頭首工... 10 3. ンチェウ県現地調査... 12 (1) ンマディディ地区 ( 足踏み式ポンプの活用 )... 13 (2) センベ地区 ( 粗朶工法実践パイロット地区 )... 15 (3) ジオヤ地区 ( ソーラー発電ポンプによる灌漑と村落開発 )... 16 4. 事業からの供与資材を活用した地区 ~デッザ県マビンジャ地区 ~... 17 Ⅶ. マラウイ国への資材及び機材供与... 20 1. リロングウェ ISD への供与... 20 2. デッザ DIO への供与... 21 Ⅷ. 調査及び活動成果の報告... 22 1. 在マラウイ日本大使館への報告... 22 2.JICA マラウイ事務所への報告および打合せ... 23 3. 帰朝報告会 ~ 帰国後の報告と広報広聴活動 ~... 23

目次 Ⅸ. 課題毎の結論及び今後の展開... 23 1. 宮城県派遣 JOCV の活動状況調査及び課題等の検討... 23 2. 草の根技術報告協力事業の進捗調査及び課題等の検討... 23 3. 技術移転セミナーの開催... 24 4. 機材の供与及び使用方法等の指導 ( 測量器財, 車輌の交換部品等 )... 24 5. 宮城県派遣 JOCV の生活環境等の調査... 24 3. 次期フェーズ ( 第 3 期 ) について... 24 Ⅹ. おわりに... 25

図マラウイ共和国 (Republic of MALAWI) 位置図 Lifu リロングウェ 農業大学 サリマ リロングウェ Mabwinja デッザ ンチェウ

Ⅰ. はじめに草の根技術協力事業 ( 地域提案型 ) は 2011 年に開始し, 現在は第 2 期事業 ( 地域経済活性化特別枠 ) の マラウイ国農業水利人材能力開発支援事業 ( 以下, 本プロジェクト という ) として第 1 期事業から数えて4 年目の活動を実施中である ( 宮城県からの継続的な JOCV 派遣は 2010 年に開始し, 現在 5 年目 ) 今回, 本プロジェクトの進捗や課題の確認及びデッザ県でのセミナー開催等のために, 2015 年 1 月 18 日 ( 日 )~1 月 29 日 ( 木 ) の日程 ( 全行程は 1 月 17 日 ( 土 )~2 月 1 日 ) でマラウイ国を訪問した 1. 短期派遣職員宮城県農林水産部次長 ( 技術担当 ) 菅原喜久男 ( 団長 ) 宮城県農林水産部農村振興課技術主査菅野将央宮城県農林水産部農地復興推進室技術主査大場喬公立大学法人宮城大学食産業学部教授郷古雅春 2. 現地同行者 デッザ県灌漑事務所 Assistant Irrigation officer ドミニク バンダ 技師 工藤貴文 (JOCV 26-3) 3. 派遣日程 2015 年 1 月 17 日 ( 土 )~2 月 1 日 ( 全行程 ) うち, マラウイ国滞在は 1 月 18 日 ( 日 )~1 月 29 日 ( 木 ) 4. 現地活動内容 (1) 宮城県派遣 JOCV の活動状況調査及び課題等の検討 (2) 草の根技術協力事業の進捗の調査及び課題等の検討 (3) 技術移転セミナーの開催 ( デッザ ) (4) 機材の供与及び使用方法等の指導 ( 測量機材, 車両の交換部品等 ) (5) 宮城県派遣 JOCV の生活環境等の調査 略語表 ISD Irrigation Services Division 広域管区灌漑事務所 DIO District Irrigation Office 県灌漑事務所 DADO District Agricultural Development Office 県農業開発事務所 EPA Extension Planning Area 末端農業普及所 / 地区 JOCV Japan Overseas Cooperation Volunteers 青年海外協力隊 C/P Counterpart カウンターパート 1

Ⅱ. マラウイ政府農業, 灌漑及び水資源開発大臣及び灌漑局幹部表敬 1. 農業, 灌漑及び水資源開発大臣表敬今回の派遣では, 灌漑局長ジェフリー マンバ氏並びにマラウイ国側のカウンター パート ( 以下 C/P) であるリロングェ管区灌漑事務所 (Lilongwe Irrigation Service Division; 以下リロングウェ ISD) 部長サングァニ コーサ氏の取り計らいにより,1 月 21 日,Dr. アラン チェンベゼカ大臣への表敬が実現した 大臣には,1 月初旬からの豪雨によるマラウイ南部の洪水被害へのお見舞いを申し上げるとともに,2010 年に開始した宮城県からの JOCV 派遣事業及び 2011 年からの草の根技術協力事業の成果を伝え, 今後の活動目標について説明を行った 特に宮城県側からは, 農業土木技術者の育成と大学教育と行政の連携が, マラウイ国のフード セキュリティーに寄与するものであり,2 期事業においては人材育成を重視していることを説明した マラウイ政府は, ハード事業と共に本プロジェクトの事業目標である農業土木技術者の育成を重要視しており, 事業目標がマラウイ政府のニーズに合致し, かつ妥当なものと確認できた なお, 大臣からは, 日本国並びに宮城県への感謝の言葉を頂き, かつ今後の事業継続についても要請された 表敬後, 大臣とマンバ氏の打合せが行われ, マンバ氏から大臣は本プロジェクトの趣旨を理解し, 大臣並びに事務次官は本プロジェクトの遂行において, 完全に支持するとのことであった 写真 1: 大臣室で記念撮影 ( 中央 : 菅原団長左が大臣 ) 2. 灌漑局並びにリロングウェ管区灌漑事務所幹部表敬 1 月 19 日に前述したマンバ灌漑局長及びコーサ氏, さらにペーター チペタ中央州灌漑 水資源開発官 (Central Region Irrigation and Water Development Office) に表敬及び意見交換を行った マンバ氏及びチペタ氏は2012 年に, コーサ氏は2014 年に研修生として宮城県に招聘しており, 日本の灌漑事情を理解している 以後チペタ氏, コーサ氏は本プロジェクトのC/Pとしてマラウイ国内での円滑な活動のために協力体制を組んでいる 2

意見交換において, これまでの活動に高い評価を受けるとともに,2 期事業以後の継続要請があった 現在進行中の事業内容については特に異論はなく, 大筋合意した 写真 2,3: マンバ氏, コーサ氏との意見交換 (2015.1.19) 写真 4: チペタ氏と意見交換 (2015.1.19) 写真 5: コーサ氏と意見交換 (2015.1.19) Ⅲ. リロングウェ農業大学ブンダカレッジ訪問リロングウェ農業大学 (Lilongwe University of Agriculture and Natural Resources; 以下 LUANAR) は, マラウイ大学から農学部門が独立しかつ,2014 年 1 月の短期派遣において訪問したナチュラル リソーシーズ カレッジ (Natural Resources College: 以下 NRC) と合併した大学である マラウイ大学農学部時代から, 農学に関するマラウイ国の最高学府であり, 灌漑局幹部の多くが同校を卒業している また,NRC も多くの灌漑省職員を輩出している 大学ではまず, 宮城県のプロジェクトの概要, 調査団の目的, 宮城大学食産業学部の概要について説明した 今後本プロジェクトにおいては, 人材育成のためには, 大学教育が重要であり, 特に灌漑分野は大学教育と行政の現場との連携が必要であると考え, 同校にもその旨の説明を行った マラウイ国に灌漑分野に関する学会等は無いため, 大変興味を示し, たとえば英文の学会誌等に共同で本プロジェクトの活動等を発表するなど, まずはできるところから, ステップバイステップで交流を進めていくことで合意した 意見交換後, キャンパス内を案内していただき, 講義室, 図書室, 水理実験室等を確認 機材の中に日本製のものがあり確認したところ, 以前 JICA プロジェクトが行われ, 専門家も駐在していたとのことだった 水理実験機材については故障のためか使用している状況は見られなかった 3

写真 6,7: 大学での意見交換の様子 (2015.1.20) 写真 8: 故障した水理実験器具写真 9: 学内の図書館 LUANAR が設立されたことにより, 以前に比べて NRC で単位を取得した学生が同大学に進学がしやすくなったということであった これは, 農業土木分野の技術者養成の土壌は整いつつあり, 今後さらに学生のレベルアップが期待される また, 行政側としては, 灌漑施設建設後のモニタリング等において, これまで以上に大学のリサーチ部門と連携していくことを求めており, 本プロジェクトにおいて何らかの大学との連携プログラムを実施することで, マラウイの農業土木の技術向上および知識の集積に高い効果発現が期待できると予想する Ⅳ. 技術移転セミナーの開催 1. デッザ県行政庁及びデッザ県灌漑事務所訪問 1 月 22 日に,23 日のセミナー開催に先立ちデッザ県行政庁に表敬訪問した 県行政長官は, 先般の洪水災害がデッザ県南部に及んでいたため, 現地視察のため不在であったが, デッザ県開発計画官である, ハンフリー ゴンドゥエ氏と会見した 改めて本プロジェクト内容と技術移転セミナーについて説明を行った ゴンドゥエ氏からは, これまで3 人の行政長官が歴任しているが, 本プロジェクトの実施内容は行政長官の間で引き継がれており, 行政長官は事業内容を理解し, 高い評価をしている旨の報告を受けた 行政庁訪問後, デッザ県農業事務所と歴代 JOCV の勤務先であるデッザ県灌漑事務所を表敬訪問し, マイケル チェヨ農業事務所副所長並びに6 名の灌漑事務所職員,2 名の NRC からのインターンと会見し, 意見交換を行った 4

写真 10,11: デッザ行政庁表敬 (2015.1.22) 写真 12: デッザ県農業事務所 (2015.1.22) 写真 13: 灌漑事務所職員と記念撮影 2. 技術移転セミナーの開催 2015 年 1 月 23 日に, チペタ氏, ゴンドウェ氏をはじめ, 灌漑省およびデッザ県内 EPA 職員約 39 名を対象にセミナーを開催した セミナーの内容は, 宮城県から5 課題,2014 年研修生から日本での研修報告を行った 内容は以下の通りである 1 日本の河川灌漑における農業用水の管理について 2 土地改良区組織の紹介 3 東日本大震災の被災地における GIS を活用したほ場整備の推進について 4 粗朶工法について~ 適正技術の紹介と実践 ~ 5 宮城大学における技術者教育の目指すもの 6 日本での研修報告 (2014 年研修員ブレイヴ ムダザ, ブレッシングス チクセ ) セミナーでは, 日本における研修成果報告, 灌漑管理, 適正技術としての粗朶沈床, GIS, 大学教育における灌漑技術者育成について講義した 内容はバラエティに富んでおり, 短時間で盛り沢山の内容を受講者に理解してもらうことに懸念があったが, 講義終了後の活発な質疑応答からみて, 受講者から概ね好評であったと思われる 特に, 折からの洪水被害と重ね合わせ, 自然素材を活用した粗朶沈床には皆興味を持ったようであり, 現地に適合した技術の必要性をうかがわせた なお, 粗朶沈床については, 今年度及び昨年度の研修員が来日した際に粗朶の束ね方等を実習しており, マラウイ側ではすでに技術導入を検討中である 今回, 研修先の技術協力を得て製作のための器具を現地 5

で複製し供与し, パイロット地区において実験的な施工に取り組む予定である 写真 14: ドミニク バンダ氏が司会 写真 15: チペタ氏の開会挨拶 写真 16: 菅原団長挨拶 写真 17: 郷古教授による発表 写真 18: 大場技術主査発表 写真 19: 菅野技術主査発表 写真 20: チクセ氏発表 写真 21: ムダザ氏発表 6

写真 22: セミナー参加者の全員で記念撮影 Ⅴ. 本県 JOCV 派遣者の生活圏調査第二期 JOCV の住居を予定通り割り当てられており, 安全面, 衛生面等,( 日本とは比較にならないものの ) 特に問題の無いことを確認 3 代目の JOCV ということもあり, マラウイ側 C/P の配慮に加え, 先代までの JOCV の残した生活物資も比較的揃っており, 特に生活に支障を来している状況はみられない しかし, インターネットの接続状況が歴代 JOCV の赴任時に比べ悪化している 安全確認や円滑な業務遂行のため今後改善が必要である 写真 23,24: 住居外観 写真 25: 住居内の状況 7 写真 26: 通勤路を確認

Ⅵ. 現地調査短期専門家による現地調査は, 主に以下の項目に重点を置き実施した 1 歴代 JOCV 及び事業の活動成果の確認,JOCV への指導 助言 2 リロングウェ ISD 管内の地理, 既往の施設調査により, 得られた情報 知見を以後の資器材供与を含めた支援計画の立案 作成に反映させる 3 リロングウェ ISD 管外の営農状況等を調査し, 本事業の支援計画の立案 作成にあたり, マラウイ国全体の農業分野の課題を把握し補完する 調査手法は, 簡易的な施設測定と農民からの聞き取り調査を主とした 各調査地区の詳細については, 添付資料の地区調査票を参照のこと 1. マラウイ湖を水源とする灌漑施設 ~サリマ ISD 管内リフウ地区 ~ 2015.1.21 調査 マラウイは大地溝帯の南端に位置し, ヴィクトリア湖, タンガニーカ湖に次ぎアフリカ大陸で3 番目の大きさのマラウイ湖がある マラウイ湖は, 内陸国のマラウイにおいて漁業を支え, 世界遺産であることから観光業を支える資源となっている マラウイの年間降水量は約 1000mm 程度あり, また, 前述したように同湖は地理学的, 生態学に貴重なため, マラウイ湖に水源を依存している施設は少ない ( 湖水を補完的に利用している事例, マラウイ湖南端から流出するシレ川を利用する事例はある ) マラウイの地勢について知見を深め, デッザ県以外の灌漑状況を把握するためにデッザ県に隣接するサリマ県 (Salima) リフウ (Lifu) 地区の視察を行った 同地区は 2012 年度短期専門家派遣調査から継続的に訪問している リフウ地区の受益面積は約 100ha で, 湖水をポンプにより揚水し灌漑している また, 同地区はマラウイ国内でも, 灌漑整備とともに稲作を開始した地区としては最も古く, 受益地内に農業省の試験農場を併設している 100ha のうち,88ha は農民が耕作し,8ha は試験農場として,4ha は政府管理農地となっており, 後述するブワンジェバレー地区の種籾の一部を生産している また, リフウ地区は1 組合員あたりの耕作面積は平均で 0.5ha であり, 平均耕作面積 0.3ha と比べるとその面積は大きい 昨年度の調査では, 施設の管理運営やマラウイ国内の電気使用量の値上げ等により支払いが滞るなどの問題があったが, 電気料金の契約方法を見直し, 使った分だけ料金を支払う方式に切り替え, 費用低減し運営改善が図られた 目下の課題は, リフウ地区の施設は, 1970 年代に建設されたため, 施設の老朽化対策であるという 精米機械も同じく老朽化し, 精米精度が落ちてきており, 市場への対応も大きな課題となっている 写真 27: リフウ地区生産組合との意見交換 8 写真 28: マラウイ湖からの取水

写真 29,30: 用水機場 写真 31,32: 試験農場 ( 青い札は試験作付の品種名 ) 写真 33: 田植えの様子写真 34: 給水栓 (1970 年代設置 ) 写真 35: 苗代 写真 36: 維持管理用器材を供与 9

2. ブワンジェバレー (Bwanje Valley) 頭首工 2015.1.24 調査 ンタカタカ (Nthataka)EPA 管内ブワンジェバレーは, 計画灌漑面積 800ha のマラウイ最大の施設で, 日本の無償資金協力により建設された ブワンジェバレーは, マラウイ国の他の施設と同様に水管理組合 (Water Users Association; 以下 WUA) と生産組合を組織しているが, 頭首工管理のために政府職員が水管理組合の参与として常駐しており, 管理事務所も設けられている ( 通常の場合,WUA はすべて受益者 ( 農民 ) により構成されており, 管理 運営も農民自らが行っている 但し, 施設の不具合や耕作放棄対策等については, 政府職員が WUA の活動の支援を実施している ) 初代 JOCV が施設管理記録について記録簿の作成および指導を実施し,2011 年 4 月からその運用を開始している 現在も, 施設管理施設責任者によって記録は継続して実施されていることを確認した 施設視察者に対して, 記録を基に管理状況の説明を行っており, 毎月の管理をすることで, 以前に比べ説明や訪問者の質問に的確に対応できるようになったとのことであった これは, 着実に技術移転され定着されていることを示している 現在, これまでの管理記録をリロングウェ大学リサーチセンターでデータ分析をしており, 今後新たな展開が期待される また, ブワンジェバレー頭首工の管理事務所は 2014 年 6 月 20 日に Best Engineering Project Award (Malawi Institution of Engineers ) を受賞した 管理状況は, 今期の営農が始まったばかり ( 雨期が例年よりも1ヶ月以上の遅れ ) であったが, 良好な状態であった 水路に各受益者の氏名を書き, 草刈り等の管理を割り当ている 責任の所在を明確化すると共に, 受益者全体が割り当て区間を確認できるため, 効果的な取り組みであると考える 写真 37: 聞き取り調査と意見交換 写真 38: オリジナルパッケージ 写真 39: 受益図写真 40: 設計図面 ( 当初 ) 10

写真 41:Best Engineering Project Award 写真 42: 施工記念碑 写真 43,44: 頭首工本体 ( 写真左 : 下流側, 写真右 : 上流側 ) 写真 45: 沈砂池 写真 46: 幹線用水路 写真 47: 田植えを終えた水田 写真 48: 管理状況 11

3. ンチェウ県 (Ntcheu) 現地調査 2015.1.26 調査 ンチェウ県はデッザ県の南部に位置し, リロングウェ県と併せて3 県がリロングウェ ISD の傘下に属する よって, ンチェウ県も本事業の支援の対象となっている これまで, ンチェウ県灌漑事務所との関わりは, リロングウェ ISD を通じて資器材の供与, 技術移転セミナーへの参加,2014 年の本邦研修にンチェウ県灌漑事務所からブレイヴ ムダザ氏を招聘し同研修を修了している状況である ンチェウ県灌漑事務所での聞き取り調査によると, 事務所スタッフは6 人で現在デッザ県事務所と同様に NRC から2 名のインターンシップを受け入れている 県内の灌漑可能面積は 23,000ha が見込まれ, うち 1,300ha が何らかの灌漑整備を実施しているとのことであった 1,300ha で約 200 カ所の灌漑プロジェクトを実施 ( 重力灌漑, 風車灌漑, 足踏み式ポンプ灌漑, ディーゼルポンプ灌漑, ソーラー発電ポンプ灌漑, バケツ灌漑 ) している ソーラー発電ポンプなどユニークな取り組みをしている これは, デッザ県と同様に首都に近く, 国道に面した県であることから, プロジェクト実施後のモニタリングが容易であることも要因の一つと思われる 写真 49,50: ンチェウ県事務所外観 写真 51: 聞き取り調査及び意見交換 写真 52: 足踏み式ポンプの使用説明ポスター ンチェウ事務所ムダザ氏より県の概要説明を受け, ソーラー発電ポンプや足踏み式ポンプによる灌漑方式は, 知見が少ないので今後の支援計画に活かすべく調査することとした また,1 月 23 日技術移転セミナーにおいて, 粗朶工法について発表した際に参加者の多くが興味を示したこと,2013 年から日本国内研修で粗朶沈床の講習及び実習を行っており, リロングウェ ISD ではマラウイ国内で実践を要望しており, 候補地を既に選定している そのうちの一つがンチェウ県にある それらの理由から計 3 地区の調査を実施した 12

(1) ンマディディ地区 ( 足踏み式ポンプの活用 ) ナマディディ地区は組合員が40 名 ( 男性 15 名女性 25 名 ) の地区で, 国際 NGO により整備された この地区は, ダンボ と呼ばれる低湿地帯の中にある マラウイではこれまで, ダンボ地帯は家畜の放牧地として利用されてきたが, 乾期でも地下水位が高く, 家内消費用の野菜栽培等で利用され始めている ダンボでは, ダンボ内に井戸を掘りバケツ灌漑方式が主であるため, 水くみの労力が大きく, 作付面積は限られている場合が多い しかし, 本地区はダンボ内に水路網をめぐらし, 水路は 30~40mおきに分水枡を設置している ダンボ内に多数配置した井戸から, 足踏み式ポンプを用いて分水枡に送水して灌漑している この方法により本地区は, 農地面積 13ha の灌漑を可能とした 13ha 内に深さ 4mの井戸を 24 箇所配置し, 井戸水面から 0.4m 程度の揚程で水路網の各分水枡に配水している 足踏み式ポンプは7 台所有し,1 台あたり5~6 人で共有している 前述したように, ダンボ地帯は地下水位が高く乾期においても地下水が利用でき, 配水方法もバケツ灌漑に比べ大幅な労力軽減が図られため, この地区では年に3 回の収穫を可能としているとのことであった 重力式水路と足踏み式ポンプの組み合わせは, 土地の起伏が大きく河川取水だけでは充分な灌漑ができない地域においても高い効果発現が見込まれるため, 宮城県が建設実施する地区での導入向けて, 大いに参考になった 図 -1: ンマディディ (Nmadidi) 地区模式図 13

写真 53: 井戸 ( 深さ 4m,φ1100mm) 写真 54: 足踏み式ポンプ ( 旧式 : インド製 ) 写真 55,56: 足踏み式ポンプ ( 新式 : ケニア製 ) 写真 57,58: 足踏み式ポンプを体験 写真 59,60: 分水枡 14

(2) センベ地区 ( 粗朶工法実践パイロット地区 ) センベ地区は組合員が30 名 ( 男性 15 名女性 15 名 ), 小河川に整備した固定堰から取水し, 重力式パイプラインにより灌漑している 本地区の灌漑面積は当初 6ha であったが, 後に末端に貯水槽を設け, 夜間貯留し下流側 4ha の灌漑を可能にした これにより本地区の農地面積は計 10ha となった 固定堰の護床 護岸のために粗朶工法を導入する候補地の一つとなっており, 固定堰の簡易測量等を行った 規模が小さく, 日本での研修で粗朶工法の研修を受けた職員 ( ブレイヴ ムダザ氏 ) が在籍しているので施工管理も可能である 調査結果を基に宮城県で設計案を作成し, リロングウェ ISD のコーサ氏と調整しながらパイロット地区として採用する予定である 写真 61,62: 取水堰 写真 63,64: 粗朶工法設計のための現地確認と測定 写真 65: パイプライン埋設位置を示す植込 写真 66: 夜間取水した水を利用した貯水槽 15

(3) ジオヤ地区 ( ソーラー発電ポンプによる灌漑 ) ジオヤ地区は, 孤児の通う小学校, 農地灌漑, 上水道がセットとなったプロジェクトである ソーラー発電を電源とする水中ポンプにより井戸から揚水し, 地区内高所に設置した3 基の 5,000L タンク ( 農業灌漑用 2 基, 上水道用 1 基 ) に貯水し, 重力給水を行っている 灌漑農地面積は 0.8ha, 上水道は4つの村が共同利用している 日本における営農飲雑用水事業に近い 草の根技術協力事業では, 灌漑開発に特化して建設を行ってきているが, 水路や固定堰でも村々で洗濯等の生活用水としても利用実態がある また, 途上国支援においては, 上水道と農地灌漑の組み合わせは山間地 ( 僻地 ) の村落開発において, 非常に有効である この施設の建設費は 5,000,000MK( 日本円で約 140 万円 ) であり, 宮城県でも取り組みは可能である ソーラー発電式ポンプ等を活用した灌漑と上水道開発については, 今後検討していきたい 写真 67: 電源のソーラーパネル写真 68: 貯水タンク ( 灌漑 1 基, 上水道 2 基 ) 写真 69: 貯水タンク 写真 70: 井戸と水中ポンプ 写真 71: 灌漑用の分水枡 16 写真 72: 農地

4. 事業からの供与資材を活用した地区 ~ デッザ県マビンジャ地区 ~ 2015.1.27 調査 第 2 期 JOCV の活動期間が1 年 6ヶ月と短いため, マラウイ国において建設適地選定の現地調査は時間を要する場合が多いことから, 活動初期の地区選定にかかる時間短縮等を考慮し,2013 年 4 月の専門家派遣の際に灌漑建設予定地区の抽出を行った 選定基準としては, 受益者の協力体制, アクセスの良さ (30 km圏内 ) 等をデッザ県灌漑事務所職員とともに調査した その結果, ベンベケ EPA(Bembeke EPA) 管内 3 箇所, リンティペ EPA (Linthipe EPA) 管内 3 箇所の計 6 箇所を抽出した 表 1: 地区抽出結果 (H25.4 専門家派遣時に作成 ) EPA Bembeke Ntantho Site Name Water Source Ntantho River Bembeke Namitsitsi Namitsitsi Bembeke Linthipe EPA Linthipe EPA Linthipe EPA Mwachaku la Mabwinja Umodzi Mwachaku la Linthipe River Linthipe River Proposed Area, ha Kanthukha Linthipe ma River 5 Dedza District Irrigation Office A report on Mr Sugano's Visit To Dedza District (3rd May, 2013 to 14th May, 2013) Proposed Technology 8 Gravity Fed 9 Gravity Fed 5 Gravity Fed 5 Gravity Fed 3.5 Gravity Fed Treadle Pump, Motorized Pumping-proposed Nearest Market Bembeke Trading Centre Bembeke Trading Centre Bembeke Trading Centre Dedza District market Chiphunzi Trading Centre Current Activities Water diversion using locally available materials, Clearing of earth canal, and land preparations 60 Water diversion using locally available materials, Clearing of earth canal, and land preparations 20 Water diversion using locally available materials, Clearing of earth canal, and land preparations 20 Excavation of earth canals, Moulding of bricks (10, 000), Rehabilitation of an existing Weir 25 Water diversion using locally available materials, Clearing of earth canal, and land preparations 35 Faming Crops Grown Families Distance From Dedza Boma Maize, Potatoes, beans & vegetables 25km Maize, Potatoes, beans & vegetables 15km Maize, Potatoes, beans & vegetables 13km Maize, potatoes, Onions, tomatoes 13km Maize, potatoes, Onions & vegetables 20km Linthipe 3 Market Nothing 30 Maize 15km 2013 年 7 月に赴任した槻田技師は, 現地調査を行い技術的判断 ( 水路勾配, 取水口選定等 ), 乾期の流量確認, 水管理組合設立に向けた受益者の意識調査を経て判断し, 灌漑事務所職員と協議の上, 地区を選定した 場所はリンティペ EPA 管内マビンジャ (Mabwinja) 地区 ( デッザ県灌漑事務所から西に約 13 km ) である 今回は, 施工後の施設の利用状況の聞き取り, 施工後の管理状況の調査を行った なお, 今回の調査では, 第 1 期隊員の建設したマイヤニ (Mayani)EPA 管内ニャンガウィラ (Nyangawira) 地区 ( デッザ県灌漑事務所から北に 32 km ) は雨期のため現地にアクセス道路の状態が悪く危険なため, 検討の結果, 調査を取りやめた 写真 73: マビンジャ地区取水堰 写真 74: 槻田技師が設計 施工した水路 17

写真 75: 河川の増水による破損 写真 76: 被災状況確認と復旧工事の検討 写真 77,78: 被災箇所及び復旧範囲の測定 写真 79: 水路末端部写真 80: 営農状況水路及び堰については, 雨期にもかかわらず良好に管理されていた また, 建設と同時に設立した WUA も機能しており, 施工後に農民による適正な管理が行われていたことが伺える現場状況であった しかし, 雨期の降雨による氾濫により, 固定堰の左岸部の護岸工が破損しかつパイピング現象 ( 漏水 ) が見られた 今後堰本体にも影響が及ぶと考えられるため, 事業で供与したセメントバックを活用し, 漏水対策と護岸工の復旧工事を行うこととした 雨期が明けた後 (2015 年 3 月以降 ), 施工に着手する予定である また, 農民からの聞き取り調査により, 本事業の施工区間より下流約 200mの土水路区間をライニングの要望があった 現地確認の結果, ライニングすることは維持管理や灌漑効果を高めると思われるため, デッザ灌漑事務所と調整しながら施工をしていく予定である 加えて,1 月 26 日ンチェウ県ナマディディ地区の現地調査で得た知見で, 起伏が大きく傾斜がある農地では, 足踏み式ポンプを組合せることにより, 灌漑面積の拡大や農民の水や 18

の軽減が図られる 同地区も足踏み式ポンプの導入は, 高い効果をもたらすと予想されるため, 導入を検討していく マラウイの小規模灌漑施設は, 現在, 自然素材を利用した堰を作り, 雨期に入る前に堰を取り除く仮設的な施設から本地区のようなコンクリートによる固定堰に移行している 一般的な構造は, 固定堰には欠口部を設けていないため, 雨期の降雨による増水分が流下不能となり, そのために氾濫したと考えられる これまでの事象を踏まえ, 堰に欠口を設け堰板等で水位をコントロールする方式の採用について, 今後提案していきたい 19

Ⅶ. マラウイ国への資材及び機材供与 1. リロングウェ ISD への供与リロングウェ ISD への供与物品は以下の通り 1 オートレベル及び測量器財一式 三脚, スタッフ2 本, 巻き尺 2 本含む 2 デジタルカメラ 1 台 3 レーザー距離計 1 台 4 振動コンパクタ 1 台使用に関して協定書に基づき管理することをマラウイ政府と確認し, 協定書で菅原団長並びにコーサ氏と署名を取り交わした 各物品については, リロングウェ ISD コーサ氏が管理することとした 写真 81: 協定書及び確認書の署名 写真 82: 供与物品の引渡し 写真 83,84: 振動コンパクタの作動確認状況振動コンパクタ-の供与に際しては, コーサ氏と事前に調整を図りながら, 日本で現地状況をよく知る歴代 JOCV が現地での運用の適否を検討した マラウイでは施設施工において, 大部分が人力施工のため基礎締固めが均一でない場合が多い 振動コンパクタは, 土水路や基礎締固めの労力軽減と品質向上につながると判断し供与を決定した なお, 輸送面の経費軽減のため現地購入とした 供与後はリロングウェ ISD が管理し, 傘下のリロングウェ, デッザ, ンチェウ県内の各工事に活用していく予定である さらに, 日本での研修先からの技術協力を得て, 粗朶沈床工法に使用する製作器具の譲与を受け, それを元に器具を複製した リロングウェ ISD は, 試験施工を行い, 研修の振り返りと来日した研修生を講師に他の職員対象に研修を行い普及させていく意向である 20

写真 85,86: 粗朶工法で用いる製作器具の供与 2. デッザ DIO への供与デッザ DIO へは,2013 年 4 月に引渡しを行った供与車両の整備部品を主に供与した また, 車両は適正に使用 管理されているものの, 悪路走行の頻度が非常に高いため, 車台に亀裂が見られた 溶接により応急処置を行った 今後, デッザ県職員及び派遣 JOCV の安全確保のために新たな車両の供与等を検討することも必要と考える 写真 87,88: 車両の各種部品の供与 写真 89,90: 車台の亀裂 ( 溶接にて応急処置済 ) 21

写真 91: 車両の整備状況 写真 92: デッザ DIO での物品引渡し Ⅷ. 調査及び活動成果の報告 1. 在マラウイ日本大使館への報告 2015 年 1 月 28 日に在マラウイ日本大使館西岡周一郎特命全権大使に表敬訪問し, 今回の短期派遣の報告及び謝意を伝えた 特に歴代 JOCV や事業で深く関わっているブワンジェバレー地区において,Best Engineering Project Award を受賞したこと, 技術移転セミナーでは粗朶沈床への関心が強かった旨を伝えた また, 国際防災会議 (2015 年 3 月に仙台市で開催 ) にマラウイ外務大臣が出席する情報を得たことから, マラウイ政府から依頼があれば宮城県は歓迎する意向を伝えた ( マラウイ側から宮城県知事表敬の依頼があった場合の宮城県の対応については, 在マラウイ大使館坂本一等書記官と調整済み ) 西岡大使から, 将来的な米の品質安定, 正規ルートでの国外輸出の話題 日本の農業の知恵を移転していくことが重要であること, 我々の活動成果について評価頂いた 写真 93: 在マラウイ日本大使館西岡周一郎特命全権大使と記念撮影 22

2.JICA マラウイ事務所への報告及び打合せ (1) 入国時打合せ 2015.1.19 今回の短期派遣に係る目的 行程及び JOCV 現職派遣と草の根技術協力事業の経緯について,JICA マラウイ事務所徳橋和彦所長, 戸田亜理子企画調査員, 地守ひずるボランティア調整員に説明を行った 徳橋所長からは,JICA 本部での会議でも, 本事業の話題は良く上がるとのこと 引き続き本事業の活動に期待するとのことであった 写真 94,95:JICA マラウイ事務所打合せ (2) 帰国時打合せ 2015.1.28 打合せでは, 今回の派遣において, 大きな事故等がなく目的をほぼ達成できたことの報告と,JICA マラウイ事務所のサポートへの謝意を伝えた JICA マラウイ事務所から, ABE イニシアティブ (African Business Education Initiative for Youth, アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ ) 修士課程およびインターンシップ プログラムの紹介があり, 将来のブンダカレッジと宮城大学との交流に関して, ひとつの選択肢としての提案をいただいた 今後も現 JOCV の活動及び事業について, 情報を共有し進めて行くことで合意した 3. 帰朝報告会 ~ 帰国後の報告と広報広聴活動 ~ 帰朝報告会は, 研修生受入時研修生自らがプレゼンテーションを行う, 研修報告会と併せて, 本プロジェクトの広報広聴の柱と位置づけている 帰朝報告会では, 短期専門家派遣の調査結果, マラウイ国の現状を広く伝えるべく報告会を平成 27 年 2 月 20 日に開催した 宮城県関係機関を中心に関係者 73 名が参加し, 盛況のうちに報告会を実施することができた 報告会を通してマラウイ国の農業事情をより理解し, プロジェクトを周知することで, 多くの関係者から理解と協力を得て, 継続的な活動を続けて行きたい 写真 96: 帰朝報告会の様子 23

Ⅸ. 課題ごとの結論及び今後の展開 1. 宮城県派遣 JOCV の活動状況調査及び課題等の検討現地調査,JOCV, デッザ DIO の C/P からの聴き取りにより, 現 JOCV が前任までの活動業務を引き継いで着実に活動している状況を確認 特に, ブワンジェバレー頭首工の管理記録について, 初代 JOCV の指導内容が確実に実施されていることを確認 一方で, 現 JOCV はまだ赴任して間もないこともあり, デッザ県のモデルサイト選定を含めた活動について悩んでいる状況が見られたため,JOCV への技術的支援を含め, これまで以上に宮城県と JOCV が連絡 調整を行いながら本プロジェクトを進めることとした 2. 草の根技術協力事業の進捗調査及び課題等の検討現地調査,JOCV, リロングウェ ISD, デッザ DIO の C/P からの聴き取りにより, 当初予定通りの進捗であることを確認 また, 供与機材も有効に使用されていることを確認 特にマラウイ側からは, 宮城県に派遣した研修員 ( 研修期間 1ヶ月程度 ) が帰国後見違えるように業務にあたり, リーダーシップを発揮するようになったとの評価があった また, 同事業による資材供与により建設したかんがい施設のモニタリングとともに他のドナーが建設した現地を数箇所調査した 建設後は概ね良好に維持管理されており問題は見受けられなかった 本プロジェクトを進めるにあたっての障害となるような課題は特に確認されなかった 今後は, 現地調査で得られた多くの知見を今後に活かすために, 民間企業や大学等と多くの知恵を結集して, 事業を進めて行くことが課題となると思われる なお, 検討課題の一つとして大学教育と行政の連携の重要性についての認識は一致したものの, 宮城大学側の事情もあり, 具体の交流等の話を進めるには至らなかった 3. 技術移転セミナーの開催 ( デッザ ) 日本における研修成果報告, 灌漑管理, 適正技術としての粗朶沈床,GIS, 大学教育における灌漑技術者育成と, バラエティに富んだ内容であり, 短い時間で盛り沢山の内容だったことに懸念もあったが, 講義終了後の活発な質疑応答からも好評な内容だったと思われる 特に, 折からの洪水被害と重ね合わせ, 自然素材を活用した粗朶沈床には皆興味を持ったようであり, 現地に適合した技術の必要性をうかがわせた なお, 粗朶沈床については, 今年度及び昨年度の研修員が来日した際に粗朶の束ね方等を実習しており, マラウイ側ではすでに技術導入を検討中である 今回, 研修先の技術協力を得て製作のための器具を現地で複製し供与し, パイロット地区において実験的な施工に取り組む予定である 4. 機材の供与及び使用方法等の指導 ( 測量機材, 車輌の交換部品等 ) 供与機材が有効に使用され, 使用方法にも問題の無いことを確認 今後は, 灌漑技術者自らが設計, 図面作成を行うためのソフトウエアの技術移転も必要と思われる 5. 宮城県派遣 JOCV の生活環境等の調査 JOCV は年末に1ヶ月ほど体調を崩し派遣前より痩せたように見受けられたが, 現在は健康面での問題は無いとのこと 3 代目の JOCV ということもあり, マラウイ側 C/P の配 24

慮に加え, 先代までの JOCV の残した生活物資も比較的揃っており ( 日本での生活とは比較にならないものの ), 特に生活に支障を来している状況はみられなかった 6. 次期フェーズ ( 第 3 期 ) について本章第 2 項で述べたように, フェーズ1 及びフェーズ2のこれまでの成果及び活動は, マラウイ政府側から大きな評価を得ている一方で, 次期フェーズについては今後の検討課題として残された 同規模の事業では異例の大臣表敬が今回実現したことは, マラウイ政府の次期フェーズに対する期待の高さをうかがわせる また, 事務次官代行であるマンバ氏からは, 大臣及び事務次官は本事業の成果を高く評価しており, 次期フェーズへの継続を望んでいる旨を伝えられた マラウイ政府は, リロングウェ ISD 以外のエリアでの事業展開も期待しているようであった また, 次期フェーズが実現した場合, マラウイ政府は, 全面的なバックアップをする用意があると申し入れを頂いている状況である 2015 年度は,2 期事業の中間評価の年となるため, 今期事業を着実に進めると共に, 次期フェーズの検討をしていく必要があると思われる Ⅹ. おわりに今回の調査にあたり, 在マラウイ日本大使館,JICA マラウイ事務所,JICA 東北支部から多大な支援を受けたことについて厚くお礼申し上げる また, 今回のマラウイ訪問に際して, 快く調査団の受入準備やセミナー準備等を進めていただき, また農業灌漑水開発大臣やリロングウェ大学との面談の機会を設けていただいた農業灌漑水開発省灌漑局のジェフリー マンバ局長, リロングウェ ISD のサングァニ コーサ部長, デッザ DIO の C/P 全員に深く感謝申し上げる 皆さまへの心からの謝意を表し, 報告のまとめとする 25