植物機能改変技術実用化開発 ( 事後評価 ) 分科会資料 6-2-1 植物機能改変技術実用化開発 ( 事後評価 ) 分科会資料 個別テーマ詳細説明資料 ( 公開 ) 植物で機能する有用フ ロモーターの単離と活用 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科新名惇彦 山川清栄 1/29 背景 目的 意義 事業原簿 10 ページ シロイヌナズナのゲノム解析が平成 12 年 (2000) に完了 各種有用遺伝子の実用化に際しては 構造遺伝子産物の機能解析と共に プロモーターなど遺伝子発現の制御領域の情報収集が不可欠である ゲノム解析完了に先立つ平成 11 年 (1999) よりプロジェクト開始 2/29 1
平成 11 年度 ~ 平成 15 年度の成果 1 3/29 平成 11 年度 ~ 平成 15 年度の成果 2 cdna マイクロアレイを用いた発現解析 ACT2 遺伝子 P5CS 遺伝子 Cy5/Cy3 = 2.0 Cy5/Cy3 = 0.5 独立した5,722 クローンを搭載 ACT8 遺伝子 4/29 2
平成11年度 平成15年度の成果 3 葉特異高発現クローン 5 29 平成11年度 平成15年度の成果 4 葉特異高発現クローン(2) 6 29 3
平成 11 年度 ~ 平成 15 年度の成果 5 約 1.5 kb 断片 7/29 平成 11 年度 ~ 平成 15 年度の成果の要約 シロイヌナズナの均一化 cdna ライブラリーによるマイクロアレイ系を構築し 葉および根特異高発現遺伝子を選択した 葉 根特異高発現遺伝子のプロモーター領域の単離と一過性発現検定を行い 特異性 高発現性の期待される約 180 クローンを選択した 8/29 4
平成 16 年度 ~ 平成 17 年度の研究目標 事業原簿 10 ページ プロジェクト前半で得られた葉および根特異高発現プロモーターに GUS レポーター遺伝子を連結し 形質転換植物シリーズを作成する 形質転換植物を用いて各プロモーターの発現特性を検定すると共に 植物ホルモンなどを用いて各種環境条件下での発現変化を検定する プロモーターの発現特性や各種情報を網羅したカタログを作成し プロジェクト内外の研究者の利用に資する 9/29 減圧浸潤法によるシロイヌナズナの形質転換 事業原簿 37 ページ 減圧 植物体 ( 播種後 30-40 日 ) 菌懸濁液 感染 形質転換種子 種子採取 栽培 ( 通常環境 ) 遮光 多湿環境 (1-2 日 ) 10/29 5
発芽 ~7 日目カナマイシン選択培地平板培養 G M 培地 斜面培養 移植 ~21 日目 移植 再スクリーニング 種子採取 植物採取 G U S 染色 ナイロンメッシュ 観察発現組織の特定 図 3 G U S 染色による発現部位の解析 11/29 解析したプロモーターの要約 ( 一部は平成 15 年度までに終了 ) 植物への感染 一次スクリーニング GUS 解析 葉特異プロモーター 69 51 44 根特異プロモーター 61 44 45 合 計 130 95 89 葉特異プロモーター 多くは葉身部全面 : 光合成 光化学系 葉脈のみ 根特異プロモーター 維管束 : 代謝 細胞構造 表 皮 : ストレス 傷害応答 ( 部位は不規則 外部要因で変動 根 端 : 転写 細胞増殖 ( 活性は低いが特異性高い ) 12/29 6
13/29 14/29 7
15 29 16 29 8
17/29 主根 側根 光学顕微鏡による GUS 発現観察 (R5: 側根発達部 機能未知 ) 側根発生初期より発生部の維管束全体 根端では発現しない 18/29 9
R5 の側根での発現の連続縦断面観察 主根維管束から側根維管束の境界で強い発現 19/29 R40( 機能未知 ) の連続縦断切片の発現解析 側根発生初期より発現 主根の表皮 皮相の始原細胞およびその基部側で発現 20/29 10
根端では表層 基部の細胞伸長が盛んな部位では表層から中心柱でも発現 21/29 (7 日後 ) R23 (fructokinase) は IAA 処理により発現低下 22/29 11
R28 機能未知 はIAA処理 7日後 により特に根端で発現上昇 23 29 R55 (DEAD box RNA helicase) はIAA処理後 維管束を中心に発現低下 比較的短時間で効果が現れる 24 29 12
事業原簿 37 ページ 収録内容 179 系統 :cdnaマイクロアレイデータ DNA 配列情報葉 根特異的プロモーター 89 系統 : 一過性発現活性 GUS histochemistry 各種データベースにリンク 25/29 平成 16 年度 ~ 平成 17 年度の研究の要約 事業原簿 37 ページ プロジェクト前半で選抜したプロモーター群について それらを導入した形質転換植物シリーズを作成した 形質転換植物シリーズを用いて各プロモーターの発現特性を詳査すると共に 植物ホルモンなど各種環境条件下での発現変動を検定した プロモーター群を導入した形質転換植物シリーズを揃えることにより 実用化の際に必要な各種環境条件下でのプロモーター特性の検証が容易となった プロモーター解析は広く行われているが 組織的に大量のプロモーターを解析した最初の例である 26/29 13
達成目標 目標達成度 達成度 (%) 論拠 プロモーター /GUS レポーター遺伝子をシロイヌナズナに導入 GUS histochemistry 法によるプロモーター発現特性の解析 プロモーターカタログの作成 100 100 100 葉 根特異的プロモーター /GUS 融合遺伝子 130 系統をシロイヌナズナに導入し 最終的に葉 根それぞれ特異的プロモーターを保有する 44 系統および 45 系統を取得した 葉特異的プロモーターでは 葉身全面または葉脈のみで発現するもの 根特異的プロモーターでは 維管束 表皮 根端など 特異的に発現するものを得 それぞれの機能と関連づけた IAA 処理によりプロモーターごとに特徴的なパターンを観察した 以上を総合して 既存のデータベースともリンクさせたプロモーターカタログを作成した 27/29 論文発表一覧 ( 青字は平成 15-16 年度分 ) 誌上発表論文 山川清栄 河内孝之 シロイヌナズナの遺伝子プロモーターの系統的解析 BIO INDUSTRY Vol. 19, No.9: 16-27 (2002) 山川清栄 河内孝之 シロイヌナズナの遺伝子プロモーターの系統的解析環境修復と有用物質生産 ( シーエムシー出版 ) 第 III 部第 3 章 (2003) Kohei Ando, Seiyei Yamakawa, Kyoko Miyashita, Kazuya Yoshida, Akiho Yokota, Atsuhiko Shinmyou, and Takayuki Kohchi: Efficient construction of cdna microarrays utilizing normalized cdna libraries of Arabidopsis thaliana, Journal of Bioscience and Bioengineering, 97 (1) : 85-88 (2004) 山川清栄 河内孝之 吉田和哉 新名惇彦 マイクロアレイを用いた植物プロモーターの網羅的探索 BIO INDUSTRY Vol. 21, No.12: 51-63 (2004) Seiyei Yamakawa, Kohei Ando, Aya Chisaka, Kazuya Yoshida, Atsuhiko Shinmyo, and Takayuki Kohchi: Systematic transient assays of promoter activities for leaf-specific genes identified by gene-expression prpfiling with cdna microarrays in Arabidopsis thaliana, Journal of Bioscience and Bioengineering, 98 (2): 140-143 (2004) Seiyei Yamakawa, Kohei Ando, Kazuya Yoshida, Akiho Yokota, Atsuhiko Shinmyo and Takayuki Kohchi: Phylogenetic profiling of Arabidopsis genes by monitoring spatial gene expression using cdna microarrays, Plant Biotechnology, 22(1): 55-58 (2005) 学会口頭発表 : 7 件 28/29 14
事業化 実用化の見通し 事業原簿 39 ページ シロイヌナズナの多数の根 葉特異的プロモーターの特性を明らかにし 実用植物へ適用可能なツールを揃えた プロモーターの実用化に際しての条件検討に不可欠な形質転換植物シリーズを整備すると共に データ検索に有用なプロモーターカタログを編纂した カタログは奈良先端大 新名研究室のホームページ上で公開する予定である 収集した各種プロモーターは一部実用植物へ応用可能である他 解析情報に基づいたホモログの取得により より広範囲への適用が可能である プロモーターカタログを中心とした本プロジェクトの成果を紹介する論文を準備中である 29/29 15