JALSG臨床研究

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10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

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する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

行対象症例の選択方針が内外で異なるためと考えられており ヨーロッパ諸国の中でも腎生検を比較的活 発に行っている地域では本症の発現頻度が高いこととともに 無症候性蛋白尿 血尿の比率が高くなってい る 5. 合併症 高血圧 ネフローゼ症候群を呈する場合は脂質異常症 慢性腎不全に進行した場合は 腎性貧血

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72 20 Ope / class Alb g/ cm 47.9kg : /min 112/60m

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン 2013 CQ とステートメント 推奨グレードのまとめ 1 CKD の診断と意義 CQ 1 CKD は末期腎不全の危険因子か? GFR の低下 (40~69 歳で 50 ml/ 分 /1.73 m 2 未満,70~79 歳で 40 ml/ 分 /1.73

目次 1. 目的 2 2. 人工透析患者の年齢等の分析 3 性別 被保険者 被扶養者 3. 人工透析患者の傷病等の分析 8 腎臓病 併存傷病 平成 23 年度新規導入患者 4. 人工透析 健診結果 医療費の地域分析 13 二次医療圏別 1

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

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日本内科学会雑誌第99巻第9号

の主要な治療薬として日本ならびに世界で広く使用されている MTX の使用により 関節リウマチの臨床症状の改善 関節破壊進行抑制 QOL 改善のみならず 生命予後の改善や心血管合併症リスクが軽減されることが示されており 現在の関節リウマチ治療においては必要不可欠な薬剤である 1990 年前後から MT

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データの取り扱いについて (原則)

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1治療 かっていたか, 予想される基礎値よりも 1.5 倍以上の増加があった場合,3 尿量が 6 時間にわたって 0.5 ml/kg 体重 / 時未満に減少した場合のいずれかを満たすと,AKI と診断される. KDIGO 分類の重症度分類は,と類似し 3 ステージに分けられている ( 1). ステー

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1)表紙14年v0

1. 背景 NAFLD は非飲酒者 ( エタノール換算で男性一日 30g 女性で 20g 以下 ) で肝炎ウイルス感染など他の要因がなく 肝臓に脂肪が蓄積する病気の総称であり 国内に約 1,000~1,500 万人の患者が存在すると推定されています NAFLD には良性の経過をたどる単純性脂肪肝と

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50% であり (iii) 明らかな心臓弁膜症や収縮性心膜炎を認めない (ESC 2012 ガイドライン ) とする HFrEF は (i)framingham 診断基準を満たす心不全症状や検査所見があり (ii) は EF<50% とした 対象は亀田総合病院に 年までに初回発症

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

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査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

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15 検査 尿検査 画像診断などの腎障害マーカーの異常が3ヶ月以上持続する状態を指すこととしている その病期分類方法は成人と小児では若干異なり 成人では糖尿病性腎障害が多い事からこれによる CKD 患者ではアルブミン尿を用い その他の疾患では蛋白尿を用いてそのリスク分類をしている これに対し小児では

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01-02(先-1)(別紙1-1)血清TARC迅速測定法を用いた重症薬疹の早期診断

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課題名

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10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

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資料1_事業実施計画書


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Transcription:

研究実施計画書 ( 第 1 版 ) 日本ネフローゼ症候群コホート研究 日本ネフローゼ症候群コホート研究 Japan Nephrotic Syndrome Cohort Study (JNSCS) 各施設での日本腎臓病総合レジストリーまたは腎生検レジストリーの承認および日本ネフローゼ症候群コホート研究プロトコール承認 腎臓病総合レジストリー症例登録 ネフローゼ症候群の抽出前向きコホート研究 ネフローゼ症候群の寛解率 ネフローゼ症候群の治療法の比較 ネフローゼ症候群の循環器合併症 ネフローゼ症候群の治療による副作用解析

1. 概要日本ネフローゼ症候群研究 (JNSCS) は 厚生労働省難治性疾患克服研究事業進行性腎障害調査研究班が 日本腎臓学会の協力のもとに行うものである 参加施設において 2009 年 1 月 1 日より 2010 年 12 月 31 日までに 原発性ネフローゼ症候群を登録し (1) 原発性ネフローゼ症候群の発症率 (2) 原発性ネフローゼ症候群の治療反応性 (3) 原発性ネフローゼ症候群全体の 1 年 5 年生存率ならびに (4) 治療による副作用 (5) 合併症を調査する前向きコホートスタディーを実施する 1.1 目的原発性ネフローゼ症候群の寛解率と治療反応性 1 年 5 年生存率 並びに合併症を明らかにする 1.2 研究デザイン日本腎臓学会の腎臓病総合レジストリー / 腎生検レジストリーを使用した中央登録による前向きコホート研究 1.3 対象本試験参加施設で試験開始後に新たに診断された 以下の診断基準を満たす原発性ネフローゼ症候群 1) 尿蛋白 3.5g/day 以上 血清アルブミン値 3.0g/dl 未満をきたしたネフローゼ症候群症例ただし 尿蛋白が正確に測定できない場合や 3.5g/day 未満でも主治医がネフローゼ症候群であると判断する場合は登録する 2) 原発性ネフローゼ症候群として病理組織学的に膜性腎症 微小変化群ネフローゼ症候群 巣状糸球体硬化症 膜性増殖性糸球体腎炎 IgA 腎症 その他の原発性糸球体腎炎に分類されるもの ( 本研究の登録においては 腎生検がなくても日本腎臓病総合レジストリーに登録できる ) 1.4 除外基準 1) 二次性ネフローゼ症候群 ( 糖尿病性腎症 SLE などの膠原病によるネフローゼ アミロイドーシス 骨髄腫 血液疾患による腎障害 肝炎ウイルスによる腎障害 ANCA 関連腎炎 HIV 関連腎炎 ) 2) インフォームドコンセントを得られない患者 1.5 標的イベント (1) ステロイド ステロイド パルス療法での完全寛解到達率 不完全寛解到達率 (1 型 2 型 ) 寛解 無効については以下のように定義する 完全寛解尿蛋白の消失不完全寛解 1 型尿蛋白 1g/day 未満血清アルブミン 3.0g/dl 以上 2

不完全寛解 II 型無効頻回再発例ステロイド抵抗例 尿蛋白 1g/day 以上 3.5g/day 未満尿蛋白 3.5g/day 以上血清アルブミン値 3.0g/dL 未満 6 ヶ月間に 2 回以上の再発を示す症例ステロイド療法開始後 8 週間以内に 蛋白尿が 1g/day 未満にならない症例 (2) ステロイド+ 免疫抑制薬療法での完全寛解到達率 不完全寛解到達率 ( 不完全寛解 1 型 2 型 ) (3) 腎機能低下のエンドポイント ( 血清クレアチニン値の 2 倍化 透析導入 腎移植 ) (4) 死亡 1.6 調査項目 (1) 原発性ネフローゼ症候群患者の病理組織別の 1 年 5 年腎生存率 生存率 (2) 原発性ネフローゼ症候群患者の病理組織別治療反応性 ( 完全寛解 不完全寛解 無反応 ) (3) 原発性ネフローゼ症候群患者の合併症 (4) ステロイド 免疫抑制薬療法による副作用 1.7 目標症例数 300 例日本において発症する原発性ネフローゼ症例の可能な限り多数の登録を目指す 登録期間 :2009 年 1 月 1 日より 2010 年 12 月 31 日 追跡期間 : 最終登録後 5 年 2015 年 12 月 31 日 総研究期間 :7 年追跡期間 : 最終登録後 10 年 2020 年 12 月 31 日 総研究期間 :12 年 1.8 研究の実施および結果の公開本研究が行われていることは腎臓学会のホームページにて公表する また 結果も論文として発表し 学会発表も行う 1.9 問い合わせ先研究事務局 : 大阪大学腎臓内科今井圓裕 565-0871 吹田市山田丘 2-2 電話 06-6879-3857 FAX 06-6879-3859 E-mail: imai@kid.med.osaka-u.ac.jp 2009 年 10 月 1 日以降研究事務局 : 名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学今井圓裕丸山彰一 466-8550 名古屋市昭和区鶴舞 65 3

TEL: 052-744-2182 Fax: 052-744-2184 E-mail: ADS12069@nifty.com marus@med.nagoya-u.ac.jp 4

1. 目的ネフローゼ症候群は臨床上比較的よく遭遇する疾患であり 平成 6 年のアンケート調査では成人において原発性ネフローゼ症候群は膜性腎症約 20% 微小変化群約 30% 巣状糸球体硬化症約 10% 膜性増殖性糸球体腎炎約 10% メサンギウム増殖性糸球体腎炎約 10% といわれる ネフローゼ症候群のうち ステロイドや免疫抑制薬を 6 カ月使用しても蛋白尿が 1g/day 以下に減少しない場合 に難治性ネフローゼ症候群と定義され ネフローゼ症候群のうち 難治性ネフローゼを呈するものは全体の 10% と報告されている この難治性ネフローゼ症候群のうち 40% が膜性腎症であり 20% が巣状糸球体硬化症である この調査は昭和 60 年から平成 5 年に発症した原発性ネフローゼ症候群 ( 膜性腎症 1008 例 巣状糸球体硬化症 278 例 ) に対してアンケート調査を行い 平成 13 年まで可能な限り追跡調査を行い 腎予後を調べたものである 1) 当時使用できなかった免疫抑制薬で治療が可能となった現在では 実態と異なっている可能性もあり 新たな調査が必要である 膜性腎症で難治性ネフローゼ症候群の場合 予後が悪いことは厚労省の進行性腎障害調査研究班で明らかとなっている 1) この調査では 膜性腎症の 12% は腎機能が低下し 10% は腎死に至ることがわかった 換言すれば ステロイドや免疫抑制剤による治療を行っても効果がない場合には腎機能は持続的に低下していき 20 年で 90% が末期腎不全に至る予後の悪い疾患である 蛋白尿を減少させることができる治療法が待望されている 今回 15 年ぶりに日本腎臓学会の腎臓病総合レジストリーを使用して 日本腎臓学会の協力を得て全国でネフローゼ症候群症例を前向きに調査することにより その実態を把握し 現在の治療の有効性を確認する 2. 背景と試験計画の根拠 2.1 ネフローゼ症候群の診断および治療ネフローゼ症候群は大量の蛋白尿と低アルブミン血症をきたす疾患である 通常 腎生検によって確定診断し ステロイド 免疫抑制剤などで治療する したがって これらのネフローゼ症候群患者のほとんどが 腎臓内科専門医にて診断 治療されているのが現状である すなわち 腎臓専門医を対象として調査を行えば 原発性ネフローゼ症候群はほぼ網羅的に把握できると考えられる 2.2 免疫抑制剤の効果わが国では 免疫抑制薬として シクロスポリンとミゾリビンが難治性ネフローゼ症候群の保険適応を受けているが 明らかなエビデンスが示されておらず 現在 多施設共同による無作為対照試験が進行中である これらの薬剤では 血中濃度測定による Therapeutic drug monitoring system(tdm) を考慮した治療法が検討されており よりよい投与法の開発が期待される しかし シクロスポリンについては特異的な血管障害や腎障害の危険性があり 今後さらに検討が必要で 5

ある ミゾリビンについては 血中濃度が十分に治療域に達していないことも考えられるため 難治性ネフローゼ症候群における用量設定を見直す必要がある可能性がある 2.3 前向きコホートスタディーの必要性 15 年間ネフローゼ症候群に関して調査が行われておらず また 前向きのコホートは形成されていないので 原発性ネフローゼ症候群について前向きのコホートを作成し その実態を明らかにすることが必要である 2.4 患者の利益と不利益この試験では治療介入を行わない 疾患の治療方針は通常診療として主治医と患者の意思により決定される 実地医療の結果を調べる前向きコホート観察研究であり 本試験に参加することによる患者の利益 不利益はともにない 3. 試験デザイン エンドポイント 3.1 デザイン試験デザインは多施設共同の中央登録による前方向コホートスタディー エンドポイントは (1) 原発性ネフローゼ症候群患者の病理組織別の 1 年 5 年腎生存率 生存率 (2) 原発性ネフローゼ症候群患者の病理組織別治療反応性 ( 完全寛解 不完全寛解 無反応 ) (3) 原発性ネフローゼ症候群患者の合併症 (4) ステロイド 免疫抑制薬療法による副作用 2 年間の症例登録と最終登録から 5 年間の追跡を行う 研究期間は 7 年となる 3.2 統計解析上記エンドポイントの推定累積発症率を Kaplan-Meier 曲線によって算出する また それぞれのエンドポイントの臨床的予測因子を Cox 比例ハザードモデル等の生存解析的手法を用いて同定する 上記の統計解析は STATA SPSS R 等の統計パッケージを用いて行う 4. 患者選択基準 4.1 適格基準本試験参加施設で試験開始後に新たに診断された 以下の診断基準を満たす原発性ネフローゼ症候群 1) 尿蛋白 3.5g/day 以上 血清アルブミン値 3.0g/dl 未満をきたしたネフローゼ症候群症例ただし 尿蛋白が正確に測定できない場合や 3.5g/day 未満でも主治医がネフローゼ症候群であると判断する場合は登録する 2) 原発性ネフローゼ症候群として病理組織学的に膜性腎症 微小変化群ネフローゼ症候群 巣状糸球体硬化症 膜性増殖性糸球体腎炎 IgA 腎症 その他の原発性糸球体腎炎に分類されるもの ( 本研究の登録においては 腎生検がなくても日本腎臓病総合レジストリーに登録できる ) 6

4.2 除外基準 1)2 次性ネフローゼ症候群 ( 糖尿病性腎症 SLE などの膠原病によるネフローゼ アミロイドーシス 骨髄腫 血液疾患による腎症 C 型肝炎 B 型肝炎によるネフローゼ症候群 ANCA 関連腎炎 HIV 関連腎炎など ) を除く 2) 患者本人あるいは代諾者よりインフォームドコンセントを取得できない症例 5. 研究方法 5.1 概要参加施設に適格患者が発生すると 各施設において登録を行う 2009 年 1 月 1 日より 2010 年 12 月 31 日まで登録を行う その後 2015 年 12 月 31 日 2020 年 12 月 31 日まで追跡調査を行う 登録 1 年後 5 年後 7 年後 10 年後のデータを解析し 発症率 寛解率 予後を公表する また 主たるエンドポイントについて解析されたのち確定したデータシートを用いて2 次的研究を行う 5.2 患者登録 臨床情報収集の手順 ( 参加施設に必要な手順 ) (1) 各施設は本プロトコールを施設の倫理委員会 ( 機関審査委員会 ) に提出し この研究計画実施の承認を得る (2) プロトコールの承認書を FAX にて腎臓病総合レジストリー事務局へ送る プロトコールの承認を事務局で確認した後に 事務局よりキーが送付され 登録が可能となる FAX 先金沢医科大学腎臓内科横山仁先生宛 FAX 番号 :076-286-2786 (3) 定期的に予後を含む症例の臨床情報を 添付の患者登録用エクセルシート ( 第 2 版 ;2009 年 7 月 9 日作成 ) にて腎臓病総合レジストリーを通じて入力する 6. 治療本研究では治療法に関しての介入は行わない 7. 登録時の検査項目 本研究で収集される臨床データ 7.1 登録時に収集するデータ登録時に収集するデータ項目は (1) 患者年齢 (2) 性別 [ 項目選択 ] ( 3) 病理分類 [ 項目選択 ] ( 4) 推定罹病期間 (5) 初診日 ( 6) 身長 (7) 体重 (8) 浮腫の有無 (9) 血圧 (10) 血清総蛋白 (11) 血清アルブミン値 ( 12) 尿蛋白量 ( 13) 血尿 (14) 血清クレアチニン値 ( 15)BUN (16) ヘモグロビン値 ( 17) 血清総コレステロール値 (18)LDL コレステロール値 ( 19)HDL コレステロール (20) 中性脂肪 (21) HbA1c の 21 項目である 記載は 2 週間前後のアロワンスを認める 7

7.2 治療に関して収集するデータステロイド初期投与量 ステロイドパルス療法の回数 シクロスポリンの使用量 ミゾリビンの使用量 エンドキサンの使用量 ACEI/ARB 使用の有無 アルドステロン拮抗薬の有無 スタチン使用の有無 抗血小板薬の使用の有無 アスピリンの使用の有無 ワーファリン使用の有無 ビタミン D 使用の有無 ビスホスホネート使用の有無 糖尿病薬の有無 LDL アフェレーシスの有無 血液透析の有無 治療による副作用 7.3 予後に関して収集されるデータ予後に関しては (1) 生死 (2) 最終確認日 ( 死亡日 ) (3) 最終確認日での寛解状態 [ 項目選択 ](4) 循環器疾患の合併の有無についての情報を収集する 8. 効果判定の方法本研究で用いる治療効果判定は (1) 治療による完全寛解 無効の判定寛解 無効については以下のように定義する 完全寛解尿蛋白の消失不完全寛解 1 型尿蛋白 1g/day 未満不完全寛解 II 型尿蛋白 1g/day 以上 3.5g/day 未満無効尿蛋白 3.5g/day 以上血清アルブミン値 3.0g/dL 未満頻回再発例 6 ヶ月間に 2 回以上の再発を示す症例ステロイド抵抗例ステロイド療法開始後 8 週間以内に 蛋白尿が 1g/day 未満にならない症例 (2) 寛解後の再発尿蛋白の増加を認め ネフローゼ症候群になるか 尿蛋白 3.5gday 以上になった場合 (3) 患者の腎機能 (4) 患者の生死 (5) 治療による副作用 ( 新規の合併症 ) (6) 循環器疾患合併症である 9. 統計学的考察 9.1 症例数の算定進行性腎障害調査研究班では 平成 20 年に統計調査を行い約 3200 名程度のネフローゼ症候群が発症していると推定している 日本腎臓学会の調査で平成 12,13 年に行われた腎生検数は 5517 件 5741 件である 2) 腎病理標準化委員会の腎生検のレジストリーに登録される症例は 2008 年 1 年間で約 1600 例程度 2009 年 5 月末までの5ヶ月間に約 1000 例の腎生検が登録された この内 8

約 15% がネフローゼである これらのデータからは腎生検を行わないものを含め ネフローゼ症候群の新規登録症例数は 1 年に約 300 例と思われる このうち 70% からインフォームドコンセントを得られると考えると年間約 200 例が登録されることになる 統計学的には全症例の 10% を登録できれば正確な推計ができるため 登録期間を 1.5 年として 300 例のネフローゼ症候群の登録が得られ 本コホートの形成は可能である 9.2 中間解析 1 年をめどに情報収集の状態を把握し 主たるエンドポイントについては算出し データを参加施設に公表する 9.3 最終解析試験が終了し データが確定した時点で最終解析を行う その際にはエンドポイントとしてあげた全ての項目に関してデータを算出する 10. 症例集積見込み 300 例の症例集積を見込んでいる 11. 倫理的事項 プライバシーの保護 11.1 倫理委員会 ( 機関審査委員会 ) での承認本研究は 観察研究 に当たるが 腎生検標本を使用する症例が多いため その実施においては各施設の施設長の承認が必要であり そのためには 倫理委員会又は IRB (Internal Review Board, 機関審査委員会 ) による承認を必要とする 腎臓学会倫理委員会で本プロトコールが承認された場合には 倫理委員会を持たない医療機関では施設長の判断のもとに このステップを省略できる 11.2 登録に際しての患者の同意が必要であることについて本研究は 治療介入を一切行わない 観察研究 であるが 前向き研究であり 腎生検標本を使用するため 患者への研究に関する説明と患者の自由意思による 腎臓病総合レジストリーへの参加の確認 ( インフォームドコンセント ) と本研究への参加の確認 ( インフォームドコンセント ) が必要である 腎臓学会の倫理委員会で JKDR と JNSCS の一括同意を得ることが承認されれば 同意に関しては一括同意も可能である 腎臓学会ホームページ上でも ( 1) 研究が実施されていること (2) 研究への参加施設を公開する また 患者には腎臓学会および各施設のホームページ上で (1) 本研究が実施されていること (2) 本研究への参加施設が公開されていることを知らせる 11.3 個人情報の取り扱いについて登録時に連結可能な患者識別番号を 各施設で決定して付与し 腎臓病総合レジストリー (JKDR) 9

に記入する この患者識別番号は当該施設においてのみ連結可能であり 各施設で責任を持って管理すること 今回 JNSCS データセンターに収集される情報には 第三者が直接 患者を同定できるものは含まれておらず 匿名化される 12. 登録に関する注意事項 12.1 連続登録の必要性と重複登録への注意重複登録が大きな問題となるため 十分に問診をとり 他の施設で既に診断 登録されていないかを確認すること 12.2 データ登録の時期患者登録は まずネフローゼ症候群の臨床診断が確定しており 病理診断がついた時点で登録を行う 2 次性ネフローゼ症候群を鑑別するのに必要な情報が揃う前に登録する必要はない 12.3 日本腎臓学会腎臓病総合レジストリーとの関係本研究において 症例登録は日本腎臓学会のレジストリーである 日本腎臓病総合レジストリー (JKDR) あるいは日本腎生検レジストリー (JRBR) を使用して行う JKDR は腎生検を行わない腎臓病について JRBR を拡大したものである JKDR あるいは JRBR に登録するには JKDR または JRBR への参加が必要であり 各施設での倫理委員会での承認後 JKDR(JRBR) 委員長である金沢医科大学腎臓内科横山仁教授に連絡して JKDR へ施設登録を行う 13. 本研究終了後の公表 ( 論文化 学会発表等 ) について本研究の結果は試験終了後に論文として発表する 論文著者は原則として 運営委員会で決定する 学会発表についても同様とする 14. 研究組織本研究は Japan Nephrotic Syndrome Cohort Study (JNSCS) 試験は 厚生労働省進行性腎障害調査研究班難治性ネフローゼ症候群分科会が運営するコホート研究であり 公正かつ円滑な運営のために運営委員会を設ける 14.1 研究代表医師 事務局研究代表者 : 丸山彰一 ( 名古屋大学医学部腎臓内科 ) 研究事務局 : 名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学今井圓裕丸山彰一 466-8550 名古屋市昭和区鶴舞 65 TEL: 052-744-2182 Fax: 052-744-2184 10

E-mail: ADS12069@nifty.com marus@med.nagoya-u.ac.jp 腎臓病総合レジストリー事務局 : 横山仁金沢医科大学金沢医科大学腎機能治療学 TEL 076-286-2211, FAX 076-286-2786 統計解析 : 堀尾勝大阪大学大学院機能診断学 TEL 06-6879-2598 FAX 06-6879-3857 山本陵平大阪大学大学院老年 腎臓内科学 TEL 06-6879-3857 FAX06-6879-3857 14.2 運営委員会大阪大学腎臓内科中山寺いまいクリニック今井圓裕福岡大学腎臓内科総合医学研究センター斉藤喬雄大阪大学機能診断学堀尾勝福島県立医大第 3 内科渡辺毅金沢医科大学腎臓内科横山仁岡山大学腎臓内科槇野博史名古屋大学腎臓内科藤田保健衛生大学湯沢由紀夫名古屋大学腎臓内科松尾清一大阪大学腎臓内科猪阪善隆 11

15. 文献 1) Shiiki H, Saito T, Nishitani Y, Mitarai T, Yorioka N, Yoshimura A, Yokoyama H, Nishi S, Tomino Y, Kurokawa K, Sakai H; Research Group on Progressive Renal Diseases in Japan.: Prognosis and risk factors for idiopathic membranous nephropathy with nephrotic syndrome in Japan. Kidney Int. 2004 Apr;65(4):1400-7. 2) 松尾清一 : 腎病理標準化アンケートの結果 : 腎生検標本の病理診断の現況と今後の課題 腎生検病理診断標準化への指針 日本腎臓学会 腎病理診断標準化委員会編 p15-18 東京医学社 2005 12