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症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

Epilepsy2015

スライド 1

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

患者向医薬品ガイド フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg 2016 年 5 月作成 この薬は? 販売名 フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg Fycompa Tablets 2mg Fycompa Tablets 4mg 一般名 ペランパネル水和物 Perampanel Hydrate

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

スライド 1

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

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オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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た 18 歳以上の AD/HD 患者を対象に 日本人を含むアジア人によるプラセボ対照二重盲検比較試験及びその長期継続投与試験が現在実施されており 本剤の製造販売者によれば これらの試験成績に基づき 本剤の成人期 AD/HD 患者への追加適応に関する承認事項一部変更承認申請が行われる予定とされている

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

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12_モニタリングの実施に関する手順書 

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あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

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用法 用量 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制 mg mg mg mg kg 30kg 40kg 20kg 30kg 10kg 20kg 5kg 10kg 1900mg mg mg mg

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治 験 実 施 標 準 業 務 手 順 書

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

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審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

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する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

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抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

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No.16-35

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要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

サーバリックス の効果について 1 サーバリックス の接種対象者は 10 歳以上の女性です 2 サーバリックス は 臨床試験により 15~25 歳の女性に対する HPV 16 型と 18 型の感染や 前がん病変の発症を予防する効果が確認されています 10~15 歳の女児および

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( 別添 ) インフルエンザに伴う異常な行動に関する報告基準 ( 報告基準 ) ( 重度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 重度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください ( 軽度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 軽度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください イン

別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 商品名 : イチョウ葉脳内 α( アルファ ) 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) 弊社では当該製品 イチョウ葉脳内 α( アルファ ) と同一処方の製品を 200

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( 図 1 アンケート用紙を送付しなかった理由 (n=248)) その他 4 % 住所又は両親の名前不明 1 7 % 他科にてフォロー中 3 % 音信あり 1 6% 他院にてフォロー中 28 % 3. 方法まず患者の保護者に対して郵送によるアンケート形式で病院より今後コンタクトをとることについての可

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タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

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3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

米国で承認された エロツズマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 新潟県立がんセンター新潟病院内科臨床部長張高明先生です Q1: エロツズマブという薬が米国で承認されたと聞きましたが どのような薬ですか? エロツズマブについてエロツズマブは 患者さんで増殖しているがん

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

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ROCKY NOTE 食物アレルギー ( ) 症例目を追加記載 食物アレルギー関連の 2 例をもとに考察 1 例目 30 代男性 アレルギーについて調べてほしいというこ

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糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

My DIARY ベンリスタをご使用の患者さんへ


Transcription:

乳児重症ミオクロニーてんかんに対す る新たな治療法確立のための研究 主任研究者 井上有史 課題番号 H19- 臨床試験 - 一般 -003 ( 演者 ) 国立病院機構静岡てんかん神経医療センター副院長井上有史

乳児重症ミオクロニーてんかんとは? 乳児期発症 発熱過敏 頻回にけいれん発作を反復 しばしば 重積をおこし緊急治療を必要とする 死亡率は 16-18%: てんかん発作 突然死 頻回のてんかん発作で 急速に身体 的 知的な退行が生じる ナトリウムチャンネル (SCN1A) の異常 辺縁群を含め 日本に 3000-4000 人 既存の抗てんかん薬はほとんど無効 Stiripentol(STP) が本疾患の治療薬として EU で承認

研究目的 乳児重症ミオクロニーてんかんの治療状況を 調査し 新薬導入の必要性を明らかにすると ともに EU で本疾患の希少疾病治療薬として 市販された Stiripentol の臨床試験を行い 日 本において適切な治験が行われるための資料 および準備態勢を整えることを目的とした

研究方法 本研究では 1) 研究協力施設における実態調査を行い 患者数 治療状況 新薬導入の必要性について調査する 2) 臨床研究を行うための各施設での基盤整備 治験を想定した事務作業 ( 試験薬概要書 臨床研究実施計画書の作成など ) を行う 3) 臨床研究実施計画書に沿って本薬のcompassionate useを行い 円滑な治験遂行のための資料として役立てる 4) 臨床研究に必要な血中濃度測定法の確立 CYP の遺伝子多型による影響などを調べる 5) 具体的な本邦導入方法についての検討を行う

[ 倫理面への配慮 ] 本研究は臨床研究の倫理指針および疫学研究の倫理指針に則り 各施設の倫理委員会で承認を得 参加の自由の保障 個人情報の取り扱いに十分留意しながら 同意を得て行った 遺伝子多型に関する研究も倫理委員会による承認を得た

研究成果 考察

研究協力施設における実態調査 2006 年に受診した患者のうち薬剤効果が把握された 112 症例 ( 中核群 73 例 ) について既存薬の効果を検証 発病は 6(2-18) ヶ月 調査時年齢 15(1-46) 歳

研究協力施設における実態調査 けいれん発作:112/112 (100%) けいれん重積:99/110 (90%) ミオクロニー発作:81/108 (75%) 複雑部分発作:93/108 (86%) 知的障害:83/92 (87%) 軽度 21 中等度 22 重度 40

各種抗てんかん薬のけいれんに対する効果 各種抗てんかん薬のけいれんに対する効果 120 100 80 60 40 20 0 VPA ZNS PB PRM CBZ PHT CZP CLB NZP DZP CLP AZA Br free >50% reduction 25% reduction no effect aggravated free 1 1 1 2 5 >50% reduction 23 9 5 1 2 5 8 14 3 5 1 0 16 25% reduction 40 15 16 4 2 5 15 12 6 6 4 7 19 no effect 43 49 50 23 57 42 46 28 18 10 10 19 15 aggravated 3 3 1 2 1 2 新薬導入の必要性あり

臨床研究基盤整備 治験を想定した臨床研究基盤整備 - ネットワークによる研究体制の確認 - IRB 等の整備およびスタッフ教育 治験を想定した事務作業 - Stiripentol 概要書等の翻訳整備 臨床研究実施計画書を作成

新規薬物 Stiripentol 構造式 4,4 dimethyl -1 -[(3,4 methylenedioxy) phenyl] -1 penten -3 -ol (C 14 H 18 O 3 ; 234.29) フランス Biocodex Laboratories 作用機序 :GABA 作動性シナプス後電流の増加 GABAチャンネ ルレセプターの開放持続 P450 チトクロームを阻害 (CYP2C19 および CYP3A4) 99% は血漿蛋白結合 Michelis-Menten タイプの動態 副作用 : 消化器症状 神経行動障害 : 併用薬剤の減量で改善 2001 年に Orphan 薬承認 2007 年に販売承認 (EU) 適応は乳児重症ミオクロニーてんかん

Stiripentol 乳児重症ミオクロニーてんかん におけるプラセボ対照比較試験 Chiron et al. Lancet 2000 バルプロ酸 + クロバザムプラセボ プラセボ 20 Stiripentol 21 プラセボ Stiripentol p 50% 以上発作減少 5% 71% <2.10-5 発作頻度減少率 +7% -70% <0.05 発作消失 0 9 2 年後効果は 50% で保たれ 耐容性は 75%

Stiripentol 乳児重症ミオクロニーてんかんに おけるプラセボ対照比較試験 Chiron et al. Lancet 2000; Italian study, 2002 バルプロ酸 + クロバザムプラセボ Stiripentol 20 (11) 21 (11) プラセボ Stiripentol p 50% 以上発作減少 5% (1%) 71% (64%) <2.10-5 (<.00002) 発作頻度減少率 +7% (0%) -70% (-74%) <0.05 (<.001) 発作消失 0 9

臨床研究実施プロトコール Stiripentol 参加条件 1 歳以上の乳児重症ミオクロニーてんかん患児 月 4 回以上のけいれん発作 併用薬 1 種類以上 3 剤以下 他の病気 特にアレルギーや肝臓疾患 腎臓疾患がない

投与前 初期投与期 維持 ( 継続 ) 投与期試験終了時 追跡調査 -4 週 0 週用量固定 X+4 週用量固定 Y+4 週中止決定時終了後 12 週週 (X)* 4 週後 (Y) 以内 来院 説明 同意取得 被験者背景 適格性 発作 服薬状況 有害事象 臨床検査 STP 濃度 他薬濃度 CYP 測定 脳波検査 ** * 通常は投与開始 4 週後 ** 投与前半年以内の検査結果で代用可

Sii Stiripentol の臨床研究 実施計画書に沿った compassionate use 現在までに 19 症例に実施 必要な検査法の確立 - 血中濃度測定法 - CYP の遺伝子多型

症例 症例数 : 19 ( 早期評価可能 16) エントリーの年齢 : 小児, 14 例 (2-8 歳 ) 成人, 2 例 (19-22 歳 ) 性別 : 男 3, 女 13 CYP homo 変異 (2c19): 3 例 CYP hetero 変異 (2c19): 7 例

併用抗てんかん薬 VPA+CLB VPA VPA+PB VPA+CZP+ZNS 8 例 5 例 1 例 1 例 PB+ CZP+ Br 1 例 VPA: バルプロ酸 CLB: クロバザム PB: フェノバルビタール CZP: クロナゼパム ZNS: ゾジサミド Br: ブロム

併用抗てんかん薬の量 VPA 25.4 (10.0-45.5) mg/kg/day /d CLB 0.50 (0.07-0.53) mg/kg/day /d PB 2.8 mg/kg/day ZNS 3.0 mg/kg/day Br 40 mg/kg day

Stiripentol 量 901.6 mg/day (475-2000mg/day) 56.4(30.0-103.4)mg/kg/day Stiripentol t 血中濃度 (10 cases) 13.4μg/ml(7.5-22.2μg/ml) 2 Dr. E. Rey (Paris) の協力を得た

> 50% 発作減少 初期 後期 けいれん発作 7 / 13 (54%) 3 / 12 (25%) ミオクロニー 3 / 4 (75%) 1 / 4 (25%) 複雑部分発作 4 / 7 (57%) 3 / 6 (50%)

発作関連症状の改善 初期評価 後期評価 けいれん重積 4 / 5 4 / 4 けいれん群発 0 / 2 0 / 2 発作の持続 10 / 16 11 / 15 覚醒中の発作 2 / 3 3 / 3 行動 認知 1 / 8 6 / 8

有害事象 初期 食欲低下 4 (44%) 多動 4 (44%) 失調 3 (33%) 嘔気 2 (22%) 眠気 2 (22%) 不眠 1 (11%) 嚥下困難 1 (11%) 易刺激性 1 (11%) 脱毛 1 (11%) 後期 0 1 (11%) 1 (11%) 0 0 0 0 0 0

治療のアルゴリズム (EU での経験 ) VPA から開始 VPA+CLB VPA+CLB+STP STP 50mg/kg/day で開始 VPA 15mg/kg/day に減量 CLB 0.5mg/kg/day に減量 遷延する発作を回避するために早期 (2 歳以下 ) に導入する もし発作が続く場合 VPA+CLB+STP+TPM TPM or VPA+CLB+STP+LVT (TPM: Topiramate, LVT: Levetiracetam)

Stiripentol 厚生労働省の 第 13 回未承認薬使用問題検討会議 (2007.7) にて 早期に承認申請や治験を開始するよう要請された

Dr. Chiron の招聘 Stripentol を用いた治療についての最近の情報の教授 製造会社 ( フランス ) の担当者を交えて今後の方針について協議 国内の販売会社を探して臨床治験を行う方向へ

結論 本疾患の発作は既存薬では充分な効果が得られず 新たな治療薬導入の必要性が認識された Stiripentolは発作減少効果が日本人においても明らかにあり 副作用への対処は可能であった 本薬物が日本に導入される可能性が示された 導入の準備態勢は整っている