日本語構造伝達文法 [6-3] この項は 日本語構造伝達文法 発展 A の第 18 章の内容が中心になっています 印刷 :1-2, 4, 7, 10-18, 20-27, 31-34 今泉喜一 2011 年 10 月 1 どんな多義? 与えられるそれぞれの文の異なる意味を言ってください 2 多義発生の理由は? そのような異なる意味を生じる理由を言ってください 3 防ぐ方法は? そのような多義の発生を防ぐ方法を言ってください 1
7 日にけがをした人が死んだ 2 つ動詞がある場合, 時間成分がどちらを修飾するかの問題 修飾する直前に置けば解決する? けが 人 7 日 けが 人 sins- sins- 7 日 7 日にけがをした 7 日に死んだけがをした人が7 日に死んだ 田中さんに ( も ) 言いたいことがある 田中 こと i(w)- が田中さんにことを言う ta -i が田中さんにことが言いたい が田中さんに言いたいこと が田中さんに言いたいことがある ( には ) 田中さんに ( も ) 言いたいことがある 田中さん が言う 2
田中さんに ( も ) 言いたいことがある 田中 こと 人 2 つ動詞がある場合, 修飾成分がどちらを修飾するかの問題 修飾する直前に置けば解決する? i(w)- 田中 こと ta i(w)- -i ta -i 田中さんに ( も ) 言いたいことがある 田中さん が言う 田中さんに ( も ) 言いたいことがある 田中さん ある 言いたいことが田中さんに ( も ) ある お金は山下さんももらいました お金 山下 は も などがある場合, 格詞が省略されることがある 重要格以外を省略しなければ解決する? お金 mra(w)- mas mra(w)- mas 山下 お金は山下さんももらいました 山下さんがも お金は山下さんももらいました 山下さんにも 3
駅を探してください あなた駅 sagastekudas mas- 1 2 3 4 5 6 7 格格格格格格格 を格 いったいいくつの格があるのか を格 行為の対象行為の範囲 など,1 つの格詞にいくつもの格がある -e を O2 にまでへ主よりでからと 旅行は 10 月に変更された 10 月 変更 委員 S- 旅行 -e 1 2 3 4 5 6 7 格格格格格格格 に格 いったいいくつの格があるのか に格 行為実行の時行為の結果 など,1 つの格詞にいくつもの格がある を O2 にまでへ主よりでからと 4
が昨日話した女性が来た 女性昨日 名詞修飾の場合元の文での格関係が明示されなくなる 英語では? 中国語では? 女性 tuk- te- 昨日 2 t - u k- 2 hanas- hanas- - u k- が女性と話した話した相手としての女性 が女性について話した話題としての女性 Tシャツで行ったら会場に入れてもらえなかった 過去 100の場合 事実過去 0の場合 反実仮想過去 未来 0% T シャツで ik- 0% 50% 50% 100% T シャツで ik- 現在発話時点 100% 5
次は, 構造による多義 多義文の発生する構造 1 2 3 4 5 6 7 8 9 多義文の招待状はどこかな は大空美穂が好きなタレントです と女の弟は同級生だ 姉の結婚する娘が泣いている 先生はいつ写真を撮られましたか 子どもを迎えに行かせる が笑える人は少ない 歯が抜けた 美しい山の写真 6
の による多義文 の招待状はどこかな kure- の 招待状 の kur- 招待状 どこ armas- どこ armas- /-u ka /-u ka がにくれた招待状 がに送る招待状 の による多義文 母親のにとる態度は我慢のならないものだった 母親の de ( 母親は と同一主体 ) もの ( 態度 ) 我慢 de の ana -i n 母親 娘 の -u -u 態度 態度 a) 母親がにとる態度 ( に対する母親の態度 ) b) 母親であるにとる娘の態度 ( 母親のに対する娘の態度 ) tr- ( 母親は 態度をとる 主体 ) もの ( 態度 ) 我慢 de の ana -i n tr- 7
断定基 (de=, = 形容動詞 ) による多義文 は大空美穂が好きなタレントです 好き n(i) 大空美穂タレント a(r)- de 1) 感覚主体 = 大空美穂, 帯感主体 = タレント大空美穂がタレントを好いている 2) 感覚主体 = タレント, 帯感主体 = 大空美穂タレントが大空美穂を好いている と による多義文 と女の弟は同級生だ と は何を列挙するか 同一位置にあるもの結ぶ 弟 女 弟 弟 女 m m m 同級生 同級生 de de mas- /-u /-u [ ] と [ 女の弟 ] が同級生同一位置 [ の弟 ] と [ 女の弟 ] が同級生 [ ] と [ 女 ] が同一位置 8
複主体による多義文 姉の結婚する娘が泣いている 本主体を特定化すれば二義にならない 林さんの結婚する娘が泣いている 結婚 本主体属性主体本主体属性主体 姉 の s- 娘 -ru 結婚 -ru 娘 の s- 姉 nak- te- nak- te- i- i- 姉は娘が結婚する ( 姉の ) 娘が結婚する 娘は姉が結婚する ( 娘の ) 姉が結婚する 受動基 (-e-) による多義文 先生 utur- 先生はいつ写真を撮られましたか -e- 写真 tr- 人 te- i- いつ 写真 先生 ( 発話者意識 ) いつ mas- tr- -e- mas- /- u ka /- u ka 先生はいつ ( 人に ) 写真を撮られましたか 受身 他人が先生の写真を撮る 先生はいつ写真を撮られましたか 尊敬 先生自身の意志で写真を撮る 9
使役基 (-as-e-) による多義文 子どもを迎えに行かせる 子ども 弟 - mukae- O yuk- 弟 -as-e- 子どもを迎え ( に弟を行かせる ) /-ru 祖父 子ども - mukae- yuk- 子ども -as-e- ( 祖父を迎えに ) 子どもを行かせる O /-ru 許容態 (-e-) による多義文 (1) sukuna が笑える人は少ない wara(w)- 人 が笑うことを人が許容する 許容する人は少ない に笑える人は少ない - 二重主語化 - 人 人が笑うことをが許容する が許容する人は少ない を笑える人は少ない は立派な人ではない -e wara(w)- -e.ksukuna 人 waresukuna はかなり立派な人 10
許容態 (-e-) による多義文 (2) 自動詞 可能動詞 歯が抜けた ( 状況 ) nuk- 歯 nuk- 歯 -e- -e- 抜く に意志なし 自然生起 抜く に意志あり 可能 許容態 (-e-) による多義文 (2) 可能動詞 に勝てる相手は 1 人いる 相手 ka 相手 -ru -e- に 動作の相手相手がに勝つ相手がに勝てるに勝てる相手 相手 ka -ru -e- に 許容 -e-の対象が相手に勝つが相手に勝てるに勝てる相手 11
形容詞による多義文 美しい山の写真 / 山の美しい写真 山美し -i の.kutur- te- i- 写真 -i の 山 utur- te- i- 写真 -i 美し 美しい山が写真に写っている 山が美しい写真 山が写っている美しい写真 多義文の発生する構造 ( 構造のあり方のため多義文が発生する ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 発生原因となる構造とその関連 の による多義文断定基 (de=, = ) による多義文 と による多義文複主体による多義文受動基 (-e-) による多義文使役基 (-as-e-) による多義文許容態 (-e-) による多義文 (1) 許容態 (-e-) による多義文 (2) 形容詞による多義文 12
次の多義文について説明してください 1 2 3 4 5 6 7 8 9 多義文の家には車が2 台あった 全員集まらなくてもいい のようにお金を使わないでね 当日は女まで歌った 第 3 章だけ概要を説明した 女の住まいをたずねた 子どもに見られた 当市に初めてできた野菜博物館 拾ってきたので3 千円もうかった 10 ないものはない ( 知らないものは知らない ) 13