ミューオンで探る 素粒子標準模型を越える物理 久野 ( ひさの ) 純治 ( 宇宙線研 ) R C N P 研究会 ミューオン科学と加速器研究 日時 : 2 0 0 8 年 1 0 月 2 0 日 ( 月 ) 2 1 日 ( 火 ) 場所 : 大阪大学核物理研究センター 1
祝南部 小林 益川三先生ノーベル賞受賞 2
これから 10 年の素粒子物理 TeV スケールの物理の解明 電弱対称性の破れの起源 階層性問題 (weak scale の起源 ) 宇宙の暗黒物質 ( ニュートリノ質量?) 標準模型 (SM) を越える物理 (BSM) 新しい対称性 新しい粒子 新しいフレーバー構造 ( 候補 ) 超対称標準模型 余剰次元 Little Higgs 模型 etc. 3
これから 10 年の素粒子物理の道具 4
これから 10 年の素粒子物理の道具 本当は天体素粒子物理は重要な道具の一つだけど 今回は割愛 5
由緒正しき精密測定の道具 : ミューオン 1 SM パラメータの決定 : ミューオンの寿命測定 (Fermi 定数の決定 ) 2 SM のテスト : ミューオン (g 2) の測定 ミューオン崩壊における Michel パラメータの測定 ミューオンキャプチャー比の測定 3 対称性の破れの探索 : Charged Lepton flavor violation(clfv) 探索 conversion in nuclei muonium-antimuonium conversion ミューオン EDM 測定 6
ミューオンの寿命 (Fermi 定数 ) 測定 Fermi 定数 は電弱セクターの基本パラメータ 99 年にミューオンの寿命に対する QED2 ループの補正が完成 理論からのへの不定性は 0.3ppm 実験から不定性が 9ppm Kammel s talk @Nufact08. MuLan reached to 1ppm for muon lifetime. 7
由緒正しき精密測定の道具 : ミューオン 1 SM パラメータの決定 : ミューオンの寿命 (Fermi 定数の測定 ) 測定 2 SM のテスト : ミューオン (g 2) の測定 ミューオン崩壊における Michel パラメータの測定 ミューオンキャプチャー比の測定 3 対称性の破れの探索 : Charged Lepton flavor violation(clfv) 探索 conversion in nuclei muonium-antimuonium conversion ミューオン EDM 測定 8
ミューオン (g-2) への寄与 : ミューオン (g-2) の測定 QED Up to 5-loop leading Kinoshita et al Hadronic vacuum polarization (HVP) Light-by-light scattering (LBL) Electroweak at twe-loop level Beyond SM 実験値 (BNK-E821) SM の予言値 (based on HVP from e + e - data.) (Hagiwara et al, 06) (Devier al, 06) (Hertzog et al, 07 White paper for E969) 理論と実験で 3.4 または 3.3 sigma のずれ 予言値の差は HVP と LVL からくる 9
Hadronic vacuum polarization (HVP) HVP は e + e - data から分散関係より導かれる 最新の値 : (Hagiwara et al, 06) (Devier al, 06) コメント 1 versus e+e- に軍配 (Benayoun et al, 08) 2 R 比に大きなエラーの可能性? (Passera et al, 08) EW 精密測定からくるヒッグス質量の上限が下がる 10
Hadronic vacuum polarization (HVP) HVP は e + e - data から分散関係より導かれる R 比 最新の値 : (Hagiwara et al, 06) (Devier al, 06) コメント 1 versus e+e- に軍配 (Benayoun et al, 08) 2 R 比に大きなエラーの可能性? (Passera et al, 08) EW 精密測定からくるヒッグス質量の上限が下がる 11
Light-by-light scattering(lbl) LBL を観測量と直接関係つける方法はない また QCD から直接計算もまだできない モデル計算に依存 現在 3 つのモデル計算があり それらは O(N c ) のリーディングでは無矛盾だけど O(1/N c ) で差が現れる Bijnens and Prades (07) の提案は Erler and Sanchez (06) は EW の観測量におけるハドロンループの寄与がほとんどパートンの計算であうことに注目し LBL の寄与に上限を出した Lattice QCD によるアプローチ (Hayakawa et al) 12
Error budget とミューオン (g-2) の将来 (Hertzog et al,07) 将来実験でる までの改善があるとすると 5-σ discovery を目指せ (Hertzog et al,07) 13
BSM とミューオン (g-2) ミューオン (g-2) に寄与を与える次元 5 の演算子 ; 典型的な BSM の寄与の大きさは小さい ( 参考 : ) 超対称標準模型は 2 つ Higgs doublet があることにより 比較的おおきなずれを出すことができる 一般に Two-Higgs doublet model は大きなずれをだすことができるか? 答え :Not easy. 14
超対称標準模型とミューオン (g-2) ミューオン (g-2) は LHC で見つかるような軽い超対称粒子を予言する模型を favor している LHC ではやヒッグシーノの質量の符号はよくきまらないが ミューオン (g- 2) の値が改善すれば LHC の結果と組み合わせることでそれらを決めるよい量となる M sq <1TeV M sq <2TeV (Hagiwara et al, 06) (Hertzog et al, 15 07 White paper for E969)
ミューオン (g-2) clfv そして EDM これらは BSM に感度が高く また有効 dipole 演算子によって導かれる 1. ミューオン (g-2): 2. 3. ミューオン EDM: ミューオン (g-2) の 3.4sigma のずれが BSM の寄与であれば その新たな相互作用が clfv や CPV を導く可能性がある 16
clfv は TeV スケールの BSM に高い感度をもつ ( : PMNS 行列 ) μlfvs: (Λ : 有効 BSM スケール ) Λ は観測から ~10 (5-6) GeV 以上ということになる 現実的な模型では Λ は実際の新しい粒子が現れるスケールに比べ大きくなる フレーバー対称性の破れ ループによる抑制 μlfvはtevスケールの物理におけるフレーバー対称性の破れの構造を探る有力な方法である 17
超対称模型における clfv SUSY 粒子に対して超対称性を破る質量項が導入され それらは必ずしもフレーバー対称性をたもたない スレプトン質量行列 レプトン質量行列 スレプトンの超対称性を破る質量項の寄与 SUSY フレーバー問題 ( 観測 ) 提案 1) Universal scalar mass hypothesis: 2) Alignment hypothesis: 3) Decoupling hypothesis: clfv の研究により超対称性の破れの起源や超対称標準模型を越える相互作用を探ることができる 18
SUSY フレーバー問題のヒントはまずは LHC があたえてくれるだろう (hisano@nufact07) SUSY フレーバーの物理はそれではおわらない 19
GUTs や右巻きニュートリノの相互作用によりレプトンフレーバー対称性を破るスレプトンの質量項が生じる PRISM/PRIME clfv の発見は新たなパズルを生み それは TeV を越える物理を探る糸口となる Minimal SUSY SU(5) GUT (JH, Tobe, Moroi, & Yamaguchi) SUSY SO(10) GUT now MEG(I) SUSY Seesaw model PRISM/PRIME (JH& Nomura) now MEG(I) PRISM/PRIME (Calibbi et al)
Decoupling hypothesis における Higgs mediation SUSY 粒子の質量がO(1-10)TeV 以上の場合 SUSY 粒子の1ループの寄与は無視できる一方で Higgs mediationの寄与により観測可能になり得る (Babu & Kolda) は Barr-Zee 型の 2 ループグラフにより 他のプロセスは tree のグラフによりおこり お互いに相補的になっている MEG(I) Barr-Zee 教訓 :TeV スケールに 1 つでもレプトンに結合する新粒子があればそれは clfv の寄与を与えうる 21
Little Higgs model with T parity ヒッグス粒子は擬 NG boson であるため軽い T parity の導入 (EW 精密測定の制限を回避 暗黒物質を説明 ) T-odd ミラーレプトン ミラークォークの導入 新しいフレーバーの破れ (Blanke et al) とても SUSY に似ているが アクシデンタルな理由により が相対的に小さい 22
Randall&Sundrum 時空で実現した標準模型曲がった 5 次元時空に SM 粒子が存在 ヒッグス場の波動関数とのオーバーラップでクォーク レプトンの質量が決まる 湯川結合の階層構造 Kaluza-Klain 粒子がフレーバーを大きく破った相互作用を持つ (Agache et al) 23
Randall&Sundrum 時空で実現した標準模型曲がった 5 次元時空に SM 粒子が存在 ヒッグス場の波動関数とのオーバーラップでクォーク レプトンの質量が決まる 湯川結合の階層構造 Kaluza-Klain 粒子がフレーバーを大きく破った相互作用を持つ ニュートリノ質量の発見により レプトンフレーバー数は自然において保存していない BSM が clfv を予言しないとしたら それはとてもとても深い理由があるはず 24
1,cLFV プロセス間の相関をとることで LFV の起源をさぐる Little-Higgs 超対称粒子の寄与 Higgs mediationの寄与の時の相関 (Blanke et al) 核子中の μ e 転換の Z 依存性 (Kitano,Koike &Okada) Large difference for high Z 25
2,asymmetry により clfv の起源を探る このとき偏極ミューオンを使うことにより たとえば超対称模型では : 左巻きスレプトンが LFV の起源 (SUSY seesaw model) : 右巻きスレプトンが LFV の起源 (SUSY SU(5) GUT) 26
荷電レプトンの EDM ミューオン EDM 将来の見込み CP の破れがフレーバーによらない場合 EDM はフェルミオンの質量に比例 CP の破れがフレーバーの破れ起源である場合例 ) 超対称模型 ( 右巻きと左巻きのスレプトンの混合の位相差 ) から制限されるが 27
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